JP5798963B2 - 電子機器用緩衝材 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器用緩衝材に関する。本発明の緩衝材(衝撃吸収材)は、変形が容易で落下等のような短時間における強い衝撃に対しても優れた緩衝性を有し、かつ微小なクリアランスにも対応できる。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、高強度で柔軟性に優れることから、緩衝材、包装材、パッキン材等として広く用いられている。上記のようなポリオレフィン系樹脂発泡体の用途の一つとして、電子機器の緩衝材としての用途がある。電子機器の緩衝材として現在用いられている発泡体の多くは、柔軟性に優れ、圧縮応力が低く、容易に潰すことができる。柔軟性に優れているといわれている従来の発泡体は、防塵性という観点から独立気泡を多く有するものであり、ゆっくりと圧縮した場合には、圧縮応力が低く緩衝性に優れている。
しかし、電子機器の落下等のように、短時間における強い衝撃に対しては、独立気泡を多く有する発泡体では、空気の逃げ道が少なく変形しにくいので、効率よく衝撃を吸収することができない。その結果として、保護しようとする電子機器が破損する可能性が高くなってしまうという問題があった。
さらに、微細なクリアランスに対するスペーサーとして用いる場合、クリアランスに対応するために80〜90%圧縮して用いることが多いが、目的の微小なクリアランスに対応することが出来なかった。
特開2010‐215805号公報(特許文献1)には、厚さが薄くても、優れた柔軟性及び優れた緩衝性を有し、かつ微小なクリアランスに対しても追従可能な緩衝材が記載されている。
特開2010‐215805号公報
しかしながら、特許文献1に記載される発泡体は気泡径が極端に小さく、独立気泡を多く有する発泡体である場合には、変形させることが困難であり、緩衝性が不十分である。
また、同文献の実施例には、微小なクリアランスに対応するために、0.30μmの厚さを有する発泡体を0.10μmにまで圧縮(約67%圧縮)した状態で対反発荷重を測定したことが記載されているが、より圧縮された状態でも優れた緩衝性を有する発泡体が望まれている。
したがって、本発明は、変形が容易で落下等のような短時間における強い衝撃に対しても優れた緩衝性を有し、かつ微小なクリアランスにも対応できる電子機器用緩衝材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の平均気泡径、見掛け密度、気泡破れ率及び反発弾性率を有するポリオレフィン系樹脂発泡体を用いることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、
0.02〜0.20mmの平均気泡径及び30〜100kg/mの見掛け密度を有するポリオレフィン系樹脂発泡体から構成され、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が、1〜30%の気泡破れ率を有し、かつ0%圧縮時及び80%圧縮解放から10秒後において、40%以下の反発弾性率を有することを特徴とする電子機器用緩衝材が提供される。
本発明によれば、変形が容易で落下等のような短時間における強い衝撃に対しても優れた緩衝性を有し、かつ微小なクリアランスにも対応できる電子機器用緩衝材を提供することができる。
本発明の電子機器用緩衝材は、ポリオレフィン系樹脂発泡体が1000mm/分の圧縮速度で80%圧縮したときに350kPa以下の圧縮応力を有する場合、より優れた緩衝性を有し、かつより微小なクリアランスに対応できる。
また、本発明の電子機器用緩衝材は、ポリオレフィン系樹脂発泡体が1mm/分の圧縮速度で90%圧縮したときに1500kPa以下の圧縮応力を有する場合、より優れた緩衝性を有し、かつより微小なクリアランスに対応できる。
気泡破れを多く有する本発明の発泡体の断面の走査電子顕微鏡写真である。 気泡破れの少ない従来の発泡体の断面の走査電子顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態を示す円環ダイの概略断面図である。
(ポリオレフィン系樹脂発泡体)
本発明の電子機器用緩衝材に用いられるポリオレフィン系樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」とも称する)は、複数の気泡と、複数の気泡を気泡ごとに区画するポリオレフィン系樹脂を含む壁とを有している。更に、上記発泡体は、個々の気泡を区画する多くの壁が、破れを有していること、すなわち、気泡破れを有することを特徴の1つとしている。例えば、図1は気泡破れを多く有する上記発泡体の断面の走査電子顕微鏡写真、図2は気泡破れの少ない従来の発泡体の断面の走査電子顕微鏡写真である。これら写真から、上記発泡体は、個々の気泡に多くの破れがあることがわかり、このようなある範囲の気泡破れ率を有することにより、優れた緩衝性を有する。
上記発泡体は、0.02〜0.20mmの気泡の平均気泡径を有している。平均気泡径が0.02mm未満であると、発泡体の見掛け密度が大きくなり、発泡体のクッション性又は柔軟性が低下する。一方、平均気泡径が0.20mmを超えると、発泡体の柔軟性等の物性が低下する。平均気泡径の好ましい範囲は0.05〜0.18mm、より好ましい範囲は0.07〜0.15mmである。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
