JP5794886B2 - スプリンクラヘッド - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の技術は、加熱されることで分割ケーシングの隙間部分から易融性物質(半田)が流出し、通常時にスプリンクラヘッドから消火水が放出するのを止めている感熱作動部が本体から脱落し、スプリンクラヘッドから消火水が放出されるようになっている。
すなわち、本発明に係るスプリンクラヘッドは、第1の隙間の近傍の半田が確実に溶融し、スプリンクラヘッドの放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の概要構成を説明するための断面図である。図1を参照して、スプリンクラヘッド100の構成について説明する。
スプリンクラヘッド100は、スプリンクラヘッド100に供給される消火水が流れる配管に接続されるヘッド本体10、ヘッド本体10に接続されるフレーム20、ヘッド本体10を塞ぐ弁体30、スプリンクラヘッド100から放出される消火水を拡散する散水部40及び放水動作をしないときに弁体30を支持する弁体支持機構50を備えている。
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100は、弁体支持機構50に設けられた半田55の流出経路に改良が加えられたものである。
なお、スプリンクラヘッド100が放水動作をしないときを通常時又は監視状態時と称するものとする。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。さらに、以下の図面における上下は、紙面から見た上下と対応している。
ヘッド本体10は、消火水が流れる給水管に接続され、当該給水管からヘッド本体10を介してスプリンクラヘッド100内に消火水が供給されるものである。ヘッド本体10は、消火水を放水するための放水口12を有している。ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の下側の内周部には、フレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。
フレーム20は、円筒状に形成され、ヘッド本体10に接続されるものである。フレーム20の上部の外周部には、ねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
弁体30は、通常時にヘッド本体10の開口部11から消火水が放出されることを防止するものである。この弁体30は、弁体支持機構50によって支えられている。
散水部40は、弁体30の下部に固定されるデフレクタ41、デフレクタ41に接続されるガイドロッド42、及びガイドロッド42に接続され、放水動作時に係止段部22に引っかかるまで下降するストッパリング43を備えている。
デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されている。
弁体支持機構50は、通常時において弁体30がヘッド本体10の開口部11を塞ぐように、弁体30を支持するものである。弁体支持機構50は、熱を半田55に伝達する感熱部51、フレーム20の下部に設けられるボール保持機構60、各種部品同士を固定するものであるセットスクリュー65を備えている。
感熱部51は、熱により溶融する半田55、半田55を押圧するピストン52、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を半田55に伝達させる感熱板72、感熱板72の熱を効率的に半田55に伝達させるための断熱材54、及び半田55が収容されるシリンダー53を備えている。
半田55は、火災時に発生する熱により溶融する。半田55は、ドーナツ形状として説明するが、それに限定されるものではない。この半田55は、ピストン52の上部から挿入され、後述するピストン52のフランジ52b上に設置される。
なお、ピストン52はこのようにセットスクリュー65と結合して固定されている一方で、フランジ52bが、断熱部材54、感熱板72、シリンダー53、及び半田55を介してバランサー63に押圧されている。すなわち、半田55は、ピストン52のフランジ52bと、シリンダー53とによって押圧されている。
また、感熱板72は、断熱材54を介してバランサー63に押圧されているため、感熱板72はシリンダー53の上部を押圧する。これにより、感熱板72は、半田55が溶融するとシリンダー53とともに下降し、ピストン52のフランジ52bで半田55を押圧する。
さらに、感熱板72は、図2(a)に図示されるように、感熱板72の内径が円筒部52aの外径よりも大きくなっているため、円筒部52aとの間に隙間72a(第2の隙間)が形成されている。この隙間72aは、後述の断熱材54の溝部54aと連通するとともに、シリンダー53の隙間53e(第1の隙間)と連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aから外部に流出可能となっている。
この断熱材54の下部には、図2(a)〜図2(d)に図示されるように、断熱材54の内側面と外側面とを連通するように形成された溝部(流出部)54aが形成されている。そして、溝部54aは、感熱板72の隙間72a及びシリンダー53の隙間53eに連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aから外部に流出可能となっている。
