JP5796754B2 - 車両用動力伝達システム - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車や四輪バギー車などの自走式車両に搭載される車両用動力伝達システムに関する。
従来から、自動二輪車や四輪バギー車などの自走式車両においては、エンジン(原動機)で発生した駆動力を駆動輪に伝達するために動力伝達装置が設けられている。動力伝達装置は、エンジンの回転駆動軸(クランクシャフト)に対して接続および切断しながら同回転駆動軸の回転数を変速しつつ駆動輪に伝達する機械装置であり、主としてクラッチとトランスミッションによって構成されている。ここで、クラッチとは、エンジンの回転駆動軸に対して接続および切断しながら同回転駆動軸の回転駆動力をトランスミッション側に伝達する機械装置である。また、トランスミッションとは、エンジンの回転駆動軸の回転数を複数の変速段で変速させて駆動輪側に伝達する機械装置である。
このような動力伝達装置においては、トランスミッションにおける変速動作はできるだけ速やかに行なわれることが望まれる。このため、例えば、下記特許文献1には、トランスミッションの変速動作時に変速段に対応した回転位置に位置決めされるシフトドラムに対して回転方向に力を付与するプリロードを行なうことにより、クラッチが切れて駆動力の伝達が遮断された場合に直ちにシフトドラムを回転させてギアの切り替え、すなわち、変速段の切り替えを行なう動力伝達装置が開示されている。
特開2001−280493号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された動力伝達装置においては、クラッチが切れた後にトランスミッションにおける変速動作、すなわち、変速段を構成するギア列の変更工程が行われるため、変速動作に時間が掛かるととともにエンジンからの駆動力が駆動輪に伝達しない所謂トルク抜け時間が長く操縦者に不快感を与えるという問題があった。なお、この場合、ギア列の変更工程は、変速前の変速段を構成するギア列における駆動力の伝達状態を解消するギアの抜き工程と、変速後の変速段を構成するギア列を駆動力の伝達状態とするギアの連結工程とで構成されている。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、トランスミッションにおける変速動作を迅速に行なうとともに同変速動作時に操縦者に与える所謂トルク抜けによる不快感を軽減することができる車両用動力伝達システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、車両に搭載され、燃焼室に繋がる吸気通路にスロットルバルブを有するとともに同スロットルバルブをバイパスするバイパス通路に燃焼室への吸気量をスロットルバルブとは別に調整するアイドル吸気量調整機構を有したエンジンと、エンジンによる駆動力によって回転駆動するメインシャフトと車両の駆動輪に連結されるカウンターシャフトとの間に互いに変速比の異なる複数の変速段を構成する複数のギア列が設けられてエンジンの回転速度を変速しつつ駆動力を駆動輪に伝達するトランスミッションと、エンジンから伝達される駆動力によって回転駆動するフリクションプレートとトランスミッションに連結されて駆動力を受けるクラッチプレートとを密着および離隔させることによってエンジンの駆動力をトランスミッションに伝達および遮断するクラッチと、エンジンにおけるアイドル吸気量調整機構を制御する制御手段とを備えた車両用動力伝達システムにおいて、制御手段は、トランスミッションの変速動作に際して、メインシャフトとカウンターシャフトの間の駆動力の遮断の開始よりも前に、アイドル吸気量調整機構による燃焼室への吸気量を増加させることにある。
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、車両用動力伝達システムは、トランスミッションの変速動作時に、メインシャフトとカウンターシャフトとの間の駆動力の伝達の遮断を開始する前にエンジンにおけるアイドル吸気量調整機構によって燃焼室への吸気量を増大させている。これにより、トランスミッションは、変速動作に際してアイドル吸気量調整機構の作動によってトランスミッション内における減速トルク(所謂エンジンブレーキによるトルク)が減少するため、変速段を構成するギア列の変更工程が行い易くなる。すなわち、本発明に係る車両用動力伝達システムは、トランスミッションにおけるシフトアップやシフトダウンなどの変速動作時において、クラッチにおける駆動力の伝達状態に拘らずトランスミッションにおける変速段を構成するギア列の変更動作を開始させることができる。この結果、クラッチにおける駆動力の伝達を遮断した後にトランスミッションにおける変速動作を開始する従来の動力伝達装置に比べて迅速にトランスミッションにおける変速動作を完了することができるとともに、この変速動作時に操縦者に与える所謂トルク抜けによる不快感を軽減することができる。
なお、上記特許文献2には、車両の走行安定性を確保するために、車両の減速時、すなわち、トランスミッションのシフトダウン時においてエンジンの燃焼室内への吸気量を増大させて回転数を増加させる所謂ブリッピング制御を行なう内燃機関の制御装置が開示されている。しかしながら、この上記特許文献2に記載されたブリッピング制御における燃焼室内への吸気量の増大は、燃焼室に繋がる吸気通路に設けたスロットルバルブの開度をコンピュータ制御によって制御する所謂DBW(drive-by-wire)によって行なわれる。このため、内燃機関およびこの内燃機関を制御する制御装置を含む内燃機関のシステム構成全体が複雑化、大型化および重量化するという問題がある。特に、自動二輪車や四輪バギー車などの比較的小型の自走式車両においては、内燃機関のシステム構成の簡易化、小型化および軽量化が強く求められるため、DBWを採用することが困難であるという問題があった。
一方、請求項1に係る本発明の特徴によれば、車両用動力伝達システムは、エンジンのアイドリング時における回転数を制御するために燃焼室内への空気の供給量を調整するアイドリング吸気量調整機構を利用してブリッピング制御を行なうように構成されている。この場合、アイドリング吸気量調整機構は、四輪自動車のほか、自動二輪車や四輪バギー車などの比較的小型の自走式車両においても広く採用されているものである。このため、本発明に係る車両用動力伝達システムにおいては、システム構成を複雑化、大型化および重量化させることなくトランスミッションの変速動作時においてブリッピング制御を行なうことができる。
