以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1および図2は、本発明の実施の形態にかかる浴室用排水トラップを備えた浴室ユニットを表す斜視模式図である。
なお、図1は、本実施形態の浴室ユニットを斜め上方から眺めた斜視模式図である。図2は、本実施形態の浴室ユニットを斜め下方から眺めた斜視模式図である。
図1に表した浴室ユニット10は、架台100と、洗い場床パン200と、浴槽300と、浴室用排水トラップ400と、を備える。
架台100は、洗い場用架台110と、浴槽用架台120と、を有する。洗い場用架台110は、洗い場床パン200を支持する。言い換えれば、洗い場床パン200は、洗い場用架台110に載置されている。浴槽用架台120は、浴槽300を支持する。言い換えれば、浴槽300は、浴槽用架台120に載置されている。
洗い場用架台110は、下部に設けられた支持脚111を有する。一方、浴槽用架台120は、下部に設けられた支持脚121を有する。図2に表したように、浴槽用架台120は、連結材113を介して例えばねじなどの締結部材(図示せず)により連結されている。架台100は、洗い場用架台110と浴槽用架台120とが連結された状態で、図示しない浴室等の設置面(例えば、建物の床)の上に載置されている。
洗い場床パン200は、洗い場排水口210を有し、使用者が例えば身体を洗浄可能な洗い場201を形成する。洗い場床パン200の上(表側)の水は、洗い場排水口210を通過し、浴室用排水トラップ400へ導かれる。そして、浴室用排水トラップ400へ導かれた水は、洗い場床パン200の下(裏側)に設けられた建築排水管610を通過して排出される。つまり、洗い場排水口210は、洗い場201の水を排出することができる。
なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
浴槽300は、浴槽排水口310を有する。浴槽300内の水は、浴槽排水口310を通過し、浴室用排水トラップ400へ導かれる。そして、浴室用排水トラップ400へ導かれた水は、洗い場床パン200の下(裏側)に設けられた建築排水管610を通過して排出される。つまり、浴槽排水口310は、浴槽300内の水を排出することができる。
図2に表したように、浴室用排水トラップ400は、架台100に取り付けられ固定されている。浴室用排水トラップ400は、洗い場排水口210と連通し、洗い場201から排出された水を受けることができる。また、浴室用排水トラップ400は、浴槽排水口310と連通し、浴槽300内から排出された水を受けることができる。そして、浴室用排水トラップ400は、洗い場201および浴槽300から導かれた水を建築排水管610へ排出することができる。浴室用排水トラップ400については、後に詳述する。
図1に表したように、洗い場床パン200と浴槽300との間には、バスエプロン530が設置されている。バスエプロン530は、浴槽300の側面を覆っている。つまり、バスエプロン530は、洗い場床パン200と浴槽300との間に形成される開口を塞ぐように取り付けられている。
浴室ユニット10の外周部には、接続部材510と、壁パネル520と、が設置されている。接続部材510は、互いに隣り合う壁パネル520同士を連接する。壁パネル520は、洗い場床パン200の縁に設けられた図示しない壁パネル載置面に設置されている。あるいは、壁パネル520は、浴槽300の縁に設けられた図示しない壁パネル載置面に設置されている。そして、複数の壁パネル520は、接続部材510により連接され立設されている。複数の壁パネル520のいずれかには、図示しないドア取付枠を介して図示しないドアが設けられている。なお、接続部材510および壁パネル520の設置数は、図1に表した接続部材510および壁パネル520の設置数に限定されるわけではない。
図3および図4は、本実施形態にかかる浴室用排水トラップを表す斜視模式図である。 また、図5は、本実施形態にかかる浴室用排水トラップを表す平面模式図である。
なお、図3は、洗い場床パンの側の斜め上方からみた浴室用排水トラップの斜視模式図である。図4は、浴槽の側の斜め上方からみた浴室用排水トラップの斜視模式図である。図5(a)は、上方からみた浴室用排水トラップの平面模式図である。図5(b)は、図5(a)に表した矢視A1の方向にみた浴室用排水トラップの平面模式図である。
本実施形態にかかる浴室用排水トラップ400は、浴槽側排水部410と、洗い場側排水部420と、排水管430と、を有する。浴槽側排水部410は、浴槽300の浴槽排水口310と連通し、浴槽300内から排出された水を受けることができる。洗い場側排水部420は、洗い場排水口210と連通し、洗い場201から排出された水を受けることができる。洗い場側排水部420は、封水筒421を有する。これにより、浴室用排水トラップ400の内部において、封水が形成される。そして、建築排水管610から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防止することができる。
