以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.レジ釣銭機の構成]
図1に外観を示すように、レジ釣銭機1は、大きく分けて上側のレジスタ部2と、下側の釣銭処理部3とにより構成されている。このレジ釣銭機1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際に、レジ係員により操作されるようになされている。
なお以下では、レジ係員が対峙する側面及びその反対面をそれぞれ前面及び後面とし、さらに当該レジ係員から見て左右及び上下を定義して説明する。
レジスタ部2は、内蔵された制御部5によりレジ釣銭機1全体を統括制御するようになされている。またレジスタ部2には、図示しないバーコードリーダが接続されており、商品に付されたバーコードをこのバーコードリーダで読み取ることにより、当該商品を認識するようになされている。
表示操作部6は、液晶ディスプレイ等でなる表示部と、当該液晶ディスプレイに重ねて配置されたタッチパネル等でなる操作部とにより構成されている。
表示操作部6は、認識した商品の名称や金額等を液晶ディスプレイに表示する。また表示操作部6は、表示画面の一部に数字等の入力キーを表示しており、タッチパネル上の入力キーに対応する箇所が押下操作されると、当該入力キーに対応した入力操作を受け付けて制御部5へ送信する。これに応じて制御部5は、商品の数量の増減や金額の修正等の各処理を行うようになされている。
またレジスタ部2には、レシート処理部7が内蔵されている。レシート処理部7は、認識した商品の名称や金額等をレシートに印字し、これをレシート排出口7Aから排出するようになされている。
一方、釣銭処理部3は、図2及び図3に示すように、大きく分けて、左側の硬貨処理部11と、右側の紙幣処理部12と、前側上部の表示操作部13とにより構成されている。
表示操作部13は、所定の表示パネル及び所定の操作ボタンの組み合わせにより構成されている。
表示操作部13の表示パネルは、硬貨処理部11及び紙幣処理部12における稼働状況を表示するようになされており、例えば硬貨処理部11において釣銭用の硬貨が不足していることや、光学検出部(後述する)により異常を検出したこと、或いはその箇所等を表示する。
表示操作部13の操作ボタンは、レジ係員等による押下操作を介して、例えば硬貨の搬送等に関する指示を受け付けるようになされている。
紙幣処理部12は、レジ係員により所定の紙幣入出口から投入された紙幣を紙幣鑑別部(図示せず)により鑑別して内部の紙幣収納庫に収納すると共に、制御部5から指示された紙幣を内部の紙幣収納庫から取り出し、これを紙幣入出口から釣銭として排出するようになされている。
また釣銭処理部3は、図4(A)に示すように、硬貨処理部11及び紙幣処理部12の各機構等が組み込まれた内部機構14のうち前面側を除いた各面を、筐体15により外部から覆う構成となっている。以下では、この状態を収納状態と呼ぶ。
筐体15は、比較的厚く強固な金属板により構成されており、内部機構14内に収納された紙幣及び硬貨並びに内部機構14そのものを保護している。また筐体15は、前後方向に伸縮可能なスライドレール16を介して内部機構14が取り付けられている。
このため釣銭処理部3は、図4(A)に示した収納状態において、スライドレール16の伸縮機能を利用して筐体15の前方へ内部機構14を引き出すことにより、図4(B)に示すように、当該内部機構14を露出させた状態とすることができる。以下では、この状態を露出状態と呼ぶ。
さらに釣銭処理部3における内部機構14の前面左端近傍には、機構錠17が設けられている。この機構錠17は、図示しない機構鍵が差し込まれ回動されることにより、図示しない係合爪を回動させるようになされている。
一方、筐体15には、左内側面のうち収納状態(図4(A))において機構錠17の係合爪と対応する箇所に、所定形状の係合溝が形成されている。
また機構錠17には、図示しない機構鍵が差し込まれ係合爪が回動される際、カム17Cも一体に回動させるようになされている。一方、内部機構14内におけるカム17Cと対応する箇所には、当該カム17Cと対応する箇所に検出スイッチ18が取り付けられている。
検出スイッチ18は、制御部5と接続されており、本体から伸び出た検出子がカム17Cによって本体側へ押し付けられたか否かを検出し、その検出結果を制御部5へ通知するようになされている。
かかる構成により機構錠17は、機構鍵が差し込まれ係合爪と共に所定方向へ回動されると、当該係合爪を係合溝に係合させ(すなわち施錠する)、又は当該係合爪と係合溝との係合を解除する(すなわち解錠する)ようになされている。
実際上レジ釣銭機1は、精算処理が行われる場合、釣銭処理部3を収納状態(図4(A))にし機構錠17により施錠した状態で、レジ係員等により操作させる。
一方レジ釣銭機1は、保守作業が行われる場合、保守作業者等により機構鍵を用いて機構錠17を解錠させ、内部機構14を前方に引き出して釣銭処理部3を露出状態(図4(B))にさせる。
またレジ釣銭機1は、検出スイッチ18を介して機構錠17が施錠され又は解錠されていることを認識し、例えば解錠されている間は精算処理を中断し、施錠されれば精算処理を再開するようになされている。
このようにレジ釣銭機1の釣銭処理部3は、機構錠17を施錠することにより収納状態(図4(A))に維持される一方、機構錠17が解錠されると筐体15から内部機構14を引き出すことにより露出状態(図4(B))に遷移し得るようになされている。
[1−2.硬貨処理部の構成]
硬貨処理部11は、図5に模式的な平面図を示すように、硬貨に関する種々の処理を行う複数の部分が互いに組み合わされて構成されており、各部分を制御部21により統括制御するようになされている。
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨処理部11を統括制御するようになされている。
硬貨処理部11の前側には、図1〜図3に示したように、媒体としての硬貨CNを投入する硬貨投入口22、正常でないと鑑別された(すなわちリジェクトされた)硬貨CNを排出するリジェクト部25、及び釣銭としての硬貨CNを排出する硬貨排出口28が設けられている。
硬貨投入口22は、すり鉢状にえぐられたような形状に形成されると共に、その底部に硬貨CNを1枚ずつ排出する排出機構が組み込まれている。また硬貨投入口22には、所定箇所に硬貨CNの有無を検出する光学素子(図示せず)が組み込まれており、その検出結果を制御部21へ通知するようになされている。
実際の精算処理において、レジ係員等が顧客から商品の代金として硬貨CNを預かると、この硬貨CNは、レジ係員等によりまとめて硬貨投入口22へ投入される。硬貨投入口22は、光学素子により硬貨CNが投入されたことを検出すると、制御部21の制御に基づき、硬貨CNを1枚ずつ硬貨鑑別部23に受け渡す。
硬貨鑑別部23は、硬貨CNの金種(例えば1円、5円、10円、50円、100円及び500円の6種類)及び真偽等を鑑別し、異常であれば当該硬貨CNをリジェクト部25へ送出し、正常であれば当該硬貨CNを搬送部24により後方へ搬送させ、収納庫26に収納させる。また硬貨鑑別部23は、硬貨CNの鑑別結果を制御部21へ通知するようになされている。
収納庫26は、硬貨CNを金種ごとに分別して収納するようになされている。また収納庫26は、制御部21の制御に基づき、釣銭として顧客に渡すべき金額に応じて決定された種類及び枚数の硬貨CNを排出し、これを搬送部27により前方へ搬送させて硬貨排出口28へ落とし込む。
硬貨排出口28は、硬貨処理部11の前面下部から前方へ突出すると共に上部中央が椀状にえぐられたような形状でなり、搬送部28から落とし込まれた硬貨CNを受け止めて保持すると共に、前上方から容易に取り出せるようになされている。
硬貨排出口28内に落とし込まれた硬貨CNは、硬貨処理部11の前方に対峙するレジ係員により取り出され、釣銭として顧客に渡される。
このように硬貨処理部11は、顧客から商品等の代金として支払われた硬貨CNが硬貨投入口22に投入されると、当該硬貨CNを硬貨鑑別部23により鑑別し、正常な硬貨CNについては収納庫26に収納する一方、異常な硬貨CNについてはリジェクト部25へ送出するようになされている。
因みに硬貨処理部11は、保守作業の効率等の観点から、露出状態(図4(B))においては、硬貨投入口22を取り外すことにより、その下に位置するリジェクト部25及び硬貨排出口28の上面を露出させ得るようになされている。一方、硬貨処理部11は、硬貨CN等の保護の観点から、収納状態(図4(A))においては、筐体15にその一部が覆われることにより硬貨投入口22を取り外し得ないようになされている。
[1−3.リジェクト部の構成]
リジェクト部25は、図7(A)及び(B)に示すように、内部機構14(図4)の下面を形成する底板30の上に箱状のフレーム31が取り付けられたような構成となっている。因みに図7(A)は左側面図であるが、説明の都合上、一部を透過させている。また図7(B)は底面図である。
フレーム31は、全体として直方体の後側下部が斜めに削ぎ落とされたような形状に形成されており、その内部に硬貨CNを保留するための空間SPが形成されている。またフレーム31は、前面、上面及び後面がそれぞれ開放されることにより、左面、下面及び右面でなる樋状に構成されている。
因みに空間SPの上面は、リジェクト部25の上側に硬貨投入口22(図1〜図4)が装着されると当該硬貨投入口22の下面により閉塞され、当該硬貨投入口22が取り外されると開放される。
フレーム31の後方には、ベルトコンベア38が配置されている。ベルトコンベア38は、硬貨鑑別部23において異常と鑑別された硬貨CNを前方へ向けて搬送し、フレーム31の後方から空間SP内へ放出する。このとき空間SP内に放出された硬貨CNは、斜面31Aに沿って前方へ滑り落ち、底面31B上に到達する。
フレーム31の前方下部には、椀状のトレイ32が連結されている。トレイ32は、図1〜図3に示したように、釣銭処理部3の前面から前方へ突出しており、フレーム31の底面31B上にある硬貨CNを前方の通過孔HLから落下させること無く、且つレジ係員等の手により当該硬貨CNを容易にすくい取らせるようになされている。
フレーム31における空間SPの前方には、通過孔HLを塞ぐように扉33が設けられている。扉33は、薄い板状に形成されており、空間SPの内側面に対し上下及び左右にそれぞれ僅かな隙間を形成している。
また扉33は、上端部分において軸34に結合されている。軸34は、左右方向に沿って延びる細長い円柱状に形成されており、左右の両端部分においてフレーム31の左側板31C及び右側板31Dにそれぞれ設けられた軸孔31CX及び31DXにより回動自在に支持されている。すなわち扉33は、フレーム31に対し、軸34と一体に回動し得るようになされている。
ここで扉33は、外力が加えられない自然状態において、重力の作用により軸34を中心として下方を向くことになり、このとき通過孔HLを閉塞した状態となる。以下これを閉塞状態と呼ぶ。
因みに軸34には、図示しない回動センサが設けられており、扉33が閉塞状態から回動されたか否かを当該回動センサによって検出し、その検出結果を制御部21(図5)に通知するようになされている。
一方、フレーム31の下面とトレイ32の底面との接合部分には、トレイ32側が僅かに高くなるよう段差32Sが形成されている。段差32Sは、扉33の閉塞状態において、当該扉33の下端部分における前面側と当接することにより、当該扉33の前方への回動を抑制し、後方への回動のみを可能とする。
このため扉33は、閉塞状態から後方へ回動されることにより通過孔HLを開放し、当該通過孔HLを介して空間SP内から外部への硬貨CNの取出を許容する。因みに、扉33の回動時にその下端が描く軌跡Cは、軸34を中心とした円弧状となる。
実際上、リジェクト部25においてベルトコンベア38から空間SP内へ放出された硬貨CNは、斜面31Aを滑り降りることにより前方向への速度が高められるため、そのままでは空間SPを通過してトレイ32内へ到達してしまい、さらにはトレイ32からも前方へ飛び出してしまう恐れもある。
この点においてリジェクト部25では、扉33が自然状態において重力の作用により閉塞されるため、硬貨CNを空間SP内に保留しておくことができる。
ところでフレーム31には、斜面31Aにおける底面31Bとの接合部分の近傍に、前後方向に貫通する孔部31Fが穿設されている。孔部31Fは、前方向から見た形状が、左右方向に長く上下方向に薄い形状に長方形状となっており、さらに開閉抑制部35が挿通されている。
