JP5793836B2 - セルロース誘導体又はその塩及びその製造方法ならびにそれを含む化粧料組成物 - Google Patents
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Description
[2]セルロースに含まれる残りの水酸基の少なくとも一部が硫酸基で修飾されてなるO−硫酸化部位を含む、[1]記載のセルロース誘導体又はその塩。
[3]前記モノカルボン酸が炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸である、[1]又は[2]記載のセルロース誘導体又はその塩。
[4]前記モノカルボン酸がカプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸及びリノール酸からなる群から選ばれた脂肪酸由来のアシル基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[5]前記モノカルボン酸がパルミチン酸である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[6]前記モノカルボン酸が桂皮酸又はその誘導体である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[7]前記セルロース誘導体又はその塩のぬれ指数が、30mN/m〜40mN/mである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[8]前記セルロース誘導体又はその塩の硫黄含量が、0.001〜10重量%である、[2]〜[7]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[9]前記セルロース誘導体又はその塩が、平均粒子径0.01〜45μmを有する粒子である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[10]前記セルロース誘導体又はその塩が、真球度0.5〜1.0を有する球状粒子である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[11]前記セルロース誘導体又はその塩が、真球度0.8〜1.0を有する球状粒子である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
[12]セルロースをモノカルボン酸由来のアシル化剤と反応させる工程を含む、[1]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩の製造方法。
[13]セルロースをモノカルボン酸由来のアシル化剤と反応させる工程と、前記工程で得られた反応生成物を硫酸化剤と反応させる工程とを含む、[2]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩の製造方法。
[14][1]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤。
[15][1]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩を有効成分として含むメラニン産生抑制剤。
[16][1]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩と化粧料として許容される添加剤とを含む化粧料組成物。
[17]前記セルロース誘導体又はその塩の含有量が、組成物全体の0.01〜50重量%である、[16]記載の化粧料組成物。
本発明によれば、該セルロース誘導体又はその塩を含む化粧料組成物が提供される。
また、本発明の好ましい態様によれば、該セルロース誘導体又はその塩を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤又はメラニン産生抑制剤が提供される。
本発明のセルロース誘導体又はその塩(以下、これらを総称して「セルロース誘導体」ということがある。)は、セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部がモノカルボン酸由来のアシル基で修飾されてなるO−アシル化部位を含む。
脂肪酸は、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸及びリノール酸などが好ましく挙げられる。これらの中でも、特にパルミチン酸、パルミトレイン酸及びリノール酸が好ましい。本発明の好ましい態様によれば、硫酸基と組み合わせてこれらの脂肪酸由来のアシル基をセルロースに導入することによって、セルロース誘導体に、メラニン産生を抑制する機能などの美白効果に繋がる機能を付与することができる。
[式中、Rは、複数ある場合それぞれ独立して、C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アシルオキシ基、水酸基、ハロゲン(F,Cl,Br,I)を示し、nは、0〜5の整数を示す。]
「C1〜C20アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
「C1〜C20アシルオキシ基」は、C1〜C10アルキルカルボニルオキシ、C6〜C12アリールカルボニルオキシ、モノ−C1〜C4アルキルフェニルカルボニルオキシ、ジ−C1〜C3アルキルフェニルカルボニルオキシ、フェニル−C1〜C4アルキルカルボニルオキシであることが好ましく、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、イソバレリルオキシ、ベンゾイルオキシ、メチルベンゾイルオキシ、ジメチルベンゾイルオキシ、メチルエチルベンゾイルオキシ、ジエチルベンゾイルオキシ、ベンジルカルボニルオキシであることが更に好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、硫酸基と組み合わせてこれらの桂皮酸又はその誘導体由来のアシル基をセルロースに導入することによって、セルロース誘導体に、メラニン産生を抑制する機能などの美白効果に繋がる機能を付与することができる。
