JP5787214B2 - 電子写真用キャリアの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真用現像剤の構成材料であるキャリア粒子を製造する電子写真用キャリアの製造方法に関するものである
複写機、プリンタ、ファクシミリ等に用いられる電子写真方式の画像形成装置において、現像剤は最終的に画像を可視化するという重要な役割を担っており、その技術開発は大変活発である。中でも、現在主流となっている乾式二成分現像剤は、キャリアと呼ばれる磁性粒子とトナーと呼ばれる着色剤を含有する樹脂微粒子とを含んで構成される。
キャリアは、芯材の表面に、抵抗調整や帯電性付与、耐久性向上を目的とした薄い樹脂層を設けた磁性粉であり、芯材に対するコート液の分散、コーティング、焼成・解砕といった工程を経て製造される。
キャリアの製造方法における焼成工程では、電気炉やロータリーキルンなどの焼成機が使用されている(特許文献1等)。
しかし、これらの焼成機はヒーターを加熱させ、この加熱したヒーターにより空気を昇温させ、この昇温した空気によりキャリア粒子を昇温させている。このように、熱伝導率の低い空気を介しての間接的な昇温のため、エネルギー効率が低く、エネルギー原単位(単位重量当たりの製造に要するエネルギー[kWh/kg])が大きくなるのが実情である。
そこで、このような問題を解決するために、キャリアの製造方法における焼成工程に高周波誘導加熱を用いることが検討されている。
高周波誘導加熱は、電磁誘導現象を利用した金属の加熱方法であり、キャリアの焼成においては、渦電流損およびヒステリシス損と呼ばれる、二つの鉄損を生じ、導体からなるキャリアの芯材の温度上昇がする。
渦電流損は、高周波電流が流れる、導線より発生する磁力線によって芯材に渦電流が流れ、電気抵抗を持つ芯材に渦電流が流れることによりその電力分のジュール熱が発生する鉄損である。
一方、ヒステリシス損は、コイルに高周波電流を流したとき、芯材の中に生じる磁束がヒステリシス現象を起こした時に熱が発生する鉄損である。
高周波誘導加熱では、このような二つの鉄損から生じた熱によって芯材が加熱されることで、被覆膜中の残留溶剤の乾燥や、樹脂の加熱処理を行っている。そのため、芯材一粒ずつを、空気のような媒体を介さずに直接発熱させることができるため、エネルギー原単位が非常に小さい焼成法として期待されている。
しかしながら、高周波誘導加熱装置の利用には、電圧、電流、周波数について制限を受けることが考えられる。以下、この制限について説明する。
図16は、高周波誘導加熱装置が備える共振LCR回路の回路図である。
図16に示す共振LCR回路において、
Vc=Q×V
(Vc:コンデンサの耐電圧、V:電源電圧)
の関係が成り立ち、
さらに、
Figure 0005787214
(R:抵抗、L:インダクダンス、C:コンデンサ容量)
の関係が成り立つ。
上記「Vc」の式に上記「Q」の式を代入すると、
Figure 0005787214
と言う関係が成り立つ。
この式を整理すると、電源電圧は、
V=Vc・R・(C/L)0.5 ・・・・(1)
(V:電源電圧、Vc:コンデンサの耐電圧、R:抵抗、C:コンデンサ容量、L:インダクタンス)
のような式で表される。
誘導加熱では、コイルに電流が流れることで形成される磁界の強度が強いほど、単位時間あたりにキャリアに付与する熱量を大きくして生産力を上げることができる。この磁界の強度はコイルの単位長さ当たりの巻数と電流とに比例する。決まった抵抗(R)及び決まったインダクタンス(L)を持つ回路に流れる電流の値を大きくするには、電源電圧(V)を大きくする必要がある。また、上記(1)式の関係より、決まったインダクタンス(L)を持つコイルを用いて、決まった抵抗(R)を持つキャリアを焼成するときに、電源電圧(V)を大きくしようとすると、コンデンサの耐電圧(Vc)、およびコンデンサ容量(C)を大きくする必要がある。しかし、利用できるコンデンサの耐電圧及び容量はともに範囲が制限されているため、電源電圧(V)の大きさが制限されてしまう。
また一般的に電流はI=V/R(I:回路電流、V:電源電圧、R:回路抵抗)のような式で表されるため、電源電圧(V)が制限されることで、回路電流(I)も制限されると判断される。
また、共振回路における電流の周波数は、
f=1/2π[1/(L・C)]0.5 ・・・・(2)
(f:周波数、L:インダクタンス、C:コンデンサ容量)
のような式で表される。
電流の周波数が高いほど加熱対象である導体に生じる誘導電流の浸透深さは浅くなり、キャリア粒子のように小さなものは電流の周波数が高いほど効率良く加熱を行うことができる。しかし、上記(2)式より、決まったインダクタンス(L)を持つコイルを用いて焼成する時、電流の周波数(f)を上げるためにはコンデンサ容量(C)を小さくすることを考えなければならないが、利用できるコンデンサ容量(C)の範囲には制限が存在する。更に、上記(1)式で示すように、コンデンサ容量(C)を小さくすると電源電圧(V)も下がってしまうため、一概に焼成効率を上げるために有効とは言えず、周波数(f)に関しても制限が存在することが判っている。その上、高周波誘導加熱装置には定格周波数が決まっており、この範囲外の周波数では装置を構成する高周波発振器を発振させることができなくなるといった制限も存在する。
一方、上記(2)式から、インダクタンス(L)を小さくすることで、コンデンサ容量(C)の制限を受けることなく電源電圧(V)や電流の周波数(f)を大きくすることが可能であることが明らかである。ここで、インダクタンス(L)を小さくするための有効な手段として、コイルの巻数を少なくすることが挙げられる。しかしながら、磁界の強度はコイルの単位長さ当たりの巻数と電流とに比例する。このため、単位長さ当たりの巻き数を維持したままコイルの巻き数を少なくすると、コイルの長さが短くなり、加熱を行うことができる領域が狭くなる。一方、コイルの長さを維持したまま巻数を少なくすると、一定量のキャリアを焼成するために必要な電力はむしろ大きくなってしまい、エネルギー原単位が悪くなってしまうことが予想される。
