JP5800198B2 - 加硫用ゴム組成物及びその加硫物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性及び耐オゾン性を向上せしめたエピクロルヒドリン系ゴムをベースとする加硫用ゴム組成物及び同組成物を加硫してなる加硫ゴム材料に関する。
エピクロルヒドリン系ゴム材料はその耐熱性、耐油性、耐オゾン性等を活かして、自動車用途では燃料ホースやエアー系ホース、チューブ材料として幅広く使用されている。しかしながら、近年における排ガス規制対策や省エネルギー対策の実施、エンジンの高性能化およびコンパクト化等によるエンジンルーム内の温度上昇あるいは自動車部品のメンテナンスフリー化などに伴って、ゴム材料に対するさらなる耐熱性、および耐オゾン性の向上が望まれている。
非特許文献1には、ジチオカルバミン酸の各種金属塩がスチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)に添加したときの挙動について記載されており、この中ではジチオカルバミン酸のニッケル塩のみが合成ゴムの耐熱性、耐オゾン性を向上させ得る老化防止剤として作用することが述べられている。そこで、エピクロルヒドリン系ゴムにおいては、耐熱性、耐オゾン性を向上させ得る有効な老化防止剤として、特にジブチルジチオカルバミン酸ニッケルが広く用いられてきた。
なお、エピクロルヒドリン系ゴムにおいては、他の有効な老化防止剤として、ヒンダードアミン系光安定剤を用いる方法(特許文献1参照)、ジチオカルバミン酸のコバルト塩を用いる方法(特許文献2参照)、ジチオカルバミン酸のモリブデン塩を用いる方法(特許文献3参照)、金属石鹸を用いる方法(特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、これら先行例のエピクロルヒドリン系ゴム組成物においても、さらなる、耐熱性および耐オゾン性の向上が望まれている。
特開2005−2182号公報 特開2005−350634号公報 特開2006−96866号公報 特開2006−176763号公報
「日本ゴム協会誌」37巻、第5号(1964)、333〜340頁
本発明の目的は、上記実情に鑑み、エピクロルヒドリン系ゴムの耐熱性及び耐オゾン性を向上せしめる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、エピクロルヒドリン系ゴム組成物に、炭素数が2以下であるアルキル基を有するジチオカルバミン酸のニッケル塩、及びジチオカルバミン酸の銅塩を含有させることにより、該組成物を加硫してなるエピクロルヒドリン系ゴム材料の耐熱性及び耐オゾン性を向上させることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩0.1〜10重量部、及び(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩0.01〜0.5重量部を含有することを特徴とする加硫用ゴム組成物である。
Figure 0005800198
(R、R、R、Rは同一又は異なってよく、メチル基又はエチル基を表す。)
Figure 0005800198
(R、R、R、Rは同一又は異なってよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はR及びR、R及びRが1以上の炭素原子を介して互いに結合することにより環状構造を形成してもよい。)
本発明では(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩がジエチルジチオカルバミン酸ニッケルであることが好ましい。
本発明ではさらに、(d)アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を含有することが好ましい。
本発明の(a)エピクロルヒドリン系ゴム、(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩、及び(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩を含有する加硫用ゴム組成物を加硫してなる加硫ゴム材料は自動車用部品として用いられる。
本発明により得られた加硫用ゴム組成物を加硫してなる加硫ゴム材料は、加硫ゴムとしての耐熱性および耐オゾン性の両方において優れており、自動車用ホース等に極めて有用である。
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明の加硫用ゴム組成物には、(a)エピクロルヒドリン系ゴム、(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩、及び(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩を少なくとも含有する。
本発明の加硫用ゴム組成物に用いられる(a)エピクロルヒドリン系ゴムは、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等を挙げることができる。好ましくはエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であり、さらに好ましくはエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体である。これら単独重合体または共重合体の分子量は特に制限されないが、通常ムーニー粘度表示でML1+4(100℃)=30〜150程度である重合体であることが好ましい。
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体の場合、それら共重合割合は、エピクロルヒドリンは5mol〜95mol%であることが好ましく、10mol%〜75mol%であることがより好ましく、10〜65mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは5mol%〜95mol%であることが好ましく、25mol%〜90mol%であることがより好ましく、35mol%〜90mol%であることが特に好ましい。
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体の場合、それら共重合割合は、例えば、エピクロルヒドリンは4mol〜94mol%であることが好ましく、9mol%〜74mol%であることがより好ましく、9〜64mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは5mol%〜95mol%であることが好ましく、25mol%〜90mol%であることがより好ましく、35mol%〜90mol%であることが特に好ましい。アリルグリシジルエーテルは1mol%〜10mol%であることが好ましく、1mol%〜8mol%であることが好ましく、1mol%〜7mol%であることが特に好ましい。
本発明の加硫用ゴム組成物には(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩が用いられる。
Figure 0005800198
(R、R、R、Rは同一又は異なってよく、メチル基又はエチル基を表す。)
(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩としては、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、及びジエチルジチオカルバミン酸ニッケルが挙げられ、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルであることが好ましい。
これら(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩の配合量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましく、0.3〜3重量部であることが特に好ましい。この配合量がこの範囲未満であると耐オゾン性、および耐熱改良効果が少なく、また、多量に配合するのは経済的ではない。