O−アシル化部位の導入量が増加するにつれて、セルロース誘導体の疎水性(ぬれ指数)が向上することから、O−アシル化部位の導入量の好ましい範囲を、ぬれ指数を目安に規定してもよい。例えば、本発明のセルロース誘導体のぬれ指数は、42mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましく、35mN/m以下がさらに好ましい。なお、本明細書において「ぬれ指数」は、実施例に記載した試験例3の「疎水性評価試験」に従って測定することができる。
硫酸基の塩は、生理学的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、トリエチルアミン塩、アルギニン塩、リジン塩及びヒスチジン塩などが挙げられる。中でも、ナトリウム塩が好ましい。なお、分子内に硫酸基が複数含まれる場合、これらは異なる種類の塩を形成してもよい。
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明のセルロース誘導体は、分子内にO−アシル化部位に加えてO−硫酸化部位を含むことによりメラニン産生抑制能を奏することができる。
また、スキンケア化粧料又は皮膚洗浄料に用いる場合には、平均粒子径は0.01〜350μmであることが好ましく、より好ましくは1〜300μmである。平均粒子径が上記の範囲内であると、肌触りが良好なものとなる。なお、スキンケア化粧料又は皮膚洗浄料に用いる場合も、セルロース誘導体の粒子径は揃っていることが好ましく、最大粒子径は400μm以下であることが好ましい。
セルロース誘導体粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。粒子が扁平形または不定形の場合、平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した結果を用いて、下記式から算出することができる。
本発明のセルロース誘導体が球状粒子である場合、真球度(短径/長径)は0.5〜1.0が好ましく、0.8〜1.0がより好ましく、0.9〜1.0がさらに好ましい。特に真球度が0.8以上のセルロース誘導体は、のびや肌触りが特に優れているため、ファンデーション、コンシーラ、エッセンス、化粧水、保湿クリームなどのメークアップ化粧料に好適に用いることができる。
セルロース誘導体粒子の真球度は、乾燥した粒子を光学顕微鏡によって観察し、短径/長径を測定することによって求めることができる。
本発明のセルロース誘導体は、セルロースをモノカルボン酸由来のアシル化剤と反応させ、さらに必要に応じて、得られた反応生成物を硫酸化剤と反応させることによって製造することができる。以下、各工程について説明する。
まず、セルロースをモノカルボン酸由来のアシル化剤と反応させる工程について説明する。
本発明のセルロース誘導体の原料として用いられるセルロース(以下「原料セルロース」という。セルロースにO−アルカリ金属部位(例えば、Li、Na、K、Caなど)、O−グリセロール部位、O−ヒドロキシアルキルル部位(ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどの修飾が施されたものも含む。)は、架橋又は非架橋のセルロースを用いることができるが、粒子の形状を維持しつつ硫黄含量を高めることができることから、強度の点で優れている架橋セルロースを用いることが好ましい。
アシル化剤の使用量は、例えば、原料セルロースの重量をグルコース(単位構造物質)相当の分子量で割った値を原料セルロースのモル数として、原料セルロースに対してモル比で0.05〜1倍が好ましく、0.05〜0.5倍がより好ましく、0.05〜0.1倍がさらに好ましい。
塩基の使用量は、モノカルボン酸由来のアシル化剤に対してモル比で1〜3倍が好ましい。
次に、原料セルロースに含まれる残りの水酸基の少なくとも一部を硫酸化剤と反応させて硫酸化する工程について説明する。
本工程に用いられる硫酸化剤としては、原料セルロースに含まれる水酸基を硫酸化できるものであれば特に制限されない。硫酸化剤としては、例えば、無水硫酸、又はN,N−ジメチルホルムアミドと無水硫酸との混合物(N,N−ジメチルホルムアミドと無水硫酸とによって形成される複合体ないし錯体を含む)が好ましく用いられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のセルロース誘導体はヒアルロニダーゼ活性阻害能を有することができるため、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤の有効成分として好ましく用いられる。
本発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤の形態は特に制限されなく、液状でも、固形状でもよい。また、化粧料や皮膚外用剤等に使用される各種溶媒(例えば多価アルコール)に分散させた分散液の形態でもよい。
本発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤に含まれるセルロース誘導体の硫黄含量は0.1〜10重量%が好ましく、0.15〜0.3重量%がより好ましい。また、親油性を十分に有し、ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を十分に発揮できるアシル基の導入量は、本発明のセルロース誘導体のぬれ指数を目安として、42mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましく、40mN/m〜30mN/mがさらに好ましい。