開閉抑制部35は、図8(A)及び(B)に平面図及び左側面図を示すように、全体として前後方向に細長い形状となっており、カンヌキ部41、接続部42及び操作部43が互いに前後に連結されたような構成となっている。
カンヌキ部41は、全体として直方体状に構成されており、上下方向及び左右方向の長さが孔部31Fにおける上下方向及び左右方向の孔径よりもそれぞれ僅かに短くなっている。またカンヌキ部41には、前側の上部が斜めに削ぎ落とされることにより斜面41Xが形成されている
接続部42は、全体として直方体状に構成されており、カンヌキ部41と比較して、上下方向の長さがほぼ同等である一方、左右方向及び前後方向にいずれも短くなっている。
操作部43は、直方体状の中心体44を中心に構成されている。中心体44は、接続部42と比較して、左右方向及び上下方向に長く、前後方向に短くなっており、当該接続部42に対し互いの上面を揃えるように連結されている。
また中心体44の左右両側面には、直方体状の係合体45がそれぞれ連結されている。係合体45は、中心体44と比較して、上下方向の長さがほぼ同等である一方、前後方向及び左右方向に短くなっている。
さらに中心体44の下面には、四角錐台状のつまみ46が下方へ向けて突設されている。つまみ46は、中心体44と比較して、左右方向の長さが僅かに短い一方、前後方向の長さが大幅に短くなっている。
このため操作部43は、中心体44の下面における前側部分からつまみ46の前側斜面に渡る前側操作面46Fに人の指先を当接させた際に、当該指先から当該操作部43に対して上方向ないし後方向へ向かう外力を加えさせることができる。
また操作部43は、中心体44の下面における後側部分からつまみ46の後側斜面に渡る後側操作面46Rに人の指先を当接させた際に、当該指先から当該操作部43に対して上方向ないし前方向へ向かう外力を加えさせることができる。
そのうえ開閉抑制部35は、全体が可撓性及び弾性を有する樹脂材料により構成されており、外力に応じて湾曲され、またこの外力が解放されると元の形状に戻ろうとするようになされている。
ところで底板30における開閉抑制部35の操作部43と対応する箇所には、長方形状の孔部30H(図7(B))が穿設されている。孔部30Hは、左右方向の長さが操作部43における中心体44及び左右の係合体45を合わせた長さよりも長くなっており、また前後方向の長さが操作部43の中心体44における前後長の約2倍となっている。
また孔部30Hにおける左右の内側面には、前後方向のほぼ中心となる位置にストッパ36がそれぞれ取り付けられている。ストッパ36は、直方体状に構成されており、左右方向のストッパ36同士の隙間が操作部43の中心体44における左右方向の長さよりも広くなっている。
ストッパ36における上下方向の長さは、操作部43の係合体45とほぼ同等であり、底板30の厚さよりも十分に長くなっている。ストッパ36は、底板30と互いの底面を揃えるように、すなわち上面を底板30から上方へ大きく突出させるように、当該底板30に取り付けられている。
さらに、ストッパ36の前面から孔部30Hの前内側面までの間隔G1は、操作部43における中心体44の前面から係合体45の後面までの距離L1(図8(A))よりも僅かに長くなっている。また、ストッパ36の後面から孔部30Hの後内側面までの間隔G2は、操作部43における中心体44の後面から係合体45の前面までの距離L2(図8(A))よりも僅かに長くなっている。
かかる構成により開閉抑制部35は、例えば図7(A)及び(B)に示したように、カンヌキ部41が孔部31Fに挿通された上で、操作部43の係合体45をストッパ36の後方に位置させ、操作部43の下側部分を孔部30Hの後側に嵌め込むことができる。以下、このときの開閉抑制部35の位置を後方位置と呼ぶ。
このとき開閉抑制部35は、操作部43における中心体44の後面を孔部30Hの後内側面に極めて近接ないし当接させると共に、係合体45の前面をストッパ36の後面に極めて近接ないし当接させる。また開閉抑制部35は、カンヌキ部41が孔部31Fに挿通されることにより、左右方向及び上下方向への動きが規制される。
このため開閉抑制部35は、前後方向、左右方向又は上下方向への単純な外力が加えられたとしても、後方位置に止まり続けることになる。このとき開閉抑制部35は、軸34から見て扉33の下端が描く軌跡Cよりも遠方にカンヌキ部41を位置させるため、当該扉33と干渉又は当接することなく自在に回動させることができる。
これを換言すれば、リジェクト部25は、開閉抑制部35が後方位置にある場合、扉33を回動させて空間SP内に蓄積された硬貨CNを自在に取り出させること、すなわち空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部25において開閉抑制部35が後方位置にあり扉33を自在に開閉させ得る状態を排出許容状態とも呼ぶ。
ここで開閉抑制部35は、指先等により孔部30Hを介して操作部43に対し上方へ向けた十分な外力が加えられると、図9に示すように、孔部31Fにより上下左右方向に規制されるカンヌキ部41側を固定端として接続部42を湾曲させ、操作部43が上方へ持ち上げられる。
ここで開閉抑制部35は、係合体45の下端がストッパ36の上端よりも上方に位置するまで操作部43が持ち上げられると、前後方向に関する位置の規制が外れた状態となる。
続いて開閉抑制部35は、この状態で操作部43のつまみ46を介して前方向へ外力が加えられると、前方向へ移動し、係合体45をストッパ36よりも前方まで移動させたところで上方向への外力が開放されると、接続部42を元の形状に復元させる。
これにより開閉抑制部35は、図7(A)及び(B)とそれぞれ対応する図10(A)及び(B)に示すように、操作部43の係合体45をストッパ36の前方に位置させ、操作部43の下側部分を孔部30Hの前側に嵌め込むことができる。以下、このときの開閉抑制部35の位置を前方位置と呼ぶ。
また開閉抑制部35は、前方位置にあるとき、カンヌキ部41の前面41Y(図8(B))を扉33の前下端部33Aに当接させる。すなわち扉33は、下端部分を段差32S及び開閉抑制部35により前後から挟まれた状態となる。
このとき開閉抑制部35は、操作部43における中心体44の前面を孔部30Hの前内側面に極めて近接させ若しくは当接させると共に、係合体45の後面をストッパ36の前面に極めて近接させ若しくは当接させる。また開閉抑制部35は、引き続きカンヌキ部41が孔部31Fに挿通されており、左右方向及び上下方向への動きが規制されている。
このため開閉抑制部35は、前後方向、左右方向又は上下方向への単純な外力が加えられたとしても、前方位置に止まり続けることになる。すなわち開閉抑制部35は、閉塞状態にある扉33に対し後方向へ向かう外力が加えられたとしても、後方向へ動かないため、当該扉33を閉塞状態に保持することができる。
これを換言すれば、リジェクト部25は、開閉抑制部35が前方位置にある場合、扉33を回動させて空間SP内に蓄積された硬貨CNを自在に取り出させること、すなわち空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部25において開閉抑制部35が前方位置にあり扉33を強制的に閉塞させた状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
因みに開閉抑制部35は、指先等により操作部43に対し上方へ向けた十分な外力が加えられ、接続部42を撓ませて当該操作部43が上方へ持ち上げられた状態で後方へ移動されてから外力が開放されることにより、再び後方位置(図7(A)及び(B))に戻ることができる。
このようにリジェクト部25は、開閉抑制部35を前後方向へ移動させることにより、当該開閉抑制部35を後方位置として扉33を自由に回動させる排出許容状態と、当該開閉抑制部35を前方位置として扉33を閉塞状態に保持する排出禁止状態とを切り替え得るようになされている。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態によるレジ釣銭機1の硬貨処理部11は、リジェクト部25のフレーム31内に形成した空間SPの前方に、軸34を中心として後方へのみ回動可能な扉33を設け、当該扉33の回動位置に応じて通過孔HLを閉塞又は開放するようにした。
フレーム31の孔部31Fに挿通された開閉抑制部35は、操作部43を底板30の孔部30H及びストッパ36と適宜係合させることにより後方位置(図7(A)及び(B))又は前方位置(図10(A)及び(B))に保持される。
開閉抑制部35は、後方位置にあるとき、扉33との当接や干渉を回避して当該扉33を自在に開閉させる。このときリジェクト部25は、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出(すなわち外部への排出)を許容する排出許容状態となる。
また開閉抑制部35は、前方位置にあるとき、カンヌキ部41の前面41Yを扉33の前下端部33Aに当接させ、段差32Sとの間に挟み込むことにより当該扉33を強制的に閉塞状態に止める。このときリジェクト部25は、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
さらに開閉抑制部35は、孔部30Hから操作部43が押し込まれて一時的に上方へ持ち上げられ、当該操作部43が孔部30H及びストッパ36との係合を解除された状態で前方又は後方へ移動されることにより、後方位置と前方位置とを切り替える(図9)。
従ってリジェクト部25は、開閉抑制部35の移動操作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。このためリジェクト部25は、以上と鑑別された(すなわちリジェクトされた)硬貨CNの取出を誰にでも認めるか、或いは専門の管理者のみに制限するか、といった異なる運用形態のいずれにも対応することができる。
特に開閉抑制部35は、後方位置及び前方位置のいずれにおいても、操作部43を孔部30H及びストッパ36と係合させているため、接続部42等を湾曲させる十分な力が加えられない限りその位置を保持することができ、不用意に外力が加えられたとしても移動してしまう恐れが極めて低い。
また開閉抑制部35は、接続部42等の弾性力を利用することにより、孔部30Hを介して上方へある程度の力を加えさせる(押し込ませる)だけでその係合を解除することができ、さらにその力を解放させるだけで再び係合させることができる。
さらに開閉抑制部35は、操作部43につまみ46を設けたことにより、上方へ持ち上げられた当該操作部43に対し、そのまま前方又は後方への力を加えさせるだけで移動することができる。
このため開閉抑制部35は、係合の解除、前後方向への移動及び再度の係合という複数の作業を、例えば保守作業員の1本の指先による「上方向へ押し込み、そのまま前後方向へ力を加え、最後に力を解放する」といった一連の極めて容易な操作だけで完了させることができる。
またリジェクト部25では、仮に扉33の中央や下側に対し後方向への外力が加えられた場合、この箇所が「てこの原理」における力点となり、軸34が支点となり、扉33とカンヌキ部41の前面41Yとの当接箇所が作用点となる。
これを踏まえて開閉抑制部35は、カンヌキ部41の前面41Yを扉33における軸34から最も離れた前下端部33Aに当接するよう設け、いわば支点から作用点を最も遠ざけており、カンヌキ部41や扉33に大きな力が作用することによる破損を未然に防止できる。
ところで釣銭処理部3は、機構錠17を施錠したときには、硬貨処理部11のリジェクト部25等が組み込まれた内部機構14を筐体15内に収納した収納状態(図4(A))に維持する。また釣銭処理部3は、機構錠17を解錠したときには、スライドレール16の作用により内部機構14を筐体15に対しスライドさせ、収納状態又は露出状態(図4(B))に遷移させる。
またリジェクト庫25は、内部機構14が収納状態にあるとき、筐体15により底板30の孔部30Hが覆われるため、操作部43に対する操作、すなわち開閉抑制部35に対する後方位置と前方位置との切替操作が禁止される。
従ってリジェクト部25は、釣銭処理部3が収納状態にあり機構錠17が施錠されることにより、操作部43を介した開閉抑制部35の移動操作を禁止することができる。
すなわち釣銭処理部3では、機構錠17の機構鍵を所有していない者、例えば一般のレジ係員に対し、内部機構14内に保有している紙幣や硬貨CN等に触れさせないと共に、リジェクト部25における排出許容状態と排出禁止状態との切替操作も禁止することができる。