また、上記発泡体は、30〜100kg/m3の見掛け密度を有している。この範囲の見掛け密度を有することで、高強度で柔軟性に優れた発泡体を提供できる。見掛け密度が30kg/m3未満であると、発泡体の機械的強度が低下する。一方、見掛け密度が100kg/m3を超えると、発泡体のクッション性又は柔軟性が低下する。見掛け密度の好ましい範囲は30〜90kg/m3であり、より好ましい範囲は35〜70kg/m3である。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
上記発泡体は、1〜30%の範囲の気泡破れ率を有している。気泡破れ率が1%未満であると、容易に変形せず緩衝性に劣ることがある。一方、気泡破れ率が30%を超えると、充分な強度が得られない。気泡破れ率の好ましい範囲は5〜20%であり、より好ましい範囲は5〜15%である。
なお、気泡破れ率とは、発泡体の断面の走査電子顕微鏡写真を、破れ箇所とそれ以外の箇所が白黒となるように2値化処理し、2値化処理写真から得られた写真の面積に対する破れの面積の割合を意味する。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
上記発泡体は、0%圧縮時(圧縮されていないとき)において、40%以下の反発弾性率を有している。0%圧縮時における反発弾性率が40%を超えると、落下等のような短時間における強い衝撃を緩和することができない。0%圧縮時における反発弾性率の好ましい範囲は0〜35%であり、より好ましい範囲は0〜30%である。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
上記発泡体は、80%圧縮解放から10秒後において、40%以下の反発弾性率を有している。80%圧縮解放から10秒後における反発弾性率が40%を超えると、圧縮して使用する場合に落下等のような短時間における強い衝撃を緩和することができない。80%圧縮解放から10秒後における反発弾性率の好ましい範囲は0〜35%である。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
上記発泡体は、0〜90%圧縮して用いることができる。発泡体を圧縮して用いることによって、微小なクリアランスに対応させることができる。発泡体圧縮時の圧縮応力は、電子機器用緩衝材として発泡体を用いる場合に微小なクリアランスに対応できるか否かを表す指標として用いることができる。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
上記発泡体は、1mm/分の圧縮速度で80%圧縮したときに400kPa以下の圧縮応力を有することが好ましい。圧縮応力が400kPaを超えると、柔軟性に劣り、圧縮した際に機器の破損等が生じることがある。この条件での発泡体の圧縮応力のより好ましい範囲は350kPa以下である。
上記発泡体は、1000mm/分の圧縮速度で80%圧縮したときに350kPa以下の圧縮応力を有することが好ましい。圧縮応力が350kPaを超えると、落下等のような短時間における強い衝撃に対して所望の緩衝性が得られないことがある。この条件での発泡体の圧縮応力のより好ましい範囲は325kPa以下であり、更に好ましい範囲は300kPa以下である。
上記発泡体は、1mm/分の圧縮速度で90%圧縮したときに1500kPa以下の圧縮応力を有することが好ましい。圧縮応力が1500kPaを超えると、高圧縮した際に応力が強く、機器の破損が生じることがある。この条件での発泡体の圧縮応力のより好ましい範囲は1000kPa以下であり、更に好ましい範囲は800kPa以下である。
上記発泡体は、0.1〜3mmの厚さを有することが好ましい。厚さが0.1mm未満であると、厚みが気泡径より薄くなり、柔軟性等の物性が低下することがある。一方、厚さが3mmを超えると、圧縮した際の応力が高くなることがある。厚さのより好ましい範囲は0.2〜3mmであり、更に好ましい範囲は0.3〜2mmである。また、厚さは、平均気泡径の1.0倍以上であることが好ましく、2.0〜30倍の範囲であることがより好ましい。
上記発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂は、上記各種物性を発泡体に付与できさえすれば、その種類は特に限定されない。具体的には、ホモポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体又はブロック共重合体の何れであってもよい。ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせ混合して用いてもよい。
他のオレフィンとしては、例えば、エチレンやプロピレンの他に、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の炭素数が4〜10であるα−オレフィンが挙げられる。
