JP5789642B2 - 刺激感緩和剤 - Google Patents

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Description

本発明は、TRPA1活性抑制剤及び刺激感緩和剤に関する。
感覚は、外部から受けた刺激が電気信号に変換され、神経細胞を通じて脳に伝達されることで生じる。外部刺激を電気信号に変換するには、その外部刺激を感知する受容体の存在が必要である。
TRPA1は、一過性受容器電位(TRP)イオンチャネルのスーパーファミリーに属する非選択性陽イオンチャネルであり、侵害受容ニューロンにおいて低温受容器(17℃)として見出された(非特許文献1)。その後、TRPA1は、マスタードオイルやそれに含まれるアリルイソチオシアネート(AITC)、シナモン、ガーリック、メチルサリチレート、オイゲノール、アルコール類等に反応する化学受容体であること、更には低温と機械刺激、化学刺激に応答する痛み受容体であることが報告されている(非特許文献2、3、4及び5)。
また、最近では、パラベン類やアルカリ剤がTRPA1に応答し、TRPA1で形質転換させた細胞を用いてパラベン類やアルカリ剤の刺激を抑制する物質をスクリーニングできること(特許文献1及び2)が報告されている。
斯様に、TRPA1は皮膚や粘膜の侵害受容器であり、様々な刺激によって活性化されることから、TRPA1の活性を抑制することは、刺激による痛みの軽減に有効であると考えられ、これまでに、被験物質とAITCを、TRPA1を発現する細胞に接触させて、AITCによりTRPA1を介して引き起こされる細胞内カルシウムイオン濃度の変化を測定することにより、刺激(痛み)抑制物質の探索・評価がなされ、刺激抑制物質が見出されている(非特許文献6)。
特開2008−79528号公報 特開2009−82053号公報 特開2011−205975号公報
Story et al. 2003, Cell 112, 819-829 Kwan et al. 2006, Neuron 50, 277-289 日本薬理学雑誌、第124巻、第219頁−第227頁、2004年、社団法人 日本薬理学会発行 Fijita et al. 2010, IFSCC Congress 2010 Komatsu et al. 2012, Eur J Physio 463, 549-559 Molecular Pain 2008, 4:48
本発明は、皮膚や粘膜に対する感覚刺激を緩和できるTRPA1活性抑制剤、及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤を提供することに関する。
本発明者らは、TRPA1の活性を抑制する素材について検討したところ、下記式(1)で表される化合物が、TRPA1の活性を抑制し、刺激感原因物質による皮膚や粘膜に対する刺激感の緩和に有効であることを見出した。
すなわち本発明は、以下の1)〜3)に係るものである。
1)下記式(1)で表される化合物を有効成分とするTRPA1活性抑制剤。
2)下記式(1)で表される化合物を有効成分とする皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤。
3)下記式(1)で表される化合物を用いることを特徴とする、皮膚又は粘膜の刺激感緩和方法。
〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すか、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成していてもよく、R3及びR4は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し(但し、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合、R3及びR4は共に水素原子を示す)、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R6は水素原子又はアシル基を示し、また、点線と実線の二重線は単結合又は二重結合であり、単結合である場合のみR4が存在することを示す。〕
本発明のTRPA1活性抑制剤及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤は、TRPA1の活性化を効果的に抑制するという作用を有する。したがって、本発明のTRPA1活性抑制剤、皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤を、防腐剤、防腐助剤等の刺激感原因物質を含有する各種組成物と共に、或いは当該組成物の使用前後に使用することにより、当該刺激感原因物質による刺激感や痛みを緩和することができる。
本発明化合物のTRPA1活性抑制効果(用量依存性)を示すグラフ。 本発明化合物の刺激物質に対する皮膚感覚刺激性低減効果を示すグラフ。
本発明の式(1)において、R1、R2、R3、及びR4で示される炭素数1〜3のアルキル基としては、直鎖又は分岐の何れでもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。
1及びR2は、共に水素原子である場合、或いはR1が水素原子でR2が炭素数1〜3のアルキル基(好ましくはメチル基)である場合、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合が好ましい。
3及びR4は共に水素原子、共にメチル基、或いは何れか一方が水素原子又はメチル基であるのが好ましい。
1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合には、式(1)で表される化合物は、下記式(1A)で表される。
〔式中、R5〜R6は前記したものと同じものを示す。〕
5で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖又は分岐の何れでもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、このうち炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