浴槽300内から排出された水は、浴槽側排水部410を通過し、排水管430内を流れて洗い場側排水部420へ導かれる。洗い場側排水部420へ導かれた水は、封水筒421の下側あるいは封水筒421の周囲を通過し、排水管430内を流れて建築排水管610に流出する。つまり、排水管430とは、浴槽側排水部410から排出された水を洗い場側排水部420を通過させて建築排水管610に流出させるまでの管をいうものとする。水の流れについては、後に詳述する。
このとき、多量の水が建築排水管610に流出すると、建築排水管610においてサイホン現象が発生する場合がある。この場合には、サイホン現象により発生した負圧により、空気が洗い場201から洗い場側排水部420および封水筒421を通して浴室用排水トラップ400内に吸引される現象が起こる。これにより、浴室ユニット10内で例えば「ゴボゴボ」などという不快な異音が発生し、使用者に不快感を与える場合がある。
これに対して、本実施形態の排水管430は、浴槽側排水部410よりも下流側であって洗い場側排水部420よりも上流側において、吸気部431を有する。図5(b)に表したように、吸気部431には、吸気管620が接続されている。吸気管620の一端は、排水管430の吸気部431に接続され、吸気管620の他端621は、開口し大気に開放されている。
本実施形態にかかる浴室用排水トラップ400では、多量の水が建築排水管610に流出しサイホン現象による負圧が発生すると、吸気部431から排水管430内へ空気を吸気させることができる。吸気部431が洗い場側排水部420よりも上流側に設けられているため、吸気部431からの空気の吸気は、洗い場側排水部420よりも上流側において行われる。そのため、洗い場側排水部420を通過する水は、減圧された状態となる。そのため、洗い場側排水部420よりも上流側に吸気部431が設けられていない場合と比較すると、洗い場側排水部420から排水管430内には空気が吸引されにくい。つまり、洗い場側排水部420を通過する水には空気が混入されにくい。これにより、浴室ユニット10内で例えば「ゴボゴボ」などという不快な異音が発生することを抑制し、排水音を静音化することができる。
また、吸気部431は、浴槽側排水部410と、洗い場側排水部420と、の間に設けられている。つまり、吸気部431は、洗い場床パン200の下に設けられている。そのため、吸気部431が清掃時に人目に触れることはない。これにより、清掃性の向上を図ることができる。また、美観が損なわれることを抑え、意匠性を確保することができる。
本実施形態にかかる浴室用排水トラップ400の作用について、図面を参照しつつさらに説明する。
図6および図7は、図5(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
また、図8は、図6に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
また、図9は、図6に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
また、図10は、図6に表した切断面D−Dにおける断面模式図である。
なお、図6は、図5(a)に表した矢視A1の方向にみた浴室用排水トラップの断面模式図である。図7は、洗い場床パンの側の斜め上方からみた浴室用排水トラップの断面模式図である。
図6に表した矢印W1および図7に表した矢印W11のように、浴槽300内から排出された水は、浴槽側排水部410を通過し、排水管430内を流れる。そして、図6に表した矢印W2および図7に表した矢印W12のように、水が排水管430の吸気部431を通過する際には、水の流速は、増大する。すなわち、水の流速は、速くなる。
具体的には、図6および図7に表したように、本実施形態の排水管430は、負圧生成部433を有する。負圧生成部433は、増速部435を有する。図8に表したように、増速部435の上流側端部においては、水の流れの方向にみたときの排水管430の管路形状が円筒形状を呈する円筒部435aから偏平形状を呈する偏平部435bへ遷移する部位が設けられている。水の流れの方向(例えば図6に表した矢印W2の方向)にみたときに、円筒部435aの流路の断面積は、偏平部435bの流路の断面積よりも広い。言い換えれば、偏平部435bの流路の断面積は、円筒部435aの流路の断面積よりも狭い。
そのため、偏平部435bの内部を流れる水の流速は、円筒部435aの内部を流れる水の流速よりも速い。つまり、増速部435においては、排水管430を流れる水の流速が増大する。そうすると、排水管430内においては、排水管430内を流れる水流により負圧が発生する。これにより、図9に表した矢印A2のように、吸気部431から空気が吸気される。つまり、負圧生成部433は、排水管430内を流れる水流により排水管430内を負圧にして吸気部431から空気を吸気させる。