これらの内、発泡性や耐熱性が優れるホモポリプロピレンや、ポリプロピレンのブロック共重合体が好ましい。中でも、耐熱性に優れるホモポリプロピレンがより好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が0.2〜5g/10分の樹脂を使用することが好ましい。MFRが低いと、押出機の負荷が大きくなって生産性が低下し、又は、発泡剤を含む溶融した発泡体の原料混合物が金型内を円滑に流れることができなくなって、得られる発泡体の表面にムラが発生して外観が低下することがある。一方、MFRが高いと、円環ダイ手前での樹脂圧力が低下し、円環ダイ気泡生成部における樹脂圧力も低下することから、気泡生成部手前で気泡が生成してしまい発泡体成形部で破泡が急激に生じることにより発泡性が低下し、得られる発泡体の外観が低下もしくは、発泡体が得られないことがある。MFRのより好ましい範囲は、0.2〜4g/10分であり、MFRの更に好ましい範囲は0.2〜3.5g/10分である。
ポリプロピレン系樹脂は、優れた発泡性を有する、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては、電子線架橋により分子構造中に自由末端長鎖分岐を有しているもの(HMS−PP)や、高分子量成分を含むことで溶融張力を上げたもの等がある。この高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては、市販品を使用でき、市販品の具体例としては、日本ポリプロ社製の商品名ニューストレンSH9000や、Borealis社製の商品名「DaployWB135HMS」等が挙げられる。
発泡体には、ポリオレフィン系樹脂以外に他の成分が含まれていてもよい。例えば、熱可塑性エラストマーのようなエラストマー及びポリエチレン系プラストマーのようなプラストマーが挙げられる。
熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するもので、常温でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化され成形できるという性質を有する。一般的には、ハードセグメントがポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のゴム成分又は非結晶性ポリエチレンである。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中に、ゴム成分を完全架橋又は部分架橋させミクロ分散させて得られる、動的架橋されたエラストマーが挙げられる。
上記熱可塑性エラストマーの内、ポリオレフィン系樹脂とゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋のエラストマーを用いることが、製造された製品のリサイクル性を考慮すると特に好ましい。
非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を構成するジエン成分としては、例えばエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。ここで、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは、1種又は2種以上を混合してもよい。このような非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを使用することにより、通常のポリプロピレン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が可能となる。更に、発泡体をリサイクルし再び押出機へ供給して発泡成形をする場合でも、架橋エラストマーを用いた時に問題となる架橋ゴムによる発泡不良も抑制できる。
熱可塑性エラストマーは、JIS K6253で規定されるデュロA硬度で90以下の硬度を有していることが好ましい。この硬度を有することで、優れた柔軟性を有する発泡体を提供できる。デュロA硬度のより好ましい範囲は、80〜20程度である。
熱可塑性エラストマーの含有量が少ないと、発泡体の緩衝性や柔軟性が乏しくなることがある。一方、熱可塑性エラストマーの含有量が多いと、熱可塑性樹脂組成物のゴム弾性が強くなりすぎることによる発泡性の低下や、発泡体の収縮の増加が生じることがある。熱可塑性エラストマーの含有量の好ましい範囲は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜300重量部程度であり、より好ましい範囲は20〜150重量部であり、更に好ましい範囲は30〜100重量部であり、特に好ましい範囲は40〜70重量部である。
ポリエチレン系プラストマーとしては、エチレン単独重合体又はα−オレフィンのような共重合体成分を含むポリエチレン系重合体を挙げることができる。本発明においては、所望の柔軟性と強度を容易に得ることができるため、ポリエチレン系プラストマーはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
α−オレフィンとしては炭素数4〜8のものが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及びこれらの組み合わせがより好ましい。
エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、例えば、住友化学社製の商品名エスプレンNO416(エチレン−1−ブテン共重合体)、日本ポリケム社製の商品名カーネルKS240(エチレン−1−ヘキセン共重合体)及びダウ・ケミカル社製の商品名アフィニティーEG8100(エチレン−1−オクテン共重合体)を挙げることができる。
プラストマーの含有量が少ないと、発泡体の緩衝性や柔軟性が乏しくなることがある。一方、プラストマーの含有量が多いと、熱可塑性樹脂組成物の弾性が強くなりすぎることによる発泡性の低下や、発泡体の収縮の増加が生じることがある。熱可塑性エラストマーの含有量の好ましい範囲は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜300重量部程度であり、より好ましい範囲は20〜150重量部であり、更に好ましい範囲は30〜100重量部であり、特に好ましい範囲は40〜70重量部である。
発泡体は、エラストマー及び/又はプラストマー以外に、界面活性剤、分散剤、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、すべり性及びアンチブロッキング性を付与するものである。また、分散剤は、無機充填剤の分散性を向上させるものである。分散剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
他の添加剤の含有量は、気泡の形成、発泡体の物性等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の発泡体に含まれる含有量を採用できる。
発泡体の表皮は、スライス加工によって除去してもよい。本発明の発泡体はスライス加工性に優れている。発泡体の表皮を除去することで、折れ曲がった際の折れ皺の発生を抑制できる。加えて、透気性、透湿性、柔軟性及び緩衝性等により優れた発泡体を提供できる。スライス加工機としては、刃物が回転するタイプのもの等の公知のものを使用できる。
(ポリオレフィン系樹脂発泡体の製法)
本発明の発泡体は、押出発泡成形法により製造できる。この方法に使用できる押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等が挙げられる。これらの内、押出条件を調整しやすいことから、タンデム型押出機が好ましい。
発泡体の原料は、押出機内で混練され、押出機から押し出されて発泡することで発泡体となる。発泡体の原料が押出機から押し出される部位には、通常ダイが設置されている。そのようなダイの一例として、図3の概略断面図に示す円環ダイがある。
図3に示す円環ダイDは、発泡剤含有混練溶融樹脂流路部3の絞りに形成された気泡生成部2と、気泡生成部2に連続し、この生成した気泡の成長及び発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有している。図3中、4は円環ダイイン側金型、5は円環ダイアウト側金型である。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、押出機先端から円環ダイまでの流路において、ストレインゲージのような測定器によって測定される圧力である。具体的には、押出機先端フランジ、両サイドにフランジのある直管金型、円環ダイと順に接続した直管金型部に取り付けた、ストレインゲージにて測定できる。
上記のような円環ダイを用いて発泡体を形成することで、発泡体を構成する気泡が従来より微細であっても、表面平滑性を低下させる多数のコルゲートの表面での発生を抑制できる。これは、円環ダイが、発泡体成形部における適度なすべり抵抗によって、気泡生成部でのコルゲートの発生を抑制できるためであると発明者等は考えている。ここで言うコルゲートとは、円環ダイから出た発泡体が体積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる、多数の山谷状のヒダのことを意味する。
ここで、円環ダイDの気泡生成部2における樹脂の吐出速度Vが50〜300kg/cm2・時間であり、かつ円環ダイD手前での樹脂圧力が7MPa以上となる条件下で押出発泡させることが好ましい。
吐出速度Vが50kg/cm2・時間程度より小さい場合、気泡の微細化や高発泡倍率の発泡体を得ることが困難となる。一方で吐出速度Vが300kg/cm2・時間程度より大きい場合、金型気泡生成部で樹脂が発熱して気泡破れをきたし、発泡倍率が低下しやすくなる。また、皺状のコルゲートが発生しやすくなり気泡径が不均一となって発泡体の表面平滑性が低下することがある。吐出速度Vは、円環ダイ気泡生成部の断面積、押出吐出量により適宜調節できる。
ここで、樹脂の吐出速度V(kg/cm2・時間)は、下記式によって、定義された値である。
V=押出樹脂重量/金型気泡生成部断面積・時間
押出樹脂重量は、金型から押し出された総重量をいう。したがって、押出樹脂重量は、熱可塑性樹脂組成物と発泡剤との合計量となる。また、押出樹脂重量は、1時間当りの吐出量(kg/時間)で表すことができる。
