JP5794679B2 - 表面処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理媒体の表面の表面性状を部分的に制御可能な表面処理装置に関するものである。
従来、印刷物の多くは、記録材と色材との光沢度が違うことから、印字率によりその表面の光沢が異なる。このような印刷物に対し、オーバーコートを施すなどの様々な後処理工程により、印刷物の表面全体に均一な光沢面を作る方法が種々提案されている。
又、近年、光沢を制御する技術も種々提案されている。例えば、オフセット印刷においては、次のような手法により、様々な光沢表現が可能になっている。即ち、色材インキで印刷後、UV硬化性の透明インキを用いて、特定の部分にオフセット印刷する。そして、印刷物の表面全体に対しUV照射することにより、UV硬化性の透明インキを固定させる。この手法によれば、特定の部分(写真や見出し部など)のグロスを向上し視覚効果に富んだ印刷物を出力することが可能である。
電子写真方式においては、印刷物の表面全体のグロスを向上させて写真調の記録を行う方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、トナーで画像が形成された印刷物の表面を、表面の平滑性の高い無端状のベルトを介して再加熱することによりトナーを再溶融させる。その後、ベルトと接触した状態でトナーを冷却させることにより、トナーで形成された画像の表面にベルトの平滑性が転写された状態でトナーを固化させる。この方法では、印刷物の全体の光沢を制御することができるが、印刷物の表面の光沢を部分的に制御することは困難である。
上述のUV硬化性の透明インキをオフセット印刷する方法は、印刷物に部分的に光沢性を付与することが可能である。しかしながら、オフセット印刷を行う場合は、ある程度まとまった数量がないと印刷コストが上昇してしまう。そのため、小部数印刷で、更には1枚ごとに印刷内容が異なるバリアブル印刷などには適さない。
又、上述の電子写真方式により形成された画像に光沢性を付与する方法では、ベルトには比較的厚みのある無端状のエンドレスベルトを使用し、加熱源には加熱ローラを使用している。このエンドレスベルトは、繰り返し使用することが可能である反面、繰り返し使用に十分耐えるように比較的厚みがあるものが多い。このため、トナーを十分に再溶融するためには、加熱ローラなどを用いて十分に熱量を与える必要がある。従って、印刷物の全面に光沢性を付与する場合には好適であると考えられるが、印刷物に部分的に光沢性を付与したい場合などには適さない。
又、上述のような光沢性の付与だけではなく、金、銀などの金属質を表現することが求められることがある。特許文献2には、金属光沢を目的としたサーマルプリンタ(熱転写プリンタ)用の熱転写シートが開示されている。
特開2007−086747号公報 特開2001−130150号公報
本発明者らは、鋭意研究の結果、例えばサーマルヘッドと薄いフィルムを用いて部分的に印刷物を加熱する方法が、電子写真方式などにより画像が形成された印刷物の表面の光沢を部分的に制御するのに適していることを見出した。この方法によれば、サーマルヘッドを電気的に制御することで、印刷物上の任意の位置を加熱することができる。被処理媒体が電子写真方式によってトナーで画像が形成された印刷物である場合、印刷物のトナー像を、フィルムを介して加熱・溶融させ、その後冷却・分離することで、印刷物の任意位置の光沢を制御することができる。
上述のようなサーマルヘッドと薄いフィルムを使用して被処理媒体の所望の位置・形状に光沢性を付与する方法では、フィルムのランニングコストが課題となる。即ち、サーマルヘッドは発熱素子を選択的に駆動することにより所望の位置・形状にトナー像を再溶融できる反面、発熱量は大きくないため、間に介在するフィルムを十分に薄くしないとトナー像を再溶融することができない。又、フィルムが厚くなれば熱が拡散し、所望の位置・形状にトナー像を再溶融できなくなるため、画像のシャープさが失われる。フィルムを薄くすれば、これらの問題は解決できるが、フィルムは薄くなれば、フィルムが熱変形などに弱くなるため、再使用することが困難となる。そのため、フィルムは使い捨てとなり、ランニングコストがかかる。特に、被処理媒体の表面処理を行う処理部においてサーマルヘッドとプラテンローラとで形成されるニップ部でフィルムと被処理媒体とを接触させて処理する場合、被処理媒体を搬送すると同時にフィルムを消費していることになる。そのため、処理領域が少ない場合は、未使用領域が多いフィルムを使い捨てにすることになるため、ランニングコストの上昇が課題となる。
又、フィルムのランニングコストを低減するために、サーマルヘッドとプラテンローラとを当接・離間可能として、表面処理が不要な間は、被処理媒体の搬送時にニップ部を解除する構成とすることが考えられる。しかし、この方法は、生産性向上の観点では、サーマルヘッドとプラテンローラとの当接・離間を行う時間が、連続して処理部に搬送できる被処理媒体の間隔(紙間)の律速になる。そのため、例えば表面処理が不要な領域の多い複数枚の被処理媒体に連続して表面処理を行う場合などに、毎回の被処理媒体間でサーマルヘッドとプラテンローラとの当接・離間を行うと、生産性が低下することがある。
尚、ここでは、特に、フィルムを用いて被処理媒体の光沢を部分的に制御する場合を例として説明した。しかし、熱溶融性インクを部分的に被処理媒体に熱転写して、金、銀などの特色を後処理で被処理媒体に付与する場合にも、当該熱転写用のフィルムに関して同様の課題がある。
従って、本発明の目的は、使い切りのフィルムを介して被処理媒体を加熱することで被処理媒体の表面の表面性状を部分的に制御可能な表面処理装置であって、ランニングコストの低減と生産性の向上とを図ることのできる表面処理装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る表面処理装置にて達成される。要約すれば、本発明は、被処理媒体の面に接触しながら搬送されるフィルムと、前記フィルムを搬送するフィルム搬送手段と、前記フィルムの被処理媒体に接触する側とは反対側の面に接触して、被処理媒体の搬送方向と略直交する方向における被処理媒体の表面の異なる領域を前記フィルムを介して選択的に加熱する加熱手段と、複数の被処理媒体の前記加熱手段によって前記フィルムを介して選択的に加熱される処理領域をそれぞれ前記フィルムに対して露出させた状態で、該複数の被処理媒体の少なくとも一部を重ね合わせて前記フィルムとの接触部に該複数の被処理媒体を搬送する被処理媒体搬送手段と、を有することを特徴とする表面処理装置である。
本発明によれば、使い切りのフィルムを介して被処理媒体を加熱することで被処理媒体の表面の表面性状を部分的に制御可能な表面処理装置は、ランニングコストの低減と生産性の向上とを図ることが可能となる。
本発明の一実施例に係る表面処理装置の模式的な断面図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置の重ね搬送ユニットにより上方重ね合わせを行っている様子を示す模式図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置の重ね搬送ユニットにより下方重ね合わせを行っている様子を示す模式図である。 サーマルヘッドの当接、離間動作を説明するための模式図である。 サーマルヘッドの当接、離間動作を説明するための模式図である。 サーマルヘッドの当接、離間動作を説明するための模式図である。 サーマルヘッドの構成の一例を示す模式的な断面図である。 サーマルヘッドの駆動回路の一例を示す回路図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置の概略制御態様を示すブロック図である。 本発明に従う重ね合わせ動作における処理領域情報と重ね量との関係の一例を説明するための説明図である。 本発明に従う重ね合わせ動作における処理領域情報と重ね量との関係の一例を説明するための説明図である。 本発明に従う重ね合わせ動作における処理領域情報と重ね量との関係の一例を説明するための説明図である。 本発明に従う重ね合わせ動作における処理領域情報と重ね量との関係の一例を説明するための説明図である。 本発明に従う重ね合わせ動作の各段階における重ね搬送ユニットにおける被処理媒体の状態を説明するための模式図である。 本発明に従う重ね合わせ動作の各段階における重ね搬送ユニットにおける被処理媒体の状態を説明するための模式図である。 本発明に従う重ね合わせ動作から表面処理までの動作の流れを説明するためのフローチャート図である。 本発明の他の実施例に係る表面処理装置における被処理媒体を搬送方向に略直交する方向に移動させる移動手段を有する重ね搬送ユニットを説明するための模式図である。 本発明の一実施例に係る表面処置装置を備えた画像形成システムの模式的な断面図である。
以下、本発明に係る表面処理装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.表面処理装置の全体的な構成
図1は、本発明の一実施例に係る表面処理装置100の模式的な断面図である。本実施例では、表面処理装置100は、電子写真方式の画像形成装置によって熱溶融性のトナーで別途画像が形成された記録材を被処理媒体Sとして、その表面の表面性状を制御する処理(表面処理)を行う。
表面処理装置100は、装置本体1、被処理媒体Sを積載したカセット31、カセット31から被処理媒体Sを一枚ずつ分離給送する供給ローラ32を有する。又、表面処理が施された後の被処理媒体Sを装置本体1の筐体外へ排出する排出ローラ対41、装置本体1の外部において排出された被処理媒体Sが積載される排紙トレイ42を有する。又、表面処理装置100は、表面処理を実行する処理手段としての処理ユニット10を有する。更に、表面処理装置100は、後述する被処理媒体搬送手段(被処理媒体重ね合わせ手段)としての重ね搬送ユニット20を有する。処理ユニット10は、フィルム11、供給軸12、巻き取り軸13、張架ローラ14、分離部材15、サーマルヘッド16、プラテンローラ17、第2の被処理媒体センサー18、下流側搬送ローラ対19などを有して構成される。又、詳しくは後述するように、重ね搬送ユニット20は、次の各要素を有して構成される。即ち、被処理媒体Sを挟持搬送する搬送ローラ対24(24a〜24d)、25(25a〜25e)、第1、第2及び第3の搬送路21、22、23、フラッパ27、及び第1の被処理媒体センサー26である。
