JP2001074729A - プラスチックの分析方法および脱塩素処理方法 - Google Patents

プラスチックの分析方法および脱塩素処理方法

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JP2001074729A
JP2001074729A JP25417299A JP25417299A JP2001074729A JP 2001074729 A JP2001074729 A JP 2001074729A JP 25417299 A JP25417299 A JP 25417299A JP 25417299 A JP25417299 A JP 25417299A JP 2001074729 A JP2001074729 A JP 2001074729A
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Kazuya Takemura
一也 竹村
Masahiko Kajioka
正彦 梶岡
Tatsuya Nobusawa
達也 信澤
Toshihide Suzuki
利英 鈴木
Makoto Shitomi
誠 侍留
Kazuya Miyagawa
和也 宮川
Hideaki Unzaki
秀明 運崎
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Kawasaki Steel Corp
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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチック混合物に含まれるプラスチック成
分を、簡便に操作性よく(安全性が高く)、かつ正確に
定性、定量分析することができるプラスチックの分析方
法、さらにはおよびこの分析方法を脱塩素処理条件の決
定に利用してプラスチックの脱塩素を効果的に行う方法
の提供。 【解決手段】プラスチック混合物をトルエンに溶解し、
トルエンに溶解する可溶分(A)とトルエンに溶解しな
い不溶分(B)とに分離し、上記で得られた不溶分
(B)に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび二硫
化炭素から選ばれる少なくとも一種の溶媒(ii)に添加
し、該溶媒(ii)に溶解しない不溶分(C)と、該溶媒(i
i)に溶解する可溶分(D)とに分離した後、得られた溶
媒分別成分(A)、(C)、(D)を分析し、各成分中
に含まれる塩素含有プラスチック成分を定性、定量分析
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック混合
物に含まれるプラスチック成分を、簡便に操作性よく
(安全性が高く)、かつ正確に定性、定量分析すること
ができるプラスチックの分析方法、さらにはこの分析方
法を脱塩素処理条件の決定に利用してプラスチックの脱
塩素を効果的に行うプラスチック混合物の脱塩素処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活廃棄物としてあるいは農業、
オフィスなどの産業からの廃棄物として、大量に排出さ
れる廃プラスチックの処理が大きな社会問題となってい
る。現在、その多くが埋め立て処理されているが、廃プ
ラスチックの固体燃料、高炉(鉱石)還元剤などへの有
効利用の拡大が望まれている。
【0003】廃プラスチックを固体燃料化して再利用す
る際には、プラスチック中に塩素が含まれていると、加
熱により塩化水素が生成し、ダイオキシン発生による環
境汚染、あるいは設備の腐食などの問題を生起するおそ
れがある。そこで実質的に塩素を含有しない、固体燃
料、鉱石還元剤などとして利用しうるプラスチックは、
前もって脱塩素処理する必要がある。
【0004】廃プラスチックの脱塩素処理は通常加熱に
よって行われる。脱塩素処理時には塩化水素が発生する
ので、従来は塩化水素の発生がほとんどなくなった時点
を脱塩素処理終了としていたが、脱塩素が不十分な不合
格ロットが発生することがある。そこで脱塩素を十分に
行うために、長時間の加熱を行うなどの過剰な操業条件
で実施せざるを得ないのが実情であった。また、廃プラ
スチック中のポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルの含
有量が異なるが、全塩素量が同一であるサンプルを、同
じ条件で脱塩素しても、処理物の脱塩素量は必ずしも一
定していなかった。
【0005】そこで本発明者は上記原因を明確にするた
めに廃プラスチックの脱塩素処理を検討した結果、ポリ
塩化ビニリデン(PVDC)の脱塩素速度はポリ塩化ビ
ニル(PVC)の脱塩素速度よりも遅いことを見出した
のである。したがって、効率よく脱塩素を行うためには
塩素含有量を知るのみでは不十分である。廃プラスチッ
ク中のポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルの量を正確
に知ることができれば、最適な脱塩素処理条件を設定す
ることができ、製造コストをも下げることができるので
ある。
【0006】従来、廃プラスチック中の樹脂成分を高精
度に溶媒分別する方法も提案されている(特開平9−2
4293号)。この公報では、具体的に、溶媒として冷
キシレン、テトラヒドロフラン、熱キシレン、熱(m-)
クレゾールを用いて、廃プラスチックを順次溶媒分別す
