JP5794139B2 - 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5794139B2 JP5794139B2 JP2011279553A JP2011279553A JP5794139B2 JP 5794139 B2 JP5794139 B2 JP 5794139B2 JP 2011279553 A JP2011279553 A JP 2011279553A JP 2011279553 A JP2011279553 A JP 2011279553A JP 5794139 B2 JP5794139 B2 JP 5794139B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel pipe
- steel
- pipe
- quenching
- hardness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
管内面の硬さを安定して規格の上限以下に確保すること。
当該製造方法は、
前記鋼組成を有する鋼管を成形する成形工程と、
成形された鋼管をオーステナイト化温度に加熱し、その後に、前記鋼管を水槽内に浸漬させるとともに、前記鋼管の一端から鋼管内に冷却水を噴射して前記鋼管に焼入れ処理を施す焼入れ工程と、
焼入れされた鋼管に焼戻し処理を施す焼戻し工程と、を含み、
前記焼入れ工程では、鋼管内を流れる冷却水の流速vが6.0〜10.0m/sを満足する条件で焼入れを行うこと、
を特徴とする高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B …(1)
ただし、上記(1)式中、元素記号はその元素の含有量[質量%]を示す。
管内面の硬さを安定して規格の上限以下に確保できること。
本発明で採用する低炭素鋼の具体的な組成は、以下の通りである。以下の記述において、成分含有量の「%」は「質量%」を意味する。
Cは、焼入れ性を高め、強度を確保する上で必要な元素である。その含有量が0.03%未満であると、必要な強度が得られない。一方、その含有量が0.08%を超えると、母材の靭性が劣化するだけでなく、溶接後の熱影響部(HAZ部)における靱性が劣化する。このため、C含有量は0.03〜0.08%とする。
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用し、強度の向上にも寄与する。これらの効果を得るためには、0.05%以上含有させるのが望ましい。一方、その含有量が0.50%を超えると、HAZ部の靱性劣化をもたらす。このため、Si含有量は0.05〜0.50%とする。
Mnは、焼入れ性を高め、強度と靱性を向上させる元素として有効である。その含有量が1.0%未満では、必要な強度と靭性が得られない。一方、その含有量が3.0%を超えると、中心偏析部の硬度上昇に伴って耐HIC性の劣化が顕著になる。このため、Mn含有量は1.0〜3.0%とする。
Pは、不純物であるが、中心偏析を助長するなどの作用があり、耐HIC性を劣化させる。この傾向は0.05%を超える含有で顕著になるので、P含有量は0.05%以下に制限する。
Sは、不純物であり、多量に存在すると溶接割れの原因となり、MnS等の割れの起点となり得る介在物を形成する上、HAZ部の靱性確保に悪影響を及ぼす。この傾向は0.01%を超える含有で顕著になるので、S含有量は0.01%以下に制限する。
Crは、Mnと同様に低Cでも十分な強度と靭性を得るために有効な元素である。この効果を得るには、0.01%以上の含有が必要であり、一方、1.00%を超える含有は溶接性を劣化させる。このため、Cr含有量は0.01〜1.00%とする。
Moは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。この効果を得るには、0.02%以上の含有が必要であり、一方、1.20%を超える含有は溶接性を劣化させる。このため、Mo含有量は0.02〜1.20%とする。
Tiは、微細な窒化物を形成することによってオーステナイト粒の粗大化を防止し、靱性を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るには、0.005%以上を含有させる必要がある。一方、その含有量が0.100%を超えると、炭化物の析出により、かえって靱性が低下する。このため、Ti含有量は0.005〜0.100%とする。
Alは、Siと同様に、脱酸剤として有効な元素である。その含有量が0.005%未満であると、充分な脱酸ができず母材の靭性が劣化する。一方、その含有量が0.100%を超えると鋼の清浄度が低下する。このため、Al含有量は0.005〜0.100%とする。
Caは、MnSの形態を球状化させ、衝撃値を向上させる有用な元素である。その含有量が0.001%未満では、その効果は実効に乏しい。一方、0.005%を超える含有では、鋼の清浄度が低下し、耐HIC性や靭性に悪影響を及ぼす。このため、Ca含有量は0.001〜0.005%とする。
Nは、多量に存在すると、母材およびHAZ部の靱性を悪化させる。通常、Tiを添加することにより、NをTiNの形態で鋼中に固定し無害化しているが、Nが0.01%を超えて存在する場合は、加熱時にHAZ部でTiNが鋼中に固溶して、HAZ部を硬化させ、靱性が劣化する。このため、N含有量は0.01%以下とする。
Nb:0.005〜0.100%
Nbは、含有させなくてもよいが、微細な炭窒化物を形成し、強度を上昇させる効果を有する。この効果を得るには、その含有量を0.005%以上とする必要がある。一方、0.100%を超えて含有すると、脆化が顕著となる。このため、積極的に含有させる場合には、Nb含有量は0.005〜0.100%とする。
Vは、含有させなくてもよいが、Nbと同様に、炭窒化物を形成し鋼の強度を上昇させる。しかし、Nbほどの効果はないため、0.01%以上の含有量とすればよい。一方、0.10%を超える含有では、鋼の靱性を損なうことになる。このため、積極的に含有させる場合には、V含有量は0.01〜0.10%とする。
Cuは、含有させなくてもよいが、強度を高める他に靭性を改善する元素である。この効果を得るには、0.01%以上の含有が必要であり、一方、1.50%を超える含有は溶接性を劣化させる。このため、積極的に含有させる場合には、Cu含有量は0.01〜1.50%とする。
Bは、微量でも焼入れ性を高め、強度を向上させるためには有効な元素である。この効果を得るには、0.00005%以上含有させる必要がある。しかし、0.00500%を超えて含有させると、HAZ部の硬化を招く。このため、B含有量は0.00005〜0.00500%とする。
