JP5506430B2 - スプリンクラヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、スプリンクラヘッドに関する。
従来のスプリンクラヘッドには、例えば「止水手段、バランサーを有するロック手段と、感熱手段とからなるスプリンクラーヘッドにおいて、該止水手段とロック手段を収納するフレーム下端部の内向突縁の内径より大きい外径の突縁をバランサーに形成し、外部の感熱手段に衝撃が加わっても、バランサーがフレーム内へ陥没しないようにした…」ものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
ロック手段は、フレームの係止段部に係止したボール、ボールを上方から抑えるスライダー、ボールの内側への動きを規制するバランサなどから構成されている。
このスプリンクラヘッドでは、半田などの感熱体が溶融したときに、ボールと係止段部との係止状態が解除され、弁体が落下して放水するようになっているが、弁体が弁座から離れると、作動途中の漏水によって不作動を生じるおそれがあることから、ロック手段であるボールと係止段部との係止状態が完全に解除されるまでは、弁体が弁座から離れないようにしてある。
従来のスプリンクラヘッドにおいては、ボールと係止段部との係止状態が完全に解除されるまで弁体が弁座から離れないようにするために、弁体下部に変位量の大きなコイルバネを入れたり、弁体の外周にOリングを設けて、その弁体を放水筒内に設けることで、作動開始時における漏水を防止するようにしている。
特開平10−179789号公報(特許請求の範囲、図1)
変位量の大きなコイルバネを使用することは、スプリンクラヘッドの小型化を阻害する要因となっており、また、弁体に使用されるOリングは、固着の虞れあることから、スプリンクラヘッドの動作の信頼性が低下してしまうという問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、小型化が可能で、動作の信頼性が高いスプリンクラヘッドを提供することにある。
本発明に係るスプリンクラヘッドは、放水口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体に接続され、内周下端に係止段部を有するフレームと、前記放水口の下端又は内側に設けられた弁体と、前記係止段部に係止するボールと、該ボールを上から抑えると共に、前記弁体を支持するスライダーと、前記ボールの内側に設けられ、前記ボールの内側への動きを規制する段部を有するバランサとを備えたスプリンクラヘッドにおいて、前記弁体と前記スライダーとの間に、前記弁体を弁座に圧接し、前記ボールが完全に落下するまで前記弁体が前記弁座から離れることを防止する皿バネを有し、前記スライダーの外周側下部を内側に向かって下方に傾斜するテーパ状に形成し、監視状態において、該テーパ状となる傾斜面に前記ボールが接しており、動作過程において、前記バランサの下方への移動に伴って、前記ボールは、前記傾斜面に沿って内側に移動することを特徴とするものである。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドは、放水口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体に接続され、内周下端に係止段部を有するフレームと、前記放水口の下端又は内側に設けられた弁体と、前記係止段部に係止するボールと、該ボールを上から抑えると共に、前記弁体を支持するスライダーと、前記ボールの内側に設けられ、前記ボールの動きを規制する段部を有するバランサとを備えたスプリンクラヘッドにおいて、前記弁体と前記スライダーとの間に、前記弁体を弁座に圧接し、前記ボールが完全に落下するまで前記弁体が前記弁座から離れることを防止する皿バネを有し、前記スライダーの外周側下部に監視状態における前記ボールの接触面を形成するとともに、前記接触面より内側にあり、前記接触面より上方に向かって凹んでいる凹部からなるボールの逃げ部を形成し、動作過程において、前記バランサの下方への移動に伴って、前記ボールは、前記ボールの逃げ部内へと入るように移動することを特徴とするものである
本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、ボールがスライダーの内側に入り込んでバランサーに乗り上げ、フレーム係止段部との係止が解除されるときの、スライダーの軸方向の移動量(下降量)が、スライダーの内側が平らになっている場合に比べて少なくなるので、作動途中に漏れが生じにくくなる。