ることにより、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポ
リオレフィン類およびポリエステル類を分離している。
また該公報には、分離された各樹脂成分の重量を測定し
て定量し、さらにポリ塩化ビニル類およびポリオレフィ
ン類についてはIRスペクトルを測定すれば、ポリ塩化
ビニル/ポリ塩化ビニリデンの割合、またはポリエチレ
ン/ポリプロピレンの割合が測定できる旨記載されてい
る。
【0007】しかしながら上記公報では、たとえばポリ
エステル類を定量するために、4種類の溶媒を用いて、
溶解分離と再沈澱を合わせて8回の濾過操作を行って単
一な成分に溶媒分別しており、煩雑な工程を必要とす
る。また熱キシレンおよび熱クレゾールなどの高温の溶
媒を用いており、酸性のクレゾール溶液を高温で濾過す
るなど、危険性を伴う操作を必要としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】プラスチック使用量の
増加に伴って、廃プラスチックの処理問題はますます重
要な課題になっており、プラスチック混合物中のプラス
チック成分を正確にかつ操作性よく簡便に分析しうる方
法の確立が急がれている。本発明は、上記のような従来
技術に鑑みてなされたものであって、プラスチック混合
物中の樹脂成分を、熱キシレンまたは熱クレゾールなど
の操作上危険性のある溶媒を使用せず、安全で簡便な操
作により、しかも正確に定性・定量分析できる方法、さ
らにはプラスチック混合物の脱塩素処理を効率よく行う
方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、廃プラスチ
ックなどのプラスチック混合物中のプラスチック成分
を、簡便にかつ容易に定性、定量しうる分析方法につい
て検討したところ、プラスチック混合物を単一成分まで
溶媒分別しなくても、ある程度の混合状態のまま分析し
うる方法を確立した。たとえば、IRスペクトルにおい
て、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルをそれぞれ5
30cm-1、1255cm-1の特定波長として検量線を作成
すれば、これらとポリスチレンの混合状態であっても容
易に定量分析することができることを見出した。そして
この分析の前処理として、特定の溶媒による分別を行う
ことにより、前処理操作および測定回数も少なく、極め
て簡便に、かつ正確に樹脂成分を定性、定量分析するこ
とができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、プラスチック混合物を
トルエンに溶解し、トルエンに溶解する可溶分(A)と
トルエンに溶解しない不溶分(B)とに分離し、上記で
得られた不溶分(B)に、テトラヒドロフラン、シクロ
ヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シドおよび二硫化炭素から選ばれる少なくとも一種の溶
媒(ii)を添加し、該溶媒(ii)に溶解しない不溶分(C)
と、該溶媒(ii)に溶解する可溶分(D)とに分離した
後、得られた溶媒分別成分(A)、(C)、(D)を分
析し、各成分中に含まれるプラスチック成分を定性、定
量分析するプラスチックの分析方法を提供する。
【0011】上記不溶分(C)は熱分析により、また可
溶分(D)は分光分析法により分析することが好まし
い。特に検量線法により分析することが好ましい。この
ような分析と上記溶媒分別とにより、成分(C)、
(D)はプラスチック成分の混合状態であっても分析で
きる。可溶分(D)は、通常、ポリ塩化ビニルおよび/
またはポリ塩化ビニリデンを含む。上記溶媒(ii)は、テ
トラヒドロフランであることが好ましい。上記可溶分
(D)は、分析に先立って蒸留、加熱または貧溶媒を用
いた再沈法などにより、樹脂成分を溶媒と分離すること
が好ましい。これらのうちでも再沈法が好ましい。
【0012】本発明のプラスチックの分析方法は、一般
プラスチックゴミを分析するのに好適である。一般プラ
スチックゴミは、実質的にポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンから選ばれる2以上を
主成分として含有する。
【0013】上記のような本発明によれば、プラスチッ
ク混合物中に含まれる樹脂成分を分別する際に、まずト
ルエンを用いており、これによってポリスチレンと、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの結晶性プラスチック成分とを分別できる。ま
たこのトルエン分別は加熱下に行っても上記分別効果が
得られる。トルエン分別を加熱下に行えば、処理時間を
短縮できて好ましい。
【0014】なお芳香族炭化水素溶媒であっても、たと
えばキシレンは、常温では上記のような分別は可能であ
るが、加熱状態ではポリエチレン、ポリプロピレンなど
のポリオレフィン系プラスチックを溶解するため、加熱
下での上記分別はできない。また本発明では、熱キシレ
ン、熱クレゾールなどの高沸点溶媒、高沸点酸性溶媒を
用いなくても、結晶性プラスチック成分中のポリオレフ
ィン類とポリエチレンテレフタレートを分析することが
でき、分析操作性がよい。
【0015】本発明では、上記のようなプラスチックの
分析方法により定性、定量されたポリ塩化ビニルおよび
ポリ塩化ビニリデン量に基づいて、プラスチック混合物
の脱塩素処理条件を決定するプラスチック混合物の脱塩
