JP5800546B2 - プレキャスト製基礎板、プレキャスト製構造物の基礎および土留め用構造物の施工方法 - Google Patents
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施工においては、先ず地盤上に砕石を敷均し締固めし、次に砕石上に均しコンクリート(現場打ちコンクリート)を打設する。ここで、均しコンクリートの硬化(養生)を待って、均しコンクリート上に擁壁用基礎ブロックを設置し、さらに側方突出部の後方に底板となるコンクリートを打設する。最後に、上方突出部の上端面に、所望の高さとなるようにコンクリートブロックを積み上げる。
なお、複数の凹部または複数の凸部は、下面の全域(一部でもよい)において、千鳥状やマトリクス状或いはランダムに分布させることが好ましい。
なお、上記の「基礎石材」は、いわゆる地業を構成する部分であり、例えば砕石、クラッシャーラン、再生クラッシャーラン、割栗、砂(およびこれらの組み合わせ)等が、これに該当する。
なお、上記の「上部張付け材」は、硬化に伴って付着性およびせん断抵抗性を発揮するものであり、例えばモルタル、半固体の樹脂材等が、これに該当する。
なお、上記の「基礎石材」は、いわゆる地業を構成する部分であり、例えば砕石、クラッシャーラン、再生クラッシャーラン、割栗、砂(およびこれらの組み合わせ)等が、これに該当する。
図2(a)および(b)に示すように、プレキャスト基礎板13の下面13aは、複数の凸部16Aを散在的に分布させて凹凸の粗面を形成している。また、各凸部16Aは、型抜きを考慮して半球形状、円錐台形状または円錐形状に形成されている。実施形態における複数の凸部16Aは、プレキャスト基礎板13の下面13a全域において、千鳥状に分布している。なお、複数の凸部16Aの分布(配置パターン)は、マトリクス状であってもよいし、ランダムなものであってもよい。
図3(a)および(b)に示すように、第2変形例のプレキャスト基礎板13の下面13aは、複数の凸部17Aを散在的に分布させて凹凸の粗面を形成している。この場合、複数の凸部17Aの配置パターンは上記のものと同様であるが、各凸部17Aは、型抜きを考慮して四角錐台形状または四角錐形状に形成されている。
また、図3(c)に示す第3変形例のプレキャスト基礎板13の下面13aは、上記の複数の凸部17Aに代えて、複数の凹部17Bを散在的に分布させて凹凸の粗面を形成している(図3(a)参照)。そして、各凹部17Bは、型抜きを考慮して四角錐台形状または四角錐形状に形成されている。
また、図4(c)に示す第5変形例のプレキャスト基礎板13の下面13aは、上記の複数の凸部18Aに代えて、複数の凹部18Bを散在的に分布させて凹凸の粗面を形成している(図4(a)参照)。そして、各凹部18Bは、左右方向に細長い形状を有し、断面が半円形や台形や三角形(山形)に形成されている。
また、図5(c)に示す第7変形例のプレキャスト基礎板13の下面13aは、上記の複数の凸条部19Aに代えて、複数の凹条部19Bをストライプ状に分布させて凹凸の粗面を形成している( 図5(a)参照)。そして、各凹条部19Bは、断面半円形、台形或いは三角形(山形)を為し、左右方向に延在している。
なお、図示しないが、上記の複数の凸条部または複数の凹条部を、縦横井桁状に分布させて凹凸の粗面を形成するようにしてもよい。
なお、プレキャスト基礎板13の上面も、下面13aと同様な凹凸の粗面で形成してもよい。かかる場合には、プレキャスト基礎板13に上下(表裏)を区別する必要がなくなり、施工性を向上させることができる。
図6に示すように、支持地盤Gが土砂地盤の場合のL字擁壁1Aの施工方法は、地盤を掘削して支持地盤(基礎面)Gを床付けする床堀り工程(同図(a)参照)と、構築した支持地盤G上に基礎石材11の敷均し締固めを行う下地構築工程(同図(a)参照)と、基礎石材11上に下地モルタル12(練りモルタル)を敷設する下地モルタル敷均し工程(同図(b)参照)と、下地モルタル12の上にプレキャスト基礎板13を設置する基礎板設置工程(同図(c)参照)と、プレキャスト基礎板13の上に敷きモルタル14を敷設する敷きモルタル敷均し工程(同図(d)参照)と、敷きモルタル14の上にL字擁壁ブロック3を設置する擁壁ブロック設置工程(同図(e)参照)と、土砂を埋め戻す埋戻し工程(同図(e)参照)と、を備えている。
なお、下地モルタル敷均し工程は、請求項に言う「張付け材敷均し工程」に相当し、基礎板設置工程は、「プレキャスト板設置工程」に相当し、敷きモルタル敷均し工程および擁壁ブロック設置工程は、「構造物設置工程」に相当する。
下地構築工程では、基礎石材11である再生クラッシャーランを敷均し締固める。
下地モルタル敷均し工程では、下地モルタル12(練りモルタル)を基礎石材11上に敷き均す。その際、レベル出しを行いつつ表面を平坦に均す。
基礎板設置工程では、クレーン等でプレキャスト基礎板13を運び込み、水平を維持し且つ位置決めしながら、下地モルタル12上に設置する。設置後、プレキャスト基礎板13を叩いて下地モルタル12と十分に馴染ませる。
敷きモルタル敷均し工程では、プレキャスト基礎板13の上に敷きモルタル14を敷き均す。この場合も、レベル出しを行いつつ表面を平坦に仕上げる。
擁壁ブロック設置工程では、クレーン等でL字擁壁ブロック3を運び込み、水平を維持し且つ位置決めしながら、敷きモルタル14上に設置する。
埋戻し工程では、掘削した擁壁背面Bの切り土(盛り土)部分および道路R部分の土砂を埋め戻す。
