JP2012203372A - 定着装置、加圧ロール、及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置、加圧ロール、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明の定着装置は、回転可能に設けられた定着ベルト61と、定着ベルト61の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、定着ベルト61の外周面との間にトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させるニップ部Nを形成する加圧ロール62とを備え、加圧ロール62は、定着ベルト61と接触して加圧することにともない弾性変形し、定着ベルト61の外周面と接触してニップ部Nを形成する円筒部と、円筒部の内部であって円筒部の軸方向における両端に設けられて円筒部を支持し、円筒部とともに弾性変形するフランジ625とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置、加圧ロール、及び画像形成装置に関する。
公報記載の従来技術として、装置立ち上げ時の昇温時間を短縮化しつつ温度制御を簡略化することが出来、非通紙部昇温、ローラ周速の変化による画像不良、ニップ部幅の長手方向における差異による被記録材の波打ちを発生させることのない加熱装置を提供することを目的として、加熱体を支持したスティに、エンドレスベルト状の耐熱性フィルムを外嵌させ、鉄やSUS、ニッケル等の金属を薄肉中空円筒状に成形した薄肉金属スリーブを、耐熱性フィルムを介して加熱体に圧接させる。そして、薄肉金属スリーブの肉厚tを、圧接することにより弾性変形し、その弾性変形によって生じる弾性力によりニップの形成が可能な範囲に設定する加熱装置が存在する(特許文献1)。
特開平08-234600号公報
本発明は、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷を抑制することを目的とする。
請求項1記載の発明は、回転可能に設けられたベルト部材と、前記ベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、当該ベルト部材の外周面との間にトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する加圧ロールとを備え、前記加圧ロールは、前記ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形し、当該ベルト部材の外周面と接触して前記定着部を形成する円筒部と、前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部とを備えることを特徴とする定着装置である。
請求項2記載の発明は、前記円筒部は、前記変形支持部によって内部を支持され、前記ベルト部材の外周面と接触する層を外周に保持するとともに、当該ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形する金属部材を有することを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項3記載の発明は、前記変形支持部は、前記円筒部と同軸に配置された円盤状の部材であることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置である。
請求項4記載の発明は、前記ベルト部材の内側から前記加圧ロールに向けて当該ベルト部材を押圧する押圧部と、前記ベルト部材の内側であって前記押圧部よりも軸方向両端側で当該ベルト部材を支持するベルト支持部とをさらに備え、前記変形支持部は、軸方向において前記押圧部と前記ベルト支持部との間に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置である。
請求項5記載の発明は、回転可能に設けられたベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、ベルト部材を加圧することにともない弾性変形し、ベルト部材の外周面との間にトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する円筒部と、前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部とを備える加圧ロールである。
請求項6記載の発明は、用紙にトナー像を形成するトナー像形成部と、回転可能に設けられたベルト部材と、前記ベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、当該ベルト部材の外周面との間に、前記トナー像形成部によって形成されたトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する加圧ロールとを備え、前記加圧ロールは、前記ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形し、当該ベルト部材の外周面と接触して前記定着部を形成する円筒部と、前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷が抑制される。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、加圧ロールの熱容量が低減される。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、加圧ロールが回転することに伴い定着部における圧力が変動することが抑制される。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、軸方向において押圧部とベルト支持部との間に対応する位置に配置される変形支持部によって、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷が抑制される。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷が抑制される。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、ベルト部材を加圧する円筒部が弾性変形した場合であっても、この円筒部や円筒部の周辺部材の損傷が抑制される。