また、スライダーの移動量が小さいことから、変位量の大きなコイルバネを使わずに済み、皿バネのような変位量の小さいバネで十分に作動途中の漏水を防止することが可能となる。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、スプリンクラヘッドの動作時には、ボールがスライダの内周側に入り込んだ際、ボールが上方の逃げ部内へと入るように移動するので、ボールが係止段部から離れる作動自体を早め、それによりボールの移動量を減らすことで、スライダーの作動ストロークを減らすようにしてある。
本発明の実施形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。 スプリンクラヘッドの動作状態を示す断面図である。 図1のプランジャーの詳細を示した断面図である。 プランジャーの変形例(その1)を示した断面図である。 プランジャーの変形例(その2)を示した断面図である。 プランジャーの変形例(その3)を示した断面図である。 スライダーの変形例(その1)を示した断面図である。 スライダーの変形例(その2)を示した断面図である。 皿ばねの平面図、正面図、側面図、斜視図及びE−E断面図である。 ストッパリングの斜視図である。
図1は、本発明の実施形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
このスプリンクラヘッド1は、ヘッド本体10、フレーム20、弁体30、散水部40及び弁体支持機構50(ボール保持機構60)を備えている。
ヘッド本体10は、中心部が開口されている。この開口部11は、後述の放水筒16とともに放水口12を形成する。ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の上側のヘッド本体10の外周部には給水管に接続されるねじ部14が形成されており、また、フランジ13の下側の外周部には、後述するフレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。
ヘッド本体10の内側には円筒状の放水筒16が下方に突出して形成されている。また、放水筒16の下端部には、例えば、平らに形成された弁座17が形成されており、弁体30によって塞がれている。この放水筒16の下端部に、弁体30の外周が嵌るような段部を設けるようにしてもよい。なお、ヘッド本体10は、フランジ13の下側の内周部と放水筒16との間に略穴状または略リング状の空間18が形成されており、この空間18には後述のガイドロッド42が収納される。
フレーム20は、円筒状に形成されている。フレーム20の上部の内周部にはねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
弁体30は、凸状に形成されており、下部にフランジ部31を有し、このフランジ部31で、ヘッド本体10の弁座17を塞いでいる。なお弁座17にはテフロン(登録商標)シートが設けられるか、テフロン(登録商標)コーティングが施される。弁体30の下部中央には凹部32が形成され、後述のセットスクリュ−65の頭部が挿入される。弁体30は、後述する弁体支持機構50によって支えられている。
散水部40は、デフレクタ41、ガイドロッド42、ストッパリング43(及び弁体30)を備えている。
デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されており、その開口部に弁体30の下部が挿入された状態で、弁体30のフランジ部31下面に取り付けられている(固定されている)。また、デフレクタ41には、ガイドロッド42(例えば3本)が挿入される挿入穴41a(例えば3個)が設けられており、ガイドロッド42の下端は、その挿入穴41aから突出した状態でデフレクタ41に固着されている。したがって、これらの弁体30、デフレクタ41及びガイドロッド42は一体的に構成されている。
なお、弁体30へのデフレクタ41の取付状態について詳述する。弁体30は弁座17と接触し、止水を保つためのフランジ部31と、フランジ部31の下側に突出した、円筒状の脚部とを有しており、この脚部は、その上部がデフレクタ41の中央開口部(穴)よりわずかに小径の溝部となっており、溝部の下側がデフレクタ41の中央開口部の穴径よりもわずかに大径の円筒形状となっている。このため、デフレクタ41は、弁体30への接続箇所(溝部)で、回動可能な状態となっている。
ガイドロッド42の上端にはストッパ用の拡径された段部42aが形成されており、ガイドロッド42にはドーナツ状に形成されたストッパリング43が上下動可能なように取り付けられる(図10参照)。