なお、図2では、断熱材54に溝部54aが十字状に4つ形成された例を図示しているが、4つに限定されるものではない。また、図2(b)に図示されるように、溝部54aは、断熱材54の中心Oから、断熱材54の下面周縁に向かって直線的に形成された例を図示しているが、それに限定されるものではなく、曲線的に形成されていてもよい。
通常時においては、このシリンダー53のシリンダー上部53a及び立設部53bと、ピストン52の円筒部52a及びフランジ52bとによって形成される空間に半田55が設置される。
シリンダー上部53aの外周は、立設部53bに接続されている。また、シリンダー上部53aには、円筒部52aが挿入可能なように開口が形成されているが、このシリンダー上部53aと円筒部52aとの間には隙間53eが形成されている。これにより、半田55が溶融すると、この隙間53e及び感熱板72の隙間72aを介して断熱材54の溝部54aから外部に流出する。そして、半田55が流出すると、それに伴ってシリンダー上部53aの下面とフランジ52bとの対向間隔が小さくなる。
ここで、この立設部53bの内面と、ピストン52のフランジ52bとの間には、溶融した半田55が流出する隙間53dが形成されている。すなわち、半田55は、溶融すると、隙間53dから流出可能であるとともに、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aからも流出可能となっている。
再び、図1を参照して、スプリンクラヘッド100のボール保持機構60の概要構成について説明する。
ボール保持機構60(保持部)は、ボール61、外周側下部にボール61と接する凹部62aが形成されたスライダー62、スライダー62と弁体30との間に設けられる皿ばね32、及び半田55を押圧するバランサー63を備えている。
図3は、図1に図示されるスプリンクラヘッド100の動作説明図である。図1及び図3を参照してスプリンクラヘッド100の動作について説明する。
したがって、半田55が溶融し始めると、半田55はシリンダー53のシリンダー上部53aの下面と、ピストン52のフランジ52bの上面とによって押圧されることとなる。すなわち、シリンダー上部53aの下面と、フランジ52bの上面との対向間隔については小さくなる。そして、溶融した半田55は押圧されて、シリンダー53の立設部53bとピストン52のフランジ52bとによって形成される隙間53dから流出し、また、シリンダー53の隙間53e及び感熱板72の隙間72aを介して、断熱材54の溝部54aからも流出する。
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100は、隙間53eから流出した半田55が流れ込む溝部54aを有する断熱材54を備えている。これにより、腐食ガスなどが隙間53eに流入するにあたって、腐食ガスなどは断熱材54の溝部54aを介さなければならない分、隙間53eに流入しにくくなっている。このため、隙間53eの近傍の半田が腐食しにくく、半田55が確実に溶融する。
すなわち、仮に隙間53dの近傍の半田55が腐食してしまい隙間53dから溶融した半田55の流出が妨げられても、隙間53eから溶融した半田55が流出するため、スプリンクラヘッド100の放水動作時における動作確実性をより向上させることができる。
図4は、実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200の概要構成を説明するための断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1の溝部54a、隙間72a及び隙間53eを介して半田55を腐食させる腐食ガスが侵入してしまうことを抑制するシール部材80が設けられた点で異なる。以下、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
スプリンクラヘッド200は、断熱材54の溝部54a、感熱板72の隙間72a及びシリンダー上部53aの隙間53eを介して半田55を腐食させる腐食ガスが侵入してしまうことを抑制するシール部材80が設けられている。
このシール部材80は、たとえば略円筒形状に構成するとよく、以下、シール部材80が略円筒形状であるものとして説明する。このシール部材80は、下部が感熱板72の上面と接触し、上部がバランサー63の段部63aの側部に接触して設けられている。また、このシール部材80の内部には、段部63a、断熱材54及び円筒部52aが設けられている。そして、シール部材80の内面、断熱材54の側面、感熱板72の上面、及び段部63aとによって空間Xが形成されており、半田55の流出スペースが確保されている。
なお、このシール部材80も、断熱材54と同様に、断熱素材で構成するとよい。そこで、シール部材80は、たとえばセラミック樹脂などで構成するとよい。これにより、感熱板72が受けた熱がシール部材80を介してバランサー63に逃げてしまうことを抑制することができる。
