JP2009109676A - 定着装置、画像形成装置およびコイル部材 - Google Patents

定着装置、画像形成装置およびコイル部材 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルの巻数を増やすに際して、コイルを流れる電流量の低下を抑制する。
【解決手段】電磁誘導加熱されて発熱する定着ベルトと、定着ベルトに形成された導電層と交差する交流磁界を生成する励磁コイルとを備え、励磁コイルは、合同な多辺形からなる断面形状を有する複数の導線が束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成される。
【選択図】図8

Description

本発明は、定着装置、画像形成装置およびコイル部材に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置として、トナー像を熱溶融させて用紙に定着する発熱部材を電磁誘導により加熱するものが知られている。このような電磁誘導加熱方式の定着装置では、発熱部材を例えば200℃程度の高温に加熱するため、発熱部材を電磁誘導加熱するコイルには、大きな磁界を生成する能力が求められる。その場合に、コイルで生成される磁界の大きさは、コイルを流れる電流と単位長さ当たりのコイルの巻数との積に比例する。そのため、単位長さ当たりのコイルの巻数を大きくすることが効果的である。
例えば特許文献1には、コイル導線の縦段数を3段と2段とで交互に変えながら巻き回し、熱および圧力を与えて隣接するコイル導線を接着することで、誘導加熱コイルの空間体積に対するコイル導線の割合を90%以上として、同様の外径でコイルの巻数を増やす技術が記載されている。
特開2004−171928号公報
ここで一般に、単位長さ当たりのコイル(磁界生成部材)の巻数を増加させると、コイルの自己インダクタンスが大きくなり、コイルの抵抗値が増大する。そのため、コイルの巻数の増加は、他方ではコイルを流れる電流量を低下させ、生成される磁界を減少させる要因を生み出すことともなる。
本発明は、磁界生成部材での断面積に占める導線領域の比率を高めながら磁界生成部材を流れる電流量の低下を抑制して、大きな磁界を生成することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、導電層が形成され、当該導電層が電磁誘導加熱されて発熱する発熱部材と、前記発熱部材に形成された前記導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材とを備え、前記磁界生成部材は、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたことを特徴とする定着装置である。
請求項2に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が角部が曲線からなる前記多辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項3に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が相互に合同な前記多辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項4に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が三辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項5に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が正三辺形であることを特徴とする請求項4記載の定着装置である。
請求項6に記載の発明は、前記磁界生成部材は、当該磁界生成部材を前記発熱部材に対して所定の位置に設定する位置設定面が形成された位置設定部材に支持されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項7に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記発熱部材の外周面側と内周面側との双方に備えられたことを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項8に記載の発明は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、前記定着手段は、導電層が形成され、当該導電層が電磁誘導加熱されて発熱する発熱部材と、前記発熱部材に形成された前記導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材とを備え、前記磁界生成部材は、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面が角部が曲線からなる前記多辺形で形成されたことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面形状が相互に合同な前記多辺形であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面形状が三辺形であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記定着手段は、前記磁界生成部材が前記発熱部材の外周面側と内周面側との双方に備えられたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、非磁性体からなる支持体と、前記支持体に支持され、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたコイルとを備えたことを特徴とするコイル部材である。