吐出速度Vのより好ましい範囲は70〜250kg/cm2・時間程度であり、更に好ましい範囲は100〜200kg/cm2・時間程度である。円環ダイ手前での樹脂圧力の好ましい範囲は8MPa以上20MPa以下である。上記条件による押出発泡で、ポリプロピレン系樹脂の発泡性を向上でき、気泡を微細化でき、気泡膜の強度を高めることができる。これら条件により、得られた発泡体は二次加工する場合の加工性が向上し、例えばスライス加工して得られるシート状の発泡体は、表面平滑性に優れたものが得られる。
気泡生成部の断面積の調整方法としては、金型の気泡生成部の長さ(フラット金型の場合)や口径(円環ダイの場合)を変える方法と、金型の気泡生成部の間隔(フラット金型又は円環ダイの場合)を変える方法との2通りの方法が挙げられる。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、7MPaよりも低いと円環ダイ気泡生成部より手前で気泡生成が始まり、良好な発泡体が得られないことがある。また、20MPaより高くなると、押出機の負荷が高くなりすぎることがある。また、注入圧力が高くなりすぎて発泡剤を圧入できなくなることがある。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、溶融樹脂粘度と押出吐出量、円環ダイ気泡生成部断面積によって適宜調節できる。更に溶融樹脂粘度は配合樹脂組成物の粘度と発泡剤の添加量、及び溶融樹脂温度によって適宜調節できる。なお、溶融樹脂温度とは、円環ダイ手前での樹脂圧力を測定する直管金型において、溶融樹脂に直接接触させる形で取り付けられた熱電対にて測定された温度を意味する。
樹脂温度は、概ねポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜20℃高い範囲とすることが、発泡性を高める上で好ましい。樹脂温度が融点に近づくと、ポリプロピレンの結晶化が始まり、急激に粘度が上昇し押出条件が不安定になったり、押出機の負荷が上昇したりすることがある。逆に高すぎると発泡後の樹脂固化が発泡スピードに追い着かず、発泡倍率が上がらないことがある。
気泡破れ率を樹脂圧力によって調整するためには、独立気泡発泡体や気泡破れ率の小さい発泡体が得られる押出条件よりも、円環ダイ手前での樹脂圧力が10〜30%低くなるようにすればよい。
気泡破れ率を樹脂温度によって調整するためには、独立気泡発泡体や気泡破れ率の小さい発泡体が得られる押出条件よりも、樹脂温度を1〜3℃高くすればよい。
気泡破れ率を環状金型によって調整するためには、独立気泡発泡体や気泡破れ率の小さい発泡体が得られる金型に比べ、金型の気泡生成部2の直径及び金型の発泡体成形部1の直径を5〜10%小さくし、更に、金型の気泡生成部2の間隔を10〜30%広くすること等によって調整できる。
発泡体の原料には、発泡剤が含まれる。発泡剤は、特に限定されず、種々の公知の発泡剤を使用できる。例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、二酸化炭素、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせ混合して用いてもよい。
上記発泡剤のうち、無機ガスが好ましく、特に二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素は、超臨界状態、亜臨界状態、又は液化された二酸化炭素を用いることで、それ以外の形態の二酸化炭素を用いて得られた従来の発泡体よりも、より微細な気泡を有する発泡体を得ることができる。微細な気泡を有する発泡体は、その表面平滑性や柔軟性を向上させることができる。
押出機内に圧入される発泡剤の量は、発泡体の見掛け密度に応じて適宜、調整できる。しかし、押出機内に圧入される発泡剤の量が少ないと、発泡体の見掛け密度が低くなり、軽量性及び柔軟性が低下することがある。一方、押出機内に圧入される発泡剤の量が多いと、金型内において発泡を生じ、発泡体中に大きな空隙が生じることがある。したがって、押出機内に圧入される発泡剤の量のより好ましい範囲は、発泡体の原料100重量部に対して1〜10重量部であり、更に好ましい範囲は2〜8重量部であり、特に好ましい範囲は3〜6重量部である。
発泡体の原料には、気泡核剤が含まれていてもよい。気泡核剤は発泡時に気泡核の生成を促すものであり、気泡の微細化と均一性と気泡破れ率に影響を与える。気泡核剤としては、例えばタルク、マイカ、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズ等の無機化合物あるいはポリテトラフルオロエチレン等の有機化合物が挙げられる。気泡破れ率の大きい発泡体が得られやすいことから、タルクが好ましい。一方で、ポリテトラフルオロエチレンを気泡核材として用いると、独立気泡発泡体や気泡破れ率の小さい発泡体が得られやすいので好ましくない。
気泡核剤の量が少ないと、発泡体の気泡数を増加させることが困難となり平均気泡径を小さくできなかったり、気泡破れ率を大きくできないことがある。一方、気泡核材の量が多いと、二次凝集を起こして、押出し発泡不良等を生じることがある。したがって、気泡核剤の量のより好ましい範囲は、発泡体の原料100重量部に対して0.1〜10重量部であり、更に好ましい範囲は0.5〜6重量部である。
