本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<A.課題および解決手段の概要>
本発明の実施の形態に従う画像形成装置および表示方法について、関連技術における課題とともにその概要を説明する。
図1は、本発明に関連する技術における課題を説明するための図である。図2は、本発明の実施の形態に従う解決手段の概要を説明するための図である。
以下、タッチパネルを採用した操作パネルを有する画像形成装置を一例として説明する。典型的には、画像形成装置の操作パネルでは、ジョブの一覧を示すジョブリスト画面や宛先の一覧を示す宛先リスト画面などが表示される。このようなリスト表示形式では、表示される情報量が多くなりがちである。そのため、これらの情報を示す操作表示画像は隣接して配置せざるを得ない。
このような多くの情報を表示する必要のあるリスト表示形式の画面に対してユーザーが操作を行なう際に、複数の操作表示画像(ボタンやリストの項目)を誤って同時に押下してしまった場合の処理について検討する。例えば、いずれか一方の操作表示画像のみが選択されたと認識する方法、あるいは、いずれも選択されていないと認識する方法が考えられる。しかしながら、前者の方法では、ユーザーの意図とは異なる操作が実行される可能性がある。また、後者の方法では、操作パネルが反応しないので、ユーザーは自身の操作が無視されたと認識してしまう可能性がある。その結果、前者の方法および後者の方法のいずれにおいても、ユーザーのタッチ操作では、何度も操作のやり直しが必要となる状態に陥る可能性がある。
上述の特開2006−285598号公報(特許文献3)に開示されるように、ユーザー操作が検知不能と判断されると、表示形態を変更するという方法も考えられるが、画像形成装置にこの方法を採用した場合には、ジョブや宛先選択の認識に必要な情報が消えてしまうという課題が発生し得る。
そこで、本実施の形態に従う画像形成装置においては、操作パネルにおいて隣接して表示されている表示操作画像(ボタンやリストの項目)の複数が同時に押下されたことが検知されると、同時に押下された複数の表示操作画像のうち少なくとも一つの表示位置を所定方向に沿ってシフトさせることで、より認識性を高める。
典型的には、図1に示すように、リスト表示形式に含まれる各項目を段違いまたは階段状に表示する。すなわち、図1に示すジョブリスト画面において、1ジョブ目および2ジョブ目の2つの表示エリアがユーザーによって押下された例を示す。この例では、2ジョブ目以降の各ジョブが所定距離ずつ紙面右方向のずれた状態の表示に切り替わる。このように表示を切り替える結果、ユーザーは2ジョブ目を正しく選択することができる。
より具体的には、隣接して表示されている複数の表示操作画像(ボタン)に対して、複数の表示操作画像が同時に押下された際、押下時のユーザーの指が接地した領域を検知して、その接地した領域の水平方向の値に応じたシフト量ずつシフトさせて表示する。
さらに、本実施の形態に従う画像形成装置は、このような表示操作画像の表示位置のシフトとともに、表示操作画像の表示位置のシフトによって操作パネルの表示可能エリアから欠落することになる情報を特定するとともに、当該特定した情報の少なくとも一部の表示を維持する。
より具体的には、図2に示すように、ユーザーの操作により複数の表示操作画像が同時に押下されたことが検知されると、隣接するリストの項目の表示位置を水平方向へシフトさせる。これにより、リストの各項目についての独立した検知エリアが提供される。一方で、シフト表示することにより、ユーザーが項目を認識する上で必要な情報が表示されなくなる場合がある。
例えば、宛先リスト画面においていずれかの宛先を選択する場合、上述のような階段状に表示すると、シフト前に端に位置していた項目(図2の例では、右側に配置されていた項目)については、表示可能エリアの外にでてしまうので、一番端にユーザーが必要な宛先の名前が位置していたような場合には、宛先自体を探せなくなる可能性がある。
そこで、本実施の形態は、リスト内に表示する情報の位置や表示態様を適切に制御することにより、リストなどをシフト表示した場合であっても、ユーザーが必要な情報を正確に識別でき、かつ入力ミスの少ない操作パネルを提供する。これにより、操作ミスを低減させる。
本明細書において「表示操作画像」は、操作パネル上に表示される任意の画像であって、ユーザーによる操作(選択操作/押下操作)に応答して、何らかの表示の更新が実行され得るものを含む。「表示操作画像」は、典型的には、操作パネル上に表示される各種操作を指示するボタンや、上述のジョブリスト画面や宛先リスト画面を構成する各項目を含む。但し、このようなボタンや項目に限られることなく、ユーザーが何らかの動作や処理を希望する場合に操作または認識などするために用意された任意の画像を含む。
<B.画像形成装置の構成>
本実施の形態に従う画像形成装置100の構成について説明する。
(b1:装置構成)
図3は、本実施の形態に従う画像形成装置100の概略断面図である。
図3を参照して、画像形成装置100は、自動原稿送り装置2と、イメージスキャナー3と、プリントエンジン4と、給紙部5と、制御部6とを含む。
自動原稿送り装置2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラー22と、レジストローラー23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上にセットされ、送出ローラー22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラー23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するイメージスキャナー3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
イメージスキャナー3は、撮像デバイス33と、原稿台35とを含む。撮像デバイス33は、被写体である原稿に対する相対位置を時間的に変化させて、原稿の画像を読み取って画像データ(以下「スキャン画像」とも称す。)を生成する。撮像デバイス33は、主要な構成要素として、原稿に対して光を照射する光源と、光源から照射された光が原稿で反射して生じる画像を取得するイメージセンサーと、イメージセンサーから画像信号を出力するためのAD(Analog to Digital:アナログデジタル)変換器と、イメージセンサーの前段に配置された結像光学系とを含む。イメージセンサーとしては、典型的には、CCD(Coupled Charged Device)イメージセンサーや、密着イメージセンサー(Contact Image Sensor)が用いられる。なお、スキャン対象の原稿は、原稿台35にセットされることもできる。
