以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す運転支援システム100は、複数の車両(車両A〜D)の各々に1つずつ搭載された周辺情報統合装置11を含んでいる。以下では、車両Aを自車、車両B〜Dを車両Aの周辺車両として説明を行う。運転支援システム100が請求項の車両用システムに相当する。
ここで、図2及び図3を用いて、周辺情報統合装置11の概略的な構成について説明を行う。なお、周辺情報統合装置11が請求項の車両用装置に相当する。図2は、周辺情報統合装置11の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように周辺情報統合装置11は、車速センサ1、位置検出器2、ウインカースイッチ3、ハザードスイッチ4、ブレーキスイッチ5、カメラ6、レーダ7、無線通信装置8、情報通知装置9、及び車両制御装置10と電子情報のやり取り可能に接続されている。
例えば本実施形態では、周辺情報統合装置11、車速センサ1、位置検出器2、ウインカースイッチ3、ブレーキスイッチ4、無線通信装置8、情報通知装置9、車両制御装置10は、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されているものとする。
車速センサ1は、車速に比例する車速パルスを検出し、その車速パルスあるいは車速パルスから定まる車速信号を自車の速度の情報として車内LANへ出力する。なお、車速センサの代わりに、各転動輪の回転速度から自車の速度を検出する車輪速センサを用いる構成としてもよい。
位置検出器2は、地磁気を検出する地磁気センサ、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ、自車両の移動距離を検出する距離センサ、人工衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(global positioning system)のためのGPS受信機といった各センサから得られる情報をもとに、自車の現在位置の検出を逐次行う。
これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されているが、各センサの精度によっては上述した内の一部で構成してもよいし、上述した以外のセンサを用いる構成としてもよい。また、現在位置は、例えば緯度・経度で表すものとする。
ウインカースイッチ3は、ドライバによる方向指示器のランプ点灯操作(つまり、ウインカーランプの点灯操作)を検出するためのスイッチであって、左右のウインカーランプの点灯操作をそれぞれ検出するように設けられている。以下では、左ウインカーランプの点灯操作を検出するためのウインカースイッチ3を左ウインカースイッチ3aと呼び、右ウインカーランプの点灯操作を検出するためのウインカースイッチ3を右ウインカースイッチ3bと呼ぶものとする。
例えば、左ウインカーランプの点灯操作が行われた場合、つまり、左ウインカースイッチ3aがオンにされた場合には、左ウインカースイッチ3aがオン状態であることを示す信号を車内LANへ出力する。また、右ウインカーランプの点灯操作が行われた場合、つまり、右ウインカースイッチ3bがオンにされた場合には、右ウインカースイッチ3bがオン状態であることを示す信号を車内LANへ出力する。
ハザードスイッチ4は、ドライバによるハザードランプの点灯操作を検出するためのスイッチである。ハザードランプの点灯操作とは、車両の全てのウインカーランプの点灯操作を示している。例えば、ハザードランプの点灯操作が行われた場合、つまり、ハザードスイッチ4がオンにされた場合には、ハザードスイッチ4がオン状態であることを示す信号を車内LANへ出力する。
ブレーキスイッチ5は、車両のブレーキペダルの踏み込み操作がなされているときにオン状態となるスイッチであって、例えばオン状態となっているときには、ブレーキスイッチ5がオン状態であることを示す信号を車内LANに出力する。
カメラ6は、車両の例えばルームミラー近傍やフロント部分に取り付けられ、自車の例えば前方の所定範囲(図1の破線で囲った領域参照)を逐次撮像するカラーカメラである。なお、カメラ6が請求項の撮像装置及び自律センサに相当する。カメラ6は、後述する車車間通信の送信周期と同じ周期(例えば100msecごと)に撮像を行い、撮像画像のデータを周辺情報統合装置11に逐次出力する構成とすればよい。カメラ6としては、例えばCCDカメラを用いる構成とすればよい。
また、本実施形態では、撮像画像の全てのピクセルは、R値(赤色度合い)、G値(緑色度合い)、B値(青色度合い)の各々が0〜255のディジタル値であるRGB値で表される場合を例に挙げて説明を行う。
本実施形態では、カメラ6の撮像範囲が自車の前方の所定範囲である構成を例に挙げて以降の説明を行うが、必ずしもこれに限らない。例えば、カメラ6の撮像範囲が自車の後方や側方の所定範囲であってもよい。また、複数のカメラ6を用いることで、複数の方位の所定範囲を撮像範囲とする構成としてもよい。
レーダ7は、例えば周知のレーザレーダであって、レーザ光を自車前方の所定範囲(つまり、検出範囲)に照射し、その反射光を受信して、自車に対する前方物体の存在や当該前方物体の相対速度や相対位置を検出し、周辺情報統合装置11へ出力する。よって、レーダ7が請求項の自律センサに相当する。カメラ6の撮像範囲とレーダ7の検出範囲とは、自車の左右方向の範囲が大まかに一致するように設定されているものとする。
前方物体の存在や相対速度や相対位置の検出は、周辺情報統合装置11で行う構成としてもよい。本実施形態では、前方物体の存在や相対速度や相対位置の検出は、レーダ7の信号をもとに周辺情報統合装置11で行うものとして以降の説明を続ける。
なお、前方物体の相対速度については、レーザ光の送受波のドップラーシフトをもとに自車と前方物体との相対速度を検出する周知の方法によって検出する構成とすればよい。また、前方物体の相対位置の検出は、レーダ7として例えば位相モノパルス方式のレーダ装置を用いることで行う構成とすればよい。詳しくは、レーザ光の送受波の位相差をもとに前方物体の方位を検出し、この方位と前方物体までの距離とから前方物体の相対位置を検出する構成とすればよい。
また、レーダ7として、対象物の相対速度や相対位置を検出するのに用いることができるミリ波レーダ等の他のセンサを用いる構成としてもよい。
無線通信装置8は、例えば自車の車両情報を一定の送信周期(例えば100msecごと)で送信する。また、無線通信装置8は、自車の周辺車両に搭載されている無線通信装置8から送信される周辺車両の車両情報を逐次受信する。無線通信装置8は、受信した車両情報を周辺情報統合装置11に逐次出力する。
車車間通信で送信される車両情報は、車両の各種センサ群やECUから得られる車両の運転操作に関する情報(以下、操作情報)や車両の挙動に関する情報(以下、挙動情報)といった走行状況の情報(以下、走行状況情報)や車両情報の送信元の車両を特定するための識別情報である。なお、走行状況情報が請求項の車車間通信情報に相当する。
操作情報としては、例えばウインカースイッチ3から得られるウインカーランプの点灯操作の情報、ハザードスイッチ4から得られるハザードランプの点灯操作の情報、ブレーキスイッチ5から得られるブレーキペダルの踏み込みの有無の情報がある。他にも、ブレーキ踏力センサから得られるブレーキ踏力の情報、ブレーキストロークセンサから得られるブレーキペダルの踏み込み量の情報などがある。
また、挙動情報としては、車速センサ1から得られる車両の速度の情報、位置検出器2で検出した車両の現在位置の情報、カメラ6の撮像画像をもとに周辺情報統合装置11で検出した後述する自車の車両横断情報がある。他にも、加速度センサから得られる車両の加減速度の情報、舵角センサから得られる車両の操舵角の情報、ヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートの情報などがある。識別情報としては、自車を特定するための車両IDや自車の無線通信装置8を特定するための機器IDを用いることができる。
情報通知装置9は、情報を通知する装置であって、例えばテキストや画像を表示する表示装置であるものとする。なお、表示装置以外にも、音声を出力する音声出力装置を用いる構成としてもよい。
