JP5787214B2 - 電子写真用キャリアの製造方法 - Google Patents
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Description
キャリアは、芯材の表面に、抵抗調整や帯電性付与、耐久性向上を目的とした薄い樹脂層を設けた磁性粉であり、芯材に対するコート液の分散、コーティング、焼成・解砕といった工程を経て製造される。
そこで、このような問題を解決するために、キャリアの製造方法における焼成工程に高周波誘導加熱を用いることが検討されている。
渦電流損は、高周波電流が流れる、導線より発生する磁力線によって芯材に渦電流が流れ、電気抵抗を持つ芯材に渦電流が流れることによりその電力分のジュール熱が発生する鉄損である。
一方、ヒステリシス損は、コイルに高周波電流を流したとき、芯材の中に生じる磁束がヒステリシス現象を起こした時に熱が発生する鉄損である。
高周波誘導加熱では、このような二つの鉄損から生じた熱によって芯材が加熱されることで、被覆膜中の残留溶剤の乾燥や、樹脂の加熱処理を行っている。そのため、芯材一粒ずつを、空気のような媒体を介さずに直接発熱させることができるため、エネルギー原単位が非常に小さい焼成法として期待されている。
図16は、高周波誘導加熱装置が備える共振LCR回路の回路図である。
図16に示す共振LCR回路において、
Vc=Q×V
(Vc:コンデンサの耐電圧、V:電源電圧)
の関係が成り立ち、
さらに、
の関係が成り立つ。
上記「Vc」の式に上記「Q」の式を代入すると、
この式を整理すると、電源電圧は、
V=Vc・R・(C/L)0.5 ・・・・(1)
(V:電源電圧、Vc:コンデンサの耐電圧、R:抵抗、C:コンデンサ容量、L:インダクタンス)
のような式で表される。
また、共振回路における電流の周波数は、
f=1/2π[1/(L・C)]0.5 ・・・・(2)
(f:周波数、L:インダクタンス、C:コンデンサ容量)
のような式で表される。
電流の周波数が高いほど加熱対象である導体に生じる誘導電流の浸透深さは浅くなり、キャリア粒子のように小さなものは電流の周波数が高いほど効率良く加熱を行うことができる。しかし、上記(2)式より、決まったインダクタンス(L)を持つコイルを用いて焼成する時、電流の周波数(f)を上げるためにはコンデンサ容量(C)を小さくすることを考えなければならないが、利用できるコンデンサ容量(C)の範囲には制限が存在する。更に、上記(1)式で示すように、コンデンサ容量(C)を小さくすると電源電圧(V)も下がってしまうため、一概に焼成効率を上げるために有効とは言えず、周波数(f)に関しても制限が存在することが判っている。その上、高周波誘導加熱装置には定格周波数が決まっており、この範囲外の周波数では装置を構成する高周波発振器を発振させることができなくなるといった制限も存在する。
このように、高周波誘導加熱装置によるキャリアの焼成においては、電源電圧(V)、回路電流(I)、周波数(f)が制限を受け、装置を構成する高周波発振器の発振能力を十分に引き出せず、生産能力が低く、エネルギー原単位が悪くなってしまうという課題がある。
また、請求項2の発明は、請求項1の電子写真用キャリアの製造方法において、複数配置された上記コイル回路の並列方法が、一つのコイル回路のコイル形状と他のコイル回路のコイル形状とが一巻ごとに交互に並ぶ交互並列、または、一つのコイル回路のコイル形状の端部に他のコイル回路のコイル形状が連続的に並ぶ連結並列であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の電子写真用キャリアの製造方法において、一つのコイル回路と他のコイル回路とで上記コイル形状の巻き数が異なることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真用キャリアの製造方法において、一つのコイル回路と他のコイル回路とで、コイル回路の交流電流を流す電源が異なり、異なる電源から流れる電流の周波数が同位相であることを特徴とするものである。
さらに、本発明においては、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路を並列に複数配置した構造の誘導加熱装置を用いている。表1を用いて後述する本発明者らの実験の結果、コイル回路を直列に配置した誘導加熱装置に比べて、コイル回路を並列に配置した誘導加熱装置の方が、電子写真用キャリアの製造の生産能力を高めることができ、さらに、エネルギー原単位が低くなることがわかった。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
コイルの単位長さ当たりの巻き数がnで、全体の巻き数を2Nとした場合、巻き数2Nのコイルを直列に配置した場合と、巻き数Nのコイルを二つ並列で配置した場合とを考える。単位長さ当たりの巻き数と全体の巻き数とが同じであるため、加熱を行うことができる領域の広さは直列と並列とでは差異はない。一方、並列に配置することで、コイルの抵抗やインダクタンスの総和が小さくなり、ある大きさの電源電圧に対する電流の値が直列の場合よりも大きくなる。磁界の強度はコイルの単位長さ当たりの巻数と電流とに比例し、コイルの単位長さ当たりの巻数が同じであれば、電流の値が大きくなる並列に配置することで、生産能力を高くすることができると考えられる。
さらに、並列に配置することによって、上記(2)式のインダクタンス(L)の値が小さなり、電流の周波数(f)が高くなって、キャリア粒子のように小さなものを効率良く加熱を行うことができるため、エネルギー原単位を低くすることができると考えられる。
図2は、複写機500の構成を説明する概略構成図である。