本発明の請求項1によれば、磁界生成部材での断面積に占める導線領域の比率を高めながら磁界生成部材を流れる電流量の低下を抑制し、本発明を採用しない場合に比べて、大きな磁界を生成することができる。
本発明の請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、断面形状が多辺形からなる導線の製造が容易となる。
本発明の請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、磁界生成部材での断面積に占める導線領域の比率を高めることができる。
本発明の請求項4によれば、表皮効果による導線の表層での交流電流が流れる通電領域の面積を多辺形の中で最も大きくすることができ、本発明を採用しない場合に比べて、電流の低下を抑制する効果を高めることができる。
本発明の請求項5によれば、表皮効果による導線の表層での交流電流が流れる通電領域の面積を三辺形の中で最も大きくすることができ、本発明を採用しない場合に比べて、電流の低下を抑制する効果を高めることができる。
本発明の請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、発熱部材に対してむらの少ない磁界を供給することができる。
本発明の請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、発熱部材での発熱量を高めることができる。
本発明の請求項8によれば、磁界生成部材での断面積に占める導線領域の比率を高めながら磁界生成部材を流れる電流量の低下を抑制し、本発明を採用しない場合に比べて、大きな磁界を生成することができる。
本発明の請求項9によれば、本発明を採用しない場合に比べて、断面形状が多辺形からなる導線の製造が容易となる。
本発明の請求項10によれば、本発明を採用しない場合に比べて、磁界生成部材での断面積に占める導線領域の比率を高めることができる。
本発明の請求項11によれば、表皮効果による導線の表層での交流電流が流れる通電領域の面積を多辺形の中で最も大きくすることができ、本発明を採用しない場合に比べて、電流の低下を抑制する効果を高めることができる。
本発明の請求項12によれば、本発明を採用しない場合に比べて、発熱部材での発熱量を高めることができる。
本発明の請求項13によれば、コイルでの断面積に占める導線領域の比率を高めながらコイルを流れる電流量の低下を抑制し、本発明を採用しない場合に比べて、大きな磁界を生成することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等といった外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源38を備えている。
画像形成プロセス部10には、一定の間隔を置いて並列的に配置されるトナー像形成手段の一例である4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(「画像形成ユニット11」とも総称する)が備えられている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を所定電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光するLEDプリントヘッド14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。
また、各画像形成ユニット11は、現像器15に収納されるトナーを除いて、略同様に構成される。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
さらに、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着手段(定着装置)の一例である定着装置60を備えている。なお、本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール21、および二次転写ロール22により転写手段が構成される。
本実施の形態の画像形成装置1において、PC3や画像読取装置4から入力された画像データは、画像処理部35によって所定の画像処理が施された後、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により所定電位で一様に帯電され、画像処理部35から送信された画像データに基づいてLED(Light Emitting Diode)アレイが発光するLEDプリントヘッド14により走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に、一次転写ロール21により順次静電吸引されて、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の重畳トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されると、重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されるタイミングに合わせて用紙保持部40から用紙Pが二次転写部Tに供給される。そして、重畳トナー像は、二次転写部Tにて二次転写ロール22が形成する転写電界の作用により、搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離され、定着装置60まで搬送される。定着装置60に搬送された用紙P上のトナー像は、定着装置60によって熱および圧力による定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた排紙積載部45に搬送される。