更に説明すると、表面処理装置100は、被処理媒体Sの搬送経路を挟んで対向して配置される、支持部材としてのローラ型のプラテンであるプラテンローラ17と、加熱手段としての接触型の局所加熱装置であるサーマルヘッド16と、を有する。プラテンローラ17は、サーマルヘッド16が後述するフィルム11及び被処理媒体Sを介して押圧される際の下支えとなると共に、被処理媒体Sを搬送する。サーマルヘッド16は、後述する処理領域情報に応じて選択的に発熱する。
表面処理装置100は更に、サーマルヘッド16によって被処理媒体Sに押圧されると共に選択的に加熱されるフィルム11と、フィルム11の巻き取り手段としての巻き取り軸13と、フィルム11の供給手段としての供給軸12とを有する。巻き取り軸13は、フィルム搬送手段を構成する。巻き取り軸13は、駆動源としての巻き取り軸駆動モータ13A(図9)によって回転駆動される。巻き取り軸駆動モータ13Aは、フィルム11を供給軸12から巻き取り軸12に巻き取る方向に巻き取り軸13を回転駆動することができる。このとき、供給軸12は、フィルム11を巻き取り軸13へと供給する方向に回転可能とされる。尚、供給軸12を上記方向とは逆方向に回転させる方向に付勢してフィルム11のたるみを防止するための付勢手段を設けてもよい。
ここで、フィルム11の被処理媒体Sに接触する側の面を表面、その反対側の面を裏面とする。又、被処理媒体Sのフィルム11が接触する側の面を表面、その反対側であるプラテンローラ17に接触する側の面を裏面とする。又、単に被処理媒体Sの搬送方向という場合、表面処理が実行される際に被処理媒体Sが搬送される方向である順方向のことをいうものとする。又、被処理媒体Sの搬送経路に関して上流側、下流側とは、それぞれ表面処理が実行される際に被処理媒体Sが搬送される方向である順方向に搬送されている際の上流側、下流側をいうものとする。
表面処理装置100は更に、フィルム11の裏面側に接触するように設けられた、張架ローラ14を有する。又、表面処理装置100は、フィルム11の裏面側に接触するように設けられ、サーマルヘッド16によって加熱押圧されたフィルム11と被処理媒体Sとを分離する分離部材15を有する。供給軸12、巻き取り軸13、プラテンローラ7及び張架ローラ14の回転軸線方向並びに分離部材15の長手方向は略平行である。フィルム11は、供給軸12から引き出され、張架ローラ34の外周の一部に掛け回されて、サーマルヘッド16とプラテンローラ17とによる押圧部(ニップ)である処理部Tに案内される。そして、フィルム11は、処理部Tを通過して、分離部材15によって屈曲されて、巻き取り軸13に案内され、巻き取り軸13によって巻き取られる。このフィルム11の搬送方向を順方向とする。フィルム11の搬送方向は、供給軸12、巻き取り軸13、プラテンローラ7及び張架ローラ14の回転軸線方向並びに分離部材15の長手方向と略直交する。被処理媒体Sの表面処理を行うとき、処理部Tにおけるフィルム11と被処理媒体Sの搬送方向は同方向である。張架ローラ14は、フィルム11を張架する回転可能なガイドローラである。張架ローラ14は、フィルム11の搬送に伴って回転する。
被処理媒体Sの搬送方向において処理部Tの上流側に、詳しくは後述する重ね搬送ユニット20を構成する搬送手段としての互いに押圧された複数の搬送ローラ対25a〜25eから成る正逆搬送ローラ対群25が設けられている。正逆搬送ローラ対群25は、詳しくは後述するように、被処理媒体Sを重ね合わせて搬送する際に被処理媒体Sを順方向及び逆方向に搬送すると共に、処理を行う前に被処理媒体Sの姿勢を整える機能を有する。正逆搬送ローラ対群25は、駆動源としての正逆搬送ローラ対群駆動モータ25A(図2、図3、図9)によって回転駆動される。正逆搬送ローラ対群25は、被処理媒体Sの斜行を補正すると共に、詳しくは後述するように必要に応じて被処理媒体Sを重ね合わせて搬送するための正転・逆転動作を行いながら、被処理媒体Sを処理部Tに搬送する。被処理媒体Sは、回転が停止されている正逆搬送ローラ対群25のうち最上流の搬送ローラ対25aの接触部(ニップ)にその搬送方向の先端が突き当たることで斜行が補正される。
表面処理装置100は更に、被処理媒体Sの搬送方向において正逆搬送ローラ対群25の上流側に、互いに押圧された複数の搬送ローラ対24a〜24dから成る上流側搬送ローラ対群24を有する。上流側搬送ローラ対群24は、供給ローラ32によって第1の搬送路21内に供給された被処理媒体Sを搬送して、被処理媒体Sを正逆搬送ローラ対群25に引き渡す。本実施例の表面処理装置100は、第1の搬送路21の他に、第2、第3の搬送路22、23を有している。詳しくは後述するように、第2、第3の搬送路22、23は、正逆搬送ローラ対群25、第1の被処理媒体センサー26、フラッパ27などと共に、被処理媒体Sを重ね合わせて搬送するために用いられる。
又、表面処理装置100は、被処理媒体Sの搬送方向において処理部Tの下流側に、互いに押圧された搬送ローラ対である下流側搬送ローラ対19を有する。下流側搬送ローラ対19は、処理後の被処理媒体Sを後述する表面処理装置100の外部の排出トレイ42或いは後処理工程へと搬送する。
又、表面処理装置100には、被処理媒体Sの搬送方向において正逆搬送ローラ対群25(その最下流の搬送ローラ対25e)の下流側、且つ、張架ローラ14の上流側に、被処理媒体Sの有無を検知する第2の被処理媒体センサー18が設けられている。第2の被処理媒体センサー18により、搬送中の被処理媒体Sを検知することができる。尚、詳しくは後述するように、表面処理装置100は、被処理媒体Sの搬送方向においてフラッパ27の下流側、且つ、正逆搬送ローラ対群(その最上流の搬送ローラ対25a)の上流側に、被処理媒体Sの有無を検知する第1の被処理媒体センサー26を有している。そのため、この第1の被処理媒体センサー26の検知結果を用いることで、処理ユニット10の動作タイミングの制御を行うことができ、その場合、第2の被処理媒体センサー18を設けなくてもよい。
本実施例では、フィルム11、供給軸12、巻き取り軸13は、フィルムカセットCに収納されて一体的に装置本体1に対して着脱可能とされている。
表面処理装置100は更に、表面処理が施された後の被処理媒体Sを装置本体1の筐体外へ排出する排出ローラ対41を有する。又、表面処理装置100は、装置本体1の外部において排出された被処理媒体Sが積載される排紙トレイ42を有する。
2.処理ユニットの各部の構成
次に、処理ユニット10の各部の構成について更に説明する。
2−1.サーマルヘッド
サーマルヘッド16の基本構成及び基本仕様について説明する。図7は、特に、サーマルヘッド16の発熱体の構成の概略図である。サーマルヘッド16は、アルミナなどを用いた基板51に印刷されたグレーズ52(保温層)上にコモン(共通)電極53a、リード(個別)電極53bを形成すると共に、これらの各電極の上面に発熱抵抗体55を形成して構成されている。更に、上記基板51、保温層52、各電極53a、53b及び発熱抵抗体55の上面に、保護膜54(オーバーコート層)が形成されている。又、サーマルヘッド16には、発熱体に選択的に電力を印加して発熱させるための駆動回路50(図9)が接続されている。更に、サーマルヘッド16には、被処理媒体Sに熱を与えた後の余分な熱を放熱させる放熱板などの部材が設けられている。サーマルヘッド16は、被処理媒体Sの搬送方向と略直交する方向に沿って直線状に配列された複数の発熱体(加熱部)を有し、その配列方向において異なる領域を選択的に加熱することでフィルム11を介して被処理媒体Sの面を加熱することができる。
本実施例で使用したサーマルヘッド16は、発熱体密度300dpi、記録密度(処理密度)300dpi、駆動電圧30V、発熱体平均抵抗値5000Ωである。しかし、サーマルヘッド16の構成や仕様は、本実施例のものに限定されるものではない。
図8は、一般的なサーマルヘッド16の駆動回路の概略図である。アルミナ基板上には、1ライン分の発熱抵抗体が設けられ、その両サイドに電極が配線されている。又、1ライン分のデータ(処理領域情報)を転送し保持するレジスタ群を含むドライバICが、同一アルミナ基板上或いは別個の配線基板上に設けられている。
2−2.プラテンローラ
プラテンローラ17は、軸(芯金)17aの周りに、硬質ゴムなどの摩擦係数の高い部材から成る弾性層17bをローラ状に形成した弾性ローラである。本実施例では、軸17aの周りにシリコーンゴムから成る弾性層17bをローラ状に形成した耐熱性のゴムローラである。プラテンローラ17は、軸17aにより装置本体1に回動可能に取り付けられている。そして、この軸17aを介してプラテンローラ17を駆動源としてのプラテンローラ駆動モータ17A(図9)により回転駆動することにより、被処理媒体Sとフィルム11とが搬送される。本実施例では、被処理媒体Sの搬送速度は、プラテンローラ17の回転速度によって決定され、サーマルヘッド16へ送られるデータ(処理領域情報)は、このプラテンローラ17の回転速度に基づいて形成される。本実施例では、表面処理時に、処理部Tにおいて被処理媒体Sとフィルム11は略等速度で同方向に搬送される。
2−3.フィルム
