JP5799177B2 - 光後硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、アウトガスの発生を抑制することができ、透明性及び信頼性に優れる光後硬化性樹脂組成物に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示素子や有機薄膜太陽電池素子等の有機薄膜素子を用いた有機光デバイスの研究が進められている。有機薄膜素子は真空蒸着や溶液塗布等により簡便に作製できるため、生産性にも優れる。
有機EL表示素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された薄膜構造体を有する。この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行う。バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、かつ、直流低電圧駆動が可能であるという利点を有する。
ところが、このような有機EL表示素子は、有機発光材料層や電極が外気に曝されるとその発光特性が急激に劣化し寿命が短くなるという問題があった。従って、有機EL表示素子の安定性及び耐久性を高めることを目的として、有機EL表示素子においては、有機発光材料層や電極を大気中の水分や酸素から遮断する封止技術が不可欠となっている。
特許文献1には、上面発光型有機EL表示素子等において、有機EL表示素子基板の間に光硬化性接着剤を満たし、光を照射して封止する方法が開示されている。しかしながら、このように光硬化性接着剤を用いた場合には、光照射時にアウトガスが発生して素子内に充満し、素子の劣化を促進することがあるという問題があった。
本発明は、アウトガスの発生を抑制することができ、透明性及び信頼性に優れる光後硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、カチオン硬化性樹脂、光カチオン重合開始剤、及び、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物を含有し、前記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量が、カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部である光後硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、有機EL表示素子等の封止に光硬化性接着剤を用いた場合にアウトガスが発生する原因が、特に光後硬化性接着剤に通常配合されているクラウンエーテル等のエーテル結合を有する化合物からなる硬化遅延剤にあると考えた。即ち、該硬化遅延剤が光照射時に酸等により分解することにより、ジオキサン等がアウトガスとして発生していると考えた。
そこで本発明者らは、このような硬化遅延剤に代えて、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物を用いることにより、アミノ基が硬化遅延効果を発揮しつつ、カチオン重合性官能基により硬化物に取り込まれることでアウトガスの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
そこで本発明者らは、このような硬化遅延剤に代えて、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物を用いることにより、アミノ基が硬化遅延効果を発揮しつつ、カチオン重合性官能基により硬化物に取り込まれることでアウトガスの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物を含有する。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、アミノ基が硬化遅延効果を発揮しつつ、カチオン重合性官能基により硬化物に取り込まれることでアウトガスの発生を抑制することができる。
なお、上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、カチオン重合性官能基を有するが、アミノ基を有するためカチオン重合性が極めて低い。
なお、上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、カチオン重合性官能基を有するが、アミノ基を有するためカチオン重合性が極めて低い。
上記アミノ基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基が挙げられる。上記アミノ基として第二級アミノ基又は第三級アミノ基を有する場合、少なくとも1つのアミノ基の窒素原子がカチオン重合性官能基と直接又はアルキレン基を介して結合していることが好ましい。
上記アミノ基は、適度な効果遅延効果を発揮する観点から、第三級アミノ基であることが好ましい。
上記アミノ基は、適度な効果遅延効果を発揮する観点から、第三級アミノ基であることが好ましい。
上記カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等が挙げられる。なかでも、硬化物に取り込まれやすくする観点から、エポキシ基が好ましい。
また、上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、硬化物に取り込まれやすくする観点から、1分子中に上記カチオン重合性官能基を2個以上有することが好ましい。
また、上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、硬化物に取り込まれやすくする観点から、1分子中に上記カチオン重合性官能基を2個以上有することが好ましい。
上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、硬化遅延効果と硬化物に取り込まれアウトガスを抑制する効果との両立性に特に優れるため、下記式(1)〜(7)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(1)中、R1は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(2)中、R2は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(3)中、R3は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R3は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(4)中、R4は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R4は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R5は、メチル基、エチル基、エチレン基、プロピル基のいずれかである。
式(5)中、R6は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R6は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R7は、メチル基、エチル基、エチレン基、プロピル基のいずれかであり、各R7は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(6)中、R8は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R8は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(7)中、R9は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。各R9は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(1)中、R1は、メチレン基であることが好ましく、上記式(2)中、R2は、メチレン基であることが好ましく、上記式(3)中、R3は、メチレン基であることが好ましく、上記式(4)中、R4は、メチレン基であることが好ましく、R5は、プロピル基であることが好ましく、上記式(5)中、R6は、メチレン基であることが好ましく、R7は、プロピル基であることが好ましく、上記式(6)中、R8は、メチレン基であることが好ましく、上記式(7)中、R9は、メチレン基であることが好ましい。