本実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200は、シール部材80を備えている。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド200は、隙間53eとスプリンクラヘッド200の設置される空間との連通が遮断され、スプリンクラヘッド200の設置される空間の腐食ガスなどが流入しなくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食しなくなる。すなわち、スプリンクラヘッド200は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド200の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
図5は、実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300の概要構成を説明するための断面図である。図6は、図5に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、図6(a)は、図5に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。また、図6(b)は、図6(a)に図示される断熱材81の下面図である。さらに、図6(c)は、図6(b)の点線Bにおける断熱材81の断面図であり、図6(d)は、図6(b)の点線Bにおける断面に対して垂直方向における断熱材81の正投影図である。
実施の形態1、2に係るスプリンクラヘッド100、200は、断熱材54の下部に溝部54aが形成されたものであるが、実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300は、断熱材81に穴部(流出部)81aが形成されている。
また、断熱材81の中間部には、断熱材81の内側面と外側面とを連通するように形成された穴部81aが形成されている。そして、穴部81aは、隙間81b、隙間72a及び隙間53eに連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e、隙間72a、及び隙間81bを介して穴部81aから外部に流出可能となっている。
なお、図6では、断熱材81に穴部81aが4つ形成された例を図示しているが、4つに限定されるものではない。
本実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300は、断熱材81を備えており、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100と同様の効果を奏する。
図7は、実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400の概要構成を説明するための断面図である。図8は、図7に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、図8(a)は、図7に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。また、図8(b)は、図8(a)に図示される断熱材82の下面図である。さらに、図8(c)は、図8(b)の点線Cにおける断熱材82の断面図であり、図8(d)は、図8(b)の点線Cにおける断面に対して垂直方向における断熱材82の正投影図である。
実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400は、溶融した半田55が流出するスペースとなる内径拡大部(流出部)82aが形成されている。
断熱材82の内側には、感熱板72の上面、断熱材82の内側面、及びピストン52の円筒部52aの側面とによって形成される空間に、溶融した半田55が流出できるように、内径拡大部82aが形成されている。この内径拡大部82aは、下端部から中央部にかけて断熱材82の内径を大きくすることで形成されたものである。したがって、内径拡大部82a、円筒部52a及び感熱板72の上面によって形成される空間は、略円筒形状である。そして、溶融した半田55は、隙間53e、隙間72aを介して内径拡大部82aに流出し、この内径拡大部82aに溜まるようになっている。
なお、内径拡大部82a、円筒部52a及び感熱板72の上面によって形成される空間は、略円筒形状(縦断面形状が四角形)となるように内径拡大部82aが形成されている場合を例に説明したが、それに限定されるものではない。すなわち、断熱材82の内部に、隙間53e、隙間72aを介して半田55が流入する空間が形成されていればよい。たとえば、下から上にいくにしたがって、断熱材82の内径が小さくなるようなテーパ状(縦断面形状が三角形)に内径拡大部82aが形成されたものでもよい。
本実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400は、内径拡大部82aが形成された断熱材84を備えている。この内径拡大部82aは、隙間53e及び隙間72aには連通しているが、スプリンクラヘッド400が設置される空間には連通していない。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド400は、隙間53eとスプリンクラヘッド400の設置される空間との連通が抑制されるので、スプリンクラヘッド400の設置される空間の腐食ガスなどが流入しにくくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食してしまうことはない。すなわち、スプリンクラヘッド400は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド400の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
