JP5789844B2 - ポリカルバゾール誘導体含有組成物及び該組成物からなる透明導電体 - Google Patents
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Description
(1) 第1成分として金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体、第2成分として(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種、並びに第3成分として溶媒を少なくとも含有する組成物。
(2) 前記第1成分である金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体が、ポリカルバゾール誘導体と金属を接触させることによって得られる、(1)に記載の組成物。
(3) 前記第1成分である金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体が、第3成分の溶媒にポリカルバゾール誘導体と金属塩を添加することによって得られる、(1)に記載の組成物。
(4) 前記金属がスズ、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ポリカルバゾール誘導体が下記一般式で表される少なくとも1種のN−アルキルカルバゾールを重合させて得られるポリ(N−アルキルカルバゾール)である(1)から(3)のいずれかに記載の組成物。
(式中、nは1以上の整数であり、アルキルの少なくとも1つの水素は、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホ及びアミノから選択される少なくとも1種の基で置き換えられていてもよい。)
(5) 前記第2成分が重量平均分子量1,000以上50,000未満のポリメタクリル酸樹脂である(1)から(4)のいずれかに記載の組成物。
(6) 前記第3成分の溶媒がクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、メタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、およびTHFからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)から(5)のいずれかに記載の組成物。
(7) 前記第1成分が組成物の全重量に対して1重量%以上20重量%以下、第2成分が組成物の全重量に対して1重量%以上20重量%以下、第3成分が組成物の全重量に対して60重量%以上98重量%以下である(1)から(6)のいずれかに記載の組成物。(8) 前記組成物は、200倍希釈濃度で測定した波長380nm以上780nm以下
の紫外可視吸収スペクトルにおける吸光度が0.5以下である(1)から(7)のいずれかに記載の組成物。
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の組成物から溶媒を除去して得られた透明導電体。
(10) 200倍希釈濃度で測定した波長380nm以上780nm以下の紫外可視吸収スペクトルにおける吸光度が0.1以下である(9)に記載の透明導電体。
(11) 表面抵抗が1.0×108(Ω/□)以上、1.0×1011(Ω/□)以下であり、全光線透過率が80%以上であり、ヘイズ値が5%以下であり、鉛筆硬度が4B以上である(9)または(10)に記載の透明導電体。
(12) (9)〜(11)のいずれかに記載の透明導電体を用いたデバイス素子。
本発明の組成物は、金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体、別種のポリマー及び溶媒を含有する。本発明の組成物を用いて、スピンコートなどの手法により形成された膜は、透明かつ良好な導電性を有することから、電子デバイス素子などに好適に用いることができる。本発明者らは特許文献6に示すように、ポリカルバゾール誘導体を用いた化学重合による透明な導電体を開発している。しかしながら、膜の強度や透明度など改善すべき点も存在した。本発明者は、組成物中に特定のポリマーまたはコポリマーを含有することで、透明導電体の改善に想到したものである。
本発明の組成物に含有されるポリカルバゾール誘導体は、カルバゾール誘導体を重合させて得られる重合体である。カルバゾール誘導体としては特段限定されないが、以下に示すN−アルキルカルバゾールであることが好ましい。
解性の観点から、炭素数2以上(上記式において、nが2以上を示す。)のアルキルであることが好ましい。炭素数が7〜22(上記式において、nが7〜22を示す。)のアルキルであることが更に好ましい。
ポリカルバゾール誘導体は、着色しており、透明性が低いために、透明とするための手段が必要となるが、本発明では、ポリカルバゾール誘導体を溶媒に溶解させ、金属と接触させるか、あるいは金属塩を加えた組成物から成膜することで、透明導電体とすることができる。
よって、本発明の別の態様は、透明導電体を製造する方法であって、ポリカルバゾール誘導体を溶解した溶媒に、金属を加えてポリカルバゾールと金属を接触させるかまたは金属塩を加えて溶液を調製する工程、前記工程で得られた溶液に特定のポリマーを加えて組成物を調製する工程、及び前記工程により得られた組成物から導電体を得る工程、を含む透明導電体の製造方法である。
下記式において、nは上記式と同じである。また、ポリカルバゾール誘導体の重合度は、透明度及び強度の観点から2〜100であることがより好ましく、2〜22が特に好ましい。
本発明においては、上記カルバゾール誘導体を金属または金属塩で処理して使用することにより、成形した導電体を透明にすることができる。ポリカルバゾール誘導体を金属または金属塩で処理する方法としては、以下に詳述するように、ポリカルバゾール誘導体を金属と接触させて処理する方法や、ポリカルバゾール誘導体を金属塩と反応させる方法が挙げられる。これらの処理は、第3成分である溶媒中で行うことが好ましい。本発明者らは、本発明の組成物を膜状に成形した場合に透明な導電体となるのは、このような処理によってポリカルバゾール誘導体が金属と複合化するためと考えている。
