JP5713588B2 - 光沢処理装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような部分的な光沢処理を行うためには、サーマルヘッドの発熱する発熱体と発熱しない発熱体の影響をなるべく忠実に画像に与えることが必要になる。このためフィルムとして非常に薄いものを使用する必要性がある。また、フィルムの画像と接触する側の表面には、熱可塑性樹脂との離型性を確保するためにコート層を設ける必要がある。しかし、上述したように非常に薄いフィルムにコート層を設けた場合、画像とフィルムを良好に分離するためにフィルム表面に形成されているコート層が、分離部においてフィルム基材から剥がれ、画像の表面に転写してしまう場合がある。コート層が転写した部分では、画像の光沢が低下する光沢不良が生じる。これは、熱可塑性樹脂との離型性を確保するために形成されているコート層の表面エネルギーが低いため、コート層とフィルム基材との間の接着力が低減してしまうことに由来すると考えられる。
また、熱可塑性樹脂とコート層との離型性が確保しきれないと、フィルムと画像の分離が正常な位置で行われず、排紙方向へとずれてしまう場合がある。通常、フィルムと画像の分離時には分離板が存在し、フィルムが分離板に沿うように分離するために、長手方向は均一な位置で分離が行われる。しかし、分離位置が排紙方向にずれ、分離板が存在しない位置で分離しようとすると、フィルムの剛度が低いため、長手方向でフィルムがたわみ、長手均一に張力が掛からず、長手方向の一部で分離が遅れる場合がある。その結果、長手で分離が遅れた部分には力が集中し、その部分で記録材上のWAXなど画像表面の一部分がフィルム側に転写され、画像表面が荒れて光沢が低下してしまう課題が生じる。
また、フィルムと画像の分離位置が更に排紙方向にずれた場合には、フィルムと画像が分離しないままシート送りローラ対に突入し、排紙不良が発生することもある。
。
細長い基板と、前記基板上に基板長手方向に沿ってライン状に並んでおり選択的に発熱可能な複数の発熱体と、を有する固定配置されたヒータと、
ポリエチレンテレフタレートで形成されたフィルム基材と、前記フィルム基材にフッ素樹脂又はシリコーン樹脂をコーティングしたコート層と、を有し、厚みが2μm以上40μm以下、前記コート層の水に対する接触角が80度以上、前記フィルム基材と前記コート層の接着力が10N/cm 2 以上であり、前記ヒータに摺動自在な転写フィルムと、
該転写フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部を通過した前記転写フィルムを巻き取る巻き取り手段と、
前記転写フィルムの前記コート層とは反対側の面に接触し、前記ニップ部と前記巻き取り手段の間に設けられている分離部材と、
を備え、
定着済みトナー画像が形成されたシートを前記ニップ部で前記転写フィルムとともにトナー画像と前記コート層を接触させた状態で前記基板長手方向に対して直交する方向に移動させ、シートが前記ニップ部を移動する期間中にトナーが軟化する温度で前記複数の発熱体を選択的に発熱させることにより、前記転写フィルムを介してシートの領域内を部分的に加熱し、その後、トナーのガラス転移点以下の温度を保つように温度管理されている前記分離部材の位置で前記転写フィルムの移動方向を変え、シートから前記転写フィルムを分離することで、前記転写フィルムの表面形状をトナー画像に部分的に転写しトナー画像に部分的に光沢処理を施す光沢処理装置において、
前記分離部材の前記転写フィルムとの接触面を、曲率半径が0.5mm以上3.0mm以下の略円弧面で形成するとともに、
前記巻き取り手段による前記転写フィルムを巻き取る張力を、2gf/cm以上170gf/cm以下とした
ことを特徴とする。
図1は、本実施形態の光沢処理装置の概略構成を示す断面図である。本実施形態の光沢処理装置は、シート(被処理媒体)に担持された(シート上の)熱可塑性樹脂を加熱により軟化させ、転写フィルムの表面形状を用いて変形させることで、転写フィルムの表面形状を転写して光沢処理を行うものである。まず、光沢処理装置の全体構成について説明する。
図1において、1は装置本体、2はシート(記録材)Pを積載したカセット、3はカセット2からシートPを一枚ずつ分離給送する給送ローラである。また、4は給送ローラ3から給送されたシートPを挟持して処理部(加熱部、ニップ部)へ向けて搬送するシート送りローラ対である。シート送りローラ対4は、シートPを往復移動させることができる
ように構成されている。14はシートPをP1の記録開始位置まで予め搬送する際、シートPの先端を検知するセンサである。
5はシート搬送経路を挟んで配置される加圧部材としてのプラテンローラ、6は記録情報(表面処理情報)に応じて選択的に発熱するヒータとしてのサーマルヘッドであり、プラテンローラ5とサーマルヘッド6は対向して配置されている。