本発明の加硫用ゴム組成物には(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩が用いられる。
Figure 0005800198
(R、R、R、Rは同一又は異なってよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はR及びR、R及びRが1以上の炭素原子を介して互いに結合することにより環状構造を形成してもよい。)
本発明の(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩としては、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸銅、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅等を例示することができ、炭素数1〜10のアルキル基を有するジアルキルジチオカルバミン酸銅であることが好ましい。
これら(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩の配合量は(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、0.02〜0.4重量部であることが好ましく、0.05〜0.3重量部であることがより好ましい。この配合量がこの範囲未満であると耐熱改良効果が少なく、また、多量に配合すると耐オゾン性が悪化する傾向がある。
本発明の加硫用ゴム組成物には、更にアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤、特殊ワックス系老化防止剤等の公知の老化防止剤を含有することができ、(d)アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を含有することが好ましい。
アミン系老化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエン・スルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4’−(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの高温反応生成品、ジフェニルアミンとアセトンと低温反応生成品、ジフェニルアミン、アニリン、アセトンの低温反応品、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応生成品、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p’−ジオクチル・ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンの混合品、置換ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンの混合品、アラルキル化ジフェニルアミンによるアルキルおよびアラルキル置換フェノールの混合品、ジフェニルアミン誘導体、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジアリル−p−フェニレンジアミンの混合品、フェニル,ヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニル,オクチル−p−フェニレンジアミンなどがあり、その他のアミン系として芳香族アミンと脂肪族ケトンの縮合品、ブチルアルデヒド−アニリン縮合品、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が例示される。
フェノール系老化防止剤としては、2,5−ジ−(t−アミル)−ヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどがあり、モノフェノール系として1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノール、ブチル・ヒドロキシアニソール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、アルキル化フェノール、アラルキル置換フェノール、フェノール誘導体、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルクレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5−ジメチル・ジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル・アクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、3,9−ビス〔2−{3(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ブチル酸3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンの3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステル、変性ポリアルキル亜リン酸塩化多価フェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−ジ及びトリ−チオビス−(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル・フェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’-ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート−ジエチルエステル、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)〕メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、ヒンダートフェノール、ヒンダートビスフェノール、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−2’−メトキシアニリド、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイル−4’−メトキシアニリド、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)−トリフェニルメタン、2−ヒドロキシナフタレン−3−カーボイルアニリド、1,1’−ビス(4,4’−N,N’−ジメチルアミノフェニル)−シクロヘキサン等が例示される。
ベンズイミダゾール系老化防止剤としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールとフェノール縮合物の混合品、2−メルカプトベンズイミダゾールの金属塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールの金属塩、4と5−メルカプトメチルベンズイミダゾール、4と5−メルカプトメチルベンズイミダゾールの金属塩等が例示される。
有機チオ酸系老化防止剤としては、ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジラウリル・チオジプロピオネート等が例示される。