また、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合(上記式(1A))は、R5はメチル基であるのが好ましい。
6で示されるアシル基としては、好適には炭素数2〜6の飽和又は不飽和の脂肪族カルボニル基が挙げられ、炭素数2〜6の飽和脂肪族カルボニル基(アルカノイル基)がより好ましく、炭素数2〜4のアルカノイル基がより好ましく、アセチル基、プロピオニル基がより好ましい。
尚、R6は、水素原子であるのが好ましい。
また、点線と実線の二重線で示される単結合又は二重結合は、単結合であるのが好ましい。
本発明の式(1)で表される化合物のうち好ましい態様としては、R1が水素原子であり、R2が水素原子、メチル基又はエチル基であるか、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合(上記式(1A))であり、R3及びR4が共に水素原子、共にメチル基、或いは何れか一方が水素原子又はメチル基であり、R5がメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、R6が水素原子又はアセチル基である場合が挙げられる。
更に、本発明の式(1)で表される化合物において、点線と実線の二重線が二重結合である場合には、シス体(Z体)及びトランス体(E体)が存在する。また、置換基の種類や組み合わせによって、d体−、l体−等の光学異性体及び回転異性体等の異性体が存在し得る。本発明においては、当該各異性体の混合物や単離されたものの何れをも包含する。
本発明の式(1)で表される化合物は、公知の方法(例えば、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2001,1300-1303)に準じ、適宜常法を組み合わせて化学合成することができる。例えば、式(1)において、R1及びR2が共に水素原子で、R4が水素原子である場合の化合物は、下記の<反応1>に示すような方法で得ることができる。
すなわち、ベンズアルデヒド(A)を、α−メチレンアルデヒドと縮合してアルデヒド体(B)とし、次いでグリニャール試薬等のアルキル化剤を用いてアルキル基を導入して化合物(C)を得、次いで、これをPd/C等の触媒の存在下接触水素化反応に付して化合物(D)を得ることができる。
また、式(1)において、R1及びR2が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である場合の化合物は、下記の<反応2>に示すような方法でも得ることができる。
すなわち、フェニル−1−プロパノール誘導体(E)をTEMPOとヨードベンゼンジアセテート等を用いた酸化反応に付してカルボニル化合物(F)とし、次いでグリニャール試薬等のアルキル化剤を用いてアルキル基を導入することにより、化合物(G)を得ることができる。
また、式(1)において、R1及びR2が共に水素原子である場合の化合物は、下記の<反応3>に示すような方法でも得ることができる。
すなわち、ケトン体(H)に塩基の存在下、ハロゲン化ベンジルを反応させて、カルボニル化合物(I)とし、これをLiAlH4等を用いた還元反応に付すことにより、化合物(J)を得ることができる。
また、式(1)において、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合の化合物は、例えば、下記の<反応4>に示すような方法で得ることができる。
すなわち、2−シクロへキセン−1−オン(K)に、ヨウ化銅(I)等の銅塩の存在下
、フェニルマグネシウムブロミドを反応させて、2−シクロへキセン−1−オン(L)とし、これにグリニャール試薬等のアルキル化剤を用いてアルキル基を導入することにより、化合物(M)を得ることができる。
〔式中、R1a及びR2aは同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5は前記したものと同じものを示す。〕
尚、R6がアシル基である化合物は、無水酢酸やアセチルクロリド等のアシル化剤を用いて水酸基をアシル化することにより得ることができる。
式(1)で表される化合物のより好適な化合物としては、後記表1に記載の化合物を例示することができ、このうちTRPA1活性抑制作用の点から、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物2)、2−メチル−4−フェニル−2−ブタノール(化合物3)、1.1−ジメチル−3−フェニル−プロピルアセテート(化合物4)、2−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物6)、2,4−ジメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物7)、3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノール(化合物8)、2,2−ジメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物9)、2,2,4−トリメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物10)、t−1−メチル−3−フェニルシクロヘキサノール(化合物11)が好ましい。
本発明の式(1)で表される化合物は、後記実施例に示すように、種々のTRPA1刺激物質と共に、TRPA1を形質導入した細胞(TRPA1発現細胞)に接触させた場合に、刺激物質による細胞内の陽イオン量の流入を抑制するというTRPA1活性抑制作用を有する(実施例1)。また、本発明の式(1)で表される化合物を予め皮膚に塗布した後、次いでTRPA1活性化物質を塗布した場合、当該TRPA1活性化物質に対する感覚刺激性を緩和する効果を発揮する(実施例2)。