気泡核剤は、それ自体を発泡体の他の成分と混合することによって、発泡体の原料混合物として供給してもよいし、又は気泡核材と発泡体の他の成分とを混合せずに、個別に押出機内へ供給してもよい。また、気泡核剤は、取扱いを容易にするために、粉体飛散による製造環境汚染を防止するために、又熱可塑性樹脂中への分散性を向上させるために、予め基材樹脂と混合することでマスターバッチとして供給することが好ましい。
マスターバッチの基材樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性に優れる樹脂であることが好ましい。例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、各種測定法を以下で説明する。
(メルトフローレート)
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210:1999のB法に準拠して、試験温度230℃、試験荷重21.18Nにて測定されたものをいう。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、ポリプロピレン系樹脂は、1種を単独で用いる場合には、その樹脂のMFRを上記方法で測定されたものをいう。
また、ポリプロピレン系樹脂を2種以上混合して用いる場合には、それぞれ個々のポリプロピレン系樹脂のMFRを上記測定方法で測定し、それぞれのMFRの値から、下記の様にして、算出したものをいう。
即ち、ポリプロピレン系樹脂が、n種類のポリプロピレン系樹脂の混合物であるとした場合、ポリプロピレン系樹脂1のMFRをMFR1、ポリプロピレン系樹脂2のMFRをMFR2、・・・ポリプロピレン系樹脂nのMFRをMFRnとすると共に、ポリプロピレン系樹脂1の含有量をC1、ポリプロピレン系樹脂2の含有量をC2・・・ポリプロピレン系樹脂nの含有量をCnとする。なお、ポリプロピレン系樹脂nの含有量は、ポリプロピレン系樹脂nの重量をポリプロピレン系樹脂全体の重量で除したものとする。そして、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、下記式によって算出される。
MFR(g/10分)=(MFR1C1×(MFR2C2×・・・×(MFRnCn
(気泡破れ率)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡破れ率は、下記の様にして、測定されたものをいう。
具体的には、発泡シートをMD方向(押出方向)及びTD方向(押出方向に直交する方向)に沿って切断し、それぞれの切断面の中央部を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−3000N)で倍率20倍に拡大して撮影した。
次に、発泡体評価ソフト(ナノシステム株式会社製Nano Hunter NS2K−Pro)にTD方向に沿って切断した切断面の画像を取り込み、測定範囲を座標幅370×370の正方形とし、設定した範囲の2値化を行った。2値化は閾値=50で白黒反転させた。
2値化した画像で、気泡に破れがなく、完全に連通化している部分の削除を行っていき、面積の計測をし、全体に占める面積に対しての白色部分の面積の割合をMD方向の気泡破れ率とした。この測定を取り込んだ画像中のそれぞれ違う範囲で合計3回行い、それぞれの結果の平均値を全体の気泡破れ率とした。
(平均気泡径)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して、下記の様にして、測定されたものをいう。
具体的には、発泡シートをMD方向(押出方向)及びTD方向(押出方向に直交する方向)に沿って切断し、それぞれの切断面の中央部を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−3000N)で拡大して撮影した。
次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、画像上に長さ60mmの直線を一本、描く。なお、MD方向に切断した切断面についてはMD方向に平行に、TD方向に切断した切断面についてはTD方向に平行に、VD方向(厚み方向)はMD方向及びTD方向に対して垂直(シートに対して垂直)に直線を描く。このとき、60mmの直線上に気泡が10〜20個程度となる様に、上記の電子顕微鏡での拡大倍率を調整した。
上記直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出し、この平均弦長を各方向(MD方向、TD方向及びVD方向)の平均気泡径とした。
平均弦長 t=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。又、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
前記式で算出された平均弦長tに基づいて次式により気泡径を算出する。
気泡径(mm)D =t/0.616
そして、得られたMD方向の気泡径(DMD)、TD方向の気泡径(DTD)とVD方向の気泡径(DVD)の相加平均値を再生樹脂含有ポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径とする。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3
