JP5789344B2 - 撮像レンズおよび撮像装置 - Google Patents
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Description
本発明は、撮像レンズおよび撮像装置に関し、より詳しくは、デジタルカメラ、監視用カメラ等の電子カメラに用いられる撮像レンズおよび該撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を記録媒体とするビデオカメラや電子スチルカメラ等の撮像装置に用いられる撮像レンズとしては、例えば特許文献1−3に記載されたものが提案されている。
デジタルカメラ、監視用カメラは近年高画素化が進み、超広角レンズにおいても更なる高解像力が求められている。また、監視用カメラにおいては、夜間監視の目的から、FNo.の小さい、いわゆる明るいレンズが求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の撮像レンズは、球面収差、非点収差の補正が不十分である。また、特許文献2に記載の撮像レンズは、FNo.が4.1と暗い。また、特許文献3に記載の撮像レンズは、倍率色収差の補正が不十分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、FNo.が小さく、諸収差が良好に補正された撮像レンズおよび該レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、第11レンズ群は、4枚の負レンズを少なくとも有するとともに、第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足し、第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、下記条件式(4)を満足することを特徴とする。ただし、νd1n:該当レンズのd線のアッベ数、T12:第12レンズ群の光軸上の厚み、f:全系の焦点距離とする。
70<νd1n …(1)
1.5<T12/f<5 …(4)
本発明の第2の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、第11レンズ群は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズ、物体側から順に負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足し、第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、第2レンズ群の最も物体側のレンズは、少なくとも1面が非球面であることを特徴とする。ただし、νd1n:該当レンズのd線のアッベ数とする。
70<νd1n …(1)
70<νd1n …(1)
1.5<T12/f<5 …(4)
本発明の第2の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、第11レンズ群は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズ、物体側から順に負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足し、第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、第2レンズ群の最も物体側のレンズは、少なくとも1面が非球面であることを特徴とする。ただし、νd1n:該当レンズのd線のアッベ数とする。
70<νd1n …(1)
本発明の撮像レンズにおいて、第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足することが好ましい。ただし、Δνd2c:接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線のアッベ数の差(正レンズのアッベ数−負レンズのアッベ数)とする。
35<Δνd2c …(2)
35<Δνd2c …(2)
また、第2レンズ群は、負レンズと正レンズにより構成され下記条件式を満足する接合レンズを少なくとも2組有することが好ましい。ただし、ΔN2C:接合レンズを構成する負レンズと正レンズのd線の屈折率の差(負レンズの屈折率−正レンズの屈折率)とする。
0.35<ΔN2C …(3)
0.35<ΔN2C …(3)
また、下記条件式を満足することが好ましい。ただし、f1:第1レンズ群の焦点距離、f2:第2レンズ群の焦点距離とする。
−2<f2/f1<0 …(5)
−2<f2/f1<0 …(5)
また、第11レンズ群の最も物体側のレンズは、両面が非球面であることが好ましい。
また、第11レンズ群は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズ、物体側から順に負レンズと正レンズによる接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズからなるものとしてもよい。
また、下記条件式を満足することが好ましい。
80<νd1n …(1−1)
80<νd1n …(1−1)
また、第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足することが好ましい。
40<Δνd2c …(2−1)
40<Δνd2c …(2−1)
また、第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを少なくとも2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足することが好ましい。
0.38<ΔN2C …(3−1)
0.38<ΔN2C …(3−1)
また、第12レンズ群は、下記条件式を満足することが好ましい。
2<T12/f<4.5 …(4−1)
2<T12/f<4.5 …(4−1)
また、下記条件式を満足することが好ましい。
−1.5<f2/f1<0 …(5−1)
−1.5<f2/f1<0 …(5−1)