8はサーマルヘッド6によってシートPに押圧されると共に選択的に加熱される転写フィルム(以下、フィルム)である。7はフィルム8が収納されるフィルムカセット(収納部、装着部)であり、12と13はそれぞれ、フィルムカセット7内に設けられたフィルム8のフィルム巻き取り軸とフィルム供給軸である。11はサーマルヘッド6によって加熱押圧されたフィルム8とシートPとを分離する分離部材である。9はシートPを装置本体外へ排出する排出ローラ対であり、15は排出トレイである。
以下に、サーマルヘッド6の基本構成や基本仕様について説明する。図4は、サーマルヘッド6の発熱体の構成について説明するための概略図である。サーマルヘッド6は、アルミナなどを用いた基板21に印刷されたグレーズ(以下、保温層)22上に、発熱体25を介して、コモン(共通)電極23a、リード(個別)電極23bが形成されることにより構成されている。(各電極の下面に発熱体25が形成されている。)さらに、基板21、保温層22、各電極23a,b及び発熱体25の上面には、保護膜(オーバーコート層)24が形成されている。また、サーマルヘッド6は、発熱体25に選択的に電力を印加して発熱させるための駆動回路、さらにはシートPに熱を与えた後の余分な熱を放熱させる放熱板などの構成部材から構成されている。ここで、本実施形態の光沢処理装置には、この駆動回路を用いて発熱体25の発熱量を制御する制御手段が設けられている。
本実施形態では、発熱体密度300dpi(dots per inch)、記録密度300dpi、駆動電圧30V、発熱体平均抵抗値5000Ωのサーマルヘッド6を使用した。しかし、サーマルヘッド6におけるヘッド構成や仕様はこれに限るものではない。
基板21上には、1ラインを構成するように発熱体25が複数配置され、その両サイドに電極が配線されている。また、1ライン分のデータを転送保持するレジスタ群を含めたドライバICが、同一基板上あるいは別個の配線基板上に設けられている。
このように構成されたサーマルヘッド6は、複数の発熱体25の発熱量をそれぞれ独立して調整可能とされ、シートPへの加熱領域が制御可能に構成されている。このことで、シートPの表面に対して中間的な光沢処理が可能となっており、さらに、シートPの表面に対して部分的に光沢処理を行うことが可能となっている。ここで、フィルム8がシートPと共にニップ部Nを通過する領域のうち一部の領域に対してサーマルヘッド6が加熱可能に構成されることで、シートP上の一部の領域に対して部分的に光沢処理が可能となる。
プラテンローラ5は硬質ゴム等の摩擦係数の高い部材をローラ状に形成したもので、例えばシリコンゴム等を用いたゴムローラからなり、軸5aにより装置本体1に回動可能に取り付けたものである。プラテンローラ5は、図示しない駆動源により駆動されることにより、フィルム8が搬送されるように構成されている。プラテンローラ5は、フィルム8に対してサーマルヘッド6とは反対側に設けられている。
フィルム8は、サーマルヘッド6に摺動自在に設けられており、表面(画像形成面側)に熱可塑性樹脂材を有するシートPに対して、光沢処理を行うための表面形状を有している。また、フィルム8はフィルム供給軸13に所望の長さ巻き取り蓄えられ、必要に応じ
てフィルム巻き取り軸12により巻き取ることにより、サーマルヘッド6を含む処理部に供給される。光沢処理装置においてフィルム8が交換可能な仕様の場合には、フィルム8は光沢処理装置本体に対して着脱可能に設けられている。
フィルム8は、シート表面を局所的に加熱するために、薄い可撓性材料で構成されたものが適用されている。この観点からフィルム8の厚さは40μm以下が望ましい。光沢処理の観点では、2μm厚さまで可能であるが、フィルム強度の観点から4μm以上が好ましい。さらに、光沢処理において、写真調の写像性に優れた表面性を得るために、フィルムはある程度の剛度を持つことが有効であり、以下の様な材質においては8μm以上が好ましい。また、材質については、サーマルヘッドに対する耐熱性が必要である。PI(ポリイミド)など200度を超える耐熱性を有する材質が好ましいが、加熱履歴は残るがPET(ポリエチレンテレフタレート)など一般的な樹脂フィルムも使用可能である。具体的な転写フィルムとしては、PETフィルム+離型コーティング、厚さ8μmのフィルム部材を用いた。
フィルム表層(シートPに接触する面)には、離型コーティングを施してある。この機能層は低表面エネルギーのコート層であり、フィルム8とシートP表面の熱可塑性樹脂材との離型性を向上するために施されている。フィルム8の表面形状を転写する場合においては、フィルム8の形状を如何に正確にシートPに転写するかという観点から、フィルム8とシートPとはスムーズに離型(分離、剥離)することが望ましい。これらの組成としては、たとえばフッ素樹脂他、シリコーン樹脂などが用いることができる。本例では、写真用の平滑な面を作るため、ベースフィルムにコーティングにより作成している。また、同表層の水に対する接触角は90度であり、優れた離型性能を有している。表層は離型性能を保持するために80度以上の(水に対する)接触角を有することが好ましい。