したがって、本発明の式(1)で表される化合物はTRPA1活性抑制剤、及びTRPA1を介して引き起こされる皮膚や粘膜に対する刺激感や痛みの緩和に有効な、皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤となり得る。
ここで、「TRPA1の活性抑制」とは、受容体であるTRPA1の活性を抑制すること、具体的にはTRPA1刺激物質(アゴニスト)がTRPA1に結合することによって発現する活性、例えばイオン流束の調節能(例えば、細胞外から細胞内へのカルシウムイオン、ナトリウムイオンなどの陽イオンの輸送能など)、膜電位の調節能(例えば、電流の発生能など)を抑制或いは阻害することを云う。
ここで、TRPA1刺激物質としては、例えば、アリルイソチオシアネート(AITC)、アンモニア、ブラジキニン、シンナムアルデヒド、4−ヒドロキシノネナール、アリシン、アクロレイン、メントール、メチルサリチレート、オイゲノール、パラベン類、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(IPBC)、トリクロサン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
尚、本発明の式(1)で表される化合物によるTRPA1の活性の抑制効果は、例えば、TRPA1発現細胞を用い、式(1)で表される化合物の存在下にTRPA1刺激物質(例えばAITC)と接触させたTRPA1発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度と、式(1)で表される化合物の非存在下でTRPA1刺激物質と接触させたTRPA1発現細胞内におけるカルシウムイオン濃度との差異を比較すること等によって評価することができる。
また、「皮膚又は粘膜の刺激感緩和」とは、TRPA1を介して引き起こされる皮膚や粘膜に対する刺激感や痛みを抑制又は低減することを意味し、より具体的には、上述したTRPA1刺激物質とされる化学物質によって引き起こされる、感覚刺激を抑制又は低減することが挙げられる。ここでいう好適なTRPA1刺激物質としては、皮膚や粘膜に対して刺激感を与える可能性がある化学物質(「刺激感原因物質」という)、例えば、パラベン類、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(IPBC)、トリクロサン等の防腐剤、ベンジルアルコール等の防腐助剤、アンモニア、アクロレイン、メントール、メチルサリチレート、オイゲノール、一価アルコール、多価アルコール等のアルコール類等が挙げられる。ここで、一価アルコールとしては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールなどの炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖の脂肪族一価アルコールなどが挙げられ、多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの炭素数2〜6の脂肪族二価アルコールなどが挙げられる。
なお、ここでいう、「粘膜」としては、口腔、咽喉、鼻腔、耳腔、結膜嚢等が挙げられる。
刺激感緩和効果は、後記実施例に示すような官能評価により測定してもよく、又は上記のTRPA1発現細胞を用いた細胞内カルシウムイオン濃度の変化を以て評価することもできる。
TRPA1活性抑制剤及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤は、本発明の式(1)で表される化合物を単独で用いたものであってもよく、あるいは油分、色素、香料、防腐剤、キレート剤、顔料、酸化防止剤、ビタミン、ミネラル、甘味料、調味料、保存料、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、被膜剤、担体、希釈剤等の、医薬品、化粧品、医薬部外品、生活用品等の各種製剤に用いられる添加剤や賦形剤等と組み合わせた組成物であってもよい。またそれらの形態も特に限定されず、例えば溶液、エマルジョン、サスペンジョン、ゲル、固形、粉体、粒体、エアゾールなど、任意の形態に調製できる。
当該組成物における式(1)で表される化合物の配合量は、製剤全質量の0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上であり、そして、10質量%以下、好ましくは1質量%以下である。例えば、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%が挙げられる。
本発明のTRPA1活性抑制剤及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤は、例えば、上述した刺激感原因物質を含有する組成物(皮膚洗浄剤、頭髪洗浄剤、メイクアップ剤、入浴剤、パーマネントウェーブ用剤、染毛剤、石鹸類、台所用洗剤、洗濯用洗剤、歯磨類等の化粧品、医薬部外品、医薬品、生活用品等)に配合して使用すること、或いは刺激感原因物質を含有する組成物とは別個の組成物として調製し、前記組成物と同時或いは前記組成物の使用前後に使用することにより、当該刺激感原因物質により引き起こされる感覚刺激を緩和できる。
本発明のTRPA1活性抑制剤及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤を、刺激感原因物質を含有する組成物と共に用いる場合、TRPA1活性抑制剤及び皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤の使用量は、刺激感緩和効果を有する限り特に限定されないが、例えば、刺激感原因物質1質量部に対し、本発明の式(1)で表される化合物を好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、そして好ましくは10質量部以下、より好ましくは1質量部以下の割合とすることができる。例えば、刺激感原因物質1質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜1質量部の割合とすることができる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>下記式(1)で表される化合物を有効成分とするTRPA1活性抑制剤。