素処理方法も提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1に本発明のプロセスフローの一例を示す。本発
明に係るプラスチックの分別方法は、プラスチック混合
物をトルエンに溶解し、トルエンに溶解する可溶分
(A)とトルエンに溶解しない不溶分(B)とに分離
し、上記で得られた不溶分(B)に、テトラヒドロフラ
ン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホオキシドおよび二硫化炭素から選ばれる少なく
とも一種の溶媒(ii)を添加し、該溶媒(ii)に不溶分
(C)と、該溶媒(ii)に可溶分(D)とに分離した後、
得られた溶媒分別成分(A)、(C)、(D)を分析
し、各成分中に含まれるプラスチック成分を定性、定量
分析する。
【0017】<プラスチック混合物>本発明では、種々
雑多なプラスチックの混合物を処理することができ、そ
の性状、種類などは特に限定されない。また特に使用済
のプラスチック廃材に限定されるものではないが、たと
えば都市ごみ、産業廃棄物などに含まれる廃プラスチッ
ク、廃容器包装材料、および電気製品、自動車などの解
体過程で発生する廃プラスチックなどが例示される。
【0018】このようなプラスチック混合物は、通常、
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの
ポリオレフィン類、ポリスチレン(PS)類、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)などのポリエステル類、ポリ塩化ビニ
ル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩素
化ポリエチレンなど塩素含有プラスチック類、ポリメチ
ルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタアクリレー
ト(PMMA)、ナイロン、ポリカーボネート(P
C)、アクリロニトリル−ブチレン−スチレン樹脂、A
BSなどを含んでいる。またプラスチック混合物は、さ
らにはプラスチック以外の紙、繊維、木類、ガラス類、
金属などの異物を含有していてもよい。
【0019】本発明は、上記のうちでも、実質的にポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ンから選ばれる2以上を主成分として含有する一般プラ
スチックゴミを分析するのに好適である。
【0020】処理されるプラスチック混合物は、通常諸
形状の固体混合物であるが、操作性および分析精度の点
から、なるべく均質な混合状態であることが望ましい。
具体的に各固体の大きさは、通常10mm程度以下、さら
には7mm程度以下であることが好ましい。
【0021】したがってこれよりも大きいプラスチック
の混合物は、溶媒分別に先立って、粉砕などを行うこと
が好ましい。プラスチック混合物の粉砕は、公知のいか
なる方法で行ってもよい。粉砕機としては、たとえばハ
ンマーミル、ビンミル、ジェットミル、ボールミル、振
動ボールミル、または遠心ボールミルなどを用いること
ができる。
【0022】<溶媒分別> (i) トルエン溶解 本発明では、まず上記のようなプラスチック混合物をト
ルエンに溶解する。トルエンによる溶解処理は、常温下
でも加熱下でも、同様の分別結果が得られる。このため
本発明では、溶解処理を常温下で行うこともできるが、
加熱下で行えばプラスチックの溶解速度を上げ、処理時
間を短縮することができるので好ましい。
【0023】トルエンの沸点近辺まで加熱することがで
きるが、具体的には、トルエン温度が35〜110℃程
度、好ましくは40〜80℃程度になるような加熱下で
行うことが好ましい。プラスチック混合物の溶解処理
は、この温度下で、通常30分以上、好ましくは1〜2
時間程度行うことが好ましい。また処理効率を上げる目
的で撹拌してもよい。
【0024】トルエンの使用量は、プラスチックとトル
エンとが充分に接触させることができる量すなわちプラ
スチックを浸漬しうる量が望ましいが、通常、トルエン
は、プラスチック混合物1kgに対して、1〜40リッ
トル好ましくは2〜20リットルで用いられる。このよ
うな溶媒量であれば、プラスチック混合物中の可溶分を
充分に溶解することができ、また後工程の溶媒除去操
作、分析時間、分析コストなどの面からも好ましい。
【0025】上記溶解処理後、トルエンに溶解する可溶
分(A)およびトルエンに溶解しない不溶分(B)は、
通常、濾過により分離される。濾過は、いかなる方法で
行ってもよく、たとえば常圧濾過、加圧濾過、減圧濾過
などを行うことができる。またこの濾過操作は、常温下
で行ってもよいし、上記加熱されたトルエンを冷却する
ことなく、あるいは加熱状態で粘度を下げて行ってもよ
い。
【0026】上記濾過により、通常、ポリスチレン単一
成分が可溶分(A)として分離される。この可溶分
(A)がポリスチレンであることは、後述するようにI
Rスペクトル分析などにより確認することができる。こ
の可溶分(A)は、通常、溶媒を分離除去した後、固体
状で分析に供される。溶媒の除去は公知の方法で行えば
よく、たとえば蒸留、加熱、再沈澱などによりプラスチ
ック成分と溶媒とを分離することができる。これらのう
ちでも、可溶プラスチック成分に対する貧溶媒を用いた
再沈法が、分析時の定量性から好ましい。
【0027】上記再沈澱操作の際に用いられる貧溶媒と
しては、具体的に、メタノール、エタノール、プロパノ
ール類、ブタノール類などのアルコール類、アセトンな