上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の重量平均分子量の好ましい下限は200、好ましい上限は1000である。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の重量平均分子量が200未満であると、硬化物に取り込まれずに残った上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物がアウトガス発生の原因となることがある。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の重量平均分子量が1000を超えると、得られる光後硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、塗工性等が悪化することがある。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の重量平均分子量のより好ましい下限は300、より好ましい上限は800である。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物のうち市販されているものとしては、例えば、TEPIC(日産化学社製)、jER604、jER630(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量は、カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が20重量部である。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量が0.01重量部未満であると、硬化遅延効果が充分に発揮されないことがある。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量が20重量部を超えると、得られる光後硬化性樹脂組成物が硬化性に劣るものとなることがある。上記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は15重量部、更に好ましい下限は0.1重量部、更に好ましい上限は10重量部である。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、カチオン硬化性樹脂を含有する。
上記カチオン硬化性樹脂としては、分子内に少なくとも1個のカチオン重合性官能基を有し、かつ、カチオン重合性に富む化合物であれば特に限定されない。
上記カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等が挙げられる。なかでも、上記カチオン硬化性樹脂は、硬化後に高い接着性と耐久性とを発現することから、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
上記カチオン硬化性樹脂としては、分子内に少なくとも1個のカチオン重合性官能基を有し、かつ、カチオン重合性に富む化合物であれば特に限定されない。
上記カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等が挙げられる。なかでも、上記カチオン硬化性樹脂は、硬化後に高い接着性と耐久性とを発現することから、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等の芳香族環を有するエポキシ樹脂や、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の脂肪族環を有するエポキシ樹脂や、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、アウトガス発生を抑制する観点から、脂環式エポキシ樹脂を含有することが好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。なかでも、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましい。これらの脂環式エポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、光カチオン重合開始剤を含有する。
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生型であってもよいし、非イオン性光酸発生型であってもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生型であってもよいし、非イオン性光酸発生型であってもよい。
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、カチオン部分が芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、又は、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Feカチオンであり、アニオン部分がBF4−、PF6−、SbF6−、又は、(BX4)−(但し、Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す)で構成されるオニウム塩等が挙げられる。
上記芳香族スルホニウム塩としては、例えば、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記芳香族アンモニウム塩としては、例えば、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe塩としては、例えば、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスホナート等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、DTS−200(みどり化学社製)、UVI6990、UVI6974(いずれもユニオンカーバイド社製)、SP−150、SP−170(いずれもADEKA社製)、FC−508、FC−512(いずれも3M社製)、イルガキュア261(BASF Japan社製)、PI2074(ローディア社製)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤の含有量は、上記カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光カチオン重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、カチオン重合が充分に進行しなかったり、硬化反応が遅くなりすぎたりすることがある。上記光カチオン重合開始剤の含有量が10重量部を超えると、得られる光後硬化性樹脂組成物の硬化反応が速くなりすぎて、作業性が低下したり、得られる光後硬化性樹脂組成物の硬化物が不均一となったりすることがある。上記光カチオン重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、増感剤を含有してもよい。上記増感剤は、上記カチオン重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の光後硬化性樹脂組成物の硬化反応をより促進させる役割を有する。