フィルム(転写フィルム)11は、供給軸12に所望の長さ巻き取られて蓄えられており、必要に応じて巻き取り軸13により巻き取ることにより、処理部Tに供給される。フィルム11は、被処理媒体Sの表面を局所的に加熱するために、薄い可撓性材料で構成することが望まれる。この観点から、フィルム11の厚さは40μm以下が望ましい。フィルム11の厚さは、表面処理の観点からは2μmまで薄くすることが可能であるが、強度の観点からは4μm以上が好ましい。更に、表面処理において、写真調の写像性に優れた表面性を得るために、フィルム11はある程度の剛度を持つことが有効であり、下記のような材質においては8μm以上が好ましい。又、材質については、サーマルヘッド16に対する耐熱性が必要である。ポリイミドなど、200℃を超える耐熱性を有する材質が望ましい。しかし、加熱履歴は残るが、PET(ポリエチレンテレフタラート)など安価で一般的な樹脂フィルム(熱可塑性フィルム)を採用することができる。又、フィルム11の表層(被処理媒体Sに接触する面)には、離型コーティングを施すことができる。この機能層は、低表面エネルギーのコーティング層であり、フィルム11と被処理媒体Sの表層の樹脂の離型性を向上するために施すことができる。フィルム11の表面の形状を被処理媒体Sの表面に転写するにあたっては、フィルム11の形状を如何に正確に転写するかという観点から、スムーズに離型することが望ましい。これらの組成としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。又、形成方法については、コーティングを用いることができるが、コーティングに限ることはなく、あくまで転写すべき表面性を形成できることが重要となる。例えば、写真用の平滑な面を作るため、ベースフィルムにコーティングにより平滑面を作成することができる。又、フィルム11の裏面(サーマルヘッド16と摺動する面)には、スティック防止層を設けることができる。これはサーマルヘッド16との機械的摩擦を低減するために施すことができる。上述の離型コーティングに近い特性が要求されるため、具体的には、離型層と同様のフッ素樹脂、シリコーン樹脂などによるコーティングが有効である。本実施例では、フィルム11として、PETフィルム(基材)に離型コーティングを施し、又スティック防止層を設けたものを使用した。
フィルム11は、その表面形状(表面性状)を被処理媒体Sに転写するため、高光沢の平滑フィルムであれば、高光沢な写真調の光沢表面に処理することが可能になる。又、逆に、サンドブラストなどによるマットフィルムを使用するか或いは特定の形状を施したフィルムを使えば、その形状の反転形状を被処理媒体Sに転写することが可能である。例えば、絹目や和紙や、エンボス紙に有るような様々な風合いの形状を転写することが可能である。又、幾何学模様を施すことも可能であり、格子など様々な風合いを転写することが可能である。又、更に1μmからサブμmオーダーの幾何学構造を作ることによりホログラム色を呈する表面を転写することが可能である。即ち、表面処理では高光沢を付与するばかりではなく、所望の光沢に光沢性を下げることもできる。例えば、フィルムに梨地などのテクスチャー表面を持つものを使用すれば、被処理媒体Sの表面にテクスチャー表面を転写することができ、光沢性を下げることも可能である。
本実施例では、フィルム11はフィルムカセットCとして供給され交換可能である。又、本実施例では、表面処理装置100は、部分的に処理が可能であるため、これらのフィルム11から種類の異なるフィルム11を複数備えて、必要な場所にのみさまざまな形状やホログラム色を処理することが可能である。
本実施例では、フィルム11のサイズは、その搬送方向と略直交する方向の幅が320mm〜350mm程度のものを使用し、サーマルヘッド16の同方向の幅も同等の幅を持つものを使用する。これにより、A3サイズ程度までの様々なサイズの被処理媒体Sに対応することが可能である。又、本実施例では、フィルム11は、その表面が平滑で、被処理媒体Sに光沢を付与するためのものであるものとする。又、本実施例では、フィルム107は、熱可塑性フィルムから成り、その薄さから、一度使用すると、加熱部分にしわが発生し、再利用することはできない。
2−4.分離部
フィルム11から被処理媒体Sが分離する部分(分離部)について説明する。適切な表面処理のためには、サーマルヘッド16及び分離部の構成は重要である。本実施例では、分離部材15は、フィルム11の冷却機能と曲率によるフィルム11からの被処理媒体Sの分離機能の2つの役目を担っている。本実施例では、分離部材15は、SUS板などの金属により構成し、分離曲率(本例では曲率半径で1mm)を十分小さい値に設定することにより、被処理媒体Sとフィルム11とを確実に離型できるようにした。
又、分離部材15には、分離部の温度上昇を抑えるため冷却機構(図示せず)が設けられていることが望ましい。冷却機構としては、空冷機構を設けたり、冷却フィンを取り付けたりすることなどが有効である。
又、分離部の温度は、複数箇所に設けられた温度検知手段としてのサーミスタ抵抗により監視し、冷却目標温度T1℃以下になるよう、ファン風量や印字動作を制御する。冷却目標温度は、被処理媒体S上の色材或いはオーバーコート材などの、被処理媒体Sの表層の樹脂(熱可塑性樹脂)のTgに合わせることが望ましい。Tgと溶融開始点のずれを考慮すると、Tg+15℃程度以下に設定するのが好ましく、Tg以下に設定するのが更に好ましい。又、色材層には樹脂や着色材以外にWaxなどの成分を含む表層材質もある。この場合、Waxの融点以下に設定することが好ましい。記録材質(被加熱材質)が定まらない場合は室温程度に十分低い温度に設定することが好ましい。例えば30〜50℃程度が良好である。
2−5.被処理媒体(カット紙)
本実施例では、被処理媒体Sとして、電子写真画像形成装置により出力された印刷物を用いた。例えば、CMYKの4色プロセスにより画像が形成された記録材、或いはCMYKの4色のトナーによる記録画像と色材を含まない樹脂主体の透明トナーとを用いた5色プロセスにより画像が形成された記録材が挙げられる。透明トナーとしては、例えば、顔料を含まず、主にポリエステル樹脂で構成されるものを用いることができる。又、透明トナーとしては、光透過性が高く、着色剤が実質的に入らない樹脂から成る、実質的に無色であり、少なくとも可視光を実質的に散乱することなく良く透過する粒子を好適に用いることができる。但し、透明トナーは、定着後に上述のように実質的に無色透明となるものであれば好適に用いることができ、定着前には無色透明でなくてもよく、例えば集合したときに白色に見えるようなものであっても構わない。例えば、透明トナーは、CMYKに分版後、印字率の低い部分に透明トナーを補い、記録材の全体をトナーで覆うように印字パターンを決定し出力することができる。これにより、被処理媒体Sの任意の場所の表面処理が可能となる。その他、一定量の透明トナーを記録材の全面に載せるなどしてもよい。例えば、電子写真画像形成装置による印刷物のグロスは、60°グロスで10%程度になるよう電子写真画像形成装置におけるトナーの定着状態を調整することができる。
又、例えば、被処理媒体Sとして、上記4色及び5色プロセスに限らず、樹脂コーティングを施した記録材に4色プロセスにより画像が形成された記録材を用いてもよい。
又、例えば、溶融熱転写記録、昇華熱転写記録、インクジェット記録などにより記録された記録も同様に、被処理媒体Sとして用いることができる。この場合も、熱可塑性樹脂で記録材の面を覆うことより、被処理媒体Sの全面の任意の場所の表面処理が可能となる。
2−7.表面処理の基本動作
先ず、第1の搬送路21から処理ユニット10に直接、即ち、後述するような被処理媒体Sを重ね合わせる動作を行うことなく、被処理媒体Sが搬送される場合を例に、表面処理の基本動作について説明する。
図9は、本実施例の表面処理装置100の概略制御態様を示す。表面処理装置100の動作は、コントローラ(制御部)150によって制御される。コントローラ150には、パーソナルコンピュータ(情報端末)などの外部装置501や表面処理装置100の操作部160から処理命令(光沢処理命令、光沢処理データ)が伝送される。そして、コントローラ150に設けられた制御手段としてのCPU151が、その処理命令を取得する。
表面処理動作の開始が指示されると、記録材に画像が記録されている被処理媒体Sを積載したカセット31から、供給ローラ32によって被処理媒体Sが一枚ずつ装置本体1内に分離給送される。この被処理媒体Sは、第1の搬送路21に導入されて、ここで上流側搬送ローラ対群24によって挟持されて搬送される。この被処理媒体Sは、フラッパ27によって正逆搬送ローラ対群25のうち最上流の搬送ローラ対25aの位置まで搬送され、斜行補正されるために一旦停止する。
その後、正逆搬送ローラ対群25が正転方向に駆動されて、被処理媒体Sの搬送が再開されると、被処理媒体Sは処理前搬送路28内を処理ユニット10に向けて搬送されていく。その後、被処理媒体Sの搬送方向の先端が第2の被処理媒体センサー18によって検知される。そして、被処理媒体Sが第2の被処理媒体センサー18を通過するタイミングに合わせて、サーマルヘッド16を駆動するタイミングが制御される。
本実施例では、図4に示すように、サーマルヘッド16は、通常時はプラテンローラ17から離間した状態で待機している。コントローラ150は、第2の被処理媒体センサー18によって被処理媒体Sの先端が該第2の被処理媒体センサー18を通過したことを検知すると、そのタイミングに基づいて、被処理媒体Sの処理開始位置が処理部Tに搬送されるタイミングを求める。そして、そのタイミングに合わせて、コントローラ151は、図5に示すようにサーマルヘッド16を図中下方に移動させてプラテンローラ17に押圧するように、サーマルヘッド着脱手段の駆動(加圧動作)を制御する。本実施例では、サーマルヘッド着脱手段は、サーマルヘッド16を支持するサーマルヘッドホルダーをプラテンローラ17に向けて付勢するバネなどの付勢手段を有する。又、このサーマルヘッド着脱手段は、上記付勢手段の付勢力に抗してサーマルヘッドホルダーをプラテンローラ17から離れる方向に移動させるカムなどの移動手段を有する。又、このサーマルヘッド着脱手段は、上記移動手段を駆動するモータとされる駆動源を有する。コントローラ150は、この駆動源を制御することで、サーマルヘッド16とプラテンローラ17との当接・離間の動作、そのタイミングを制御することができる。コントローラ150は、サーマルヘッド16の加圧を完了させてからフィルム11の搬送を開始させる。即ち、巻き取り軸13は、図4の状態では停止しており、図5のようにプラテンローラ7にサーマルヘッド16が押圧されると、巻き取り軸13も同時に駆動される。