一方、二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(転写残トナー)は、二次転写の終了後に中間転写ベルト20表面からベルトクリーナ25によって除去され、次の画像形成サイクルに備えられる。
このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
次に、本実施の形態の画像形成装置1に配置された定着装置60の構成を説明する。
図2は、本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。図2に示すように、定着装置60は、交流磁界を発生させる交流磁界発生手段の一例としてのIH(Induction Heating)ヒータ80、IHヒータ80により電磁誘導加熱される発熱部材の一例としての定着ベルト61、定着ベルト61に対向するように配置された加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される押圧パッド65を備えている。
また、定着装置60は、押圧パッド65等を支持するホルダ63、定着ベルト61の内周面を支持するベルトガイド部材64、定着ベルト61内周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材66、IHヒータ80による定着ベルト61に対する加熱効率を高めるためのフェライト部材67、定着ベルト61内周面と押圧パッド65との摺擦抵抗を低減する低摩擦シート68、定着ベルト61の両端部を支持するエッジガイド部材90(後段の図4参照)、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70を備えている。
定着ベルト61は、無端ベルトであって、原形(円筒形状)時の直径が例えば30mmである。また、図3(定着ベルト61の断面図)に示したように、定着ベルト61は、耐熱性の高いシート状部材からなる基材層611、基材層611の上に積層された導電層612、トナー像の定着性を向上させる弾性層613、最上層に被覆された表面離型層614からなる多層ベルトで構成される。
基材層611は、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等といった耐熱性の高い合成樹脂からなるシート状部材で構成される。基材層611の厚さは、10〜150μmに形成される。
導電層612は、IHヒータ80にて生成される交流磁界によって電磁誘導加熱される電磁誘導発熱体層であり、厚み1〜80μmの例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム等といった金属が用いられる。本実施の形態の定着装置60では、押圧パッド65と加圧ロール62とで形成されるニップ部Nおよびこのニップ部Nの近傍において定着ベルト61を変形させて使用する。そのため、本実施の形態では、例えば導電率の高い銅を基材層611上に厚さ10μm程度にメッキまたは蒸着等することで導電層612を形成して、定着ベルト61全体としての柔軟性・フレキシブル性を高めている。
弾性層613は、シリコーンゴム等の弾性体で構成される。定着対象となる用紙Pに保持されるトナー像は、粉体である各色トナーが積層して形成されている。そのため、ニップ部Nにおいてトナー像の全体に均一に熱を供給するには、用紙P上のトナー像の凹凸に倣って定着ベルト61表面が変形することが好ましい。そこで、本実施の形態の弾性層613では、例えば、厚みが100〜600μm、硬度が10°〜30°(JIS−A)のシリコーンゴムを用いている。
表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。一方、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、本実施の形態の表面離型層614では、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮して、厚さを1〜50μmに設定している。
次に、押圧パッド65は、加圧ロール62と対向する位置にてホルダ63に支持されている。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される状態で配置され、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する。押圧パッド65は、ニップ部Nの入口側(用紙Pの搬送方向上流側)に配置されたプレニップ部材651と、ニップ部Nの出口側(用紙Pの搬送方向下流側)に配置された剥離ニップ部材652とで構成される。
プレニップ部材651は、加圧ロール62側の面がほぼ加圧ロール62の外周面に倣う円弧形状に形成されたシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成される。それにより、幅の広いニップ部Nを形成する。
また、剥離ニップ部材652は、剥離ニップ部材652の配置領域を通過する定着ベルト61の曲率半径が小さくなるように、加圧ロール62表面から局所的に大きなニップ圧で押圧されるように構成される。それにより、剥離ニップ部材652の配置領域を通過する用紙Pに定着ベルト61表面から離れる方向のカールを形成して、用紙Pを定着ベルト61表面から剥離させる。