ストッパリング43には、ガイドロッド42を挿通させるための挿通穴(例えば3つ)が設けられており、この挿通穴により、ストッパリング43は、放水動作時に、ガイドロッド42に摺動して係止段部22まで移動可能となるようにガイドロッド42に取り付けられている。見方をかえると、ガイドロッド43は、放水動作時に、ストッパリング43の挿通穴に沿って下方に移動可能となるようにストッパリング43に取り付けられている。なお、この挿通穴は、段部42aより小さく形成されている。このストッパリング43は、通常時は、デフレクタ41上に設置され、フレーム20の高さ方向のほぼ中間であって、フレーム20に設けたスリットに対向する位置に設けられている。なお、このスリットは、必ずしもストッパリング43と対向する位置に設けなくてもよい。
通常時は、ストッパリング43の下面は、コイルばね44に押圧されてデフレクタ41の上面にほぼ重なる位置にあるが、放水動作時には、デフレクタ41とガイドロッド42が下降し、ガイドロッド42の上端の段部42aは、ストッパリング43にあたるまで下降する(図2(c)参照)。ストッパリング43の外径は、フレーム20の係止段部22の内径よりも大きく形成され、放水動作時に、弁体支持機構50が落下すると、ストッパリング43は、コイルバネ44に押されてフレーム20の係止段部22まで下降する。
なお、コイルバネ44は、フレーム20の内周面に接するような大きさ(外径)を有しており、ヘッド本体10の外周部の下方とストッパリング43の外周部との間に設けられており、コイルバネ44の設置には大きなスペースがいらないようになっている。
ストッパリング43の中央に設けた穴の内径は、放水筒16の外径よりわずかに大きく形成されている。そしてストッパリング43は、内周の一部を切欠溝を介して上方に折り曲げることで、断面L字形状のガイド部材43aが内周側の例えば3カ所に設けられている。ストッパリング43は降下する際には、このガイド部材43aにより、ヘッド本体10の下部に形成された放水筒16の外周にガイドされる。ストッパリング43がバランスよく降下できるように、ガイド部材43の数やピッチは適宜設定される。
弁体支持機構50は、感熱部51、ボール保持機構60、皿バネ64及びセットスクリュー65を備えている。
感熱部51は、プランジャー52、感熱板53及び断熱材54を備えている。
プランジャー52は、円筒状に形成され、下部にフランジ部52aが形成されている。また、フランジ部52aは、その下面が感熱板53下面より突出して形成されている。プランジャー52の内部には、雌ねじ52bが形成され、セットスクリュー65の脚部にある雄ねじがねじ込まれ両者は結合している。プランジャー52の上部からドーナツ状の感熱体(例えば半田等)55が挿入され、プランジャー52のフランジ52a上に載っている。この感熱体55の上部に、円板状であって、断面クランク型の感熱板53が設けられている。即ち、この感熱板53は、プランジャー52のフランジ部52aに設けられた感熱体55を覆う突部53aと、この突部53aに連続し、ヘッド本体10の軸芯に対して直交する方向に延びた円板部53bとを備えている。そして、感熱板53には、後述するボール保持機構60によって感熱体55を圧縮するように力がかかっている。
感熱板53の上部には、ドーナツ状の断熱材54が設けられ、感熱板53で受熱した熱が後述するバランサー63側に逃げないようにしてある。なお、図1に示すように、断熱材54と感熱板53との間には、径の大きい別の感熱板を必要に応じて設けるようにしてもよい。
ボール保持機構60は、ボール61、スライダー62、バランサー63及び皿ばね64を備えている。なお、バランサー63は感熱体55を圧縮する機能を有することからピストンに相当する。
ボール61の外周下部は、フレーム20の係止段部22に係止されている。この状態で、ボール61を上から押さえるのがスライダー62であり、スライダー62からボール61に力がかかることで、ボール61には内側に入り込む方向に力が作用する。
バランサー63は、ボール61の内側に設けられ、この内側に入りこもうとするボール61の動きを規制する。スライダー62及びバランサー63ともに円板状に形成され、中央には貫通穴があり、バランサー63の貫通穴にはプランジャー52が貫通している。プランジャー52の外径は、バランサー63の貫通穴の内径よりもわずかに小さく、両者は結合していない。またスライダー62の貫通穴の内径は、のセットスクリュー65の脚部の外径よりもわずかに大きく形成され、両者は結合していない。