以降、上記の土砂地盤の場合と同様に、基板面調整した岩盤上に下地モルタル12を敷設する下地モルタル敷均し工程(同図(a)参照)、下地モルタル12上にプレキャスト基礎板13を設置する基礎板設置工程(同図(b)参照)、プレキャスト基礎板13上に敷きモルタル14を敷設する敷きモルタル敷均し工程(同図(c)参照)、敷きモルタル14上にL字擁壁ブロック3を設置する擁壁設置工程(同図(d)参照)および土砂を埋め戻す埋戻し工程(同図(d)参照)を実施する。
このため、現場打ちコンクリートを用いない、すなわち養生の必要のない本実施形態では、幹線道路等に面し夜間工事を要するL字擁壁1Aであっても、朝までに所定の区間を確実に施工することができ、全体として短い工期で円滑に施工を行うことができる。特に、本実施形態と異なり、L字擁壁1Aの上側に道路Rがある場合では、夜間工事の時間内に埋め戻し(道路復旧)まで完了している必要があり、このような現場において、工期の短い本施工方法は特に有用である。
この場合のL字擁壁ブロック3は、その底壁部3bの下面3dが、第1実施形態のプレキャスト基礎板13における下面13aと同様の凹凸形状に形成されている(図2ないし図5参照)。すなわち、L字擁壁ブロック3の下面3dは、凹凸による粗面で形成されている。この場合も、支持地盤Gには土砂地盤と岩盤とがあり、支持力のある岩盤の場合には、上記の基礎石材11を省略し、岩盤の上面を基礎面調整する(基礎定着面の削り)。
各擁壁ブロック56は、いわゆる大型ブロック(中空)であり、下面に接合凹部56aを有し上面に接合凸部56bを有している。接合凹部56aは、接合凸部56bと相補的形状に形成され、また基礎ブロック55の接合突部55bとも相補的形状に形成されている。そして、複数段に亘る擁壁ブロック56は、中空内部に中込めコンクリートを充填しながら、一段ずつ積み上げられる。
天端コンクリート57は、擁壁構造体53の高さ調整用に打設される現場打ちコンクリートであり、上面57aを水平に且つ前面57bを擁壁ブロック56と面一に仕上げられている。特に、天端コンクリート57は、見付け方向(左右方向)において、擁壁構造体53の高さが変化する場合、最上位の擁壁ブロック56間の段差を解消するように打設される。
擁壁ブロック積上げ工程では、敷きモルタル14上に基礎ブロック55を設置した後、基礎ブロック55の上に複数の擁壁ブロック56を一段ずつ且つ中込めコンクリートを打設しながら積み上げる。そして最後に、天端コンクリート57を打設する。
特に、潮位の影響を受ける護岸として施工されるブロック積み擁壁51Aでは、干潮時に、所定の区間に亘って擁壁基礎52を確実に施工することができ、全体として短い工期で円滑に施工を進めることができる。また、干潮時に所定区間の施工を完了させることができるため、仮締め切等の仮設工事が不要となり、施工コストを削減することができる。
この場合の基礎ブロック55も、その下面55cが、第1実施形態のプレキャスト基礎板13における下面13aと同様の凹凸形状に形成されている(図2ないし図5参照)。すなわち、基礎ブロック55の下面55cは、凹凸による粗面で形成されている。
Claims (8)
- 擁壁を構成する土留め用のプレキャスト製構造物の基礎として用いられ、基礎下地上に打設される現場打ちコンクリートに代えて、前記基礎下地上に敷き均した下地モルタルの上に設置するためのプレキャスト製基礎板であって、
前記下地モルタルに接する下面が、凹凸による粗面で形成されていることを特徴とするプレキャスト製基礎板。 - 前記粗面は、複数の凹部または複数の凸部を散在的に分布させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト製基礎板。
- 前記粗面が、左右方向に延在する複数の凹条部または複数の凸条部をストライプ状に分布させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト製基礎板。
- 擁壁を構成する土留め用のプレキャスト製構造物の基礎であって、
基礎下地と、
前記基礎下地上に敷き均した下地モルタルと、
前記下地モルタルの上に設置した請求項1ないし3のいずれかに記載のプレキャスト製基礎板と、を備えたことを特徴とするプレキャスト製構造物の基礎。 - 前記基礎下地が、基盤面調整した岩盤および土砂地盤上に敷均し締固めした基礎石材のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のプレキャスト製構造物の基礎。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のプレキャスト製基礎板を用いて行う土留め用構造物の施工方法であって、
支持地盤上に基礎下地を構築する下地構築工程と、
前記基礎下地上に下地モルタルを敷き均す張付け材敷均し工程と、
前記下地モルタルの上に前記プレキャスト製基礎板を設置するプレキャスト板設置工程と、
前記プレキャスト製基礎板上に、上部張付け材を介して擁壁を構成するプレキャスト製構造物を設置する構造物設置工程と、を備えたことを特徴とする土留め用構造物の施工方法。 - 前記下地構築工程では、
前記支持地盤が岩盤である場合には、前記岩盤を基盤面調整して前記基礎下地を構築し、
前記支持地盤が土砂地盤である場合には、前記土砂地盤上において基礎石材を敷均し締固めて前記基礎下地を構築することを特徴とする請求項6に記載の土留め用構造物の施工方法。 - 前記下地モルタルが、厚さ10mmから50mmであることを特徴とする請求項6または7に記載の土留め用構造物の施工方法。
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