JP5794520B2 - ポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に開示された発明は、プラスチック混合物をトルエンに溶解し、トルエンに溶解する可溶分とトルエンに溶解しない不溶分とに分離して、この不溶分にテトラヒドロフラン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び二硫化炭素から選ばれる少なくとも1種の溶媒を添加し、この溶媒に溶解する可溶分と溶解しない不溶分とに分離して、分離した各成分を定性並びに定量分析するものである。そして、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンの量に基づいて、プラスチック混合物の脱塩素化処理条件を決定するものである。
詳細には、主に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンから選ばれる2以上を主成分とするプラスチック混合物に適した分析方法であり、このようなプラスチック混合物に、まず最初に、トルエンを添加して40〜80℃の加熱下で1〜2時間溶解処理を行うと、ポリスチレンの単一成分がトルエンに溶解し、可溶分として分離される。次に、トルエンに溶解しない不溶分に、テトラヒドロフランを添加して溶解処理を行うと、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素含有プラスチックが溶解し、可溶分として得られ、一方、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートの結晶性プラスチックは溶解せずに不溶分として分離される。トルエンやテトラヒドロフランに溶解した可溶分は貧溶媒を用いた再沈殿法等により溶媒を除去して固体化し、不溶分の結晶性プラスチックとともに赤外分光法やDSC等の熱分析の公知の方法によって定性及び定量することができる。特に、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンの混合物を赤外分光法によって定性及び定量することによって、廃プラスチック中に含まれる塩素含有量を把握することができ、廃プラスチックを固体燃料や高炉還元剤等に利用する際に不可欠な脱塩素処理条件を、ポリ塩化ビニルだけでなくポリ塩化ビニリデンの量を考慮して決定することができ、脱塩素化されていない不良品の発生を抑えることが可能となる。
この特許文献2に開示された発明は、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂のうち2種以上を含む粉状の廃プラスチック原料に、まず冷キシレンを添加して、冷キシレンに溶解するポリスチレン系樹脂と、冷キシレンに不溶の不溶物(A)に分離する工程と、次にこの不溶物(A)にテトラヒドロフランを添加して、テトラヒドロフランに溶解するポリ塩化ビニル系樹脂と不溶の不溶物(B)に分離する工程と、そしてこの不溶物(B)に熱キシレンを添加して熱キシレンに溶解するポリオレフィン系樹脂と不溶の不溶物(C)に分離する工程と、最後にこの不溶物(C)に熱m−クレゾールを添加してm−クレゾールに溶解するポリエステル系樹脂と不溶のフィラー及びその他の合成樹脂とに分離する工程とを有するものである。
すなわち、廃プラスチック原料に含まれる各成分に対して溶解性のある有機溶剤を順次添加して、溶解する成分を分離していく分別方法であり、まず、冷キシレンに溶解するポリスチレン系樹脂を分離し、次に、テトラヒドロフランに溶解する塩素を含むポリ塩化ビニル系樹脂を分離する。そして、熱キシレンに溶解するポリオレフィン系樹脂を分離し、最後に、熱m−クレゾールに溶解するポリエステル系樹脂を分離する。したがって、廃プラスチック中のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂等の主要成分を効率良く、且つ精度良く分別することができ、廃プラスチックを資源としてリサイクルする場合において有効な方法になっている。
容器包装リサイクル法下において廃棄されるプラスチックは、ポリオレフィン系樹脂が80%以上含まれることが多く、溶融混練された状態におけるポリオレフィン系樹脂を60%以上含んで主成分とするプラスチック廃棄物(ペレット)ではポリオレフィン系樹脂がプラスチック廃棄物の表面のほとんどを覆うため、通常の溶媒では溶出させることができず、順次溶解して分離、分析することはできないという課題があった。また、ポリオレフィン系樹脂を主成分として溶融混練された状態の複合プラスチックの各成分を短時間に効率良く抽出する装置については何ら開示されていない。