本発明の組成物は、ポリカルバゾール誘導体と金属を接触させることで、成形した導電体を透明にすることができる。金属との接触は、例えば金属を蒸着させたフィルムを溶液中に浸すことや、金属粉末を溶液中に混合させることで行うことができる。このように溶液中で金属と接触させる場合、ポリカルバゾール誘導体を含む溶媒100重量部に対して金属を0.01〜300重量部用いることが好ましい。接触させる金属は特段制限されないが、仕事関数が、ポリカルバゾール誘導体のイオン化ポテンシャルよりも小さい金属を接触させて反応させることが好ましい。このような金属の具体例は、アルミニウム、インジウム、亜鉛、チタン、マンガン、鉄、銅、銀、錫、アンチモン、ナトリウム、マグネシウム、ガリウム、カリウム又はカルシウム及びこれらの合金が挙げられる。この中でも特に、アルミニウム、錫、亜鉛、インジウム、ガリウムが好ましく用いられる。本発明の組成物は、ポリカルバゾール誘導体と金属を接触させた後、金属を濾過などの方法により除
去する。
本発明の組成物は、ポリカルバゾール誘導体と金属塩とを反応させることで、成形した導電体を透明にすることができる。具体的には、溶媒にポリカルバゾール誘導体と金属塩を添加することで、反応させることができる。反応させる金属塩は特段制限されないが、ハロゲン化金属がより好ましい。このようなハロゲン化金属塩の具体例は、塩化スズ(II)、塩化ナトリウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、塩化銀、塩化銅、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化カリウムが挙げられる。この中でも特に、塩化スズ、塩化ナトリウム、塩化亜鉛が好ましく用いられる。また、溶媒については後述する本発明の第3成分として使用できる溶媒を用いることができる。本発明の組成物中におけるポリカルバゾール誘導体(モノマー換算)と金属塩との含有モル比は、1:10〜100:1であることが好ましく、1:1〜10:1であることが、より透明性を安定させる観点から好ましい。
本発明では、上記工程の後に別種のポリマーを加えることにより、得られる透明導電体の膜強度を向上することができる。加えるポリマーは特段制限されないが、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく。この中でも特に、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましく用いられる。ポリマーの重量平均分子量は特段制限されないが、1,000以上50,000未満が好ましく用いられる。なお、(メタ)アクリル樹脂との表記は、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂を包括して含むことを意味するものである。
本発明の組成物に用いる溶媒は、ポリカルバゾール誘導体および第2成分を溶解することができる限り特段限定されない。具体的には、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド等のホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、テトラヒドロフラン等のエーテル、メタノール等のアルコール、γ−ブチロラクトン等のラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン、プロピレンカーボネート等のカーボネート、アセトン等のケトン等を用いることができる。これらの溶媒のうち1種のみ用いてもよく、2種以上混合して用いることもできる。ポリ(N−アルキルカルバゾール)の溶解性から、有機溶媒が好ましい。このうち、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、アセトン、およびアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの溶媒はスピンコートなどにより成膜した後、風乾、ホットプレートまたは真空乾燥による加熱で除去することができる。
金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体、別種のポリマー、および溶媒を含有する本発明の組成物は、透明導電体形成用インクとして用いることができる。このインクはスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット等の成膜手段により必要とする大きさの透明導電体を簡易に作製することができることから、透明導電体を作製した後に加工する手間を省くことができる。
また、特許文献6に開示される、本発明者らによる金属と接触させることにより作成したインクや金属塩と反応させることにより作られるインクと比較して、本発明の組成物では膜強度が向上している。これは、もともと強度に優れるポリマーを添加することによって、全体の導電性を失わず、透明性を維持したまま加えたポリマーによる膜全体の強さが向上できたことによる。
また、本発明の透明導電体は、導電性を良好にする観点から、表面抵抗が1.0×101Ω/□以上、1.0×1011Ω/□以下であることが好ましく、1.0×104Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下であることがより好ましい。
また、本発明の透明導電体は、透明度の観点からヘイズ値が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
本発明の組成物中に含有されるポリカルバゾール誘導体について、ポリ(N−アルキルカルバゾール)を例に挙げて説明する。カルバゾールのN位にアルキルが結合したN−アルキルカルバゾールは、水素化ナトリウム等の強塩基性のアルカリ金属化合物存在下で、カルバゾールとアルキル化剤であるハロゲン化アルキルとの脱ハロゲン化水素反応により合成することができる。または、カルバゾールカリウム塩とハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化カリウム反応で合成することができる。なお、酸化剤を用いる化学重合で、ポリ(N−アルキルカルバゾール)を合成する場合には、カルバゾールのN位に結合するアルキ
ルは、一級炭素または二級炭素であることが好ましい。カルバゾールのN位に結合するアルキルが三級炭素の場合には、重合時にアルキルが脱離する傾向にあり、所望のポリ(N−アルキルカルバゾール)が得難い場合がある。
上記アルキル化剤であるハロゲン化アルキルは、試薬メーカーより入手することができる。実験室で取り扱うには、反応性、アルキルの種類の豊富さから、アルキルモノ臭化物が扱いやすい。入手できるアルキルモノ臭化物は、具体的に、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−3−メチル−ブタン、1−ブロモヘキサン、2−ブロモヘキサン、3−ブロモヘキサン、1−ブロモメチルペンタン、1−ブロモヘプタン、3−ブロモヘプタン、4−ブロモヘプタン、1−ブロモ−5−メチルヘキサン、1−ブロモ−2−エチルヘキサン、1−ブロモオクタン、2−ブロモオクタン、1−ブロモノナン、2−ブロモノナン、1−ブロモデカン、1−ブロモウンデカン、1−ブロモドデカン、2−ブロモドデカン、1−ブロモトリデカン、1−ブロモテトラデカン、2−ブロモテトラデカン、1−ブロモペンタデカン、1−ブロモヘプタデカン、1−ブロモ−2−メチルヘキサデカン、1−ブロモオクタデカン、1−ブロモエイコサン、1−ブロモドコサンがあり、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)、ランカスター社等から入手できる。
上記ハロゲン化アルキルは、アルキルモノハロゲン化物以外に、アルケンのハロゲン水素付加反応により得ることができる。この反応は、アルケン溶液にハロゲン化水素を添加することで容易に進行する。アルケンのハロゲン化水素付加反応でハロゲン化アルキルを得るには、JOHN WILEY & SON,INC.出版のOrganic Syntheses IV 543−544頁(1962年発行)記載の方法に従ってアルキルモノヨウ化物をアルケンのヨウ化水素付加反応により、合成することが都合がよい。
ポリ(N−アルキルカルバゾール)を形成する工程について説明する。ポリ(N−アルキルカルバゾール)は、N−アルキルカルバゾールを含む溶媒に酸化剤を加えて重合を行うことで得られる。
上記の重合では、比較的高い誘電率の溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレンカーボネート、ピリジン、ジオキサン、酢酸、水およびこれらの混合物を用いることができる。重合時のモノマー濃度は、上記の溶媒の重量を100重量部とした場合、0.01重量部以上300重量部以下とすることが好ましく、0.1重量部以上50重量部以下であることがより好ましい。0.01重量部以上とすることで生成物であるポリ(N−アルキルカルバゾール)の生産性を上げることができ、0.1重量部以上とすることでこの効果がより顕著となる。また300重量部以下とすることで反応収率を上げることができ、50重量部以下とすることでこの効果がより顕著となる。
トなどの成膜プロセスの後、風乾することにより溶媒は除去できる。
N−アルキルカルバゾールの製造に用いるアルキル化剤は、アルキルモノ臭素化物を東京化成工業(株)、シグマ−アルドリッチ社及びランカスター社より購入した。
<N−アルキルカルバゾールの合成>
テトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの3対1(体積比)の混合溶媒にカルバゾールを溶解し、上記で得たアルキル剤(アルキル臭化物又はアルキルヨウ化物)をカルバゾール1当量に対して1当量加え、撹拌しながら水素化ナトリウム1.5当量に相当する60重量%の水素化ナトリウム鉱物油分散物(関東化学(株)製、商品名「水素化ナトリウム」)を徐々に加え、室温で1時間撹拌した。そこに、反応を停止させるためにメタノールを気泡が出なくなるまで加えた後、溶媒を減圧下で蒸発除去した。残渣にジクロロメタンを加え、3N塩酸と水とで洗浄した。無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、濾過した。得られた濾液に含まれる溶媒を真空除去し、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製した。
ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)の重合に用いるモノマー(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)を例に具体的な合成法を説明する。
テトラヒドロフラン(30mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)の混合溶液にカルバゾール(東京化成工業(株)製、6.0g、0.036mol)を溶かし、2−エチルヘキシルブロミド(アルドリッチ社製、3.95g、0.036mol)を加え、さらに室温(約20℃)で60重量%水素化ナトリウム鉱物油分散物((関東化学(株)製、商品名「水素化ナトリウム」、2.16g、0.054mol)を徐々に添加し、1時間攪拌し反応を完了させた。
反応完了後、得られた反応液に、メタノールを気泡が出なくなるまで注ぎ、反応を停止させた。エバポレーターで反応液中の溶媒を除去後、濃縮物を塩化メチレンで抽出し、有機層を3N塩酸、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液中の塩化メチレンをエバポレーターで除去し、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。エバポレーターでヘキサンを除去し、透明液体(8g、収率80%)を得た。H−NMRにより、N−(2−エチルヘキシル)カルバゾールであることが確認できた。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって純度が99.5%