プリントエンジン4は、一例として、電子写真方式の画像形成プロセスが実行される。具体的には、フルカラーのプリント出力が可能である。具体的には、プリントエンジン4は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を生成するイメージング(作像)ユニット44Y,44M,44C,44Kを含む。イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、プリントエンジン4内に張架されて駆動される転写ベルト27に沿って、その順序に配置される。
イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、それぞれ画像書込部43Y,43M,43C,43Kと、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kとを含む。画像書込部43Y,43M,43C,43Kの各々は、対象のプリントデータに含まれる各色イメージに応じたレーザ光を発するレーザダイオードと、このレーザ光を偏向して対応の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面を主走査方向に露光させるポリゴンミラーとを含んでいる。
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面には、上述のような画像書込部43Y,43M,43C,43Kによる露光によって静電潜像が形成され、この静電潜像がそれぞれ対応するトナーユニット441Y,441M,441C,441Kから供給されるトナー粒子によってトナー像として現像される。
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面に現像された各色のトナー像は、転写ベルト27に順次転送される。さらに、この転写ベルト27上に重ねられたトナー像は、給紙部5からタイミングを合わせて供給される記録紙にさらに転写される。
この記録紙上に転写されたトナー像は、下流部に配置された定着部において定着された後、トレイ57に排出される。
上述の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kにおける動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラー52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラー55および56ならびにタイミングローラー51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ベルトを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ローラーを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラー、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
定着装置47は、加熱ローラー471と加圧ローラー472とを含む。加熱ローラー471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラー471と加圧ローラー472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ベルトを用いた定着方式に代えて、定着ローラー等用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラー、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kを用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
IDCセンサー49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検知する。このIDCセンサー49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサーであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検知する。
制御部6は、画像形成装置100における全体の制御を司る。
(b2:制御構成)
図4は、本実施の形態に従う画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。
図4を参照して、画像形成装置100は、その制御構成として、イメージスキャナー3と、プリントエンジン4と、制御部6と、操作パネル7と、ネットワークコントローラー8とを含む。
制御部6は、画像形成装置100の全体制御を司る。より具体的には、制御部6は、主たる構成要素として、制御手段としての画像制御CPU(Central Processing Unit)61と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御IC(Integrated Circuit)62と、揮発性メモリーであるDRAMからなる画像メモリー63と、HDD(Hard Disk Drive)64と、コントローラーIC65と、圧縮/伸張IC66と、不揮発性メモリー67と、RTC(Real Time Clock)68とを含む。
画像制御CPU61は、不揮発性メモリー67に格納されている各種プログラムなどを実行することで、画像形成装置100における画像形成に係る処理などを実行する。より具体的には、画像制御CPU61は、プログラムに含まれる命令に従って、イメージスキャナー3、プリントエンジン4、および操作パネル7へそれぞれ指令を与えることで、画像形成に係る動作を実現する。不揮発性メモリー67は、典型的には、フラッシュメモリーなどからなり、画像制御CPU61で実行される各種プログラムなどを不揮発的に格納する。RTC68は、計時処理を行なう回路であり、画像制御CPU61に対して日時の情報を供給する。
画像形成装置100に入力された画像データやイメージスキャナー3などによって取得された画像データは、画像メモリー63および/またはHDD64へ格納される。DRAM制御IC62は、画像メモリー63からのデータの読み出し/書き込みを制御する。すなわち、DRAM制御IC62は、読み出し処理ロジック621および書き込み処理ロジック622を含む。画像メモリー63は、圧縮メモリー631およびページメモリー632を含む。圧縮メモリー631には、よりデータ容量を削減することが要求される画像データが圧縮された状態で格納される。圧縮/伸張IC66は、画像データを圧縮して圧縮メモリー631へ格納し、圧縮メモリー631から読み出された圧縮された画像データを伸張する。ページメモリー632には、ページ単位で非圧縮のデータが格納される。コントローラーIC65は、画像データをHDD64へ書き込み、HDD64から画像データを読み出す。