どの脂肪族ケトン類などが好ましく用いられる。これら
の2種以上の混合物を用いてもよい。これらのうちでも
特にメタノール、アセトンは、貧溶媒の効果が高く、分
析時の定量性がよく、また安価であり、入手容易な点か
ら好ましい。
【0028】上記のような貧溶媒を用いる各処理では、
貧溶媒の使用量はその目的を達成しうる範囲で、かつ後
工程の操作性、およびコスト面などを考慮して適宜選択
すればよい。また再沈操作も、通常の方法にしたがって
行うことができる。
【0029】一方、不溶分(B)は、次いでテトラヒド
ロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホオキシドおよび二硫化炭素から選ばれる
少なくとも一種の溶媒(ii)に溶解し、該溶媒(ii)に溶解
しない不溶分(C)と、該溶媒(ii)に溶解する可溶分
(D)とに分離する。本発明で用いられるこの溶媒(ii)
は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含
有プラスチックを溶解することができ、さらにポリスチ
レン、ポリカーボネートなどの非晶性プラスチックを溶
解することができるが、塩素を含まない結晶性プラスチ
ックは実質的に溶解しない。
【0030】本発明では、溶媒(ii)として、たとえばテ
トラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホオキシドまたは二硫化炭素を単
独で用いてもよく、2以上混合して用いてもよい。これ
らの中でも、特にテトラヒドロフラン(THF)は、常
温での溶解処理により、本発明で溶解しようとするプラ
スチック成分に対する溶解性が高く好ましい。
【0031】溶媒(ii)を用いたプラスチック混合物の溶
解処理時間は、常温で、通常30分以上、好ましくは1
〜2時間程度である。溶解は、常温下で行うことができ
るが、プラスチックの溶解速度を上げる目的で加熱下で
行ってもよい。また同目的で撹拌してもよい。
【0032】上記溶媒(ii)の使用量は、プラスチックと
溶媒が充分に接触するためプラスチックを浸漬しうる量
が望ましいが、通常、溶媒は、プラスチック混合物1k
gに対して、1〜40リットル好ましくは2〜20リッ
トルで用いられる。このような溶媒量であれば、プラス
チック混合物中の可溶分を充分に溶解することができ、
また後工程の溶媒除去操作、分析時間、分析コストなど
の面からも好ましい。
【0033】上記溶解処理後、不溶分(C)および可溶
分(D)は、通常、濾過により分離される。濾過は、い
かなる方法で行ってもよく、たとえば常圧濾過、加圧濾
過、減圧濾過などを行うことができる。またこの濾過操
作は、常温下で行ってもよいし、加熱して粘度を下げて
行ってもよい。
【0034】上記濾過により、通常、結晶性プラスチッ
ク成分を含む不溶分(C)と、塩素含有プラスチック成
分を含む可溶分(D)とが分離される。この可溶分
(D)は、さらに非晶性プラスチック成分を含むことも
ある。
【0035】上記不溶分(C)は、具体的にポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなど
の結晶性プラスチック成分を含むことが好ましい。不溶
分(C)は、プラスチック成分に加えて、溶媒不溶性の
異物を含むこともある。この不溶分(C)は、後述の分
析方法によりプラスチック脂成分の定性、定量を行うこ
とができる。
【0036】また濾液として得られる可溶分(D)は、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有プ
ラスチック成分および場合によっては他の非晶性プラス
チック成分を含む。この可溶分(D)は、通常、溶媒を
分離除去して固体状にした後、分析に供することができ
る。溶媒の除去は公知の方法で行えばよく、たとえば蒸
留、加熱、再沈澱などによりプラスチック成分と溶媒と
を分離することができる。これらのうちでも、可溶プラ
スチック成分に対する貧溶媒を用いた再沈法が、分析時
の定量性から好ましい。
【0037】本発明では、この再沈澱操作の際に用いら
れる貧溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノ
ール類、ブタノール類などのアルコール類、アセトンな
どの脂肪族ケトン類が好ましく用いられる。これらの2
種以上の混合物を用いてもよい。これらのうちでも特に
メタノール、アセトンは、貧溶媒の効果が高く、分析時
の定量性がよく、また安価であり、入手容易な点から好
ましい。
【0038】上記のような貧溶媒を用いる各処理では、
貧溶媒の使用量はその目的を達成しうる範囲で、かつ後
工程の操作性、およびコスト面などを考慮して適宜選択
すればよい。また再沈操作も、通常の方法にしたがって
行うことができる。
【0039】上記のようなプラスチックの分別方法によ
れば、プラスチック混合物を、簡便にかつ効率的に分別
することができ、さらに以下に示す分析方法と組合せる
ことによって、プラスチック混合物中のプラスチック成
分を熱キシレンまたは熱クレゾールなどの操作上危険性
のある溶媒を使用せず(操作性がよく)、効率的にかつ
正確にプラスチック混合物に含まれるプラスチック成分
を定性・定量分析することができる。
【0040】<分析方法>上記のようなプラスチック混
合物の溶媒分別により得られた固体状の各成分は、その
ままで次いで分析に供することもできるが、分析に先立
って予め乾燥し、残存する溶媒を充分に除去することが