<2>下記式(1)で表される化合物を有効成分とする皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤。
<3>TRPA1活性抑制剤を製造するための下記式(1)で表される化合物の使用。
<4>皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤を製造するための下記式(1)で表される化合物の使用。
<5>TRPA1活性抑制に使用するための下記式(1)で表される化合物。
<6>皮膚又は粘膜の刺激感緩和に使用するための下記式(1)で表される化合物。
<7>下記式(1)で表される化合物を用いることを特徴とする、TRPA1活性抑制方法。
<8>下記式(1)で表される化合物を用いることを特徴とする、皮膚又は粘膜の刺激感緩和方法。
<9>上記<2>、<4>、<6>又は<8>において、感覚刺激の緩和は、例えば防腐剤、防腐助剤、アルコール類及びアンモニアから選ばれる刺激感原因物質による皮膚又は粘膜の感覚刺激の緩和である。
<10>上記<5>、<6>、<7>又は<8>において、下記式(1)で表される化合物は、刺激感原因物質を含有する組成物に配合して使用するか、或いは当該組成物とは別個の組成物として調製し、前記組成物と同時又は前記組成物の使用前後に使用するものである。
<11>上記<10>において、下記式(1)で表される化合物を、刺激感原因物質1質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、そして好ましくは10質量部以下、より好ましくは1質量部以下の割合で使用するものである。
〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すか、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成していてもよく、R3及びR4は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し(但し、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合、R3及びR4は共に水素原子を示す)、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R6は水素原子又はアシル基を示し、また、点線と実線の二重線は単結合又は二重結合であり、単結合である場合のみR4が存在することを示す。〕
下記表1に本発明化合物の一例を示す。
本発明化合物は、公知の方法によって化学合成することができ、また市販品を使用することもできる。市販品は、例えば、化合物1(3−メチル−4−フェニル−2−ブタノール)はIFF社より、化合物2(3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール)及び化合物3(2−メチル−4−フェニル−2−ブタノール)は東京化成工業社より、化合物4(1.1−ジメチル−3−フェニル−プロピルアセテート)及び化合物5(2−メチル−4−フェニル−3−ブテン−2−オール)はSIGMA−AlDRICH社より入手可能である。
以下に、表1に示す本発明の化合物(化合物6〜11)の製造例を示す。
1H−NMRスペクトルは、CHCl3(7.24)を内部標準物質として用いて、Bruker社製Avance−600により測定し、13CNMRスペクトルは、CHCl3(77.0)を内部標準物質として用いて、Bruker社製Avance−600により測定した。
製造例1 化合物6、7の合成
(1)α−メチルシンナミックアルデヒド(a)(152mg)をTHF(9mL)に溶解し、0℃でエチルマグネシウムブロミド(1M in THF、1.14mL)を加え、2.5時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え分離し、酢酸エチル相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、(E)−2−メチル−1−フェニル−1−ペンテン−3−オール(b)(86.9mg)を得た。
(2)(1)で得られたアルコール(b)(41.6mg)を酢酸エチル(3mL)に溶解し、窒素雰囲気下でPd/C(10%、20mg)を加えた後、系内を水素ガスで置換して室温で3時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール(dr=55:45、化合物6)(41.1mg)を得た。
化合物6のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.25 (m, 2H), 7.20-7.15 (m, 3H), 3.45-3.38 (m, 1H), 2.91 (dd, J = 13.4, 4.5 Hz, 0.55H), 2.79 (dd, J = 13.5, 6.4 Hz, 0.45H), 2.33 (dd, J = 13.4, 9.7 Hz, 0.55H), 1.88-1.80 (m, 1H), 1.66-1.59 (m, 0.55H), 1.52-1.41 (m, 1.45H), 0.99 (t, J = 7.4 Hz, 1.65H), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 1.35H), 0.85 (d, J = 6.8 Hz, 1.35H), 0.83 (d, J = 6.9 Hz, 1.65H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 141.2 (2C), 129.2, 129.1, 128.2 (2C), 125.7 (2C), 77.0, 75.6, 40.6, 40.0, 39.8, 38.4, 27.5, 26.5, 15.3, 12.9, 10.6, 10.2.