イメージスキャナー3は、上述した撮像デバイス33などに加えて、スキャナー制御部36を含む。スキャナー制御部36は、画像制御CPU61からの指令に従って、イメージスキャナー3における全体の制御を司る。
プリントエンジン4は、上述した画像書込部43Y,43M,43C,43K(「画像書込部43」と総称して記す)に加えて、プリントエンジン制御部48を含む。プリントエンジン制御部48は、画像制御CPU61からの指令に従って、プリントエンジン4における全体の制御を司る。
操作パネル7は、ユーザーによるタッチ操作を受け付ける表示操作部である。より具体的には、操作パネル7は、表示部であるLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)71と、タッチ操作を受け付けるタッチパネルである感圧部72と、操作パネル制御部73とを含む。操作パネル制御部73は、画像制御CPU61からの指令に従って、メニュー画面やリスト画面をLCD71に表示させるとともに、感圧部72による検知結果を画像制御CPU61へ出力する。以下に詳述する実施の形態においては、操作パネル7における表示処理を中心として説明する。
ネットワークコントローラー8は、パーソナルコンピューターなどとの間でデータを遣り取りするインターフェイスである。より具体的には、ネットワークコントローラー8は、通信回線を介して信号を遣り取りするLANインターフェイス(I/F)81と、LANインターフェイス81を制御するLAN制御部82と、通信回線を介して遣り取りされるデータを一次的に格納する画像メモリー83と、画像メモリー83に対するデータの読み出し/書き込みを制御するDRAM制御IC84と、ネットワーク制御部85とを含む。ネットワーク制御部85は、画像制御CPU61からの指令に従って、ネットワークコントローラー8における全体の制御を司る。
後述する実施の形態に従う表示方法は、典型的には、画像制御CPU61がプログラムを実行することで実現されるが、これに代えて、その処理の全部または一部を専用のハードウェアを用いて実現してもよい。また、画像制御CPU61がプログラムを実行する場合には、そのプログラムは、各種の記録媒体を介して画像形成装置100にインストールされ、あるいは、通信回線を介して図示しないサーバー装置などからダウンロードされてもよい。
<C.実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1に従う画像形成装置100およびその画像形成装置100における表示方法について説明する。
(c1:概要)
実施の形態1に従う画像形成装置100の制御部6は、操作パネル7(表示操作部)において隣接して表示されている表示操作画像(ボタンやリストの項目)の複数が同時に押下されたことを検知すると、ユーザーによって押下された検知領域の水平方向(第1方向)の長さを取得する。後述するように、表示操作画像の各々は、異なる属性値をもつ複数の情報を有している。さらに、画像形成装置100の制御部6は、同時に押下された複数の表示操作画像のうち少なくとも一つの表示位置を、取得された水平方向の長さに応じて水平方向に沿ってシフトさせる。このとき、画像形成装置100の制御部6は、表示操作画像の表示位置のシフトによって操作パネル7の表示可能エリアから欠落することになる情報を特定するとともに、当該特定した情報の少なくとも一部の表示を維持する。より具体的には、この欠落することになる情報の表示を維持する具体的な手段として、画像形成装置100の制御部6は、欠落すると特定した情報の表示優先度に応じて、表示操作画像に含まれる他の情報との間で表示順序を並び替える。
(c2:表示例)
図5〜図7は、本発明の実施の形態1に従う画像形成装置100が提供するユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。図5〜図7には、ユーザーインターフェイス画面の一例として、ジョブの一覧を示すジョブリスト画面の表示例を示す。より具体的には、各ジョブは、属性1としての番号(No.)の情報と、属性2としての種別の情報と、属性3としてのファイル名の情報と、属性4としての登録時間の情報と、属性5としての枚数の情報と、属性6として状態/結果の情報とを含む。各ジョブについて、これらの異なる属性値を有する複数種類の情報が表示される。
図5に示すように、リスト表示形式に含まれる各項目を段違いまたは階段状に表示する際に、単純なシフトを実施する情報が欠落する場合がある。すなわち、表示位置をシフトさせる余地がなければ、シフト表示によって、必然的に一部の情報が表示可能エリアの外へでることになる。図5の例では、最も下段に位置していたジョブについては、属性1の番号の情報しか表示されないことになる。
そこで、実施の形態1においては、シフトされる対象の表示操作画像に含まれる情報のうち、シフトによって操作パネル7の表示可能エリアから欠落することになる領域に相対的に表示優先度の高い情報が含まれる場合には、表示操作画像に含まれる情報の表示順序を入れ替える。ここで、「表示優先度」とは、基本的には、操作するユーザーが認識したいと考えるであろう情報を意味し、各種方法によって決定される。典型的には、ユーザーが予め設定しておいてもよいし、ユーザー操作に応じて動的に表示優先度を決定してもよい。この表示優先度の決定に係る処理については、後述する。
例えば、図5〜図7に示すジョブリスト画面においては、ユーザーは各ジョブの内容をファイル名で特定することができるので、属性3を有するファイル名の情報に対して、より高い表示優先度が設定されているものとする。図5〜図7には、いずれもすべてのジョブについて、対応するファイル名の情報が操作パネルから消えることなく、表示され続ける例を示す。
より具体的には、図5には、すべてのジョブにおいて、ファイル名の情報が先頭(最も左側)に位置するようにレイアウトされている例を示す。図6には、表示可能エリアからファイル名の情報が欠落するジョブ(下2段分)についてのみ、ファイル名の情報の表示順序が入れ替えられる例を示す。図7には、表示されるジョブの間で、ファイル名の情報が一列に並ぶように表示順序が入れ替えられる例を示す。
図5〜図7には、それぞれのジョブが右側にシフトする例を示すが、左側にシフトするようにしてもよい。