上記構成の加熱式ソックスレー抽出装置では、容器部に注入される有機溶剤は、第1の加熱部によって加熱されて気化し、一の側管を経て上方へ上昇して冷却部に達する。そして、冷却部では冷却されて再び液化し、抽出部内に設置される円筒濾紙内に向けて滴下され、円筒濾紙内の試料に含まれる成分を溶解させて抽出部の他の側管から容器部に戻されるように作用するが、特に、第2の加熱部は、抽出部の円筒濾紙が配置される周部の温度を上昇させ、冷却部から滴下する有機溶剤を加熱して高温に保持するように作用する。
上記構成の簡易抽出装置では、加熱部は容器部の底部を加熱して、容器部内の有機溶剤を気化させて上方へ移動させる。そして、気化した有機溶剤は、冷却部において冷却されて液化し、冷却部の下端部から円筒濾紙内に滴下され、円筒濾紙内の残渣の成分を溶解させるように作用する。
上記構成のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法では、第1分離工程において、ポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックをキシレン又はトルエンを溶媒として加熱式ソックスレー抽出装置によって抽出を行うと、キシレン又はトルエンに溶解する可溶分を含む第1の溶液と、キシレン又はトルエンに溶解しない不溶分とに分離されるという作用を有する。また、第2分離工程では、第1の溶液を冷却すると第1の析出物が析出し、この第1の析出物と他の可溶分を含む第2の溶液とが分離されるという作用を有する。そして、第1重量測定工程では、第2分離工程で析出させた第1の析出物の重量が測定され、続いて、次工程では、第1の析出物は赤外分光法により分析される。
なお、本願でいうポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックとは、ポリプロピレンとポリエチレンを併せて60%以上となるように溶融混練した複合プラスチックをいい、これにポリスチレンを加えて80%以上となって他の不純物の量が20%以下となるようにして、溶融混練した複合プラスチックであることが望ましい。
上記構成のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法では、請求項1に記載の発明の作用に加えて、第3分離工程では、第2の溶液にメタノールを添加すると、第2の析出物を析出するので、この第2の析出物と他の可溶分を含む第3の溶液とが分離されるという作用を有する。また、第2重量測定工程では、第3分離工程で析出させた第2の析出物の重量を測定し、次工程では、第2の析出物は赤外分光法により分析される。
上記構成のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法では、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、第4分離工程では、第1分離工程で発生した不溶分が残存する円筒濾紙を請求項2に記載の簡易抽出装置に装着して、有機溶剤を溶媒として簡易抽出装置によって抽出を行うと、有機溶剤に溶解する可溶分を含む第4の溶液が得られ、また、有機溶剤に溶解しない不溶分が得られるという作用を有する。
上記構成のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法では、請求項3に記載の発明の作用に加えて、第3重量測定工程では、第4分離工程で発生した不溶分の重量が測定される。また、次工程では、第4分離工程で発生した不溶分を加熱すると有機成分が熱分解して排除されて無機成分が残存するように作用する。第4重量測定工程では、残存した無機成分の重量が測定され、次工程では、第3重量測定工程において測定された第4分離工程で発生した不溶分の重量値と、第4重量測定工程において測定された無機成分の重量値との差から有機成分の重量が算出される。
図1は、本発明の本実施の形態に係る加熱式ソックスレー抽出装置の概念図である。また、図2は、本実施の形態に係る加熱式ソックスレー抽出装置の写真である。
まず、図1において、加熱式ソックスレー抽出装置1は、キシレン等の有機溶剤3を注入可能なフラスコ2と、このフラスコ2の開口部に接続された抽出管4と、抽出管4の上方に接続される冷却管9を有している。そして、抽出管4には第1の側管5と第2の側管6が設けられており、また、抽出管4の内部には点線で示され、試料が投入される円筒濾紙7が設置されるようになっており、さらに、この円筒濾紙7が配置される抽出管4の周部には加熱ヒーター8が具備されている。そして、冷却管9は外管10と内管11で構成されており、外管10と内管11の間は冷却水通路12となり、冷却管9の上方と下方にそれぞれ設けられる冷却水通水孔13a,13bから通水されて、内管11の内部は水によって冷却されるようになっている。なお、ゴムホース14a,14bは給水設備と排水設備に接続して冷却水通路12に通水するものである。また、図示していないが、加熱式ソックスレー抽出装置1は、フラスコ2を加熱する加熱装置を具備しており、この加熱装置は、例えば、マントルヒーターやオイルバス等である。