好ましい。乾燥は、常圧乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥など
のいずれの条件で行ってもよい。さらには定量性を高め
るため、固体状の各成分をそのまま粉砕するか、あるい
は一旦溶融混練した後粉砕した後、分析に供してもよ
い。
【0041】本発明では、分析手段として熱分析法、分
光分析法が好ましく用いられる。熱分析法としては、示
差走査熱量計、熱天秤などを用いることができ、分光分
析法としては、赤外吸収(IR)スペクトル、NMRス
ペクトル、紫外吸収(UV)スペクトルなどを用いるこ
とができる。これらの中でも、熱分析法としては、示差
走査熱量計が好ましく、また分光分析法としては、赤外
吸収スペクトルを用いることが分析精度、操作の簡便性
から好ましい。これらの分析手段を組合わせて用いるこ
ともできる。
【0042】本発明の好ましい態様では、上記可溶分
(A)および可溶分(D)は分光分析法により、不溶分
(C)は熱分析法により分析することが好ましい。なお
不溶分(A)は、重量測定だけで定量することも可能で
ある。
【0043】さらに上記熱分析法が示差走査熱量計を用
いたDSC分析であり、分光分析法が赤外分光分析法に
よる赤外吸収スペクトル分析であれば、特に溶媒分別各
成分中のプラスチック成分を精度よく定性・定量するこ
とができるので好ましい。また本発明では、プラスチッ
ク成分を検量線法により定量分析することが好ましい。
本発明は、上記のような溶媒分別と、分析方法との組合
せによって単一プラスチック成分に分離しなくてもよ
く、プラスチック混合物を精度よく定性・定量分析する
ことができる。以下にこのような好ましい態様の一例を
挙げて、より具体的に説明する。
【0044】<DSC分析>たとえば前記不溶分(C)
が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレートを含む場合には、これをDSC分析すること
によって、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエ
チレンテレフタレートを分離しなくてもこれらを同時に
分析することができる。不溶分(C)をDSC分析する
場合には、まずこれらプラスチック成分を含む標準混合
物を用いて検量線を作成する。標準混合物は、市販のペ
レットを用いて、ポリエチレンとポリプロピレンの標準
混合物、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートの
標準混合物などをその含有割合を変えて数種類作製す
る。
【0045】これらの標準混合物を作製する場合は、た
とえば、プラスチックの融点以上に加熱して、溶融混練
し均一化する方法などを用いることができる。ここで得
られた標準混合物は、たとえば粉砕した後、示差走査熱
量計で各プラスチックの融点ピーク強度または、そのピ
ーク面積を測定し、含有量とピーク強度または、ピーク
面積との関係を示す検量線を作製する。
【0046】熱分析に供される試料の作製方法は特に限
定されないが、たとえば不溶分(C)を秤量した後、そ
のまま、あるいはさらに粉砕して分析に供することがで
きる。また、より均一化するため、一旦これらのプラス
チックの融点以上に加熱して溶融混練後、粉砕して示差
走査熱量曲線を測定する。各プラスチックの融点ピーク
強度から、前記検量線を用いてその含有量を定量する。
【0047】この場合、示差走査熱量計で測定された融
点ピーク強度または、そのピーク面積は、同種のプラス
チックであっても、結晶化度の相違で異なるため、結晶
化度を揃える目的から、一旦、示差走査熱量計で測定サ
ンプルを各プラスチックの融点以上、たとえば300℃
に昇温した後、一定速度で冷却し、さらに昇温させて示
差走査熱量曲線を測定することが好ましい。
【0048】<IR分析>また前記可溶分(D)が、た
とえばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを含み、こ
れをIR分析する場合には、まずこれらプラスチック成
分を含む標準混合物を用いて検量線を作成する。
【0049】標準混合物は、前記と同様に、市販のペレ
ットを用いて、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンの
標準混合物、ポリ塩化ビニリデンの混合物とポリスチレ
ンの標準混合物などをその含有割合を変えて作製する。
【0050】これらの混合物を作製する場合は、たとえ
ば、プラスチックの融点以上に加熱して、溶融混練し均
一化する方法や、プラスチックを溶かす溶媒(たとえば
テトラヒドロフラン)に溶解した後、溶媒を蒸発させて
均一化する方法などを用いることができる。ここで得ら
れた標準混合物は、たとえばフィルムキャスト法でフィ
ルム化した後、IRスペクトルを測定する。
【0051】得られたIRスペクトルのピーク強度の吸
光度比と含有割合との関係を示す検量線を作製する。こ
の際には、本発明では、各プラスチックの特性吸収波長
のうち、ポリ塩化ビニルは1255cm-1、ポリ塩化ビニ
リデンは530cm-1を選択して、各波長の吸収ピーク強
度を測定する。このような吸収波長を選択することによ
り、プラスチック成分が混合状態のままであっても、1
回のIRスペクトル測定により、各プラスチック成分を
定性、定量することが可能である。
【0052】IRスペクトルは、フィルムキャスト法、
溶液法、KBr法などにより測定することができる。具
体的には、上記可溶分(D)(固体状)を秤量した後、