上述の図2において示したように、各ジョブのシフト量xについては、ユーザーがタッチパネルを接触した範囲(エリア)の水平方向の長さに応じて決定されてもよい。典型的には、ユーザーの指のタッチパネルへの接触エリアの幅がxであれば、同じ幅xずつ各ジョブをシフトさせてもよい。この場合、最上段のジョブについては当初の位置に維持され、2番目のジョブについての当初の位置からのシフト量はxであり、3番目のジョブについての当初の位置からのシフト量は2xとなる。以下、同様に、シフト量xの倍数で、それぞれのジョブの表示位置がシフトされる。このように、水平方向(第1方向)と直交する垂直方向(第2方向)において、シフト対象のジョブを示す表示操作画像が複数存在する場合には、当該複数の表示操作画像のシフト量を互いに異ならせることで、複数の表示操作画像が階段状に表示される。
あるいは、接触エリアの幅xに関する所定の関数に従って、各ジョブのシフト量を決定してもよい。このときも上述と同様に、ジョブ毎にシフト量を異ならせることで、階段状の表示を実現できる。
上述したように、実施の形態1に従う画像形成装置は、表示可能エリアから情報が欠落する領域を検知し、当該検知された欠落する領域に表示優先度の高い情報が含まれる場合には、表示操作画像内に配置される情報を対応する表示優先度に応じて並び替えを行なう。これによって、高い表示優先度を有する情報をその内部に含む表示操作画像をそれぞれ生成し、これらの表示操作画像を互いに隣接して表示させることで、階段状表示を実現する。このような階段状表示を採用することで、ユーザーによる操作ミスが少なく、効率的に操作可能な操作パネル7を実現できる。
(c3:制御構造)
次に、実施の形態1に従う画像形成装置100における制御構造について説明する。
図8は、実施の形態1に従う画像形成装置100の制御構造を示すブロック図である。図8を参照して、画像形成装置100の制御部6は、その制御構造として、取得モジュール601と、表示変更モジュール602と、シフトモジュール603と、表示バッファメモリー604と、優先度設定モジュール605と、特定モジュール606と、記憶部607,609とを含む。記憶部607は、ステータス情報608を格納し、記憶部609は、表示優先度テーブル610を格納する。上述の各モジュールは、典型的には、制御部6の画像制御CPU61がプログラムを実行することによって実現される。また、記憶部607,609は、画像メモリー63などの領域の一部を利用して実現される。これらの機能構成の一部または全部を専用のハードウェアで実現してもよい。
取得モジュール601は、感圧部72による検知値および表示バッファメモリー604が保持する表示信号に基づいて、操作パネル7において隣接して表示されている表示操作画像の複数が同時に押下されたか否かを判断する。さらに、取得モジュール601は、操作パネル7において隣接して表示されている表示操作画像の複数が同時に押下されたことを検知すると、押下された領域の水平方向の長さを取得する。取得モジュール601により取得された水平方向長さは、表示変更モジュール602およびシフトモジュール603へ伝達される。
シフトモジュール603は、同時に押下された複数の表示操作画像のうち少なくとも一つの表示位置を、取得モジュール601によって取得された水平方向の長さに応じて水平方向に沿ってシフトさせる。より具体的には、シフトモジュール603は、表示変更モジュール602から出力される表示情報に基づいて、水平方向の長さに応じて決定されたシフト量に応じた階段状の表示を行なうための描画命令を生成し、表示バッファメモリー604へ出力する。シフトモジュール603は、水平方向と直交する垂直方向において、シフト対象の表示操作画像が複数存在する場合に、当該複数の表示操作画像のシフト量を互いに異ならせることで、複数の表示操作画像を階段状に表示させる。
表示バッファメモリー604は、シフトモジュール603からの描画命令に従って、操作パネル7のLCD71上に画像を表示するための表示信号を生成および保持する。
表示変更モジュール602は、記憶部607に格納されているステータス情報608を参照して、操作パネル7上に表示すべき表示情報を生成して、シフトモジュール603へ出力する。ここで、表示変更モジュール602は、表示操作画像の表示位置のシフトによって操作パネル7の表示可能エリアから欠落することになる情報を特定するとともに、当該特定した情報の少なくとも一部の表示を維持できるように、表示情報を更新する。より具体的には、表示変更モジュール602は、特定した情報の表示優先度に応じて、表示操作画像に含まれる他の情報との間で表示順序を並び替える。上述したように、表示操作画像の各々は、異なる属性値をもつ複数の情報を有している。
ステータス情報608は、画像形成装置100における状態を示すステータス情報608を保持している。このステータス情報608は、画像形成装置100における処理進行に伴って、逐次更新される。
優先度設定モジュール605は、表示操作画像に含まれる情報の属性値に関連付けて表示優先度を設定する。優先度設定モジュール605によって設定される表示優先度は、表示優先度テーブル610として、記憶部609に格納される。表示変更モジュール602は、表示操作画像に含まれる情報の表示順序を並び替える際に、設定された表示優先度に基づく順序に従って、表示操作画像内の情報を配置する。
さらに、優先度設定モジュール605は、設定された表示優先度に基づく順序に従って常に情報を配置する(第1モード)と、シフト手段による表示位置のシフト時に限って、設定された表示優先度に基づく順序に従って情報を配置する第2モードとの選択を受け付ける。このモード選択に応じて、表示変更モジュール602は、表示操作画像に含まれる情報の表示順序の並び替えに係る処理を切り替える。
特定モジュール606は、感圧部72による検知値および表示バッファメモリー604が保持する表示信号に基づいて、表示操作画像に含まれる情報のうち押下された情報を特定する。表示変更モジュール602は、特定モジュール606によって特定された情報に対応する属性値をもつ情報を最も高い表示優先度として情報を配置する。すなわち、ユーザーが選択した情報に対して最も高い表示優先度を設定する。
上述したような表示優先度に関する処理については、後に詳述する。
(c4:処理手順)
次に、実施の形態1に従う画像形成装置100における処理手順について説明する。
図9は、実施の形態1に従う画像形成装置100における処理手順を示すフローチャートである。図9に示す各ステップは、典型的には、画像形成装置100の制御部6がプログラムを実行することによって実現される。また、図9に示す処理手順は、所定周期毎に起動される。