このように、高周波誘導加熱装置によるキャリアの焼成においては、電源電圧(V)、回路電流(I)、周波数(f)が制限を受け、装置を構成する高周波発振器の発振能力を十分に引き出せず、生産能力が低く、エネルギー原単位が悪くなってしまうという課題がある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、生産能力が高く、エネルギー原単位が低い、電子写真用キャリアの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくとも、芯材と該芯材の表面に形成された被覆材料層とからなる電子写真用キャリアの製造方法において、上記芯材に上記被覆材料層の被覆材料を被覆する被覆工程と、被覆された材料を加熱処理する焼成工程とを含み、該焼成工程は、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路に交流電流を流すことで、向き及び強度が変化する磁力線を発生させる誘導加熱装置によって上記芯材を誘導加熱し、該芯材を被覆する上記被覆材料を昇温する加熱処理を行う工程であり、該誘導加熱装置は、該コイル回路を並列に複数配置した構造であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の電子写真用キャリアの製造方法において、複数配置された上記コイル回路の並列方法が、一つのコイル回路のコイル形状と他のコイル回路のコイル形状とが一巻ごとに交互に並ぶ交互並列、または、一つのコイル回路のコイル形状の端部に他のコイル回路のコイル形状が連続的に並ぶ連結並列であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の電子写真用キャリアの製造方法において、一つのコイル回路と他のコイル回路とで上記コイル形状の巻き数が異なることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真用キャリアの製造方法において、一つのコイル回路と他のコイル回路とで、コイル回路の交流電流を流す電源が異なり、異なる電源から流れる電流の周波数が同位相であることを特徴とするものである
本発明においては、焼成工程で、誘導加熱によって加熱処理を行っているため、芯材一粒ずつを、空気のような媒体を介さずに直接発熱させることができるため、従来の焼成機を使用した焼成工程に比べて効率的に加熱を行うことができる。
さらに、本発明においては、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路を並列に複数配置した構造の誘導加熱装置を用いている。表1を用いて後述する本発明者らの実験の結果、コイル回路を直列に配置した誘導加熱装置に比べて、コイル回路を並列に配置した誘導加熱装置の方が、電子写真用キャリアの製造の生産能力を高めることができ、さらに、エネルギー原単位が低くなることがわかった。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
コイルの単位長さ当たりの巻き数がnで、全体の巻き数を2Nとした場合、巻き数2Nのコイルを直列に配置した場合と、巻き数Nのコイルを二つ並列で配置した場合とを考える。単位長さ当たりの巻き数と全体の巻き数とが同じであるため、加熱を行うことができる領域の広さは直列と並列とでは差異はない。一方、並列に配置することで、コイルの抵抗やインダクタンスの総和が小さくなり、ある大きさの電源電圧に対する電流の値が直列の場合よりも大きくなる。磁界の強度はコイルの単位長さ当たりの巻数と電流とに比例し、コイルの単位長さ当たりの巻数が同じであれば、電流の値が大きくなる並列に配置することで、生産能力を高くすることができると考えられる。
さらに、並列に配置することによって、上記(2)式のインダクタンス(L)の値が小さなり、電流の周波数(f)が高くなって、キャリア粒子のように小さなものを効率良く加熱を行うことができるため、エネルギー原単位を低くすることができると考えられる。
本発明によれば、焼成工程にコイル形状を含む導線を備えるコイル回路を並列に複数配置した構造の誘導加熱装置を用いることにより、電子写真用キャリアの製造における生産能力を高め、エネルギー原単位が低くすることができるという優れた効果がある。
本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法における焼成工程の模式図。 本実施形態に係る複写機の構成を説明する概略構成図。 プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図。 2つの電源にそれぞれ接続されている2つのコイル回路を、一列に並べて物理的に並列させた誘導加熱装置の模式図。 複数のコイル回路を並列に配置する方法の説明図、(a)は、交互並列、(b)は連結並列。 実施例1の誘導加熱装置の模式図。 実施例2の誘導加熱装置の模式図。 実施例3の誘導加熱装置の模式図。 実施例4の誘導加熱装置の模式図。 実施例5の誘導加熱装置の模式図。 実施例6の誘導加熱装置の模式図。 実施例7の誘導加熱装置の模式図。 実施例8の誘導加熱装置の模式図。 比較例1の誘導加熱装置の模式図。 比較例2の誘導加熱装置の模式図。 高周波誘導加熱装置が備える共振LCR回路の回路図
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図2は、複写機500の構成を説明する概略構成図である。
図2に示すように、複写機500は、原稿を搬送する原稿搬送装置(ADF)101と、原稿の画像を読み取るためのスキャナ部102と、スキャナ部102で取得された画像データを基に画像形成を行う画像形成部103と、画像形成部103に記録媒体たる転写紙を給紙する給紙部4とを備えている。
図2に示すように、画像形成部103は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色のトナー像を形成する四つのプロセスユニット110(K,M,C,Y)を備えている。図中の符号の添字K,M,C,Yはブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色をそれぞれ示す。
図3は、四つのプロセスユニット110(K,M,C,Y)のうちの一つの説明図であり、四つのプロセスユニット110(K,M,C,Y)は、使用するトナーの色が異なる点以外は、略同一の構成であるため、図3では、各色を示す添字は省略している。また、以下の説明においても、各色を示す添字は適宜省略して説明する。
四つのプロセスユニット110は、それぞれ各色のトナー像を担持する感光体11を備えている。これら各感光体11の周囲には、帯電装置12や、現像装置13、感光体クリーニング装置14等を備えている。帯電装置12は、各感光体11表面を一様に帯電し、現像装置13は、各感光体11表面に形成される静電潜像を現像する。感光体クリーニング装置14は、トナー像転写後の各感光体11表面をクリーニングする。
プロセスユニット110は、図3に示すように、感光体11の周囲に配設される各種装置(12、13、14等)とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するプロセスカートリッジであり、画像形成部103本体に対して、感光体11と各種装置とを一体的に着脱可能になっている。
また、画像形成部103は、帯電装置12によって一様に帯電された各感光体11の表面に、画像情報に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書込装置30を備えている。光書込装置30は、レーザ光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、所定の露光位置において画像データに基づき回転駆動されている各感光体11の表面にレーザ光を主走査方向に走査しながら照射する。
また、画像形成部103は、各感光体11の表面上に形成されたトナー画像を転写紙に転写する転写ユニット20、転写紙上のトナー像を定着せしめる定着装置150等備えている。