上記増感剤としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物や、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
上記増感剤の含有量は、上記カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限は0.05重量部、好ましい上限は3重量部である。上記増感剤の含有量が0.05重量部未満であると、増感効果が充分に得られないことがある。上記増感剤の含有量が3重量部を超えると、吸収が大きくなりすぎて深部まで光が伝わらないことがある。上記増感剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は1重量部である。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、本発明の光後硬化性樹脂組成物と基板等との接着性を向上させる役割を有する。
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記シランカップリング剤の含有量は、上記カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部未満であると、得られる光後硬化性樹脂組成物の接着性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。上記シランカップリング剤の含有量が10重量部を超えると、余剰のシランカップリング剤がブリードアウトすることがある。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、更に、本発明の目的を阻害しない範囲において、熱硬化剤を含有してもよい。上記熱硬化剤を含有することで、本発明の光後硬化性樹脂組成物に熱硬化性を付与することができる。
上記熱硬化剤は特に限定されず、例えば、ヒドラジド化合物、イミダゾール誘導体、酸無水物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、変性脂肪族ポリアミン、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。
上記ヒドラジド化合物としては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン)等が挙げられる。
上記イミダゾール誘導体としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−(2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル)尿素、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。
これらの熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記ヒドラジド化合物としては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン)等が挙げられる。
上記イミダゾール誘導体としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−(2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル)尿素、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。
これらの熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤の含有量は、上記カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が30重量部である。上記熱硬化剤の含有量が0.5重量部未満であると、得られる光後硬化性樹脂組成物に充分な熱硬化性を付与できないことがある。上記熱硬化剤の含有量が30重量部を超えると、得られる光後硬化性樹脂組成物の保存安定性が不充分となったり、得られる光後硬化性樹脂組成物の硬化物の耐湿性が悪くなったりすることがある。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は15重量部である。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、表面改質剤を含有してもよい。上記表面改質剤を含有することにより、本発明の光後硬化性樹脂組成物に塗膜の平坦性を付与することができる。
上記表面改質剤としては、例えば、界面活性剤やレベリング剤等が挙げられる。
上記表面改質剤としては、例えば、界面活性剤やレベリング剤等が挙げられる。
上記界面活性剤や上記レベリング剤としては、例えば、シリコン系、アクリル系、フッ素系等のものが挙げられる。
上記界面活性剤や上記レベリング剤のうち市販されているものとしては、例えば、BYK−345(ビックケミー・ジャパン社製)、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS−611(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。
上記界面活性剤や上記レベリング剤のうち市販されているものとしては、例えば、BYK−345(ビックケミー・ジャパン社製)、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS−611(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。
本発明の光後硬化性樹脂組成物は、硬化物の透明性を阻害しない範囲で、素子電極の耐久性を向上させるために、光後硬化性樹脂組成物中に発生した酸と反応する化合物又はイオン交換樹脂を含有してもよい。
上記発生した酸と反応する化合物としては、酸と中和する物質、例えば、アルカリ金属の炭酸塩若しくは炭酸水素塩、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩若しくは炭酸水素塩等が挙げられる。具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が用いられる。
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換型、陰イオン交換型、両イオン交換型のいずれも使用することができるが、特に塩化物イオンを吸着することのできる陽イオン交換型又は両イオン交換型が好適である。
また、本発明の光後硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の光後硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、カチオン硬化性樹脂と、光カチオン重合開始剤と、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
本発明によれば、アウトガスの発生を抑制することができ、透明性及び信頼性に優れる光後硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