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記車両用動力伝達システムにおいて、トランスミッションは、クラッチにおける駆動力の遮断が完了する前にメインシャフトとカウンターシャフトの間の駆動力の遮断を完了することにある。
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、車両用動力伝達システムにおけるトランスミッションは、クラッチにおける駆動力の遮断が完了する前にメインシャフトとカウンターシャフトの間の駆動力の遮断を完了する。すなわち、本発明に係る車両用動力伝達システムは、トランスミッションにおけるシフトアップやシフトダウンなどの変速動作時において、クラッチにおける駆動力の伝達状態に拘らずトランスミッション内における減速トルクを減少させた状態でギアの変速動作を開始してクラッチにおける駆動力の伝達が遮断される前にトランスミッションにおける変速前の変速段を構成するギア列による駆動力の伝達状態を解消する。これにより、クラッチにおける駆動力の伝達を遮断した後にトランスミッションにおける変速動作を開始する従来の動力伝達装置に比べてより迅速にトランスミッションにおける変速動作を完了することができるとともに、この変速動作時に操縦者に与える所謂トルク抜けによる不快感を軽減することができる。
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記車両用動力伝達システムにおいて、記制御手段は、クラッチにおける駆動力の遮断が完了する前にアイドル吸気量調整機構による燃焼室への吸気量を増加させることにある。
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、車両用動力伝達システムにおける制御手段は、クラッチにおける駆動力の遮断が完了する前にアイドル吸気量調整機構によって燃焼室への吸気量を増加させている。このため、クラッチにおける駆動力の遮断が完了する前、すなわち、クラッチが完全にまたは不完全に繋がった状態において、トランスミッションにおける変速段を構成するギア列の変更動作を開始することができ、従来の動力伝達装置に比べて迅速にトランスミッションにおける変速動作を完了することができる。
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記車両用動力伝達システムにおいて、制御手段は、クラッチにおける駆動力の伝達が復帰した後にアイドル吸気量調整機構による燃焼室への増加させた吸気量を減少させることにある。
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、車両用動力伝達システムにおける制御手段は、クラッチにおける駆動力の伝達が復帰した後にアイドル吸気量調整機構による燃焼室への増加させた吸気量を減少させる。これにより、トランスミッションにおける変速後の変速段を構成するギア列による駆動力の伝達状態とした後にクラッチにおける駆動力の伝達が復帰する際のフリクションプレートとクラッチプレートとの回転数の差を少なくすることができ、クラッチの接続を円滑に行なうことができる。
本発明に係る車両用動力伝達システムの全体構成の概略を模式的に示すブロック図である。 図1に示す動力伝達装置の内部を概略的に示す一部破断正面図に示す平面図である。 図2に示すA−A線から見た動力伝達装置の要部の概略を模式的に示す断面図である。 図2に示す動力伝達装置におけるシフトダウン操作前の内部状態を模式的に示す一部破断平面図である。 図1に示す車両用動力伝達システムの変速段のシフトダウン動作時における動作過程を示すタイムチャートである。
以下、本発明に係る車両用動力伝達システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車両用動力伝達システム100の全体構成の概略を模式的に示すブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この車両用動力伝達システム100は、二輪自動車(所謂オートバイ)において原動機であるエンジンで発生させた回転駆動力を駆動輪に伝達する機械装置群であり、二輪自動車におけるエンジンの周辺(例えば、着座シートや燃料タンクの下方)に設けられる。
(車両用動力伝達システム100の構成)
車両用動力伝達システム100は、エンジン110を備えている。エンジン110は、図示しない車両に搭載されて燃料の燃焼によって回転駆動力を発生させる原動機である。具体的には、エンジン110は、筒状に形成されたシリンダ111内に燃料と空気とからなる混合気を導入するとともに、この混合気を点火プラグ112によって点火して爆発させることによりピストン113をシリンダ111内で往復運動させてピストン113に連結さえるクランクシャフト114に回転駆動力を発生させる所謂レシプロエンジンである。本実施形態においては、エンジン110は、所謂4ストロークエンジンを想定しているが、所謂2ストロークエンジンであってもよいことは当然である。
このエンジン110の燃焼室を構成するシリンダ111には、吸気バルブ115を介して吸気管116が接続されている。吸気管116は、シリンダ111内に燃料と空気との混合気を供給するための配管であり、スロットルバルブ117およびインジェクタ118が設けられている。スロットルバルブ117は、車両の操縦者による手動操作によってシリンダ111内に供給する空気量を調整することができる弁である。また、インジェクタ118は、シリンダ111内に燃料を霧状にして供給(噴射)する燃料噴射装置である。これらのインジェクタ118および点火プラグ112は、それぞれ後述するECU300によって作動が制御される。