転写ユニット20は、複数の張架ローラ(211、212、213)により張架されて図中矢印方向に回転駆動する中間転写ベルト21を備えている。中間転写ユニット20は、四つの感光体11と、所定の電圧が印加される四つの一次転写ローラ23との間に中間転写ベルト21を挟み込んで一次転写ニップを形成する。また、中間転写ユニット20は二次転写バックアップローラ211と所定の電圧が印加される二次転写ローラ25の間に中間転写ベルト21を挟み込んで二次転写ニップを形成している。さらに、中間転写ユニット20は、中間転写ベルト21上に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置22等も備えている。
四つのプロセスユニット110に組み込まれた四つの現像装置13には、異なる色のトナーがそれぞれ負帯電状態でキャリアと共に二成分現像剤として収容されている。現像装置13には、感光体11と対向し、その内部に配置された磁界発生手段によって表面に現像剤を担持する現像スリーブ132が配置されている。また、現像装置13には、内部に収容する二成分現像剤と、不図示のトナーボトルから投入されるトナーとを混合し、撹拌しながら搬送する二つのスクリュ部材(133、134)を備える。現像スリーブ132は、感光体11と対向する位置で動方向に表面移動するように回転しながら、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤をその表面に汲み上げ、担持搬送して、感光体11の表面上の潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。
感光体11上に形成された各色トナー像は、一次転写ニップで中間転写ベルト21に順次重ね合わされて転写される。各色トナー像が重ね合わせて転写されることで中間転写ベルト21上に形成された四色トナー像は、二次転写ニップで転写紙に一括転写されることになる。二次転写ニップを通過後に中間転写ベルト9上に残留する転写残トナーは、クリーニング装置22により除去される。
転写ユニット20の図中下方には、定着装置150、紙搬送ユニット24、レジストローラ対144等を備えている。紙搬送ユニット24は、二次転写ローラ25と定着装置150との間に無端状の紙搬送ベルトを掛け渡して無端移動させる。レジストローラ対144は、後述する給紙部4により供給された転写紙をローラ間に挟み込み、中間転写ベルト21上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで転写紙を二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップを通過してフルカラー画像が転写された転写紙は、中間転写ベルト21から離間して、紙搬送ユニット24により定着装置150へと搬送される。定着装置150に搬送された転写紙は、定着装置150内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置150から排紙ローラ対147に送られた後、排紙トレイ148へと排出される。
画像形成部103の図中下方には、両面搬送部32を備えている。両面搬送部32は、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙を、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えて反転させ、再び二次転写ニップに進入させる。
給紙部4は、転写紙を複数枚重ねた紙束の状態で収容する給紙カセット40を多段備え、各給紙カセット40内の一番上の転写紙に給紙ローラ142を押し当てている。選択された給紙ローラ142が回転駆動せしめられると、一番上の転写紙が分離ローラで分離されて1枚ずつ給紙路141に向けて送り出される。この給紙路141に送り出された転写紙は、複数の搬送ローラ対143を経て画像形成ユニット1内の給紙路に導かれ、レジストローラ対144のローラ間に挟み込まれる。
このように構成される画像形成部103において、次のように画像形成が行われる。
例えばブラック用のプロセスユニット110Kでは、帯電装置12Kにより一様に帯電された感光体11Kの表面に、光書込装置30で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体11K上の静電潜像は、現像装置13Kで現像されてブラック色のトナー画像となる。中間転写ベルト21を挟んで一次転写ローラ23Kに対向する一次転写ニップでは、感光体11K上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された後の感光体11Kの表面は、感光体クリーニング装置14Kでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
他のプロセスユニット110(M,C,Y)についても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト9の移動に同期して実行される。一方、給紙カセット31から給送された転写紙は、レジストローラ対144により所定のタイミングで送り出されて二次転写ニップに搬送される。または、画像形成部103の側面に設置された手差しトレイ145から給紙された転写紙は、給紙ローラによって手差し給紙路内に繰り出され、レジストローラ146により所定のタイミングで送り出されて二次転写ニップに搬送される。そして、二次転写ニップでフルカラー画像が一括転写された転写紙は、紙搬送ユニット24によって搬送されて定着装置150でトナー像が定着される。
転写紙の第一面だけに画像を形成する片面プリントモードの場合には、排紙ローラ対147のローラ間の排紙ニップに挟み込まれた転写紙がそのまま機外に排出されて排紙トレイ148上にスタックされる。転写紙の両面に画像を形成する両面プリントモードの場合には、排紙ローラ対147に挟み込まれた転写紙が逆方向に戻されて、両面搬送部32に進入する。そして、両面搬送部32内で上下反転せしめられた後、再び二次転写ニップに送られて、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排出ローラ147により排紙トレイ148上に排出される。トナー像転写後の中間転写ベルト21は、ベルトクリーニング装置22により残留トナーが除去され、プロセスユニット110による再度の画像形成に備える。
上述した作像動作は、四色重ね合わせのフルカラーモードの場合の動作である。一方、白黒画像形成モードの場合には、中間転写ベルト21の張架ローラのうち、二次転写バックアップローラ211以外の一つの張架ローラ(212または213)を移動させて、感光体11(Y,M,C)を中間転写ベルト21から離間させ、中間転写ベルト21にKトナー像の形成のみを行ってもよい。
次に本実施形態の複写機500で用いる二成分現像剤に含有される電子写真用キャリアの製造方法について説明する。