(見掛け密度)
本明細書において、気泡に破れを有するポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度はJIS K 7222−1999記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、試料から10cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を試料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出する。
密度(kg/m3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)×103
(圧縮応力)
圧縮応力は、JIS K6767 発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法に記載の方法に準拠して、下記の様にして、測定された値をいう。具体的には、50mm×50mmに裁断した試験片を1mm/分の圧縮速度で80%若しくは90%又は1000mm/分の圧縮速度で80%圧縮した際の圧縮応力の測定を行う。測定装置としては、オリエンテック社製テンシロン万能試験機UCT−10Tを用いることができる。試験片の厚みが2mm以上である場合はそのまま測定し、試験片の厚みが2mm未満の場合は約2mmとなるように重ねて測定する。
(0%圧縮時における反発弾性率)
反発弾性率は、温度23℃、湿度50%の条件下でJIS K6400−3記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、85mm×85mmに裁断した試験片を50mm厚みになるように重ねてセットする。つぎに500mm高さから直径16mm、質量16.8gの鋼球を落下させ、跳ね返った最大の高さを記録し、反発弾性率とした。測定装置としては、高分子計器株式会社製反発弾性試験機FR−1型を用いることができる。
(80%圧縮解放から10秒後における反発弾性率)
80%圧縮解放から10秒後における反発弾性率は、温度23℃、湿度50%の条件下で下記のようにして、測定された値をいう。具体的には85mm×85mmに裁断した試験片を50mm厚みになるように重ねる。つぎに、37トンプレス機に重ねた試験片をセットし、プレス機のクリアランスを10mm(80%圧縮)になるように1mm/分又は1000mm/分の圧縮速度で圧縮して、そのまま24時間放置する。24時間後、試験片を取出して10秒後に上記反発弾性率の測定方法と同様にして反発弾性率を測定する。
比較例中で測定不可というのは、取出した直後に、圧縮前と同等の厚みに復元してしまい、圧縮時の反発弾性率が測定出来ないことを意味している。
(0%圧縮時における落球試験)
25mm×25mm、0.5mm厚みのガラス板に、25mm×25mmの発泡体を載せたものを、50mm×50mm、1mmのアクリル板で挟んだものを試験片とした。
温度23℃、湿度50%の条件下で試験片を金属製の台座にセットし、0.39N(40g重)の鋼球を高さ150cmから、試験片に自由落下させることで測定を行った。これを、ガラス板が破損するまで行い、ガラス板が破損するまでの回数を計測することにより行った。ただし、自由落下の回数は上限を200回とし、表中の>200は、自由落下を200回行っても、ガラス板に破損がなかったこと意味する。
(80%圧縮時における落球試験)
80%圧縮時における反発弾性率は、下記のようにして測定された値をいう。具体的には25mm×25mmに裁断した試験片を50mm厚みになるように重ねる。つぎに、37トンプレス機に重ねた試験片をセットし、プレス機のクリアランスを10mmになるように圧縮(80%圧縮)して、そのまま24時間放置する。24時間後、試験片を1枚取り出し、その10秒後、取り出した試験片を用いて上記落球試験の測定方法と同様に測定する。
比較例中で測定不可というのは、取出した直後に、圧縮前と同等の厚みに復元してしまい、圧縮時の落球試験が測定出来ないことを意味している。
[実施例1]
(ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造)
口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム型押出機を用意した。