フィルムキャスト法などで、IRスペクトルを測定し、
各プラスチックの特性ピークの強度比から、前記検量線
を用いてその含有割合を定量する。また可溶分(D)の
IRスペクトルは、必ずしも固体状試料を用いて測定し
なくてもよく、たとえば前記溶媒(ii)に溶解状態の可溶
分(D)を少量分取し、この溶液からキャストフィルム
を作製してIRスペクトル測定試料を作製してもよい。
IRスペクトルの測定においては、その定量精度を上
げるため、含有量に応じたベースライン補正を行う。
【0053】また前記したように本発明では、NMRス
ペクトル、UVスペクトル、熱天秤などの分析手段を用
いることもでき、NMRスペクトルは、溶液法、固体法
などで測定することができ、UVスペクトルは、溶液法
などで測定することができる。熱天秤の試料は、上記D
SC試料と同様に行うことができる。
【0054】これらの分析手段を用いる場合にも、各プ
ラスチックの特性ピークを選択して上記DSC分析ある
いはIRスペクトル測定における検量線法に準じて定量
分析することができる。たとえば熱天秤で分析する場合
は、各プラスチックの重量減少開始温度やDTA曲線の
融点ピークなど選択する。特性ピークの強度あるいは重
量減少量やDTA曲線の融点ピークなどと各プラスチッ
クの含有量の関係をプロットして検量線を作製し、定量
することができる。
【0055】なお各試料の測定は、2回以上繰り返して
行うことが望ましい。
【0056】<プラスチックの脱塩素>本発明では、プ
ラスチックの脱塩素方法としては、プラスチックから脱
塩素することができる方法であればよく、特に限定され
ないが、たとえばプラスチック混合物を、溶媒と混合
して加熱する方法、コークス粉、砂、鉱石粉などの固
体熱媒体とを混合して加熱する方法、溶媒、固体熱媒
体などを用いずに単にプラスチック混合物のみを加熱す
る方法などを挙げることができる。
【0057】上記方法では、プラスチックを溶解また
は膨潤しうる溶媒が好ましく用いられ、具体的に脂肪族
炭化水素(重油、軽油、灯油)あるいは芳香族炭化水素
(粗ナフタレン油、粗ナフサ油、クレオソート油、アン
トラセン油、タール)などを用いることができる。これ
らのうちでも、粗ナフサ油はポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデンなどの塩素含有プラスチックの溶解能に優れ
るので好ましい。溶媒、固体熱媒体は、プラスチック混
合物に対する重量比で、0.1〜10好ましくは0.5
〜5の量で用いることが望ましい。
【0058】加熱温度は150℃以上好ましくは200
〜350℃である。本発明では、この際、脱塩素処理条
件を、上記で分析されたプラスチック混合物の塩素含有
量(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン合計量)だけ
でなくポリ塩化ビニリデン量に基づいて決定することが
できる。すなわち、あらかじめ加熱温度、加熱時間、昇
温速度などの脱塩素処理条件と、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデンの脱塩素の関係をもとめておき、廃プラ
スチック中のポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンの含
有量に応じて、最適な脱塩素処理条件を決めることがで
きる。
【0059】脱塩素処理後のプラスチックは、溶媒を除
去して固形物とした後、必要に応じて粉砕される。
【0060】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した試料を以下に示す。
【0061】<プラスチック混合物> 以下のプラスチックを混合して試料ペレットを作製し
た。 ポリエチレン(PE):日本石油化学(株)製AM1720、 ポリプロピレン(PP):住友化学工業(株)製W101、 ポリスチレン(PS):住友化学工業(株)製M183、 ポリエチレンテレフタレート(PET):鐘紡(株)製
EFG7K 、 ポリ塩化ビニル(PVC):透明硬質塩化ビニル板の粉
砕品、 ポリ塩化ビニリデン(PVDC):旭化成工業(株)製
サランラップ(フィルム)
【0062】<DSCの測定>マックサイエンス社製DS
C-3100型示差走査熱量計を用い、アルミナを標準物質と
して、窒素中、昇温速度10℃/minで測定した。
【0063】<IRスペクトルの測定>日本分光(株)
製IR-700型赤外吸収分光分析装置を用いて、フィルム法
で測定した。
【0064】<DSC分析用の検量線の作成> (1)PE/PP混合物のDSC検量線作成 ポリエチレンペレットとポリプロピレンペレットの混合
割合を変えて5種類の混合物各10gを調製した。この混
合物を攪拌器を備えた50mlのステンレス製フラスコに挿
入、 320℃で20分攪拌して、均一化した。
【0065】得られた混練物5種類は、それぞれ、小型
粉砕器で粉砕した後、示差走査熱量計で一旦 320℃に昇
温した後、20℃/分で冷却し、再度、10℃/分の速度で
DSC曲線を測定した。DSC曲線から、ポリエチレン
の融点(126℃)ピーク強度と含有量の関係をプロットし
て検量線を作成した。(図2)またポリプロピレンの融
点(159℃) ピーク強度と含有量の関係をプロットして検
量線を作成した。(図3)
【0066】(2)PE/PET混合物のDSC検量線
作成 同様に、ポリエチレンペレットとポリエチレンテレフタ
レートペレットの混合割合を変えて5種類の混合物各10
gを調製した。前記と同様の方法で、ポリエチレンの融