図2に示すように、複写機500は、原稿を搬送する原稿搬送装置(ADF)101と、原稿の画像を読み取るためのスキャナ部102と、スキャナ部102で取得された画像データを基に画像形成を行う画像形成部103と、画像形成部103に記録媒体たる転写紙を給紙する給紙部4とを備えている。
図3は、四つのプロセスユニット110(K,M,C,Y)のうちの一つの説明図であり、四つのプロセスユニット110(K,M,C,Y)は、使用するトナーの色が異なる点以外は、略同一の構成であるため、図3では、各色を示す添字は省略している。また、以下の説明においても、各色を示す添字は適宜省略して説明する。
プロセスユニット110は、図3に示すように、感光体11の周囲に配設される各種装置(12、13、14等)とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するプロセスカートリッジであり、画像形成部103本体に対して、感光体11と各種装置とを一体的に着脱可能になっている。
例えばブラック用のプロセスユニット110Kでは、帯電装置12Kにより一様に帯電された感光体11Kの表面に、光書込装置30で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体11K上の静電潜像は、現像装置13Kで現像されてブラック色のトナー画像となる。中間転写ベルト21を挟んで一次転写ローラ23Kに対向する一次転写ニップでは、感光体11K上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された後の感光体11Kの表面は、感光体クリーニング装置14Kでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
図1は、本実施形態の電子写真用キャリアの製造方法における焼成工程を模式的に示した図面である。
本実施形態の焼成工程では、被覆材料2によって被覆された芯材1を加熱することによって、芯材1の表面上に被覆層が形成されたキャリア10の粒子を作成する。
高周波誘導加熱によって加熱処理を行う誘導加熱装置100は、電源である高周波発振器3ニ接続された導線が途中で分岐し、複数のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を並列に配置した構成となっている。
なお、図1では、第二コイル回路42を破線で示しているが、これは、図面上で第二コイル回路42が第一コイル回路41と重なるためであり、第二コイル回路42と第一コイル回路41とは特に差異のないコイル回路である。
この内、渦電流損がキャリアに与えられるエネルギーの大きさは、
Pe=ke(tfBm)2/ρ
(Pe:渦電流損=エネルギー、t:芯材の厚さ、f:周波数、Bm:最大磁束密度、ρ:磁性体である芯材の抵抗率、ke:比例定数)
と表される。
また、電流の周波数は上記(2)の通り表されるため、コイルの並列化によって上記(2)式のインダクタンス(L)の値が小さくなり、電流の周波数(f)が高くなって、キャリアへ与えるエネルギーを大きくすることができる。
また、電流の周波数は上記(2)の通り、
f=1/2π[1/(L・C)]0.5
(f:周波数、L:インダクタンス、C:コンデンサ容量)
のような式で表される。
このため、並列化によって回路全体のインダクタンスを小さくすることで、定格周波数付近の周波数を効率的に利用した焼成が可能であり、ヒステリシス損における、キャリアへ与えられるエネルギーも大きくすることができる。
本発明を適用したコイル回路を並列に複数配置した構造としては、必ずしもコイル回路が共通の電源に接続された構造に限るものではない。例えば、図4に示すように、異なる電源(第一高周波発振器3a、第二高周波発振器3b)にそれぞれ接続されている複数のコイル回路(第一コイル回路41、第二コイル回路42)を、一列に並べて物理的に並列させる構造も本発明に含まれる。
図5(a)に示す交互並列は、第一コイル回路41のコイル部分と、第二コイル回路42のコイル部分とが一巻ごとに交互に配置したものである。一方、図5(b)に示す連結並列は、コイル部同士を重ねるような配置は行わず、コイル回路毎に独立して配置したものである。
複数のコイル回路を並列に配置する方法としては、交互並列や連結並列を選択することで、良好な加工精度を得ることが可能であり、高周波発振器3の能力を引き出すために好ましい。
すなわち、図4に示すように、複数の高周波発振器3を一列に並べて並列構造を構成したときに、各々のコイル回路に流れる電流の周波数の位相差が大きくなるにつれ、周波数特性の干渉の度合いも大きくなり、位相差が180[°]になった時点で完全に打ち消しあう。そのため、2つのコイル回路に印加される電流が同位相であることは、生産量およびエネルギー原単位の改善に好ましい。
本実施形態の芯材としては、二成分現像剤に用いられる電子写真用キャリアの芯材として公知のもの、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト、コバルト、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、Mn−Mgフェライト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、等キャリアの用途、使用目的に合わせて適宜選択して用いればよく、ここで例示したものに限るものではない。
以下に記載する方法は数あるキャリアの製造方法の一例に過ぎず、本発明の電子写真用キャリアの製造方法は以下の例示された方法に限定されるものではない。
まず、電子写真用キャリアの製造方法の大きな流れは、以下に記す通りである。
[原材料計量工程]⇒[被覆液分散工程]⇒[被覆層コーティング工程]⇒[焼成工程]⇒[解砕工程]
こうして得た分散液を被覆材料2として、芯材1の表面へコーティング装置により被覆を行う「被覆層コーティング工程」を行う。ここで用いるコーティング装置としては、一般に用いられるコーティング装置であれば何でも良く、例えばスプレーを用いた転動流動層や、分散液中に芯材を浸漬させ溶媒を乾燥させる方法などが挙げられる。