処理部Tにおいては、被処理媒体Sの搬送経路を挟んでプラテンローラ17と、処理領域情報に応じて選択的に発熱するサーマルヘッド16が対向している。そして、サーマルヘッド16の下方にはフィルム11、更にその下方に被処理媒体Sが搬送される。フィルム11は、フィルムカセットCに収納されており、サーマルヘッド16とプラテンローラ17とにより、被処理媒体Sと共に挟持されて搬送される。コントローラ150は、サーマルヘッド16の発熱抵抗体を後述する処理領域情報により決定された加熱パターンにより選択的に加熱するように制御する。これにより、フィルム11と被処理媒体Sをサーマルヘッド16とプラテンローラ17との間に挟持して搬送しながら、被処理媒体S上のトナー像を再溶融させる。被処理媒体Sの搬送方向においてサーマルヘッド16の下流には分離部材15が設けられており、フィルム11は被処理媒体Sから分離される。この時、被処理媒体Sは十分に冷却されているため、被処理媒体Sの表面のトナー像は、フィルム11の表面性が転写された状態で固化し、被処理媒体Sに所望の光沢を付与することができる。
フィルムカセットC内に設けられているフィルム11の巻き取り軸13には、駆動装置(巻き取り軸駆動モータ13A)が接続されている。尚、供給軸12にも駆動装置が設けられ、フィルム11を逆方向に巻取ることでフィルム11のたるみを防止するようになっていてよい。巻き取り軸13は、被処理媒体Sの搬送に伴って搬送されるフィルム11を巻き取り、同時に分離部材15による分離部でフィルム11と被処理媒体Sを分離するために必要なテンションを発生させている。このフィルム11を被処理媒体Sから分離する際に必要なテンションは、被処理媒体Sの搬送速度よりフィルム11の巻き取り速度を若干速めに設定し、駆動装置にトルクリミッタ等を介すことで発生させている。このように、巻き取り軸13は、表面処理中は、フィルム11が被処理媒体Sから分離するテンションを発生させつつ被処理媒体Sの搬送と共に搬送されるフィルム11を巻き取っている。
表面処理の終了後に、コントローラ150は、図6に示すようにサーマルヘッド16をプラテンローラ17から離間(圧解除)させるように制御し、ほぼ同時に巻き取り軸13の回転を停止させるように制御する。
最後に、被処理媒体Sは、排出ローラ対41へ案内され、装置本体1の筐体外へ排出されて、表面処理の動作が終了する。尚、本実施例の表面処理時の被処理媒体Sの移動スピードは100mm/sに制御した。
上記表面処理装置100の各種動作は、コントローラ(制御部)150により統括的に制御される。コントローラ150はパーソナルコンピュータなどから送られてくる処理命令や、表面処理装置100に設けられた操作部160により入力される処理命令に基づいて表面処理装置1の各部の動作を制御する。コントローラ150は、制御手段としてのCPU151、記憶手段としてのROM152及びRAM153などを有し、CPU151が処理命令に応じて、ROM152、RAM153に格納されたプログラムやデータに従って制御を実行する。処理命令は、対応する領域が処理部Tを通過するタイミングに合わせてサーマルヘッド16を選択的に発熱させるための処理領域情報を含む。サーマルヘッド16は、その処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に対応して発熱して、被処理媒体Sの表面処理を行なう。コントローラ150は、処理命令が送られてくると、搬送手段へ命令を送り、被処理媒体Sの搬送が開始される。コントローラ150は、これと平行してサーマルヘッド駆動回路50へも処理領域情報(光沢画像データ、加熱画像データ)を伝送する。被処理媒体Sが第2の被処理媒体センサー18を通過してから所定時間後、サーマルヘッド着脱手段へ命令を送り、サーマルヘッド16をプラテンローラ17に押圧する。サーマルヘッド16は、処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に表面処理(光沢処理)を行なう。又、コントローラ150は、被処理媒体Sが分離部材15による分離部を通過した後、サーマルヘッド着脱手段へ命令を送り、サーマルヘッド16をプラテンローラ17から離間する。
尚、一般的に写真調の高光沢とは60度グロス(JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法)において40%以上、更には80%以上の高光沢を意味する。従来の光沢処理手法では、一枚一枚異なる領域について、部分的に写真調の光沢処理をすることが困難であった。本実施例の表面処理装置100によれば、被処理媒体の上半分といった写真領域の処理はもちろん、見出し文字や、印刷内容に合わせて任意の形や領域について部分的に光沢処理を行うことができる。
ここで、前述のように、フィルム11は被処理媒体Sと共に搬送されるため、被処理媒体Sの長さと同じ長さが搬送される。前述のように、本実施例では、フィルム11の材料として、非常に薄い熱可塑性の樹脂フィルムであるPETフィルムを使用している。これはサーマルヘッド16で選択的に被処理媒体S上のトナーを再溶融するためには、フィルムが厚いとサーマルヘッド16へ供給する電力が大きくなることと、熱を加えた時にエッジ部がぼやけてしまうことを避けるためである。このような薄いフィルムを使用することにより電力量の低減と画像のシャープさが達成できる反面、フィルムは熱変形を起こすため繰り返し使用することができない。本実施例では、被処理媒体Sとしては、電子写真方式で印刷された印刷物を使用するが、通常このような印刷物は被処理媒体Sの先端部・後端部に余白が設けられている。この余白部分にはトナー像が形成されていないため、本実施例の表面処理装置100では表面処理をすることはできない。又、本実施例の表面処理装置100では、表面処理を部分的に行なえるが、表面処理を行なう処理領域情報によっては紙幅方向に全く処理領域が無いような場合もある。本実施例では、正逆搬送ローラ対群25の最下流の搬送ローラ対25e、下流側搬送ローラ対19のそれぞれと、プラテンローラ17とのローラ間ピッチは、約100mmに設定されている。このためハガキなど200mm以下の被処理媒体Sに対して表面処理を行なう際、被処理媒体Sを搬送するためにはサーマルヘッド16はプラテンローラ17に押圧されている必要がある。この時、同時に、フィルム11は、被処理媒体Sと共に搬送される。つまり、フィルム11は、紙幅方向に加熱されない領域があっても、被処理媒体Sを搬送するために消費される。又、処理部Tに連続して被処理媒体Sを通過させる際、サーマルヘッド16をプラテンローラ17から毎回の被処理媒体S間(紙間)で離間、押圧を繰り返すと、生産性を損なうことがある。生産性を向上させるためにサーマルヘッド16をプラテンローラ17に常に押圧して表面処理をすればよいが、この場合は被処理媒体Sと被処理媒体Sの間の紙間でもフィルムを消費してしまう。
即ち、本実施例で採用する表面処理方法は、フィルムを数ミクロン程度まで薄くし、熱源にサーマルヘッドなどを使用してサーマルヘッドの発熱素子を選択的に駆動することによりトナー像に所望の位置・形状の光沢性を付与するものである。この方法では、フィルムが、例えば数ミクロン程度と薄いため、サーマルヘッドによる加熱により熱変形を起こし、繰り返し使用することができない。そのため、このフィルムは、例えば、巻き取り式にして使い切りにするのが簡便である。又、この方法では、処理部において、サーマルヘッドを薄いフィルムに接触させると共に、フィルムを介してサーマルヘッドの対向部に可撓性のあるプラテンローラを配置する。そして、印刷物を所定の速度で搬送しながら、サーマルヘッドにより部分的に加熱して表面処理を行なう。そのため、印刷物を搬送すると同時に、フィルムを消費することになる。従って、部分的な表面処理が可能である反面、表面処理の必要の無い部分についてもフィルムを送り出しながら印刷物を搬送することが必要となることがある。そして、このことによって、表面処理を行なう量に対して、フィルムの消費量が大きくなり、装置のランニングコストが増大することがある。一方、フィルムのランニングコストを低減するために、毎回の被処理媒体間でサーマルヘッドとプラテンローラとの当接・離間を行うと、生産性が低下することがある。
従って、本実施例の目的の一つは、使い切りのフィルム11を介して被処理媒体Sを加熱することで被処理媒体Sの表面の表面性状を部分的に制御可能な表面処理装置100において、ランニングコストの低減と生産性の向上とを図ることである。
そこで、本実施例では、詳しくは後述するように、フィルム11の使用量を削減するために、被処理媒体Sを重ねることで、紙間や表面処理が不要な部分で発生するフィルム11の無駄送りを低減する。即ち、本実施例では、表面処理装置100は、概略、複数の被処理媒体Sを重ね合わせるための重ね搬送ユニット(重ね合わせ部)20を有し、フィルム11の消費量を最小限に抑えつつ、表面処理装置100による表面処理の生産性を向上させる。
3.重ね搬送ユニット