一方釣銭処理部3は、機構錠17の機構鍵を所有している者、例えば専門の管理者や保守作業員に対し、内部機構14内の各部に関する各種作業、或いは内部に保有している紙幣や硬貨CN等の取り扱いを許容すると共に、開閉抑制部35における排出許容状態と排出禁止状態との切替操作も許容することができる。
このときリジェクト部25では、排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を許容するか否かについて、内部機構14の露出を抑制するための機構錠17により兼用することができるので、専用の錠等を別途設ける必要が無い。
以上の構成によれば、リジェクト部25は、開閉抑制部35を後方位置に移動させたときには、カンヌキ部41を扉33の回動範囲外に退避させ当該扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とする一方、開閉抑制部35を前方位置に移動させたときには、カンヌキ部41の前面41Yと段差32Sとの間に扉33を挟み込んで閉塞状態に保持し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とすることができる。そしてリジェクト部25は、内部機構14が露出状態にあるときのみ開閉抑制部35の操作部43に対する操作を可能とし、当該開閉抑制部35が一時的に上方へ持ち上げられると共に前後へ力が加えられることにより当該開閉抑制部35を前後に移動させて、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えさせることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[2−1.リジェクト部の構成]
第2の実施の形態においては、図10(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図11(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部125が設けられている。因みに図11(B)は、図10(B)と反対に上面図であり、一部を透過させて表している。
リジェクト部125は、リジェクト部25と比較して、底板30、フレーム31、開閉抑制部35及びストッパ36に代わる底板130、フレーム131、開閉抑制部135及び切替レバー136を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
底板130は、底板30と比較して、孔部30Hに代わる孔部130Hを有する点が相違するものの、他の部分は同様に構成されている。
孔部130Hは、内部機構14が収納状態(図4(A))にあるときには筐体15により覆われる一方、当該内部機構14が露出状態(図4(B))にあるときには外部に露出され、レジ係員等に触れさせることが可能となる。
フレーム131は、フレーム31と比較して、斜面31A、底面31B及び孔部31Fとそれぞれ対応する斜面131A、底面131B及び孔部131Fを有し、さらに孔部131Gを有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。すなわちフレーム131は、内部に空間SPを有しており、その前側に通過孔HLを形成している。
開閉抑制部135は、全体として前後方向に長い薄板状に形成されており、大きく分けて本体部141、係止部142、回動部143及び操作部144により構成されている。因みに開閉抑制部135は、金属や強度の高い樹脂等により構成されており、湾曲や撓みを殆ど生じないようになされている。
本体部141は、前後方向に長く、且つ上下方向に薄い板状に構成されている。また本体部141は、前端部分から上方へ向けて薄板状の係止部142が延設されると共に、後端部分から下方へ向けて薄板状の操作部144が延設されている。
本体部141の下面における前後中央よりも後寄りとなる箇所には、回動部143が設けられている。回動部143は、底板130に立設された支持柱(図示せず)により回動自在に支持されており、左右方向に沿った回動軸を中心として、開閉抑制部135を回動させるようになされている。
開閉抑制部135は、斜面131Aに穿設された孔部131Fに挿通されており、本体部141の長手方向をほぼ水平とする状態において、係止部142を扉33の前下端部33Aに当接させると共に、操作部144の下端部を底板130の孔部130H内に位置させる。以下、このときの開閉抑制部135の位置を水平位置と呼ぶ。
このとき扉33は、開閉抑制部135の係止部142と段差32Sとの間に下端部分を前後から挟まれた状態となり、閉塞状態に保持される。
これを換言すれば、リジェクト部125は、開閉抑制部135が水平位置にある場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部125において開閉抑制部135が水平位置にある状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
因みに回動部143は、図示しないばねが組み込まれており、開閉抑制部135に外力が加えられていない場合には、当該開閉抑制部135を水平位置に保つようになされている。
また開閉抑制部135は、図中に破線で示すように、本体部141の長手方向をほぼ水平にした状態から回動部143を中心に回動することにより、係止部142を引き下げて扉33の回動範囲から外すと共に操作部144を持ち上げるよう傾いた状態に遷移する。以下、このときの開閉抑制部135の位置を傾斜位置と呼ぶ。
切替レバー136は、図12に模式的な斜視図を示すように、前方から見て右半分が高く左半分が低い、いわば逆L字状の板状に構成されており、底板130の上側における、開閉抑制部135の右隣りであって回動部143よりも後側に立設されている。
切替レバー136の右側部分は、図11(A)に示したように、斜面131Aに穿設された孔部131Gから上端136Aが僅かに露出するよう、その高さが設定されている。
また切替レバー136の左側部分136Bの上下方向の高さは、開閉抑制部135が傾斜位置にあるときに、本体部141の下面における回動部143と操作部144との間にある支持部141Xの高さとほぼ同等となっている。
さらに切替レバー136は、図示しない支持部材により所定の移動範囲内で左右方向へ移動可能に支持されており、図12に破線で示したように、開閉抑制部135の右側に隣接した位置から左方向へ移動し得るようになされている。
実際上切替レバー136は、図13(A)及び(B)に示すように、開閉抑制部135が傾斜状態にあるときに左方向へ移動されると、左側部分136Bを支持部141Xの下側に潜り込ませ、当該開閉抑制部135を傾斜位置に維持することができる。
このとき扉33は、開閉抑制部135の係止部142により当接若しくは干渉されることなく自在に回動することができる。
これを換言すれば、リジェクト部125は、開閉抑制部135が傾斜位置にある場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部125において開閉抑制部135が傾斜位置にある状態を排出許容状態とも呼ぶ。
因みに開閉抑制部135は、切替レバー136が右方向へ移動され左側部分136Bが支持部141Xの下側から右隣へ退避されると、回動部143に組み込まれたばねの作用により、水平位置に戻る(図11)。
このようにリジェクト部125は、開閉抑制部135の回動により、当該開閉抑制部135を傾斜位置として扉33を閉塞状態に保持する排出禁止状態と、当該開閉抑制部135を水平位置として扉33を自由に回動させる排出許容状態とを切り替え得るようになされている。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態によるリジェクト部125の開閉抑制部135は、回動部143を中心に回動されることにより、水平位置(図11(A)及び(B))又は傾斜位置(図13(A)及び(B))に遷移される。
開閉抑制部135は、水平位置にあるとき、係止部142を扉33の前下端部33Aに当接させ、段差32Sとの間に挟み込むことにより当該扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部125は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部135は、水平位置にあるときに、操作部144が上方向へ押し上げられると傾斜位置に遷移し、そのまま切替レバー136が右方向へ移動されると左側部分136Bにより支持部141Xが支持され、傾斜位置を保持する。
この傾斜位置にあるとき、開閉抑制部135は、扉33との当接や干渉を回避して自在に開閉させる。このときリジェクト部125は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
また開閉抑制部135は、傾斜位置にあるときに、切替レバー136が左方向へ移動されると、当該切替レバー136の左側部分136Bが支持部141Xの下側から退避し、回動部143に組み込まれたばねの作用により、元の水平位置に戻る。
従ってリジェクト部125は、開閉抑制部135の回動動作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
さらにリジェクト部125は、収納状態では筐体15(図4)により底板130の孔部130Hが覆われると共に硬貨投入口22の取り外しが制限される。
このためリジェクト部125は、収納状態において機構錠17が施錠されると、操作部144及び切替レバー136に対する操作、すなわち開閉抑制部135に対する水平位置と傾斜位置との切替操作を禁止することができる。
一方リジェクト部125は、機構錠17が解錠され内部機構14が露出状態にされ、さらに硬貨投入口22が取り外されると、操作部144及び切替レバー136に対する操作、すなわち開閉抑制部135に対する水平位置と傾斜位置との切替操作を許容することができる。
すなわちリジェクト部125は、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して、排出禁止状態と排出許容状態との切替操作を禁止し又は許容することができるので、専用の錠を別途設ける必要が無い。
その他の点についても、第2の実施の形態によるリジェクト部125は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部125は、開閉抑制部135を水平位置に回動させたときには、係止部142と段差32Sとの間に扉33を挟み込んで硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、開閉抑制部135を傾斜位置に回動させたときには、係止部142を扉33の回動範囲外に退避させ当該扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部125は、内部機構14が露出状態にあるときのみ開閉抑制部135の操作部144及び切替レバー136に対する操作を可能とし、当該開閉抑制部135を回動させると共に切替レバー136を左右に移動させることにより、排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[3−1.リジェクト部の構成]
第3の実施の形態においては、図10(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図14(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部225が設けられている。因みに図14(B)は、図10(B)と異なり上面図である。
リジェクト部225は、リジェクト部25と比較して、フレーム31、開閉抑制部35及びストッパ36に代わるフレーム231、開閉抑制部235及びばね236を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
フレーム231は、フレーム31と比較して、左側面31Cと対応する左側面231Cに支柱231Kを立設させている点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。すなわちフレーム231は、内部に空間SPを有しており、その前側に通過孔HLを形成している。