このような加熱装置を用いて、フラスコ2を加熱すると、フラスコ2内の有機溶剤3は加熱されて高温となり徐々に蒸発する。気体となった有機溶剤は、抽出管4の第1の側管5を通って冷却管9へ達する。冷却管9では、冷却水通路12を通水する水によって冷却されて再び液化する。液体となった有機溶剤は、冷却管9から抽出管4内の円筒濾紙7に向けて滴下する。このとき、円筒濾紙7の周部には加熱ヒーター8が設置されているので、有機溶剤は再び加熱されて高温となって、円筒濾紙7に投入される試料に接触する。したがって、試料中の有機溶剤に対して溶解する成分は、特に、加熱された有機溶剤によって、短時間で効果的に抽出することができる。抽出管4に滴下して抽出管4の底部に溜まる有機溶剤はサイフォンの原理によって第2の側管6を通ってフラスコ2に戻される。フラスコ2に戻された有機溶剤3は、繰返し同様の経路を通って、試料中からの目的成分を抽出し、有機溶剤3中に濃縮していく。
なお、有機溶剤3は、試料中の抽出する目的の成分に合わせて自由に選定することができる。
すなわち、ポリオレフィンを主成分として60%以上含む溶融混練した複合プラスチックでは、その表面がほとんどポリオレフィンで被覆されるものの、本実施の形態では、高温のキシレンを用いることで常温のキシレンには溶解し難いポリプロピレンも含めて短時間に効率的にポリオレフィンを抽出することができる。
図3は、本発明の本実施の形態に係る簡易抽出装置の概念図である。
図3において、簡易抽出装置21は、蓋23を備える容器22と、蓋23に貫通される冷却管27とを有している。容器22の内部には、円筒濾紙25が円筒濾紙用台26に載置されており、底部には有機溶剤24が注入されている。蓋23は開閉可能で、蓋23を開閉すると円筒濾紙用台26を設置や取り出しを行うことができる。冷却管27は、上端部及び下端部は開口しており、下端部は円筒濾紙の上方に配置されている。
図示していないが、簡易抽出装置21は加熱装置を具備しており、容器22の下方からこの加熱装置を用いて容器22を加熱すると、容器22の内の有機溶剤24が加熱されて蒸発し、気体となる有機溶剤は上方へ移動し、冷却管27に入り込むが、冷却管27の細長い形状内で徐々に冷却されて液化する。液体となった有機溶剤は冷却管27の下端部から円筒濾紙25内に滴下する。滴下した有機溶剤は円筒濾紙25内の試料のうち有機溶剤に溶解する成分のみを溶解して抽出し、円筒濾紙25から流れ出して容器22の底部に戻される。そして、戻された有機溶剤24は再び加熱されて同様の経路を繰り返し、抽出される成分が容器22内の有機溶剤24中に濃縮されていく。
ここで、円筒濾紙25は、先に説明した加熱式ソックスレー抽出装置において抽出し終えた後の残渣が残存する円筒濾紙を設置することが可能であり、円筒濾紙25内には、加熱式ソックスレー抽出装置において有機溶剤に溶解しない不溶分が残渣として残存しており、容器22に注入される有機溶剤24の種類を選定することによってさらにこの残渣から成分を抽出して分離することが可能となる。特に、微量の残渣に対してごく少量の有機溶剤で抽出が可能であり、簡便性が高い。
このように構成された本実施の形態では、簡単な構造で、微量の成分を含む試料をごく少量の有機溶剤で簡単に抽出することができ、特に、主成分に比べてその他の成分が微量にしか含まれない複合プラスチック混合物において有用である。また、加熱式ソックスレー抽出装置を用いて、ポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックからポリオレフィンやポリスチレンを抽出した後に、その加熱式ソックスレー抽出装置に用いられた円筒濾紙25に不溶分として残存した微量成分を効率的に抽出することに適しており、一連の複合プラスチックの分析に用いられることが好適である。
なお、本願においてポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックとして、ポリプロピレンとポリエチレンを併せて60%以上としつつ、これにポリスチレンを加えて80%以上となって他の不純物の量が20%以下となるようにして溶融混練した複合プラスチックであることが望ましいとしたのは、加熱式ソックスレー抽出装置で抽出されずに円筒濾紙25に残存する成分量が簡易抽出装置21の処理能力を上回らないことが望ましく、従って、熱キシレンで溶解可能なポリプロピレン、ポリエチレン及びポリスチレン以外の残渣量を少なくすることが望ましいためである。
図4は、本発明の本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法の工程を示す概念図である。
図4において、本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法は、特に、ポリオレフィンを主成分とし、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の塩素含有プラスチックやポリアミド等のプラスチック成分が溶融混練されたリサイクルペレットに好適な分析方法であり、有機溶剤に対する溶解性の違いを利用して順次成分を分離し、重量測定を行い、さらに赤外分光法により分離した成分を特定するものである。
本実施例においては、ポリオレフィンを主成分とするプラスチック成分が溶融混練されたリサイクルペレットとは、ポリオレフィンを主成分とするプラスチック成分が溶融混練された複合プラスチックの形態の一つであって、ポリプロピレンとポリエチレンを併せて60%以上となるように溶融混練されたリサイクルペレットをいう。これにポリスチレンを加えて80%以上となって他の不純物の量が20%以下となるようにして、溶融混練されたリサイクルペレットであることが望ましい。
まず、ステップS1ではポリオレフィンを含むリサイクルペレットを熱キシレン又は熱トルエンで抽出する。このステップS1はソックスレー抽出法によって行うことが好ましく、特に、先に説明した抽出管に加熱ヒーターを具備した加熱式ソックスレー抽出装置を用いるとよく、加熱式ソックスレー抽出装置を用いると、抽出時にキシレン又はトルエンを高温に保持して、抽出を効果的に行うことができる。加熱されたキシレン又はトルエンには、ポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチック中の成分のうち、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリスチレンが溶解する。特に、ポリプロピレンは常温のキシレン又はトルエンには溶解し難いが、キシレン又はトルエンを加熱して高温にすることによって溶解性を向上させることができる。また、ポリオレフィンを主成分とすることから複合プラスチック表面はポリオレフィンによって被覆されている状態となっているものの、まず、熱キシレンあるいは熱トルエンを用いることで、常温では溶解し難いポリプロピレンも含めて、まずポリオレフィン類を短時間に効率的に溶解させることができる。
そして、溶解が終了すると、濾過等によって熱キシレン又は熱トルエンに溶解する可溶分であるポリオレフィンを含む第1の溶液と、溶解しない不溶分とを分離する。なお、加熱式ソックスレー抽出装置を用いると、円筒濾紙内に不溶分が残存し、可溶分はキシレン又はトルエン溶液中に抽出されるので、不溶分と可溶分の分離が容易となる。
続いて、ステップS3では、ステップS2で得られた析出物の重量を、十分に乾燥した後に測定する。
そして、ステップS6では、乾燥後のポリスチレンの重量を測定する。最後に、ステップS7では、ポリスチレンを赤外分光法により分析(IR分析)し、定性する。
また、円筒濾紙をガラス繊維等で加熱による重量変化をしない材料のものを使用すると、円筒濾紙も含めて加熱することが可能となる。
また、ステップS8のTHFの添加やステップS9のギ酸の添加を行わずに、ステップS1において分離された不溶物について、加熱処理によって有機成分を排除して、重量変化から無機成分と有機成分の重量を求めるようにしてもよい。
また、加熱式ソックスレー抽出装置の抽出終了後の円筒濾紙をそのまま使用して抽出可能な簡易抽出装置を用いることによって、微量成分の抽出を精度よく行うこともできる。
図5は、本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法においてソックスレー抽出法におけるPEの残分と環流時間の関係を示すグラフ図である。
図5において、抽出管を加熱した場合では、PE残分は、環流時間が4時間で約10%となり、5時間になると0%となり、短時間で効率的にキシレンに溶解して抽出されることがわかる。一方、抽出管を加熱しない場合では、PE残分は、環流時間が4時間では約40%であり、7時間になると0%となり、加熱した場合に比べると長時間を要するもののキシレンに溶解して抽出されることがわかる。
図6は、本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法においてソックスレー抽出法におけるPPの残分と環流時間の関係を示すグラフ図である。
図6において、抽出管を加熱した場合では、PP残分は、環流時間が3時間で約30%、7時間になると0%となり、短時間で効率的にキシレンに溶解して十分に抽出されることがわかる。一方、抽出管を加熱しない場合では、PP残分は、環流時間が15時間であってもほとんど変化しておらず、常温ではキシレンには溶解しないことがわかる。