本実施の形態の定着装置が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。 本実施の形態の定着ユニットの構成を示す正面図である。 図2における定着装置のIII−III断面図である。 定着ベルトの断面層構成図である。 (a)がエンドキャップ部材の側面図であり、(b)がIVB方向から見たエンドキャップ部材の平面図である。 本実施の形態のIHヒータの構成を説明する断面図である。 本実施の形態の加圧ロールの構成を説明する断面図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1の説明>
図1は本実施の形態の定着装置が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。
図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部31を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置(スキャナ)4等との通信を行って画像データを受信する通信部32、通信部32にて受信された画像データに対し予め定めた画像処理を施す画像処理部33を備えている。
トナー像形成部の一例である画像形成部10は、トナー像を形成するとともに、予め定められた間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(「画像形成ユニット11」とも総称する)を備えている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成する感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定めた電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を各色画像データに基づき露光するLED(Light Emitting Diode)プリントヘッド14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するドラムクリーナ16を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収納されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21を備えている。さらに、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着ユニット60を備えている。
画像形成装置1では、制御部31による動作制御の下で、次のようなプロセスによる画像形成処理が行われる。すなわち、PC3やスキャナ4からの画像データは通信部32にて受信され、画像処理部33により予め定めた画像処理が施された後、色毎の画像データとなって各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら帯電器13により予め定めた電位で一様に帯電され、画像処理部33から送信されたK色画像データに基づきLEDプリントヘッド14が感光体ドラム12を走査露光する。それにより、感光体ドラム12上にはK色画像に関する静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成されたK色静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上にK色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の重畳トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙保持部40から用紙Pが二次転写部Tに供給される。そして、重畳トナー像は、二次転写部Tにて二次転写ロール22が形成する転写電界により、搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、定着ユニット60まで搬送される。定着ユニット60に搬送された用紙P上のトナー像は、定着ユニット60によって熱および圧力を受け、用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部45に搬送される。
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ25によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
<定着ユニット60の構成の説明>
次に、図2及び図3を参照しながら本実施の形態の定着ユニット60について説明する。
図2および図3は本実施の形態の定着ユニット60の構成を示す図であり、図2は正面図、図3は図2におけるIII−III断面図である。