亜リン酸系老化防止剤としては、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(混合モノ−及びジ−ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニル・モノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニル・モノトリデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソオクチル・フォスファイト、ジフェニル・ノニルフェニル・フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチル−ジ−トリデシルフォスファイト)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、4,4’−イソプロピデン−ジフェノールアルキル(C12〜C15)フォスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−フェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルフォスファイト)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジブチルハイドロゲンフォスファイト、ジステアリル・ペンタエリスリトール・ジフォスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールフォスファイト・ポリマー等が例示される。
チオウレア系老化防止剤としては、1,3−ビス(ジメチル・アミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素等が例示される。
特殊ワックス系老化防止剤としては、低分子量ポリエチレンワックス等が例示される。
本発明の加硫用ゴム組成物においては、老化防止剤の配合量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0〜10重量部であり、0〜5重量部であることが好ましく、0〜3重量部であることが特に好ましい。これら老化防止剤は2種以上の併用は任意である。
本発明の加硫用ゴム組成物には、更に公知の紫外線吸収剤を含有することができ、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
サリチル酸誘導体としては、フェニル・サリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート等が例示される。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ・ベンゾフェノン、2,2’,4,4−テトラヒドロキシ・ベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンのポリマー、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル酸,n−ヘキサデシルエステル、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸が例示される。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等が例示される。
その他の紫外線吸収剤としては、蓚酸アニリド誘導体、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル・アクリレート、1,3−ビス−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピルアクリレート、1,3−ビス−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピルメタクリレート、1,3−ビス−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピルメタクリレート、o−ベンゾイル安息香酸メチル、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−チオビス−(4−t−オクチルフェノラト)〕−n−ブチルアミンニッケルII、〔2,2’−チオビス−(4−t−オクチルフェノラト)〕−2−エチルヘキシルアミン・ニッケルII等が例示される。
本発明の加硫用ゴム組成物においては、紫外線吸収剤の配合量は(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部、さらに好ましくは0〜3重量部である。これら2種以上の併用は任意である。
老化防止剤、紫外線吸収剤を例示したが、本発明の効果を損なわない限りこれらに限定されるものではない。
本発明の加硫用ゴム組成物で用いられる加硫剤としては、(a)エピクロルヒドリン系ゴムを架橋できるものであれば特に限定されないが、キノキサリン系加硫剤、トリアジン系加硫剤、チオウレア系加硫剤、ビスフェノール系加硫剤、ポリアミン系加硫剤、チアジアゾール系加硫剤、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド系加硫剤、チウラムポリスルフィド系加硫剤等が使用されるが、好ましくはキノキサリン系加硫剤が挙げられる。これらの加硫剤は本発明の効果をそこなわない限り、2種以上を併用しても良い。
キノキサリン系加硫剤としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート等が例示される。
トリアジン系加硫剤としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン等が例示され、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンであることが好ましい。
チオウレア系加硫剤としては、2−メルカプトイミダゾリン(エチレンチオウレア)、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が例示される。
ビスフェノール系加硫剤としては、ビスフェノールAF、ビスフェノールS等が例示される。
ポリアミン系加硫剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p-フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等が例示される。
チアジアゾール系加硫剤としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート等が例示される。
有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が例示される。
モルホリンポリスルフィド系加硫剤としては、モルホリンジスルフィドが例示される。
チウラムポリスルフィド系加硫剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等が例示される。
実用的に好ましい加硫剤として、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−メルカプトイミダゾリン(エチレンチオウレア)、ビスフェノールAF、ビスフェノールSが挙げられ、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートが特に好ましい。
加硫剤の含有量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることがより好ましい。これらの範囲であれば、十分に架橋し、且つ加硫物が剛直になりすぎることなく、エピクロルヒドリン系ゴム加硫物として通常期待される物性が得られるため好ましい。
また、本発明においては、通常これらの加硫剤と共に使用される公知の加硫促進剤、加硫遅延剤等を用いることができる。
加硫促進剤としては、例えば、モルホリンスルフィド類、アミン類、アミンの弱酸塩類、塩基性シリカ、四級アンモニウム塩類、四級ホスホニウム塩類、脂肪酸のアルカリ金属塩、チウラムスフィド類、多官能ビニル化合物、メルカプトベンゾチアゾール類、スルフェンアミド類、ジメチオカーバメート類、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等を挙げることができる。キノキサリン系加硫剤を本発明の組成物に適用した場合の特に好ましい促進剤として1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(以下DBUと略)塩、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5(以下DBNと略)塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、塩基性シリカが例示される。