図6に測定装置の概略図を示す。まずフィルム8を、離型コート層が表面になるように平面30に固定する。固定したフィルム8の離型コート層が形成されている表面上に直径7mmの円柱型のプローブ31を、円形の面がコート層と接するように接着剤にて固定する。プローブ31には金属のような、力を加えても変形の小さいものが望ましい。その後、フォースゲージ32を円柱型プローブ31に固定し、400mm/minの速度で、フィルム8を固定した平面に対して垂直に引っ張る。そしてコート層が剥がれた際にフォースゲージ32に掛かった力を測定し、コート層とフィルム基材の接着力とした。
フィルム裏面(サーマルヘッド6と摺動する面)には、サーマルヘッド6との機械的摩擦を低減するために、スティック防止層を設けている。先に述べた離型コーティングに近い特性が要求されるため、具体的には、離型層と同様のフッ素樹脂他シリコーン樹脂によるコーティングが有効である。
本発明におけるフィルムは、その表面形状を転写するため、高光沢の平滑フィルムであれば、高光沢な写真調の光沢表面に処理することが可能になる。また、逆に、サンドブラストによるマットフィルムを使用するあるいは、特定の形状を施したフィルムを使えば、その形状の反転形状をシートPに転写することが可能である。たとえば、絹目や和紙や、エンボス紙に有るような様々な風合いの形状を転写することが可能である。また、幾何学模様を施すことも可能であり、格子など様々な風合いを転写することが可能である。また、さらに1μmからサブμmオーダーの幾何学構造を作ることによりホログラム色を呈する表面を転写することが可能である。
本発明では、シートP表面に対して、部分的に光沢処理が可能であるため、これらのフィルムを複数備えて、必要な場所にのみ様々な形状やホログラム色を処理することが可能である。
分離部材11について、以下に詳細に説明する。
分離部材11は、フィルム冷却機能と曲率によるフィルム分離機能の2つの役目を担っている。分離部材11は、SUS(ステンレス鋼)などの金属により構成し、分離曲率を十分小さい値に設定することにより、シートPとフィルム8を確実に離型出来るように構成されている。ここで分離部材11は、フィルム8のシートPとの接触面とは反対側の面
に接触してフィルム8の移動方向を変えることでフィルム8とシートPとを分離させている。また、図にはないが分離部材11の温度上昇を抑えるための冷却機構を持つことが望ましい。これには、例えば空冷あるいは、冷却フィンを取り付けることが有効である。
また、複数箇所に設けられたサーミスタ抵抗により分離部材11の温度を監視することで、分離部材11の温度が冷却目標温度T1℃以下になるように、ファンや、印字動作を制御するとよい。
冷却目標温度T1は、シートP上の色材あるいはオーバーコート材などの表層樹脂のTg(ガラス転移点)に合わせることが望ましい。Tgと溶融開始点のずれを考慮すると、冷却目標温度T1は、Tg+15度程度、さらに好ましくはTg以下に設定するのが好ましい。また、色材層には樹脂や着色材以外にWax等の成分を含む表層材質もある。この場合、Waxの融点以下に設定することが好ましい。記録材質が定まらない場合は室温程度の十分低い温度に設定することが好ましい。例えば30〜50℃程度が良好である。
本実施形態ではシート(被処理材)として、電子写真記録装置(電子写真画像形成装置)により出力された記録材(印刷物)を用いた。記録材としては、印刷用アート紙(坪量157g/m2)を用いた。本実施形態では、CMYKの4色トナー(熱可塑性樹脂材)による記録画像と、色材を含まない熱可塑樹脂主体の透明トナーを加えた5色プロセスにより画像形成された記録材の2種類を用いた。透明トナーは、CMYKに分版後、印字率の低い部分に透明トナーを補い、記録材全体をトナーで覆う様に印字パターンを決定し出力した。これにより、記録材の任意の場所を光沢処理することが可能となる。また、電子写真記録による記録材のグロスは、60度グロスで10%程度になるよう電子写真記録装置におけるトナーの定着状態を調整した。
また、本実施形態においては、記録材は、上記4色及び5色プロセスに限らず、熱可塑性樹脂材によるコーティングを施したシートに、4色プロセスにより画像を形成した場合にも、同様に光沢処理が可能となる。また、溶融熱転写記録、昇華熱転写記録、インクジェット記録等により記録されたシートについても同様である。この場合においても、熱可塑性樹脂材でシート面を覆うことより、シート全面のうちの任意の場所を光沢処理が可能となる。