本発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤における本発明のセルロース誘導体の含有量は、使用形態等によって適宜調整すればよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のセルロース誘導体はメラニン産生抑制能を有することができるため、メラニン産生抑制剤の有効成分として好ましく用いられる。
本発明のメラニン産生抑制剤の形態は特に制限されなく、液体状でも、固形状でもよい。また、化粧料や皮膚外用剤等に使用される各種溶媒(例えば多価アルコール)に溶解させた溶液状でもよい。
本発明のメラニン産生抑制剤に含まれるセルロース誘導体のO−アシル化部位は、セルロースに含まれる水酸基が炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸由来のアシル基で置換されてなるものが好ましい。特に該水酸基がパルミチン酸由来のアシル基で置換されてなるものが好ましい。
本発明のメラニン産生抑制剤における本発明のセルロース誘導体の含有量は、使用形態等によって適宜調整すればよい。
親油性を十分に有し、ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を十分に発揮できるアシル基の導入量は、本発明のセルロース誘導体のぬれ指数を目安として、42mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましく、40mN/m〜30mN/mがさらに好ましい。
次に、本発明の化粧料組成物について説明する。
本発明の化粧料組成物は、本発明のセルロース誘導体と化粧料として許容される添加剤とを含む。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のセルロース誘導体はヒアルロニダーゼ活性阻害能を有しているため、本発明の化粧料組成物は、皮膚に対して保護修復効果を奏することができる。特に、本発明のセルロース誘導体として球状の形態を有する粒子を用いることによって、皮膚に負担をかけることなく、本発明のセルロース誘導体を皮膚に適用することができるので、より効果的に皮膚を乾燥や肌荒れから防ぐことができる。
メークアップ化粧料としては、例えば、固形ファンデーション、液状ファンデーション、口紅、リップグロス、アイシャドウ、白粉、頬紅、アイライナー、マスカラ又は眉墨などが好ましく挙げられる。
皮膚洗浄剤としては、例えば、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングミルク、洗顔料又はボディーシャンプーなどが好ましく挙げられる。
出発原料として、球状セルロースである「セルフロー C-25」(製品名・チッソ(株)、平均粒子径8〜12μm)を使用した。ゲル中の水分を除去するため、2000mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で103.68g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.39重量%であり、重量は100.15gであった。
上記ゲルの入った2000mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド600mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、カプリン酸クロリド11.78gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で一昼夜加熱真空乾燥させて球状セルロースカプリン酸エステル103.97gを得た。
出発原料として、実施例1で用いた「セルフロー C-25」を用いた。ゲル中の水分を除去するため、2000mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で104.2g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.10重量%であり、重量は100.0gであった。
上記ゲルの入った2000mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド600mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、オレイン酸クロリド9.25gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で一昼夜加熱真空乾燥させて球状セルロースオレイン酸エステル100.86gを得た。
出発原料として、実施例1で用いた「セルフロー C-25」を用いた。ゲル中の水分を除去するため、500mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で103.66g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.1重量%であり、重量は98.71gであった。
上記ゲルの入った2000mLセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド600mlを投入し、室温にて30分間攪拌した後、ミリスチン酸クロリド7.52gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で加熱真空乾燥させて球状セルロースミリスチン酸エステル100.58gを得た。