バランサー63は、貫通穴を有する筒部と、その筒部の上方に設けられた円板部とを組み合わせた形状となっている。バランサー63の外周下部には段部が形成されている。この外周下部の段部は、フレーム20の係止段部22の内周下部にある段部に、当接するように構成されており、バランサー63の下側から外力がかかった場合には、この部分で衝撃を吸収する。また、バランサー63の筒部の下部であって中央の貫通穴の周りには、断熱材54がはまる段部63aが突出し、バランサー63の円板部の上部には、ボール61があたるボール受け用の段部63bが突出して形成されている。
スライダー62の外周側下部には凹部62aが形成され、その凹部62aのボール61が接する面は、下方に向かって内側に傾斜するようにテーパ状(傾斜部)に形成されている。
上述のように、ボール61には、常に内側に移動するように力がかかるので、バランサー63を下方に、またスライダー62を上方に移動させるように力が作用する。従って、感熱体55である半田が溶融して流出すれば、バランサー63が下方に移動し、それに伴って、ボール61が内側に入り込み、フレーム20の係止段部22との係止状態が解除されるので、ボール保持機構60は感熱部51と共に落下する。ボール保持機構60が落下すれば、それに伴って、散水部40を構成する弁体30、ストッパリング43等が落下して、放水が行われることになる。
セットスクリュー65は、拡径された頭部と細径の脚部とからなるボルトであって、その脚部の下部がプランジャー52の上部と結合することで、ボール保持機構60としてのバランサー63、スライダー62及び感熱部51を一体化している。
皿バネ64は、図9に示すように、中央に貫通穴64aのあるものが使用される。そして、中央の貫通穴64aから均等に60°の間隔で放射状にスリット64bが設けられている。またスリット64b間には、貫通穴64cが設けられている。この皿バネ64は、例えば3枚上下方向に組み合わせ、弁体30とスライダー62との間に配置される。なお、この皿バネ64の詳細は後述する。
皿バネ64は、貫通穴64a内にセットスクリュー65が挿通されて、弁体30とスライダー62との間に設けられる。つまり、皿バネ64の貫通穴64aは、セットスクリュー65の頭部の外径とほぼ同じか、それより少し大きく形成されている。また、セットスクリュー65の頭部の高さは、積層された複数枚の皿バネ64の自由高さよりも大きく形成されており、皿バネ64を重ね合わせた際にガイドの役割を果たす。セットスクリュー65の頭部の高さが低いと、組み立て時に、皿バネ64を必要以上に潰すと機能しなくなることから、そのようなことがない程度にセットスクリュー65の頭部の高さを設定することで、安定した状態で皿バネ64を保持することが可能となる。
上記のようなスプリンクラヘッド1には、図1の状態においては、放水口12の消火水の水圧や部品の組立荷重がボール61に作用し、ボール61は内側(中心側)に移動しようとするが、ボール61は、バランサー63によってその移動が阻止されており、ボール保持機構60はボールを保持している。そして、この状態においては、皿バネ64が弁体30を上方に押圧しており、弁体30がヘッド本体10の放水口12を封止している。このため、スプリンクラヘッド1には、加圧された消火水が供給されるが、消火水は漏れない。また、散水部40は、弁体30にデフレクタ41が固定され、デフレクタ41にガイドロッド42が固定されており、弁体30が放水口12を封止している状態では、ガイドロッド42がヘッド本体10の空間18に収納された状態になっている。
図2(a)〜(d)はスプリンクラヘッド1の動作過程を示した図である。
スプリンクラヘッド1の監視状態においては、ヘッド本体10の放水口12には加圧された消火水が供給されており、弁体30には消火水の圧力が加えられている(図1参照)。火災が発生し、その熱気流が感熱板53に当たると加熱され、感熱板53の熱は感熱体55へ伝播する。そして、感熱体55が周囲から加熱されて溶融し始めると、溶融した感熱体55はプランジャー52と感熱板53(突部53a)との間に形成された隙間から流出してその体積が減少する(図2(a))。
このときバランサー63によって上方から押されたボール61が内側に移動することになるが、ボール61が移動しても弁体30は弁座17に圧接されて、放水口12を塞いだ状態を維持する。これは、皿バネ64の作用によるもので、皿バネ64を複数枚重ねることで、皿バネ64が弁体30によるシールを維持できるだけの所定量のストロークを有するためである。こうしてボール保持機構60が完全に落下するまで弁体30が弁座17から離れるのを防止して、確実に動作できるようにしている。