車両制御装置10は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。車両制御装置10は、車速センサ1、位置検出器2、ウインカースイッチ3、ハザードスイッチ4、ブレーキスイッチ5、カメラ6、レーダ7、無線通信装置8や図示しない各種センサやECUから入力された情報に基づき、自車の走行(挙動)を制御する処理を実行する。よって、車両制御装置10が請求項の走行制御装置に相当する。
一例として、車両制御装置10は、先行車等の追従対象車との車間距離を目標車間距離に合わせるようにブレーキアクチュエータやスロットルアクチュエータを制御して自車の加減速を行う周知の追従走行制御を行う構成とすればよい。他にも、周辺車両との衝突の危険性を判定して回避を行う周知の衝突回避の制御を行う構成としてもよい。
周辺情報統合装置11は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM・RAM・EEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。周辺情報統合装置11では、車速センサ1、位置検出器2、ウインカースイッチ3、ハザードスイッチ4、ブレーキスイッチ5、カメラ6、レーダ7、無線通信装置8から入力される各種情報に基づき、CPUがメモリに予め記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現する。
図3に示すように、周辺情報統合装置11は、機能ブロックとして、車両情報送信部111、車両情報受信部112、受信情報蓄積部113、画像認識部114、レーダ検出部115、自律センサ情報統合部116、自律センサ情報蓄積部117、及び周辺情報統合部118を備えている。受信情報蓄積部113及び自律センサ情報蓄積部117は、例えばRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに構築されるものとする。
車両情報送信部111は、車両の各種センサ群やECUから前述の車両情報を逐次(例えば100msecごと)取得して、無線通信装置8に出力する。無線通信装置8では、例えば逐次入力されるこの車両情報を送信することで、一定の送信周期で車両情報を送信する。
車両情報受信部112は、無線通信装置8から逐次入力される周辺車両の車両情報を、受信情報蓄積部113に蓄積する。詳しくは、車両情報に含まれる識別情報をもとに、車車間通信の通信相手の車両別に車両情報を蓄積する。よって、車両情報受信部112が請求項の通信情報取得手段に相当し、受信情報蓄積部113が請求項の通信情報蓄積手段に相当する。以降では、車両情報に含まれる識別情報が前述の車両IDである場合を例に挙げて説明を行う。受信情報蓄積部113では、一定時間の間、無線通信装置8から入力されてきた情報を時系列に管理する。
画像認識部114は、カメラ6から入力される撮像画像中の周辺車両を認識する。撮像画像中の周辺車両の認識は、例えば画像認識用の辞書を用いて画像中の物体を認識する周知の画像認識によって行う構成とすればよい。この場合、車両を前方から見た画像や後方から見た画像について機械学習した辞書(例えば、矩形の輝度差を特徴とするhaar-like特徴による、cascade of boostedクラス判別器)を用いて、撮像画像中の周辺車両の認識を行うようにすればよい。
本実施形態では、車両を前方から見た画像や後方から見た画像について機械学習した辞書を用いることによって、撮像画像中の周辺車両が、前方から見た周辺車両の画像(以下、車両前方画像)であるか、後方から見た周辺車両の画像(以下、車両後方画像)であるかも区別する場合を例に挙げて説明を行う。
また、画像認識部114は、認識した周辺車両の画像をもとに、当該周辺車両のウインカーランプ(つまり、方向指示器)の点灯状態及びブレーキランプ(つまり、制動灯)の点灯状態を検出する。一例としては、ウインカーランプの点灯状態については、周辺車両の画像を車体の中心から左右方向に分割した左右の各領域内に、明度が閾値以上の橙色の部分(以下、橙色発光部分)がそれぞれ存在するか否かによって検出する。
例えば、橙色発光部分が車両前方画像の左の領域内にのみ存在する場合は、右ウインカーランプのみの点灯として検出し、車両前方画像の右の領域内にのみ存在する場合は、左ウインカーランプのみの点灯として検出する。また、橙色発光部分が車両前方画像の左右の領域のどちらにも存在する場合は、左右のウインカーランプの点灯として検出し、車両前方画像の左右の領域のどちらにも存在しない場合は、左右のウインカーランプの消灯として検出する。
一方、橙色発光部分が車両後方画像の左の領域内にのみ存在する場合は、左ウインカーランプのみの点灯として検出し、車両後方画像の右の領域内にのみ存在する場合は、右ウインカーランプのみの点灯として検出する。また、橙色発光部分が車両後方画像の左右の領域のどちらにも存在する場合は、左右のウインカーランプの点灯として検出し、車両後方画像の左右の領域のどちらにも存在しない場合は、左右のウインカーランプの消灯として検出する。
橙色発光部分と判定する明度の閾値は、実際にウインカーランプが点灯している車両を様々な光環境下で撮像した画像中のウインカーランプの明度をもとに予め設定されるものとする。また、橙色発光部分と判定する橙色のRGB値の範囲は、実際にウインカーランプが点灯している車両を様々な光環境下で撮像した画像中のウインカーランプのRGB値をもとに予め設定されるものとする。
続いて、ブレーキランプの点灯状態については、周辺車両の画像の領域内に、明度が閾値以上の赤色の部分(以下、赤色発光部分)が存在するか否かによって検出する。なお、緊急車両の屋根に設置される赤色灯の点灯をブレーキランプの点灯として誤検出しないように、周辺車両の屋根よりも下部の領域についてのみ、赤色発光部分が存在するか否かの検出を行う構成とすることが好ましい。
赤色発光部分と判定する明度の閾値は、実際にブレーキランプが点灯している車両を様々な光環境下で撮像した画像中のブレーキランプの明度をもとに予め設定されるものとする。また、赤色発光部分と判定する赤色のRGB値の範囲は、実際にブレーキランプが点灯している車両を様々な光環境下で撮像した画像中のブレーキランプのRGB値をもとに予め設定されるものとする。
なお、橙色発光部分と判定する明度の閾値や赤色発光部分と判定する明度の閾値として、日中や晴天用の閾値と、夜間や曇天・雨天用の閾値とを予め設定しておき、これらの閾値を切り替えて用いる構成としてもよい。この場合、日中や晴天、夜間や曇天・雨天の判別は、図示しない計時手段で検出した時刻、図示しない照度センサで検出した照度、図示しないレインセンサやワイパースイッチで検出した雨等をもとに判別する構成とすればよい。
また、画像認識部114は、認識した周辺車両の撮像画像中の位置から、周辺車両の自車に対する相対位置も検出する。他にも、画像認識部114は、カメラ6から入力される撮像画像中の白線も認識する。撮像画像中の白線の認識については、周知の画像認識によって行う構成とすればよい。そして、画像認識部114は、認識した白線の位置をもとに、自車が車線を横断中か否かを検出する。
例えば、認識した白線の下端の位置が撮像画像の下側の縁の中心から一定の距離以内であった場合に、自車が車線を横断中であると検出する構成とすればよい。撮像画像の下側の縁の中心から一定の距離にあたる位置は、自車の左右の車輪の延長線上にあたる位置であるものとする。
なお、自車が車線を左右のどちらへ横断中であるかも検出する構成としてもよい。この場合には、過去の連続する複数枚の撮像画像についての白線の認識結果をもとに、認識した白線に相当する画素のオプティカルフロー(すなわち、認識した白線の動き)を検出し、この検出結果から自車が車線を左右のどちらへ横断中かを検出する構成とすればよい。白線のオプティカルフローの検出方法としては、例えば、周知のブロックマッチング法、勾配法、フィルタリング法、2階微分法等を適用すればよい。
さらに、画像認識部114は、カメラ6から入力される撮像画像中の周辺車両と白線とを認識することで、周辺車両が車線を横断中か否かを検出する。周辺車両と白線との認識については、前述したのと同様にして行う構成とすればよい。周辺車両が車線を横断中か否かについては、認識した周辺車両が認識した白線を跨ぐ位置関係にある場合に、周辺車両が車線を横断中であると検出する構成とすればよい。