図9を参照して、画像形成装置100の制御部6(取得モジュール601)は、操作パネル7の感圧部72によって検知されたユーザーが押下した接触エリアを取得する(ステップS100)。続いて、制御部6(取得モジュール601)は、ステップS100において取得した接触エリアに複数の表示操作画像が含まれているか否かを判断する(ステップS102)。接触エリアに複数の表示操作画像が含まれていない場合(ステップS102においてNOの場合)には、処理は終了する。
これに対して、接触エリアに複数の表示操作画像が含まれている場合(ステップS102においてYESの場合)には、制御部6(シフトモジュール603)は、現時点で階段状の表示が有効化されているか否かを判断する(ステップS104)。現時点で階段状の表示が有効化されている場合(ステップS104においてYESの場合)には、処理は終了する。
これに対して、現時点で階段状の表示が有効化されていない場合(ステップS104においてNOの場合)には、制御部6(シフトモジュール603)は、ステップS100において取得された接触エリアの幅に応じたシフト量を決定し、当該決定したシフト量に基づいて階段状の表示を内部的に生成する(ステップS106)。続いて、制御部6(表示変更モジュール602)は、ステップS106において生成された階段状の表示において欠落する情報があるか否かを判断する(ステップS108)。階段状の表示において欠落する情報がない場合(ステップS108においてNOの場合)には、処理はステップS114へ進む。
これに対して、階段状の表示において欠落する情報がある場合(ステップS108においてYESの場合)には、制御部6(表示変更モジュール602)は、当該欠落する情報に表示優先度が相対的に高い情報が含まれているか否かを判断する(ステップS110)。当該欠落する情報に表示優先度が相対的に高い情報が含まれていない場合(ステップS110においてNOの場合)には、処理はステップS114へ進む。
当該欠落する情報に表示優先度が相対的に高い情報が含まれている場合(ステップS110においてYESの場合)には、制御部6(表示変更モジュール602)は、対象の表示操作画像に含まれている情報の表示順序を並び替える(ステップS112)。
最終的に、制御部6(表示バッファメモリー604)は、シフトモジュール603および表示変更モジュール602での処理によって生成された表示信号に基づいて、操作パネル7の表示を更新する(ステップS114)。そして、処理は終了する。
(c5:優先度設定(その1))
次に、優先度設定モジュール605における表示優先度の設定処理について説明する。なお、この表示優先度に基づいて、上述の図9に示す処理が実行される。
上述したように、実施の形態1に従う画像形成装置100は、表示操作画像に含まれる情報の属性値に関連付けて表示優先度を設定することができる。典型的には、ユーザー自身の操作によって、予め項目別の相対的な表示優先度が設定される。
図10は、実施の形態1に従う画像形成装置100が提供する表示優先度設定画面の一例を示す図である。図10に示す表示優先度設定画面は、操作パネル7などに表示され、ユーザーが適宜設定することになる。
すなわち、ユーザーは、図10に示す表示優先度設定画面を操作して、リスト画面(ジョブリスト画面や宛先リスト画面)内に表示される情報(項目)のうちより重要な要素であると考えるものを選択し、上下ボタンなどの操作で表示優先度を設定する。図10には、ジョブリスト画面および宛先リスト画面のそれぞれについて、表示される項目が一覧表示される例を示す。図10に示す2つのリスト画面に限られることなく、操作パネル7に表示される操作画面に応じて、表示優先度を設定するためのユーザーインターフェイスが適宜提供される。
このようなユーザーインターフェイスによって設定された表示優先度は、表示優先度テーブル610として格納される。
(c6:優先度設定(その2))
上述のような表示優先度を設定した場合に、常にその設定した表示優先度に基づくリスト表示を行ないたくない場合もある。そこで、設定された表示優先度に基づく順序に従って常に情報を配置する第1モードと、シフト手段による表示位置のシフト時に限って、設定された表示優先度に基づく順序に従って情報を配置する第2モードとを選択可能に構成してもよい。
図11は、実施の形態1に従う画像形成装置100が提供するリスト表示に係る表示順序の切り替え画面の一例を示す図である。図12は、図11に示すリスト表示に係る表示順序の切り替え画面における設定に応じて表示されるリスト画面の一例を示す図である。図11に示すリスト表示に係る表示順序の切り替え画面は、操作パネル7などに表示され、ユーザーが適宜設定することになる。
図11に示す「優先度順表示」は、リスト画面(ジョブリスト画面や宛先リスト画面)を表示する際に、上述の図10に示す表示優先度設定画面において設定された表示優先度に常に従うことを意味する。「優先度順表示」が選択された場合には、設定された表示優先度の順序に従って、各表示操作画像に含まれる情報の順序が配置される。すなわち、図12の下側に示されるようなリスト画面が表示される。この図12の下側に表示されるリスト画面は、「属性3:ファイル名」→「属性6:状態/結果」→「属性2:種別」→「属性4:登録時間」→「属性5:枚数」→「属性1:No.」という表示優先度が設定されている状態に対応する。すなわち、「優先度順表示」が選択された場合には、上述のリストを階段状に表示する場合以外においても、ジョブリスト画面や宛先リスト画面などを表示する場合には、設定された表示優先度に従って、それぞれの情報(項目)が配置されることになる。
これに対して、図11に示す「優先度順表示」は、リスト画面(ジョブリスト画面や宛先リスト画面)を表示する際に、画像形成装置100にデフォルトで設定されているパネルデザインに従う表示を行なうことを意味する。すなわち、図12の上側に示されるようなリスト画面が表示される。但し、上述のリストを階段状に表示する場合には、設定された表示優先度に従って、それに含まれる情報(項目)の並び替えが行なわれ得る。
図13は、実施の形態1に従う画像形成装置100における表示順序の切り替えに係る処理手順を示すフローチャートである。図13に示す各ステップは、典型的には、画像形成装置100の制御部6がプログラムを実行することによって実現される。また、図13に示す処理手順は、所定周期毎に起動される。
図13を参照して、画像形成装置100の制御部6は、いずれかのキーが入力されたか否かを判断する(ステップS200)。いずれのキーも入力されていない場合(ステップS200においてNOの場合)には、処理は終了し、次の起動タイミングまで待機する。
いずれかのキーが入力された場合(ステップS200においてYESの場合)には、画像形成装置100の制御部6は、リスト画面(ジョブリスト画面や宛先リスト画面)の表示が指示されたか否かを判断する(ステップS202)。リスト画面の表示が指示されていない場合(ステップS202においてNOの場合)には、画像形成装置100の制御部6は、指示された別の処理を実行する(ステップS204)。