また、吸気管116には、スロットルバルブ117をバイパスする状態でバイパス通路121が形成されている。バイパス通路121は、吸気管116内を流通する空気をスロットルバルブ117をバイパスしてシリンダ111内に導くための管路である。このバイパス通路121は、吸気管116における内径よりも小さい内径で形成されており、シリンダ111内にスロットルバルブ117を介して供給される空気量よりも少ない空気量を吸気管116を介してシリンダ111内に供給する。
そして、このバイパス通路121には、アイドル調整弁122が設けられている。アイドル調整弁122は、バイパス通路121を流通する空気量、すなわち、スロットルバルブ117をバイパスしてシリンダ111内に供給する空気量を調整することができる弁である。このアイドル調整弁122は、主として、バイパス通路121内に位置してバイパス通路121を流通状態および遮断状態にする弁体123と同弁体123をバイパス通路121内で変位させるアクチュエータ124とを備えて構成されている。そして、このアイドル調整弁122は、アクチュエータ124がECU300によって作動が制御されることによって、エンジン110のアイドリング時および後述するトランスミッション240の変速動作時においてシリンダ111内に供給する空気量を調整する。
エンジン110におけるクランクシャフト114には、プライマリードライブギア114aを介して動力伝達装置200が連結されている。動力伝達装置200は、エンジン110により発生された回転駆動力を複数の変速段で変速して伝達する機械装置であり、主として、クラッチ210およびトランスミッション240によって構成されている。
クラッチ210は、エンジン110で発生させた回転駆動力の伝達経路上におけるエンジン110とトランスミッション240との間に配置されてエンジン110で発生させた回転駆動力をトランスミッション240に対して伝達および遮断を行なう機械装置である。このクラッチ210は、詳しくは、図2ないし図4に示すように、トランスミッション240から軸状に延びるメインシャフト241の一方(図示右側)の端部側に設けられており、図示しない摩擦材を備えたフリクションプレート211と鋼板製のクラッチプレート212とが交互に複数枚ずつ配置された状態でクラッチケース201内に回転可能な状態でそれぞれ収容されて構成されている。この場合、フリクションプレート211はクラッチシェル213に、クラッチプレート212はクラッチハブ214にそれぞれ嵌め込まれた状態で保持されている。
これらのうち、フリクションプレート211を保持するクラッチシェル213は、前記プライマリードライブギア114aに噛み合うプライマリードリブンギア215に一体的に固定されてプライマリードライブギア114a、すなわち、クランクシャフト114とともに一体的に回転駆動する。また、クラッチプレート212を保持するクラッチハブ214は、メインシャフト241に一体的に連結されており、メインシャフト241およびクラッチプレート212とともに一体的に回転駆動する。
また、交互に配置されたフリクションプレート211およびクラッチプレート212の外側には、クラッチスプリング216の弾性力によってフリクションプレート211とクラッチプレート212とを挟んだ状態で押圧して密着させる一対のプレッシャプレート217a,217bがそれぞれ設けられている。これらのプレッシャプレート217a,217bのうち、プレッシャプレート217bの外側(図示右側)には、可動クラッチリフター221を介して固定クラッチリフター220が対向配置されている。固定クラッチリフター220は、後述するシフトスピンドル230の回転駆動に連動して構成部品の一部が回転することにより可動クラッチリフター221を介してプレッシャプレート217bをクラッチスプリング216の弾性力に抗する方向に押圧する機械装置である。また、可動クラッチリフター221は、固定クラッチリフター220における前記回転部品に一体的に固定されて同固定クラッチリフター220の外側に延びるバー部材である。
すなわち、クラッチ210は、フリクションプレート211とクラッチプレート212とが密着することによりクラッチシェル213とクラッチハブ214とが一体的に回転駆動してエンジン110の回転駆動力がトランスミッション240に伝達される。また、クラッチ210は、固定クラッチリフター220が可動クラッチリフター221を介してプレッシャプレート217bを押圧してクラッチスプリング216の弾性力を弱めることによるフリクションプレート211とクラッチプレート212との密着状態の解消によってトランスミッション240に対するエンジン110の回転駆動力を遮断する。
このクラッチ210における固定クラッチリフター220には、可動クラッチリフター221およびクラッチリフターレバー222を介してシフトスピンドル230が連結されている。クラッチリフターレバー222は、可動クラッチリフター221とシフトスピンドル230とを連結するバー部材であり、一方の端部が可動クラッチリフター221に連結されるとともに他方の端部がシフトスピンドル230に一体的に固定されている。
これらの可動クラッチリフター221とクラッチリフターレバー222とは、クラッチ駆動遊びL1を介して遊動的に連結されている。より具体的には、可動クラッチリフター221の端部には貫通孔221aが形成されているとともに、クラッチリフターレバー222の端部には貫通孔221aの孔径より小径のボス222aが突出した状態で設けられている。そして、クラッチリフターレバー222の端部に形成されたボス222aが可動クラッチリフター221の端部に形成された貫通孔221a内に可動的に嵌め込まれている。なお、クラッチ駆動遊びL1は、トランスミッション240のシフトアップおよびシフトダウンの各変速動作に対応してボス222aの両側に形成されている。
シフトスピンドル230は、車両の操縦者によるシフトアップまたはシフトダウンの変速操作に基づいてそれぞれ対応する回転方向にそれぞれ回転駆動する軸体であり、一方の端部がクラッチリフターレバー222および可動クラッチリフター221を介して固定クラッチリフター220に連結されるとともに、他方の端部がシフトスピンドル駆動モータ231に連結されている。シフトスピンドル駆動モータ231は、ECU300による作動制御により回転駆動する電動機である。すなわち、固定クラッチリフター220は、シフトスピンドル駆動モータ231によりシフトスピンドル230が回転駆動した場合であっても、クラッチ駆動遊びL1が解消されるまでの間、作動を開始することはない。