点(126℃)ピーク強度と含有量の関係、およびポリエチ
レンテレフタレートの融点(253℃)ピーク強度と含有量
の関係をプロットして検量線を作成した。それぞれ図4
および図5に示す。
【0067】<IRスペクトル検量線の作成> ・PVC/PVDC混合物のIR検量線作成 透明硬質塩化ビニル粉砕品と、ポリ塩化ビニリデンのフ
ィルムの混合割合を変えて5種類の混合物各1gを調製
した。この混合物各1gをテトラヒドロフラン(TH
F)100ml に1時間溶解後、スポイトで該溶液を吸い取
り、ガラス表面に数滴滴下させて、乾燥した。次に、ガ
ラス表面に付着したフィルムを剥がし、IRスペクトル
測定用のサンプルとした。
【0068】得られたフィルム5種類のIRスペクトル
を測定し、それらのスペクトルからポリ塩化ビニルの特
性吸収 (1255cm-1) 強度とポリ塩化ビニリデンの特性吸
収(530cm-1) 強度を実測した。各ピーク強度にベースラ
イン補正を施した後、ポリ塩化ビニリデンと塩化ビニル
の含有割合を縦軸に、各ピークの吸光度比(530cm-1/12
55cm-1を横軸にとり、プロットして検量線を作成した。
図6に示す。
【0069】(実施例1)ポリエチレンのペレット 2.5
g、ポリプロピレンのペレット 2.5g、ポリスチレンの
ペレット 3.0g、ポリエチレンテレフタレートのペレッ
ト 0.5g、透明硬質塩化ビニルの粉砕品 1.0g、ポリ塩
化ビニリデンのフィルム 0.5gを、 300mlの三角フラス
コに投入し、トルエン 200mlを加えて、室温で1時間攪
拌した。得られた溶液を濾過して、可溶分(A)と不溶
分(B)に分離した。
【0070】上記で得られた可溶分(A)をメタノール
1.51中に添加して、再沈澱させ、固体を濾過することで
回収し、さらに乾燥後、秤量した。この回収した固体の
IRスペクトルを測定した結果、ほぼ 100%のポリスチ
レンであった。
【0071】次に、前記の不溶分(B)は、さらに 300
mlの三角フラスコに投入し、THF200mlを加えて、室
温で2時間攪拌した。得られた溶液を濾過して、可溶分
(D)と不溶分(C)に分離した後、可溶分(D)は、
メタノール1.51中に添加して、再沈澱させ、固体を濾過
することで回収し、さらに乾燥後、秤量した。
【0072】この回収したTHF可溶分(D)(固体)
の一部をTHFに溶解しキャストフィルムを作成し、I
Rスペクトルに供した。その結果、THF可溶分は、ポ
リ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンの混合物であること
が判った。
【0073】一方、THF不溶分(C)(固体)は、攪
拌器を備えた50mlのステンレス製フラスコに挿入、 320
℃で20分攪拌して、均一化した後、粉砕した。この粉砕
物を示差走査熱量計で一旦10℃/分の速度で 320℃に昇
温した後、20℃/分の速度で冷却し、再度、10℃/分の
速度で昇温して示差走査熱量曲線を測定した。その結
果、THFに不溶性の固体(C)には、主にポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが含
まれていることが判った。
【0074】前記IRスペクトルおよび示差走査熱量曲
線から、図3〜図8の検量線を用いて、各プラスチック
成分の含有量を定量した。さらに再度、この操作を繰り
返し、2回の平均とバラツキを表1に示す。
【0075】(実施例2)THFに代えてジメチルスル
ホキシドを用いた以外は、実施例1と同様のプラスチッ
ク混合物を用いて同様の分離操作を行い、分析を行っ
た。結果を表1に示す。
【0076】(実施例3)THFに代えて二硫化炭素を
用いた以外は、実施例1と同様のプラスチック混合物を
用いて同様の分離操作を行い、分析を行った。結果を表
1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】(比較例1)実施例1と同様の原料(ペレ
ットの混合物)10gを用い、実施例1で行った溶媒分離
を行わず、原料の全量を 320℃で20分間溶融混練して均
一化した。得られた混合物は、小型粉砕器で微粉砕し、
KBr法でIRスペクトルを測定した。そのスペクトル
は複雑であり、含有するプラスチックの定性および定量
は困難であった。
【0079】(比較例2)実施例1と同様の原料(ペレ
ットの混合物)10gを用い、実施例1で行った溶媒分離
を行わず、原料の全量を 320℃で20分間溶融混練して均
一化した。得られた混合物は、小型粉砕器で微粉砕し、
示差走査熱量計で示差走査熱量曲線を測定した。得られ
た示差走査熱量曲線には、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンおよびポリエチレンテレフタレートの融点ピークは確
認されたものの、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデンのピークは認められず、これらのプラス
チックの定性および定量を行うことが出来なかった。
【0080】実施例1で用いたペレット混合物の配合割
合と実施例1の分析結果を比較すると、本発明の方法
で、最大約3%の誤差でポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリエチレンフタレート、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデンを精度よく定性、定量分析
できることが判った。