表面処理装置100は、被処理媒体搬送手段(被処理媒体Sの重ね合わせ手段)としての重ね搬送ユニット20を有する。重ね搬送ユニット20は、供給ローラ32によって装置本体1内に供給された被処理媒体Sを処理ユニット10に向けて搬送する、第1の搬送部材としての複数の搬送ローラ対24a〜24dから成る上流側搬送ローラ対群24を有する。上流側搬送ローラ対群24は、後述する第1の搬送路21において被処理媒体Sを搬送する。又、重ね搬送ユニット20は、上流側搬送ローラ対群24によって搬送されてきた被処理媒体Sなどを搬送する、第2の搬送部材としての複数の搬送ローラ対25a〜25eから成る正逆搬送ローラ対群25を有する。正逆搬送ローラ対群25は、被処理媒体Sを重ねたまま搬送可能であり、且つ、正逆方向に回転して被処理媒体Sを順方向及び逆方向に搬送可能な搬送手段である。正逆搬送ローラ対群25は、処理前搬送路28において被処理媒体Sを搬送する。正逆搬送ローラ対群25のうち最上流の搬送ローラ対25aは、上流側搬送ローラ対群24から送られてきた被処理媒体Sの斜行を補正し、被処理媒体Sの搬送タイミングを補正するレジストローラの機能も有する。
又、重ね搬送ユニット20は、被処理媒体Sの先端及び/又は後端を検知することのできる第1の被処理媒体センサー26を有する。この第1の被処理媒体センサー26は、被処理媒体Sの搬送方向において、正逆搬送ローラ対群25の最上流の搬送ローラ対25aよりも上流側、且つ、後述するフラッパ27よりも下流側の処理前搬送路28の位置に設けられている。又、重ね搬送ユニット20は、被処理媒体Sの搬送方向において、第1の被処理媒体センサー26よりも上流側、且つ、上流側搬送ローラ対群24よりも下流側に、被処理媒体Sの搬送方向を切り替える搬送方向切り替え手段としてのフラッパ27を有する。フラッパ27は、被処理媒体Sの搬送方向において処理部Tよりも上流側で、且つ、処理部Tからの距離が同方向における表面処理装置100が使用できる被処理媒体Sの最大長さよりも離れた位置に配置される。
又、重ね搬送ユニット20は、供給ローラ32によって装置本体1内に供給された被処理媒体Sを処理ユニット10に向けて搬送すると共に、被処理媒体Sの重ね合わせ処理を行うための複数の搬送路として、第1、第2及び第3の搬送路21、22、23を有する。第1の搬送路21は、下側搬送ガイド21a及び上側搬送ガイド21bにより形成される。又、第2の搬送路22は、第1の搬送路21の下方に併設され、下側搬送ガイド22a及び上側搬送ガイド22bにより形成される。又、第3の搬送路23は、第1の搬送路21の上方に併設され、下側搬送ガイド23a及び上側搬送ガイド23bにより形成される。
フラッパ27は、第1の搬送路21と処理前搬送路28との間での被処理媒体Sの通過を許可し、被処理媒体Sの第1の搬送路21から処理前搬送路28への搬送を可能とする第1の位置をとり得る。又、フラッパ27は、第2の搬送路22と処理前搬送路28との間での被処理媒体Sの通過を許可し、被処理媒体Sの処理前搬送路28から第2の搬送路22への搬送及び第2の搬送路22から処理前搬送路28への搬送を可能とする第2の位置をとり得る。フラッパ27が第2の位置にある場合、被処理媒体Sの処理前搬送路28から第1の搬送路21への搬送及び処理前搬送路28から第3の搬送路23への搬送は不可能とされる。更に、フラッパ27は、第3の搬送路23と処理前搬送路28との間での被処理媒体Sの通過を許可し、被処理媒体Sの処理前搬送路28から第3の搬送路23への搬送及び第3の搬送路23から処理前搬送路28への搬送を可能とする第3の位置をとり得る。フラッパ27が第3の位置にある場合、被処理媒体Sの処理前搬送路28から第1の搬送路21への搬送及び処理前搬送路28から第2の搬送路22への搬送は不可能とされる。
カセット31から供給ローラ32によって供給された被処理媒体Sは、第1の搬送経路21内を、上流側搬送ローラ対群24によって搬送される。その後、フラッパ27によって処理前搬送路28へと導かれて正逆搬送ローラ対群25により搬送される。又、詳しくは後述するように、正転方向に駆動される正逆搬送ローラ対群25によって順方向に搬送される被処理媒体Sの後端がフラッパ27を通過したことが、第1の被処理媒体センサー26によって検知される。その時点で、正逆搬送ローラ対群25を逆転方向に駆動することが可能である。この際、フラッパ27が上記第2の位置にある場合は、被処理媒体Sの後端は第2の搬送路22へ格納される。一方、この際、フラッパ17が上記第2の位置とは反対の第3の位置にある場合は、被処理媒体Sの後端は第3の搬送路23へ格納される。
図2及び図3は、重ね搬送ユニット20から処理ユニット10を経て搬送される被処理媒体Sの搬送経路を上方から見た様子を模式的に示している。尚、図2、図3においては、上流側搬送ローラ対群24はその最下流の搬送ローラ対24aのみ、又正逆搬送ローラ対群25はその最上流の搬送ローラ対25aのみを示している。
上流側搬送ローラ対群24を構成する複数の搬送ローラ対24a〜24dは、駆動源としての上流側搬送ローラ対群駆動モータ24A(図2、図3、図9)によって回転駆動される。又、フラッパ27は、駆動源としてのフラッパ駆動モータ27A(図2、図3、図9)によって回動駆動される。又、正逆搬送ローラ対群25は、駆動源としての正逆搬送ローラ対群駆動モータ25A(図2、図3、図9)によって回転駆動される。尚、フラッパ駆動モータ27Aと正逆搬送ローラ対群駆動モータ25Aは、正逆方向に回転駆動可能である。
尚、本実施例の表面処理装置100では、被処理媒体Sの最小サイズとしてはハガキサイズ相当を想定しているため、各ローラ間のピッチは約100mm以下としている。プラテンローラ17も同様、上流・下流の搬送ローラとの距離は約100mmである。
4.重ね合わせ方法及び重ね量
次に、被処理媒体Sの重ね合わせ動作について説明する。
本実施例では、コントローラ150は、操作部160から処理命令が入力されたり、外部装置501からネットワーク502を介して処理命令が受信されたりすると、処理領域情報から重ね量δを算出する。ここでは、連続して搬送される被処理媒体S上に実質的に同じ処理領域情報に従って連続的に表面処理を施す場合を例に説明する。又、ここでは、一例として、被処理媒体S上にトナーで形成された文字(例えば「A」)に重なる領域を処理領域として表面処理を施すものとする。尚、本発明はトナーで形成された画像の全域に表面処理を施す場合に限定されるものではなく、例えば文字「A」の一部に表面処理を施すことも可能である。
4−1.上方重ね合わせ
図10及び図11は、上方重ね合わせを行う場合の、重ね量δと処理領域との関係を示す。図中Lは、被処理媒体Sの搬送方向の長さを表している。又、図中0は、被処理媒体Sの基準点を表しており、本実施例では被処理媒体Sの搬送方向先端側の表面処理装置の奥側(図1中の紙面奥側)を基準とした。図中x0は、処理領域情報が示す処理領域(光沢画像、加熱画像)の被処理媒体Sの搬送方向下流側の端点座標を表している。又、図中x1は、処理領域情報が示す処理領域(光沢画像)の被処理媒体Sの搬送方向上流側の端点座標を表している。
この重ね合わせ方は、x0が被処理媒体Sの搬送方向の長さLの半分よりも小さい(x0<L/2)場合に適している。即ち、この場合、一の被処理媒体Sの後端側の上に次の被処理媒体Sの先端側を重ねてから表面処理を行なう方が、重ね量δをより多くでき、フィルム11の使用効率が良く、又生産性もより向上するからである。図2は、上方重ね合わせを行う場合の重ね搬送ユニット20の模式図である。
又、重ね量δは、表面処理時の安定性の観点から、処理領域情報と被処理媒体Sの搬送方向の長さLにより決定される。
先ず、図10に示すように、x1が重ね量δよりも小さい(x1<(L+m1)/2)場合について考える。ここで、図中m1は、次のような先端重ねマージンm1を表している。即ち、先端重ねマージンm1は、被処理媒体Sが順次上に重ね合わされる場合の、一の被処理媒体S上の処理領域の座標x1から、その上に重ねられる被処理媒体Sの搬送方向先端までのマージン(被処理媒体Sの搬送方向における距離)である。この場合、重ね量δは、被処理媒体Sの搬送方向の長さLから、x1に先端重ねマージンm1を加算したものを引いた値(L−(x1+m1))に設定される。
逆に、図11に示すように、x1が重ね量δよりも大きい(x1<(L+m2)/2)場合について考える。ここで、図中m2は、次のような後端重ねマージンm2を表している。即ち、後端重ねマージンm2は、被処理媒体Sが順次上に重ね合わされる場合の、一の被処理媒体Sの搬送方向後端から、その上に重ねられる被処理媒体S上の処理領域の座標x0までのマージン(被処理媒体Sの搬送方向における距離)である。この場合、重ね量δは、x0から後端重ねマージンm2を引いた値(x0−m2)に設定される。
即ち、処理領域の表面処理中に、サーマルヘッド16とプラテンローラ17により形成される処理部(ニップ部)Tに、重ねた被処理媒体Sの段差が突入すると振動が発生して、表面処理の動作を不安定化する。そのため、上述のような先端重ねマージンm1、後端重ねマージンm2を設けることで、表面処理部の安定動作を優先する。尚、これら先端重ねマージンm1と後端重ねマージンm2とは、同じ値であってもよいし、所望により異なる値としてもよい。典型的には同じ値(m1=m2=m)とする。又、これらのマージンは、表面処理装置100の搬送精度、サーマルヘッド16の構成などに応じて、適宜設定することができる。
4−2.下方重ね合わせ
図12及び図13は、下方重ね合わせを行う場合の、重ね量δと処理領域との関係を示す。上方重ね合わせの場合と同様、図中Lは、被処理媒体Sの搬送方向の長さを表している。又、図中0は、被処理媒体Sの基準点を表しており、本実施例では被処理媒体Sの搬送方向先端側の表面処理装置の奥側(図1中の紙面奥側)を基準とした。図中x0は、処理領域情報が示す処理領域(光沢画像)の被処理媒体Sの搬送方向下流側の端点座標を表している。又、図中x1は、処理領域情報が示す処理領域(光沢画像)の被処理媒体Sの搬送方向上流側の端点座標を表している。
この重ね合わせ方は、x0が被処理媒体Sの搬送方向の長さLの半分よりも大きい(x0>L/2)場合に適している。即ち、この場合、一の被処理媒体Sの後端側を次の被処理媒体Sの先端側の上に重ねてから表面処理を行なう方が、重ね量δをより多くでき、フィルム11の使用効率が良く、又生産性もより向上するからである。図3は、下方重ね合わせを行う場合の重ね搬送ユニット20の模式図である。