なお、周辺車両が車線を左右のどちらへ横断中であるかも検出する構成としてもよい。この場合には、前述した白線の動きの検出結果及び、認識した周辺車両の画像が車両前方画像と車両後方画像とのいずれであるかをもとに、周辺車両が車線を左右のどちらへ横断中かを検出する構成とすればよい。
画像認識部114は、自車の車線の横断についての検出結果(以下、自車の車両横断情報)については、車両情報送信部111に出力する。車両情報送信部111では、この車両横断情報を車両情報の1つとして無線通信装置8に出力することになる。
また、画像認識部114は、周辺車両のウインカーランプの点灯状態(灯火状態)の検出結果(以下、ウインカー情報)、周辺車両のブレーキランプの点灯状態(灯火状態)の検出結果(以下、ブレーキ灯情報)、自車に対する周辺車両の相対位置の検出結果(以下、相対位置情報)、及び周辺車両の車線の横断についての検出結果(以下、周辺車両の車両横断情報)については、自律センサ情報統合部116に出力する。よって、画像認識部114が請求項のセンサ検出手段に相当する。
レーダ検出部115は、レーダ7の信号をもとに、前述したようにして、一定の周期ごと(例えば100msecごと)に自車の前方物体の相対速度及び相対位置を検出する。また、レーダ検出部115は、相対速度の検出と略同一のタイミングにおいて車速センサ1から自車の速度の情報を取得し、検出した前方物体の相対速度と取得した自車の速度とから、前方物体の速度を算出(検出)する。よって、レーダ検出部115が請求項のセンサ検出手段に相当する。そして、検出した各前方物体の速度、相対速度、及び相対位置の情報を、自律センサ情報統合部116に出力する。
なお、カメラ6の撮像画像をもとに周辺車両のウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、相対位置、及び車線の横断を検出することができ、レーダ7の信号をもとに前方物体の相対速度及び相対位置を検出することができることから、カメラ6及びレーダ7は自律センサであると言える。なお、周辺車両のウインカーランプの点灯状態、周辺車両のブレーキランプの点灯状態、周辺車両の相対位置、周辺車両の車線の横断の状態、前方物体の相対速度、前方物体の相対位置が請求項の運転状態に相当する。
自律センサ情報統合部116は、画像認識部114から入力される各周辺車両についての情報と、レーダ検出部115から入力される各前方物体についての情報とを比較して統合する。一例としては、撮像画像から認識した各周辺車両についての相対位置情報と、レーダ検出部115から入力されるレーダ7の信号をもとに検出した各前方物体の相対位置の情報とを比較し、自車に対する相対位置が近似している周辺車両と前方物体とを単一物と判断する。そして、単一と判断した周辺車両と前方物体とについての情報を統合する。
詳しくは、単一と判断した周辺車両についてのウインカー情報、ブレーキ灯情報、相対位置情報、及び周辺車両の車両横断情報と、単一と判断した前方物体の速度、相対速度、及び相対位置の情報とを統合する。周辺車両の相対位置情報については、画像認識部114から入力される情報とレーダ検出部115から入力される情報とのいずれかを選択する構成とすればよい。
そして、統合した各情報を検出した周辺車両を特定するための情報(以下、物標IDとする)を仮に設定して対応付けて、自律センサ情報蓄積部117に蓄積する。よって、自律センサ情報蓄積部117が請求項の自律センサ情報蓄積手段に相当する。本実施形態では、レーダ検出部115から入力される相対位置情報を選択して蓄積するものとして以降の説明を行う。自律センサ情報蓄積部117では、一定時間の間、自律センサを用いて検出した情報を時系列に管理する。
なお、カメラ6で撮像を行うタイミングと、レーダ7でレーザ光の送受波を行うタイミングは略同一のタイミングに設定されているものとする。そして、自律センサ情報統合部116は、この同一のタイミングでの撮像画像をもとにした画像認識部114での検出結果と、この同一のタイミングでのレーダ7の信号をもとにしたレーダ検出部115での検出結果とを比較するように設定されている。
また、受信情報蓄積部113での車両情報の蓄積と、自律センサ情報蓄積部117での自律センサでの検出結果の蓄積は、例えば最も近似したタイミングで受信及び検出が行われた車両情報と自律センサを用いた検出結果とが略同一のタイミングで蓄積されるように行われる。
例えば図1に示すように、自車Aの周辺に、自車Aと車車間通信可能な3台の周辺車両B〜Dが存在する場合には、近似したタイミングで受信した周辺車両B〜Dの各車両情報をまとめて受信情報蓄積部113に蓄積する。また、受信のタイミングに最も近似したタイミングにおいて自律センサを用いて検出した周辺車両B〜Dについての検出結果についても、まとめて自律センサ情報蓄積部117に蓄積する。
周辺情報統合部118は、受信情報蓄積部113に蓄積した車車間通信で受信した各周辺車両の車両情報と、自律センサ情報蓄積部117に蓄積した自律センサを用いて検出した各周辺車両の情報とを比較し、自律センサで検出した周辺車両と車車間通信を行っている周辺車両との一致不一致を判定する。そして、一致していると判定した周辺車両の情報を統合する。
なお、自律センサを用いて情報を検出したときの時刻の情報(つまり、タイムスタンプ)を、検出した情報に付与する構成とした場合に、このタイムスタンプをもとに、略同一のタイミング(最も近似した時刻)で検出された情報を受信情報蓄積部113と自律センサ情報蓄積部117とからそれぞれ読み出して比較する構成としてもよい。
ここで、図4のフローチャートを用いて、周辺情報統合部118の動作フローの一例についての説明を行う。なお、本フローは、受信情報蓄積部113及び自律センサ情報蓄積部117に新たな略同一のタイミングで蓄積された情報し自車両のACCスイッチがオンされたときに開始される。
まず、ステップS1では、初期設定を行ってステップS2に移る。初期設定では、比較要素番号(m)=1、自律センサ物標番号(i)=1、通信車両番号(j)=1、単一性判定値(score)=0と設定する。単一性判定値(score)は、自律センサで検出した周辺車両と車車間通信を行っている周辺車両との一致不一致(単一性)を判定するために用いる値である。
比較要素は、後述する比較処理において比較を行う周辺車両についての情報であって、例えば、周辺車両の車速、相対位置、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断の状態についての情報にあたる。また、比較要素番号(m)は、これらの情報のそれぞれに1から順番に割り振る整数の番号である。
自律センサ物標番号(i)は、自律センサ情報蓄積部117に蓄積された検出結果に対応付けられた前述の物標ID別に1から順番に割り振る整数の番号である。自律センサを用いて検出された周辺車両が例えば3台であった場合には、3台分の検出結果が自律センサ情報蓄積部117に蓄積されているので、自律センサ物標番号(i)は1〜3が割り振られることになる。
通信車両番号(j)は、受信情報蓄積部113に蓄積された車両情報に含まれる前述の車両ID別に1から順番に割り振る整数の番号である。車車間通信で車両情報を受信した周辺車両が例えば3台であった場合には、3台分の車両情報が受信情報蓄積部113に蓄積されているので、通信車両番号(j)は1〜3が割り振られることになる。
ステップS2では、比較要素番号(m)の比較要素について、自律センサ物標番号(i)の周辺車両の情報と通信車両番号(j)の周辺車両の情報との比較処理を行って、ステップS3に移る。ここで、図5のフローチャートを用いて、比較要素がウインカーランプの点灯状態であった場合の比較処理(以下、ウインカー点灯状態についての比較処理)の一例について説明を行う。
まず、ステップS21aでは、ウインカー点灯状態についての比較処理における初期設定を行って、ステップS22aに移る。初期設定では、比較回数(n)=1、一致回数カウンタ(cnt)=0と設定する。
ステップS22aでは、受信情報蓄積部113に(n−1)回前に蓄積した、通信車両番号(j)の周辺車両についてのウインカーランプの点灯操作の情報を読み出し、読み出した情報をもとに、(n−1)回前における通信車両番号(j)の周辺車両のウインカーランプの点灯状態を決定する。