このように本実施形態の、熱可塑性樹脂材が担持されたシートにおいては、シート上に画像を形成するための材料が熱可塑性樹脂材である場合と、画像形成面上に熱可塑性樹脂材をコーティングした場合とを含むものである。
図1に示す装置本体1において、画像が記録されているシートPがカセット2から給送ローラ3により一枚ずつ分離給送されると、シートPは処理部に向けてシート送りローラ対4により挟持搬送される。シートPは、P1の処理開始位置まで予め搬送される際、シートPの先端を検知するセンサ14を通過する時間がカウントされること等でシートPの長さが計測される。
シートPは、センサー14を完全に通過した所で一度搬送を停止し、今度はローラ対4によって、先程の搬送方向とは逆方向に搬送される。処理部においては、シート搬送経路を挟んで(フィルム8を介して)プラテンローラ5とサーマルヘッド6が対向して配置されることで、フィルム8とプラテンローラ5との間にニップ部Nが形成されている。シートP上にフィルム8が位置している状態(シートPとフィルム8が重ね合わさった状態)で、シートPとフィルム8は、ニップ部Nにおいて、加熱かつ加圧されながらサーマルヘ
ッドに対して相対的に移動する。ここで、シートP上にフィルム8が位置している状態では、シートPの画像形成面がフィルム8に接触した状態となっている。
さらに、フィルム8と、フィルム8と共に移動するシートPとがニップ部Nで押圧されている間、光沢処理のための光沢情報に基づきサーマルヘッド6の各発熱体が選択的に加熱される。また記録開始と共に、フィルム巻き取り部12とプラテンローラ5を同調させて駆動することで、フィルム8を所望の長さ分だけ搬送することができる。その後、分離部材11によりフィルム8とシートPとが分離されることにより、シートPに所望の光沢処理が施される。
シートPの長さ分だけフィルム8が巻き取られ、印字(光沢処理)終了後、サーマルヘッド6からプラテンローラ5は離間される。
光沢を記録されたシートPは、シート送りローラ対4、排紙ローラ対9の順に挟持搬送され、最後に筐体外へ排出されて記録が終了する。なお、シートPとしてロール紙も使用可能である。
本実施形態では、シート送りローラ対4により、シートPを往復移動させながら複数回の光沢処理が可能な構成であるが、このような構成に限るものではない。例えば、プラテンドラムを使用し、ドラムを複数回回転しながら光沢処理を行うことも可能である。また、プラテンローラを直接駆動し一方向に一回のみ光沢処理をするように構成することも可能である。
サーマルヘッド6への通電の際には、光沢処理(記録画像)の信号レベルに応じて、発熱体25に供給する通電パルスのパルス幅あるいは数を精巧に制御する。記録順序は、1ラインごとのラインプリントを単位とし、1ラインのプリントが終了すると、プラテンローラ5を1ライン分回転させてシートPを移動させるとともに、フィルム8も同じ量だけ移動させる。
サーマルヘッド6への通電方式は、入力信号階調に対して、パルス数を一定にして通電パルス幅を制御する方式と、一定パルス幅列を用意してパルス数を制御する方式とに分けられる。前者は緻密な階調−濃度特性を設計できるが、反面、中間調制御部が複雑となる。後者では一定パルス列を用意して入力階調を割り振り直すのみであり、中間調制御部の負担は軽いが、緻密な濃度特性を実現するには、実際の階調数よりかなり多くのパルス数を用意する必要がある。
評価画像としては、A3サイズの記録紙に、Bkベタ画像を印字し、その後、光沢処理装置にて、幅19cm、長さ35cmのベタ画像のグロスデータで処理したものを用いた。
(ア)フィルムコート層剥がれ
図7にコート層剥がれが生じた画像の様子を示す。フィルム8のコート層剥がれが生じた部分では、剥がれたコート層がシートPに付着し、出力部の光沢度が低下する。この剥がれたコート層がシートP表面に付着しているかどうかを顕微鏡で観察し、以下の基準で評価を行った。
○:コート層がシートP表面に付着していない
×:コート層がシートP表面に付着している
(イ)光沢不良
図8に光沢不良が生じた画像の様子を示す。分離位置が排紙方向へずれたまま画像が出
力され続けると、画像全体の表面が荒れ光沢が低下した出力物が得られる。光沢度の低下はトリグロスメータ(BYKガートナー社製)により測定した60度グロスによって評価した。
本例では、写真調の高光沢面を評価するため、以下の基準で評価を行った。
○:画像全体に光沢不良が発生しておらず、60度グロスが80%以上である
△:画像で、60度グロスが80%以下の領域が存在する
×:フィルム8とシートPが分離しない(評価不能)
(ウ)連続処理中の排紙不良
評価画像の出力を50枚実施し、その際に一枚でも処理中にフィルム8と画像が分離しないままシート送りローラ対4に突入してしまい、排紙不良が生じるものがあるかどうかを、以下の基準で評価した。
○:50枚全てにおいて排紙不良は生じない