DBU塩としては、DBU−炭酸塩、DBU−ステアリン酸塩、DBU−2−エチルヘキシル酸塩、DBU−安息香酸塩、DBU−サリチル酸塩、DBU−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、DBU−フェノール樹脂塩、DBU−2−メルカプトベンゾチアゾール塩、DBU−2−メルカプトベンズイミダゾール塩等が挙げられる。また、前記DBN塩としては、DBN−炭酸塩、DBN−ステアリン酸塩、DBN−2−エチルヘキシル酸塩、DBN−安息香酸塩、DBN−サリチル酸塩、DBN−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、DBN−フェノール樹脂塩、DBN−2−メルカプトベンゾチアゾール塩、DBN−2−メルカプトベンズイミダゾール塩等が挙げられる。これらDBU塩及び/又はDBN塩を加硫促進剤として用いた場合の含有量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜3重量部であることがより好ましい。
脂肪酸のアルカリ金属塩とは、高級脂肪酸、樹脂酸、ナフテン酸などのアルカリ金属塩を挙げることができ、より好ましくは炭素数6以上の高級脂肪酸のアルカリ金属塩である。更に具体的には、半硬化牛脂脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、セバシン酸、ひまし油等のソーダ塩、カリウム塩が挙げられる。好ましい塩として、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ塩、ステアリンソーダ塩、半硬化牛脂脂肪酸カリウム塩、ステアリンカリウム塩が挙げられ、さらに好ましくはステアリンソーダ塩及び/又はステアリンカリウム塩が挙げられる。特に、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ塩、ステアリンソーダ塩等のソーダ塩を使用する場合は保存安定性が良好であり好ましい。これら脂肪酸のアルカリ金属塩を促進剤として用いた場合、その含有量は(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、0.2〜10重量部であるが好ましく、0.5〜7重量部であることがより好ましい。
塩基性シリカとはpHが9〜13のナトリウムを含有するシリカであり、塩基性シリカを促進剤として用いた場合の配合量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して2〜30重量部、例えば5〜20重量部である。
加硫促進剤において、DBU塩、DBN塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、塩基性シリカ以外の加硫促進剤の含有量については、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましい。
また、加硫遅延剤としてはN−シクロヘキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、ステアリン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、酸性シリカ等を挙げることができ、加硫遅延剤の含有量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。
本発明の未加硫エピクロルヒドリン系ゴム組成物における受酸剤としては金属化合物及び/又は無機マイクロポーラス・クリスタルが用いられる。
受酸剤となる金属化合物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表第IVA族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等が挙げられる。
受酸剤となる金属化合物の具体例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛等を挙げることができる。
特に好ましい受酸剤としてはマグネシア、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰、炭酸ナトリウムが挙げられる。
無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミノホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、合成ハイドロタルサイト、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい受酸剤としては、合成ハイドロタルサイトが挙げられる。
ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM−5などの各種ゼオライト及びこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
合成ハイドロタルサイトは下記一般式(III)で表される。
Figure 0005800198
[式中、xとy はそれぞれx+y=1〜10の関係を有する0〜10の実数、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数をそれぞれ示す。]
一般式(III)で表されるハイドロタルサイト類の例として、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)14CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO、MgZnAl(OH)12CO・3.5HO、MgZnAl(OH)12CO等を挙げることができる。
受酸剤の含有量は、(a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.2〜50重量部であることが好ましく、0.5〜50重量部であることがより好ましく、1〜20重量部であることが特に好ましい。これらの範囲であれば、十分に架橋し、且つ加硫物が剛直になりすぎることなく、エピクロルヒドリン系ゴム加硫物として通常期待される物性が得られるため好ましい。
本発明の加硫用ゴム組成物には、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の配合剤、例えば、滑剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、発泡助剤、導電剤、帯電防止剤、光安定剤等を任意に配合できる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、ゴム、樹脂等のブレンドを行うことも可能である。
本発明による加硫用ゴム組成物を製造するには、従来ポリマー加工の分野において用いられている任意の混合手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。本発明の加硫ゴム材料は、本発明の加硫用ゴム組成物を通常100〜200℃に加熱することで得られる。加硫時間は温度により異なるが、通常0.5〜300分の間である。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線或いはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
以下において代表的な例として、実施例として挙げるが、本発明はこれに限定されるものでない。表1内の配合量の単位は重量部とする。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