例えば、左ウインカースイッチ3aのみがオン状態であることを示す情報であった場合には、左ウインカーランプのみの点灯と決定し、右ウインカースイッチ3bのみがオン状態であることを示す情報であった場合には、右ウインカーランプのみの点灯と決定する。また、ハザードスイッチ4がオン状態であることを示す情報であった場合には、左右のウインカーランプの点灯と決定し、左右のウインカースイッチ3a・3b及びハザードスイッチ4のいずれもオン状態でないことを示す情報であった場合には、左右のウインカーランプの消灯と決定する。
また、ステップS22aでは、自律センサ情報蓄積部117に(n−1)回前に蓄積した、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についてのウインカー情報(ウインカーランプの点灯状態)を読み出す。そして、通信車両番号(j)の(n−1)回前のウインカーランプの点灯状態(つまり、ウインカー点灯状態)と、自律センサ物標番号(i)の(n−1)回前のウインカーランプの点灯状態(つまり、ウインカー点灯状態)とを比較し、両者が同一か否かを判定する。
続くステップS23aでは、両者が同一と判定した場合(ステップS23aでYES)には、ステップS24aに移る。また、両者が同一でないと判定した場合(ステップS23aでNO)には、ステップS25aに移る。
ステップS24aでは、それまで設定されていた一致回数カウンタ(cnt)の値に1を加算した値(cnt+1)を新たな一致回数カウンタ(cnt)の値と設定し直して、ステップS25aに移る。ステップS25aでは、それまで設定されていた比較回数(n)に1を加算した値(n+1)を新たな比較回数(n)と設定し直して、ステップS26aに移る。
ステップS26aでは、比較回数(n)が規定回数(N)に達した場合(ステップS26aでYES)には、ステップS27aに移る。また、比較回数(n)が規定回数(N)に達していない場合(ステップS26aでNO)には、ステップS22aに戻ってフローを繰り返す。なお、規定回数(N)は任意に設定可能な値である。
ステップS27aでは、一致回数カウンタ(cnt)の値が所定数(C)以上となった場合(ステップS27aでYES)には、ステップS28aに移る。また、一致回数カウンタ(cnt)の値が所定数(C)以上となっていない場合(ステップS27aでNO)には、ステップS29aに移る。なお、所定数(C)は、規定回数(N)以下の任意の値であるものとする。
ステップS28aでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定(単一判定)し、ステップS3に移る。また、ステップS29aでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一でないと判定(非単一判定)し、ステップS3に移る。
続いて、図6のフローチャートを用いて、比較要素がブレーキランプの点灯状態であった場合の比較処理(以下、ブレーキ灯点灯状態についての比較処理)の一例について説明を行う。なお、図6のフローチャートは、比較要素がウインカーランプの点灯状態からブレーキランプの点灯状態になったことを除けば、図5のフローチャートと同様のものである。よって、実質的な相違点がある処理を除いては説明を省略する。
まず、ステップS21bでは、ブレーキ灯点灯状態についての比較処理における初期設定を行って、ステップS22bに移る。初期設定では、比較回数(n)=1、一致回数カウンタ(cnt)=0と設定する。
ステップS22bでは、受信情報蓄積部113に(n−1)回前に蓄積した、通信車両番号(j)の周辺車両についてのブレーキランプの点灯操作の情報を読み出し、読み出した情報をもとに、(n−1)回前における通信車両番号(j)の周辺車両のブレーキランプの点灯状態を決定する。
例えば、ブレーキスイッチ5がオン状態であることを示す情報であった場合には、ブレーキランプの点灯と決定し、ブレーキスイッチ5がオン状態でないことを示す情報であった場合には、ブレーキランプの消灯と決定する。
また、ステップS22bでは、自律センサ情報蓄積部117に(n−1)回前に蓄積した、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についてのブレーキ灯情報(ブレーキランプの点灯状態)を読み出す。そして、通信車両番号(j)の(n−1)回前のブレーキランプの点灯状態(つまり、ブレーキ灯点灯状態)と、自律センサ物標番号(i)の(n−1)回前のブレーキランプの点灯状態(つまり、ブレーキ灯点灯状態)とを比較し、両者が同一か否かを判定する。よって、周辺情報統合部118が請求項の一致判定手段に相当する。
以降のステップS23b〜ステップS29bの処理については、前述のステップS23a〜ステップS29aの処理と同様であるものとする。
続いて、図7のフローチャートを用いて、比較要素が車線の横断の状態であった場合の比較処理(以下、車線横断状態についての比較処理)の一例について説明を行う。なお、図7のフローチャートは、比較要素がウインカーランプの点灯状態から車線の横断の状態になったことを除けば、図5のフローチャートと同様のものである。よって、実質的な相違点がある処理を除いては説明を省略する。
まず、ステップS21cでは、車線横断状態についての比較処理における初期設定を行って、ステップS22cに移る。初期設定では、比較回数(n)=1、一致回数カウンタ(cnt)=0と設定する。
ステップS22cでは、受信情報蓄積部113に(n−1)回前に蓄積した、通信車両番号(j)の周辺車両についての車両横断情報を読み出すとともに、自律センサ情報蓄積部117に(n−1)回前に蓄積した、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両横断情報を読み出す。そして、両者を比較し、両者が同一か否かを判定する。
以降のステップS23c〜ステップS29cの処理については、前述のステップS23a〜ステップS29aの処理と同様であるものとする。
なお、図5〜図7のフローチャートでは、規定回数(N)の比較処理に対して、一致回数カウンタ(cnt)の値が所定数(C)以上とならなかった場合に、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一でないと判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、比較回数(n)が規定回数(N)に達するまでに、一度でも通信車両番号(j)と自律センサ物標番号(i)との比較要素の状態が同一でないと判定した場合に、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一でないと判定する構成としてもよい。
続いて、図8のフローチャートを用いて、比較要素が車速であった場合の比較処理の一例について説明を行う。まず、ステップS21dでは、車速についての比較処理における初期設定を行って、ステップS22dに移る。初期設定では、比較回数(n)=1と設定する。
ステップS22dでは、受信情報蓄積部113に(n−1)回前に蓄積した、通信車両番号(j)の周辺車両についての車速の情報を読み出すとともに、自律センサ情報蓄積部117に(n−1)回前に蓄積した、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車速の情報を読み出す。そして、通信車両番号(j)の(n−1)回前の車速と、自律センサ物標番号(i)の(n−1)回前の車速とを比較し、両者の誤差が許容誤差(D1)未満か否かを判定する。なお、許容誤差(D1)の値は、例えばレーダ検出部115での相対速度の検出誤差程度の値を設定するなど、任意に設定可能な値である。
続くステップS23dでは、両者の誤差が許容誤差(D1)未満と判定した場合(ステップS23dでYES)には、ステップS24dに移る。また、両者の誤差が許容誤差(D1)未満でないと判定した場合(ステップS23dでNO)には、ステップS27dに移る。
ステップS24dでは、それまで設定されていた比較回数(n)に1を加算した値(n+1)を新たな比較回数(n)と設定し直して、ステップS25dに移る。ステップS25dでは、比較回数(n)が規定回数(N)に達した場合(ステップS25dでYES)には、ステップS26dに移る。また、比較回数(n)が規定回数(N)に達していない場合(ステップS25dでNO)には、ステップS22dに戻ってフローを繰り返す。なお、規定回数(N)は任意に設定可能な値である。