そして、このコーティングがされた粒子の被覆層を乾燥や熱処理を進めるため、「焼成工程」を行う。最後に、「解砕工程」として、焼成により凝集した粒子を解すため解砕を行う。
ここで用いる解砕装置としては、粒子が1粒に解れれば何でも良いが、一般的には篩装置を用いることが多く、例えば、振動篩や超音波振動篩等が挙げられる。更に、この篩装置を用いる場合には、粒子の凝集を解すだけではなく、粗大粒子の除去や異物の除去も同時に行うことも可能となるため、非常に効率が良い。
このようにして得られた粒子が、本発明における電子写真用キャリアの粒子であるが、ここではその製造方法の1つを例示しただけであり、本発明における製造方法は、ここに記した内容に限定するものではない。
電子写真用トナーとは、モノクロトナー、カラートナー、フルカラートナーを問わず、一般的にいうトナーを用いることができる。例えば、従来用いられている混練粉砕型のトナーや、近年用いられるようになってきた多種の重合トナーなどが挙げられる。
さらに、離型剤を含有するトナー、いわゆるオイルレストナーも用いることができる。一般的に、オイルレストナーは離型剤を含有するため、この離型剤がキャリア表面に移行するいわゆるスペントが生じやすいが、上述した製造方法によって製造された電子写真用キャリアは、耐スペント性が優れているため、長期にわたり良好な品質を維持できる。特にオイルレスフルカラートナーにおいては、結着樹脂が軟らかいため一般的にスペントし易いと言われるが、上述した製造方法で製造された電子写真用キャリアは、オイルレスフルカラートナーを含有する電子写真用現像剤に用いるのに非常に向いていると言える。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、等がある。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩
アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
また、これら着色剤は1種または2種以上を使用することができる。
さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。前記の無機微粒子と併用して、比表面積20〜50[m2/g]のシリカや平均粒径がトナーの平均粒径の1/100〜1/8である樹脂微粒子のように従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。
これはトナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニューム系カップリング剤も使用可能である。この他、クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪酸金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
以上により得られた溶融混練物は冷却した後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。粉砕は、平均粒径が3〜15[μm]になるように行うのが望ましい。さらに、粉砕物は風力式分級機等により、5〜20[μm]に粒度調整されることが好ましい。
次いで、外添剤の母体トナーへ外添が行われるが、母体トナーと外添剤をミキサー類によって混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固に母体トナーに付着させることが耐久性の点で重要である。以上はあくまでも例でありこれに限るものではない。
次に、本発明を適用した電子写真用キャリアの製造方法について、生産性とエネルギー原単位とを確認した実験例について説明する。
以下、本実験例における本発明を適用した製造方法の各実施例と、本発明を適用したものとは異なる製造方法の各比較例の条件について説明する。
実施例1の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
まず、「原材料計量工程」として、以下に示す材料を計量し、「被覆液分散工程」として、分散機であるホモミキサーで10分間分散して、被覆層形成用溶液(被覆材料2)を調製した。
・アクリル樹脂溶液(固形分率:50[質量%]) 70[質量部]
・グアナミン溶液(固形分率:70[質量%]) 20[質量部]
・酸性触媒(固形分率:40[質量%]) 1[質量部]
・シリコン樹脂溶液(固形分率:20[質量%]) 350[質量部]
・アミノシラン(固形分率:100[質量%]) 5[質量部]
・導電処理酸化チタン粒子(表面:ITO処理、1次粒子径:50[nm]、体積固有抵抗:1.0×102[Ω・cm]) 165[質量部]
・トルエン 700[質量部]
このような焼成を行ったキャリアを冷却後、「解砕工程」として、目開き63[μm]の篩を用いて解砕し、帯電量が35.8[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア1』を得た。
まず、トナーの材料の処方を以下に示す。
・結着樹脂:ポリエステル樹脂 100[質量部]
・離型剤:カルナウバワックス 5[質量部]
・帯電制御剤:E−84[オリエント化学工業社製] 1[質量部]
・着色剤:C.I.P.Y.180 8[質量部]
上記材料のうち、着色剤、結着樹脂及び純水を、1:1:0.5の割合で混合し、2本ロールの混練器によって混練した。混練を70[℃]で行い、その後ロール温度を120[℃]まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作成した。