まず、断面図である図3に示すように、定着ユニット60は、交流磁界を生成するIH(Induction Heating)ヒータ80を備えている。また、定着ユニット60は、IHヒータ80により電磁誘導加熱されて用紙Pにトナー像を定着する定着ベルト61、定着ベルト61に対向するように配置される加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される押圧パッド63を備えている。
さらに、定着ユニット60は、押圧パッド63等の構成部材を支持するホルダ65、IHヒータ80にて生成された交流磁界を誘導して磁路を形成する感温磁性部材64、感温磁性部材64を通過した磁力線を誘導する誘導部材66、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70を備えている。また、加圧ロール62は、定着を行なうときには定着ベルト61の外周面に圧接することで定着ベルト61との間に未定着トナー像を保持した用紙Pが通過するためのニップ部N(定着部)を形成し、定着を行なわないときには定着ベルト61から離間するように移動する接離機構200を備える。
なお、加圧ロール62については、詳細に後述する。
<定着ベルト61の説明>
次に、図3及び図4を参照しながら本実施の形態の定着ベルト61について説明する。ここで、図4は定着ベルト61の断面層構成図である。
まず、図3に示すように、ベルト部材の一例である定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向長さが370mmに形成されている。また、図4に示したように、定着ベルト61は、基材層611、基材層611の上に積層された導電発熱層612、トナー像の定着性を向上させる弾性層613、最上層に被覆された表面離型層614からなる多層構造のベルト部材である。
図4に示すように、基材層611は、薄層の導電発熱層612を支持するとともに、定着ベルト61全体としての機械的強度を形成する耐熱性のシート状部材で構成される。また、基材層611は、IHヒータ80(図3参照)にて生成された交流磁界が感温磁性部材64(図3参照)まで作用するように、磁界を通過させる物性(比透磁率、固有抵抗)を持った材質、厚さで形成される。一方、基材層611自身は、磁界の作用により発熱しないか、または発熱し難く構成される。
具体的には、基材層611として、例えば、厚さ30〜200μm(好ましくは50〜150μm)の非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
導電発熱層612は、IHヒータ80にて生成される交流磁界によって電磁誘導加熱される電磁誘導発熱体層である。すなわち、導電発熱層612は、IHヒータ80(図3参照)からの交流磁界が厚さ方向に通過することにより、渦電流を発生させる層である。
通常、IHヒータ80に交流電流を供給する励磁回路(後段の図6も参照)の電源として、安価に製造できる汎用電源が使用される。そのため、IHヒータ80により生成される交流磁界の周波数は、一般に、汎用電源による20kHz〜100kHzとなる。それにより、導電発熱層612は、周波数20kHz〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。
導電発熱層612に交流磁界が侵入できる領域は、交流磁界が1/eに減衰する領域である「表皮深さ(δ)」として規定され、次の(1)式から導かれる。(1)式において、fは交流磁界の周波数(例えば、20kHz)、ρは固有抵抗値(Ω・m)、μは比透磁率である。
そのため、導電発熱層612の厚さは、周波数20kHz〜100kHzの交流磁界が導電発熱層612に侵入し通過するように、(1)式で規定される導電発熱層612の表皮深さ(δ)よりも薄層に構成される。また、導電発熱層612を構成する材料として、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
具体的には、導電発熱層612として、厚さ2〜20μm、固有抵抗2.7×10−8Ω・m以下の例えばCu等の非磁性金属(比透磁率が概ね1の非磁性体)が用いられる。
また、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱されるまでに要する時間(以下、「ウォームアップタイム」)を短縮する観点からも、導電発熱層612は、薄層に構成するのが好ましい。
次に、弾性層613は、シリコーンゴム等の耐熱性の弾性体で構成される。定着対象となる用紙Pに保持されるトナー像は、粉体である各色トナーが積層して形成されている。そのため、ニップ部Nにおいてトナー像の全体により均一に熱を供給するには、用紙P上のトナー像の凹凸に倣って定着ベルト61表面が変形することが好ましい。そこで、弾性層613には、例えば厚みが100〜600μm、硬度が10°〜30°(JIS−A)のシリコーンゴムとすることができる。
表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、表面離型層614の厚さとして、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1〜50μmとすることができる。
<押圧パッド63の説明>
次に、図3を参照しながら本実施の形態の押圧パッド63について説明する。
押圧部の一例である押圧パッド63は、液晶ポリマーなどの耐熱性樹脂で構成され、加圧ロール62と対向する位置にてホルダ65に支持される。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される状態で配置され、加圧ロール62との間でニップ部N(定着加圧部)を形成する。
また、押圧パッド63は、ニップ部Nの入口側(用紙Pの搬送方向上流側)のプレニップ領域63aと、ニップ部Nの出口側(用紙Pの搬送方向下流側)の剥離ニップ領域63bとで異なるニップ圧が設定されている。すなわち、プレニップ領域63aでは、加圧ロール62側の面がほぼ加圧ロール62の外周面に倣う円弧形状に形成され、より均一で幅の広いニップ部Nを形成する。また、剥離ニップ領域63bでは、剥離ニップ領域63bを通過する定着ベルト61の曲率半径が小さくなるように、加圧ロール62表面から局所的に大きなニップ圧で押圧されるように形成される。それにより、剥離ニップ領域63bを通過する用紙Pに定着ベルト61表面から離れる方向のカール(ダウンカール)を形成して、用紙Pに対する定着ベルト61表面からの剥離を促進させている。
なお、押圧パッド63は、定着ベルト61の回転軸に沿う方向において、その形状は変化しない。さらに説明をすると、押圧パッド63は、例えば押圧パッド63の軸方向中央部が加圧ロール62に近づくように湾曲するような形状ではない。
さて、本実施の形態では、押圧パッド63による剥離の補助手段として、ニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配置している。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転移動方向と対向する向き(所謂カウンタ方向)に定着ベルト61と近接する状態でホルダ72によって支持される。そして、押圧パッド63の出口にて用紙Pに形成されたカール部分を剥離バッフル71により支持することで、用紙Pが定着ベルト61方向に向かうことを抑制する。
<感温磁性部材64の説明>
次に、図3を参照しながら本実施の形態の感温磁性部材64について説明する。
感温磁性部材64は、定着ベルト61の内周面に倣った円弧形状で形成され、定着ベルト61の内周面とは予め定めた間隙(例えば、0.5〜1.5mm)を有するように近接させるが、非接触で配置される。感温磁性部材64を定着ベルト61と近接させて配置するのは、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度に対応して変化する、すなわち、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度と略同じ温度となるように構成するためである。また、感温磁性部材64を定着ベルト61と非接触で配置するのは、画像形成装置1(図1参照)のメインスイッチがオンされ、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱される際に、定着ベルト61の熱が感温磁性部材64に流入するのを抑制して、ウォームアップタイムの短縮を図るためである。
また、感温磁性部材64は、その磁気特性の透磁率が急変する温度である「透磁率変化開始温度」(後段参照)が、各色トナー像が溶融する定着設定温度以上であって、定着ベルト61の弾性層613や表面離型層614(図4参照)の耐熱温度よりも低い温度範囲内に設定された材質で構成される。すなわち、感温磁性部材64は、定着設定温度を含む温度領域において強磁性と非磁性(常磁性)との間を可逆的に変化する特性(「感温磁性」)を有する材質で構成される。
そして、感温磁性部材64は、強磁性を呈する透磁率変化開始温度以下の温度範囲において磁路形成部材として機能し、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線を内部に誘導して、感温磁性部材64の内部を通過する交流磁界(磁力線)の磁路を形成する。それにより、感温磁性部材64は、定着ベルト61とIHヒータ80の励磁コイル82(後段の図6参照)とを内部に包み込むような閉磁路を形成する。
一方、透磁率変化開始温度を超える温度範囲においては、感温磁性部材64は、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線を、感温磁性部材64の厚さ方向に横切るように透過させる。それにより、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線は、感温磁性部材64を透過し、誘導部材66の内部を通過してIHヒータ80に戻る磁路を形成する。
なお、ここでの「透磁率変化開始温度」とは、透磁率(例えば、JIS C2531で測定される透磁率)が連続的に低下を開始する温度であり、例えば感温磁性部材64等の部材を透過する磁束量(磁力線の数)が変化し始める温度点をいう。したがって、透磁率変化開始温度は、物質の磁性が消失する温度であるキュリー点に近い温度となるが、キュリー点とは異なる概念を有するものである。
感温磁性部材64に用いる材質としては、透磁率変化開始温度が例えば140(定着設定温度)〜240℃の範囲内に設定された例えばFe−Ni合金(パーマロイ)等の二元系感温磁性合金やFe−Ni−Cr合金等の三元系の感温磁性合金等が用いられる。
また、感温磁性部材64は、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)に対する表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも厚い厚さで形成される。具体的には、例えばFe−Ni合金を用いた場合には50〜300μm程度に設定される。
<ホルダ65の説明>
次に、図3を参照しながら本実施の形態のホルダ65について説明する。