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明の撮像レンズを備えたことを特徴とするものである。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、第11レンズ群は、4枚の負レンズを少なくとも有するとともに、第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式を満足するものとしたので、FNo.が小さく、諸収差が良好に補正された撮像レンズとすることが可能となる。
70<νd1n …(1)
また、本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えているため、明るく高画質の映像を得ることができる。
また、本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えているため、明るく高画質の映像を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる撮像レンズ(実施例1と共通)のレンズ構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述の実施例1の撮像レンズの構成と共通である。図1においては、左側が物体側、右側が像側である。
この撮像レンズは、光軸Zに沿って、物体側から順に、第1レンズ群G1、開口絞りSt、正の屈折力を有する第2レンズ群G2からなる。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
この撮像レンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置することが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平面板状の光学部材PP1,PP2,PP3を第2レンズ群G2と像面Simとの間に配置した例を示している。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群G11、正の屈折力を有する第12レンズ群G12からなる。
第11レンズ群G11は、4枚の負レンズを少なくとも有するとともに、第11レンズ群G11を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足するように構成されている。ただし、νd1n:該当レンズのd線のアッベ数とする。
70<νd1n …(1)
また、第12レンズ群G12は、負レンズL17と正レンズL18による接合レンズからなる。
また、第12レンズ群G12は、負レンズL17と正レンズL18による接合レンズからなる。
このように、第11レンズ群G11が負、第12レンズ群G12が正、第2レンズ群G2が正のレトロフォーカス構成とすることにより、広角化が容易となる。開口絞りStの前方に正の屈折力の第12レンズ群G12を配することにより、レトロフォーカスで発生しやすい倍率色収差の補正に有利となる。また正の屈折力を第12レンズ群G12と第2レンズ群G2に分散することにより、FNo.を小さくするのに有利である。
また、第11レンズ群G11の負の屈折力を4枚以上の負レンズに分散することで、広角化を維持しつつ、歪曲収差、非点収差の発生を抑えるのに有利である。
さらに条件式(1)を満足することにより、第11レンズ群G11での倍率色収差の発生を最外角まで小さく抑えるのに有利である。
なお、下記条件式(1−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
80<νd1n …(1−1)
本発明の撮像レンズにおいて、第2レンズ群G2は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式(2)を満足することが好ましい。ただし、Δνd2c:接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線のアッベ数の差(正レンズのアッベ数−負レンズのアッベ数)とする。
本発明の撮像レンズにおいて、第2レンズ群G2は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式(2)を満足することが好ましい。ただし、Δνd2c:接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線のアッベ数の差(正レンズのアッベ数−負レンズのアッベ数)とする。
35<Δνd2c …(2)
条件式(2)を満足する接合レンズを開口絞りStの後方に配置することにより、第11レンズ群G11で発生した倍率色収差を打ち消すことができる。また、接合レンズを最も像側から順に隣接して2組配置することにより、低画角の倍率の色収差を抑えながら、最外角の反転後の収差を少なくすることが出来る。
条件式(2)を満足する接合レンズを開口絞りStの後方に配置することにより、第11レンズ群G11で発生した倍率色収差を打ち消すことができる。また、接合レンズを最も像側から順に隣接して2組配置することにより、低画角の倍率の色収差を抑えながら、最外角の反転後の収差を少なくすることが出来る。
なお、下記条件式(2−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
40<Δνd2c …(2−1)
また、第2レンズ群G2は、負レンズと正レンズによる接合レンズを少なくとも2組有し、各々の接合レンズが下記条件式(3)を満足することが好ましい。ただし、ΔN2C:接合レンズを構成する負レンズと正レンズのd線の屈折率の差(負レンズの屈折率−正レンズの屈折率)とする。
また、第2レンズ群G2は、負レンズと正レンズによる接合レンズを少なくとも2組有し、各々の接合レンズが下記条件式(3)を満足することが好ましい。ただし、ΔN2C:接合レンズを構成する負レンズと正レンズのd線の屈折率の差(負レンズの屈折率−正レンズの屈折率)とする。
0.35<ΔN2C …(3)
条件式(3)を満足する接合レンズを配置することにより、第11レンズ群G11内に低分散材料を多用することで発生しやすい補正過剰のペッツバール和を打ち消すことができ、非点収差を押さえつつ像面湾曲を補正するのに有利である。また、球面収差の補正にも有利である。また、接合レンズを少なくとも2組とすることにより、最外角まで非点収差を抑えることができ、高次の球面収差の発生を防ぎ、小さいFNo.を実現しやすくなる。