感熱体55が溶融して外部に流出すると、感熱板53は感熱体55の流出量に対応して降下する。感熱板53が降下すると、感熱板53の上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の段部63bを越えて内側に移動し、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれる。それによって、弁体30及び弁体支持機構50は降下する(図2(b))。
弁体30の下に配置されている皿バネ64を含む弁体支持機構50は落下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下する。ガイドロッド42が降下すると、その上部にある段部42aがストッパリング43に係止され、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22に係止され、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる(図2(c))。
本実施の形態では、放水動作時において、デフレクタ41は、ガイド部材43aによりガイドされながらガイドロッド42と共に下降するので、デフレクタ41の下降動作が円滑に行われる。またストッパリング43をフレーム20の高さ方向のほぼ中間に設けることで、ストッパリング43自体の下降量も減らせるので、放水時の動作がスムーズになる。
ところで、ストッパリング43のガイド部材43aは、上方に折り曲げられており、このため、放水時の散水障害となりにくい。この点について説明すると、従来のガイド部材は、下方に折り曲げられていたものがあるが、この場合、ガイド部材の長さが長かったり、太かったりすると、放水時、弁体にあたった水が反射する際など、ガイド部材に水があたって、ガイド部材が散水の障害となっていた。つまり、ガイド部材43aを上方に折り曲げ、放水時における弁体30との距離を離すことで、ガイド部材43aが散水障害となるのを防止できる。
以上のようにして弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する(図2(d))。
次に、本発明のスプリンクラヘッドを構成する各部品であるプランジャー52、スライダー62及び皿ばね64の特徴部分についてそれぞれ詳細に説明する。
(プランジャー52)
図1のプランジャー52は、上記のように、その先端部が感熱板53よりも下方に突出して設けられている。図1からその該当部分を抽出すると、図3に示されるようになるが、何らかの物がスプリンクラヘッド1にぶつかった場合(特に下方から)には、プランジャー52がこのように突出しているので、その物がプランジャー52に当たり、感熱板53に、その物が当たるのが避けられる。プランジャー52は、感熱板53に比べてその剛性が高くなるような部材で構成されているので、変形するおそれがない。このため、プランジャー52が感熱板53に食い込むようなおそれがなく、作動不良が起きない。
また、プランジャー52は、その上端部がバランサー63の上端までの長さを有し(図1参照)、セットスクリュー65がプランジャー52と結合しており、剛性が高くなっている。このため、スプリンクラヘッド1に対して横方向からの外力が加わったとしても、プランジャー52又はセットスクリュー65が変形するおそれがなく、作動不良が起きない。特に、バランサー63の外周下部にある段部は、係止段部22の内周下部にある段部と係止しているので、横方向や下方向からの外力に強く、受けた外力はフレーム2へと伝わる。
次に、スプリンクラヘッド1に対して斜め下方からの外力に対処したプランジャー52の構成例を図4〜図6に基づいて説明する。
図4は、プランジャー52の下端にあるフランジ部52aの上部に拡径された段差52cを設けた例である。言い換えると、フランジ部52aの下部に縮径された段差を設けた例である。
プランジャー52のフランジ部52aに、このような段差52cを設けたことにより、外力は、まず角部(B点)にあたることから、下方及び斜め下方の外力により角部(A点)が変形することを防ぐことができる。また、角部(B点)はそれが仮に変形しても、その変形部分の上部側に拡径した段部52cが形成されていることから、その変形部分が、プランジャー52と感熱板53との間に形成されている隙間52dを塞いだり、変形によりプランジャー52と感熱板53がかみ合い、結合するおそれがなく、作動性に影響を与えない。
図5(A)(B)は、プランジャー52のフランジ部52aの下端に角を丸めたR面52e又はテーパー(面取りC面)52fを設けた例である。
プランジャー52はフランジ部52aのその下端を、このようなフランジ部52aの上部よりも細径となる形状にしたことにより、下方及び斜め下方からの外力により下端部が仮に変形したとしても、その変形部分が隙間52dを塞いだり、変形によりプランジャー52と感熱板53がかみ合い、結合するおそれがなく、作動性に影響を与えない。