Niは、強度を高める他に靭性を改善する元素である。この効果を得るには、0.01%以上の含有が必要である。しかし、Niは高価な元素であり、1.50%を超えて含有させてもコスト上昇のわりには効果が小さい。このため、Ni含有量は0.01〜1.50%とする。
下記(1)式で表されるPcmは、一般には溶接割れ感受性組成と称され、溶接性および焼入れ性の指標として用いられる。Pcmは、X65グレード以上の強度を確保するためには0.10%以上が必要であるので、その下限を0.10%とする。一方、Pcmは、0.20%を超えると、溶接性が悪くなる上、強度の上昇に伴って高硬度化を招くので、その上限を0.20%とする。
ただし、上記(1)式中、元素記号はその元素の含有量[質量%]を示す。
(1)成形工程
本発明の製造方法では、低炭素鋼の鋼管の成形は、例えば、マンネスマン・マンドレルミル製管法によって行うことができる。この製管法は、上記した鋼組成からなる低炭素鋼の丸鋼片(ビレット)を素材とし、この丸鋼片を加熱して穿孔機(ピアサー)で穿孔することにより厚肉の中空素管(ホローシェル)に成形した後、その中空素管をマンドレルミルに通して薄肉の素管に延伸圧延する。そして、マンドレルミル圧延で得られた素管を、必要に応じて再加熱した後、ストレッチレデューサーまたはサイザーによって定径圧延し、最終製品管の外径と肉厚に仕上げる。このようにして、上記の鋼組成からなる低炭素鋼の鋼管が成形される。
本発明の製造方法では、成形工程で成形された鋼管を焼入れ炉によってオーステナイト化温度に加熱し、その後に、浸漬噴射式焼入れ法により鋼管を焼入れする。この焼入れ処理時の鋼管の加熱温度TQは、具体的にはAc3点の温度〜1000℃とし、実運用では900〜980℃程度とする。
本発明の製造方法では、焼入れ工程で焼入れされた鋼管を焼戻し炉によって再加熱し、一定時間保持した後に徐冷する。この焼戻し処理時の鋼管の加熱温度は、具体的にはAc1点以下とし、実運用では580〜650℃程度とする。
○:優。規格を満足することを示す。
△:良。規格を満足するが、外れるおそれがあることを示す。
×:不可。規格を満足しないことを示す。
2:水槽、 3:ノズル
Claims (1)
- 質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cr:0.01〜1.00%、Mo:0.02〜1.20%、Ti:0.005〜0.100%、Al:0.005〜0.100%、Ca:0.001〜0.005%およびN:0.01%以下を含有し、さらにNi:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.50%、B:0.00005〜0.0050%、Nb:0.005〜0.100%およびV:0.01〜0.10%のうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記(1)式で表されるPcmが0.10〜0.20%である鋼組成を有し、降伏強度が450MPa以上であり、管内面の硬さがHv248以下である低炭素鋼の高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法であって、
当該製造方法は、
前記鋼組成を有する鋼管を成形する成形工程と、
成形された鋼管をオーステナイト化温度に加熱し、その後に、前記鋼管を水槽内に浸漬させるとともに、前記鋼管の一端から鋼管内に冷却水を噴射して前記鋼管に焼入れ処理を施す焼入れ工程と、
焼入れされた鋼管に焼戻し処理を施す焼戻し工程と、を含み、
前記焼入れ工程では、鋼管内を流れる冷却水の流速vが6.0〜10.0m/sを満足する条件で焼入れを行うこと、
を特徴とする高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B …(1)
ただし、上記(1)式中、元素記号はその元素の含有量[質量%]を示す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011279553A JP5794139B2 (ja) | 2011-12-21 | 2011-12-21 | 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011279553A JP5794139B2 (ja) | 2011-12-21 | 2011-12-21 | 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013129873A JP2013129873A (ja) | 2013-07-04 |
JP5794139B2 true JP5794139B2 (ja) | 2015-10-14 |
Family
ID=48907667
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011279553A Active JP5794139B2 (ja) | 2011-12-21 | 2011-12-21 | 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5794139B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017113801A (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼管の製造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105063322B (zh) * | 2015-08-07 | 2017-08-22 | 张家港润通海洋工程科技有限公司 | 海洋平台桩腿半圆管热处理方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5835574B2 (ja) * | 1980-03-13 | 1983-08-03 | 川崎製鉄株式会社 | 鋼管の焼入れ方法 |
JPS6314815A (ja) * | 1986-07-07 | 1988-01-22 | Nippon Steel Corp | 最高硬さと降伏比の低いラインパイプ用鋼管の製造方法 |
JPS63250418A (ja) * | 1987-04-07 | 1988-10-18 | Nippon Steel Corp | 高強度低降伏比ラインパイプの製造方法 |