【0081】(実施例4) <脱塩素処理による固形還元剤の製造>あらかじめ、脱
塩素条件(加熱温度と加熱時間など)と、ポリ塩化ビニ
ルおよびポリ塩化ビニリデンの脱塩素との関係を求め、
これに基づいて、脱塩素条件を決定した。すなわち、実
施例1で用いたプラスチック混合物100重量部および
A重油100重量部を混合して、240℃で2.5時間
加熱した。加熱中に塩化水素が発生し、脱塩素が生じ
た。次に240℃減圧下でA重油を除去し、冷却して、
灰色の固形物を得た。固形物中の塩素量は、0.65重
量%であり、高炉での還元剤として充分利用可能であっ
た。
【0082】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来のプラスチ
ック混合物の分別・分析方法に比べて、簡便でかつ効率
的にプラスチック混合物中のプラスチック成分を分別す
ることができ、さらにはプラスチック混合物中のプラス
チック成分を熱キシレンまたは熱クレゾールなどの操作
上危険性のある溶媒を使用せず(操作性がよく)、効率
的にかつ正確に定性・定量分析することができる。
【0083】本発明によってプラスチック混合物中のプ
ラスチック組成がわかると、その廃プラスチックに最適
な処理技術を適合させることが可能となる。たとえば、
廃プラスチック中に多量の塩素含有プラスチックが含ま
れている場合などは、事前にその含有量が把握できるた
め、焼却処理から除外するなどの処置を施すことが可能
となり、ダイオキシン類の発生抑制にもつながる。また
廃プラスチックを固体燃料、高炉還元剤などに有効利用
する際に必要不可欠な脱塩素処理を行う場合にも、事前
に含有する塩素含有プラスチックの量が把握でき、特に
ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンの各量を把握でき
るため、適格な操業条件を決定することができ、十分に
脱塩素されていない不合格ロットの発生を極力少なくで
きるなどの利点かある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の態様例をプロセスフローで示す図で
ある。
【図2】 本発明の実施例で用いたPE分析用DSC検
量線(PE/PP混合物)を示す図である。
【図3】 本発明の実施例で用いたPP分析用DSC検
量線(PE/PP混合物)を示す図である。
【図4】 本発明の実施例で用いたPE分析用DSC検
量線(PE/PET混合物)を示す図である。
【図5】 本発明の実施例で用いたPET分析用DSC
検量線(PE/PET混合物)を示す図である。
【図6】 本発明の実施例で用いたPVC/PVDC混
合物のIR検量線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 27:06 27:08 (72)発明者 信澤 達也 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鈴木 利英 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 侍留 誠 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 宮川 和也 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 運崎 秀明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 2G040 AA02 AB01 AB12 BA02 BA29 CA02 CB03 CB14 DA02 EA02 EB02 EC09 GC01 HA06 ZA05 4F301 AA13 AA14 AA15 AA16 AA17 AA25 CA24 CA71 CA72

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック混合物をトルエンに溶解し、
    トルエンに溶解する可溶分(A)とトルエンに溶解しな
    い不溶分(B)とに分離し、 上記で得られた不溶分(B)に、テトラヒドロフラン、
    シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
    ルホキシドおよび二硫化炭素から選ばれる少なくとも一
    種の溶媒(ii)を添加し、該溶媒(ii)に溶解しない不溶分
    (C)と、該溶媒(ii)に溶解する可溶分(D)とに分離
    した後、得られた溶媒分別成分(A)、(C)、(D)
    を分析し、各成分中に含まれるプラスチック成分を定
    性、定量分析するプラスチックの分析方法。
  2. 【請求項2】前記不溶分(C)を熱分析により、可溶分
    (D)を分光分析法により分析することを特徴とする請
    求項1に記載のプラスチックの分析方法。
  3. 【請求項3】前記可溶分(D)が、ポリ塩化ビニルおよ
    び/またはポリ塩化ビニリデンを含む請求項1または2
    に記載のプラスチックの分析方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチ
    ックの分析方法により定性、定量されるポリ塩化ビニル
    およびポリ塩化ビニリデン量に基づいて、プラスチック
    混合物の脱塩素処理条件を決定するプラスチック混合物
    の脱塩素処理方法。
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