であることを確認した。
アセトニトリル(10mL)にモノマーであるN−(2−エチルヘキシル)カルバゾール(0.14g、0.05mol)と酸化剤である過塩素酸鉄(III)(0.33g、0.1mol)を溶解し、窒素雰囲気下、室温(約20℃)で24時間攪拌し、化学重合を行った。反応液を濾過し、濾過物をメタノールで洗浄し、40℃で1時間乾燥して、目的とするポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)の緑色粉末(0.21g)を得た。
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、粒状の金属スズ0.5gを加えて攪拌した。金属スズは数日攪拌の後、溶液色が濃緑色から黒褐色に変化したところで取り除き、金属の細かい粉を除くために0.2μmのシリンジフィルターでろ過後、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物1を得た。
組成物1
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)中のポリ(N−
(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 2.1重量%
ポリメタクリル酸メチル 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.8重量%
ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)と同様の手順で得たポリ(N−オクチルカルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、粒状の金属スズ0.15gを加えて攪拌した。金属スズは数日攪拌の後、溶液色が濃緑色から黒褐色に変化したところで取り除き、金属の細かい粉を除くために0.2μmのシリンジフィルターでろ過後、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物2を得た。
組成物2
金属スズ複合化ポリ(N−オクチルカルバゾール)中のポリ(N−(2−エチルヘ
キシル)カルバゾール) 2.1重量%
ポリメタクリル酸メチル 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.8重量%
線透過率は89 %であった。鉛筆硬度はHBであった。
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、粒状の金属亜鉛0.25gを加えて攪拌した。金属亜鉛は数日攪拌の後、溶液色が濃緑色から黒褐色に変化したところで取り除き、金属の細かい粉を除くために0.2μmのシリンジフィルターでろ過後、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物3を得た。
組成物3
金属亜鉛複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)中のポリ(N−
(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 2.1重量%
ポリメタクリル酸メチル 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.8重量%
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、塩化スズ(II)29mgを加えて攪拌した。溶液色が濃緑色から暗褐色に変化したところで、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物4を得た。
組成物4
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 2.7重量%
ポリメタクリル酸メチル 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.2重量%
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをテトラヒドロフラン2mLに溶解し、塩化スズ(II)29mgを加えて攪拌した。溶液色が濃緑色から暗褐色に変化したところで、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物5を得た。
組成物5
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 3.0重量%
ポリメタクリル酸メチル 2.3重量%
テトラヒドロフラン 41.6重量%
γ−ブチロラクトン 53.0重量%
上記実施例1〜5に記載の組成物1〜5と、対照のため上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加えた組成物6について、それぞれ15μlをクロロホルムで3mlに希釈し、紫外可視吸収スペクトルを測定した。スペクトルを図6に示す。組成物6では吸収ピークが400nmおよび800nmにあるが、組成物1〜5では吸光度は0.5以下である。
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをテトラヒドロフラン2mLに溶解し、粒状の金属スズ0.5gを加えて攪拌した。金属スズは数日攪拌の後、溶液色が濃緑色から黒褐色に変化したところで取り除き、金属の細かい粉を除くために0.2μmのシリンジフィルターでろ過後、ポリメタクリル酸メチル(関東化学(株)製試薬「Cat.No.2590-31」)を5重量%溶解させたテトラヒドロフランを5容量または0.2容量加え、本発明の組成物7および8を得た。