トランスミッション240は、エンジン110から発生した回転駆動力を複数の変速段(例えば、4段変速)で変速して駆動輪に伝達するための機械装置である。このトランスミッション240は、クラッチ210を介してエンジン110のクランクシャフト114に繋がるメインシャフト241と、駆動輪に繋がるカウンターシャフト242(図3においては不図示)とが互いに平行配置されるとともに、これら2つのメインシャフト241とカウンターシャフト242との間に互いに変速比の異なる複数の変速段を構成する複数のギア列が設けられて構成されている。このメインシャフト241とカウンターシャフト242との間設けられた複数のギア列は、それぞれメインシャフト241に設けられた複数のメインシャフトギア241aとカウンターシャフト242に設けられた複数のカウンターシャフトギア242aとでそれぞれ構成されており、これらのメインシャフトギア241aとカウンターシャフトギア242aとは、互いに対向するギア同士が対を構成して常に噛み合っている。
また、この対を構成する一方のメインシャフトギア241aまたはカウンターシャフトギア242aがメインシャフト241またはカウンターシャフト242に対して固定的に支持されているとともに、同対を構成する他方のカウンターシャフトギア242aまたはメインシャフト241がカウンターシャフト242またはメインシャフト241に対して軸線方向にスライド変位可能に支持されている。また、メインシャフトギア241aおよびカウンターシャフトギア242aは、1つの変速段を構成する互いに隣り合うメインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士に互いに嵌合し合うドッグ243aと嵌合穴243bとが互いに対向する側面に形成されている。これにより、1つの変速段を構成する互いに隣り合うメインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士がメインシャフト241およびカウンターシャフト242上で互いに連結および分離するように構成されている。
互いに連結および分離するメインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士の外側には、シフトフォーク244が設けられている。シフトフォーク244は、スライド変位可能なメインシャフトギア241aおよびカウンターシャフトギア242aを軸線方向に押圧する部品であり、メインシャフトギア241aおよびカウンターシャフトギア242aを包囲する二股の板状体で構成されている。このシフトフォーク244は、円柱体で構成されるとともに同円柱体の外周面に溝245aが形成されてトランスミッション240の変速段に対応する回転位置に位置決めされるシフトドラム245に支持されている。この場合、シフトフォーク244は、その一部がシフトドラム245の外周面に形成された溝245a内に嵌まり込んでおり、シフトドラム245の回転駆動によって溝245aに倣ってシフトドラム245の外周面上を軸線方向に沿ってスライド変位する。
このシフトドラム245における長手方向の一方(図示右側)の端部には、5つのシフトドラムピン246aと5つの突起を有する星型形状に形成されたインデックスプレート246bがそれぞれ設けられている。そして、シフトドラム245は、インデックスプレート246bの谷部にインデックスアーム247の先端部がインデックススプリング247aによって押圧されることによって回転変位が弾性的に規制されている。また、シフトドラム245のシフトドラムピン246aには、ギアシフトアーム248およびギアシフトアーム駆動レバー249を介してシフトスピンドル230が連結されている。
ギアシフトアーム248は、シフトドラムピン246aに引っ掛けられるフック248aを回転摺動可能に備えた状態でシフトスピンドル230に回転摺動可能に支持されたバー部材である。フック248aは、シフトドラムピン246aをトランスミッション240のシフトアップおよびシフトダウンの各変速動作に対応した回転方向に回転させるためにシフトドラムピン246aの両側に2つの鉤状部を有して構成されている。この場合、フック248aにおける2つの鉤状部の各先端部とシフトドラムピン246aの外周面との間には、シフト操作遊びL3がそれぞれ形成されている。一方、ギアシフトアーム駆動レバー249は、ギアシフトアーム248とシフトスピンドル230とを連結するバー部材であり、一方の端部がギアシフトアーム248に遊動的に連結されるとともに他方の端部がシフトスピンドル230に一体的に固定されている。
これらギアシフトアーム248とギアシフトアーム駆動レバー249とは、シフト操作遊びL2を介して連結されている。より具体的には、ギアシフトアーム248の端部には貫通孔248bが形成されているとともに、ギアシフトアーム駆動レバー249の端部には貫通孔248bの孔径より狭い幅で貫通孔248b側に屈曲した屈曲片249aが形成されている。そして、ギアシフトアーム駆動レバー249の端部に形成された屈曲片249aがギアシフトアーム248の端部に形成された貫通孔248b内に可動的に嵌め込まれている。なお、これらのシフト駆動遊びL2も、前記クラッチ駆動遊びL1およびシフト駆動遊びL3と同様に、トランスミッション240のシフトアップおよびシフトダウンの各変速動作に対応して屈曲片249aの両側にそれぞれ形成されている。
また、これらのギアシフトアーム248およびギアシフトアーム駆動レバー249は、シフトスピンドル230に支持されたギアシフトリターンスプリング250によって中立位置に位置決めされている。具体的には、ギアシフトリターンスプリング250は、コイルスプリングの両端部がそれぞれ直線状に延びて形成されており、これら2つの両端部が動力伝達装置200における図示しないフレームに固定された中立位置決めピン251、ギアシフトアーム駆動レバー249の屈曲片249a、およびギアシフトアーム248の貫通孔248b内に形成された屈曲片248cを挟んで設けられている。これにより、ギアシフトリターンスプリング250は、トランスミッション240における変速段を構成するギア列の変更動作時にクラッチ210をリフトアップするために図示時計回りまたは反時計回りに回転したギアシフトアーム248およびギアシフトアーム駆動レバー249を図示反時計回りまたは時計回りに逆転させて元の中立位置に戻す。なお、図4においては、トランスミッション240の変速段のシフトダウン動作時におけるクラッチリフターレバー222、ギアシフトアーム248、ギアシフトアーム駆動レバー249およびシフトドラム245の回転方向を破線矢印でそれぞれ示している。