これに対して、リスト画面の表示が指示された場合(ステップS202においてYESの場合)には、画像形成装置100の制御部6は、図11に示す表示順序の切り替え画面において「優先度順表示」が選択されているか否かを判断する(ステップS206)。「優先度順表示」が選択されている場合(ステップS206においてYESの場合)には、画像形成装置100の制御部6は、表示が指示されたリスト画面に対応する表示優先度に従って、表示される情報(項目)を並び替える(ステップS208)。
これに対して、「優先度順表示」が選択されていない場合(ステップS206においてNOの場合)には、ステップS208の処理はスキップされる。
最終的に、画像形成装置100の制御部6は、ステップS206において情報(項目)の並び替えが行なわれたリスト画面、または、デフォルトの表示順序に従って情報(項目)が配置されたリスト画面を操作パネル7に表示させる(ステップS210)。
(c7:優先度設定(その3))
上述のような表示優先度を設定した場合に、その設定した表示優先度に基づくリスト表示の他に、ユーザー操作に応じて表示優先度を動的に変更したい場合もある。そこで、表示操作画像に含まれる情報のうちユーザーによって押下された情報を特定し、当該特定された情報に対応する属性値に対して最も高い優先度を設定してもよい。
実際の操作を考えると、ユーザーは、表示されたリスト画面に対して何らかの選択を行なう際に、リスト画面上に表示されている情報(項目)を認識し、所望する情報に対応するエリアをタッチすることで選択を行なうことがある。しかし、ユーザーが複数の情報(項目)を同時に押下すると、上述のような処理に従って、操作性向上のために階段状にシフト表示が行なわれる。このシフト表示の結果、ユーザーが選択時に所望した情報(項目)が表示可能エリア外にいってしまい、欠落するエリアに含まれて消えてしまう可能性もある。このような状態になると、シフト表示された後には、ユーザーは、その所望する情報(項目)を選択に使用することができなくなる可能性がある。
そこで、ユーザーがタッチ操作したエリアに対応する情報(項目)の表示優先度を最大に設定することで、階段状にシフト表示が行なわれた場合であっても、それらの情報(項目)が欠落するエリアに含まれないように表示順序を並べ替える。
なお、この表示優先度を動的に設定する機能について、ユーザーの操作によって、有効化/無効化を選択できるようにしてもよい。
図14は、実施の形態1に従う画像形成装置100が提供するタッチエリア優先度設定画面の一例を示す図である。すなわち、図14には、表示優先度の動的設定の有効化/無効化の切り替え画面の一例を示す。図14に示すタッチエリア優先度設定画面は、操作パネル7などに表示され、ユーザーが適宜設定することになる。
図14に示す「最優先」は、表示操作画像に含まれる情報のうちユーザーによって押下された情報を特定し、当該特定された情報に対応する属性値に対して最も高い表示優先度を設定する処理が有効化される。これに対して、図14に示す「優先度設定に従う」は、上述の図10に示す表示優先度設定画面において設定された表示優先度に従ってリスト画面が表示されることを意味する。
図15は、実施の形態1に従う画像形成装置100における表示優先度の動的な設定に係る処理手順を示すフローチャートである。図15に示す各ステップは、典型的には、画像形成装置100の制御部6がプログラムを実行することによって実現される。また、図15に示す処理手順は、図9に示すステップS108においてYESの判断がなされたときに起動される。
図15を参照して、制御部6(表示変更モジュール602)は、図9のステップS106において生成された階段状の表示において欠落する情報がある場合(ステップS108においてYESの場合)には、タッチエリア優先度設定画面において「最優先」が選択されているか否かを判断する(ステップS300)。タッチエリア優先度設定画面において「最優先」が選択されていない場合(ステップS300においてNOの場合)には、処理は終了し、次の起動タイミングまで待機する。
タッチエリア優先度設定画面において「最優先」が選択されている場合(ステップS300においてYESの場合)には、制御部6(特定モジュール606)は、表示操作画像の表示位置のシフトによって操作パネル7の表示可能エリアから欠落することになる情報に、ユーザーが押下した情報(項目)が含まれているか否かを判断する(ステップS302)。ユーザーが押下した情報(項目)が含まれていない場合(ステップS302においてNOの場合)には、処理は終了し、次の起動タイミングまで待機する。
ユーザーが押下した情報(項目)が含まれている場合(ステップS302においてYESの場合)には、制御部6(優先度設定モジュール605)は、特定モジュール606により特定されたユーザーが押下した情報(項目)に対応する属性値に対して最も高い表示優先度を設定する(ステップS304)。そして、図9のステップS108の処理が実行される。
(c8:利点)
実施の形態1によれば、複数の表示操作画像が同時にタッチされたことに応答して、階段状の表示を行なってユーザーに通知するとともに、表示操作画像内に表示する情報(項目)を適宜調整することにより、ユーザーの認知性を維持したまま、操作ミスが少なく、効率的な操作パネルを提供できる。また、表示優先度に従って表示順序を変更するので、元の表示状態から少ない変更量でそれぞれの情報(項目)に対して独立した検知エリアを割り当てることができるので、操作対象となるボタンなどを引き続く操作においてより容易に選択できる。
また、画像形成装置の操作パネル上の画面を携帯端末などに表示させて、当該携帯端末から画像形成装置を操作する技術も提案されている。このような技術を実用化するにあたって、本実施の形態の処理を適用することで、画像形成装置に付属の操作パネルより小さい表示領域しか有しない携帯端末であっても、操作パネルと同様の視認性および操作性を維持することができる。
また、予め表示優先順位が固定されているとユーザーの多様なニーズに対処できない可能性もあるが、本実施の形態によれば、ユーザーが押下したエリアに応じて、その表示優先度を動的に変更することもできるので、よりユーザーのニーズを満たす表示処理を行なうことができる。
<D.実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2に従う画像形成装置およびそれにおける表示方法について説明する。
(d1:概要)