条件式(3)を満足する接合レンズを配置することにより、第11レンズ群G11内に低分散材料を多用することで発生しやすい補正過剰のペッツバール和を打ち消すことができ、非点収差を押さえつつ像面湾曲を補正するのに有利である。また、球面収差の補正にも有利である。また、接合レンズを少なくとも2組とすることにより、最外角まで非点収差を抑えることができ、高次の球面収差の発生を防ぎ、小さいFNo.を実現しやすくなる。
なお、下記条件式(3−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.38<ΔN2C …(3−1)
また、第12レンズ群G12は、下記条件式(4)を満足することが好ましい。ただし、T12:第12レンズ群G12の光軸上の厚み、f:全系の焦点距離とする。
また、第12レンズ群G12は、下記条件式(4)を満足することが好ましい。ただし、T12:第12レンズ群G12の光軸上の厚み、f:全系の焦点距離とする。
1.5<T12/f<5 …(4)
条件式(4)の下限を下回ると、歪曲収差、非点収差の補正に不利である。逆に条件式(4)の上限を上回ると、第11レンズ群G11が大径化してしまう。
条件式(4)の下限を下回ると、歪曲収差、非点収差の補正に不利である。逆に条件式(4)の上限を上回ると、第11レンズ群G11が大径化してしまう。
なお、下記条件式(4−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
2<T12/f<4.5 …(4−1)
また、下記条件式(5)を満足することが好ましい。ただし、f1:第1レンズ群G1の焦点距離、f2:第2レンズ群G2の焦点距離とする。
また、下記条件式(5)を満足することが好ましい。ただし、f1:第1レンズ群G1の焦点距離、f2:第2レンズ群G2の焦点距離とする。
−2<f2/f1<0 …(5)
条件式(5)の下限を下回ると、球面収差の補正に不利であり、小さいFNo.の実現が難しくなる。逆に条件式(5)の上限を上回ると、必要なバックフォーカスの確保に不利となる。
条件式(5)の下限を下回ると、球面収差の補正に不利であり、小さいFNo.の実現が難しくなる。逆に条件式(5)の上限を上回ると、必要なバックフォーカスの確保に不利となる。
なお、下記条件式(5−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
−1.5<f2/f1<0 …(5−1)
また、第11レンズ群G11の最も物体側のレンズL11は、両面が非球面であることが好ましい。これにより、第11レンズ群G11に強い負の屈折力を与えながらも、歪曲収差をはじめとする諸収差の発生を抑えることができる。
また、第11レンズ群G11の最も物体側のレンズL11は、両面が非球面であることが好ましい。これにより、第11レンズ群G11に強い負の屈折力を与えながらも、歪曲収差をはじめとする諸収差の発生を抑えることができる。
また、第11レンズ群G11は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズL11〜L13、物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16からなるものとしてもよい。(後述の実施例1〜4の態様:図1〜4)
このように、物体側の3枚の負レンズL11〜L13について、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、高次の色収差のコントロールが可能となる。続いて物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16を配することにより、球面収差の補正が容易となる。
このように、物体側の3枚の負レンズL11〜L13について、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、高次の色収差のコントロールが可能となる。続いて物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16を配することにより、球面収差の補正が容易となる。
また、第11レンズ群G11は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズL11〜L13、物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズからなり、第2レンズ群G2の最も物体側のレンズL21は、少なくとも1面が非球面であるものとしてもよい。(後述の実施例5の態様:図5)
このように、物体側の3枚の負レンズL11〜L13について、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、諸収差のコントロールが容易となる。さらに第2レンズ群G2の最も物体側のレンズL21は少なくとも1面が非球面とすることにより、第11レンズ群G11の構成を複雑化することなく球面収差の補正が容易となる。
このように、物体側の3枚の負レンズL11〜L13について、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、諸収差のコントロールが容易となる。さらに第2レンズ群G2の最も物体側のレンズL21は少なくとも1面が非球面とすることにより、第11レンズ群G11の構成を複雑化することなく球面収差の補正が容易となる。
本撮像レンズにおいて、最も物体側に配置される材料としては、具体的にはガラスを用いることが好ましく、あるいは透明なセラミックスを用いてもよい。
また、本撮像レンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コートを施すようにしてもよい。
また、図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PP1,PP2,PP3を配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等をレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。