図1は、本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法における焼成工程を模式的に示した図面である。
本実施形態の焼成工程では、被覆材料2によって被覆された芯材1を加熱することによって、芯材1の表面上に被覆層が形成されたキャリア10の粒子を作成する。
高周波誘導加熱によって加熱処理を行う誘導加熱装置100は、電源である高周波発振器3ニ接続された導線が途中で分岐し、複数のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を並列に配置した構成となっている。
なお、図1では、第二コイル回路42を破線で示しているが、これは、図面上で第二コイル回路42が第一コイル回路41と重なるためであり、第二コイル回路42と第一コイル回路41とは特に差異のないコイル回路である。
高周波誘導加熱におけるキャリアの温度上昇は渦電流損およびヒステリシス損と呼ばれる二つの鉄損によるものである。
この内、渦電流損がキャリアに与えられるエネルギーの大きさは、
=k(tfB/ρ
(P:渦電流損=エネルギー、t:芯材の厚さ、f:周波数、B:最大磁束密度、ρ:磁性体である芯材の抵抗率、k:比例定数)
と表される。
また、電流の周波数は上記(2)の通り表されるため、コイルの並列化によって上記(2)式のインダクタンス(L)の値が小さくなり、電流の周波数(f)が高くなって、キャリアへ与えるエネルギーを大きくすることができる。
一方、ヒステリシスによる損失であるヒステリシス損は、キャリアを中心に配置したコイルに高周波電流を流した時、キャリアの中に生じる磁束がヒステリシス現象を起こした時に発生する熱であり、キャリアへ与えられるエネルギーはPh=η・Bm1.6・f・V(Ph:ヒステリシス損=エネルギー、η:ヒステリシス係数、Bm:最大磁束密度、f:周波数、V:芯材体積)のような式で表される。
また、電流の周波数は上記(2)の通り、
f=1/2π[1/(L・C)]0.5
(f:周波数、L:インダクタンス、C:コンデンサ容量)
のような式で表される。
このため、並列化によって回路全体のインダクタンスを小さくすることで、定格周波数付近の周波数を効率的に利用した焼成が可能であり、ヒステリシス損における、キャリアへ与えられるエネルギーも大きくすることができる。
本実施形態における高周波誘導加熱とは、一般的に高周波誘導加熱、誘導加熱、電磁誘導加熱、IH(Induction Heating)等と呼ばれる加熱方法のことで、加熱原理は前述のとおりであり、電気を流す物質に対しては、媒体を介さず直接物質を発熱させることができるため、エネルギー効率が非常に高い事が特徴として挙げられる。そして、高周波誘導加熱に使える金属としては、電気を通す物質であれば特に制限はないが、電気抵抗がある程度大きな金属でないと加熱効果が低くなる。
図1では、高周波発振器3から供給される高周波電流を、第一コイル回路41及び第二コイル回路42に流して、交番磁場を発生させ、この磁場によって被覆材料2を被覆した芯材1が繰り返し磁化されることにより発熱し、この熱によって被覆材料2を熱処理させる。
本発明を適用したコイル回路を並列に複数配置した構造としては、必ずしもコイル回路が共通の電源に接続された構造に限るものではない。例えば、図4に示すように、異なる電源(第一高周波発振器3a、第二高周波発振器3b)にそれぞれ接続されている複数のコイル回路(第一コイル回路41、第二コイル回路42)を、一列に並べて物理的に並列させる構造も本発明に含まれる。
また、複数のコイル回路を並列に配置する方法としては、図5(a)に示す交互並列や、図5(b)に示す連結並列としてもよい。
図5(a)に示す交互並列は、第一コイル回路41のコイル部分と、第二コイル回路42のコイル部分とが一巻ごとに交互に配置したものである。一方、図5(b)に示す連結並列は、コイル部同士を重ねるような配置は行わず、コイル回路毎に独立して配置したものである。
複数のコイル回路を並列に配置する方法としては、交互並列や連結並列を選択することで、良好な加工精度を得ることが可能であり、高周波発振器3の能力を引き出すために好ましい。
また、複数のコイル回路を並列に配置する方法としては、複数のコイル回路毎に、コイル部の巻き数を異ならせてもよい。このように、並列に配置されたコイル回路毎にコイル部の巻き数を任意に変更することによって、インダクタンスを任意に調整することができるため、定格周波数の上限に近い周波数領域での焼成が可能である。一般的に、コイル回路毎のコイル部の巻き数の差が大きいほど、誘導加熱装置100を構成する回路全体のコイルの巻き数に対する回路全体の抵抗の値は小さくなり、生産量およびエネルギー原単位の改善に好ましい。
また、コイル回路のそれぞれに高周波発振器3から印加される電流の周波数が同位相であることが、以下の理由により好ましい。
すなわち、図4に示すように、複数の高周波発振器3を一列に並べて並列構造を構成したときに、各々のコイル回路に流れる電流の周波数の位相差が大きくなるにつれ、周波数特性の干渉の度合いも大きくなり、位相差が180[°]になった時点で完全に打ち消しあう。そのため、2つのコイル回路に印加される電流が同位相であることは、生産量およびエネルギー原単位の改善に好ましい。
本実施形態に芯材1に付与する被覆材料2を構成する樹脂は、一般的に電子写真用キャリアに用いられるものであれば特に限定はない。例えば、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。また、被覆樹脂は、1種類を単独で用いても、複数で用いても良いし、変性タイプにして使用しても良い。
本実施形態の芯材としては、二成分現像剤に用いられる電子写真用キャリアの芯材として公知のもの、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト、コバルト、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、Mn−Mgフェライト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、等キャリアの用途、使用目的に合わせて適宜選択して用いればよく、ここで例示したものに限るものではない。
次に本発明を適用可能な電子写真用キャリアの製造方法の一例を述べる。
以下に記載する方法は数あるキャリアの製造方法の一例に過ぎず、本発明の電子写真用キャリアの製造方法は以下の例示された方法に限定されるものではない。
まず、電子写真用キャリアの製造方法の大きな流れは、以下に記す通りである。
[原材料計量工程]⇒[被覆液分散工程]⇒[被覆層コーティング工程]⇒[焼成工程]⇒[解砕工程]
すなわち、「原材料計量工程」で所望の割合に原材料を計量したものを、「被覆液分散工程」として分散機により分散処理を行う。ここで用いる分散機としては、一般に用いられる分散機であれば何でも良く、例えばホモミキサー、羽根回転型分散機(エバラマイルダー、キャビトロン、等)、ビーズミル等が挙げられ、原材料処方に適した分散機を適宜用いれば良い。