開閉抑制部235は、全体として前後方向に長い薄板状に形成されており、大きく分けて本体部241、係止部242、回動軸243及び操作部244により構成されている。因みに開閉抑制部235は、金属や強度の高い樹脂等により構成されており、湾曲や撓みを殆ど生じないようになされている。
本体部241は、全体として前後方向に長く左右方向に薄い板状に構成されており、前後方向の中央付近において左右方向にクランク状に折り曲げられたような形状に形成されている。また本体部241は、前端部分から左方向へ向けて薄板状の係止部242が延設されると共に、後端付近における上端部分から右方向へ向けて薄板状の操作部244が延設されている。
因みに開閉抑制部235の操作部244は、内部機構14が収納状態(図4(A))にあるときには筐体15により覆われる一方、当該内部機構14が露出状態(図4(B))にあるときには外部に露出され、レジ係員等に触れさせることが可能となる。
また本体部241におけるクランク状に折れ曲がった箇所から僅かに前方の箇所には、左方向へ向けて細い円柱状の回動軸243が立設されている。回動軸243は、フレーム231の左側面231Cに穿設された軸孔231CYにより回動可能に支持されおり、フレーム231に対し当該回動軸243を中心に開閉抑制部235全体を回動させ得るようになされている。
説明の都合上、以下では回動軸243に対する係止部242の方向を開閉抑制部235の方向とする。例えば図14(A)において、開閉抑制部235は前方を向いているものとする。
開閉抑制部235は、操作部244に対し前下方向へ向かう外力が加えられると、その方向が前方から上方を経て後方となるよう、すなわち左方向から見て反時計回りとなるよう、係止部242により円弧状の軌跡(図中破線で示す)を描きながら回動される。因みに開閉抑制部235の回動範囲は、フレーム231等により、その方向が前方から上方を経て後方までの範囲に規制されている。
開閉抑制部235は、前方を向いているとき、当該係止部242を扉33の前下端部33Aに当接させる。このとき扉33は、係止部242と段差32Sとの間に下端部分を前後から挟まれており、閉塞状態に保持される。
これを換言すれば、リジェクト部225は、開閉抑制部235が前方を向いている場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部325において開閉抑制部235が前方を向いている状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
また開閉抑制部235は、後方を向いているとき、軸34から見て扉33の下端が描く軌跡Cよりも遠方に係止部242を位置させる。このとき扉33は、開閉抑制部235の係止部242により当接若しくは干渉されることなく自在に回動することができる。
これを換言すれば、リジェクト部225は、開閉抑制部235が後方を向いている場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部325において開閉抑制部235が後方を向いている状態を排出許容状態とも呼ぶ。
ところで本体部241におけるクランク状に折れ曲がった箇所から僅かに前方の箇所には、左方向へ向けて細い円柱状の支柱245が立設されている。またフレーム231の左側面231Jにおける軸受のほぼ真上となる箇所には、左方向へ向けて細い円柱状の支柱231Kが立設されている。
開閉抑制部235の支柱245とフレーム231の支柱231Kとの間には、コイルばねでなるばね236が自然状態から伸長された状態で掛け渡されている。ばね236は、自然状態からの延長量に応じて復元力、すなわち自然状態に近づくよう縮まろうとする力が高まる。
ここで、開閉抑制部235の回動範囲内における支柱245と支柱231Kとの距離は、開閉抑制部235が上方を向いているときが最も長く、開閉抑制部235が前方又は後方を向いているときが最も短い。
このためばね236は、その復元力により、開閉抑制部235が真上よりも前寄りを向いているときには前方を向くように、また当該開閉抑制部235が真上よりも後寄りを向いているときには後方を向くように、当該開閉抑制部235を回動させる。
すなわち開閉抑制部235は、外力が加えられて回動された後に任意の位置で当該外力が解放されたとしても、ばね236の作用により、前方又は後方を向く状態に誘導され、その方向を保持するようになされている。
このようにリジェクト部225は、開閉抑制部235の回動により、当該開閉抑制部235が前方を向き扉33を閉塞状態に保持する排出禁止状態と、当該開閉抑制部235が後方を向き扉33を自由に回動させる排出許容状態とを切り替え得るようになされている。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態によるリジェクト部225の開閉抑制部235は、フレーム231の左側板231Cに対し回動軸243を介して回動自在に支持され、操作部244に対し外力が加えられると、当該回動軸243を中心に回動してその方向を前方から後方までの範囲内で変化させる。
開閉抑制部235は、前方を向いているとき、係止部242を扉33の前下端部33Aに当接させ、段差32Sとの間に挟み込むことにより当該扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部225は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部235は、後方を向いているとき、係止部242を扉33の回動範囲から退避させ、当該扉33との当接や干渉を回避して自在に開閉させる。このときリジェクト部225は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
従ってリジェクト部225は、開閉抑制部235の回動操作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
またリジェクト部225は、ばね236の復元力により、開閉抑制部235の方向を前方又は後方へ誘導し、その中間に止めることがない。このためリジェクト部225は、操作部244を介した回動操作が中途半端な方向で中断されたとしても、開閉抑制部235を確実に前方又は後方に向けることができる。
さらにリジェクト部225は、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して、排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を禁止し又は許容することができるので、専用の錠を別途設ける必要が無い。
その他の点についても、第3の実施の形態によるリジェクト部225は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部225は、開閉抑制部235を前方に向けたときには、係止部242と段差32Sとの間に扉33を挟み込んで硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、開閉抑制部235を後方へ向けるよう回動させたときには、係止部242を扉33の回動範囲外に退避させ当該扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部225は、内部機構14が露出状態にあるときのみ開閉抑制部235の操作部244に対する操作を可能とし、当該開閉抑制部235を回動させることにより排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[4−1.リジェクト部の構成]
第4の実施の形態においては、図10(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図15(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部325が設けられている。因みに図15(B)は、図10(B)と反対に上面図であり、説明の都合上、一部を透過させて表している。
リジェクト部325は、リジェクト部25と比較して、底板30、フレーム31及び開閉抑制部35に代わる底板330、フレーム331及び開閉抑制部335を有する点、並びにストッパ36が省略されている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
底板330は、底板30と比較して、孔部30Hに代わる孔部330Hが穿設されている点が相違するものの、他の部分は同様に構成されている。孔部330Hは、長円が円弧状に湾曲されたような形状となっている。
孔部330Hは、内部機構14が収納状態(図4(A))にあるときには筐体15により覆われる一方、当該内部機構14が露出状態(図4(B))にあるときには外部に露出され、レジ係員等に触れさせることが可能となる。
フレーム331は、おおむねフレーム31と同様に構成されており、内部に空間SPを有し、その前側に通過孔HLを形成している。またフレーム331は、斜面331Aの下端に孔部31Fと対応する孔部331Fが穿設されている。
開閉抑制部235は、全体として前後方向に長い薄板状に形成されており、大きく分けて本体部341、係止部342、回動軸343及び操作部344により構成されている。因みに開閉抑制部335は、金属や強度の高い樹脂等により構成されており、湾曲や撓みを殆ど生じないようになされている。
本体部341は、前後方向に長く、且つ上下方向に薄い板状に構成されており、図15(B)に示したように、上方から見て平行四辺形状に形成されている。また本体部341は、前端部分から上方へ向けて薄板状の係止部342が延設されると共に、後端部分から下方へ向けて薄板状の操作部344が延設されている。
本体部341の下面における前後中央よりも後寄りとなる箇所には、下方向へ向けて回動軸343が立設されている。回動軸343は、上下方向に沿った中心軸を有する細い円柱状に形成されており、底板330により回動自在に支持され、当該底板330に対し開閉抑制部335を回動させるようになされている。
説明の都合上、以下では回動軸343に対する係止部342の方向を開閉抑制部335の方向とする。例えば図14(A)において、開閉抑制部335は扉33の左下端部がある方向を向いているものとする。
開閉抑制部335は、斜面331Aに穿設された孔部331Fに挿通されており、扉33の左下端部を向いた状態において、係止部342を扉33の左下端部に当接させると共に、操作部344の下端部を底板330の孔部330H内において左寄りに位置させる。以下、このときの開閉抑制部335の方向を扉接方向と呼ぶ。
開閉抑制部335が扉接方向を向いているとき、扉33は、係止部342と段差32Sとの間に下端部分を前後から挟まれるため、閉塞状態に保持される。
これを換言すれば、開閉抑制部335は、扉接方向を向いている場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部325において開閉抑制部335が扉接方向を向いている状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
一方、開閉抑制部335は、扉接方向を向いている状態において操作部344に対し右方向へ向かう外力が加えられると、回動軸343を中心に上方から見て時計回りに回動し、図15(C)に示すように、係止部342を左方向へ移動させて、扉33の左方を向いた状態となる。以下、このときの開閉抑制部335の方向を扉外方向と呼ぶ。
開閉抑制部335が扉外方向を向いているとき、係止部342は、扉33回動範囲から外れた位置にある。このため扉33は、開閉抑制部335の係止部342により当接若しくは干渉されることなく自在に回動することができる。
これを換言すれば、開閉抑制部335は、扉外方向を向いている場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部325において開閉抑制部335が後方を向いている状態を排出許容状態とも呼ぶ。
因みに開閉抑制部335は、扉外方向を向いており且つ扉33が閉塞状態にあるときに、操作部344に対し左方向へ向かう外力が加えられると、回動軸343を中心に上方から見て反時計回りに回動し、係止部342を右方向へ移動させて扉33に当接させ、再び扉接方向を向く。
