JP5792096B2 - バイナリー発電装置 - Google Patents
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Description
バイナリー発電装置の基本的な構成を開示する文献としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1は、高温媒体との熱交換により冷媒を蒸発させる蒸発器と、上記蒸発器から供給される冷媒により駆動されるタービン発電機と、上記タービン発電機から排出される冷媒が冷温媒体との熱交換により冷媒を凝縮させる凝縮器と、上記凝縮器により凝縮された冷媒を上記蒸発器に供給するポンプとを有し、上記蒸発器、タービン発電機、凝縮器及びポンプを内部に上記冷媒が封入されたクローズドサイクルラインで接続するバイナリー発電装置を開示する。
例えば、温泉などの熱源の場合には、地熱の変化によって、温泉からの温水の温度が低下し、作動媒体との熱交換がされにくくなる。また、工場排熱などの熱源の場合、冷却などに用いられた後に生じる温水は、厳格な熱源の温度管理がなされておらず、作動媒体との熱交換がされ難い状況が生じることがある。従って、これら条件の変動によりバイナリー発電装置の発電量が低下することがある。
前述した特許文献2に開示された熱電併給システムは、季節、時刻等の変動によらず、常に所望の給湯、暖房を実現できることを意図したものであって、上記した問題を解決する手段を開示するものとはなっていない。
を目的とする。
本発明に係るバイナリー発電装置は、熱源から供給される温水により作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で生成された作動媒体の蒸気を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機とを備え、前記回転駆動力を用いて発電機を駆動するバイナリー発電装置において、前記蒸発器の入側には、当該蒸発器へ導入される温水の温度変動を抑制する熱バッファ手段が備えられていることを特徴とする。
好ましくは、前記熱バッファ手段は、蒸発器に導入前の温水を貯め置くことができる容量を確保した貯留タンクであるとよい。
好ましくは、前記熱バッファ手段の内部には、蓄熱材が配備されているとよい。
なお、本発明のバイナリー発電装置の最も好ましい形態は、熱源から供給される温水により作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で生成された作動媒体の蒸気を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機とを備え、前記回転駆動力を用いて発電機を駆動するバイナリー発電装置において、前記蒸発器の入側には、当該蒸発器へ導入される温水の温度変動を抑制する熱バッファ手段が備えられていて、前記熱バッファ手段は、蒸発器に導入前の温水を貯め置くことができる容量を確保した貯留タンクであり、前記貯留タンクには、当該貯留タンク内に温水を導入すると共に貯留タンクを構成する側壁の内側に沿う温水の流れを形成する流入口と、当該貯留タンクの中央部から外部へ温水を流出させる流出口と、が設けられていることを特徴とする。
[第1実施形態]
本発明のバイナリー発電装置1は、蒸気タービンを回転させるほどの熱量を持たない低温の熱源Sと、低沸点の作動媒体Tを封入した循環サイクルとの間で熱交換し、この熱交換によって蒸発した作動媒体Tを用いて発電を行うものである。
この蒸発器2の入側には、後述する貯留タンク20(熱バッファ手段)が設けられており、この貯留タンク20を経由した温水Sが、蒸発器2に送られる。蒸発器2に送られた温水Sは、循環配管6に流れている液体の作動媒体Tと熱交換し、液体の作動媒体Tを蒸気の作動媒体Tに生成する。熱交換を終えた温水Sは、外部へと廃棄される。
膨張機3では、蒸発器2で蒸気化された作動媒体Tが膨張し、膨張前後の作動媒体Tの圧力差(高圧→低圧)を利用してロータやスクリューが回転し、回転駆動力を発生させている。膨張機3に接続された発電機では、この回転駆動力を利用して発電が行われている。
凝縮器5で液体となった作動媒体Tは、作動媒体ポンプ7に送出される。この液体の作動媒体Tは、作動媒体ポンプ7で昇圧され、循環配管6を通じて蒸発器2へと再度圧送される。このようにして、作動媒体Tは、作動媒体ポンプ7→蒸発器2→膨張機3→凝縮器5→作動媒体ポンプ7の順に閉ループ状に形成された循環配管6を循環し、膨張機3に接続された発電機で発電が行われる。
バイナリー発電装置1に用いられる熱源Sとしては様々なものが考えられるが、本実施形態における熱源Sは、温泉源などから得られる温水Sや工場排水などの温水Sを念頭に置いている。これらの温水Sは、常に温度が一定である保証はなく、数日〜数秒間のスパンで温度が変動する。特に問題になるのは、数秒間の内に温水Sの温度が低下する状況であり、斯かる急激な温度変動によりバイナリー発電装置1の発電量が著しく低下する虞がある。
このような貯留タンク20は、外部の熱源Sから供給された温水Sに急激な温度変化があった場合であっても、作動媒体Tの過熱状態を維持可能とすべく、蒸発器2へ導入される温水Sの温度変動を抑制するように構成されているといえる。