吸気部431からの空気の吸気は、洗い場側排水部420よりも上流側において行われる。そのため、多量の水が建築排水管610に流出しサイホン現象による負圧が発生しても、図6に表した矢印W3〜矢印W5および図7に表した矢印W13〜矢印W15のように、逆止弁423を通過して洗い場側排水部420を通過する水は、減圧された状態となっている。そのため、洗い場側排水部420よりも上流側に吸気部431が設けられていない場合と比較すると、洗い場側排水部420から排水管430内には空気が吸引されにくい。つまり、洗い場側排水部420を通過する水には空気が混入されにくい。これにより、浴室ユニット10内で例えば「ゴボゴボ」などという不快な異音が発生することを抑制し、排水音を静音化することができる。そして、図6に表した矢印W6および図7に表した矢印W16のように、洗い場側排水部420を通過した水は、減圧された状態で建築排水管610に流出する。
なお、図6に表した矢印A3のように、逆止弁423は、例えば上端部を中心として回動し、水が排水管430内を浴槽側排水部410から洗い場側排水部420へ向かって流れることを許可し、一方で、水が排水管430内を洗い場側排水部420から浴槽側排水部410へ向かって流れることを禁止(防止)する。
本実施形態によれば、排水管430内を流れる水流により発生した負圧を利用し、洗い場側排水部420よりも上流側において排水管430内に空気を自然に吸気するため、例えばポンプなどの設備を必要としない。そのため、浴室用排水トラップ400の構造の簡略化およびコストの低減を図り、排水音を静音化することができる。また、浴槽300から排出された水の流速を増大させることで排水管430内に負圧を発生させ、排水管430内に空気を自然に吸気するため、前述したように、例えばポンプなどの設備を必要としない。そのため、前述した効果と同様の効果が得られる。さらに、排水管430の形状を適宜変化させることで、すなわち水の流れの方向にみたときの排水管430の管路形状が円筒形状を呈する円筒部435aから偏平形状を呈する偏平部435bへ遷移する部位を設けることで、浴槽300から排出された水の流速を増大させることができる。そのため、より簡易的な構造で浴槽300から排出された水の流速を増大させ、コストの低減を図りつつ排水音を静音化することができる。
前述したように、偏平部435bの流路の断面積は、円筒部435aの流路の断面積よりも狭い。そのため、偏平部435bの内部を流れる水の流速は、円筒部435aの内部を流れる水の流速よりも速い一方で、水が偏平部435bを流れる際の圧力損失は、水が円筒部435aを流れる際の圧力損失よりも高い。そのため、水は、偏平部435bの流路よりも円筒部435aの流路を流れやすい。言い換えれば、水は、円筒部435aの流路よりも偏平部435bの流路を流れにくい。そのため、浴槽300から排出される水の排水量が低下するおそれがある。
これに対して、図8〜図10に表したように、本実施形態の負圧生成部433は、増速部435の両側において、すなわち円筒部435aおよび偏平部435bの両側において緩衝部437を有する。緩衝部437は、円筒部435aおよび偏平部435bの両側において、負圧生成部433の底部から上方へ延在した形状を有する。そのため、図8〜図10に表したように、緩衝部437の流路は、円筒部435aおよび偏平部435bの両側において、偏平部435bの下端部から円筒部435aの上端部にかけて上下方向に延在した形状を有する。
緩衝部437の流路の断面積は、偏平部435bの流路の断面積よりも広い。そのため、水が緩衝部437を流れる際の圧力損失は、水が偏平部435bを流れる際の圧力損失よりも低い。そのため、水は、偏平部435bの流路よりも緩衝部437の流路を流れやすい。また、浴槽300から排出された水は、まず、偏平部435bの流路の断面積よりも広い流路の断面積を有する円筒部435aの内部を通過する。これらによれば、浴槽300から排出された水の流速を増速部435により増大させつつ、浴槽300から排出される水の排水量が低下することを抑えることができる。言い換えれば、浴槽300の排水の性能を確保しつつ、浴槽300から排出された水の流速を増速部435により増大させることができる。
図6に表した二点鎖線のように、図6に表した浴室用排水トラップ400の内部には、封水面SWが形成されている。例えば、封水面SWは、吸気部431の上端部よりもやや上方に形成されている。但し、封水面SWの位置は、これだけに限定されるわけではない。浴室用排水トラップ400の内部に封水面SWが形成されることで、建築排水管610から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防止することができる。