なお、本実施の形態では、押圧パッド65による剥離の補助手段として、ニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設している。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転移動方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト61と近接する状態でホルダ72によって支持される。そして、剥離ニップ部材652によって用紙Pに形成されたカール部分を剥離バッフル71により支持することで、用紙Pが定着ベルト61方向に向かうことを抑制する。
押圧パッド65と定着ベルト61との間には、低摩擦シート68が配置されている。低摩擦シート68には、定着ベルト61内周面と押圧パッド65との摺擦抵抗を低減するために、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が用いられる。例えば、ポリイミドフィルムやフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート等が用いられる。なお、低摩擦シート68は、押圧パッド65と別体に構成しても、押圧パッド65と一体的に構成しても、いずれでもよい。本実施の形態の定着装置60では、低摩擦シート68は押圧パッド65と別体に構成し、一端をホルダ63に固定して、押圧パッド65と定着ベルト61との間に挟持されるように設定される。
押圧パッド65を支持するホルダ63は、押圧パッド65が加圧ロール62からの押圧力を受けた状態での撓み量が一定量以下となるように、剛性の高い材料で構成される。それにより、ニップ部Nにおける長手方向の圧力(ニップ圧)の均一性を維持している。さらに、本実施の形態の定着装置60では、電磁誘導を用いて定着ベルト61を加熱する構成を採用していることから、ホルダ63は、誘導磁界に影響を与えないか、または与え難い材料であり、かつ、誘導磁界から影響を受けないか、または受け難い材料で構成される。例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、アルミニウム等の非磁性金属等が用いられる。
また、ホルダ63は、高透磁率の材質(例えば、フェライトやパーマロイ等)で構成され、IHヒータ80による定着ベルト61に対する加熱効率を高めるためのフェライト部材67を支持する。さらに、ホルダ63の長手方向に沿って、定着ベルト61の回転移動を定着ベルト61の内周面側から支持するベルトガイド部材64を支持する。ベルトガイド部材64には、定着ベルト61内周面との接触面積を少なくするように、定着ベルト61の移動方向に沿った複数のリブが形成されている(後段の図4参照)。
ベルトガイド部材64には、長手方向に亘って潤滑剤塗布部材66が配置される。潤滑剤塗布部材66は、定着ベルト61の内周面に接触するように設定され、潤滑剤を定着ベルト61内周面に適量供給する。それにより、定着ベルト61と低摩擦シート68との摺擦部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介した定着ベルト61と押圧パッド65との摺擦抵抗を低減する。なお、潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状オイルや、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース等、さらにはこれらを組み合わせたものが用いられる。
また、ホルダ63の軸方向両端部には、定着ベルト61を支持するエッジガイド部材90が配置される。定着ベルト61は、両端部の内周面がエッジガイド部材90で支持されることで、所定の形状(例えば、略円形)を維持しながら回転移動する。
ここで、図4は定着ベルト61がエッジガイド部材90によって支持される構成を説明する図であり、用紙Pの搬送方向下流側(ニップ部Nの出口側)から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図4に示したように、エッジガイド部材90は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部91、このベルト走行ガイド部91の長手方向外側に設けられ、定着ベルト61の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部92、さらにエッジガイド部材90の外側面に設けられ、エッジガイド部材90を定着装置60本体に結合するための保持部93で構成される。
そして、定着ベルト61は、定着ベルト61の幅方向両端部において、両端部の内周面がエッジガイド部材90のベルト走行ガイド部91に支持されながら、加圧ロール62に従動して回転移動する(図2の矢印D)。それにより、定着ベルト61は、IHヒータ80との間隙が所定値(例えば、0.5〜2mm)に設定される。さらに、フランジ部92によって幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限される。
次に、加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印C方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転する。この回転により定着ベルト61は加圧ロール62に従動して回転移動する(図2の矢印D)。そして、加圧ロール62と押圧パッド65とにより定着ベルト61を挟持した状態でニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着する。
加圧ロール62は、例えば直径18mmの中実の鉄製コア (円柱状芯金)621と、コア621の外周面に被覆された例えば厚さ5mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層622と、さらに例えば厚さ50μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とが積層されて構成されている。そして、例えば20kgfの荷重で定着ベルト61を介して押圧パッド65を押圧している。