×:50枚のうち、一枚以上で排紙不良が生じる
フィルム8の表面の形状を転写する本実施形態においては、フィルム8の形状を如何に正確に転写するかという観点から、スムーズに離型することが望ましい。本実施形態に用いられるフィルム8には、フィルム基材とシートP表層樹脂の離型性を向上するために、低表面エネルギーのコート層を設けている。しかし、コート層の表面エネルギーが低いため、フィルム基材との接着力が低減してしまう場合がある。フィルム基材とコート層の接着力が小さいと、フィルム8がわずかに屈曲するだけでコート層がフィルム基材から剥がれ、シートPの表面にコート層が転写してしまう。
また、フィルムコート層の剥がれには、コート層と基材の接着力はもちろんのこと、コート層表面に掛かる力とも密接な関係がある。
本実施形態では、シートP表面をフィルム8越しにサーマルヘッド6により局所的に加熱するために、非常に薄いフィルム8を使用する必要がある。非常に薄いフィルム8だと、フィルム基材の剛性が低下するため、張力によってフィルム基材が伸びやすくなる。一方、表層樹脂の離型性を向上するために設けられているコート層は、フィルム基材との材質が異なるため、張力による伸縮率がフィルム基材とは異なる。そのため、例えばフィルム8が大きく屈曲した場合、またはフィルム8に大きな張力が掛かった場合等に、フィルム基材が局所的に伸張し、その伸張に対応しきれなかったコート層の表面に亀裂が生じる場合がある。すなわち、フィルム基材とコート層の接着力、フィルム8を巻き取る張力、分離部材11の略円弧面の曲率半径の関係がコート層の剥がれに大きく関わると考えられる。
そこで、本実施形態では、フィルム8とシートPの分離角度を90度以上とすることで、フィルム8の巻き取られる方向とシートPの搬送される方向が反対方向となり、フィルム8とシートPの分離位置が排紙方向へずれることをより抑制できるようにした。例えば、図2に示すように、フィルム8は図の左右において右向き巻き取られ(引っ張られ)、シートPは左向きに搬送される。これによって、フィルム8が画像と分離せずにシート送りローラ4に突入して生じる排紙不良を抑制でき、より良好な出力結果を得ることができる。
本実施例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が10N/cm2であるフィルムを使用した。また、フィルムを巻き取る張力を2gf/cm、分離部材11の曲率半径を3mm、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成を取った。
(実施例2)
本実施例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が10N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を170gf/cm、分離部材11の曲率半径を0.5mm、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成を取った。
(実施例3)
本実施例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が15N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を15gf/cm、分離部材11の曲率半径を2mm、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成を取った。
(実施例4)
本実施例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が15N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を120gf/cm、分離部材11の曲率半径を0.5mm、フィルム8とシートPの分離部角度を100度として、図2のような装置構成を取った。
(比較例1)
本比較例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が1N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を120gf/cm、分離部材11の曲率半径は0.5mmとし、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成とした。
(比較例2)
本比較例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が10N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を185gf/cm、分離部材11の曲率半径は0.5mmとし、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成とした。