又、この場合も、重ね量δは、表面処理時の安定性の観点から、処理領域情報と被処理媒体Sの搬送方向の長さLにより決定される。
先ず、図12に示すように、L−x0が重ね量δよりも小さい((L−x0)<(L+m3)/2)場合について考える。ここで、図中m3は、次のような後端重ねマージンm3を表している。即ち、後端重ねマージンm3は、被処理媒体Sが順次下に重ね合わされる場合の、一の被処理媒体Sの搬送方向後端から、その下に重ねられる被処理媒体S上の処理量領域の座標x0までのマージン(被処理媒体Sの搬送方向における距離)である。この場合、重ね量δは、x0から後端重ねマージンm3を引いた値(x0−m3)に設定される。
逆に、図13に示すように、L−x0が重ね量δよりも大きい((L−x0)<(L+m4)/2)場合について考える。ここで、図中m4は、次のような先端重ねマージンm4を表している。即ち、先端重ねマージンm4は、被処理媒体Sが順次下に重ね合わされる場合の、一の被処理媒体S上の処理領域の座標x1から、その下に重ねられる被処理媒体Sの搬送方向先端までのマージン(被処理媒体Sの搬送方向における距離)である。この場合、重ね量δは、被処理媒体Sの搬送方向の長さLから、x1に先端重ねマージンm4を加算したものを引いた値(L−(x1+m4))に設定される。
即ち、上方重ね合わせの場合と同様、処理領域の表面処理中に、サーマルヘッド16とプラテンローラ17により形成される処理部(ニップ部)Tに、重ねた被処理媒体Sの段差が突入すると振動が発生して、表面処理の動作を不安定化する。そのため、上述のような後端重ねマージンm3、先端重ねマージンm4を設けることで、表面処理部の安定動作を優先する。尚、これら後端重ねマージンm3と先端重ねマージンm4とは、同じ値であってもよいし、所望により異なる値としてもよい。典型的には同じ値(m3=m4=m)とする。又、これらのマージンは、表面処理装置100の搬送精度、サーマルヘッド16の構成などに応じて、適宜設定することができる。更に、上方重ね合わせの場合と、下方重ね合わせの場合とで、上述の各マージンm1、m2、m3、m4の全て又はその一部を同じ値とすることができる。典型的には、全て同じ値とする(m1=m2=m3=m4=m)。
5.重ね合わせ動作
次に、重ね搬送ユニット20による被処理媒体Sの重ね合わせ動作について更に詳しく説明する。上述のように、本実施例では、コントローラ150が、重ね搬送ユニット20の各部の動作を制御して、以下のような被処理媒体Sの重ね合わせ動作を実行させる。
ここでは、図10及び図11に示すような上方重ね合わせ方法で被処理媒体Sを重ね合わせる場合を例として説明する。上方重ね合わせ方法は、被処理媒体Sの搬送方向先端側にのみ表面処理が必要な処理領域があると判断された場合に実行される被処理媒体Sの重ね合わせ方法である。又、ここでは、2枚の被処理媒体S1、S2を重ね合わせる動作について詳細に説明する。図14は、この場合における重ね搬送ユニット20における被処理媒体S1、S2の搬送状態を順番に示す。
図14(a)に示すように、先ず、フラッパ27が第1の位置にある状態で、1枚目の被処理媒体S1が、上流側搬送ローラ対群24によって第1の搬送路21内を搬送される。次に、この被処理媒体S1が、正転方向に駆動される正逆搬送ローラ対群25によって処理前搬送路28内を搬送される。又、所定の紙間をあけて、2枚目の被処理媒体S2が上流側搬送ローラ対群24によって第1の搬送路21内を搬送されてくる。
図14(b)に示すように、その後、第1の被処理媒体センサー26によって1枚目の被処理媒体S1の先端が検出される。そして、その検出結果から1枚目の被処理媒体S1の後端がフラッパ27よりも下流に位置したことが検知された時点で、フラッパ27の位置が第2の位置に切り替えられる。又、その時点で、正逆搬送ローラ対群25が逆転方向に駆動されて、1枚目の被処理媒体S1の後端がフラッパ27によって第2の搬送路22に導かれてそこに格納される。正逆搬送ローラ対群25(その最上流の搬送ローラ対25a)から1枚目の被処理媒体S1の先端までの距離が、露出距離L−δ(例えば、図10の場合はx1+m1)に一致した時点で、正逆搬送ローラ対群25の逆転方向の駆動を停止する。
図14(c)に示すように、その後、フラッパ27の位置が第1の位置に切り替えられる。次に、2枚目の被処理媒体S2が、上流側搬送ローラ対群24によって第1の搬送路21内を搬送され、更にその先端がフラッパ24を通過して正逆搬送ローラ対群25へと搬送される。そして、第1の被処理媒体センサー26によって2枚目の被処理媒体S2の先端が検出されてから所定時間経過後、2枚目の被処理媒体S2の先端が正逆搬送ローラ対群25(その最上流の搬送ローラ対25a)に到達する。それと同時に、正逆搬送ローラ対群25の正転方向の駆動が開始されて、1枚目の被処理媒体1と2枚目の被処理媒体S2とが重ね合わされた状態で搬送される(図14(d))。
2枚目の被処理媒体S2以降も、3枚目の被処理媒体S3、4枚目の被処理媒体S4・・・と、被処理媒体Sの供給が続けられる場合は、上述の動作が繰り返される。これにより、3枚目以降の被処理媒体Sも、所定の重ね量δを保って、順次重ね合わせて搬送することが可能になる。
尚、図15は、図12及び図13に示すような下方重ね合わせ方法で被処理媒体Sを重ね合わせる場合の重ね搬送ユニット20における被処理媒体S1、S2の搬送状態を順番に示す。下方重ね合わせ方法は、被処理媒体Sの搬送方向後端側にのみ表面処理が必要な処理領域があると判断された場合に実行される被処理媒体Sの重ね合わせ方法である。この場合、図14(b)の段階に対応する図15(b)においてフラッパ27の位置が第3の位置に切り替えられる。これにより、1枚目の被処理媒体S1の後端はフラッパ27によって第3の搬送路23に導かれてそこに格納される。フラッパ27、搬送ローラ対24、25の駆動などのその他の動作は、図14に示す上方重ね合わせ方法の場合に準じるため、重複する説明は省略する。
尚、本実施例では、重ね量δは、正逆搬送ローラ対群25(その最上流の搬送ローラ対25a)からフラッパ27までの搬送距離以上である必要がある。
6.重ね合わせ動作および及び表面処理のフロー
次に、図16のフローチャートに沿って重ね合わせ動作及び表面処理の流れを説明する。上述のように、本実施例では、コントローラ150が、重ね搬送ユニット20による重ね合わせ動作及び処理ユニット10による表面処理動作を制御して、以下のような重ね合わせ動作及び表面処理動作を実行させる。
ここでは、図10及び図11に示すような上方重ね合わせ方法で被処理媒体Sを重ね合わせる場合を例として説明する。上方重ね合わせ方法は、被処理媒体Sの搬送方向先端側にのみ表面処理が必要と判断された場合に実行される被処理媒体Sの重ね合わせ方法である。
表面処理装置100の操作部160や外部装置501からネットワーク502などを介して、コントローラ150に処理領域情報や枚数情報が入力される(S101、S102)。すると、コントローラ150は、処理領域情報や枚数情報に基づいて、重ね合わせ方法を選択する。又、選択した重ね合わせ方法に応じて、上述のようにして重ね量δ(正逆搬送ローラ対群25の駆動タイミング)、フラッパ27の位置の切り替え方向及びタイミングが設定される(S103)。
次に、コントローラ150は、入力された枚数情報が示す枚数が1枚である場合(S104)は、算出される重ね量δ0は0であるため、正逆搬送ローラ対群25は常時正転方向に駆動される(S105)。そして、正逆搬送ローラ対群25によって搬送された被処理媒体Sは、サーマルヘッド16とプラテンローラ17とにより形成される処理部(ニップ部)Tを通過して、表面処理が行われる(S106、S107)。
その後、被処理媒体Sの先端が下流側搬送ローラ対19に到達すると、処理部(ニップ部)T及び下流側搬送ローラ対19によって被処理媒体Sが搬送される(S108)。この時点で、表面処理が既に不要である場合は、処理部(ニップ部)Tのサーマルヘッド16とプラテンローラ17のニップを解除して、フィルム11の送り出しを停止する(S109、S110)。上記表面処理が既に不要である場合とは、より具体的には、次のような場合である。即ち、重ね合わせを行うとした場合の被処理媒体Sの先端側の露出量L−δ(例えば、図10の場合はx1+m1)が、下流側搬送ローラ対19のニップ部から処理部Tまでの距離D(ローラ中心間距離で代表)よりも小さい場合である。即ち、D>(L−δ)、例えば、図10の場合にはD>(x1+m1)の場合である。
一方、S104において、コントローラ150は、入力された枚数情報が示す枚数が複数枚である場合は、図14を参照して上述した重ね合わせ動作に従ってフラッパ27を切り替える。そして、正逆搬送ローラ対群25の正転、逆転又は停止動作の繰り返しによって、所定の重ね量δを保ちながら、指定された枚数分だけ重ねる(S111〜S115)。
その後、所定の枚数分重ねられ、正逆搬送ローラ対群25によって搬送された被処理媒体Sは、サーマルヘッド16とプラテンローラ17とにより形成される処理部(ニップ部)Tを通過して、表面処理が行われる(S106、S107)。
その後、入力枚数が1枚である場合と同様の動作が行われる(S108〜S110)。尚、複数枚の重ね合わされた被処理媒体Sの表面処理を行う場合は、最後の被処理媒体Sの先端が下流側搬送ローラ対19に到達した時点で、表面処理が既に不要である場合には、次のようにする。即ち、上述の被処理媒体Sが1枚の場合と同様に、処理部(ニップ部)Tのサーマルヘッド16とプラテンローラ17のニップを解除して、フィルム11の送り出しを停止する。又、複数枚の重ね合わされた被処理媒体Sの表面処理を行う場合は、重ね量δを考慮して各被処理媒体S上の所定の処理領域の表面処理を行うようにする。