ステップS26dでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定(単一判定)し、ステップS3に移る。また、ステップS27dでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一でないと判定(非単一判定)し、ステップS3に移る。
なお、例えば周辺車両の車種によって車両情報に含まれる速度と実際の速度との間に一定の傾向を持った誤差が存在することが明らかな場合に、車種ごとのこの誤差を補正するための補正値を予め周辺情報統合装置11のメモリに記憶しておく構成としてもよい。そして、車車間通信で得られる車両情報に例えば周辺車両の車種の情報も含まれる場合に、この車種の情報に対応する補正値を読み出して、通信車両番号(j)の車速を補正し、上述のステップS22dの処理を行う構成としてもよい。補正値は、図示しない外部のサーバに保存されているものを、無線通信によってアクセスすることで取得する構成としてもよい。
また、上述のステップS22dの処理において、速度の比較だけでなく、基準となる時点の速度と(n−1)回前の車速との車速比同士を比較する構成としてもよいし、連続する2回分の速度から求められる加減速度同士を比較する構成としてもよい。
続いて、図9のフローチャートを用いて、比較要素が相対位置であった場合の比較処理の一例について説明を行う。まず、ステップS21eでは、相対速度についての比較処理における初期設定を行って、ステップS22eに移る。初期設定では、比較回数(n)=1と設定する。
ステップS22eでは、受信情報蓄積部113に(n−1)回前に蓄積した、通信車両番号(j)の周辺車両についての現在位置の情報を読み出し、読み出した情報をもとに、(n−1)回前における通信車両番号(j)の周辺車両の自車に対する相対位置を決定する。
例えば、通信車両番号(j)の周辺車両についての現在位置の情報と、その現在位置の情報を検出したタイミングに近似したタイミングで検出した自車の現在位置の情報とから、自車に対する相対位置を決定する構成とすればよい。自車の現在位置の情報については、位置検出器2から逐次取得して記憶しておくことで、上記相対位置の決定に利用可能な構成としてもよい。また、受信時に検出した自車の現在位置の情報を通信車両番号(j)の周辺車両についての現在位置の情報に対応付けて記憶しておくことで、上記相対位置の決定に利用可能な構成としてもよい。
また、ステップS22eでは、自律センサ情報蓄積部117に(n−1)回前に蓄積した、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての相対位置の情報を読み出す。そして、通信車両番号(j)の(n−1)回前の相対位置と、自律センサ物標番号(i)の(n−1)回前の相対位置とを比較し、両者の誤差が許容誤差(D2)未満か否かを判定する。なお、許容誤差(D2)の値は、任意に設定可能な値である。
例えば、通信車両番号(j)の周辺車両の相対位置についての情報、および自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての相対位置の情報は、自車の位置を原点とした位置座標と表される構成とすればよい。そして、これら位置座標間の距離が通信車両番号(j)の周辺車両の相対位置と自律センサ物標番号(i)の周辺車両の相対位置との誤差とすればよい。
なお、本実施形態では、通信車両番号(j)の周辺車両と自律センサ物標番号(i)の周辺車両との相対位置を比較する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、通信車両番号(j)の周辺車両と自律センサ物標番号(i)の周辺車両との絶対位置(例えば緯度・経度の座標)を比較する構成としてもよい。この場合には、自律センサ物標番号(i)の周辺車両の絶対位置については、当該周辺車両の相対位置と自車の現在位置とから算出する構成とすればよい。
続くステップS23eでは、両者の誤差が許容誤差(D2)未満と判定した場合(ステップS23eでYES)には、ステップS24eに移る。また、両者の誤差が許容誤差(D2)未満でないと判定した場合(ステップS23eでNO)には、ステップS27eに移る。
ステップS24eでは、それまで設定されていた比較回数(n)に1を加算した値(n+1)を新たな比較回数(n)と設定し直して、ステップS25eに移る。ステップS25eでは、比較回数(n)が規定回数(N)に達した場合(ステップS25eでYES)には、ステップS26eに移る。また、比較回数(n)が規定回数(N)に達していない場合(ステップS25eでNO)には、ステップS22eに戻ってフローを繰り返す。なお、規定回数(N)は任意に設定可能な値である。
ステップS26eでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定(単一判定)し、ステップS3に移る。また、ステップS27eでは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一でないと判定(非単一判定)し、ステップS3に移る。
図4に戻って、ステップS3では、ステップS2の比較処理の結果、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定した場合(ステップS3でYES)には、ステップS4に移る。また、単一でないと判定した場合(ステップS3でNO)には、ステップS5に移る。
ステップS4では、単一性判定値(score)の値に比較要素番号(m)の比較要素についての重み係数(wm)を加算して新たな単一性判定値を算出する。つまり、score=score+wmの演算を行う。そして、ステップS5に移る。よって、周辺情報統合部118が請求項の重み付け手段に相当する。
重み係数(wm)は、比較要素ごとに予め設定されている構成とすればよい。重み係数(wm)として全ての比較要素で同じ値を設定する構成としてもよいが、自律センサで検出した周辺車両と車車間通信を行っている周辺車両との単一性をより精度良く判定することができる比較要素ほど大きな値を設定することが好ましい。
ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断については、車両において頻繁に行われるものでなく、周辺車両ごとにタイミングが異なる可能性が高いため、上記単一性をより精度良く判定することができると考えられる。一方、速度については、周辺車両も自車と同程度の速度で走行している場合が多々あることから、上記単一性の判定の精度が劣るものと考えられる。また、相対位置についても、高精度のGPS受信機を用いない限り、一般的なGPS受信機の測位誤差が十数メートル以上はあることから、上記単一性の判定の精度が劣るものと考えられる。
よって、一例として、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断といった比較要素については、速度及び相対位置といった比較要素よりも重み係数を大きく設定する構成とすればよい。また、ブレーキ操作と進路変更とでは、ブレーキ操作の方の頻度が高いと考えられるので、周辺車両ごとにタイミングが異なる可能性がより高いウインカーランプの点灯状態、車線の横断といった比較要素については、ブレーキランプの点灯状態といった比較要素よりも重み係数を大きく設定する構成としてもよい。
ステップS5では、比較要素番号(m)が比較要素番号(m)の最大値(mmax)以上となった場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。一方、最大値(mmax)以上となっていない場合(ステップS5でNO)には、ステップS7に移る。例えば、比較要素が周辺車両の車速、相対位置、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断についての情報の5種類であった場合には、最大値(mmax)は5となる。