カチオン硬化性樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON EXA−830LVP」)50重量部、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER YL8034」)25重量部、及び、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER YL6753」)25重量部と、光カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(みどり化学社製、「DTS−200」)1.0重量部と、第三級アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物としてトリグリシジルイソシアヌラート(日産化学社製、「TEPIC」)5重量部と、増感剤として2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、「DETX−S」)0.01重量部と、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−403」)1重量部と、フッ素系レベリング剤(AGCセイミケミカル社製、「サーフロンS−611」)1重量部とを混合し、80℃に加熱した後、ホモディスパー型撹拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合して、光後硬化性樹脂組成物を作製した。
カチオン硬化性樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON EXA−830LVP」)50重量部、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER YL8034」)25重量部、及び、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER YL6753」)25重量部と、光カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(みどり化学社製、「DTS−200」)1.0重量部と、第三級アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物としてトリグリシジルイソシアヌラート(日産化学社製、「TEPIC」)5重量部と、増感剤として2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、「DETX−S」)0.01重量部と、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−403」)1重量部と、フッ素系レベリング剤(AGCセイミケミカル社製、「サーフロンS−611」)1重量部とを混合し、80℃に加熱した後、ホモディスパー型撹拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合して、光後硬化性樹脂組成物を作製した。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
表1に記載された各材料を、表1に記載された配合比に従い、実施例1と同様にして撹拌混合して、光後硬化性樹脂組成物を作製した。
表1に記載された各材料を、表1に記載された配合比に従い、実施例1と同様にして撹拌混合して、光後硬化性樹脂組成物を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)粘度
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物について、E型粘度計(東機産業社製、「VISCOMETER TV−22」)を用いて、25℃、100rpmの条件における粘度を測定した。
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物について、E型粘度計(東機産業社製、「VISCOMETER TV−22」)を用いて、25℃、100rpmの条件における粘度を測定した。
(2)硬化遅延性
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物の試験片に紫外線照射装置(オーク社製、「JL−4300−3S」)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射した。10分後硬化性を確認し、更にその後100℃のオーブンで15分加熱を行い、硬化性を確認した。その結果、UV照射10分後未硬化、かつ、100℃加熱後硬化した場合を「○」、UV照射10分後増粘しており、かつ、100℃加熱後硬化した場合を「△」、UV照射10分以内に硬化した場合、又は、100℃加熱後も未硬化だった場合を「×」として硬化遅延性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物の試験片に紫外線照射装置(オーク社製、「JL−4300−3S」)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射した。10分後硬化性を確認し、更にその後100℃のオーブンで15分加熱を行い、硬化性を確認した。その結果、UV照射10分後未硬化、かつ、100℃加熱後硬化した場合を「○」、UV照射10分後増粘しており、かつ、100℃加熱後硬化した場合を「△」、UV照射10分以内に硬化した場合、又は、100℃加熱後も未硬化だった場合を「×」として硬化遅延性を評価した。
(3)硬化物の透明性
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物をそれぞれ75mm×25mm×1mmのガラス板2枚の間に10μmの厚みに形成し、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cm2となるように照射することにより硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−2900」)を用いて全光線透過率を測定した。その結果、透過率が95以上であった場合を「○」、90以上95未満であった場合を「△」、90未満であった場合を「×」として硬化物の透明性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物をそれぞれ75mm×25mm×1mmのガラス板2枚の間に10μmの厚みに形成し、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cm2となるように照射することにより硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−2900」)を用いて全光線透過率を測定した。その結果、透過率が95以上であった場合を「○」、90以上95未満であった場合を「△」、90未満であった場合を「×」として硬化物の透明性を評価した。
(4)アウトガス防止性
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物を、バイアル瓶中に300mg計量して封入した後、紫外線照射装置(オーク社製、「JL−4300−3S」)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射し、その後100℃で15分間加熱を行うことで樹脂を硬化させた。更にこのバイアル瓶を85℃の恒温オーブンで100時間加熱し、バイアル瓶中の気化成分をガスクロマトグラフ質量分析計(日本電子社製、「JMS−k9」)を用いて測定した。
気化成分量が10ppm未満であった場合を「◎」、10ppm以上50ppm未満であった場合を「〇」、50ppm以上100ppm未満であった場合を「△」、100ppm以上であった場合を「×」としてアウトガス防止性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物を、バイアル瓶中に300mg計量して封入した後、紫外線照射装置(オーク社製、「JL−4300−3S」)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射し、その後100℃で15分間加熱を行うことで樹脂を硬化させた。更にこのバイアル瓶を85℃の恒温オーブンで100時間加熱し、バイアル瓶中の気化成分をガスクロマトグラフ質量分析計(日本電子社製、「JMS−k9」)を用いて測定した。