図6は、プランジャー52のフランジ部52aの上部に段差を設けるとともに、その下部にテーパー52gを設けた例であり、図4と図5(B)の形状を組み合わせた形状になっている。プランジャー52は、フランジ部52aの部分をこのような形状にしたことにより、下方及び斜め下方からの外力により、フランジ部52a下端部が仮に変形したとしても、その変形部分が隙間52dを塞いだり、変形によりプランジャー52と感熱板53がかみ合い、結合するおそれがなく、作動性に影響を与えない。
このように本発明のプランジャー52は、フランジ部52aの下端に段差又はテーパー面若しくはR面を備えることで、下方及び斜め下方からの外力により下端部が仮に変形したとしても、フランジ部52aの下部側と感熱板53の突部53aとが所定の間隙を介して配置されるので、言い換えれば、フランジ部52aの下部側が所定の間隙を介して感熱板53の突部53aと内接するように配置される位置関係を維持するので、感熱板53に外力がかかって変形しても作動性に影響を与えない。なお、間隙には半田を充填するようにしてもよい。
(スライダー62)
まず、スライダー62、ボール61などからなるボール保持機構60を有するスプリンクラヘッド1に求められる構成について説明する。ボール61がフレーム20の係止段部22から完全に外れる前に、弁体30が弁座17から離れると、作動途中の漏水によって不作動を生じるおそれがあることから、スプリンクラヘッド1には、弁体を支える残存荷重が必要となる。また、残存荷重を確保するためには、スライダー62の下降量(作動ストロークという)を抑える必要がある。このため、従来では、コイルバネのような変位量の大きいバネを使用することで、スライダー62の作動ストロークよりもコイルバネの変位量を大きくして、作動途中の水漏れを防止している。
本発明では、スライダー62の形状を変更することで、スライダー62の作動ストロークを小さくし、かつ、皿バネ64の形状を工夫することで、皿バネ自体の変位量を大きくして、嵩張るコイルバネを使わずに済むようにした。
ここで、図1に戻ってスライダー62の形状に着目すると、スライダー62の外周部側の凹部62aのボール61と接する面はテーパーが形成されており、このテーパー面がボール61と接触している。
スライダー62はこのような形状が採用されたことにより、ボール61がスライダー62の内側に入り込んでバランサー63に乗り上げるときの、スライダー62の軸方向の移動量(作動ストローク)が、スライダー62の内側に凹部が設けられずに平らになっている場合(従来例)に比べて少なくて済み、このため、皿バネ64に必要な変位量、つまりボール61が係止段部22から完全に外れるまで弁体30を弁座17に圧接しておくために必要なストロークを少なくすることが可能になっている。このスライダー62の変形例を図7及び図8に基づいて説明する。
図7は、スライダー62にボールの逃げ部62bを形成した例である。逃げ部62bは、スライダー62の下面に形成された凹部から構成される。この図において、ボール61の接触面における段部形成面を開始する点(A点)の位置は、ボール中心位置よりボール半径以下の範囲でヘッド軸心側にある(Bの範囲内)。この図7において、スプリンクラヘッドの動作時には、ボール61がスライダー62の内側に入り込んだ際、ボール61が上方の逃げ部62b内へと入るように移動するので、ボール61が係止段部22から離れる作動自体を早め、それによりボール61の軸方向の移動量を減らすことで、作動ストロークを減らすようにしてある。
図8は、図7のスライダー62のボールの接触面にテーパーを形成した例である。このスライダー62は、図1のテーパー面と図7の逃げ部62bとを組み合わせた例である。
(皿ばね64)
次に、 図1の皿ばね64について説明する。
図9(a)(b)(c)(d)(e)は、皿ばねの平面図、正面図、側面図、斜視図、及びE−E断面図である。
この皿ばね64は、中央に貫通穴64aが設けられており、この貫通穴に連続するように放射状の6本のスリット64bが設けられている。スリット間には、扇型状(三角形状で角が円弧状になった)貫通穴64cが設けられている。
この皿ばね64は、上記のように、6本のスリット64bが設けられているが、このスリット64bの個数が例えば4本のように少ないと(従来例)、応力が高くなり皿ばねが割れる、バックリングを起こす、経年変化を起こしやすいという不具合がある。また、スリット64bが10本以上あると(従来例)、荷重不足、撓み量の不足、皿ばねが元の形状に戻らない、という不具合がある。このようなことから、本実施の形態においては、スリット64bの個数を例えば6個にしている。