こうして得た分散液を被覆材料2として、芯材1の表面へコーティング装置により被覆を行う「被覆層コーティング工程」を行う。ここで用いるコーティング装置としては、一般に用いられるコーティング装置であれば何でも良く、例えばスプレーを用いた転動流動層や、分散液中に芯材を浸漬させ溶媒を乾燥させる方法などが挙げられる。
そして、このコーティングがされた粒子の被覆層を乾燥や熱処理を進めるため、「焼成工程」を行う。最後に、「解砕工程」として、焼成により凝集した粒子を解すため解砕を行う。
ここで用いる解砕装置としては、粒子が1粒に解れれば何でも良いが、一般的には篩装置を用いることが多く、例えば、振動篩や超音波振動篩等が挙げられる。更に、この篩装置を用いる場合には、粒子の凝集を解すだけではなく、粗大粒子の除去や異物の除去も同時に行うことも可能となるため、非常に効率が良い。
このようにして得られた粒子が、本発明における電子写真用キャリアの粒子であるが、ここではその製造方法の1つを例示しただけであり、本発明における製造方法は、ここに記した内容に限定するものではない。
また、上述した電子写真用キャリアは、電子写真用トナーと混合されることで電子写真用現像剤を構成する。
電子写真用トナーとは、モノクロトナー、カラートナー、フルカラートナーを問わず、一般的にいうトナーを用いることができる。例えば、従来用いられている混練粉砕型のトナーや、近年用いられるようになってきた多種の重合トナーなどが挙げられる。
さらに、離型剤を含有するトナー、いわゆるオイルレストナーも用いることができる。一般的に、オイルレストナーは離型剤を含有するため、この離型剤がキャリア表面に移行するいわゆるスペントが生じやすいが、上述した製造方法によって製造された電子写真用キャリアは、耐スペント性が優れているため、長期にわたり良好な品質を維持できる。特にオイルレスフルカラートナーにおいては、結着樹脂が軟らかいため一般的にスペントし易いと言われるが、上述した製造方法で製造された電子写真用キャリアは、オイルレスフルカラートナーを含有する電子写真用現像剤に用いるのに非常に向いていると言える。
上述した電子写真用トナーに用いる結着樹脂としては、公知のものが使用できる。例えばポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独であるいは混合して使用できる。
さらに、圧力定着用結着樹脂としては、公知のものを混合して使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂などが単独あるいは混合して使用でき、これらに限られるものではない。
また、上述した電子写真用トナーには、上述した結着樹脂、着色剤、帯電制御剤の他に、定着助剤を含有することもできる。これにより、定着ロールにトナー固着防止用オイルを塗布しない定着システム、いわゆるオイルレスシステムにおいても使用できる。定着助剤としては、公知のものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が使用でき、これらに限られるものではない。
電子写真用トナー等のトナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用でき、ここで挙げるものに限らない。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、等がある。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩
アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
また、これら着色剤は1種または2種以上を使用することができる。
電子写真用トナーには必要に応じ帯電制御剤をトナー中に含有させることができる。例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報参照)、塩基性染料(例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.BasicRed 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、べンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクローラーイド、デシルトリメチルクローラーイド、等の4級アンモニウム塩、或いはジブチル又はジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう帯電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
外添剤については、シリカや酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機微粒子や樹脂微粒子を母体トナー粒子に外添することにより転写性、耐久性をさらに向上させている。転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すこととトナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することによりこの効果が得られる。これらの無機微粒子はその表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。樹脂微粒子としては、ソープフリー乳化重合法により得られた平均粒径0.05〜1[μm]程度のポリメチルメタクリレートやポリスチレン微粒子が好適に用いられる。
さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。前記の無機微粒子と併用して、比表面積20〜50[m/g]のシリカや平均粒径がトナーの平均粒径の1/100〜1/8である樹脂微粒子のように従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。
これはトナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
上述した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニューム系カップリング剤も使用可能である。この他、クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪酸金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
また、電子写真用トナーの製造には粉砕法、重合法など従来公知の方法が適用できる。例えば粉砕法の場合、トナーを混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられる。
以上により得られた溶融混練物は冷却した後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。粉砕は、平均粒径が3〜15[μm]になるように行うのが望ましい。さらに、粉砕物は風力式分級機等により、5〜20[μm]に粒度調整されることが好ましい。