出発原料として、実施例1で用いた「セルフロー C-25」を用いた。ゲル中の水分を除去するため、500mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で26.25g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.64重量%であり、重量は25.00gであった。この前処理したゲルを疎水化に使用した。
前処理ゲルの入った500mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド150mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、トリメチルシリル化ウンデシレン酸19.75gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応終了液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で加熱真空乾燥させて球状セルロースウンデシレン酸エステル25.34gを得た。
出発原料として、実施例1で用いた「セルフロー C-25」を用いた。ゲル中の水分を除去するため、2000mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で103.0g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.79重量%であり、重量は99.29gであった。
上記ゲルの入った2000mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド600mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、パルミチン酸クロリド8.25gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で加熱真空乾燥させて球状セルロースパルミチン酸エステル94.61gを得た。
出発原料として、実施例1で用いた「セルフロー C-25」を用いた。ゲル中の水分を除去するため、500mLのセパラブルフラスコに「セルフロー C-25」を含水重量で10.5g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.97重量%であり、重量は10.0gであった。
上記ゲルの入った500mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド60mlを投入し、室温にて30分間攪拌した後、リノール酸クロリド0.9gを徐々に滴下した。
滴下終了後、ウォータバスにて内温を80℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をアセトンにて洗浄した。その後、ろ過物を80℃で加熱真空乾燥させて球状セルロースリノール酸エステル9.95gを得た。
実施例1で製造した球状セルロースカプリン酸エステルを出発原料として用いた。ゲル中の水分を除去するため、300mLのセパラブルフラスコに含水重量で出発原料を10.27g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.53重量%で、重量は10.23gであった。
上記ゲルの入った300mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド60mlを投入し、室温にて30分間攪拌した後、18重量%無水硫酸−ジメチルホルムアミド混合溶液12.70gを徐々に滴下した。
反応時間は4時間、反応温度は30±2℃で行った。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をメタノールにて洗浄した。その後、ろ過物をイオン交換水中へ投入し、1M−NaOHにて中和した。その後、中和したろ過物をイオン交換水で充分に洗浄した後、球状硫酸化セルロースカプリン酸エステル9.48gを得た。
元素分析(測定値)硫黄含量:0.88重量%
実施例2で製造した球状セルロースオレイン酸エステルを出発原料として用いた。
出発原料25.0gの入った300mLセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド150mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、18重量%無水硫酸−ジメチルホルムアミド混合溶液16.50gを徐々に滴下した。
反応時間は4時間、反応温度は30±2℃で行った。
反応終了後、反応液をろ過分別し、ろ過物をメタノールにて洗浄した。その後、ろ過物をイオン交換水中へ投入し、1M−NaOHにて中和した。その後、中和したろ過物をイオン交換水で充分洗浄した後、球状硫酸化セルロースオレイン酸エステル22.88gを得た。
元素分析(測定値)硫黄含量:0.23重量%
実施例3で製造した球状セルロースミリスチン酸エステルを出発原料として用いた。
出発原料25.0gの入った300mlセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド150mlを投入し、室温にて30分間攪拌した後、18重量%無水硫酸−ジメチルホルムアミド混合溶液17.10gを徐々に滴下した。
反応時間は4時間、反応温度は30±2℃で行った。
反応終了後は、反応液をろ過分別し、ろ過物をメタノールにて洗浄した後、イオン交換水中へ投入し、1M−NaOHにて中和を行った。その後イオン交換水で充分洗浄した後、球状硫酸化セルロースミリスチン酸エステルを23.79g得た。
元素分析(測定値)硫黄含量:0.16重量%