押圧パッド63を支持するホルダ65は、押圧パッド63が加圧ロール62からの押圧力を受けた状態での撓み量が一定量以下となるように、剛性の高い材料で構成される。それにより、ニップ部Nにおける長手方向の圧力(ニップ圧)の均一性を維持している。さらに、本実施の形態の定着ユニット60では、電磁誘導を用いて定着ベルト61を加熱する構成を採用していることから、ホルダ65は、誘導磁界に影響を与えないか、または与え難い材料であり、かつ、誘導磁界から影響を受けないか、または受け難い材料で構成される。例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、例えばAl,Cu,Ag等の非磁性金属材料等が用いられる。
<誘導部材66の説明>
次に、図3を参照しながら本実施の形態の誘導部材66について説明する。
誘導部材66は、感温磁性部材64の内周面に倣った円弧形状で形成され、感温磁性部材64の内周面とは予め定めた間隙(例えば、1.0〜5.0mm)を有する非接触に配置される。また、誘導部材66は、例えばAg,Cu,Alといった固有抵抗値が比較的小さい非磁性金属で構成される。そして、感温磁性部材64が透磁率変化開始温度以上の温度に上昇した際に、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)を誘導して、定着ベルト61の導電発熱層612(図4参照)よりも渦電流Iが発生し易い状態を形成する。それにより、誘導部材66の厚さは、渦電流Iが流れ易いように、表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも充分に厚い予め定められた厚さ(例えば、1.0mm)で形成される。
<定着ベルト61の駆動機構の説明>
次に、図2、図3及び図5を参照しながら定着ベルト61の駆動機構について説明する。ここで図5は、(a)がエンドキャップ部材67の側面図であり、(b)がIVB方向から見たエンドキャップ部材67の平面図である。
正面図である図2に示したように、ホルダ65(図3参照)の軸方向両端部には、定着ベルト61の両端部の断面形状を円形に維持しながら定着ベルト61を周方向に回転駆動するエンドキャップ部材67が固定されている。そして、定着ベルト61は、両端部からエンドキャップ部材67を介した回転駆動力を直接的に受けて、例えば140mm/sのプロセススピードで図3の矢印C方向に回転移動する。
図5に示したように、エンドキャップ部材67は、ベルト支持部の一例である定着ベルト61の両端部内側に嵌合される固定部67a、固定部67aより外径が大きく形成され、定着ベルト61に装着された際に定着ベルト61よりも半径方向に張り出すように形成されたフランジ部67d、回転駆動力が伝達されるギヤ部67b、ホルダ65の両端部に形成された支持部65aと結合部材166(図5(b)参照)を介して回転自在に結合されたベアリング軸受部67cを備える。そして、上記図2に示したように、ホルダ65(図3参照)の両端部の支持部65aが定着ユニット60の筐体69の両端部に固定されることで、エンドキャップ部材67は、支持部65aに結合されたベアリング軸受部67c(図5参照)を介して回転自在に支持される。
エンドキャップ部材67を構成する材質としては、機械的強度や耐熱性の高い所謂エンジニアリングプラスチックスが用いられる。例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂等が適する。
そして、図2に示すように、定着ユニット60では、駆動モータ90からの回転駆動力が伝達ギヤ91,92を介してシャフト93に伝達され、シャフト93に結合された伝達ギヤ94,95から両エンドキャップ部材67のギヤ部67b(図5参照)に伝達される。それによって、エンドキャップ部材67から定着ベルト61に回転駆動力が伝わり、エンドキャップ部材67と定着ベルト61とが一体となって回転駆動される。
なお、本実施の形態においては、駆動モータ90が定着ベルト61を回転させる構成について説明をしたが、これに限定されない。例えば、駆動モータ90が加圧ロール62を回転させるとともに、定着ベルト61が加圧ロール62に従動する構成であってもよい。
<IHヒータ80の説明>
続いて、図6を参照しながら、定着ベルト61の導電発熱層612(図4参照)に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ80について説明する。ここで図6は、本実施の形態のIHヒータ80の構成を説明する断面図である。
図6に示したように、IHヒータ80は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体81、交流磁界を生成する励磁コイル82を備えている。また、励磁コイル82を支持体81上に固定する弾性体で構成された弾性支持部材83、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心84を備えている。さらには、磁界を遮蔽するシールド85、磁心84を支持体81側に加圧する加圧部材86、励磁コイル82に交流電流を供給する励磁回路88を備えている。
支持体81は、断面が定着ベルト61の表面形状に沿って湾曲した形状で形成され、励磁コイル82を支持する上部面(支持面)81aが定着ベルト61表面と予め定めた間隙(例えば、0.5〜2mm)を保つように形成されている。また、支持体81を構成する材質としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂等の耐熱性のある非磁性材料が用いられる。