(3)α−メチルシンナミックアルデヒド(a)(159.3mg)をTHF(9mL)に溶解し、0℃でイソプロピルマグネシウムブロミド(0.73M in THF、2.24mL)を加え、1.5時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え、酢酸エチル相を減圧乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、2,4−ジメチル−1−フェニル−1−ペンテン−3−オール(c)(40.9mg)を得た。
(4)(3)で得られたアルコール(c)(17.9mg)を酢酸エチル(2mL)に溶解し、窒素雰囲気下でPd/C(10%、9.0mg)を加えた後、系内を水素ガスで置換して室温で1.5時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2,4−ジメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(dr=55:45、化合物7)(14.6mg)を得た。
化合物7のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.25 (m, 2H), 7.20-7.15 (m, 3H), 3.16 (dd, J = 6.4, 5.4 Hz, 0.55H), 3.07-3.02 (m, 1H), 2.73 (dd, J = 13.5, 6.8 Hz, 0.45H), 2.51 (dd, J = 13.5, 8.3 Hz, 0.45H), 2.28 (dd, J = 13.4, 10.3 Hz, 0.55H), 2.00-1.93 (m, 0.45H), 1.90-1.83 (m, 1.1H), 1.76-1.69 (m, 0.45H), 0.98 (d, J = 6.9 Hz, 1.65H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, 1.35H), 0.92 (d, J = 6.6 Hz, 1.65H), 0.84 (d, J = 6.8 Hz, 1.35H), 0.83 (d, J = 6.8 Hz, 1.35H), 0.79 (d, J = 6.9 Hz, 1.65H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 141.3, 141.1, 129.3, 129.1, 128.2, 128.1, 125.8, 125.7, 80.8, 79.3, 40.7, 38.1, 37.9, 37.0, 31.3, 30.1, 20.0, 19.1, 19.0, 16.2, 16.0, 12.4.
製造例2 化合物8、9の合成
(1)2,2−ジメチル−3−フェニル−1−プロパノール(d)(489mg)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、ヨードベンゼンジアセテート(1.44g)およびTEMPO(92.9mg)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液、ヘキサンを加え分離し、ヘキサン相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2,2−ジメチル−3−フェニルプロピオンアルデヒド(e)(354mg)を得た。
(2)(1)で得られたアルデヒド(e)(54.8mg)をTHF(3.4mL)に溶解し、0℃でメチルマグネシウムブロミド(3M in ジエチルエーテル、0.17mL)を加え、30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え分離し、酢酸エチル相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、3,3−ジメチル−4−フェニル−2−ブタノール(化合物8)(48.2mg)を得た。
化合物8のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.24 (m, 2H), 7.21-7.15 (m, 3H), 3.53 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.68 (d, J = 13.0, 1H), 2.50 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 1.16 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.86 (s, 3H), 0.79 (s, 3H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 138.9, 130.7, 127.7, 125.8, 73.8, 44.5, 38.7, 23.0, 21.7, 18.0.
(3)(1)で得られたアルデヒド(e)(58.9mg)をTHF(3.6mL)に溶解し、0℃でエチルマグネシウムブロミド(1M in THF、0.55mL)を加え、30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え分離し、酢酸エチル相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2,2−ジメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物9)(48.0mg)を得た。
化合物9のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.24 (m, 2H), 7.21-7.14 (m, 3H), 3.15 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 2.70 (d, J = 13.0, 1H), 2.51 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 1.69-1.60 (m, 1H), 1.36-1.27 (m, 1H), 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.86 (s, 3H), 0.81 (s, 3H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 139.0, 130.7, 127.7, 125.8, 79.9, 44.7, 38.8, 24.2, 23.2, 22.3, 11.5.