実施例5にて製造した球状セルロースパルミチン酸エステルを出発原料として用いた。ゲル中の水分を除去するため、500mLのセパラブルフラスコに球状セルロースパルミトレイン酸エステルを含水重量で51.13g秤量し、最終水分値が1重量%以下になるまで80℃で加熱真空乾燥させた。乾燥後のゲル中の水分は0.88重量%であり、重量は50.43gであった。
上記ゲルの入った500mLのセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド300mLを投入し、室温にて30分間攪拌した後、18重量%無水硫酸−ジメチルホルムアミド混合溶液62.50gを徐々に滴下した。
反応時間は4時間、反応温度は30±2℃で行った。
反応終了後は、反応液をろ過分別し、ろ過物をメタノールにて洗浄した後、イオン交換水中へ投入し、1M−NaOHにて中和を行った。その後イオン交換水で充分洗浄した後、球状硫酸化セルロースパルミチン酸エステルを41.16g得た。
元素分析(測定値)硫黄含量:0.74重量%
実施例6にて製造した球状セルロースリノール酸エステルを出発原料として用いた。
出発原料5.0gの入った300mlセパラブルフラスコへN,N−ジメチルホルムアミド30mlを投入し、室温にて30分間攪拌した後、18重量%無水硫酸−ジメチルホルムアミド錯体溶液3.4gを徐々に滴下した。
反応時間は4時間、反応温度は30±2℃で行った。
反応終了後は、反応液をろ過分別し、ろ過物をメタノールにて洗浄した後、イオン交換水中へ投入し、1M−NaOHにて中和を行った。その後イオン交換水で充分洗浄した後、球状硫酸化セルロースリノール酸エステルを4.02g得た。
元素分析(測定値)硫黄含量:0.16重量%
ウシ睾丸由来のヒアルロニダーゼの活性阻害試験
次に、実施例1、実施例5、実施例7及び実施例10で得たセルロース誘導体の懸濁液を用いてウシ睾丸由来のヒアルロニダーゼ活性阻害試験を行った。また、比較例として「セルフロー C−25」(製品名・チッソ(株)、平均粒子径8〜12μm)を用い、上記試験結果と比較した。なお、ここで使用した試薬は特に記載しない限り和光純薬工業(株)製のものを用いた。
溶液A:ウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼ(シグマ社製)の0.1mol/L酢酸緩衝液(pH4.0)溶液(濃度 2.83mg/mL)
溶液B:0.3mol/L塩化ナトリウム−0.1mol/L酢酸緩衝溶液(pH4.0)
溶液C:ヒアルロン酸ナトリウム(チッソ(株)製、CHA H−Type)の0.1mol/L酢酸緩衝液(pH4.0)溶液(濃度 1.83mg/mL)
溶液D:0.4mol/L水酸化ナトリウム水溶液
溶液E:0.8mol/Lホウ酸ナトリウム水溶液
溶液F:パラ−ジメチルアミノベンズアルデヒド1gに、10N塩酸1.25mL及び酢酸98.75mLを添加した溶液
実施例1、実施例5、実施例7及び実施例10で得たセルロース誘導体をそれぞれN,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)に懸濁させ、各セルロース誘導体について0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%、5.0重量%の濃度の懸濁液を調製した。
また、「セルフロー C−25」をN,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)に懸濁させ、0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%、5.0重量%の濃度の懸濁液を調製した。
上記で調製した各濃度の懸濁液を用いて、それぞれ試験溶液を調製した。
まず、溶液A(0.025mL)に溶液B(0.2mL)を添加し、37℃で20分間保持した。これに上記懸濁液を添加し、37℃で20分間恒温槽に静置した。更に溶液C(0.2mL)を加えて37℃で20分間恒温槽に静置した。次いで溶液D(0.1mL)及び溶液E(0.1mL)を添加して3分間煮沸した後、冷却し、溶液F(3.0mL)を加え37℃で20分間恒温槽に静置し、試験溶液を調製した。この試験溶液について、ヒアルロニダーゼの分解により生成した還元端のN−アセチルヘキソサミンを指標として、対照を純水に、585nmにおける吸光度QEを測定した。
溶液Aの代わりに0.1mol/L酢酸緩衝液(pH4.0)を用い、セルロース誘導体の代わりに純水を用いた以外は、上記の試験溶液の調製と同様にして対照溶液1を調製した。この対照溶液1につき、試験溶液の場合と同様にして、585nmにおける吸光度Q1を測定した。
セルロース誘導体の懸濁液の代わりに純水を用いた以外は、上記の試験溶液の調製と同様にして対照溶液2を調製した。この対照溶液2につき、試験溶液の場合と同様にして、585nmにおける吸光度Q2を測定した。
阻害率(%)={(Q2−Q1)−(QE−Q1)}/(Q2−Q1)
結果を図1に示す。
ヒアルロニダーゼ活性阻害率は、セルロース誘導体の濃度に比例して増加した。実施例10では、球状硫酸化セルロースパルミチン酸エステルの濃度が0.5重量%の場合でヒアルロニダーゼ活性阻害率は100%近い阻害率を示すことがわかり、1重量%以下の低濃度でも高い効果を示すことがわかった。
メラニン産生抑制試験
(被験物質)
被験物質として、実施例5、実施例10で得たセルロース誘導体及び「セルフロー C−25」(製品名・チッソ(株)、平均粒子径8〜12μm)を用いた。また、陽性対照としてアルブチン(ナカライテスク:Lot. M6P2152)を用いた。
各被験物質にDulbecco’s phosphate buffered saline(PBS;Invitrogen)を添加した後、20分間、卓上型超音波洗浄器(型式:W−113MKII)を用いて超音波処理した。超音波処理後、実施例5、実施例10で得たセルロース誘導体及び「セルフロー C−25」は白色懸濁液であり、アルブチンは溶解液であった。