このようにリジェクト部325は、開閉抑制部335の回動により、当該開閉抑制部335が扉接方向を向き扉33を閉塞状態に保持する排出禁止状態と、当該開閉抑制部335が扉外方向を向き扉33を自由に回動させる排出許容状態とを切り替え得るようになされている。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、第4の実施の形態によるリジェクト部325の開閉抑制部335は、操作部344を介して左右方向への外力が加えられると、回動軸343を中心に回動されることにより、その方向を扉接方向又は扉外方向へ変化させる。
開閉抑制部335は、扉接方向を向いているとき、係止部342を扉33の前下端部33Aに当接させ、段差32Sとの間に挟み込むことにより当該扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部325は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部335は、扉外方向を向いているとき、係止部342を扉33の回動範囲から退避させ、当該扉33との当接や干渉を回避して自在に開閉させる。このときリジェクト部325は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
従ってリジェクト部325は、開閉抑制部335の回動動作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
さらにリジェクト部325は、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して、排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を禁止し又は許容することができるので、専用の錠を別途設ける必要が無い。
その他の点についても、第4の実施の形態によるリジェクト部325は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部325は、開閉抑制部335を扉接方向に向けたときには、係止部342と段差32Sとの間に扉33を挟み込んで硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、開閉抑制部335を扉外方向に向けるよう回動させたときには、係止部342を扉33の回動範囲外に退避させ当該扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部325は、内部機構14が露出状態にあるときのみ開閉抑制部335の操作部344に対する操作を可能とし、当該開閉抑制部335を回動させることにより排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[5.第5の実施の形態]
第5の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1〜第4の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[5−1.リジェクト部の構成]
第5の実施の形態においては、図16(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部425が設けられている。因みに図16(A)は正面図であり、図16(B)は斜視図である。また図16(A)及び(B)は、いずれもリジェクト部425の一部を省略して表している。
リジェクト部425は、リジェクト部25と比較して、開閉抑制部35に代わる開閉抑制部435を有する点、及び連動板433を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。なお図示しないが、底板30に相当する底板430は、孔部30H及びストッパ36が省略され、平坦に形成されている。
フレーム431は、おおむねフレーム31と同様に構成されており、内部に空間SPを有し、その前側に通過孔HLを形成している。
連動板433は、軸34に取り付けられており、当該軸34を回動中心として扉33と一体に回動するようになされている。
また連動板433は、左右方向に長く上下方向に薄い直方体状に形成されており、扉33が閉塞状態にあるときに軸34から後方へ向かって伸びるように、すなわち左右側面から見て扉33との間になす角度が約90度となるように取り付けられている。
因みに連動板433は、左右方向の長さが扉33とほぼ同等であり、前後方向の長さが扉33における上下方向の長さよりも十分に短くなっている。
連動板433の上面における右端近傍には、開閉抑制部435が設けられている。開閉抑制部435は、大きく分けて本体部441及び操作部444により構成されている。
本体部441は、連動板433よりも小さい直方体状に構成されており、当該連動板433と同様、左右方向に長く上下方向に薄い形状に形成されている。また本体部441は、連動板433に対し所定の移動範囲内で左右方向へ移動し得るように支持されている。
因みに本体部441は、図示しないラッチ機構が組み込まれており、移動範囲の右端又は左端においてその位置を安定させ、比較的弱い外力が加えられただけでは移動しないようになされている。
本体部441の上面における左寄りの箇所には、当該本体部441よりも小さな直方体状でなる操作部444が取り付けられている。
操作部444は、左右方向及び前後方向の長さがいずれも本体部441よりも十分に短いものの、上下方向の長さが当該本体部441よりも長くなっている。これにより操作部444は、開閉抑制部435に対し左右方向に外力を加える際に「つまみ」として機能するようになされている。
一方、フレーム431の右側板431Dには、軸34を回動自在に支持する軸孔431DXの後方に、角穴でなる孔部431DYが穿設されている。孔部431DYは、左右方向から見て、扉33が閉塞状態にあるときに開閉抑制部435の本体部441と重なる箇所に位置しており、且つ当該本体部441の輪郭よりも僅かに大きい長方形となっている。
実際上開閉抑制部435は、操作部444を介して左方向へ向かう外力が加えられると、連動板433上を左方向へ移動し、図16(A)及び(B)に実線で示したように、本体部441の右端を連動板433の右端に揃える位置まで移動する。
このとき開閉抑制部435は、フレーム431に対し何ら当接若しくは係合しないため、連動板433、軸34及び扉33を自在に回動させることができる。
これを換言すれば、開閉抑制部435は、左側に位置している場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部425において開閉抑制部435が左側に位置している状態を排出許容状態とも呼ぶ。
一方、開閉抑制部435は、扉33が閉塞状態にあるときに操作部444を介して左方向へ向かう外力が加えられると、本体部441の右側部分(以下これを係止部442と呼ぶ)を連動板433の右端よりも右方へ突出させ、フレーム431の孔部431DYに挿入させる。
このとき開閉抑制部435は、係止部442をフレーム431の孔部431DYに係合させることになるため、当該フレーム431に対する連動板433、軸34及び扉33の回動を抑制し、扉33を閉塞状態に保持する。
これを換言すれば、開閉抑制部435は、右側に位置している場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部425において開閉抑制部435が右側に位置している状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
このようにリジェクト部425は、開閉抑制部435の移動により、当該開閉抑制部435を左側に位置させ扉33を自由に回動させる排出許容状態と、当該開閉抑制部435を右側に位置させ扉33を閉塞状態に保持する排出禁止状態とを切り替え得るようになされている。
因みにリジェクト部425は、硬貨投入口22により上側が覆われると、開閉抑制部435も覆われることになる。このためリジェクト部425では、機構錠17が解錠されて内部機構14が露出状態にされ、さらに硬貨投入口22が取り外された場合のみ、開閉抑制部435を左右方向へ移動させることができる。
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、第5の実施の形態によるリジェクト部425の開閉抑制部435は、操作部444を介して左右方向への外力が加えられると、連動板433上を左右方向へ移動する。
開閉抑制部435は、左側に位置し係止部442を連動板433上に位置させているとき、フレーム431の右側板431Dとの当接や干渉を生じず、当該扉33を自在に開閉させる。このときリジェクト部425は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
また開閉抑制部435は、右側に位置し係止部442を右側板431Dの孔部431DYに挿入しているとき、フレーム431に対する連動板433、軸34及び扉33の回動を抑制し、扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部425は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
従ってリジェクト部425は、開閉抑制部435の移動動作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
さらにリジェクト部425は、硬貨投入口22により開閉抑制部435が覆われると当該開閉抑制部435の左右方向への移動操作ができなくなるため、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を禁止し又は許容することができ、専用の錠等を別途設ける必要が無い。
またリジェクト部425は、その前上側である連動板433の上面に開閉抑制部435を設けたため、移動操作を容易化し得ると共にその位置を容易に視認させることができ、切替作業の効率を大幅に高めることができる。
その他の点についても、第5の実施の形態によるリジェクト部425は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部425は、開閉抑制部435を左側に移動させたときには、係止部442を連動板433上に位置させ扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とする一方、開閉抑制部435を右側に移動させたときには、係止部442をフレーム431の孔部431DYに挿入させて扉33の回動を抑制し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とすることができる。そしてリジェクト部425は、内部機構14が露出状態にあり硬貨投入口22が取り外されたときのみ操作部444に対する移動操作を可能とし、開閉抑制部435を左右方向へ移動させることにより排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[6.第6の実施の形態]
第6の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[6−1.リジェクト部の構成]
第6の実施の形態においては、図17(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部525が設けられている。因みに図17(A)は右側面図であり、説明の都合上、一部を透過させて表している。また図17(B)は斜視図であり、リジェクト部525の一部を省略して表している。
リジェクト部525は、リジェクト部25と比較して、開閉抑制部35に代わる開閉抑制部535を有する点、及び連動板533を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。なお図示しないが、底板30に相当する底板530は、第5の実施の形態と同様、孔部30H及びストッパ36が省略され、平坦に形成されている。
フレーム531は、おおむねフレーム31と同様に構成されており、内部に空間SPを有し、その前側に通過孔HLを形成している。またフレーム531の右側板531Dには、軸孔531DXの後方に丸孔でなる軸孔531DYが穿設されている。
連動板533は、第5の実施の形態における連動板433と同様に構成されており、軸34に取り付けられ、当該軸34を回動中心として扉33と一体に回動するようになされている。
開閉抑制部535は、大きく分けて本体部541、回動軸543及び操作部544により構成されている。