製造例3 化合物10の合成
(1)水素化ナトリウム(純度55%、4.80g)をトルエン(100mL)に懸濁し、100℃でジイソプロピルケトン(f)(13.7g)を滴下した後、3時間撹拌した。その後、ベンジルクロライド(12.7g)を滴下し、さらに3時間撹拌した。反応液を70℃に冷却後、水(100g)を加え、有機相を分離した。この有機相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2,2,4−トリメチル−1−フェニル−3−ペンタノン(g)(12.3g)を得た。
(2)LiAlH4(1.86g)をTHF(100mL)に懸濁し、(1)で得られたケトン(g)(5.00g)をTHF(15mL)に溶解したものを加え、0℃で30分間撹拌した。反応液に水(4mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(4mL)、水(12mL)の順で加え、1日撹拌し、不溶物を濾過した。濾液を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2,2,4−トリメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物10)(4.11g)を得た。
化合物10のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.28 (m, 2H), 7.26-7.19 (m, 3H), 3.21 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 2.75 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.58 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.10-2.01 (m, 1H), 1.03 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.99 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.89 (s, 3H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 139.0, 130.8, 127.7, 125.8, 81.7, 45.8, 39.7, 28.5, 23.7, 23.6, 23.0, 16.7.
製造例4 化合物11の合成
(1)ヨウ化銅(I)(9.43g)をジエチルエーテル(110mL)に懸濁し、−3
0℃でフェニルマグネシウムブロミド(1M in THF、500mL)を滴下した後、2−シクロへキセン−1−オン(h)(34.0g)を滴下して、4時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液とジエチルエーテルを加え分離し、ジエチルエーテル相を減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、3−フェニルシクロヘキサノン(i)(37.0g)を得た。
(2)(1)で得られたケトン(i)(12.2g)をジエチルエーテル(30mL)に溶解し、−40℃でメチルリチウム(1M in ジエチルエーテル、100mL)をジエチルエーテル(100mL)に溶解した溶液に加え、5時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液とジエチルエーテルを加え分離し、ジエチルエーテルを減圧乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、t−1−メチル−3−フェニルシクロヘキサノール(化合物11)(8.0g)を得た。
化合物11のNMRスペクトルを以下に示す。
1HNMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.25 (m, 2H), 7.22-7.15 (m, 3H), 2.91 (dddd, J = 12.6, 12.6, 3.5, 3.5 Hz, 1H), 1.90-1.85 (m, 1H), 1.84-1.79 (m, 1H), 1.78-1.65 (m, 3H), 1.49 (dd, J = 13.2, 13.2 Hz, 1H), 1.42-1.30 (m, 2H), 1.25 (s, 3H);
13CNMR (150 MHz, CDCl3) δ 147.0, 128.4, 126.9, 126.0, 70.1, 46.5, 39.4, 38.2, 33.2, 31.9, 22.0.
実施例1 TRPA1活性抑制作用
(1)ヒトTRPA1安定発現株の作製
ヒトTRPA1遺伝子は、その全長をOpen biosystems社よりpENTR223.1に挿入された状態で購入した。購入したエントリーベクターよりTRPA1遺伝子を発現用ベクターpcDNA3.2−V5/DEST(インビトロジェン社)へサブクローニングし、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)によりHEK293細胞へ形質導入した。形質導入された細胞をG−418(450μg/ml;プロメガ社)を含有するDMEM培地中で増殖させることにより選抜した。なおHEK293細胞は内在性TRPA1を発現しないため、TRPA1形質導入株に対する対照(コントロール)として使用できる。
(2)カルシウムイメージング