実施の形態2に従う画像形成装置100の制御部6は、操作パネル7(表示操作部)において隣接して表示されている表示操作画像(ボタンやリストの項目)の複数が同時に押下されたことを検知すると、ユーザーによって押下された検知領域の水平方向(第1方向)の長さを取得する。後述するように、表示操作画像の各々は、異なる属性値をもつ複数の情報を有している。さらに、画像形成装置100の制御部6は、同時に押下された複数の表示操作画像のうち少なくとも一つの表示位置を、取得された水平方向の長さに応じて水平方向に沿ってシフトさせる。このとき、画像形成装置100の制御部6は、表示操作画像の表示位置のシフトによって操作パネル7の表示可能エリアから欠落することになる情報を特定するとともに、当該特定した情報の少なくとも一部の表示を維持する。より具体的には、この欠落することになる情報の表示を維持する具体的な手段として、画像形成装置100の制御部6は、表示操作画像内の情報に含まれる空白文字を特定するとともに、特定した空白文字のエリアと欠落することになる情報が占めるエリアとを比較する。そして、画像形成装置100の制御部6は、特定した空白文字のエリアが欠落することになる情報が占めるエリアより大きい場合に、当該欠落することになる情報が表示され続けるように、当該特定した空白文字のエリアを削除する。これに対して、画像形成装置100の制御部6は、特定した空白文字のエリアが欠落することになる情報が占めるエリアより小さい場合に、当該欠落することになる情報をスクロール表示する。
より具体的には、リスト表示される各セルの全体にわたって文字列が入力されている場合もあるが、名前の短いユーザー名や、短い宛先なども存在する。そのため、情報(項目)の表示領域として割り当てられたエリアのすべてが使用されていない場合もある。このような場合、上述のようにリスト画面を階段状に表示する際に、リスト内の各項目に存在する空白文字(スペース)を検知し、これらのエリアをより有効的に利用する。具体的には、シフト表示より欠落する情報(項目)と検知した空白文字の領域とを比較し、空白文字領域が欠落する情報より大きいと判断した場合には、空白文字の領域を削除した上で表示される画面を生成する。一方、空白エリアより欠落する情報が大きいと判断した場合には、欠落する情報をスクロール表示するエリアを決定し、これらの情報をスクロール表示させつつ、階段状の表示を行なう。
(d2:表示例)
図16および図17は、本発明の実施の形態2に従う画像形成装置100が提供するユーザーインターフェイス画面の一例として、ジョブの一覧を示すジョブリスト画面の表示例を示す。
図16に示すように、例えば、「ファイル名」を表示するために割り当てたエリアについてみれば、対象のファイル名が短い場合などには、これらの割り当てられたエリアの全部が使用されるわけではない。そのため、このような空白文字(スペース)を検知し、その検知された空白文字エリアの大きさに応じて、適切な態様で欠落することになる情報の表示を維持する。図15には、特定した空白文字のエリアが欠落することになる情報が占めるエリアより大きい場合の例を示し、この場合には、欠落することになる「状態/結果」の情報は、「ファイル名」を表示するために割り当てられていたエリアを狭めることで、シフト表示後であっても、消えることなく表示され続ける。
一方、図17には、特定した空白文字のエリアが欠落することになる情報が占めるエリアより小さい場合の例を示し、この場合には、欠落することになる「登録時間」、「枚数」および「状態/結果」の情報は、「ファイル名」を表示するために割り当てられていたエリアでスクロール表示されることで、シフト表示後であっても、消えることなく表示され続ける。図17においては、スクロール表示されるエリアを欠落することになる情報に隣接する(左隣の)エリアとされているが、いずれのエリアを用いてもよい。
(d3:制御構造)
実施の形態2に従う画像形成装置100における制御構造については、基本的には、上述した図8に示す実施の形態1に従う画像形成装置100の制御構造と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
(d4:処理手順)
次に、実施の形態2に従う画像形成装置100における処理手順について説明する。
図18は、実施の形態2に従う画像形成装置100における処理手順を示すフローチャートである。図18に示す各ステップは、典型的には、画像形成装置100の制御部6がプログラムを実行することによって実現される。また、図18に示す処理手順は、所定周期毎に起動される。
図18を参照して、画像形成装置100の制御部6(取得モジュール601)は、操作パネル7の感圧部72によって検知されたユーザーが押下した接触エリアを取得する(ステップS400)。続いて、制御部6(取得モジュール601)は、ステップS400において取得した接触エリアに複数の表示操作画像が含まれているか否かを判断する(ステップS402)。接触エリアに複数の表示操作画像が含まれていない場合(ステップS402においてNOの場合)には、処理は終了する。
これに対して、接触エリアに複数の表示操作画像が含まれている場合(ステップS402においてYESの場合)には、制御部6(シフトモジュール603)は、現時点で階段状の表示が有効化されているか否かを判断する(ステップS404)。現時点で階段状の表示が有効化されている場合(ステップS404においてYESの場合)には、処理は終了する。
これに対して、現時点で階段状の表示が有効化されていない場合(ステップS404においてNOの場合)には、制御部6(シフトモジュール603)は、ステップS400において取得された接触エリアの幅に応じたシフト量を決定し、当該決定したシフト量に基づいて階段状の表示を内部的に生成する(ステップS406)。続いて、制御部6(表示変更モジュール602)は、ステップS406において生成された階段状の表示において欠落する情報があるか否かを判断する(ステップS408)。階段状の表示において欠落する情報がない場合(ステップS408においてNOの場合)には、処理はステップS420へ進む。
これに対して、階段状の表示において欠落する情報がある場合(ステップS408においてYESの場合)には、制御部6(表示変更モジュール602)は、情報が欠落する表示操作画像(リスト行)内の情報に含まれている空白文字を検知する(ステップS410)。続いて、制御部6(表示変更モジュール602)は、欠落することになる情報が占めるエリアに対して、当該検知した空白文字のエリアがより大きいか否かを判断する(ステップS412)。
欠落することになる情報が占めるエリアに対して、当該検知した空白文字のエリアがより大きい場合(ステップS412においてYESの場合)には、制御部6(表示変更モジュール602)は、検知した空白文字のエリアを削除する(ステップS414)。