組成物7
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)中のポリ(N−
(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 0.7重量%
ポリメタクリル酸メチル 3.5重量%
テトラヒドロフラン 95.8重量%
組成物8
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)中のポリ(N−
(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 3.5重量%
ポリメタクリル酸メチル 0.7重量%
テトラヒドロフラン 95.8重量%
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、粒状の金属スズ0.5gを加えて攪拌した。金属スズは数日攪拌の後、
溶液色が濃緑色から黒褐色に変化したところで取り除き、金属の細かい粉を除くために0.2μmのシリンジフィルターでろ過後、ヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬工業(株)製試薬「ヒドロキシプロピルセルロース6.0〜10.0」)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物9を得た。
組成物9
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)中のポリ(N−
(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 2.1重量%
ヒドロキシプロピルセルロース 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.8重量%
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、塩化スズ(II)29mgを加えて攪拌した。溶液色が濃緑色から暗褐色に変化したところで、脂環式エポキシ樹脂(EHPE3150、ダイセル化学製)を5重量%溶解させたγ−ブチロラクトンを同容量加え、本発明の組成物10を得た。
組成物10
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 2.7重量%
EHPE3150 2.1重量%
γ−ブチロラクトン 95.2重量%
上記ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール)0.1gをγ−ブチロラクトン2mLに溶解し、塩化スズ(II)29mgを加えて攪拌、比較例の組成物11を得た。組成物11
金属スズ複合化ポリ(N−(2−エチルヘキシル)カルバゾール) 5.4重量%
γ−ブチロラクトン 94.6重量%
Claims (12)
- 第1成分として金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体、第2成分として(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種、並びに第3成分として溶媒を少なくとも含有する組成物であり、
前記ポリカルバゾール誘導体が下記一般式で表される少なくとも1種のN−アルキルカルバゾールを重合させて得られるポリ(N−アルキルカルバゾール)である、組成物。
- 前記第1成分である金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体が、ポリカルバゾール誘導体と金属を接触させることによって得られる、請求項1に記載の組成物。
- 前記第1成分である金属または金属塩で処理したポリカルバゾール誘導体が、第3成分の溶媒にポリカルバゾール誘導体と金属塩を添加することによって得られる、請求項1に記載の組成物。
- 前記金属がスズ、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記第2成分が重量平均分子量1,000以上50,000未満のポリメタクリル酸樹脂である請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記第3成分の溶媒がクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、メタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、およびTHFからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記第1成分が組成物の全重量に対して1重量%以上20重量%以下、前記第2成分が組成物の全重量に対して1重量%以上20重量%以下、前記第3成分が組成物の全重量に対して60重量%以上98重量%以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物は、200倍希釈濃度で測定した波長380nm以上780nm以下の範囲の紫外可視吸収スペクトルにおける吸光度が0.5以下である請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物から溶媒を除去して得られた透明導電体。
- 200倍希釈濃度で測定した波長380nm以上780nm以下の範囲内の紫外可視吸収スペクトルにおける吸光度が0.1以下である請求項9に記載の透明導電体。
- 表面抵抗が1.0×101(Ω/□)以上、1.0×1011(Ω/□)以下であり、全
光線透過率が80%以上であり、ヘイズ値が5%以下であり、鉛筆硬度が4B以上である請求項9または10に記載の透明導電体。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の透明導電体を積層させてなるデバイス素子。
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