蛍光カルシウムイメージング法を用いてHEK293細胞へ形質導入したTRPA1活性の測定を行った。まず培養したTRPA1発現細胞をポリ−D−リジンコートされた96ウェルプレート(BDファルコン社)に播種(30000細胞/ウェル)し、37℃で一晩、インキュベートした後、培養液を除去し、リンガー液に溶解させたFluo4−AM(2μg/ml;同仁化学社)を添加し、37℃で60分間インキュベートした。その後、Fluo4−AM液を除去し、ウェルにリンガー液を添加して蛍光プレートリーダー(FDSS3000;浜松ホトニクス社)にセットした。装置庫内温度24℃にした状態で励起波長480nmで励起させたときの蛍光イメージを検出波長520nmにてCCDカメラで検出した。測定は1秒毎に4分間行い、測定開始15秒後にFDSS3000内蔵の分注器によりTRPA1刺激物質であるアリルイソチオシアネートおよび本発明化合物をそれぞれ終濃度5.0μMおよび0.01%で添加し、その後の蛍光強度の変化によりTRPA1活性を評価した。TRPA1活性は刺激物質添加後の蛍光強度のピーク(Fpeak)を刺激物質添加前の蛍光強度(F0)で除算した蛍光強度比(Ratio;Fpeak/F0)で表した。対照としてTRPA1を形質導入していないHEK293細胞に同様の物質を添加し、その際の蛍光強度比(Ratio293)を算出し、刺激物質による活性のピークがTRPA1活性化に由来することを確認した。
(3)TRPA1活性抑制評価
アリルイソチオシアネートによるTRPA1活性化に対する各化合物の効果を検証するため、アリルイソチオシアネート(5.0μM)およびエタノール(0.01%;溶媒コントロール)を添加した際のTRPA1活性に対する各化合物の抑制作用(活性抑制率;%)を評価した。アリルイソチオシアネート(刺激物質)(5.0μM)と化合物(0.01%)を混合し添加することによるTRPA1活性抑制作用は下記の式により算出した。
〔数1〕
TRPA1活性抑制率(%)=(1−((刺激物質+化合物添加によるRatio)−(刺激物質+化合物添加によるRatio293))/((刺激物質+エタノール添加によるRatio)−(刺激物質+エタノール添加によるRatio293)))×100
(4)TRPA1活性化抑制作用の評価
アリルイソチオシアネート5.0μMによるTRPA1活性化に対する、以下に示す本発明の化合物及び比較化合物(各100μM)及びd−camphor(100μM、500μM、1000μM)のTRPA1活性化抑制効果(活性抑制率)を評価した(表2)
(5)TRPA1活性抑制作用(2)
2,2,4−トリメチル−1−フェニル−3−ペンタノール(化合物10)、t−1−メチル−3−フェニルシクロヘキサノール(化合物11)のTRPA1活性抑制効果について、用量依存性を検証した。
アリルイソチオシアネート10μMによるTRPA1活性化に対する各化合物の効果を測定し(図1)、各化合物のIC50値を表3に示す。その結果、各化合物によるTRPA1活性抑制効果に容量依存性が認められた。
実施例2 ヒト皮膚感覚刺激性低減効果
(1)刺激物質に対する感覚刺激性評価
洗顔後、10分間の馴化を行い、0.02%本発明化合物水溶液(化合物10及び化合物11)約350μlを含ませた3センチ四方のろ紙を頬部に3分間貼付した。その後、ろ紙を取り除き、頬の水分を十分除去した状態で1分間馴化させた。その後、0.4mMアリルイソチオシアネート溶液約200μlを含ませた直径2センチのろ紙を、先ほど0.02%本発明化合物水溶液を含ませたろ紙貼付した範囲に乗せ、測定を開始した。測定開始後、15、30、60、90、120、150、180秒後に下記痛み基準値に従い申告された痛みの程度(強さ)を記録した。
0.0 ;何も感じない
0.5 ;ほんの少し痛い
1.0 ;少し痛い
1.5 ;少し〜多少痛い
2.0 ;多少痛い
2.5 ;多少〜かなり痛い
3.0 ;かなり痛い
各被験者の違和感値の合計値を、Willcoxon(ウィルコクソン)符号順位検定法により検定を行った。結果を図2に示す。
図2より、アリルイソチオシアネートによって違和感(痛み)のスコアの上昇が、本発明によって低減することが示された。

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すか、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成していてもよく、R3及びR4は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し(但し、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合、R3及びR4は共に水素原子を示す)、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R6は水素原子又はアシル基を示し、また、点線と実線の二重線は単結合又は二重結合であり、単結合である場合のみR4が存在することを示す。〕
    で表される化合物(但し、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノールを除く)を有効成分とするTRPA1活性抑制剤。
  2. 下記式(1)
    〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すか、又はR1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成していてもよく、R3及びR4は同一又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し(但し、R1及びR2が一体となりそれらが結合する炭素鎖と共にシクロヘキサン環を形成する場合、R3及びR4は共に水素原子を示す)、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R6は水素原子又はアシル基を示し、また、点線と実線の二重線は単結合又は二重結合であり、単結合である場合のみR4が存在することを示す。〕
    で表される化合物(但し、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノールを除く)を有効成分とする皮膚又は粘膜の刺激感緩和剤。
  3. 防腐剤、防腐助剤、アルコール類及びアンモニアから選ばれる刺激感原因物質による皮膚又は粘膜の感覚刺激を緩和する請求項2記載の刺激感緩和剤。
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