(比較例3)
本比較例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が10N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を120gf/cm、分離部材11の曲率半径は0.1mmとし、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成とした。
(比較例4)
本比較例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が15N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力を1gf/cm、分離部材11の曲率半径は0.5mmとし、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成とした。
(比較例5)
本比較例では、フィルム8としてはフィルム基材とフィルム表面に形成されたコート層の接着力が15N/cm2であるフィルム8を使用した。また、フィルム8を巻き取る張力は120gf/cm、分離部材11の曲率半径は10mmと、フィルム8とシートPの分離部角度を70度として、図3のような装置構成とした。
また、各実施例では、フィルム8を巻き取る張力は2gf/cm以上170gf/cm以下として、フィルム基材からのコート層の剥がれを抑制している。これに対して、比較例2では、フィルム8を巻き取る張力が170gf/cm以上であるので、コート層の剥がれが生じている。比較例4では、フィルム8を巻き取る張力が2gf/cm以下であるので、フィルム8とシートPが離型できていない。
また、各実施例では、分離部材11の曲率半径を0.5mm以上3.0mm以下として
、フィルム基材からのコート層の剥がれを抑制している。これに対して、比較例3では、分離部材11の曲率半径が0.5mm以下であるので、コート層の剥がれが生じている。比較例5では、分離部材11の曲率半径が3.0mm以上であるので、フィルム8とシートPが離型できていない。
Claims (3)
- 細長い基板と、前記基板上に基板長手方向に沿ってライン状に並んでおり選択的に発熱可能な複数の発熱体と、を有する固定配置されたヒータと、
ポリエチレンテレフタレートで形成されたフィルム基材と、前記フィルム基材にフッ素樹脂又はシリコーン樹脂をコーティングしたコート層と、を有し、厚みが2μm以上40μm以下、前記コート層の水に対する接触角が80度以上、前記フィルム基材と前記コート層の接着力が10N/cm 2 以上であり、前記ヒータに摺動自在な転写フィルムと、
該転写フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部を通過した前記転写フィルムを巻き取る巻き取り手段と、
前記転写フィルムの前記コート層とは反対側の面に接触し、前記ニップ部と前記巻き取り手段の間に設けられている分離部材と、
を備え、
定着済みトナー画像が形成されたシートを前記ニップ部で前記転写フィルムとともにトナー画像と前記コート層を接触させた状態で前記基板長手方向に対して直交する方向に移動させ、シートが前記ニップ部を移動する期間中にトナーが軟化する温度で前記複数の発熱体を選択的に発熱させることにより、前記転写フィルムを介してシートの領域内を部分的に加熱し、その後、トナーのガラス転移点以下の温度を保つように温度管理されている前記分離部材の位置で前記転写フィルムの移動方向を変え、シートから前記転写フィルムを分離することで、前記転写フィルムの表面形状をトナー画像に部分的に転写しトナー画像に部分的に光沢処理を施す光沢処理装置において、
前記分離部材の前記転写フィルムとの接触面を、曲率半径が0.5mm以上3.0mm以下の略円弧面で形成するとともに、
前記巻き取り手段による前記転写フィルムを巻き取る張力を、2gf/cm以上170gf/cm以下としたことを特徴とする光沢処理装置。 - 前記分離部材の前記転写フィルムとの接触面を、曲率半径が0.5mm以上2.0mm以下の略円弧面で形成するとともに、
前記巻き取り手段による前記転写フィルムを巻き取る張力を、15gf/cm以上170gf/cm以下としたことを特徴とする請求項1記載の光沢処理装置。 - 前記転写フィルムと前記シートが分離した後に、前記転写フィルムが前記巻き取り手段に引っ張られる方向と、前記シートが搬送される方向とがなす分離角度が90度より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の光沢処理装置。
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