励磁コイル82は、相互に絶縁された例えば直径0.17mmの銅線材を例えば90本束ねたリッツ線が長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成される。そして、励磁コイル82に励磁回路88から予め定めた周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル82の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界が生成される。励磁回路88から励磁コイル82に供給される交流電流の周波数は、一般に、上記した汎用電源により生成される20kHz〜100kHzが用いられる。
磁心84は、例えばソフトフェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)、パーマロイ、感温磁性合金等の高透磁率の酸化物や合金材質で構成される強磁性体が用いられ、磁路形成手段として機能する。磁心84は、励磁コイル82にて生成された交流磁界による磁力線(磁束)を内部に誘導し、磁心84から定着ベルト61を横切って感温磁性部材64(図3参照)方向に向かい、感温磁性部材64の中を通過して磁心84に戻るといった磁力線の通路(磁路)を形成する。すなわち、励磁コイル82にて生成された交流磁界が磁心84の内部と感温磁性部材64の内部とを通過するように構成して、磁力線が定着ベルト61と励磁コイル82とを内部に包み込むような閉磁路を形成する。それにより、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁力線が定着ベルト61の磁心84と対向する領域に集中される。
ここで、磁心84は磁路形成による損失が小さい材料が望ましい。具体的には、磁心84は渦電流損を小さくする形態(スリット等による電流経路遮断や分断化、薄板束ね等)での使用が望ましく、ヒステリシス損の小さい材料で形成されることが望ましい。
また、定着ベルト61の回転方向に沿った磁心84の長さは、感温磁性部材64(図3参照)の定着ベルト61の回転方向に沿った長さよりも小さく構成される。それにより、磁力線のIHヒータ80周辺への漏洩が減り、力率が向上する。さらには、定着ユニット60を構成する金属製部材への電磁誘導を抑え、定着ベルト61(導電発熱層612)での発熱効率を高める。
<加圧ロール62の説明>
ここで、図2、図3及び図7を参照しながら、加圧ロール62について説明する。ここで、図7は、本実施の形態の加圧ロール62の構成を説明する断面図である。
図2に示すように、加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置され、定着ベルト61に従動して図3の矢印D方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転する。そして、加圧ロール62と押圧パッド63とにより定着ベルト61を挟持した状態でニップ部Nを形成する。このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることによって、加圧ロール62と押圧パッド63とにより用紙Pに熱および圧力が加えられる。これにより、未定着トナー像が用紙Pに定着される。
ここで、図2に示すように、加圧ロール62は、定着ベルト61の回転軸方向において、定着ベルト61の両端を除くほぼ全面を押圧するよう配置されている(定着ベルト61の方が長い)。したがって、定着ベルト61の外周において、大部分は加圧ロール62に押圧される領域(押圧領域)となり、両端は加圧ロール62に押圧されない領域(非押圧領域)となる。
さて、図7に示すように、加圧ロール62は、薄肉円筒状に形成され定着ベルト61を加圧する円筒部620と、円筒部620の両端に挿入して設けられる円盤状に形成されたフランジ625と、フランジ625の中心に設けられるとともにフランジ625を介して円筒部620を支持する軸部630とを有する。そして、加圧ロール62は、例えば20kgfの荷重で定着ベルト61を介して押圧パッド63を押圧している。
<円筒部620の説明>
図7に示すように、円筒部620は、薄肉円筒状に形成される金属製のスリーブ621と、スリーブ621の外周面に被覆された弾性層622と、耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とが積層されて構成される。本実施の形態の円筒部620は、軸方向において、押圧パッド63よりも長く、定着ベルト61よりも短い。
なお、この円筒部620は、ニップ部Nが形成されている状態において、回転軸に対して内側に撓む。また、弾性層622及び離型層623は、ベルト部材の外周面と接触する層の一例である。
<スリーブ621の説明>
まず、図3に示すように、スリーブ621は、ニップ部Nにおいてトナー像の全体により均一に熱を供給するため弾性変形する。より具体的には、ニップ部Nが形成されている状態においては、スリーブ621は、弾性変形により回転軸に対して内側に撓む。
このスリーブ621の外周面の肉厚tは、薄すぎると、定着ベルト61から力を受けた際に、スリーブ621に塑性変形が起きる。したがって、スリーブ621の外周面の肉厚tとしては、塑性変形が起きない厚さが選択される。なお、スリーブ621の外周面の肉厚tが厚すぎると、スリーブ621の弾性変形する変形量が小さくなりすぎる。
スリーブ621の外周面の肉厚tは、例えば0.1mm〜0.15mmとすることができる。また、スリーブ621を構成する材料として、例えば快削鋼(SUM)、アルミニウム、ステンレススチール(SUS)、鉄、ニッケル等の金属部材が用いられる。
本実施の形態においては、スリーブ621は、外径18mmの快削鋼からなり、外周面の肉厚tは0.1mmである。
<弾性層622の説明>