まず、実施例1の撮像レンズについて説明する。実施例1の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図1に示す。なお、図1および後述の実施例2〜5に対応した図2〜5においては、光学部材PP1,PP2,PP3も合わせて示しており、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
実施例1の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群G1、開口絞りSt、正の屈折力を有する第2レンズ群G2からなる。
第1レンズ群G1は、物体側から順に負の、屈折力を有する第11レンズ群G11、正の屈折力を有する第12レンズ群G12からなり、第11レンズ群G11は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL11、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL12、像側に曲率半径の絶対値の小さい面を向けた両凹レンズL13、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL14と両凸レンズL15による接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16からなり、第12レンズ群G12は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と両凸レンズL18による接合レンズからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と両凸レンズL23による接合レンズ、物体側から順に両凸レンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25による接合レンズからなる。
レンズL13およびレンズL16は、条件式(1)を満足する材料を用いている。
また、レンズL11は両面が非球面で構成されている。これにより、第11レンズ群G11に強い負の屈折力を与えながらも、歪曲収差をはじめとする諸収差の発生を抑えている。非球面度を強くすれば更なる歪曲収差の補正も可能であるが、実効画角を広く取りたいという監視カメラ特有の事情により、補正の程度を抑えている。本発明をデジタルカメラに適用する場合は更に歪曲収差を補正することも可能である。
レンズL11からL13の物体側の3枚の負レンズについて、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、高次の色収差のコントロールが可能となる。続いて物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16を配することにより、球面収差の補正が容易となる。
第12レンズ群G12の接合レンズは接合面が負の屈折力を有しており、球面収差の補正、レトロフォーカス型で補正過剰になりがちなペッツバール和を打ち消す効果がある。
第2レンズ群G2の接合レンズはいずれも接合面が負の屈折力を有しており、球面収差の補正、レトロフォーカス型で補正過剰になりがちなペッツバール和を打ち消す効果がある。いずれも正レンズの方がアッベ数が大きく、軸上色収差、倍率色収差の補正作用を有する。
実施例1の撮像レンズの基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜4についても基本的に同様である。
表1のレンズデータにおいて、Siの欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示す。また、Ndjの欄には最も物体側の光学要素を1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄には同じくj番目の光学要素のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数を示す。
なお、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。
表2の諸元に関するデータに、焦点距離f´、バックフォーカスBF´、F値FNo.および全画角2ωの値を示す。
基本レンズデータおよび諸元に関するデータに関するデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表3の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号Siと、これら非球面に関する非球面係数を示す。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数KA、Am(m=3、4、5、…20)の値である。
Zd=C・h2/{1+(1−KA・C2・h2)1/2}+ΣAm・hm …(A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数(m=3、4、5、…20)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数(m=3、4、5、…20)
実施例1の撮像レンズの各収差図を図6(A)〜(D)に示す。図6(A)〜(D)はそれぞれ球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。
球面収差、非点収差、歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図にはd線(波長587.6nm)、C線(波長656.3nm)、F線(波長486.1nm)、g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、点線で示す。非点収差図にはサジタル方向、タンジェンシャル方向の収差をそれぞれ実線と破線で示す。倍率色収差図にはC線(波長656.3nm)、F線(波長486.1nm)についての収差をそれぞれ長破線、短破線で示す。なお、球面収差図のFno.はF値、その他の収差図のωは半画角を意味する。