ステップS6では、比較要素番号(m)を1に設定し直して、ステップS8に移る。また、ステップS7では、それまで設定されていた比較要素番号(m)に1を加算した値(m+1)を新たな比較要素番号(m)と設定し直して、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。
ステップS8では、単一性判定値(score)の値が閾値(S)以上となった場合(ステップS8でYES)には、ステップS9に移る。一方、閾値(S)以上とならなかった場合(ステップS8でNO)には、ステップS10に移る。閾値(S)は、単一性の判定結果を確定するのに十分と考えられるだけの、単一と判定された比較要素の単一性判定値(score)の合計値程度に設定される値であって、任意に設定可能な値である。
例えば、単一性の判定の精度が劣る比較要素については、複数の比較要素の単一性判定値(score)を合計しなければ超えられない一方、単一性の判定の精度が高い比較要素については、単体の単一性判定値(score)だけでも超えられる程度の値に設定する構成としてもよい。
ステップS9では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)及び通信車両番号(j)の周辺車両の情報同士を統合して、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報としてRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに登録する。また、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)及び通信車両番号(j)の周辺車両が単一の周辺車両であるものと決定し、両者が単一であるものとして上記メモリに登録する構成としてもよい。そして、ステップS12に移る。よって、周辺情報統合部118が請求項の判別手段に相当する。
詳しくは、お互いに共通していない種類の情報については、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報として統合してメモリに登録する。一方、お互いに共通した種類の情報については、一方の情報のみを選択し、選択した情報のみをメモリに登録することで統合する構成としてもよいし、両方の情報を重複してメモリに登録することで統合する構成としてもよい。
なお、周辺情報統合部118が請求項の統合手段に相当する。共通した種類の情報としては、例えば周辺車両の車速、相対位置、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断についての情報の5種類がある。
周辺車両の車速、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断の情報については、車車間通信で周辺車両から受信した情報の方が自律センサを用いて検出した情報よりも精度が高いと考えられる。よって、これらの情報については、受信情報蓄積部113に蓄積された情報を選択するよう予め設定しておけばよい。
一方、周辺車両の相対位置の情報については、自律センサを用いて検出した情報の方が車車間通信で周辺車両から受信した情報よりも精度が高いと考えられる。よって、相対位置の情報については、自律センサ情報蓄積部117に蓄積された情報を選択するよう予め設定しておけばよい。
ステップS10では、通信車両番号(j)が通信車両番号(j)の最大値(jmax)以上となった場合(ステップS10でYES)には、ステップS13に移る。一方、最大値(jmax)以上となっていない場合(ステップS10でNO)には、ステップS11に移る。例えば、車車間通信で車両情報を受信した周辺車両が3台であった場合には、最大値(jmax)は3となる。
ステップS11では、それまで設定されていた通信車両番号(j)に1を加算した値(j+1)を新たな通信車両番号(j)と設定し直して、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。また、ステップS12では、通信車両番号(j)を1に設定し直して、ステップS13に移る。
ステップS13では、自律センサ物標番号(i)が自律センサ物標番号(i)の最大値(imax)以上となった場合(ステップS13でYES)には、フローを終了する。一方、最大値(imax)以上となっていない場合(ステップS13でNO)には、ステップS14に移る。例えば、自律センサを用いて検出された周辺車両が例えば3台であった場合には、最大値(imax)は3となる。ステップS14では、それまで設定されていた自律センサ物標番号(i)に1を加算した値(i+1)を新たな自律センサ物標番号(i)と設定し直して、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。
自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両との情報を統合した後は、例えば統合した情報を用いて、車車間通信可能な自車の先行車への追従走行制御を行ったり、周辺車両との衝突の危険性を判定したりする構成とすればよい。より詳しくは、カーブ路や障害物によって周辺車両を自律センサで検出できない状態が生じた場合にも、統合した情報を用いることで、その周辺車両から車車間通信で受信した情報を利用して制御を行うようにする構成とすればよい。
以上の構成によれば、自律センサを用いて検出した周辺車両(センサ検出車両)と車車間通信で受信した周辺車両(車車間通信車両)のウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断状態が一致しているか否かによって、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両とが一致しているか否かを判定することができる。
周辺車両のウインカーランプやブレーキランプの点灯(点滅)や車線の横断は、頻繁に生じるものではなく、周辺車両ごとに個別のタイミングとなる可能性が高い。よって、以上のように、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断状態が一致している場合には、センサ検出車両と車車間通信車両とが一致している可能性が高いと考えられる。
以上の構成によれば、センサ検出車両と車車間通信車両との、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断状態がお互いに一致するか否かの判定結果をもとに、センサ検出車両と車車間通信車両との一致不一致を決定するので、自車と車車間通信を行っている周辺車両と、自車の自律センサで検出している周辺車両との一致をより精度良く判別することが可能になる。
また、以上の構成によれば、自律センサで検出した周辺車両と車車間通信を行っている周辺車両との単一性をより精度良く判定することができる比較要素ほど大きな重み係数を設定しているので、上記単一性をより精度良く判定することができる比較要素ほど、単一非単一の決定への影響を強くすることができる。よって、上記単一性をより精度良く決定することが可能になる。
前述の実施形態では、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両との一致不一致の決定を、複数の比較要素を用いて行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1種類の比較要素について前述の単一判定がされた場合に、比較を行った周辺車両同士の一致を決定する構成としてもよい。
また、比較要素として、周辺車両の車速、相対位置、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、及び車線の横断の状態についての情報を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、これらの情報のうちの一部を用いる構成としてもよい。
なお、ある比較要素について、同一と判定される、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両との組み合わせが1体1で決まらない場合(つまり、候補車両を1つに絞り込めなかった場合)には、その比較要素については判定不能として、他の比較要素の判定結果をもとに両周辺車両の一致不一致を決定する構成とすればよい。