上述の通り、被処理媒体S上の表面処理の必要な部分に合わせて、被処理媒体Sを所定の位置に重ねた後で、処理部Tへ被処理媒体Sを束にして搬送する。これにより、フィルム11の使用量を低減することができる。例えば、本実施例に従って、ハガキ(148mm×100mm)を搬送スピード100mm/s、紙間100mm、重ね量80mm(1枚当たりのフィルム使用量20mm)にて10枚連続で給紙・搬送・表面処理を行う。この場合、フィルム11の総消費量は200mmとなる。本実施例による重ね合わせ動作を行わずに表面処理を行った場合は、フィルム11の総消費量は2252mmとなる。このように、本実施例によれば、フィルム11の消費量を91.1%低減することが可能である。又、重ね合わせた状態で連続して搬送される被処理媒体Sに対して表面処理を施す間、サーマルヘッド16とプラテンローラ17とで形成されるニップを解除しないので、表面処理の生産性も向上する。
このように、本実施例によれば、表面処理装置100は、被処理媒体Sの面に接触しながら搬送されるフィルム11と、フィルム11を搬送するフィルム搬送手段13とを有する。又、表面処理装置100は、フィルム11の被処理媒体Sに接触する側とは反対側の面に接触して、被処理媒体Sの搬送方向と略直交する方向における被処理媒体Sの表面の異なる領域をフィルム11を介して選択的に加熱する加熱手段16を有する。又、表面処理装置100は、次のような被処理媒体搬送手段20を有する。即ち、この被処理媒体搬送手段20は、複数の被処理媒体Sの少なくとも一部を重ね合わせてフィルム11との接触部Tに該複数の被処理媒体Sを搬送する。この際、この被処理媒体搬送手段20は、複数の被処理媒体Sの加熱手段16によってフィルム11を介して選択的に加熱される処理領域をそれぞれフィルム11に対して露出させた状態で、複数の被処理媒体Sの少なくとも一部を重ね合わせる。
特に、本実施例では、被処理媒体搬送手段20は、供給された被処理媒体Sを受け入れる第1の搬送路21を有する。又、被処理媒体搬送手段20は、第1の搬送路21において被処理媒体Sをフィルム11との接触部Tに向かう順方向に搬送する第1の搬送部材24を有する。又、被処理媒体搬送手段20は、上記順方向において第1の搬送部材24よりも下流側に配置される第2の搬送部材25を有する。この第2の搬送部材25は、第1の搬送部材24によって搬送された被処理媒体Sを上記順方向に搬送することが可能であると共にその逆方向に搬送することが可能である。又、被処理媒体搬送手段20は、第2の搬送部材25によって上記逆方向に搬送された被処理媒体Sを受け入れる第1の搬送路21とは異なる第2の搬送路22を有する。又、被処理媒体搬送手段20は、第2の搬送部材25によって上記逆方向に搬送された被処理媒体Sの搬送方向を第2の搬送路22に向かう方向に切り替える切り替え手段27を有する。そして、表面処理装置100は、第2の搬送部材25によって上記順方向に搬送された第1の被処理媒体S1を上記逆方向に搬送して第2の搬送路21に向かわせる。その後に、第2の搬送部材25を停止した状態で第1の被処理媒体S1の次に第1の搬送路21に供給された第2の被処理媒体S2を第1の搬送部材25によって第2の搬送部材25まで上記順方向に搬送する。その後、第2の搬送部材25によって第1、第2の被処理媒体S1、S2を重ね合わせた状態で上記順方向に搬送する。又、本実施例では、表面処理装置100は、被処理媒体搬送手段20により複数の被処理媒体Sを順次に上に重ねるか、順次に下に重ねるかを、複数の被処理媒体Sのそれぞれの処理領域の情報に応じて制御する制御手段151を有する。
以上、本実施例によれば、使い切りのフィルム11を介して被処理媒体Sを加熱することで被処理媒体Sの表面の表面性状を部分的に制御可能な表面処理装置100において、ランニングコストの低減と生産性の向上とを図ることができる。
尚、本実施例では、被処理媒体Sの搬送方向についてのみ複数の被処理媒体Sを被処理媒体S相互の間隔(重ね量)を所定の値に設定して重ね合わせる場合について説明した。所望により、複数の被処理媒体Sを搬送方向に略直交する方向にも、被処理媒体S相互の間隔(重ね量)を所定の値に設定して重ね合わせることが可能である。例えば、図17に示すように、フラッパ27の上流側に設けられる上流側搬送ローラ対24を被処理媒体Sの搬送方向に略直交する方向にスライド移動可能に構成する。より具体的には、上流側搬送ローラ対24を支持する支持部材24Bをその回転軸線(被処理媒体Sの搬送方向に略直交する方向)に沿って両方向にスライド移動させる移動手段170を設ける。移動手段170は、例えば上記支持部材24Bを、正逆回転が可能なプーリー171間に架け渡されたベルト172と連結し、プーリー171をコントローラ150によって制御される駆動源としての移動手段駆動モータ170Aで駆動する。この場合、被処理媒体Sの搬送方向のみならず、搬送方向に略直交する方向にも被処理媒体S相互の間隔(重ね量)を所定の値に設定して重ね合わせることが可能になる。重ね合わせ動作前に被処理媒体Sをスライドさせることにより、他の重ね動作や表面処理に至る流れは、上述の搬送方向における重ね合わせ動作と同様とすることができる。このように、上流側搬送ローラ対24をスライド移動可能に構成することができる。即ち、被処理媒体搬送手段20は更に、順方向において切り替え手段27よりも上流側に、被処理媒体Sの搬送方向と略直交する方向に被処理媒体Sを移動させることが可能な移動手段170を有していてよい。これにより、図17に示すように、処理領域が被処理媒体Sの搬送方向に略直交する方向において一方の端部側にのみあるような形状の場合には、同方向においても被処理媒体Sを重ね合わせることで、更にフィルム11の消費量を低減することが可能となる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において、実施例1の表面処理装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、表面処理装置は、電子写真方式の画像形成装置によって別途画像が形成された記録材を被処理媒体として、その表面処理を行う個別の表面処理装置であった。しかし、表面処理装置は、電子写真方式の画像形成装置に接続され、画像形成装置において画像が形成された記録材が、被処理媒体として表面処理装置に搬送されるものであってもよい。
図18は、本発明の一実施例に係る表面処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す模式的な断面図である。本実施例では、表面処理装置100と、電子写真方式の画像形成装置200とが連結されて、画像形成システム300が構成されている。画像形成システム300は、画像形成装置200において記録用紙などの記録材Pに電子写真方式により熱溶融性トナーで画像を形成して、記録材Pの搬送方向において下流側に連結された表面処理装置100に受け渡す。表面処理装置100は、この画像が形成された記録材Pを被処理媒体Sとして、その表面の表面性状を制御する処理(表面処理)を行った後に出力する。
本実施例では、画像形成装置200は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用した1ドラム型の画像形成装置である。
画像形成装置200は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム201を有する。感光ドラム201は、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム201の周りには、その回転方向に従って順に次の各手段が設けられている。先ず、帯電手段としての帯電ローラ202である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)203である。次に、現像手段としての複数の現像器204を備えたロータリー現像装置240である。次に、転写手段としての中間転写ユニット205である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ206である。
中間転写ユニット205は、感光ドラム201に対向するように、中間転写体として無端ベルト状の中間転写体ベルト253を有する。中間転写ベルト253は、複数の張架ローラに張架されて図中矢印R2方向に回転駆動される。中間転写ベルト253の内周面側には、感光ドラム201と対向する位置に一次転写手段としての一次転写ローラ251が配置されており、中間転写ベルト253と感光ドラム201とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1が形成されている。又、中間転写ベルト253の外周面側において、中間転写ベルト253と接触して二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成するように、二次転写手段としての二次転写ローラ252が配置されている。
本実施例では、ロータリー現像装置203は、それぞれCMYKの各色のトナーを用いる現像器204に加え、クリア(透明)トナーを用いる現像器204を有している。表面処理装置100は、トナー像を再加熱してフィルム11の表面性を転写することで光沢性を付与する装置であるため、トナー量が比較的少ない画像部では光沢性を十分に付与することが難しい。このためトナー量が比較的少ない画像部や余白部などにクリアトナーを使用することにより、このような部分にも光沢処理をすることが可能となる。尚、クリアトナーであるために、本来のフルカラー画像に対して影響を及ぼすことはない。
尚、YMCKの4色のトナーは、樹脂と顔料とを主成分とする微粉体であり、又クリアトナーは顔料を含まない樹脂を主成分とする微粉体である。本実施例では、トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂を用いた。
画像形成装置200は更に、記録材Pを給送する給送部207、記録材Pにトナー像を定着させる定着部208、記録材Pを画像形成装置200から表面処理装置100へと搬送する排出部209などを有して構成されている。