次いで、外添剤の母体トナーへ外添が行われるが、母体トナーと外添剤をミキサー類によって混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固に母体トナーに付着させることが耐久性の点で重要である。以上はあくまでも例でありこれに限るものではない。
〔実験例〕
次に、本発明を適用した電子写真用キャリアの製造方法について、生産性とエネルギー原単位とを確認した実験例について説明する。
以下、本実験例における本発明を適用した製造方法の各実施例と、本発明を適用したものとは異なる製造方法の各比較例の条件について説明する。
〔実施例1〕
実施例1の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
まず、「原材料計量工程」として、以下に示す材料を計量し、「被覆液分散工程」として、分散機であるホモミキサーで10分間分散して、被覆層形成用溶液(被覆材料2)を調製した。
・アクリル樹脂溶液(固形分率:50[質量%]) 70[質量部]
・グアナミン溶液(固形分率:70[質量%]) 20[質量部]
・酸性触媒(固形分率:40[質量%]) 1[質量部]
・シリコン樹脂溶液(固形分率:20[質量%]) 350[質量部]
・アミノシラン(固形分率:100[質量%]) 5[質量部]
・導電処理酸化チタン粒子(表面:ITO処理、1次粒子径:50[nm]、体積固有抵抗:1.0×10[Ω・cm]) 165[質量部]
・トルエン 700[質量部]
次に、芯材粒子として平均粒径が35[μm]の焼成フェライト粉[DFC−400M(Mnフェライト、DOWAIP、クリエイション株式会社製)]を用い、「被覆層コーティング工程」として、上記被覆膜形成溶液を芯材粒子表面に膜厚0.3[μm]になるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度60[℃]で塗布し乾燥した。
得られたコーティング後のキャリアを加熱する「焼成工程」では、図6に示すような誘導加熱装置100を用いて加熱を行う。5巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置している。そして、二個のコイル回路全体で10巻となった直線状のコイル部のコイル内側の中空内にキャリアを搬送する筒を配置した。そして、二個のコイル回路に高周波誘導電流を流し、品温160[℃]の焼成を行った。なお、コイル部を構成する導線は肉厚が1[mm]で、外径が6[mm]、内径が4[mm]の中空状の銅線である。導線に高周波誘導電流が流れることにより導線が昇温するため、この熱を冷却させるために導線内部の中空部に冷却水を流した。また、高周波誘導電流の発振器には、AMBRELL製のEASYHEAT(10[kW])型を用いた。
このような焼成を行ったキャリアを冷却後、「解砕工程」として、目開き63[μm]の篩を用いて解砕し、帯電量が35.8[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア1』を得た。
実施例1の電子写真用トナーの製造方法について以下に説明する。
まず、トナーの材料の処方を以下に示す。
・結着樹脂:ポリエステル樹脂 100[質量部]
・離型剤:カルナウバワックス 5[質量部]
・帯電制御剤:E−84[オリエント化学工業社製] 1[質量部]
・着色剤:C.I.P.Y.180 8[質量部]
上記材料のうち、着色剤、結着樹脂及び純水を、1:1:0.5の割合で混合し、2本ロールの混練器によって混練した。混練を70[℃]で行い、その後ロール温度を120[℃]まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作成した。
こうして得たマスターバッチを使用して、上記処方と同じになるように材料を計量し、ヘンシェルミキサーにより混合し、2本ロールの混練器によって120[℃]で40分の溶融混練した。この混練で得た生成物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、エアージェット粉砕機で微粉砕し得られた微粉末を分級して重量平均粒径5[μm]のトナー母体粒子を作った。
さらに、このトナー母体100[質量部]に対し、表面を疎水化処理したシリカを1[質量部]、表面を疎水化処理した酸化チタンを1[質量部]添加し、ヘンシェルミキサーで混合することでイエロートナーである『トナー1』を得た。
こうして得た『トナー1』が7[質量部]と『キャリア1』が93[質量部]とを混合攪拌し、トナー濃度7wt%の電子写真用現像剤を調製した。
〔実施例2〕
実施例2の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例2では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図7に示すように、一巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア2』を得た。こうして得た『キャリア2』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例3〕
実施例3の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例3では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図8に示すように、15巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア3』を得た。こうして得た『キャリア3』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例4〕
実施例4の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例4では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図9に示すように、2巻のコイル部を備えた五つのコイル回路(第一コイル回路41〜第五コイル回路45)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.5[−μc/g]、体積固有抵抗が14.4の『キャリア4』を得た。こうして得た『キャリア4』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例5〕
実施例5の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例5では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図10に示すように、1巻のコイル部を備えた10個のコイル回路(第一コイル回路41〜第十コイル回路50)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア5』を得た。こうして得た『キャリア5』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例6〕