続いて、定着ベルト61の導電層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ80について説明する。
本実施の形態のIHヒータ80は、交流磁界生成部(図5の励磁コイル82)が定着ベルト61の外周面と例えば0.5〜2mmの間隙を保持して配置される(図2参照)。またIHヒータ80は、定着ベルト61の移動方向と直交する方向を長手方向とする、定着ベルト61の全幅に亘って伸びた長方形状で形成される。なお、IHヒータ80は、定着ベルト61の内周面側に配置してもよい。また、定着ベルト61の内周面側および外周面側の双方に配置してもよい。
図5は、本実施の形態のIHヒータ80の構成を説明する概略断面図である。図5に示したように、IHヒータ80は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体81、交流磁界を生成する励磁コイル82、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心83、磁界を遮蔽するシールド84、励磁コイル82に交流電流を供給する励磁回路86を備えている。
支持体81は、位置設定部材の一例であって、断面が定着ベルト61の表面形状に沿って湾曲した形状で形成され、励磁コイル82を支持する上部面(支持面)81aが、いずれの位置においても定着ベルト61との距離が所定値となるように形成されている。すなわち、支持面81aは、励磁コイル82と定着ベルト61との距離が所定値となる位置に設定する位置設定面を構成する。また、支持体81を構成する材質としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂等の耐熱性のある非磁性材料が用いられる。
励磁コイル82は、磁界生成部材(コイル部材)の一例であって、表面が絶縁被覆され、所定の断面形状(後段参照)で形成された例えば銅からなる導線を例えば20本束ねたリッツ線が、長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成される。そして、励磁コイル82に励磁回路86から所定の周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル82の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界Hが生成される。その際の励磁回路86から励磁コイル82に供給される交流電流の周波数は、例えば10〜50kHzに設定される。
励磁コイル82は、支持体81の支持面(位置設定面)81aに密着するように固定して支持される。それにより、励磁コイル82と定着ベルト61との距離が所定値に設定される。
磁心83は、例えばフェライト樹脂等の高透磁率の材質で構成される。磁心83は、励磁コイル82にて生成された交流磁界Hによる磁力線が、励磁コイル82から定着ベルト61を横切ってフェライト部材67に向かい、フェライト部材67の中を通過して励磁コイル82に戻るといった磁力線の通路(磁路)を形成する。磁心83によって磁路を形成することにより、励磁コイル82にて生成された交流磁界H(磁力線)が定着ベルト61の磁心83と対向する領域に集中される。
磁心83とシールド84とは、ともに取付部材85によって支持体81に固定される。このような取付方法の他に、例えば、磁心83とシールド84との双方に爪状の取付部を設けておき、そして支持体81側には、磁心83とシールド84との双方に設けられた爪状の取付部が嵌め込まれる溝部を設け、双方の爪状の取付部を支持体81側の溝部に嵌め込むように固定する方法等を用いてもよい。このような取付方法を用いれば、IHヒータ80の組み立て時の作業工程数が少なくなる。
ここで、図6は、交流磁界Hによって定着ベルト61が発熱する状態を説明する図である。図6に示したように、交流磁界H(磁力線)が定着ベルト61の導電層612を横切る際に、導電層612には、その交流磁界Hの変化を妨げる磁界を生成するように渦電流Iが発生する。そして、渦電流Iが導電層612を流れることによって、導電層612の抵抗値Rに比例したジュール熱W(W=IR)が発生し、定着ベルト61が加熱される。
本実施の形態の定着装置60では、IHヒータ80により定着ベルト61を電磁誘導加熱することで、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させる時間が短縮化される。また、エネルギーの利用効率が向上する。
次に、本実施の形態のIHヒータ80に配置された励磁コイル82について述べる。
本実施の形態のIHヒータ80においては、励磁コイル82を構成する導線として、断面形状が多辺形で形成された例えば銅等の金属からなる導線を用いている。なお、ここで「多辺形」とは、3つ以上の辺で構成された形状をいい、多角形や多角形の角部が曲線で構成されるものも含む。
まず、従来においては、励磁コイルを構成する導線には、断面形状が円形状の導線が用いられてきた。図7は、従来の励磁コイルを構成する断面形状が円形状の導線が束ねられたリッツ線を説明する図である。図7(a)はリッツ線の一部を切り取った状態の斜視図であり、(b)はリッツ線の断面図(図7(a)の矢印方向から見た図)である。なお、図7では、説明を容易とするため、導線が7本束ねられたリッツ線を示した。