ここで、クラッチ駆動遊びL1、シフト操作遊びL2およびシフト操作遊びL3の関係について説明しておく。本実施形態においては、クラッチ駆動遊びL1、シフト操作遊びL2およびシフト操作遊びL3は、L1<(L2+L3)の関係となるように設定されている。したがって、本実施形態における動力伝達装置200は、シフトスピンドル230の回転駆動によって先ずクラッチ210が作動を開始した後トランスミッション240が作動を開始するように構成されている。
ECU300(Engine Control Unit)は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ROMなどに予め記憶された図示しない制御プログラムに従って車両用動力伝達システム100の全体の作動を総合的に制御する制御装置である。具体的には、ECU300は、車両用動力伝達システム100が搭載される車両のハンドル301に設けられたシフトチェンジスイッチ302から出力されるシフトチェンジ制御信号に基づいて、点火プラグ112、インジェクタ118、アイドル調整弁122およびシフトスピンドル駆動モータ231の各作動を制御してトランスミッション240におけるシフトアップおよびシフトダウンの各変速動作を実行する。
なお、このECU300は、車両用動力伝達システム100だけでなく、車両用動力伝達システム100が搭載された車両の作動を総合的に制御する。したがって、ECU300は、エンジン110および動力伝達装置200を含むエンジン110の各部にエンジン110の作動制御に必要な情報(例えば、エンジン110の回転数、車速、スロットルバルブ117の開度、アイドル調整弁122の開度、排気管内の酸素量、シフトスピンドル230の回転角、シフトポジションおよびクラッチリフト量など)を取得するための図示しないセンサを備えており、これらのセンサから取得した情報に基づいてエンジン110を含む各制御対象を制御する。なお、図1においては、これらのセンサから取得した情報の経路を破線矢印によって示している。また、シフトスピンドル駆動モータ231の回転駆動によって動力伝達装置200が作動することも破線矢印で示している。
(車両用動力伝達システム100の作動)
次に、上記のように構成した車両用動力伝達システム100の作動について説明する。この車両用動力伝達システム100は、前記したように二輪自動車両における着座シートや燃料タンクの下方に配置されて、車両の操縦者(図示せず)によるシフトチェンジスイッチ302のシフトチェンジ操作によって作動する。この操縦者によるシフトアップ操作およびシフトダウン操作による車両用動力伝達システム100におけるシフトアップ動作およびシフトダウン動作はシフトスピンドル230の回転方向および同回転方向に起因する動作以外は互いに同様である。したがって、以下の作動説明においては、トランスミッション240のシフトダウン動作についてのみ説明するが、シフトアップ動作も同様である。
具体的には、車両が2段〜4段(「2速〜4速」ともいう)のうちのいずれか1つの変速段で走行中(図4参照)において、変速段を1段下げて1段〜3段(「1速〜3速」ともいう)にシフトダウンする場合、車両の操縦者はハンドル301に設けられたシフトチェンジスイッチ302を操作してECU300に対してシフトダウンを指示する。このシフトダウン操作に対する車両用動力伝達システム100におけるシフトダウン動作の過程を図5に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
操縦者によりシフトチェンジスイッチ302に対してシフトダウン操作がなされると、シフトチェンジスイッチ302はECU300に対してシフトダウンを表すシフトチェンジ制御信号であるシフトダウン制御信号を出力する(タイミングT)。ECU300は、シフトチェンジスイッチ302から出力されたシフトダウン制御信号を入力すると直ちに、アイドル調整弁122を開く側に作動させるためのアイドル調整弁制御信号をアイドル調整弁122のアクチュエータ124に出力する。これにより、アイドル調整弁122は、アクチュエータ124が弁体123を変位させることによりバイパス通路121を流通状態にする。
このシフトチェンジスイッチ302に対する操縦者によるシフトチェンジ操作に際しては、通常、予め操縦者によるアクセル操作が解除されるため、スロットルバルブ117は閉じられた状態にある。また、エンジン110のシリンダ111内は、エンジン110を停止させない所謂アイドリングに必要な程度の空気量を供給する状態にある。そして、アイドル調整弁122を開くことにより、エンジン110のシリンダ111内には、アイドリング時の空気供給量以上の空気が供給される。これにより、エンジン110は、スロットルバルブ117が閉じたことによる低回転状態から後述するクラッチ210の回転駆動力の伝達状態の解消とともに徐々に回転数が上昇する。
次に、ECU300は、シフトスピンドル駆動モータ231に対してトランスミッション240における変速段のシフトダウン動作に対応した回転方向にシフトスピンドル230を回転駆動させるための回転駆動信号を出力する。この指示に応答してシフトスピンドル駆動モータ231は、トランスミッション240のシフトダウン動作に対応した回転方向に回転駆動を開始してシフトスピンドル230を回転駆動させる。これにより、シフトスピンドル230が回転駆動すると、このシフトスピンドル230に固定されたクラッチリフターレバー222およびギアシフトアーム駆動レバー249がそれぞれ回転駆動する(図4において破線矢印参照)。