次に、第1の析出物を濾過して得られた溶液を濃縮して、メタノールを加えると、析出物が生成するので、この析出物を第2の析出物とし、濾過して回収し乾燥後重量を計り、赤外線分光光度計で分析した。
図7において、得られた赤外吸収スペクトルは、PE及びPPのみの混合物であると分析できる。また、図8において、得られた赤外吸収スペクトルは、ポリスチレンであると分析できる。
図9は、本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法において得られた生成物の赤外吸収スペクトルである。
図9において、得られた赤外吸収スペクトルには、セルロース、ポリアミド及びポリエステルの特有の吸収ピークが確認でき、残渣には有機成分として、セルロース、ポリアミド及びポリエステルが含まれていると分析できる。
ポリアミドはギ酸に溶解するので、残渣にギ酸を添加すると残渣中のポリアミドをギ酸中に溶解させて分離することも可能である。
図10は、本実施の形態に係るポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法において得られた残渣のEDS分析チャートである。
図10において、チタン、カルシウム、ケイ素等が検出されており、残渣にはこれらの無機成分が含まれることがわかる。なお、炭素や塩素は有機成分由来であると考えられる。
Claims (4)
- ポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックをキシレン又はトルエンを溶媒として加熱式ソックスレー抽出装置によって抽出を行い,前記キシレン又はトルエンに溶解する可溶分を含む第1の溶液と,前記キシレン又はトルエンに溶解しない不溶分と,に分離する第1分離工程と、前記第1の溶液を冷却して第1の析出物を析出させて,この第1の析出物と,他の可溶分を含む第2の溶液とを分離する第2分離工程と、前記第2分離工程で析出させた第1の析出物の重量を測定する第1重量測定工程と、前記第2分離工程で析出させた第1の析出物を赤外分光法により分析する工程とを有し、前記加熱式ソックスレー抽出装置は、溶媒としての有機溶剤を注入可能な容器部と、この容器部の底部を加熱する第1の加熱部と、前記容器部に接続され2本の側管を備え抽出成分を含む試料を投入する円筒濾紙を内設する抽出部と、この抽出部に接続される冷却部とを有する加熱式ソックスレー抽出装置であって、前記抽出部は前記円筒濾紙が配置される周部に第2の加熱部を備えるものであることを特徴とするポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法。
- 前記第2の溶液にメタノールを添加して第2の析出物を析出させて,この第2の析出物と,他の可溶分を含む第3の溶液とを分離する第3分離工程と、前記第3分離工程で析出させた第2の析出物の重量を測定する第2重量測定工程と、前記第3分離工程で析出させた第2の析出物を赤外分光法により分析する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法。
- 前記第1分離工程で発生した不溶分が残存する円筒濾紙を簡易抽出装置に装着し,有機溶剤を溶媒として前記簡易抽出装置によって抽出を行い,前記有機溶剤に溶解する可溶分を含む第4の溶液と,前記有機溶剤に溶解しない不溶分とに分離する第4分離工程とを有し、前記簡易抽出装置は、溶媒としての有機溶剤を注入可能で着脱可能な蓋部を備える容器部と、この容器部の底部を加熱する加熱部と、前記容器部の底部に内設され,前記円筒濾紙を支持する台部と、前記蓋部に貫通され開口した上端部と前記円筒濾紙の上方に配置され開口した下端部を備える冷却部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法。
- 前記第4分離工程で発生した不溶分の重量を測定する第3重量測定工程と、前記第4分離工程で発生した不溶分を加熱して有機成分を熱分解して排除し無機成分を残存させる工程と、この無機成分の重量を測定する第4重量測定工程と、前記第3重量測定工程において測定した前記第4分離工程で発生した不溶分の重量値と,前記第4重量測定工程において測定した前記無機成分の重量値との差から前記有機成分の重量を算出する工程とを有することを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィンを主成分として含む溶融混練した複合プラスチックの分析方法。
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