気化成分量が10ppm未満であった場合を「◎」、10ppm以上50ppm未満であった場合を「〇」、50ppm以上100ppm未満であった場合を「△」、100ppm以上であった場合を「×」としてアウトガス防止性を評価した。
(5)有機EL表示素子の信頼性
(有機発光材料層を有する積層体が配置された基板の作製)
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alq3の入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの有機発光材料層を成膜した。その後、正孔輸送層及び有機発光材料層が形成された基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機発光材料層を有する積層体が配置された基板を取り出した。
(有機発光材料層を有する積層体が配置された基板の作製)
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alq3の入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの有機発光材料層を成膜した。その後、正孔輸送層及び有機発光材料層が形成された基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機発光材料層を有する積層体が配置された基板を取り出した。
(無機材料膜Aによる被覆)
得られた積層体が配置された基板の、該積層体全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiH4ガス及び窒素ガスを用い、各々の流量を10sccm及び200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約1μmであった。
得られた積層体が配置された基板の、該積層体全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiH4ガス及び窒素ガスを用い、各々の流量を10sccm及び200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約1μmであった。
(樹脂保護膜の形成)
真空装置内に、無機材料膜Aで被覆された積層体が配置された基板を設置し、真空装置の中に設置された加熱ボートに実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物を0.5g入れ、10Paに減圧して、積層体を含む11mm×11mmの四角形の部分に、光後硬化性樹脂組成物を200℃にて加熱し、厚さが0.5μmになるように真空蒸着を行った。その後、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cm2となるように照射して、光後硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
真空装置内に、無機材料膜Aで被覆された積層体が配置された基板を設置し、真空装置の中に設置された加熱ボートに実施例及び比較例で得られた各光後硬化性樹脂組成物を0.5g入れ、10Paに減圧して、積層体を含む11mm×11mmの四角形の部分に、光後硬化性樹脂組成物を200℃にて加熱し、厚さが0.5μmになるように真空蒸着を行った。その後、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cm2となるように照射して、光後硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
(無機材料膜Bによる被覆)
樹脂保護膜を形成した後、該樹脂保護膜の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して有機EL表示素子を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiH4ガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiH4ガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
樹脂保護膜を形成した後、該樹脂保護膜の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して有機EL表示素子を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiH4ガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiH4ガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
(有機EL表示素子の発光状態の観察)
得られた有機EL表示素子を、温度85℃、湿度85%の環境下で100時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機EL表示素子の発光状態(ダークスポット及び画素周辺消光の有無)を目視で観察した。ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、僅かでもダークスポットや周辺消光が認められた場合を「×」として有機EL表示素子の信頼性を評価した。
得られた有機EL表示素子を、温度85℃、湿度85%の環境下で100時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機EL表示素子の発光状態(ダークスポット及び画素周辺消光の有無)を目視で観察した。ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、僅かでもダークスポットや周辺消光が認められた場合を「×」として有機EL表示素子の信頼性を評価した。
本発明によれば、アウトガスの発生を抑制することができ、透明性及び信頼性に優れる光後硬化性樹脂組成物を提供することができる。
Claims (6)
- カチオン硬化性樹脂、光カチオン重合開始剤、及び、アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物を含有し、前記アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物の含有量が、前記カチオン硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部であることを特徴とする光後硬化性樹脂組成物。
- アミノ基は、第三級アミノ基であることを特徴とする請求項1記載の光後硬化性樹脂組成物。
- アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、1分子中にカチオン重合性官能基を2個以上有することを特徴とする請求項1又は2記載の光後硬化性樹脂組成物。
- アミノ基とカチオン重合性官能基とを有する化合物は、重量平均分子量が200〜1000であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光後硬化性樹脂組成物。
- カチオン硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光後硬化性樹脂組成物。
- エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項5記載の光後硬化性樹脂組成物。
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