次に、吸気部431に接続された吸気管620について、図面を参照しつつ説明する。 図11は、本実施形態の吸気管の他端の設置位置を例示する斜視模式図である。
また、図12は、本実施形態の吸気管の他端の一例を例示する断面模式図である。
なお、図11は、図1に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
図5(b)に関して前述したように、吸気部431には、開口した他端621を有する吸気管620が接続されている。吸気管620の他端621は、浴室ユニット10内の所定の部位に接続されている。所定の部位とは、例えば図11に表した如くである。
例えば、吸気管620の他端621は、バスエプロン530よりも裏側(浴槽300の側)の上部10aに固定されている。言い換えれば、吸気管620の他端621は、浴槽300のリム部301の裏側(下方側)に位置するバスエプロン530よりも裏側の部位(例えばバスエプロン530に隠された浴槽300の裏面)10aに固定されている。
図6に関して前述したように、正常時の封水面SWは、吸気部431の上端部よりもやや上方に形成されている。但し、例えば逆止弁423などに不具合が発生し、浴槽300から排出された水が逆止弁423を通過できない場合には、その水は、吸気部431を通過し吸気管620の内部を他端621へ向かって流れる。そして、吸気管620の内部の水位が浴槽300内の水位と同じになると、浴槽300からの排水が止まる。そのため、吸気管620の他端621が浴槽300内の水位よりも低い位置に固定され、例えば逆止弁423などに不具合が発生した場合には、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れる場合がある。
これに対して、吸気管620の他端621がバスエプロン530の裏側の上部10aに固定されている場合には、吸気管620の他端621の位置は、浴槽300の水位よりも高い可能性が比較的高い。この場合には、例えば逆止弁423などに不具合が発生した場合でも、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れることを抑制することができる。
図12に表したように、吸気管620の他端621に逆止弁625が設けられた場合には、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れることをより確実に防止することができる。例えば、逆止弁625は、軸支部625aを中心として矢印A4のように回動することができる。吸気管620の他端621の開口部の内周部には、パッキン627が設けられている。そのため、逆止弁625は、吸気管620の内側へ回動することができる一方で、吸気管620の外側へ回動することはできない。逆止弁625は、吸気管620の内側へ回動することで空気が吸気されることを許可し、一方で、吸気管620の内部を流れてきた水が吸気管620の他端621から溢れることを禁止(防止)する。
また、バスエプロン530を適宜加工することにより、吸気管620の他端621をバスエプロン530の裏側から洗い場床パン200の方へ臨ませることができる。これによれば、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れても、溢れた水は、洗い場床パン200の上に着水する。そして、洗い場床パン200の上に着水した水は、洗い場側排水部420を通過して排水管430内へ導かれる。そのため、浴室ユニット10の外側(例えば建築躯体の側)へ水が漏れることを防止することができる。
あるいは、例えば、吸気管620は、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤを通したガイドホースと兼用されている。この排水栓装置によれば、使用者は、図示しない操作部の手動ボタンを操作して排水栓の栓蓋を遠隔操作し、浴槽300の浴槽排水口310を開閉させることができる。ガイドホースは、図示しない操作部と吸気部431とを連通しており、操作部にかかる操作力を栓蓋に伝達するレリースワイヤを内蔵している。
図11に表したように、吸気管620の他端621は、バスエプロン530の裏側の上部に位置する遠隔操作式排水栓装置の操作部付近10bに固定されていることがより好ましい。前述したように、例えば逆止弁423などに不具合が発生した場合でも、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れることを抑制することができるためである。このときの吸気管620の他端621の設置位置は、吸気管620の他端621がバスエプロン530の裏側の上部10aに固定されているという範囲に含まれる。