こうして得たマスターバッチを使用して、上記処方と同じになるように材料を計量し、ヘンシェルミキサーにより混合し、2本ロールの混練器によって120[℃]で40分の溶融混練した。この混練で得た生成物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、エアージェット粉砕機で微粉砕し得られた微粉末を分級して重量平均粒径5[μm]のトナー母体粒子を作った。
さらに、このトナー母体100[質量部]に対し、表面を疎水化処理したシリカを1[質量部]、表面を疎水化処理した酸化チタンを1[質量部]添加し、ヘンシェルミキサーで混合することでイエロートナーである『トナー1』を得た。
こうして得た『トナー1』が7[質量部]と『キャリア1』が93[質量部]とを混合攪拌し、トナー濃度7[wt%]の電子写真用現像剤を調製した。
実施例2の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例2では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図7に示すように、一巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア2』を得た。こうして得た『キャリア2』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例3の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例3では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図8に示すように、15巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア3』を得た。こうして得た『キャリア3』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例4の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例4では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図9に示すように、2巻のコイル部を備えた五つのコイル回路(第一コイル回路41〜第五コイル回路45)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.5[−μc/g]、体積固有抵抗が14.4の『キャリア4』を得た。こうして得た『キャリア4』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例5の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例5では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図10に示すように、1巻のコイル部を備えた10個のコイル回路(第一コイル回路41〜第十コイル回路50)を連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.4[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア5』を得た。こうして得た『キャリア5』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例6の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例6では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図11に示すように、5巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を交互並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア6』を得た。こうして得た『キャリア6』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例7の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例7では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図12に示すように、3巻のコイル部を備えた第一コイル回路41と、7巻のコイル部を備えた第二コイル回路42とを連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.0[−μc/g]、体積固有抵抗が14.1の『キャリア7』を得た。こうして得た『キャリア7』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例8の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例8では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図13に示すように、1巻のコイル部を備えた第一コイル回路41と、9巻のコイル部を備えた第二コイル回路42とを連結並列で配置した誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.2[−μc/g]、体積固有抵抗が14.2の『キャリア8』を得た。こうして得た『キャリア8』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
実施例9の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