実施例6の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例6では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図11に示すように、5巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を交互並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア6』を得た。こうして得た『キャリア6』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例7〕
実施例7の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例7では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図12に示すように、3巻のコイル部を備えた第一コイル回路41と、7巻のコイル部を備えた第二コイル回路42とを連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.0[−μc/g]、体積固有抵抗が14.1の『キャリア7』を得た。こうして得た『キャリア7』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例8〕
実施例8の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例8では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図13に示すように、1巻のコイル部を備えた第一コイル回路41と、9巻のコイル部を備えた第二コイル回路42とを連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.2[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア8』を得た。こうして得た『キャリア8』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔実施例9〕
実施例9の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例9では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図4に示すように、5巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置し、二個のコイル回路のそれぞれに異なる電源(第一高周波発振器3a及び第二高周波発振器3b)を接続し、各電源から印加される電流の周波数の位相を90[°]ずらした誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.1の『キャリア9』を得た。こうして得た『キャリア9』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔比較例1〕
比較例1の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
比較例1では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図14に示すように、10巻のコイル部を備えた一つのコイル回路である直列コイル回路40を備えた誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア10』を得た。こうして得た『キャリア10』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
〔比較例2〕
比較例2の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
比較例2では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図15に示すように、3巻のコイル部を備えた一つのコイル回路である直列コイル回路40を備えた誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.2[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア11』を得た。こうして得た『キャリア11』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
本実験例の実施例1〜9及び比較例1〜2で調製された電子写真用現像剤を使用して、生産量およびエネルギー原単位の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005787214
表1における評価項目に関する測定方法及び評価方法を以下に示す。
<生産量の判断基準>
キャリアが160[℃]において安定焼成が可能である搬送速度で、連続搬送を行い、その生産量が250[kg/h]以上で「◎」、175〜250[kg/h]で「○」、175〜100[kg/h]で「△」、100[kg/h]未満を「×」として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
<エネルギー原単位判断基準>
印加された電力と前述したキャリアの生産量との比であるエネルギー原単位が0.008[kWh/kg]未満で「◎」、0.008〜0.02[kWh/kg]で「○」、0.02〜0.03[kWh/kg]で「△」、0.03[kWh/kg]以上を「×」として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
<帯電量測定方法>
帯電量は、キャリアが93[重量%]に対しトナーが7[重量%]の割合で混合し一定条件で摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル(株)製、TB−200)にて測定した値をいう。
<体積固有抵抗測定方法>
体積固有抵抗は、ギャップ2[mm]を隔てた平行電極間にキャリアを投入しタッピングした後、両電極間にDC1000[V]を印加し、30[sec]後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換して求めた。