また、前述の実施形態では、単一判定された比較要素の、重み係数を含む単一性判定値(score)の合計値が閾値(S)以上か否かによって、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両との一致不一致を決定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、複数の比較要素のそれぞれについて優先度を設定し、単一非単一を判定できなかった比較要素を除く比較要素(つまり、単一非単一を判定できた比較要素)のうち、優先度が最も高いものの判定結果に従って上記一致不一致を決定する構成としてもよい。よって、周辺情報統合部118が請求項の優先度設定手段に相当する。
これによれば、自律センサで検出した周辺車両と車車間通信を行っている周辺車両との単一性をより精度良く判定することができる比較要素ほど優先度を高く設定するので、単一非単一を判定できた比較要素のうち、上記単一性をより精度良く判定することができる比較要素に従って、単一非単一を決定することができる。よって、上記単一性をより精度良く決定することが可能になる。
なお、単一非単一を判定できなかった場合とは、候補車両を1つに絞り込めなかった場合であり、これを除く場合とは、非単一と判定した場合及び候補車両を1つに絞り込めた場合に相当する。
各比較要素についての優先度の高低は、前述の重み係数の大小の設定と同じ観点によって設定すればよい。つまり、ウインカーランプの点灯状態、ブレーキランプの点灯状態、車線の横断といった比較要素については、速度及び相対位置といった比較要素よりも優先度を高く設定する構成とすればよい。また、ウインカーランプの点灯状態、車線の横断といった比較要素については、ブレーキランプの点灯状態といった比較要素よりも優先度を高く設定する構成とすればよい。
他にも、ある比較要素について、同一と判定される、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両との組み合わせが1体1で決まらない場合(つまり、候補車両を1つに絞り込めなかった場合)に、以下のようにする構成(以下、変形例1)としてもよい。ここで、図10のフローチャートを用いて、変形例1における周辺情報統合部118の動作フローの一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、比較要素が1つの場合を例に挙げて説明を行う。なお、前述の図4のフローと共通する処理については説明を省略若しくは簡略化する。
まず、ステップS101では、初期設定を行ってステップS102に移る。初期設定では、自律センサ物標番号(i)=1、通信車両番号(j)=1、候補車両数(ncand)=0と設定する。
ステップS102では、比較要素について、自律センサ物標番号(i)の周辺車両の情報と通信車両番号(j)の周辺車両の情報との比較処理を行って、ステップS103に移る。比較要素は前述したうちのいずれであってもよい。
ステップS103では、ステップS102の比較処理の結果、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定した場合(ステップS103でYES)には、ステップS104に移る。また、単一でないと判定した場合(ステップS103でNO)には、ステップS106に移る。
ステップS104では、候補車両として通信車両番号(j)の周辺車両をリストに登録する。このリストは、周辺情報統合装置11の例えばRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに記憶する構成とすればよい。
ステップS105では、候補車両数(ncand)に1を加算した値(ncand+1)を新たな候補車両数(ncand)と設定し直して、ステップS106に移る。
ステップS106では、通信車両番号(j)が通信車両番号(j)の最大値(jmax)以上となった場合(ステップS106でYES)には、ステップS108に移る。一方、最大値(jmax)以上となっていない場合(ステップS106でNO)には、ステップS107に移る。ステップS107では、それまで設定されていた通信車両番号(j)に1を加算した値(j+1)を新たな通信車両番号(j)と設定し直して、ステップS102に戻ってフローを繰り返す。
ステップS108では、候補車両数(ncand)が0の場合(ステップS108で「=0」)には、ステップS111に移る。候補車両数(ncand)が1の場合(ステップS108で「=1」)には、ステップS109に移る。候補車両数(ncand)が2以上の場合(ステップS108で「≧2」)には、ステップS110に移る。
ステップS109では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)及び通信車両番号(j)の周辺車両の情報同士を前述したように統合して、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報としてRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに登録する。そして、ステップS111に移る。
ステップS110では、判定要件行動の依頼処理を行って、ステップS111に移る。判定要件行動の依頼処理では、比較に用いた比較要素を変化させる行動を周辺車両に促すための信号(以下、判定行動要求)を無線通信装置8から送信させる。この場合、候補車両に該当する周辺車両の通信車両番号(本実施形態の例では車両ID)を判定行動要求に付与し、その車両IDに対応する周辺車両でのみ後述の判定要件対応処理が行われる構成とすることが好ましい。
判定行動要求としては、比較要素を変化させる行動を周辺車両のドライバがとるように促す通知(以下、行動変化要求通知)を、周辺車両において行わせるための信号であってもよいし、比較要素を変化させる行動(以下、行動変化制御)を周辺車両に自動で行わせるための信号であってもよい。よって、周辺情報統合部118が請求項の通知信号送信手段及び自動制御信号送信手段に相当する。
例えば、比較要素が車速であった場合には、微小な加減速を行わせるための判定行動要求を送信させる構成とすればよい。また、比較要素がブレーキランプの点灯状態であった場合には、微小な時間だけブレーキランプの点灯を行わせるための判定行動要求を送信させる構成とすればよい。
なお、判定行動要求として、行動変化制御を周辺車両に自動で行わせるための情報を送信させる場合には、各周辺車両で異なるタイミングで当該行動を行わせるように制御開始のタイミングを指示する構成とすればよい。例えば、車両IDごとに異なる制御開始時刻を付与した判定行動要求を送信させることにより、受信した周辺車両において、自車の車両IDに対応した制御開始時刻に制御開始できるようにすればよい。
ここで、図11のフローチャートを用いて、判定行動要求の送信を受ける周辺車両の周辺情報統合装置11における処理についての説明を行う。本フローは、例えば周辺情報統合装置11の電源がオンになったときに開始し、電源がオフになったときに終了する。
ステップS201では、無線通信装置8で判定行動要求を受信したか否かを周辺情報統合装置11が判定する。例えば、無線通信装置8から判定行動要求が周辺情報統合装置11に入力されたことをもとに、無線通信装置8で判定行動要求を受信したと判定する構成とすればよい。
そして、判定行動要求を受信したと判定した場合(ステップS201でYES)には、ステップS202に移る。また、判定行動要求を受信したと判定しなかった場合(ステップS201でNO)には、ステップS201のフローを繰り返す。
ステップS202では、判定行動要求に従った処理(以下、判定要件対応処理)を行って、ステップS201に戻り、フローを繰り返す。判定要件対応処理としては、判定行動要求が、行動変化要求通知を周辺車両において行わせるための情報であった場合には、当該行動変化要求通知を情報通知装置9に行わせる。また、判定行動要求が、行動変化制御を周辺車両に自動で行わせるための情報であった場合には、当該行動変化制御を行うように車両制御装置10に指示を行う。