実施例9では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図4に示すように、5巻のコイル部を備えた二個のコイル回路(第一コイル回路41及び第二コイル回路42)を連結並列で配置し、二個のコイル回路のそれぞれに異なる電源(第一高周波発振器3a及び第二高周波発振器3b)を接続し、各電源から印加される電流の周波数の位相を90[°]ずらした誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が36.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.1の『キャリア9』を得た。こうして得た『キャリア9』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
比較例1の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
比較例1では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図14に示すように、10巻のコイル部を備えた一つのコイル回路である直列コイル回路40を備えた誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.6[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア10』を得た。こうして得た『キャリア10』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
比較例2の電子写真用キャリアの製造方法について以下に説明する。
比較例2では、「焼成工程」で用いる誘導加熱装置100として、図15に示すように、3巻のコイル部を備えた一つのコイル回路である直列コイル回路40を備えた誘導加熱装置100を用いる点以外は、実施例1と同様である。
これにより、帯電量が35.2[−μc/g]、体積固有抵抗が14.3の『キャリア11』を得た。こうして得た『キャリア11』と上述した『トナー1』とを用いて、実施例1と同様の方法により電子写真用現像剤を調整した。
<生産量の判断基準>
キャリアが160[℃]において安定焼成が可能である搬送速度で、連続搬送を行い、その生産量が250[kg/h]以上で「◎」、175〜250[kg/h]で「○」、175〜100[kg/h]で「△」、100[kg/h]未満を「×」として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
<エネルギー原単位判断基準>
印加された電力と前述したキャリアの生産量との比であるエネルギー原単位が0.008[kWh/kg]未満で「◎」、0.008〜0.02[kWh/kg]で「○」、0.02〜0.03[kWh/kg]で「△」、0.03[kWh/kg]以上を「×」として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
<帯電量測定方法>
帯電量は、キャリアが93[重量%]に対しトナーが7[重量%]の割合で混合し一定条件で摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル(株)製、TB−200)にて測定した値をいう。
<体積固有抵抗測定方法>
体積固有抵抗は、ギャップ2[mm]を隔てた平行電極間にキャリアを投入しタッピングした後、両電極間にDC1000[V]を印加し、30[sec]後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換して求めた。
2 被覆材料
3 高周波発振器
3a 第一高周波発振器
3b 第二高周波発振器
10 キャリア
11 感光体
13 現像装置
40 コイル回路
41 第一コイル回路
42 第二コイル回路
100 誘導加熱装置
110 プロセスユニット
103 画像形成部
500 複写機
Claims (4)
- 少なくとも、芯材と該芯材の表面に形成された被覆材料層とからなる電子写真用キャリアの製造方法において、
上記芯材に上記被覆材料層の被覆材料を被覆する被覆工程と、被覆された材料を加熱処理する焼成工程とを含み、
該焼成工程は、コイル形状を含む導線を備えるコイル回路に交流電流を流すことで、向き及び強度が変化する磁力線を発生させる誘導加熱装置によって上記芯材を誘導加熱し、該芯材を被覆する上記被覆材料を昇温する加熱処理を行う工程であり、
該誘導加熱装置は、該コイル回路を並列に複数配置した構造であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。 - 請求項1の電子写真用キャリアの製造方法において、
複数配置された上記コイル回路の並列方法が、一つのコイル回路のコイル形状と他のコイル回路のコイル形状とが一巻ごとに交互に並ぶ交互並列、または、一つのコイル回路のコイル形状の端部に他のコイル回路のコイル形状が連続的に並ぶ連結並列であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。 - 請求項1または2の電子写真用キャリアの製造方法において、
一つのコイル回路と他のコイル回路とで上記コイル形状の巻き数が異なることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真用キャリアの製造方法において、
一つのコイル回路と他のコイル回路とで、コイル回路の交流電流を流す電源が異なり、異なる電源から流れる電流の周波数が同位相であることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
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