次に、実施例2の撮像レンズについて説明する。実施例2の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図2に示す。
実施例2の撮像レンズは、実施例1とほぼ同等の構成であり、効果も同様であるが、レンズL12とレンズL13に条件式(1)を満足する材料を用いた点が異なっている。低分散材料を用いた位置は異なるが、2枚の負レンズに低分散材料を用いることで、同様の目的を達成している。
次に、実施例3の撮像レンズについて説明する。実施例3の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図3に示す。
実施例3の撮像レンズは、実施例2とほぼ同等の構成であり、効果も同様であるが、レンズL11およびレンズL14が物体側に絶対値の小さい曲率半径の面を向けた両凹レンズである点が異なっている。レンズL11は両凹レンズであるが、物体側の面の曲率半径の絶対値が大きいため、メニスカスの場合と大きな効果の差は無い。また、レンズL14が物体側に絶対値の小さい曲率半径の面を向けた両凹レンズとすることで、ある程度の屈折力を持ちながら、高次の球面収差の発生を抑えやすい。なお、レンズL15との接合面の曲率半径の絶対値が大きいため、実施例1および実施例2に見られる効果は小さい。
次に、実施例4の撮像レンズについて説明する。実施例4の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図4に示す。
実施例4の撮像レンズは、第1レンズ群G1については実施例2と同様の構成であり、効果も同様であるが、第2レンズ群G2の最も物体側に、実施例2のレンズL21の代わりに、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と両凸レンズL22による接合レンズを配した点が異なっている。これにより、軸上色収差の補正に有利となる。続くレンズL23とレンズL24による接合レンズ、レンズL25とレンズL26による接合レンズの効果は他の実施例と同様である。
次に、実施例5の撮像レンズについて説明する。実施例5の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図5に示す。
実施例5の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ群G1、開口絞りSt、正の屈折力を有する第2レンズ群G2からなる。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群G11、正の屈折力を有する第12レンズ群G12からなり、第11レンズ群G11は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL11、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL12、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい面を向けた両凹レンズL13、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL14と両凸レンズL15による接合レンズからなり、第12レンズ群G12は、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16と両凸レンズL17による接合レンズからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と両凸レンズL23による接合レンズ、物体側から順に両凸レンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25による接合レンズからなる。
レンズL13およびレンズL14は、条件式(1)を満足する材料を用いている。
また、レンズL11は両面が非球面で構成されている。これにより、第11レンズ群G11に強い負の屈折力を与えながらも、歪曲収差をはじめとする諸収差の発生を抑え、本発明をデジタルカメラに適用可能にしている。
レンズL11からレンズL13の物体側の3枚の負レンズについて、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けることにより、歪曲収差、非点収差の補正に有利である。続いて物体側から順に負レンズL14と正レンズL15による接合レンズを配することにより、高次収差のコントロールが可能となる。
第12レンズ群G12の接合レンズは接合面が負の屈折力を有しており、球面収差の補正、レトロフォーカス型で補正過剰になりがちなペッツバール和を打ち消す効果がある。
第2レンズ群G2のレンズL21は両面が非球面で構成されている。これにより、球面収差の補正効果があり、実施例1のレンズL16を省くことに成功している。
第2レンズ群G2の接合レンズはいずれも接合面が負の屈折力を有しており、球面収差の補正、レトロフォーカス型で補正過剰になりがちなペッツバール和を打ち消す効果がある。いずれも正レンズの方がアッベ数が大きく、軸上色収差、倍率色収差の補正作用を有する。
以上のデータから、実施例1〜5の撮像レンズは全て、条件式(1)〜(5)を満たしており、明るく、また諸収差が良好に補正された撮像レンズであることが分かる。
次に、本発明の実施形態にかかる撮像装置について説明する。図11に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態の撮像レンズを用いた撮像装置の概略構成図を示す。なお、図11では各レンズ群を概略的に示している。この撮像装置としては、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を記録媒体とするビデオカメラや電子スチルカメラ等を挙げることができる。
図11に示す撮像装置10は、撮像レンズ1と、撮像レンズ1の像側に配置されたローパスフィルタ等の機能を有するフィルタ6と、フィルタ6の像側に配置された撮像素子7と、信号処理回路8とを備えている。撮像素子7は撮像レンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、撮像素子7としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子7は、その撮像面が撮像レンズ1の像面に一致するように配置される。