実施例5、実施例10で得たセルロース誘導体及び「セルフロー C−25」はそれぞれ、終濃度1,000、5,000及び10,000μg/mLで、細胞と接触させた。
試験にはAmerican type culture colletion(ATCC)から市販されている「マウスメラノーマB16−F10細胞」(以下「B16−F10細胞」と略記する)を用いた。
B16−F10細胞は継代時、100u/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)及び10%牛胎児血清(JRH)を含むDulbecco’s Modified Eagle培養液(GIBCO11054:Invitrogen)を用いて培養した。
なお、実験使用時にはメラニン産生を促進させるために、上記培養液にα−MSH(合成メラノサイト刺激ホルモン、終濃度1×10−8M:(株)ペプチド研究所)を添加して用いた。
1×105個/mLのB16−F10細胞を含む上記培養液20mLを培養フラスコに播種した。培養3日目又は4日目にコンフルエントになった細胞をTrypsin−EDTA(Invitrogen)を用いて剥離回収した。
回収した細胞を培養液に浮遊させ、1000rpm/分の条件で3分間遠心分離した後、細胞を、培養液(100μ/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレポトマイシン(Invitrogen)及び10%牛胎児血清(JRH)を含むDulbecco’s Modified Eagle培養液(GIBCO11054:Invitrogen))で1回洗浄した。洗浄した細胞に、上記培養液を添加して5×104個/mLに調製し細胞浮遊液とした。
α−MSH(終濃度1×10−8M)を添加した培養液を用いて5×104個/mLに調製した細胞浮遊液1.35mLを24穴マイクロプレートの各wellに播種し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。24時間培養後、被験物質150μLを添加してさらに3日間培養した。
培養終了後、培養液全量を抜き取り、1mol/LのNaOH溶液(ナカライテスク株式会社)を200μL添加して細胞を溶解させた。この溶解液100μLを96穴マイクロプレートに移して、405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
なお、PBSで溶解した化合物に対しては405nmにおける吸光度をそのまま用いた。懸濁状態で接触させた化合物に対しては405nmで測定した吸光度から620nmで測定した吸光度を除することにより、懸濁による吸光度への影響を取り除いた。被験物質群のメラニン産生抑制率は以下の式を用いて算出した。
メラミン産生抑制率(%)=[1−(被験物質群の吸光度/Control群の吸光度)]×100
表1に示したとおり、実施例10で得たO−硫酸化部位及びO−アシル化部位を有するセルロース誘導体は、アルブチンの5〜10倍のメラニン産生抑制効果を有していることがわかった。
疎水性評価試験
実施例1〜11で得た各セルロース誘導体について、以下に示す方法にて疎水性の数値化を行った。
テフロン(登録商標)シート上に、青色に着色されたぬれ張力試験用混合液(関東化学株式会社)の0.5mL液滴を形成し、その液滴上にスパチュラを用いて被検物質約2mgを添加した。
添加後10秒以内に被検物質が青色に着色した場合を「ぬれた」と判断した。10秒後に液滴上に被験物質が浮いており外観上白色を呈していた場合を「ぬれなかった」と判断した。
このような実験をぬれ指数の異なるぬれ張力試験用混合液を用いて行った場合にぬれ始めたときのぬれ張力試験用混合液のぬれ指数(mN/m)をセルロース誘導体のぬれ指数(mN/m)とした。結果を表2に示す。
Claims (11)
- セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部がパルミチン酸由来のアシル基で修飾されてなるO−アシル化部位を含み、且つ、セルロースに含まれる残りの水酸基の少なくとも一部が硫酸基で修飾されてなるO−硫酸化部位を含む、球状粒子であるセルロース誘導体又はその塩。
- 前記セルロース誘導体又はその塩のぬれ指数が、30mN/m〜40mN/mである、請求項1に記載のセルロース誘導体又はその塩。
- 前記セルロース誘導体又はその塩の硫黄含量が、0.001〜10重量%である、請求項1又は2に記載のセルロース誘導体又はその塩。
- 前記セルロース誘導体又はその塩が、平均粒子径0.01〜45μmを有する粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
- 前記セルロース誘導体又はその塩が、真球度0.5〜1.0を有する球状粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
- 前記セルロース誘導体又はその塩が、真球度0.8〜1.0を有する球状粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩。
- 球状セルロースをモノカルボン酸由来のアシル化剤と反応させる工程と、前記工程で得られた反応生成物を硫酸化剤と反応させる工程とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩を有効成分として含むメラニン産生抑制剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース誘導体又はその塩と化粧料として許容される添加剤とを含む化粧料組成物。
- 前記セルロース誘導体又はその塩の含有量が、組成物全体の0.01〜50重量%である、請求項10記載の化粧料組成物。
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