以上、本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法では、少なくとも、導体の芯材1と芯材1の表面に形成された被覆材料層とからなるキャリア10を製造する製造方法であって、芯材1に被覆材料層の被覆材料2を被覆する被覆工程である被覆層コーティング工程と、被覆された材料を加熱処理する焼成工程とを含む。そして、焼成工程は、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路(41及び42)に交流電流を流すことで、向き及び強度が変化する磁力線を発生させる誘導加熱装置100によって芯材1を誘導加熱し、芯材1を被覆する被覆材料2を昇温する加熱処理を行う工程である。誘導加熱によって加熱処理を行っているため、芯材一粒ずつを、空気のような媒体を介さずに直接発熱させることができるため、従来の焼成機を使用した焼成工程に比べて効率的に加熱を行うことができる。さらに、誘導加熱装置100は、第一コイル回路41と第二コイル回路42とを並列に配置した構造であるため、コイル回路を直列に配置した比較例1や比較例2の誘導加熱装置に比べて、電子写真用キャリアの製造の生産能力を高めることができ、さらに、エネルギー原単位が低くなる。
また、第一コイル回路41と第二コイル回路42との並列方法が、図5(a)に示すように、一つのコイル回路のコイル形状と他のコイル回路のコイル形状とが一巻ごとに交互に並ぶ交互並列、または、図5(b)に示すように、一つのコイル回路のコイル形状の端部に他のコイル回路のコイル形状が連続的に並ぶ連結並列であることにより、並列配置であるものの装置全体のコイル部を一列にならんだ構造をもたせることができる。また、交互連結または連結並列とすることで、他の並列配置よりも製作し易く、加工精度が高くなる。加工精度が高いということは、磁界を効率的に発生することと結びつき、エネルギー原単位の低下に有利である。
また、図12や図13で示すように、第一コイル回路41と第二コイル回路42とでコイル形状の巻き数が異なる構造としてもよい。並列に配置されたコイル回路毎にコイル部の巻き数を任意に変更することによって、インダクタンスを任意に調整することができるため、定格周波数の上限に近い周波数領域での焼成が可能である。一般的に、コイル回路毎のコイル部の巻き数の差が大きいほど、誘導加熱装置100を構成する回路全体のコイルの巻き数に対する回路全体の抵抗の値は小さくなり、生産量およびエネルギー原単位の改善に好ましい。
また、図4で示すように、第一コイル回路41と第二コイル回路42とで、コイル回路の交流電流を流す電源(3a及び3b)が異なる誘導加熱装置100の場合は、各電源から流れる電流の周波数が同位相であることが望ましい。これにより、各々のコイル回路に流れる電流の周波数の位相差による周波数特性の干渉の度合いを抑制できる。
また、本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法によって製造された電子写真用キャリアであれば、所望の帯電量と体積固有抵抗を得ることができる。
また、トナー粉体とキャリア粉体との混合によって得られる電子写真用現像剤のキャリア粉体として、本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法によって製造された電子写真用キャリアを用いることにより、撹拌した際にトナーを良好に帯電させる二成分現像剤を実現することができる。
また、上述した本実施形態の複写機500は、静電潜像担持体である感光体11と、感光体11上に形成された静電潜像を二成分現像剤により現像し可視像を形成する現像手段である現像装置13とを少なくとも有し、複写機500本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとしてのプロセスユニット110を備える。このようなプロセスユニット110において、現像装置13で用いる二成分現像剤が、上述した電子写真用キャリアの製造方法によって製造された電子写真用キャリアを含有する電子写真用現像剤であることにより、良好に帯電したトナーを現像に用いることができる。
また、複写機500は、静電潜像を担持する静電潜像担持体である感光体11と、感光体11上に静電潜像を形成する露光手段である光書込装置30と、静電潜像を二成分現像剤により現像して可視像を形成する現像手段である現像装置13と、可視像を記録媒体である転写紙に転写する転写手段である転写ユニット20と、転写紙に転写された転写像であるトナー像を定着させる定着手段である定着装置150とを有する画像形成装置である。このような複写機500において、現像装置13で用いる二成分現像剤が、上述した電子写真用キャリアの製造方法によって製造された電子写真用キャリアを含有する電子写真用現像剤であることにより、良好に帯電したトナーを現像に用いることができ、高品質の画像形成を行うことができる。
1 芯材
2 被覆材料
3 高周波発振器
3a 第一高周波発振器
3b 第二高周波発振器
10 キャリア
11 感光体
13 現像装置
40 コイル回路
41 第一コイル回路
42 第二コイル回路
100 誘導加熱装置
110 プロセスユニット
103 画像形成部
500 複写機
特開2010−282168号公報 特開2001−185338号公報 特開2005−059379号公報 特開2009−109676号公報 特開平05−341579号公報 特開平07−120967号公報 特開平09−080951号公報

Claims (4)

  1. 少なくとも、芯材と該芯材の表面に形成された被覆材料層とからなる電子写真用キャリアの製造方法において、
    上記芯材に上記被覆材料層の被覆材料を被覆する被覆工程と、被覆された材料を加熱処理する焼成工程とを含み、
    該焼成工程は、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路に交流電流を流すことで、向き及び強度が変化する磁力線を発生させる誘導加熱装置によって上記芯材を誘導加熱し、該芯材を被覆する上記被覆材料を昇温する加熱処理を行う工程であり、
    該誘導加熱装置は、該コイル回路を並列に複数配置した構造であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
  2. 請求項1の電子写真用キャリアの製造方法において、
    複数配置された上記コイル回路の並列方法が、一つのコイル回路のコイル形状と他のコイル回路のコイル形状とが一巻ごとに交互に並ぶ交互並列、または、一つのコイル回路のコイル形状の端部に他のコイル回路のコイル形状が連続的に並ぶ連結並列であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
  3. 請求項1または2の電子写真用キャリアの製造方法において、
    一つのコイル回路と他のコイル回路とで上記コイル形状の巻き数が異なることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真用キャリアの製造方法において、
    一つのコイル回路と他のコイル回路とで、コイル回路の交流電流を流す電源が異なり、異なる電源から流れる電流の周波数が同位相であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法
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