まず、図7(b)に示したように、断面形状が円形状の導線が束ねられる場合には、3本の導線に囲まれる領域に空隙が形成される。例えば、7本束ねられたリッツ線では、中心位置の導線の周囲に合計6ヶ所の空隙が形成される。それにより、リッツ線の断面積に占める導線の領域(交流電流が流れる領域)の比率が低くなる。励磁コイルで生成される磁界の大きさは、励磁コイルを流れる電流と単位長さ当たりの励磁コイルの巻数との積に比例する。そのため、トナー像を熱溶融させて用紙に定着する発熱部材を所定の温度(例えば200℃)まで加熱するための充分に大きな磁界を生成するには、励磁コイル自体のサイズを大きくして、励磁コイルにおける単位長さ当たりの導線の巻数を増やす必要が生じる。
これに対し、断面形状が円形状の導線を用いる励磁コイルにおいて、サイズが大きくなることを抑える方法として、製造時に、図7(a)に示したような、撚り合わせながら束ねられたリッツ線を側面方向から圧縮して導線を変形させることで、導線相互を密着させて空隙を小さくし、単位長さ当たりの導線の巻数を増やす方法がある。ところが、リッツ線を側面方向から圧縮すると、導線相互の圧力によって導線表面に形成された絶縁被覆に破損等が生じて、導線間で電流の短絡等が生じる場合がある。
特に、定着装置に搭載される励磁コイルにおいては、発熱部材を例えば200℃程度の高温まで加熱するための大きな磁界を生成する必要がある。そのため、一般に、励磁コイルの抵抗(リアクタンス)を小さくする小径の導線が用いられる。ところが、小径の導線では絶縁被覆が薄層に形成されることから、リッツ線を側面方向から圧縮すると、破損が生じ易くなり、導線間での短絡が起こり易い。
続いては、励磁コイルにおける単位長さ当たりの導線の巻数を増やすには、励磁コイルのインダクタンスLとの関係から、一定の限界が存在する。すなわち、励磁コイルにおける単位長さ当たりの導線の巻数を増加させると、励磁コイルのインダクタンスLは、単位長さ当たりの導線の巻数の増加に伴って増大する。励磁コイルを流れる交流電流の角周波数をωとすると、励磁コイルの抵抗(リアクタンス)は、ωLで表される。そのために、単位長さ当たりの導線の巻数を増やすと、励磁コイルのリアクタンスωLが増加して、励磁コイルを流れる電流値が低下する。このように、単位長さ当たりの導線の巻数を増やすことは、他方では、励磁コイルにおいて生成される磁界を減少させる要因ともなる。したがって、励磁コイルにおける単位長さ当たりの導線の巻数には、励磁コイルを流れる電流値の低下量に基づく上限値が存在する。
そこで、本実施の形態のIHヒータ80では、断面形状が例えば三辺形で形成された導線を用いて励磁コイル82を構成する。
図8は、断面形状が多辺形である導線の一例として、本実施の形態の励磁コイル82を構成する断面形状が正三辺形の導線が束ねられたリッツ線を説明する図である。図8(a)はリッツ線の一部を切り取った状態の斜視図であり、(b)はリッツ線の断面図(図8(a)の矢印方向から見た図)である。なお、図8では、説明を容易とするため、断面形状が正三辺形の導線が6本束ねられたリッツ線を示した。なお、ここで「正三辺形」とは、長さの等しい3つの辺で構成された形状をいい、正三角形および正三角形の角部が曲線で構成されるものも含む。
まず、図8(b)に示したように、断面形状が正三辺形の導線が束ねられる場合には、導線相互はそれぞれ平面からなる側面で接触する。そのため、理論的には導線相互間には空隙は形成されない。ただし、例えば、断面形状が正三辺形の導線が元々の断面形状が円形状の導線から製造される場合等には、断面形状を完全な正三辺形に形成することは難しく、角部に曲線が残存するため(後段の図9(c)参照)、若干の空隙が形成される。しかし、その空隙の大きさは、断面形状が円形状の導線を用いた場合に比較して、極めて小さなものとなる。
そのため、断面形状が正三辺形の導線が束ねられたリッツ線では、リッツ線の断面積に占める導線の領域(交流電流が流れる領域)の比率は高くなり、励磁コイル82における単位長さ当たりの導線の巻数を増加させる。それにより、導線の断面積が双方ともに同一であって、かつ、単位長さ当たりの導線の巻数を同一とする設定において比較すると、断面形状が正三辺形の導線を用いる励磁コイル82は、断面形状が円形状の導線を用いる場合よりも小さなサイズで構成される。
さらには、断面形状が正三辺形の導線では、製造時にリッツ線を側面方向から圧縮することなくリッツ線での導線領域の比率を高くするため、導線に被覆された絶縁被覆に破損が生じることが抑えられ、導線間で電流の短絡が発生し難い。
また、断面形状が正三辺形等の多辺形で形成された導線を用いる励磁コイル82では、断面形状が円形状の導線を用いる場合と比較して、励磁コイル82の抵抗(リアクタンス)が小さく構成される。
ここで、断面積が同一である断面形状が正三辺形の導線と、断面形状が円形状の導線とを比較する。断面形状が正三辺形の導線は、一辺の長さがa、断面形状が円形状の導線は、半径がrであるとする。そうすると、断面形状が正三辺形の導線の断面積S1、断面の周長D1、および、断面形状が円形状の導線の断面積S2、断面の周長D2は、次の(1)〜(4)式のように表される。
Figure 2009109676
S1=S2であるから、(1)式と(3)式とから、次の(5)式の関係式が得られる。
Figure 2009109676
(2)式と(4)式と(5)式とから、断面形状が正三辺形の導線の断面の周長D1と、断面形状が円形状の導線の断面の周長D2との比D1/D2を求めると、次の(6)式が得られる。
Figure 2009109676
(6)式の結果から、断面形状が正三辺形の導線の断面の周長D1は、断面形状が円形状の導線の断面の周長D2に対して約1.3倍となる。