また、スリット64bの間に貫通穴64cが設けられているが、これは、皿ばね64にかかる応力を減らすためである。スリット64bの間に貫通穴64cが無いと、高い応力が発生して皿ばねが割れ、クラックが発生したりするという不具合がある。
また、スリット間の貫通穴64cの形状は、三角形で角を円弧状(扇型状)にしているが、これは各部にかかる応力を分散するためである。なお、この貫通穴の形状が、従来のように、長穴や四角であると応力が分散せず、大きな荷重がかかった際、皿ばねが割れることになる。
また、上記の皿ばね64の利点を別の観点から説明する。
この皿ばね64は、荷重を受ける部分と、撓む部分とに分けられる。荷重を受ける部分は、皿ばねの円周部(外周部)が相当し、撓む部分はスリット部の形状が相当する。これらの2つの部分をバランス良く変化させることで、皿バネを任意の荷重と撓み量にすることが可能になっている。更に、応力を分散させるため、割れたりバックリングが発生したりすることはない。このため、従来の皿ばねでは達成できなかった高荷重と高変位量の2つを両立している。
本実施形態においては、皿バネを、放射状のスリットと、スリット間に設けられる貫通穴とからなる断面形状が蓮根型となるものを使用して、組立荷重と、止水に必要なストロークを確保をするようしたが、スプリンクラヘッドに使用される皿バネの形状は、この形状に限定されない。例えば、組立荷重と止水に必要なストロークを有するもので、かつ耐食性を考慮したものであれば、適時1枚から複数枚の類似の皿バネを組み合わせて使用するようにしてもよい。
1 スプリンクラヘッド、10 ヘッド本体、11 開口部、12 放水口、13 フランジ、14、15 ねじ部、16 放水部、17 弁座、18 空間、20 フレーム、21 ねじ部、22 係止段部、30 弁体、31 フランジ部、32 凹部、40 散水部、41 デフレクタ、41a 挿入穴、42 ガイドロッド、42a 段部、43 ストッパリング、43a ガイド部材、44 コイルばね、50 弁体支持機構、51 感熱部、52 プランジャー、52a フランジ部、52b 雌ねじ、53 感熱板、54 断熱材、55 感熱体、60 ボール保持機構、61 ボール、62 スライダー、62a 凹部、63 バランサー、64 皿ばね、65 セットスクリュー。

Claims (2)

  1. 放水口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体に接続され、内周下端に係止段部を有するフレームと、前記放水口の下端又は内側に設けられた弁体と、前記係止段部に係止するボールと、該ボールを上から抑えると共に、前記弁体を支持するスライダーと、前記ボールの内側に設けられ、前記ボールの内側への動きを規制する段部を有するバランサとを備えたスプリンクラヘッドにおいて、
    前記弁体と前記スライダーとの間に、前記弁体を弁座に圧接し、前記ボールが完全に落下するまで前記弁体が前記弁座から離れることを防止する皿バネを有し、
    前記スライダーの外周側下部を内側に向かって下方に傾斜するテーパ状に形成し、
    監視状態において、該テーパ状となる傾斜面に前記ボールが接しており、
    動作過程において、前記バランサの下方への移動に伴って、前記ボールは、前記傾斜面に沿って内側に移動することを特徴とするスプリンクラヘッド。
  2. 放水口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体に接続され、内周下端に係止段部を有するフレームと、前記放水口の下端又は内側に設けられた弁体と、前記係止段部に係止するボールと、該ボールを上から抑えると共に、前記弁体を支持するスライダーと、前記ボールの内側に設けられ、前記ボールの動きを規制する段部を有するバランサとを備えたスプリンクラヘッドにおいて、
    前記弁体と前記スライダーとの間に、前記弁体を弁座に圧接し、前記ボールが完全に落下するまで前記弁体が前記弁座から離れることを防止する皿バネを有し、
    前記スライダーの外周側下部に監視状態における前記ボールの接触面を形成するとともに、前記接触面より内側にあり、前記接触面より上方に向かって凹んでいる凹部からなるボールの逃げ部を形成し、
    動作過程において、前記バランサの下方への移動に伴って、前記ボールは、前記ボールの逃げ部内へと入るように移動することを特徴とするスプリンクラヘッド。
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