図3に示すように、弾性層622は、ニップ部Nにおいてトナー像の全体により均一に熱を供給するため耐熱性の弾性体で構成される。弾性層622には、例えば厚さ1mmのシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等が用いられる。
なお、本実施の形態の加圧ロール62においては、弾性層622を備える構成としたが、加圧ロール62に弾性層622を設けることなく、スリーブ621の外周に離型層623を被覆する構成としてもよい。
<離型層623の説明>
図3に示すように、離型層623は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、離型性の高い材質で構成される。例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。
<フランジ625の説明>
図7に示すように、変形支持部の一例であるフランジ625は、円筒部620の内部に挿入され、円筒部620の軸方向における両端にそれぞれ設けられる。本実施の形態においては、フランジ625は、軸方向において、エンドキャップ部材67の固定部67aと押圧パッド63との間に位置することとなる。
また、フランジ625は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性部材からなる。このフランジ625は、スリーブ621が定着ベルト61から力を受けた際に、スリーブ621とともに弾性変形する。
ここで、フランジ625は、円筒部620のうち、画像形成装置1にて使用される最大サイズの用紙P(例えば、A3横幅)が通過する領域(最大通紙領域)よりも、軸方向における外側となる。最大通紙領域とフランジ625とが重複しないことにより、最大通紙領域の長手方向における圧力変動が抑制され、結果としてトナー像の定着性の低下が抑制される。
本実施の形態におけるフランジ625は、定着ベルト61から力を受けた際に、約2mm撓む。また、本実施の形態においては、フランジ625は、スリーブ621に接着固定することなく設けられているが、円筒部620とともに回転する。なお、フランジ625をスリーブ621に接着固定してもよい。
<軸部630の説明>
図7に示すように、軸部630はフランジ625と同軸に設けられ、図示しないベアリングを介してフランジ625を回転可能に支持する。この軸部630は、筺体69(図2参照)によって支持される。軸部630は、フランジ625とは別部材からなり、例えば快削鋼(SUM)、アルミニウム、ステンレススチール(SUS)、鉄、ニッケル等からなる。
<加圧ロール62の状態>
さて、図3に示すように、加圧ロール62は接離機構200を備える。この接離機構200により、定着を行なうときには加圧ロール62を定着ベルト61の外周面に圧接することでニップ部Nを形成し、定着を行なわないときには加圧ロール62を定着ベルト61から離間するように移動する。
ここで、接離機構200が加圧ロール62を定着ベルト61の外周面に圧接させることにより、ニップ部Nが形成されている状態について説明をする。
図7に示すように、ニップ部Nが形成されている状態においては、定着ベルト61から力を受けることにより、フランジ625はスリーブ621とともに弾性変形する。より具体的には、定着ベルト61からの力を受けることにより、フランジ625の外周であって、加圧ロール62の軸方向の内側に位置する内側端625aと、外側に位置する外側端625bとが弾性変形に伴い、軸に近づく向きに移動する。この内側端625aと外側に位置する外側端625bとが弾性変形に伴い移動することで、スリーブ621及び定着ベルト61にそれぞれ発生する応力集中が低減する。以下、このスリーブ621及び定着ベルト61における応力集中の低減について詳細に説明する。
まず、スリーブ621は、上述のように軸方向における両端においてフランジ625によって支持される。さらに説明をすると、図7に示すように、スリーブ621には、フランジ625によって支持される支持領域(スリーブ621の両端)と支持されない非支持領域(スリーブ621の両端以外の部分)とが形成される。一般に、スリーブ621に支持領域と非支持領域とがある場合、支持領域と非支持領域との境界においてスリーブ621が折れ曲がる等して応力集中が発生することがある。そして、スリーブ621の支持領域と非支持領域との境界上に存在する特定の点を想定すると、この特定の点がスリーブ621の回転に伴いニップ部Nを通過する度に、特定の点に応力集中が発生する。このため特定の点に繰り返し応力が働くこととなり、スリーブ621が損傷を受ける場合がある。
しかしながら、本実施の形態においては、上述のようにフランジ625の内側端625aが弾性変形し、軸に近づく向きに移動する。その結果、支持領域と非支持領域との境界で生じるスリーブ621の折れ曲がりが低減され、スリーブ621に発生する応力集中が低減する。
一方で、上述のように定着ベルト61には、ニップ部Nが形成されている状態において、加圧ロール62に押圧されない非押圧領域(定着ベルト61の両端)と、押圧される押圧領域(定着ベルト61の両端以外の部分)とが形成される。一般に、定着ベルト61に押圧領域と非押圧領域とがある場合、押圧領域と非押圧領域との境界において定着ベルト61が折れ曲がる等して応力集中が発生することがある。そして、定着ベルト61の押圧領域と非押圧領域との境界上に存在する特定の点を想定すると、この特定の点が定着ベルト61の回転に伴いニップ部Nを通過する度に、特定の点に応力集中が発生する。このため特定の点に繰り返し応力が働くこととなり、定着ベルト61が損傷を受ける場合がある。
しかしながら、本実施の形態においては、上述のようにフランジ625の外側端625bが弾性変形し、軸に近づく向きに移動する。その結果、押圧領域と非押圧領域との境界で生じる定着ベルト61の折れ曲がりが低減され(定着ベルト61が曲がる角度が小さくなり)、定着ベルト61に発生する応力集中が低減する。