この場合、クラッチリフターレバー222と可動クラッチリフター221との間にはクラッチ駆動遊びL1があり、ギアシフトアーム駆動レバー249とギアシフトアーム248との間にはシフト操作遊びL2があり、ギアシフトアーム248に連結されたフック248aとシフトドラムピン246aとの間にはシフト操作遊びL3がある。そして、これらのクラッチ駆動遊びL1、シフト操作遊びL2およびシフト操作遊びL3の間には、L1<(L2+L3)の関係がある。したがって、車両用動力伝達システム100は、シフトスピンドル230の回転駆動後、クラッチリフターレバー222がクラッチ駆動遊びL1を詰めるロストモーションの後、先ず、クラッチ210におけるフリクションプレート211とクラッチプレート212とが離隔、すなわちクラッチ210のリフト量が増加し始める(タイミングT)。
一方、トランスミッション240は、ギアシフトアーム駆動レバー249がシフト操作遊びL2を詰めるロストモーション、および同シフト操作遊びL2が詰められるロストモーションに続くギアシフトアーム248に連結されたフック248aがシフト操作遊びL3を詰めるロストモーションを経て作動を開始する。より具体的には、トランスミッション240は、シフト操作遊びL2,L3を詰める2つの連続するロストモーションの後、すなわち、クラッチ210のリフト量が増加し始めた(T)後にシフトドラムピン246aがフック248aによって引かれ始めて変速段のシフトダウン動作が開始する(タイミングT)。
このトランスミッション240における変速段のシフトダウン動作は、メインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士におけるシフトダウン前のギア列の連結状態を解消する「ギアの抜き工程」と、このシフトダウン前の連結状態とは異なるシフトダウン後のギア列の連結状態とする「ギアの連結工程」とで構成されており、これら2つの工程はインデックスプレート246bの突起が一山分だけ回転する間に行われる。
変速段のシフトダウン動作を開始したトランスミッション240は、シフトドラムピン246aおよびインデックスプレート246bの回転駆動を介したシフトドラム245の回転駆動によるシフトフォーク244のスライド変位によってギアの抜き工程が行われる。この場合、ギアの抜き工程は、互いに嵌りあうメインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士におけるドッグ243aが嵌合穴243bから抜けることにより行なわれる。
そして、このギアの抜き工程の実行時においては、アイドル調整弁122を開くことによってトランスミッション240内における減速トルク(所謂エンジンブレーキによるトルク)が減少するとともに、クラッチ210におけるリフトアップの開始によってエンジン110からトランスミッション240に伝達される回転駆動力が低下するため、ギアの抜き工程が実行し易くなっている。これにより、トランスミッション240は、クラッチ210がエンジン110からの回転駆動力を実質的にトランスミッション240側に伝達不能となる程度にまでフリクションプレート211とクラッチプレート212とが離隔した状態、すなわち、クラッチが切れる状態(タイミングT)となる前までにギアの抜き工程が完了する(タイミングT)。すなわち、トランスミッション240は、変速前の変速段を構成するギア列による駆動力の伝達状態が解消する。なお、このトランスミッション240における駆動力の伝達状態の解消と同時にカウンターシャフト242の軸トルクが抜ける。
次いで、トランスミッション240は、シフトドラム245の連続的な回転駆動によってギアの抜き工程に続けてギアの連結工程を実行する。この場合、ギアの連結工程は、シフトダウン後の変速段を構成するメインシャフトギア241a同士およびカウンターシャフトギア242a同士におけるドッグ243aを嵌合穴243bに挿し込むことにより行なわれる。そして、このギアの連結工程の実行時においては、クラッチ210は所謂クラッチが切れた状態であるとともに、アイドル調整弁122を開くことによるトランスミッション240内での減速トルクの減少によって変速段を構成するギアの連結工程が円滑に行われる。これにより、トランスミッション240における変速段のシフトダウン動作が完了する(タイミングT)。なお、本実施形態においては、図5に示すように、ギアの連結工程は、クラッチ210のリフト量が最大量に達する前に完了するが、ギアの連結工程の完了するタイミングとクラッチ210のリフト量が最大量に達するタイミングとはどちらが先であっても構わない。
そして、トランスミッション240における変速段のシフトダウン動作が完了した後、ECU300は、シフトスピンドル駆動モータ23に対して復帰を指示する制御信号を出力する。具体的には、ECU300は、シフトスピンドル駆動モータ231に対してシフトダウン動作のために回転駆動した回転量と同じ回転量をシフトダウン動作時とは逆方向に回転駆動させるための回転駆動信号を出力する。これにより、シフトスピンドル230の回転方向における位置がシフトダウン動作の前の位置に復帰するとともに、このシフトスピンドル230に固定されたクラッチリフターレバー222およびギアシフトアーム駆動レバー249もシフトダウン動作の前の位置に復帰する。
この結果、クラッチ210は、リフト量が次第に減少してフリクションプレート211とクラッチプレート212とが密着していくことにより、エンジン110からの回転駆動力が伝達される状態、すなわち、クラッチが入る状態への移行を開始する(タイミングT)。このクラッチ210におけるクラッチが入る状態への移行過程においては、エンジン110と車両の駆動輪とが次第に連結された状態となるため、エンジン110の回転数も次第に増加する。