図9は、実施の形態5に係るスプリンクラヘッド500の概要構成を説明するための断面図である。図10は、図9に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、図10(a)は、図9に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。図10(b)は、図10(a)に図示される感熱板83の断面図であり、図10(c)は、図10(a)に図示される感熱板83を平面視したものである。
本実施の形態5は、実施の形態1〜4の感熱板72とは異なる感熱板83を備えている。以下、本実施の形態5では、実施の形態1〜4との相違点を中心に説明するものとする。
また、シリンダー上部53aの外径の方が、断熱材84の外径よりも大きい場合には、スリット83aが、少なくとも断熱材84の外径位置よりもはみ出して形成されるとよい。これにより、はみ出し部分83bの上面側が開放されるため、溶融した半田55を当該開放部分から流出させることができる。
本実施の形態5に係るスプリンクラヘッド500は、スリット83aが形成された感熱板83を備えたものである。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド500は、隙間53eとスプリンクラヘッド500の設置される空間との連通が抑制されるので、スプリンクラヘッド500の設置される空間の腐食ガスなどが流入しにくくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食してしまうことが抑制される。すなわち、スプリンクラヘッド500は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド500の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
Claims (6)
- 棒状部を有し、当該棒状部の下端部にフランジが形成されたピストンと、
前記フランジ上に設けられた半田と、
前記棒状部の直径より大きく、当該棒状部が挿入される開口部を上部に有し、前記フランジ及び前記半田を収容したシリンダーと、
前記シリンダーの上側に設けられ、前記棒状部が挿入された断熱材とを備え、
前記断熱材は、
前記棒状部の外周面と前記開口部とによって形成される第1の隙間を介して流出した前記半田が流れこむ流出部を有し、
前記半田は、
溶融すると、前記フランジと前記シリンダーとの間から流出すると共に、前記第1の隙間を介して前記断熱材の前記流出部からも流出する
ことを特徴とするスプリンクラヘッド。 - 前記流出部は、
当該断熱材の下面に形成され、前記断熱材の内周面側と外周面側とを連通する溝である
ことを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラヘッド。 - 前記流出部は、
前記断熱材を貫通するように形成され、前記断熱材の内周面側と外周面側とを連通する穴である
ことを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラヘッド。 - 棒状部を有し、当該棒状部の下端部にフランジが形成されたピストンと、
前記フランジ上に設けられた半田と、
前記棒状部の直径より大きく、当該棒状部が挿入される開口部を上部に有し、前記フランジ及び前記半田を収容したシリンダーと、
前記シリンダーの上側に設けられ、前記棒状部が挿入された断熱材とを備え、
前記断熱材は、
前記棒状部の外周面と前記開口部とによって形成される第1の隙間を介して流出した前記半田が流れこむ流出部を有し、
前記流出部は、
前記断熱材の内部に形成され、前記第1の隙間を介して流出した前記半田が貯留可能な容積を有した空間である
ことを特徴とするスプリンクラヘッド。 - 前記シリンダーと前記断熱材とに挟まれて設けられた感熱板を備え、
前記感熱板は、
前記棒状部の外周面との間に第2の隙間が形成され、
前記第1の隙間と前記流出部とは、
前記第2の隙間を介して連通する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスプリンクラヘッド。 - 棒状部を有し、当該棒状部の下端部にフランジが形成されたピストンと、
前記フランジ上に設けられた半田と、
前記棒状部の直径より大きく、前記棒状部が挿入される開口部を上部に有し、前記フランジ及び前記半田を収容したシリンダーと、
開口形成され、当該開口に前記棒状部が挿入されながら、前記シリンダー上に設けられた感熱板と、
前記感熱板と接するように前記感熱板上に設けられ、前記棒状部が挿入された断熱材と、
を備え、
前記感熱板は、
当該感熱板の前記開口から前記感熱板の縁に向かうようにスリットが複数形成され、
当該スリットは、
一方が前記シリンダーの前記開口部と前記ピストンの前記棒状部の外周面とによって形成される第1の隙間と連通し、他方が前記断熱材の外周面の位置よりも前記感熱板の縁側に位置し、
前記半田は、
溶融すると、前記フランジと前記シリンダーとの間から流出すると共に、前記第1の隙間を介して前記感熱板の前記スリットからも流出する
ことを特徴とするスプリンクラヘッド。
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