斯かる構成の画像形成装置200は、一般的な電子写真方式の画像形成装置と同様の動作でクリアトナーを含むフルカラーの画像形成を行なうことができる。クリアトナーを含むフルカラー画像の形成時を例として説明すると、画像形成時には、回転する感光ドラム201の表面は帯電ローラ202によって一様に帯電させられる。又、帯電した感光ドラム201の表面は、露光装置203に分解色の画像信号が入力されることで、この画像信号に応じて走査露光される。これにより、感光ドラム201上には画像信号に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム201上に形成された静電潜像は、当該分解色に対応する現像器204によって、対応する色のトナーが供給されてトナー像として現像される。感光ドラム201上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ251の作用によって中間転写体ベルト253に一次転写される。このような帯電、露光、現像、一次転写の各工程を、必要な分解色分(ここでは、YMCK及びクリア)繰り返し、中間転写ベルト253上に各色のトナーが順次に重ね合わせるように一次転写された多重トナー像を形成する。中間転写ベルト253に形成されたトナー像は、二次転写ローラ252の作用によって、記録材P上に一括して二次転写される。記録材Pは、中間転写ベルト253上の多重トナー像とタイミングを合わせて、給送部207から二次転写部N2に搬送されてくる。又、このタイミングに合わせて、二次転写ローラ252が中間転写ベルト253に当接される。トナー像が転写された記録材Pは、定着装置208に搬送され、ここで加熱及び加圧されることで、記録材P上にトナー像が定着される。一次転写工程後に感光ドラム201上に残留したトナーは、ドラムクリーナ206によって除去されて回収される。又、二次転写工程後に中間転写ベルト253上に残留したトナーは、図示しないクリーニング手段によって除去されて回収される。そして、画像が定着された記録材Pは、表面処理装置100における被処理媒体Sとして、排出部209により表面処理装置100へと搬送される。
表面処理装置100は、画像形成装置200の排出部209に接続されている。このため、通常の画像形成装置200の排出部に設けられる排出トレイ、又表面処理装置100の給送部に設けられる給送装置(カセット31、供給ローラ32など)は、本実施例の画像形成システム300には含まれていない。
又、表面処理装置100の構成は、実施例1のものと実質的に同じである。但し、本実施例では、上述のように、実施例1の表面処理装置100におけるカセット31、供給ローラ32は設けられておらず、画像形成装置200から画像形成済みの記録材Pが被処理媒体Sとして直接搬送される。又、本実施例では、表面処理装置100のコントローラ150は、図示しない画像形成装置200側のコントローラ(制御部)と通信可能である。そして、本実施例では、コントローラ150は、画像形成装置200から入力される処理命令や、表面処理装置100に設けられた操作部160により入力される処理命令に基づいて、表面処理装置100の各部の動作を制御することができる。処理命令は、対応する領域が処理部Tを通過するタイミングに合わせてサーマルヘッド16を選択的に発熱させるための処理領域情報を含む。サーマルヘッド16は、その処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に対応して発熱して、被処理媒体Sの表面処理を行なう。実施例1と同様、コントローラ150は、パーソナルコンピュータなどの外部装置501から処理命令が入力されるようになっていてもよい。
画像形成装置200の排出部209から排出される、例えばクリアトナーを含むフルカラーの記録材Pは、被処理媒体Sとして表面処理装置100の上流側搬送ローラ対群24へと搬送される。上流側搬送ローラ対群24へと搬送された被処理媒体Sに対する光沢処理は、実施例1で説明したのと同様に行なわれる。
このようなインラインで光沢処理を行う場合、表面処理装置100の処理能力は画像形成装置200の印刷処理能力より高いことが望ましい。表面処理装置100の処理能力が画像形成装置200の印刷能力より低い場合は、画像形成装置200の印刷スピードを落とすか、紙間を開けるなどして表面処理装置100の処理能力に合わせる必要がある。
この様に表面処理装置100を画像形成装置200の排出部209と接続することにより、インラインでの光沢処理が可能となり、光沢処理を施した印刷物を作成する際の生産性が向上する。更に、表面処理装置100の下流側に製本や仕分け等の後処理装置を接続することも可能である。
このような画像形成システム300に本発明に従う表面処理装置を適用しても、上記実施例1、2と同様の効果を奏し得る。
その他
又、上述の実施例では、被処理媒体の表面の表面性状を制御するものとして一旦出力した画像上に光沢画像を得る場合について説明した。一方、印刷物としては、特色として、金、銀などの金属質を表現することが求められることがある。静電気力を用いて画像を形成する電子写真装置では、画像を形成する基材であるトナーに金属系の材質を使用することは原理的に困難である。サーマルヘッドを用いた熱転写プリンタ(熱転写方式)では、金属色のインクとして、例えばフィルムに金属蒸着層を形成し、これを熱により転写することにより、金属質の画像を形成することが可能である(特許文献2)。熱転写方式で使用するフィルムは、フィルム基材と、フィルム基材にコーティングされたインク層とを有する。インク層は剥離層を介してフィルム基材にコーティングされることがあり、又インク層の上には接着層が設けられることがある。金、銀に限らず、このような特色を後処理で印刷物に画像形成する場合にも、フィルムを効率よく使用してランニングコストの低減と生産性の向上を図ることは重要である。本発明は、このようなフィルムに金、銀などの金属色のインクを蒸着したものを用い、サーマルヘッドで加熱することにより、一旦出力した画像上にこれらの特色の画像を熱転写する表面処理装置にも適用することができる。本発明においては、このように被処理媒体の表面に部分的に金属色のインクを熱転写し、金属光沢などの金属質の表現を付与することも含めて、被処理媒体の表面処理という。即ち、フィルムは被処理媒体上の熱可塑性樹脂画像表面と表面粗さが異なる表面粗さを表層に有するもの、或いは被処理媒体に加熱により溶融して転写されるインクがコーティングされたものとすることができる。このように、本発明は、フィルムを介して加熱して被処理媒体の表面の表面性状を部分的に制御したり、フィルム上の熱溶融性インクを被処理媒体の表面に部分的に熱転写したりする表面処理装置に適用可能である。
10 処理ユニット
11 フィルム
12 供給軸
13 巻き取り軸
16 サーマルヘッド
17 プラテンローラ
20 重ね搬送ユニット
24 上流側搬送ローラ対群
25 正逆搬送ローラ対群
26 第1の被処理媒体センサー
27 フラッパ(搬送方向切り替え手段)
100 表面処理装置
200 画像形成装置
300 画像形成システム
S 被処理媒体

Claims (4)

  1. 被処理媒体の面に接触しながら搬送されるフィルムと、
    前記フィルムを搬送するフィルム搬送手段と、
    前記フィルムの被処理媒体に接触する側とは反対側の面に接触して、被処理媒体の搬送方向と略直交する方向における被処理媒体の表面の異なる領域を前記フィルムを介して選択的に加熱する加熱手段と、
    複数の被処理媒体の前記加熱手段によって前記フィルムを介して選択的に加熱される処理領域をそれぞれ前記フィルムに対して露出させた状態で、該複数の被処理媒体の少なくとも一部を重ね合わせて前記フィルムとの接触部に該複数の被処理媒体を搬送する被処理媒体搬送手段と、
    を有することを特徴とする表面処理装置。
  2. 前記被処理媒体搬送手段は、供給された被処理媒体を受け入れる第1の搬送路と、前記第1の搬送路において被処理媒体を前記フィルムとの接触部に向かう順方向に搬送する第1の搬送部材と、前記順方向において前記第1の搬送部材よりも下流側に配置され前記第1の搬送部材によって搬送された被処理媒体を前記順方向に搬送することが可能であると共にその逆方向に搬送することが可能である第2の搬送部材と、前記第2の搬送部材によって前記逆方向に搬送された被処理媒体を受け入れる前記第1の搬送路とは異なる第2の搬送路と、前記第2の搬送部材によって前記逆方向に搬送された被処理媒体の搬送方向を前記第2の搬送路に向かう方向に切り替える切り替え手段と、を有し、
    前記第2の搬送部材によって前記順方向に搬送された第1の被処理媒体を前記逆方向に搬送して前記第2の搬送路に向かわせた後に、前記第2の搬送部材を停止した状態で前記第1の被処理媒体の次に前記第1の搬送路に供給された第2の被処理媒体を前記第1の搬送部材によって前記第2の搬送部材まで前記順方向に搬送し、その後、前記第2の搬送部材によって前記第1、第2の被処理媒体を重ね合わせた状態で前記順方向に搬送することを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
  3. 前記被処理媒体搬送手段は更に、前記順方向において前記切り替え手段よりも上流側に、被処理媒体の搬送方向と略直交する方向に被処理媒体を移動させることが可能な移動手段を有することを特徴とする請求項2に記載の表面処理装置。
  4. 前記被処理媒体搬送手段により前記複数の被処理媒体を順次に上に重ねるか、順次に下に重ねるかを、前記複数の被処理媒体のそれぞれの前記処理領域の情報に応じて制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面処理装置。
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