ところで、励磁コイル82を構成する導線では、高周波の交流電流は、所謂「表皮効果」により、導線の表層から交流電流の周波数に応じた深さdの領域においてのみ流れる。図9は、表皮効果により交流電流が流れる導線の断面での領域(通電領域)を示した図である。図9(a)は断面形状が円形状の導線の場合、(b)は断面形状が正三辺形の導線の場合、(c)は正三辺形の角部が曲線で形成された断面形状を有する導線の場合を示している。なお、図9(c)に示した断面形状を有する導線は、元々の断面形状が円形状の導線から正三辺形の導線を製造する際の工程で、角部に曲線が残存するもの(角部が曲線からなる正三辺形)であって、(b)に示した断面形状が正三辺形の導線と同様に、励磁コイル82における単位長さ当たりの導線の巻数を増加させる作用を有するものである。
ここで、同じ周波数の交流電流を流すと想定した場合には、交流電流が流れる導線の表層からの深さdは、断面形状が正三辺形の導線(図9(b)や(c))と、断面形状が円形状の導線(図9(a))とで同じとなる。そのため、導線の断面において交流電流が流れる通電領域の面積は、断面の周長に比例することとなる。その結果、通電領域の面積は、断面形状が正三辺形の導線の方が、断面形状が円形状の導線に対して約1.3倍の大きさを有する。
また、導線の抵抗値は、導線の長さに比例して大きくなり、導線の断面における電流が通過する通電領域の面積に反比例する。
そのため、通電領域の面積が約1.3倍程度大きい断面形状が正三辺形の導線では、抵抗値は、断面形状が円形状の導線よりも1/1.3(=0.77)倍程度小さくなる。それにより、断面形状が正三辺形の導線で構成される励磁コイル82には、断面形状が円形状の導線で構成される励磁コイルよりも電流量が2割以上増加することとなる。
このように、断面形状が正三辺形の導線を用いる励磁コイル82では、抵抗値が低くなり、断面形状が円形状の導線で構成される励磁コイルよりも電流量が2割以上増加する。そのため、単位長さ当たりの導線の巻数を増やす際に、励磁コイル82のリアクタンスが増加することによる励磁コイル82を流れる電流の低下を補い、励磁コイル82において生成される磁界の減少を抑える。それにより、単位長さ当たりの導線の巻数の増加幅を広げ、励磁コイル82での磁界生成能力を高める。
さらに、断面形状が正三辺形の導線の抵抗値は、断面形状が円形状の導線よりも小さくなるので、断面形状が円形状の導線と比較して、励磁コイル82の温度上昇が低減される。それにより、励磁コイル82に供給される電気エネルギーの熱への変換が低減され、磁界エネルギーへの変換効率が高められる。
なお、本実施の形態のIHヒータ80では、一例として断面形状が正三辺形の導線が撚り合わせられて束ねられたリッツ線を用いる励磁コイル82について述べた。しかし、断面形状が正三辺形の導線を用いる場合に限らず、導線相互が密着して、相互間に形成される空隙を小さくする、断面形状が多辺形の導線が撚り合わせられて束ねられたリッツ線を用いてもよい。すなわち、断面が同一の面積の同一の(すなわち、合同の)多辺形で形成された複数の導線が撚り合わせられて束ねられた場合には、各導線は、それぞれ平面からなる側面で接触するため、理論的には導線間に空隙が形成されない。それにより、合同の多辺形で形成された複数の導線が撚り合わせられて束ねられたリッツ線は、励磁コイル82における単位長さ当たりの導線の巻数を増加させることから、断面形状が円形状の導線を用いる場合よりも、励磁コイル82は小さなサイズで構成される。
特に、断面形状が合同の三辺形である複数の導線が撚り合わせられて束ねられたリッツ線を用いる励磁コイル82では、同一の断面積を有する円形状の導線と比較して、断面の周長が多辺形の中で最長となる。そのため、表皮効果による導線の表層での交流電流が流れる通電領域の面積が多辺形の中で最も広くなり、電流の低下を抑制する程度が大きなものとなる。その際には、三辺形を正三辺形で構成すれば、電流の低下を抑制する程度が最も大きなものとなる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、IHヒータ80において断面形状が例えば正三辺形等の合同の多辺形で形成された複数の導線が撚り合わせられて束ねられたリッツ線を用いて励磁コイル82を構成する。それにより、励磁コイル82では、断面積に占める導線領域の比率が高められ、断面形状が円形状の導線を用いる場合よりも小さなサイズで構成される。その際に、製造時にリッツ線を側面方向から圧縮する必要が無いため、導線に被覆された絶縁被覆に破損が生じることが抑えられ、導線間で電流の短絡が発生し難い。さらに、励磁コイル82のリアクタンスが増加することによる励磁コイル82において生成される磁界の減少を抑制する。また、励磁コイル82に供給されるエネルギーの利用効率が高められる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、IHヒータ80を定着ベルト61の外周面側に配置した構成について説明した。本実施の形態では、定着ベルト61の外周面側に配置されたIHヒータ80に加えて、内周面側にIHヒータ100を配置した構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図10は、本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。図10に示すように、定着装置60は、実施の形態1の定着装置60の構成に加えて、定着ベルト61の内周面側にIHヒータ100をさらに配置した構成を有する。
図11は、定着ベルト61の内周面側に配置されたIHヒータ100の構成を説明する概略断面図である。図11に示したように、IHヒータ100は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体101、交流磁界を生成する励磁コイル102、励磁コイル102にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心103、磁界を遮蔽するシールド104を備えている。