あるいは、吸気管620の他端621は、ピラー(バスエプロン530の隠れ面)部10cや、洗い場排水口210のピット部10dや、排水管430の偏心エルボ部10eや、洗い場床パン200の土手部10fや、バスエプロン530の裏側の部位10gや、浴室カウンタに隠れた部位などに固定されていてもよい。これらの場合でも、吸気管620の他端621を浴室ユニット10内に臨ませることで、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れても、溢れた水が浴室ユニット10の外側へ漏れることを防止することができる。
図13は、本実施形態の吸気管の他端の他の設置位置を例示する斜視模式図である。
なお、図13は、図1に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
図13に表した浴室ユニット10では、浴槽300の周囲に保温パン320が設けられている。保温パン320は、浴槽300内の湯の温度が低下することを抑えることができる。図13に表したように、保温パン320は、例えば施工作業を行う作業者が配管類を配設あるいは接続する際に利用する設備配管開口部321を有する。図13に表した浴室ユニット10のその他の構造は、図12に表した浴室ユニットの構造と同様である。
図13に表した浴室ユニット10において、例えば、吸気管620の他端621は、保温パン320の内側の設備配管開口部321の近傍の部位10hに固定されている。この場合には、図13に表したように、吸気管620は、例えば保温パン320と洗い場床パン200との間の空間を通され、保温パン320の外側から設備配管開口部321を介して保温パン320の内側に挿入される。そして、吸気管620の他端621は、保温パン320の内側の設備配管開口部321の近傍に固定される。
これによれば、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れても、溢れた水は、保温パン320の内側に着水する。そして、保温パン320の内側に着水した水は、図示しない孔を通過し排水管430内へ導かれる。そのため、浴室ユニット10の外側へ水が漏れることを防止することができる。
あるいは、例えば、吸気管620の他端621は、保温パン320の側面部10iに固定されている。この場合には、保温パン320を適宜加工することにより、吸気管620の他端621を保温パン320の外側から保温パン320の内側へ臨ませることができる。これによれば、浴槽300から排出された水が吸気管620の他端621から溢れても、溢れた水は、保温パン320の内側に着水する。そのため、前述したように、浴室ユニット10の外側へ水が漏れることを防止することができる。
あるいは、吸気管620の他端621は、洗い場排水口210のピット部10jや、排水管430の偏心エルボ部10eなどに固定されていてもよい。これらは、図11に関して前述した洗い場排水口210のピット部10dおよび排水管430の偏心エルボ部10eとそれぞれ同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、排水管430は、浴槽側排水部410よりも下流側であって洗い場側排水部420よりも上流側において、吸気部431を有する。多量の水が建築排水管610に流出しサイホン現象による負圧が発生すると、吸気部431から排水管430内へ空気を吸気させることができる。吸気部431が洗い場側排水部420よりも上流側に設けられているため、吸気部431からの空気の吸気は、洗い場側排水部420よりも上流側において行われる。そのため、洗い場側排水部420を通過する水は、減圧された状態となる。そのため、洗い場側排水部420よりも上流側に吸気部431が設けられていない場合と比較すると、洗い場側排水部420から排水管430内には空気が吸引されにくい。つまり、洗い場側排水部420を通過する水には空気が混入されにくい。これにより、浴室ユニット10内で例えば「ゴボゴボ」などという不快な異音が発生することを抑制し、排水音を静音化することができる。また、吸気部431が清掃時に人目に触れることはない。これにより、清掃性の向上を図ることができる。また、美観が損なわれることを抑え、意匠性を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室用排水トラップ400や架台100や洗い場床パン200や浴槽300などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや吸気部431や吸気管620の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、円筒形状から偏平形状へ遷移させる増速部435に代えて、偏平形状の流路をさらに横長偏平形状の流路へ遷移させる増速部としても良い。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。