このタンデム型押出機の第一押出機に、ポリオレフィン系樹脂としてMFR:0.2g/10分のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製SH9000)100重量部に、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである熱可塑性エラストマー(MFR:14g/10分)を67重量部加えた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核剤として平均粒子径12μmのタルクを70重量%含有したマスターバッチ10重量部を混合させたポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の途中から発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を4.2重量部圧入して、溶融状態のポリオレフィン系樹脂発泡用組成物と二酸化炭素を均一に混合混練した上で、この発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。その後、第二押出機の先端に取り付けた金型の気泡生成部口径φ33mm、金型の気泡生成部間隔0.3mm(気泡生成部の断面積:0.275cm2)、発泡体成形部の間隔3.5mm、発泡体成形部の出口口径φ66の円環ダイから吐出量30kg/時間(吐出速度V=109kg/cm2・時間)、樹脂温度178℃、円環ダイ手前での樹脂圧力7〜8MPaの条件で押出発泡させ、円環ダイの発泡体成形部において成形された円筒状の発泡体を冷却されているマンドレル上に添わせるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、マンドレル上の一点で、カッターにより円筒状の発泡体を切開して、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
[実施例2]
非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである熱可塑性エラストマーをMFR:2.2g/10分の熱可塑性プラストマー(日本ポリエチ社製KS240T)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
[実施例3]
ポリオレフィン樹脂をMFR:0.5g/10分のポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製E−100GV)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
[実施例4]
ポリオレフィン樹脂をMFR:0.4g/10分のポリプロピレン樹脂(サンアロマー社製PB170A)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして得られた発泡体をスライス加工せずに、発泡体の表面を熱融着することで、空気の逃げ場がない発泡体を得た。
[比較例2]
ポリオレフィン樹脂をMFR:0.5g/10分のポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製B241)、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである熱可塑性エラストマーをMFR:0.6g/10分の動的架橋されたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマー(三井化学社製ミラストマーM4400N),気泡核剤の添加量を5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
ここで得られた発泡体は気泡破れのほぼないものであった。
[比較例3]
ポリオレフィン樹脂をMFR:0.3g/10分のポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製E−185G)、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである熱可塑性エラストマーをMFR:0.6g/10分の動的架橋されたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマー(三井化学社製ミラストマーM4400N)、気泡核剤の添加量を5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み0.5mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
ここで得られた発泡体は気泡破れのほぼないものであった。
1:発泡体成形部
2:気泡生成部
3:発泡剤含有混練溶融樹脂流路部
4:円環ダイイン側金型
5:円環ダイアウト側金型

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系樹脂と、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーとを含み、少なくとも1つのスライス面を有し、0.02〜0.20mmの平均気泡径及び30〜100kg/m3の見掛け密度を有する発泡体から構成され、
    記発泡体が、1〜30%の気泡破れ率を有し、かつ0%圧縮時及び80%圧縮解放から10秒後において、40%以下の反発弾性率を有することを特徴とする電子機器用緩衝材。
  2. 記発泡体が、1000mm/分の圧縮速度で80%圧縮したときに、350kPa以下の圧縮応力を有する請求項1に記載の電子機器用緩衝材。
  3. 記発泡体が、1mm/分の圧縮速度で90%圧縮したときに、1500kPa以下の圧縮応力を有する請求項1又は2に記載の電子機器用緩衝材。
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