また、励磁コイル102は、IHヒータ80の励磁コイル82と直列に接続される。そして、IHヒータ80の励磁回路86から、励磁コイル82に供給される交流電流に同期した交流電流が供給される。それにより、IHヒータ80の励磁コイル82とIHヒータ100の励磁コイル102とは一体的な励磁コイルを形成することとなり、IHヒータ80の磁心83から定着ベルト61を横切ってIHヒータ100の磁心103に向かい、磁心103の中を通過して磁心83に戻るといった磁力線の通路(磁路)を形成する。それによって、定着ベルト61を通過する磁束密度は高まって、定着ベルト61の発熱量を増加させる。
本実施の形態のIHヒータ100においても、IHヒータ80と同様に、断面形状が例えば正三辺形等の多辺形で形成された導線を用いて励磁コイル102を構成する。
本実施の形態の定着装置60では、励磁コイル102が小さく構成されることで、定着ベルト61の内周面側にIHヒータ100が配置される。それにより、IHヒータ80の励磁コイル82とIHヒータ100の励磁コイル102とが一体的な励磁コイルを形成し、定着ベルト61を磁束密度の高い交流磁界が通過するので、定着ベルト61には大きなジュール熱が発生する。それによって、定着装置60の高生産性・高速化が図られる。
本発明が適用される画像形成装置の全体構成を示した図である。 実施の形態1の定着装置の構成を示す側断面図である。 定着ベルトの断面図である。 定着ベルトがエッジガイド部材によって支持される構成を説明する図である。 実施の形態1のIHヒータの構成を説明する概略断面図である。 交流磁界によって定着ベルトが発熱する状態を説明する図である。 従来の励磁コイルを構成する断面形状が円形状の導線が束ねられたリッツ線を説明する図である。 励磁コイルを構成する断面形状が正三辺形の導線が束ねられたリッツ線を説明する図である。 表皮効果により交流電流が流れる導線の断面での領域(通電領域)を示した図である。 実施の形態2の定着装置の構成を示す側断面図である。 実施の形態2のIHヒータの構成を説明する概略断面図である。
符号の説明
1…画像形成装置、60…定着装置、61…定着ベルト、62…加圧ロール、67…フェライト部材、80,100…IHヒータ、81,101…支持体、81a…支持面、82,102…励磁コイル、83,103…磁心、84,104…シールド、85…取付部材、86…励磁回路

Claims (13)

  1. 導電層が形成され、当該導電層が電磁誘導加熱されて発熱する発熱部材と、
    前記発熱部材に形成された前記導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材とを備え、
    前記磁界生成部材は、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状の角部が曲線からなる前記多辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が相互に合同な前記多辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が三辺形であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記磁界生成部材は、前記導線の断面形状が正三辺形であることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
  6. 前記磁界生成部材は、当該磁界生成部材を前記発熱部材に対して所定の位置に設定する位置設定面が形成された位置設定部材に支持されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  7. 前記磁界生成部材は、前記発熱部材の外周面側と内周面側との双方に備えられたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  8. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、
    前記定着手段は、
    導電層が形成され、当該導電層が電磁誘導加熱されて発熱する発熱部材と、
    前記発熱部材に形成された前記導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材とを備え、
    前記磁界生成部材は、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面が角部が曲線からなる前記多辺形で形成されたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面形状が相互に合同な前記多辺形であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  11. 前記定着手段は、前記磁界生成部材を構成する前記導線の断面形状が三辺形であることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  12. 前記定着手段は、前記磁界生成部材が前記発熱部材の外周面側と内周面側との双方に備えられたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  13. 非磁性体からなる支持体と、
    前記支持体に支持され、多辺形からなる断面形状を有する複数の導線相互を平面からなる側面で接触するように束ねられた束ね線が閉ループ状に巻かれて構成されたコイルと
    を備えたことを特徴とするコイル部材。
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