ところで、貯留タンク20の形状としては、様々なものが採用可能である。図2には、本願発明人が採用した貯留タンク20の形状を示す。
貯留タンク20には、外部からの温水Sを導入することができる流入口21が、貯留タンク20の側壁23の上部側であって、円筒形状の側壁23の接線方向に沿うように形成されている。それ故、流入口21から導入される温水Sは、貯留タンク20の側壁23の内側(内壁)に沿う流れを形成する。
図2(b)に示す貯留タンク20は、図2(a)と同様な形状を呈し、内部には蒸発器2に導入前の温水Sを貯め置くことができる容量が確保されているタンクである。この貯留タンク20は、軸心が垂直方向を向く円筒形状の側壁23と、この円筒状の側壁23の上方開口、下方開口を塞ぐ上壁24面及び底壁25面とから構成されている。
図3に示すグラフは、図2(a)〜図2(c)の貯留タンク20を用いた場合及び貯留
タンク20を用いない場合(図2(d))における、貯留タンク20出側の温水Sの温度変化、すなわち蒸発器2入側の温水Sの温度変化をコンピュータシミュレーションした結果である。このグラフの横軸は時間(sec)を示し、縦軸は温度(℃)を示している。
一方、上記の状況下で、図2(a)に示すような貯留タンク20を熱バッファ手段として採用した場合、円筒側壁にある流入口21から導入された温水Sは、円筒側壁23の内側(内壁)に沿うように回流すると共に、貯留タンク内部に一定時間滞留し、貯留タンクの上壁24面の中央部の流出口22から流出される。このように、貯留タンク20内に温水Sが一定時間以上滞留することで、図3の実線に示すように、貯留タンク20の流出口22における温水Sの温度変化(5℃の低下)の時間が、120秒ほどに延長されて緩やかな温度変化となっていることがわかる。特に、温度低下した温水Sが流入してから約10秒程度は流出口22の温水Sを約90℃に維持でき、初期における温水温度維持の効果は、図2(b)、図2(c)に示す貯留タンク20より大きい。
[第2実施形態]
次に、本発明に係るバイナリー発電装置の第2実施形態について説明する。
が考えられる。液体状の媒質が封入された部材を蓄熱材30(液体蓄熱材)として利用することもできる。また、躯体蓄熱材の場合、蓄熱材30が多孔質またハニカム構造を有していると、蓄熱材30から温水Sへの熱交換効率がよくなる。以上の観点より、貯留タンク20内に配備する蓄熱材30として、例えば、アルミ製のハニカム蓄熱材などが好適である。
例えば、熱源Sからの温水Sの流量をm [kg/min]、温水Sの比熱をCpw[kJ/kg℃]、温度変化をΔT [℃]とすると、その温度変化にともなう熱容量は
Q [kJ/min]=m×Cpw×ΔTとなる。
両熱量Q、Qmがt分間の間、等しい状況にあること、すなわちt分間の温度保持を意図するのであれば、下式が成り立つ。
この式を満たすように、蓄熱材30の材質と質量を選定すればよい。1分間の温度保持を意図するのであれば、上式において、t=1とすればよい。
また、蒸発器2に供給される温水流量を一定にするには、貯留タンク20から流出される温水Sを流量計10で測定し、温水ポンプ11で流量を調節するとよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 蒸発器
3 膨張機
4 油回収器
5 凝縮器
6 循環配管(作動媒体)
7 作動媒体ポンプ
8 第1温度計
9 第2温度計
10 流量計
11 温水ポンプ
20 貯留タンク(熱バッファ手段)
21 貯留タンク流入口
22 貯留タンク流出口
23 側壁
24 上壁
25 底壁
26 一方側壁
27 他方側壁
30 蓄熱材
S 熱源(温水)
T 作動媒体
W 冷却水
Claims (3)
- 熱源から供給される温水により作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で生成された作動媒体の蒸気を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機とを備え、前記回転駆動力を用いて発電機を駆動するバイナリー発電装置において、
前記蒸発器の入側には、当該蒸発器へ導入される温水の温度変動を抑制する熱バッファ手段が備えられていて、
前記熱バッファ手段は、蒸発器に導入前の温水を貯め置くことができる容量を確保した貯留タンクであり、
前記貯留タンクには、当該貯留タンク内に温水を導入すると共に貯留タンクを構成する側壁の内側に沿う温水の流れを形成する流入口と、当該貯留タンクの中央部から外部へ温水を流出させる流出口と、が設けられている
ことを特徴とするバイナリー発電装置。 - 前記熱バッファ手段は、熱源から供給された温水に温度変化があった場合でも作動媒体の過熱状態を維持可能とすべく、蒸発器へ導入される温水の温度変動を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバイナリー発電装置。
- 前記熱バッファ手段の内部には、蓄熱材が配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイナリー発電装置。
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