本体部541は、前後方向に細長い直方体状でなり、その右側面における後寄りの箇所から円柱状の回動軸543が右方向へ向けて立設されている。回動軸543は、左右方向に細長い円柱状でなり、フレーム531の右側板531Dに穿設された軸孔531DYに挿通されている。
回動軸543は、フレーム531に対し回動し得るようになされており、本体部541における長手方向の端部のうち回動軸543から遠方の端部(以下これを係止部542と呼ぶ)を前方へ向けた状態(図中実線で示す)と上方へ向けた状態(図中破線で示す)との間における約90度の範囲を回動範囲としている。以下では、説明の都合上、回動軸543に対し係止部542が向いている方向を開閉抑制部535の方向とする。
因みに回動軸543は、図示しないラッチ機構が組み込まれており、係止部542を前方へ向けた状態又は上方へ向けた状態において安定し、比較的弱い外力が加えられただけでは回動しないようになされている。
操作部544は、回動軸543における右側、すなわち本体部541と反対側の端部に取り付けられている。この操作部544は、板面を左右に向けた円板状部材における右側面に板状の部材が立設された形状となっており、いわゆる「つまみ」として機能し得るようになされている。
開閉抑制部535は、前方を向いているとき、すなわち回動軸543に対し係止部542を前方へ向けているとき、当該係止部542を連動板533の上面に当接させる。これにより開閉抑制部535は、連動板533、軸34及び扉33の回動を抑制することができ、扉33を閉塞状態に保持する。
これを換言すれば、開閉抑制部535は、前方を向いているとき、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部525において開閉抑制部535が前方を向いている状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
一方開閉抑制部535は、操作部544に対し右側から見て時計回りに外力が加えられると、フレーム531に対し回動軸543を回動中心として回動し、上方を向く。
このとき開閉抑制部535は、係止部542を連動板533から離隔させ、当該連動板533の回動範囲外に退避させる。これにより開閉抑制部535は、連動板533及び扉33に対し、当接若しくは干渉すること無く自在に回動させることができる。
これを換言すれば、開閉抑制部535は、上方を向いている場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部525において開閉抑制部535が上方を向いている状態を排出許容状態とも呼ぶ。
因みにリジェクト部525は、硬貨投入口22により上側が覆われると、開閉抑制部535も覆われることになる。このためリジェクト部525では、第5の実施の形態と同様に、機構錠17が解錠されて内部機構14が露出状態にされ、さらに硬貨投入口22が取り外された場合のみ、開閉抑制部535を回動させることができる。
[6−2.動作及び効果]
以上の構成において、第6の実施の形態によるリジェクト部525の開閉抑制部535は、操作部544を介して外力が加えられると、フレーム531に対して回動し、前方又は上方を向く。
開閉抑制部535は、前方を向き係止部542を連動板533の上面に当接させているとき、フレーム531に対する連動板533、軸34及び扉33の回動を抑制し、扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部525は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部535は、上方を向き係止部542を連動板533から離隔させているとき、扉33又は連動板533との間で当接や干渉を生じず、当該扉33を自在に開閉させる。このときリジェクト部525は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
従ってリジェクト部525は、開閉抑制部535の回動動作により、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
さらにリジェクト部525は、硬貨投入口22により開閉抑制部535が覆われると当該開閉抑制部535の回動操作ができなくなるため、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を禁止し又は許容することができ、専用の錠等を別途設ける必要が無い。
またリジェクト部525は、その前上側に開閉抑制部535を設けたため、第5の実施の形態と同様、回動操作を容易化し得ると共にその位置を容易に視認させることができ、切替作業の効率を大幅に高めることができる。
その他の点についても、第6の実施の形態によるリジェクト部525は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部525は、開閉抑制部535を前方へ向けたときには、係止部542を連動板533に当接させて扉33の回動を抑制し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、開閉抑制部535を上方へ向けたときには、係止部542を連動板533から離隔させ扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部525は、内部機構14が露出状態にあり硬貨投入口22が取り外されたときのみ操作部544に対する回動操作を可能とし、開閉抑制部535を回動させることにより排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[7.第7の実施の形態]
第7の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[7−1.リジェクト部の構成]
第7の実施の形態においては、図18に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部625が設けられている。因みに図18は正面図であり、説明の都合上、リジェクト部625の一部を省略して表している。
図3を用いて説明したように、機構錠17は、カム17Cが取り付けられており、所定の機構鍵により施錠又は解錠される際に、当該カム17Cを一体に回動させてスイッチ18の検出子に押し付けるようになされている。
カム17Cは、正面から見て長方形状に構成されており、図18に実線で示したように、施錠された状態において長手方向を上下方向に合わせ、また図18に破線で示したように、解錠された状態において長手方向を左右方向に合わせるよう回動される。
リジェクト部625は、リジェクト部25と比較して、開閉抑制部35に代わる開閉抑制部635を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
開閉抑制部635は、軸34の左端に取り付けられており、細長い四角柱が正面から見て逆L字状に折り曲げられたような形状に構成されている。
すなわち開閉抑制部635は、上下に細長い四角柱状でなる本体部641の右側面上側において軸34に取り付けられており、また左側面の下端から左方向へ向けて左右に細長い四角柱状の係止部642が延設されている。
開閉抑制部635の係止部642は、扉33が閉塞状態にあるとき、施錠状態にあるカム17Cの前面に当接する一方、解錠状態にあるカム17Cとは当接しないよう、その形状や位置が調整されている。
すなわち開閉抑制部635は、機構錠17が施錠されているとき、係止部642をカム17Cの前面に当接させる。これにより開閉抑制部635は、軸34と共に扉33の回動を抑制し、当該扉33を閉塞状態に保持する。
これを換言すれば、リジェクト部625は、機構錠17が施錠されているとき、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部625において機構錠17が施錠されている状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
また開閉抑制部635は、機構錠17が解錠されているとき、係止部642をカム17Cと当接又は干渉させない。これにより開閉抑制部635は、軸34と共に扉33を自在に回動させることができる。
これを換言すれば、リジェクト部625は、機構錠17が解錠されているとき、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部625において機構錠17が解錠されている状態を排出許容状態とも呼ぶ。
[7−2.動作及び効果]
以上の構成において、第7の実施の形態によるリジェクト部625の開閉抑制部635は、軸34に取り付けられたことにより、軸34及び扉33と一体に回動する。
開閉抑制部635は、機構錠17が施錠されると、係止部642をカム17Cの前面に当接させて軸34及び扉33の回動を抑制し、扉33を閉塞状態に止める。このときリジェクト部625は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部635は、機構錠17が解錠されると、係止部642をカム17Cと当接又は干渉させること無く、扉33を自在に開閉させる。このときリジェクト部625は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
従ってリジェクト部625は、機構錠17が施錠又は解錠されることにより、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
特に開閉抑制部635は、本体部641及び係止部642の形状を最適化することにより、本来スイッチ18の操作子を押し付けるためのカム17Cをそのまま、若しくは僅かに変更するだけで利用することができ、部品点数の増加を最小限に抑えることができ、また構成を複雑化せずに済む。
その他の点についても、第7の実施の形態によるリジェクト部625は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部625は、機構錠17が施錠されたときには、係止部642をカム17Cに当接させて扉33の回動を抑制し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、機構錠17が解錠されたときには、係止部642をカム17Cと当接又は干渉させること無く、扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部625は、機構錠17が施錠又は解錠されカム17Cが回動されることにより、排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[8.第8の実施の形態]
第8の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[8−1.リジェクト部の構成]
第8の実施の形態においては、図18と対応する図19に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部725が設けられている。因みに図19は図18と同様に正面図であり、説明の都合上、リジェクト部725の一部を省略して表している。
リジェクト部725は、リジェクト部25と比較して、フレーム31及び開閉抑制部35に代わるフレーム731及び開閉抑制部735を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
フレーム731は、おおむねフレーム31と同様に構成されており、内部に空間SPを有し、その前側に通過孔HLを形成している。またフレーム731の左側板731Cには、軸孔731CXの下方に角穴でなる孔部731CYが穿設されている。
開閉抑制部735は、機構錠17とフレーム731の左側板731Cとの間に配置されており、大きく分けて本体部741、係止部742、回動軸743及び当接部744により構成されている。
本体部741は、上下方向に細長い直方体状に形成されており、上下の中央よりもやや上寄りの箇所には、前後方向に沿った回動中心を有する回動軸743が設けられている。回動軸743は、開閉抑制部735全体を正面から見て時計回り又は反時計回りに回動させるようになされている。
本体部741の下端には、係止部742が取り付けられている。係止部742は、左右方向を長手方向とする直方体状でなり、左右の中央よりも左側において本体部741に取り付けられている。