そして、クラッチ210におけるフリクションプレート211とクラッチプレート212とが完全に密着してエンジン110と車両の駆動輪とが連結した時点において、ECU300は、アイドル調整弁122を閉じる側に作動させるためのアイドル調整弁制御信号をアイドル調整弁122のアクチュエータ124に出力する(タイミングT)。これにより、アイドル調整弁122は、アクチュエータ124が弁体123を変位させることによりバイパス通路121の開度を減少させてシリンダ111内へのバイパス通路121からの空気の供給量を減少させる。これにより、バイパス通路121およびアイドル調整弁122を介したシリンダ111への空気の供給によるトランスミッション240内における減速トルク(所謂エンジンブレーキによるトルク)の減少状態が解消されて、車両用動力伝達システム100における一連のシフトダウン動作が完了する。なお、この場合、ECU300がアイドル調整弁122を閉じる量は、このシフトダウン操作に際してアイドル調整弁122を開いた量に対応しており、エンジン110のアイドリングに必要な空気の供給量が確保される量である。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、車両用動力伝達システム100は、トランスミッション240のシフトダウン動作時におけるメインシャフト241とカウンターシャフト242との間の駆動力の伝達の遮断を開始する前にエンジン110におけるアイドル調整弁122によってシリンダ111への吸気量を増大させている。これにより、トランスミッション240は、シフトダウン動作に際してアイドル調整弁122の作動によってトランスミッション240内における減速トルク(所謂エンジンブレーキによるトルク)が減少するため、変速段を構成するギア列の変更工程が行い易くなる。すなわち、本発明に係る車両用動力伝達システム100は、トランスミッション240におけるシフトアップやシフトダウンなどの変速動作時において、クラッチ210における駆動力の伝達状態に拘らずトランスミッション240における変速段を構成するギア列の変更動作を開始させることができる。この結果、クラッチ210における駆動力の伝達を遮断した後にトランスミッション240における変速動作を開始する従来の動力伝達装置に比べて迅速にトランスミッション240における変速動作を完了することができるとともに、この変速動作時に操縦者に与える所謂トルク抜けによる不快感を軽減することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、シフトスピンドル230は、シフトスピンドル駆動モータ231によって回転駆動するように構成されている。しかし、シフトスピンドル230は、車両の操縦者の手足による手動操作によって機械的に回転駆動させることもできる。この場合、ECU300は、シフトスピンドル230の回転角度を検出することによりアイドル調整弁122の作動を上記実施形態と同様に制御することもできる。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、トランスミッション240によるシフトダウン動作に先駆けてアイドル調整弁122を開くとともにクラッチ210におけるリフトアップを開始するように構成した。しかし、車両用動力伝達システム100は、トランスミッション240によるシフトダウン動作に先駆けてアイドル調整弁122を開くように構成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、例えば、トランスミッション240によるシフトダウン動作開始後にクラッチ210におけるリフトアップを開始するように構成することもできる。
すなわち、上記実施形態においては、クラッチ駆動遊びL1の量は、シフト操作遊びL2,L3の合算量よりも少なく設定した。これにより、シフトスピンドル230の回転駆動によって、先ず、クラッチ210が作動した後にトランスミッション240が作動を開始する。しかし、車両用動力伝達システム100は、前記したように、トランスミッション240によるシフトダウン動作に先駆けてアイドル調整弁122を開くように構成であればよいため、トランスミッション240によるシフトダウン動作開始後にクラッチ210におけるリフトアップを開始する構成とすることができる。この場合、クラッチ駆動遊びL1の量は、シフト操作遊びL2,L3の合算量より大きく設定することになる。なお、シフト操作遊びL2,L3は、必ずしも2つの遊びで構成される必要はなくシフト操作遊びL2またはシフト操作遊びL3で構成されていてもよいし、3つ以上の遊びで構成されていてもよい。また、クラッチ駆動遊びL1も2つ以上の遊びで構成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、クラッチ210における駆動力の遮断が完了する前にトランスミッション240におけるメインシャフト241とカウンターシャフト242との間の駆動力の遮断が完了するように構成されている。これにより、クラッチ210における駆動力の伝達を遮断した後にトランスミッション240における変速動作を開始する従来の動力伝達装置に比べてより迅速にトランスミッション240における変速動作を完了することができるとともに、この変速動作時に操縦者に与える所謂トルク抜けによる不快感を軽減することができる。しかし、車両用動力伝達システム100は、クラッチ210における駆動力の遮断の完了後にトランスミッション240におけるメインシャフト241とカウンターシャフト242との間の駆動力の遮断が完了するように構成することができることは当然である。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、クラッチ210における駆動力の遮断が完了する前にアイドル調整弁122によってシリンダ111への吸気量を増加させている。このため、クラッチ210における駆動力の遮断が完了する前、すなわち、クラッチ210が完全にまたは不完全に繋がった状態において、トランスミッション240における変速段を構成するギア列の変更動作を開始することができ、従来の動力伝達装置に比べて迅速にトランスミッションにおける変速動作を完了することができる。しかし、車両用動力伝達システム100は、クラッチ210における駆動力の遮断が完了した後にアイドル調整弁122によってシリンダ111への吸気量を増加させるように構成することもできる。これによれば、少なくとも、変速後の変速段を構成するギアの連結工程を円滑に行なうことができる。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、クラッチ210における駆動力の伝達が復帰した後にアイドル調整弁122によるシリンダ111への吸気量を減少するように構成されている。これにより、トランスミッション240における変速後の変速段を構成するギアの連結工程後にクラッチ210における駆動力の伝達が再開される際のフリクションプレート211とクラッチプレート212との回転数の差を少なくすることができ、クラッチ210の接続を円滑に行なうことができる。