これに対して、欠落することになる情報が占めるエリアに対して、当該検知した空白文字のエリアがより小さい場合(ステップS412においてNOの場合)には、制御部6(表示変更モジュール602)は、欠落することになる情報をスクロール表示するエリアを決定し(ステップS416)、さらに、スクロール表示のための文字情報を生成する(ステップS418)。
最終的に、制御部6(表示バッファメモリー604)は、シフトモジュール603および表示変更モジュール602での処理によって生成された表示信号に基づいて、操作パネル7の表示を更新する(ステップS420)。そして、処理は終了する。
(d5:その他)
上述した実施の形態2に従う画像形成装置100における表示優先度の係る処理については、実施の形態2においても同様に適用可能である。実施の形態2においてもその処理の内容は実質的に同様であるので、ここでは、詳細な説明は繰り返さない。
(d6:利点)
実施の形態2によれば、複数の表示操作画像が同時にタッチされたことに応答して、階段状の表示を行なってユーザーに通知するとともに、表示操作画像内に表示する情報(項目)を適宜調整することにより、ユーザーの認知性を維持したまま、操作ミスが少なく、効率的な操作パネルを提供できる。また、不必要な空白文字(スペース)を削除した上で、必要な情報を表示するので、表示可能エリアをより有効に利用できる。
また、画像形成装置の操作パネル上の画面を携帯端末などに表示させて、当該携帯端末から画像形成装置を操作する技術も提案されている。このような技術を実用化するにあたって、本実施の形態の処理を適用することで、画像形成装置に付属の操作パネルより小さい表示領域しか有しない携帯端末であっても、操作パネルと同様の視認性および操作性を維持することができる。
<E.変形例>
上述の実施の形態1および2においては、リスト画面を階段状に表示する際に、ユーザーの指のタッチパネルへの接触エリアの幅を検知して、その検知された幅に従って水平方向へのシフト量が算出される。このとき、単純に検知した接地エリアの幅と同じ幅だけずらした場合には、提供される独立した検知エリアが小さすぎる場合や、大きすぎる場合があり得る。
そこで、画像形成装置100は、表示操作画像のシフト量に関する補正量の設定を受け付け、取得された接地エリアの幅と設定された補正量とに基づいて、表示操作画像のシフト量を決定してもよい。
図19は、実施の形態に従う画像形成装置100が提供するリスト水平方法移動量補正設定画面の一例を示す図である。図19に示すリスト水平方法移動量補正設定画面は、操作パネル7などに表示され、ユーザーは、シフト量に係る補正値を適宜設定することになる。より具体的には、リスト画面を階段状に表示する際に、それぞれの行を水平方向に移動させるシフト量が決定される。リスト水平方法移動量補正設定画面においては、プラス値およびマイナス値のいずれの入力も可能となっている。マイナス値が入力された場合には、水平方向へのシフト量が小さくなり、プラスの値が入力された場合には、水平方向へのシフト量が大きくなる。
図20は、実施の形態に従う画像形成装置100におけるシフト量の補正処理に係る処理手順を示すフローチャートである。図20に示す各ステップは、典型的には、画像形成装置100の制御部6がプログラムを実行することによって実現される。また、図20に示す処理手順は、図9に示すステップS106の前処理として起動される。
図20を参照して、制御部6(シフトモジュール603)は、接触エリアの幅を取得する(ステップS500)。続いて、制御部6(シフトモジュール603)は、取得した接触エリアの幅に予め設定されているリスト水平方法の移動量に係る補正値を加算して、シフト量を決定する(ステップS502)。そして、ステップS106の処理が実行される。
<F.付記>
本発明は、別の局面として、さらに以下のように表現することができる。
本発明の別の局面に従うタッチパネル入力式の操作パネルは、隣接して表示される複数のボタンに対して、複数のボタンが同時に押されたことを検知する手段と、同時に押下時の指の接地領域を検知し、接地領域の水平方向の値を取得する手段と、複数のボタンが同時に押されたと検知した場合に、接地領域の水平方向の値ずつボタンをシフトしながら表示する手段とを有する。操作パネルは、シフト表示により表示可能エリアから情報が欠落する領域を検知し、欠落する領域に表示優先度の高い属性情報が含まれると判断した場合、ボタン内に表示する属性情報を表示優先度に応じて並び替え、ボタン内部に表示する属性情報を持つデータを作成しボタン内部に表示し、隣接して表示される複数のボタンを階段状表示に切り替える。
好ましくは、操作パネルは、リスト情報表示優先度の設定手段を有し、設定されたリスト表示優先度に従ってリスト内の情報を作成する。
さらに好ましくは、操作パネルは、リスト画面の表示時には常時リスト情報表示優先度の設定手段の設定に従うか、階段状表示を実施する場合のみ優先度に従って表示を行なうか切り替え手段を有する。
好ましくは、操作パネルは、ユーザーの押下した属性を最優先度属性とする設定手段と記憶手段とを有し、押下した属性を最優先度属性とする設定がされた場合、ユーザーの押下した属性を最優先度属性情報とし、リスト内の情報を作成する。
好ましくは、操作パネルは、ボタン内に表示されている情報から空白文字(スペース)を検知し、情報が欠落する領域より空白文字エリアが大きいと判断した場合は、情報が欠落する領域分だけ空白文字を削除し、情報が欠落する領域より空白文字エリアが小さい場合は、情報が欠落する領域に含まれる情報をスクロールして表示し、ボタン内部に表示される情報を減らすことなく、隣接して表示される複数のボタンを階段状表示に切り替える。
好ましくは、操作パネルは、ユーザーにより入力可能なリスト水平移動量補正設定手段を有し、リスト水平移動量補正設定手段により入力された値を記憶し、ボタンを階段状の表示する際に、接地領域の水平方向の値とリスト水平移動量補正設定手段により入力された値の差分を表示する際にシフト量として表示する。
<G.まとめ>
本実施の形態に従う画像形成装置は、タッチパネル式の操作パネルにおいて、情報量の多いジョブリスト画面や宛先リスト画面を、リスト表示形式を段違いもしくは階段状で表示する。そして、リスト内に表示する情報を調整することにより、ユーザーにリスト内の情報を正確に識別させ、かつ、操作ミスを減らすことができる。
すなわち、ユーザーの操作により複数の表示操作画像(ボタンやリストの項目)が同時に押下された際に、上下に並べられたリストの入力検知エリアに、独立した部分を形成できる。そして、リスト内に表示する情報の順序などを調整することにより、シフト表示へ切り替えたことによるユーザーの認識性を損なうことなく、タッチパネルを用いた入力時における操作ミスを低減し、作業効率を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。