本体部741の左側面における上側には、カム17Cと当接する当接部744が設けられている。当接部744は、機構錠17が施錠されカム17Cの長手方向が上下方向に合わされているときには、当該カム17Cと当接せず、当該機構錠17が解錠されカム17Cの長手方向が左右方向に合わされているときには、当該カム17Cと当接し、右方向へ押し付けられる。
かかる構成により開閉抑制部735は、機構錠17が施錠されているとき、図中に実線で示したようにカム17Cが長手方向を上下方向に合わせるため、当接部744にはカム17Cが当接されず、本体部741の長手方向を上下方向へ向ける。
このとき係止部742は、その右側部分を孔部731CYに挿通させた上で扉33の後面における左下側に近接又は当接させる。すなわち扉33は、係止部742により回動が抑制されるため、閉塞状態に保持される。以下、このときの開閉抑制部735の位置を係止位置と呼ぶ。
これを換言すれば、開閉抑制部735は、係止位置にあるとき、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部725において開閉抑制部735が係止位置にある状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
一方、開閉抑制部735は、機構錠17が解錠されているとき、図中に破線で示したようにカム17Cが長手方向を左右方向に合わせるため、当接部744にカム17Cが当接され、本体部741の長手方向を傾斜させ左下方向へ向けるよう回動される。
このとき係止部742は、扉33の左側へ移動すると共に孔部731CYから引き抜かれ、当該扉33の回動範囲から退避する。すなわち扉33は、その回動範囲から係止部742が退避するため、自在に回動することができる。以下、このときの開閉抑制部735の位置を退避位置と呼ぶ。
これを換言すれば、開閉抑制部735は、退避位置にあるとき、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部725において開閉抑制部735が退避位置にある状態を排出許容状態とも呼ぶ。
因みに回動軸743は、図示しないスプリングが組み込まれており、前方から見て反時計回りとなる方向に本体部741を付勢している。このため開閉抑制部735は、当接部744にカム17Cが当接しない場合、このスプリングにより付勢されて係止位置に回動する。
[8−2.動作及び効果]
以上の構成において、第8の実施の形態によるリジェクト部725の開閉抑制部735は、当接部744にカム17Cが当接し、又は当接しなくなることにより、回動軸743を中心に、係止位置又は待避位置へ回動する。
開閉抑制部735は、機構錠17が施錠されると、係止部742を扉33の後面における左下側に近接又は当接させる係止位置へ回動され、当該扉33の回動を抑制して閉塞状態に止める。このときリジェクト部725は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
また開閉抑制部735は、機構錠17が解錠されると、係止部742を扉33の回動範囲から退避した退避位置へ回動され、当該扉33を自在に開閉させる。このときリジェクト部725は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
従ってリジェクト部725は、第7の実施の形態と同様、機構錠17が施錠又は解錠されることにより、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
特に開閉抑制部735は、本体部741及び係止部742の形状や回動軸743の位置等を最適化することにより、本来スイッチ18の操作子を押し付けるためのカム17Cをそのまま、若しくは僅かに変更するだけで利用することができ、部品点数の増加を最小限に抑えることができ、また構成を複雑化せずに済む。
またリジェクト部725では、仮に扉33の中央や下側に対し後方向への外力が加えられた場合、この箇所が「てこの原理」における力点となり、軸34が支点となり、扉33と係止部742との当接箇所が作用点となる。
この点について開閉抑制部735は、係止部742を扉33における軸34から比較的離れた下側に近接又は当接するよう設け、いわば支点から作用点を遠ざけたことにより、係止部742や扉33に大きな力が作用し破損することを未然に防止できる。
その他の点についても、第8の実施の形態によるリジェクト部725は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部725は、機構錠17が施錠されたときには、係止部742を扉33の後面における左下側に近接又は当接させてその回動を抑制し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする一方、機構錠17が解錠されたときには、係止部742を扉33の回動範囲から退避させ、当該扉33を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とすることができる。そしてリジェクト部725は、機構錠17が施錠又は解錠されカム17Cが回動されることにより、排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[9.第9の実施の形態]
第9の実施の形態において、レジ釣銭機、釣銭処理部及び硬貨処理部の全体的な構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[9−1.リジェクト部の構成]
第9の実施の形態においては、図7(A)と対応する図20(A)に示すように、第1の実施の形態によるリジェクト部25と対応するリジェクト部825が設けられている。因みに図20では、説明の都合上、リジェクト部825の一部を省略している。
リジェクト部825は、リジェクト部25と比較して、フレーム31及び扉33に代わるフレーム831及び扉833を有すると共に、開閉抑制部35及びストッパ36が省略されている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
フレーム831は、おおむねフレーム31と同様に構成されており、内部に空間SPを有し、その前側に通過孔HLを形成している。またフレーム831の左側板831C及び右側板831Dには、軸孔31CX及び31DXに代えて連結孔JHが穿設されている。
図21に拡大図を示すように、連結孔JHは、丸孔状の上孔部JHA及び下孔部JHBが互いに上下に並べて配置され、さらに当該上孔部JHA及び下孔部JHBが連結部JHCにより連結されたような形状となっている。
上孔部JHA及び下孔部JHBの孔径は、いずれも第1の実施の形態における軸孔31CX又は31DXと同等でなり、軸34の外径よりも僅かに大きくなっている。
連結部JHCにおける前後方向の孔径G3は、上孔部JHA及び下孔部JHBにおける孔径よりも小さく、且つ軸34の外径よりも小さくなっており、いわば連結孔JHにおける「くびれ」となっている。
このため連結孔JHは、図20(A)及び図22(A)に示したように、上孔部JHAに軸34が挿通されている場合、当該軸34を連結部JHCにより支持し、上孔部JHA内に止める。
図20(A)及び図22(A)に示すように、フレーム831の底面831Bには、扉833における左右の両端近傍の真下に、それぞれ角穴831Fが穿設されている。
角穴831Fは、前側の内側面をトレイ32の段差32Sにおける側面部分と揃えるよう穿設されており、また前後方向の孔径が扉833における前後方向の厚さよりも僅かに大きく形成されている。
扉833は、第1の実施の形態による扉33に係止部833Aが追加された構成となっている。係止部833Aは、扉833における左右の下端部分のみが下方向へ延長されたような形状となっており、左右方向の長さが角穴831Fにおける左右方向の孔径よりも小さくなっている。
また扉833は、軸34が連結孔JHの上孔部JHAに挿通されているとき、係止部833Aの下端をフレーム831の底面831Bよりも高く、且つ段差32Sに当接させる高さに位置させる。
このとき扉833は、係止部833Aを角穴831Fから浮き上がらせており、いずれの部品とも干渉又は当接すること無く後方向へ自在に回動することができる。
これを換言すれば、リジェクト部825は、軸34の挿通箇所が上孔部JHAである場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を許容している。そこで以下では、リジェクト部825において軸34の挿通箇所が上孔部JHAである状態を排出許容状態とも呼ぶ。
ところでフレーム831は、可撓性を有する樹脂材料により構成されている。このため連結孔JHは、連結部JHCに対し前後方向へ広げるような外力が加えられたときには孔径G3を広げるように弾性変形し、この外力が解放されると元の形状に戻ることにより孔径G3も元に戻すようになされている。
このため扉833は、通過孔HLを閉塞した閉塞状態にあると共に軸34の挿通箇所が上孔部JHAであるときに、下方向への外力が加えられると、軸34により連結部JHCを押し広げながら下方向へ移動し、図20(B)及び図22(B)に示すように、当該軸34の挿通箇所を下孔部JHBに移す。
このとき扉833は、左右の係止部833Aを左右の角穴831Fへそれぞれ挿入することになり、当該角穴831Fにより後方向への回動が抑制され、閉塞状態を保持することになる。
これを換言すれば、リジェクト部825は、軸34の挿通箇所が下孔部JHBである場合、空間SP内から外部への硬貨CNの排出を禁止している。そこで以下では、リジェクト部825において軸34の挿通箇所が上下孔部JHBである状態を排出禁止状態とも呼ぶ。
ところで扉833は、上下方向に力を加えるための取手やつまみ等を有しておらず、その前面が平坦に形成されている。このため、扉833を上方向又は下方向へ移動させる際には、例えば親指と人差し指や中指等との間に把持する等、前後から挟んだ上で、持ち上げ、或いは押し下げる必要がある。
しかしながら、リジェクト部825の上側に硬貨投入口22が装着されている場合、その構造上、扉833の後側に指等をまわすことができず、当該扉833を前後から挟むことや上下方向に力を加えることができない。
このためリジェクト部825では、機構錠17が解錠されて内部機構14が露出状態にされ、さらに硬貨投入口22が取り外された場合のみ、扉833を上方向又は下方向へ移動させて軸34の挿通箇所を上孔部JHA又は下孔部JHBに切り替えることができる。
[9−2.動作及び効果]
以上の構成において、第9の実施の形態によるリジェクト部825の扉833は、上下方向に移動することにより、軸34の挿通箇所を上孔部JHA又は下孔部JHBに切り替える。
扉833は、軸34の挿通箇所が上孔部JHAであるとき、係止部833Aを角穴831Fから浮き上がらせ、いずれの部品とも干渉又は当接すること無く後方向へ回動できるので、自在に開閉できる。このときリジェクト部825は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を許容する排出許容状態となる。
一方、扉833は、軸34の挿通箇所が下孔部JHBであるとき、係止部833Aを角穴831Fへ挿入するため回動が抑制され、閉塞状態を保持する。このときリジェクト部825は、第1の実施の形態と同様に、空間SP内に蓄積された硬貨CNの取出を禁止する排出禁止状態となる。
従ってリジェクト部825は、扉833を上下方向へ移動させ、軸34の挿通箇所を上孔部JHA又は下孔部JHBとすることにより、排出許容状態と排出禁止状態とを容易に切り替えることができる。
特にリジェクト部825は、操作部等を介さず扉833を直接上方向又は下方向へ移動させるだけで排出許容状態と排出禁止状態とを切り替えることができるので、レジ係員等に直感的に操作させることができる。
またリジェクト部825は、第1〜第8の実施の形態における開閉抑制部35等のように別体の部品を設ける必要が無いため、部品点数を抑えると共に構成を簡易化することができる。
またリジェクト部825では、扉833において軸34から最も離れた下端部に係止部833Aを形成したため、第1の実施の形態と同様、いわば支点から作用点を遠ざけたことにより、係止部833Aや角穴831F等に大きな力が作用し破損することを未然に防止できる。