さて、一般的に、加圧ロールとしては、金属製の円柱部材であるシャフトの周囲に、シリコーンゴム等の弾性層を設けたものが用いられる。
ここで、本実施の形態の加圧ロール62は、円柱部材であるシャフトではなく、上述のように薄肉円筒状に形成される金属製のスリーブ621を用いる。このことから、一般的な加圧ロールと比較して、本実施の形態の加圧ロール62における熱容量は低くなり、画像形成装置1の立ち上げ時の昇温時間(ウォームアップに要する時間)が短縮される。
さらに、一般的には、例えば加圧ロールにおいて用紙Pが通過しない領域(非通紙領域)で熱が消費されないために温度が上昇する所謂非通紙部昇温等により、加圧ロールにおいて温度差が生じる場合がある。このように加圧ロールに温度差が生じた場合、温度差に応じた外径差が生じ得る。この外径差は、弾性層が厚くなるほど大きくなる。
ここで、本実施の形態の加圧ロール62においては、弾性変形可能なスリーブ621を用いることから、その周囲に形成する弾性層622の厚みが、一般的な加圧ロールと比較して薄い。したがって、温度差により生じる外形差が小さくなり、画像品質に与える影響が低減される。
なお、本実施の形態の加圧ロール62においては、スリーブ621及び弾性層622が、一般的な加圧ロールと比較して薄く形成されることから、加圧ロール62の重量が低減される。
また、本実施の形態においては、定着動作前の待機時に、接離機構200によって、加圧ロール62が定着ベルト61から離間するウォームアップ位置に置かれる。このウォームアップ位置において定着ベルト61の加熱が行われることにより、定着ベルト61から加圧ロール62へ熱が伝達されることがない。したがって、定着ベルト61の加熱効率が向上する。
なお、本実施の形態においては、定着ベルト61を加熱する加熱源としてIHヒータ80を用いることを説明したが、これに限定されない。例えば、加熱源としてセラミックヒータやハロゲンランプを用いてもよい。
1…画像形成装置、60…定着ユニット、61…定着ベルト、62…加圧ロール、80…IHヒータ、620…円筒部、621…スリーブ、622…弾性層、623…離型層、625…フランジ、630…軸部

Claims (6)

  1. 回転可能に設けられたベルト部材と、
    前記ベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、当該ベルト部材の外周面との間にトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する加圧ロールとを備え、
    前記加圧ロールは、
    前記ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形し、当該ベルト部材の外周面と接触して前記定着部を形成する円筒部と、
    前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部と
    を備えることを特徴とする定着装置。
  2. 前記円筒部は、前記変形支持部によって内部を支持され、前記ベルト部材の外周面と接触する層を外周に保持するとともに、当該ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形する金属部材を有することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記変形支持部は、前記円筒部と同軸に配置された円盤状の部材であることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
  4. 前記ベルト部材の内側から前記加圧ロールに向けて当該ベルト部材を押圧する押圧部と、
    前記ベルト部材の内側であって前記押圧部よりも軸方向両端側で当該ベルト部材を支持するベルト支持部とをさらに備え、
    前記変形支持部は、軸方向において前記押圧部と前記ベルト支持部との間に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置。
  5. 回転可能に設けられたベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、ベルト部材を加圧することにともない弾性変形し、ベルト部材の外周面との間にトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する円筒部と、
    前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部と
    を備える加圧ロール。
  6. 用紙にトナー像を形成するトナー像形成部と、
    回転可能に設けられたベルト部材と、
    前記ベルト部材の外周面を加圧しながら回転可能に設けられるとともに、当該ベルト部材の外周面との間に、前記トナー像形成部によって形成されたトナー像を保持する用紙を通過させトナー像を定着させる定着部を形成する加圧ロールとを備え、
    前記加圧ロールは、
    前記ベルト部材と接触して加圧することにともない弾性変形し、当該ベルト部材の外周面と接触して前記定着部を形成する円筒部と、
    前記円筒部の内部であって当該円筒部の軸方向における両端に設けられて当該円筒部を支持し、当該円筒部とともに弾性変形する変形支持部と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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