しかし、アイドル調整弁122によるシリンダ111への空気の供給、すなわち、アイドル調整弁122を開くことによるトランスミッション240内での減速トルクの減少状態は、トランスミッション240におけるギアの抜き工程、ギアの連結工程およびクラッチ210の接続工程の少なくとも1つの工程で行なわれることにより各工程を円滑に行なうことができる。したがって、アイドル調整弁122によるシリンダ111への吸気量を減少は、例えば、クラッチ210がエンジン110からの回転駆動力を実質的に伝達する状態となるとき(タイミングT7’)に行うように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、エンジン110のシリンダ111内にスロットルバルブ117をバイパスして空気を供給するアイドル調整弁122を、主として弁体123とアクチュエータ124とで構成した。すなわち、アイドル調整弁122が、本発明に係るアイドル吸気量調整機構に相当する。しかし、このアイドル吸気量調整機構は、スロットルバルブ117をバイパスしてシリンダ111内に供給する空気量を調整できる構成であれば、上記実施形態に限定されるものではなく他の構成を採用できることは当然である。
また、上記実施形態においては、車両用動力伝達システム100は、アイドル調整弁122を開いた後、エンジン110の回転数の上昇のし始めは、トランスミッション240における変速前の変速段を構成するギア列による駆動力の伝達状態が解消した後に設定されている(タイミングT)。しかし、アイドル調整弁122を開いた後、エンジン110の回転数を上昇させ始めるタイミングは、バイパス通路121の内径やアイドル調整弁122の開度を適宜設定することにより自由に設定することができる。例えば、エンジン110の回転数を上昇させ始めるタイミングは、アイドル調整弁122を開いた後、クラッチ210のリフトアップする前、またはトランスミッション240における変速前の変速段を構成するギア列のギアの抜き工程の開始前に設定することもできる。
L1…クラッチ駆動遊び、L2,L3…シフト操作遊び、
100…車両用動力伝達システム、
110…エンジン、111…シリンダ、112…点火プラグ、113…ピストン、114…クランクシャフト、114a…プライマリードライブギア、115…吸気バルブ、116…吸気管、117…スロットルバルブ、118…インジェクタ、121…バイパス通路、122…アイドル調整弁、123…弁体、124…アクチュエータ、
200…動力伝達装置、201…クラッチケース、
210…クラッチ、211…フリクションプレート、212…クラッチプレート、213…クラッチシェル、214…クラッチハブ、215…プライマリードリブンギア、216…クラッチスプリング、217a,217b…プレッシャプレート、
220…固定クラッチリフター、221…可動クラッチリフター、221a…貫通孔、222…クラッチリフターレバー、222a…ボス、
230…シフトスピンドル、231…シフトスピンドル駆動モータ、
240…トランスミッション、241…メインシャフト、242…カウンターシャフト、243a…ドッグ、243b…嵌合穴、244…シフトフォーク、245…シフトドラム、245a…溝、246a…シフトドラムピン、246b…インデックスプレート、247…インデックスアーム、247a…インデックススプリング、248…ギアシフトアーム、248a…フック、248b…貫通孔、248c…屈曲片、249…ギアシフトアーム駆動レバー、249a…屈曲片、250…ギアシフトリターンスプリング、251…中立位置決めピン、252…プリロードスプリング、
300…ECU、301…ハンドル、302…シフトチェンジスイッチ。

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、燃焼室に繋がる吸気通路にスロットルバルブを有するとともに同スロットルバルブをバイパスするバイパス通路に前記燃焼室への吸気量を前記スロットルバルブとは別に調整するアイドル吸気量調整機構を有したエンジンと、
    前記エンジンによる駆動力によって回転駆動するメインシャフトと前記車両の駆動輪に連結されるカウンターシャフトとの間に互いに変速比の異なる複数の変速段を構成する複数のギア列が設けられて前記エンジンの回転速度を変速しつつ前記駆動力を前記駆動輪に伝達するトランスミッションと、
    前記エンジンから伝達される前記駆動力によって回転駆動するフリクションプレートと前記トランスミッションに連結されて前記駆動力を受けるクラッチプレートとを密着および離隔させることによって前記エンジンの駆動力を前記トランスミッションに伝達および遮断するクラッチと、
    前記エンジンにおける前記アイドル吸気量調整機構を制御する制御手段とを備えた車両用動力伝達システムにおいて、
    前記制御手段は、
    前記トランスミッションの変速動作に際して、前記メインシャフトと前記カウンターシャフトの間の前記駆動力の遮断の開始よりも前に、前記アイドル吸気量調整機構による前記燃焼室への吸気量を増加させることを特徴とする車両用動力伝達システム。

  2. 請求項1に記載した車両用動力伝達システムにおいて、
    前記トランスミッションは、
    前記クラッチにおける前記駆動力の遮断が完了する前に前記メインシャフトと前記カウンターシャフトの間の前記駆動力の遮断を完了することを特徴とする車両用動力伝達システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載した車両用動力伝達システムにおいて、
    前記制御手段は、
    前記クラッチにおける前記駆動力の遮断が完了する前にアイドル吸気量調整機構による前記燃焼室への吸気量を増加させることを特徴とする車両用動力伝達システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した車両用動力伝達システムにおいて、
    前記制御手段は、
    前記クラッチにおける前記駆動力の伝達が復帰した後にアイドル吸気量調整機構による前記燃焼室への前記増加させた吸気量を減少させることを特徴とする車両用動力伝達システム。
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