さらにリジェクト部825は、硬貨投入口22により上面が覆われたときには扉833及び軸34に対する上下方向への移動操作ができなくなるため、第1の実施の形態と同様、機構錠17の施錠又は解錠と連動して排出許容状態と排出禁止状態との切替操作を禁止し又は許容することができ、専用の錠等を別途設ける必要が無い。
その他の点についても、第9の実施の形態によるリジェクト部825は、第1の実施の形態によるリジェクト部25と同様の効果を奏し得る。
以上の構成によれば、リジェクト部825は、軸34の挿通箇所が上孔部JHAであるときには、係止部833Aを角穴831Fから浮き上がらせ、扉833を自在に開閉させて硬貨CNの排出を許容する排出許容状態とする一方、軸34の挿通箇所が下孔部JHBであるときには、係止部833Aを角穴831Fへ挿入して扉833の回動を抑制し、硬貨CNの排出を禁止する排出禁止状態とする。そしてリジェクト部825は、内部機構14が露出状態にあり硬貨投入口22が取り外されたときのみ、扉833及び軸34を上下方向へ移動させて排出禁止状態と排出許容状態とを容易に切り替えさせることができる。
[10.他の実施の形態]
なお上述した第1〜第6の実施の形態においては、開閉抑制部35等を移動又は回動することにより、カンヌキ部41等を扉33の後面等に当接又は係合させてその回動を抑制するか、或いは当該抑制を解除するかを切り替えるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばフレーム31の一部を撓ませ扉33の後面等に当接又は係合させ、或いは取り外し可能な部材を一時的に取り付けて扉33の後面等に当接又は係合させ、さらにはこれらを適宜組み合わせる等、種々の手法により扉33の回動を抑制するか、或いは当該抑制を解除するかを切り替えるようにしても良い。
また上述した第1〜第6の実施の形態においては、排出禁止状態と排出許容状態との切替操作を、内部機構14が収納され機構錠17が施錠されたときに禁止し、当該機構錠17が解錠され内部機構14が露出されたときに許容するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態において機構錠17の他に、又は機構錠17に代えて、開閉抑制部35の移動を許容又は禁止する専用の開閉抑制錠を設け、当該開閉抑制錠と対応する専用の鍵により解錠された場合のみ、開閉抑制部35を移動できるようにしても良い。或いは、第1の実施の形態において筐体15の下面における孔部30Hと対応する箇所に孔部を穿設することにより、機構錠17が施錠されているか否かに関わらず、常に排出禁止状態と排出許容状態との切替操作を許容するようにしても良い。第2〜第6の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2、第5及び第6及び第9の実施の形態においては、機構錠17が解錠され内部機構14が露出された際、硬貨投入口22の取り外しが可能となるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば硬貨投入口22を取り外すための専用の取外し錠を設け、これと対応する専用の鍵により解錠された場合のみ、当該硬貨投入口22を取り外せるようにしても良い。この場合、機構錠17及び取外し錠の双方を解錠した上で硬貨投入口22を取り外した場合のみ、切替レバー136、開閉抑制部435又は535、或いは扉833に対する操作が可能となる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、開閉抑制部35の一部である操作部43を介して当該開閉抑制部35を後方位置又は前方位置へ移動させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば他の部品でなる操作部から周知のリンク機構等を介して開閉抑制部35へ力を伝達することにより当該開閉抑制部35を後方位置又は前方位置へ移動させるようにしても良い。この場合、例えばラッチ機構等を組み合わせ、所定のしきい値以上の力が加えられた場合のみ開閉抑制部35を移動させることにより、排出禁止状態又は排出許容状態へ積極的に誘導して不用意に切り替わらないようにすることが好ましい。第2〜第6他の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ストッパ36の上面及び係合体45の下面をいずれも平面状に形成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばストッパ36の上面及び係合体45の下面をいずれも山状に形成しても良い。この場合、開閉抑制部35を前方位置と後方位置との中間位置に止めることが事実上不可能となり、前方位置又は後方位置のいずれかに誘導することが可能となる。またこの場合、山状部分の頂点を前方又は後方に偏らせることにより、前方位置と後方位置とで誘導される割合を相違させることができる。第5の実施の形態についても同様であり、また第2、第4及び第6の実施の形態においては所定の方向へ回動するよう誘導する機構を組み込むようにしても良い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、機構錠17が施錠されているときには開閉抑制部635の係止部642を必ずカム17Cに当接させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図18と対応する図23に示すように、リジェクト部625に代わるリジェクト部1025において、基部1036を介して本体部641及び係止部642を軸34に取り付けた開閉抑制部1035を設け、基部1036に対し本体部641を上下方向へ移動し得るようにしても良い。この場合、リジェクト部1025では、本体部641を上側に位置させたときには係止部642を施錠時のカム17Cに当接させ排出禁止状態とすることができる一方、下側に位置させたときには係止部642をカム17Cに常に当接させず排出許容状態を保持することができる。
また、例えば図18と対応する図24に示すように、リジェクト部625に代わるリジェクト部1125において、軸34に対し本体部641を回動させることなく左右方向へ移動させる開閉抑制部1135を設けるようにしても良い。この場合、リジェクト部1125では、本体部641を左側に位置させたときには係止部642を施錠時のカム17Cに当接させ排出禁止状態とすることができる一方、右側に位置させたときには係止部642を常にカム17Cに当接させず排出許容状態を保持することができる。第8の実施の形態についても、これらと同様の機構を組み合わせることができる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、開閉抑制部135に設けた当接部142を扉33の前下端部33Aに当接させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば開閉抑制部135から当接部142を省略し、本体部141の前面を扉33の前下端部33Aに当接させるようにしても良い。第3及び第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第5の実施の形態においては、連動板433に開閉抑制部435を取り付けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉33の後面に開閉抑制部435を取り付けるようにしても良い。この場合、右側板431Dに穿設する孔部431DYの位置については、開閉抑制部435に合わせて定めれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、扉33の上側に軸34を設け、重力により当該扉33を閉塞させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉33の左側や右側に軸を設けるようにしても良い。この場合、軸にばね等を組みこみ、その弾性力や復元力を利用して扉33を閉塞させるようにしても良く、或いは特にばね等を組み込むことなく、レジ係員等の手作業により閉塞させるようにしても良い。さらには、軸33にばねを組み込み、このばねの弾性力を利用して扉33を閉塞させるようにしても良い。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第9の実施の形態においては、扉833の下端に係止部833Aを設けると共にフレーム831の底面831Bに角穴831Fを穿設するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉833の左右側辺における下部から左右方向へそれぞれ延設するように係止部を設けても良い。この場合、フレーム831には、軸34が下孔部JHBに挿通されているときのみ係止部と当接し、軸34が上孔部JHAに挿通されているときには扉833及び係止部のいずれとも当接若しくは干渉しないような形状でなる当接部を、左右の内側面にそれぞれ設ければ良い。
さらに上述した第9の実施の形態においては、フレーム831を可撓性を有する樹脂材料により構成し、連結孔JHが一時的に弾性変形することにより軸34を上孔部JHAと下孔部JHBとの間で移動させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば硬質な材料でなるフレーム831に可撓性又は弾性を有する材料でなる別体の部品を組み込むことにより連結部JHCを構成し、当該連結部JHCのみが一時的に変形することにより軸34を上孔部JHAと下孔部JHBとの間で移動させるようにしても良く、或いは軸34を可撓性を有する樹脂材料により構成し、当該軸34を一時的に変形させることにより上孔部JHAと下孔部JHBとの間で移動させるようにしても良い。
さらに上述した第9の実施の形態においては、連結孔JHにおいて上孔部JHA及び下孔部JHBを上下に配置し、軸34及び扉833を上下に移動させることにより排出許容状態と排出禁止状態とを切り替えるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連結孔JHにおいて丸孔状でなる2つの孔部を前後や斜めに配置し、軸34及び扉833を前後や斜めに移動させることにより排出許容状態と排出禁止状態とを切り替えるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、軸34を中心に扉33又は扉833を回動させることにより空間SPの通過孔HLを開放又は閉塞するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉を上下方向や左右方向に移動させることにより空間SPの通過孔HLを開放又は閉塞するようにしても良い。この場合、所定の切替操作に応じて移動又は回動可能な開閉抑制部を扉に当接又は係合させることにより、扉を閉塞状態に保持するか、或いは開閉を許容するかを切り替えるようにすれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、レジ釣銭機の硬貨処理部において、鑑別部において異常とされた硬貨CNを排出するリジェクト部に本発明を適用するようにした場合について述べた。
しかしながらこれに限らず、例えば金融機関等において職員が入出金処理等を行う入出金装置のリジェクト部や、自動販売機の釣銭返却部、或いはスロットマシン等の遊技機においてメダル等を排出する排出部等、所定の媒体を排出する箇所に本発明を適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、保留部としてのフレーム31と、扉としての扉33と、排出抑制部としての開閉抑制部35とによって媒体排出装置としてのリジェクト部25を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる保留部と、扉と、排出抑制部とによって媒体排出装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、投入部としての硬貨投入口22と、鑑別部としての硬貨鑑別部23と、収納部としての硬貨収納庫26と、保留部としてのフレーム31と、扉としての扉33と、排出抑制部としての開閉抑制部35とによって媒体処理装置としての硬貨処理部11を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる投入部と、鑑別部と、収納部と、保留部と、扉と、排出抑制部とによって媒体処理装置を構成するようにしても良い。