表1中のA練り配合剤を記載された配合割合で、120℃に温度設定した容量1Lニーダーを用いて混練し、次いで表1中のB練り配合剤を記載された配合割合で、表面温度70℃に設定した7インチオープンロールで混練することにより未加硫ゴムシートを作製した。得られた未加硫ゴムシートを160℃で30分プレス加硫し、2mm厚の加硫物を得た。得られた加硫物を用い、引張試験(常態物性及び耐熱性試験後物性)、硬度試験の評価を行った。また、耐オゾン性試験については、3条件(初期の耐オゾン性、熱老化後の耐オゾン性、燃料油浸漬後さらに熱老化した後の耐オゾン性)で評価を行った。各評価試験はそれぞれJIS K 6251、JIS K 6253、JIS K 6257、JIS K 6259に記載の方法に準じて行った。なお、オゾン試験の条件はオゾン濃度80pphm、温度40℃、試料伸張20%の静的試験である。
各試験方法より得られた実施例および比較例の試験結果を表2に示す。各表中、M100はJIS K6251の引張試験に定める100%伸び時の引張応力、TBはJIS K6251の引張試験に定める引張強さ、EBはJIS K6251の引張試験に定める破断時伸び、HSはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さを意味し、またオゾン試験における記号はJIS K 6259の亀裂の下記状態を意味する。
N-C:亀裂なし
A-1:肉眼では見えないが10倍の拡大鏡で確認できる亀裂が少数ある
B-1:肉眼では見えないが10倍の拡大鏡で確認できる亀裂が多数ある
C-3:亀裂が深くて比較的大きいもの(1mm未満)が無数にある
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
*1 ダイソー(株)社製「エピクロマーCG109」
*2 日本シリカ工業(株)社製「ニップシールVN−3」
*3 ダイソー(株)社製「P−152」
Figure 0005800198
Figure 0005800198
本発明のジエチルジチオカルバミン酸ニッケル((b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩)、およびジメチルジチオカルバミン酸銅((c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩)を含有させた加硫用ゴム組成物を加硫してなる実施例1〜3は、耐熱性試験後も高いTB値を有しており、優れた耐熱性を示している。また、実施例1〜3は3条件いずれの耐オゾン性試験においても亀裂は全く発生しておらず、耐熱性と耐オゾン性の両方において優れていることが表2より示された。
実施例1〜3の加硫用ゴム組成物に対して、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル((b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩)を欠く加硫用ゴム組成物を加硫してなる比較例1は、実施例1〜3と比較して、耐熱性が劣る結果となった。耐オゾン性試験においては、初期の耐オゾン性以外の過酷な条件で行われた熱老化後の耐オゾン性、燃料油浸漬後さらに熱老化した後の耐オゾン性では深くて比較的大きい亀裂が無数に発生していることが表2より示され、実施例1〜3と比較して、耐オゾン性が劣る結果となった。
実施例1〜3の加硫用ゴム組成物に対して、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル((b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩)の量が本発明の範囲とは異なる加硫用ゴム組成物を加硫してなる比較例2は、実施例1〜3と比較して、耐熱性が劣る結果となった。耐オゾン性試験においては、初期の耐オゾン性以外の過酷な条件で行われた熱老化後の耐オゾン性、燃料油浸漬後さらに熱老化した後の耐オゾン性では深くて比較的大きい亀裂が無数に発生していることが表2より示され、実施例1〜3と比較して、耐オゾン性が劣る結果となった。
実施例2の加硫用ゴム組成物に対して、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル((b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩)の代わりに、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルを含有させた加硫用ゴム組成物を加硫してなる比較例3は、実施例1〜3と同様の優れた耐熱性を有しているものの、耐オゾン性試験においては、初期の耐オゾン性以外の過酷な条件で行われた熱老化後の耐オゾン性、燃料油浸漬後さらに熱老化した後の耐オゾン性では深くて比較的大きい亀裂が無数に発生していることが表2より示され、実施例1〜3と比較して、耐オゾン性が劣る結果となった。
また、実施例1〜3の加硫用ゴム組成物に対して、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル((b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩)、およびジメチルジチオカルバミン酸銅((c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩)を欠く加硫用ゴム組成物を加硫してなる比較例4は、実施例1〜3と比較して、耐熱性が劣る結果となった。また、耐オゾン性試験においては、初期の耐オゾン性以外の過酷な条件で行われた熱老化後の耐オゾン性、燃料油浸漬後さらに熱老化した後の耐オゾン性では、実施例1〜3と比較して、耐オゾン性が劣る結果となった。
本発明により、エピクロルヒドリン系ゴムをベースとした耐熱性、耐オゾン性の改良された加硫用ゴム組成物およびその加硫ゴム材料を提供することができる。したがって、同組成物から、自動車用などの各種燃料系積層ホース、エアー系積層ホース、チューブ、ベルト、ダイヤフラム、シール類等のゴム製品や、一般産業用機器・装置等のゴム製品を得ることができる。なかでも本発明によるゴム加硫物は、その優れた耐熱性、耐オゾン性を活かして、特に自動車用ゴム部品へ好適に応用することができる。

Claims (5)

  1. (a)エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、(b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩0.1〜10重量部、及び(c)一般式(II)で表されるジチオカルバミン酸の銅塩0.01〜0.5重量部を含有することを特徴とする加硫用ゴム組成物。
    Figure 0005800198
    (R、R、R、Rは同一又は異なってよく、メチル基又はエチル基を表す。)
    Figure 0005800198
    (R、R、R、Rは同一又は異なってよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はR及びR、R及びRが1以上の炭素原子を介して互いに結合することにより環状構造を形成してもよい。)
  2. (b)一般式(I)で表されるジチオカルバミン酸のニッケル塩が、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルである請求項1に記載の加硫用ゴム組成物。
  3. さらに、(d)アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、及び亜リン酸系老化防止剤から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加硫用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の加硫用ゴム組成物を加硫してなる加硫ゴム材料。
  5. 請求項4に記載の加硫ゴム材料からなる自動車用ゴム部品。
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