撮像レンズ1により撮像された像は撮像素子7の撮像面上に結像し、その像に関する撮像素子7からの出力信号が信号処理回路8にて演算処理され、表示装置9に像が表示される。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
Claims (13)
- 物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、
前記第11レンズ群は、4枚の負レンズを少なくとも有するとともに、該第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足し、
前記第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、下記条件式(4)を満足する
ことを特徴とする撮像レンズ。
70<νd1n …(1)
1.5<T12/f<5 …(4)
ただし、
νd1n:該当レンズのd線のアッベ数
T12:前記第12レンズ群の光軸上の厚み
f:全系の焦点距離
とする。 - 物体側から順に、第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群からなり、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負の屈折力を有する第11レンズ群、正の屈折力を有する第12レンズ群からなり、
前記第11レンズ群は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズ、物体側から順に負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、該第11レンズ群を構成する負レンズのうちの少なくとも2枚の負レンズが下記条件式(1)を満足し、
前記第12レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズからなり、
前記第2レンズ群の最も物体側のレンズは、少なくとも1面が非球面である
ことを特徴とする撮像レンズ。
70<νd1n …(1)
ただし、
νd1n:該当レンズのd線のアッベ数
とする。 - 前記第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
35<Δνd2c …(2)
ただし、
Δνd2c:接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線のアッベ数の差(正レンズのアッベ数−負レンズのアッベ数)
とする。 - 前記第2レンズ群は、負レンズと正レンズにより構成され下記条件式を満足する接合レンズを少なくとも2組有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
0.35<ΔN2C …(3)
ただし、
ΔN2C:接合レンズを構成する負レンズと正レンズのd線の屈折率の差(負レンズの屈折率−正レンズの屈折率)
とする。 - 下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
−2<f2/f1<0 …(5)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
とする。 - 前記第11レンズ群の最も物体側のレンズは、両面が非球面である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。 - 前記第11レンズ群は、物体側から順に、像側に物体側よりも曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた3枚の負レンズ、物体側から順に負レンズと正レンズによる接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズからなる
ことを特徴とする請求項1、3から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。 - 下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の撮像レンズ。
80<νd1n …(1−1) - 前記第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを最も像側から順に隣接して2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の撮像レンズ。
40<Δνd2c …(2−1)
ただし、
Δνd2c:接合レンズを構成する正レンズと負レンズのd線のアッベ数の差(正レンズのアッベ数−負レンズのアッベ数)
とする。 - 前記第2レンズ群は、負レンズと正レンズによる接合レンズを少なくとも2組有し、各々の接合レンズが下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の撮像レンズ。
0.38<ΔN2C …(3−1)
ただし、
ΔN2C:接合レンズを構成する負レンズと正レンズのd線の屈折率の差(負レンズの屈折率−正レンズの屈折率)
とする。 - 前記第12レンズ群は、下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の撮像レンズ。
2<T12/f<4.5 …(4−1)
ただし、
T12:前記第12レンズ群の光軸上の厚み
f:全系の焦点距離
とする。 - 下記条件式を満足する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の撮像レンズ。
−1.5<f2/f1<0 …(5−1)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
とする。 - 請求項1から12のいずれか1項記載の撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
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