一例としては、判定行動要求が、ブレーキランプの点灯をドライバが行うように促す通知を行わせる要求であった場合には、一瞬だけブレーキ操作を行うようにドライバに促す通知を情報通知装置9に行わせる。他の一例としては、判定行動要求が、速度を自動で変化させる要求であった場合には、微小な加減速を行うように車両制御装置10に指示を行う。
図10に戻って、ステップS111では、通信車両番号(j)を1に設定し直して、ステップS112に移る。ステップS112では、自律センサ物標番号(i)が自律センサ物標番号(i)の最大値(imax)以上となった場合(ステップS112でYES)には、フローを終了する。一方、最大値(imax)以上となっていない場合(ステップS112でNO)には、ステップS113に移る。
ステップS113では、それまで設定されていた自律センサ物標番号(i)に1を加算した値(i+1)を新たな自律センサ物標番号(i)と設定し直すとともに、候補車両数(ncand)を0に設定し直して、ステップS102に戻ってフローを繰り返す。
以上の構成によれば、候補車両が1つに絞り込めなかった場合に、判定行動要求を周辺車両に送信することによって、周辺車両において比較要素の状態や値を変化させるよう促すことができる。例えば行動変化要求通知を行う場合には、この通知に従った車両操作を行うタイミングはドライバごとにずれが生じる筈であるので、再度その比較要素について比較を行うことで、候補車両を1つに絞り込むことが可能になる。また、行動変化制御を行う場合には、周辺車両ごとに制御開始のタイミングが異なるように制御を行うので、再度その比較要素について比較を行うことで、候補車両を1つに絞り込むことが可能になる。
なお、変形例1では、比較要素が1つの場合の例を挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。比較要素が複数の場合にも、比較要素の比較の結果、単一判定される周辺車両が複数存在した場合(つまり、候補車両が2つ以上の場合)に、その比較要素についての行動変化要求を送信させ、再度その比較要素について比較を行うことで、候補車両を1つに絞り込む構成とすればよい。
さらに、単一と一旦決定した周辺車両同士が、再度の比較車両の結果、単一でないと決定された場合に、それに応じた処理を行う構成(以下、変形例2)としてもよい。ここで、図12のフローチャートを用いて、変形例2における周辺情報統合部118の動作フローの一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、比較要素が1つの場合を例に挙げて説明を行う。なお、前述の図4のフローと共通する処理については説明を省略若しくは簡略化する。
まず、ステップS301では、初期設定を行ってステップS302に移る。初期設定では、自律センサ物標番号(i)=1、通信車両番号(j)=1と設定する。また、全ての自律センサ物標番号(i)について、Ai=Nullと設定される。Ai=Nullは、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と単一と決定された通信車両番号(j)の周辺車両が存在しないことを示す。
ステップS302では、比較要素について、自律センサ物標番号(i)の周辺車両の情報と通信車両番号(j)の周辺車両の情報との比較処理を行って、ステップS303に移る。比較要素は前述したうちのいずれであってもよい。
ステップS303では、ステップS302の比較処理の結果、自律センサ物標番号(i)の周辺車両と通信車両番号(j)の周辺車両とが単一と判定した場合(ステップS303でYES)には、ステップS304に移る。また、単一でないと判定した場合(ステップS303でNO)には、ステップS312に移る。
ステップS304では、1回前(前回)の比較処理の結果、自律センサ物標番号(i)と単一の周辺車両として、この処理の時点で設定されている通信車両番号(j)の周辺車両が登録されていない(Ai≠j)か否かを判定する。例えば、システム起動してから最初の比較処理の結果の場合には、Ai=Nullであるものとする。
そして、Ai≠jと判定した場合(ステップS304でYES)には、ステップS305に移る。また、Ai=jと判定した場合(ステップS304でNO)には、ステップS306に移る。
ステップS305では、自律センサ物標番号(i)の周辺車両の情報の統合対象の変更を車両制御装置10に通知し、ステップS306に移る。上記変更の通知を受けた車両制御装置10は、例えば変更前の自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報を用いた処理を一時中断する。そして、続くステップS306で新たに統合された自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報を用いて、処理を再開するものとする。
ステップS306では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)及び通信車両番号(j)の周辺車両の情報同士を前述したように統合して、自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報としてRAMやEEPROM等の電気的に書き換え可能なメモリに登録する。そして、ステップS307に移る。
ステップS307では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)及び通信車両番号(j)の周辺車両が単一(Ai=j)であるものとして上記メモリに登録する。ステップS308では、通信車両番号(j)を1に設定し直して、ステップS309に移る。
ステップS309では、自律センサ物標番号(i)が自律センサ物標番号(i)の最大値(imax)以上となった場合(ステップS309でYES)には、フローを終了する。一方、最大値(imax)以上となっていない場合(ステップS309でNO)には、ステップS310に移る。ステップS310では、それまで設定されていた自律センサ物標番号(i)に1を加算した値(i+1)を新たな自律センサ物標番号(i)と設定し直して、ステップS302に戻ってフローを繰り返す。
また、ステップS303において単一でないと判定した場合のステップS311では、通信車両番号(j)が通信車両番号(j)の最大値(jmax)以上となった場合(ステップS311でYES)には、ステップS313に移る。一方、最大値(jmax)以上となっていない場合(ステップS311でNO)には、ステップS312に移る。ステップS312では、それまで設定されていた通信車両番号(j)に1を加算した値(j+1)を新たな通信車両番号(j)と設定し直して、ステップS302に戻ってフローを繰り返す。
ステップS313では、1回前(前回)の比較処理の結果、自律センサ物標番号(i)と単一の周辺車両として、この処理の時点で設定されている通信車両番号(j)の周辺車両が登録されていない(Ai≠Null)か否かを判定する。例えば、システム起動してから最初の比較処理の結果の場合には、Ai=Nullであるものとする。
そして、Ai≠Nullと判定した場合(ステップS313でYES)には、ステップS314に移る。また、Ai=Nullと判定した場合(ステップS313でNO)には、ステップS315に移る。
ステップS314では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)の周辺車両の車両情報の統合対象の消失を車両制御装置10に通知し、ステップS315に移る。よって、周辺情報統合部118が請求項の不一致通知手段に相当する。上記消失の通知を受けた車両制御装置10は、例えば変更前の自律センサ物標番号(i)の周辺車両についての車両情報を用いた処理を中断する構成とすればよい。
ステップS315では、この処理の時点で設定されている自律センサ物標番号(i)の周辺車両と単一の、車車間通信で車両情報を受信している周辺車両が存在しない(Ai=Null)ものとして上記メモリに登録する。そして、ステップS309に移る。
以上の構成によれば、単一と一旦決定した、自車の自律センサを用いて検出した周辺車両と、車車間通信を行っている周辺車両とが、再度の比較車両の結果、単一でないと決定された場合に、これら周辺車両についての情報を統合した情報を車両制御装置10で用いないようにすることなどが可能になる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。