JP3879723B2 (ja) * | 2002-10-01 | 2007-02-14 | 住友金属工業株式会社 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度継目無鋼管およびその製造方法 |
WO2011152240A1 (ja) * | 2010-06-02 | 2011-12-08 | 住友金属工業株式会社 | ラインパイプ用継目無鋼管及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-12-21 JP JP2011279553A patent/JP5794139B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017113801A (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼管の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013129873A (ja) | 2013-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6047947B2 (ja) | 耐サワー性に優れたラインパイプ用厚肉高強度継目無鋼管およびその製造方法 | |
AU2012200698B2 (en) | Heavy wall steel pipes with excellent toughness at low temperature and sulfide stress corrosion cracking resistance | |
JP4969915B2 (ja) | 耐歪時効性に優れた高強度ラインパイプ用鋼管及び高強度ラインパイプ用鋼板並びにそれらの製造方法 | |
US8709174B2 (en) | Seamless steel pipe for line pipe and method for manufacturing the same | |
JP4821939B2 (ja) | スチームインジェクション用継目無鋼管及びその製造方法 | |
JP5900303B2 (ja) | 鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法 | |
US20120305122A1 (en) | Welded steel pipe for linepipe having high compressive strength and high fracture toughness and manufacturing method thereof | |
JP5055774B2 (ja) | 高変形性能を有するラインパイプ用鋼板およびその製造方法。 | |
US20150041030A1 (en) | Method for producing high-strength steel material excellent in sulfide stress cracking resistance | |
JP5408389B1 (ja) | 継目無鋼管及びその製造方法 | |
JPWO2010052928A1 (ja) | 超高強度ラインパイプ用鋼板および鋼管の製造方法 | |
JP5991175B2 (ja) | 鋼板内の材質均一性に優れたラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法 | |
CN110662853B (zh) | 钢制弯管及其制造方法 | |
WO2014192251A1 (ja) | サワー環境で使用されるラインパイプ用継目無鋼管 | |
JP6137435B2 (ja) | 高強度鋼及びその製造方法、並びに鋼管及びその製造方法 | |
CN107429353B (zh) | 高强度钢及其制造方法、以及钢管及该钢管的制造方法 | |
JP2023022159A (ja) | 耐水素誘起割れ(hic)性が強化されたx-65グレードのapi 5l psl-2仕様に適合する鋼組成物及びその鋼の製造方法 | |
JP5991174B2 (ja) | 鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法 | |
CA2882843C (en) | Seamless steel pipe and method for producing same | |
JP5794138B2 (ja) | 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 | |
JP6642715B2 (ja) | 高強度継目無鋼管及びライザー | |
JP5794139B2 (ja) | 高強度ラインパイプ用継目無鋼管の製造方法 | |
JP6225795B2 (ja) | 耐硫化物応力腐食割れ性に優れたラインパイプ用厚肉高強度継目無鋼管の製造方法 | |
JP5020691B2 (ja) | 低温靱性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板および高強度ラインパイプならびにこれらの製造方法 | |
Morozov et al. | Development of coiled steels for electric-welded (HFC) oil and gas line pipe, casing, and pump-compressor tubing with high strength and good resistance to cold and corrosion |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140212 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20141202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141224 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150130 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150714 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150727 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5794139 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |