JP5784331B2 - 放電装置 - Google Patents
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Description
このように、ワークのアースを確認するのは、静電塗装による本塗装時にワークにはアース線を接続しているが、このアース線が外れていたり、接触不良があったりしてワークのアースが取れていないと、本塗装時にワークが高電位に帯電し、アース帯との間で放電が起こって火花が発生すると危険だからである。
また、アースが不十分な状態で静電塗装を行なっても、きちんとした塗膜が形成されず、塗装不良となってしまうこともある。
特許文献1に記載された方法は、導電性塗料を塗布したワークにアース線を接続するとともに、このワークに対してイオンを放射してその表面を帯電させてから、非接触の表面電位計によってワーク表面の電位を測定するというものである。
ワークに対する導電性塗膜にも欠陥がなく、アース線が接続されてきちんとアースされている場合には、上記電位計で計測される表面電位が低くなるはずである。そのため、計測した表面電位から、ワークのアースが取れているかどうかということが分かる。
このような方法を利用して、ワークのおよその電気抵抗値を求めることもできる(特許文献2参照)。
特に上記塗装現場など、有機溶剤を用いている現場で火花が発生すれば、それが有機溶剤に引火する可能性がある。
そこで、上記のような引火しやすい環境で使用する放電装置は防爆仕様でなければならない。防爆用放電装置としては、放電電極をケーシングで覆うとともに、イオン風が放射される側の面に、外部からの異物の侵入を防止する大きさの小孔を形成したものが知られている。そして、上記放電電極で生成されたイオンは、ケーシングに供給されるエアとともに、イオン風として上記小孔から放射されるようにしている。
この発明は、ケーシング内への異物の進入を防止しながら、放電電極で生成したイオンを効率的に放射できる放電装置を提供することである。
そして、上記複数のエア放射用小孔を上記壁面の中心を円の中心とする円周上に等間隔に配置するとともに、上記放電電極の各先端に上記エア放射用小孔を対向させたことを特徴とする。
特に、イオンが生成される放電電極に対応した位置以外にも、エア放射用小孔を設けているので、個々の小孔の大きさを異物が混入しない大きさにしながら、ケーシング内を流れるエアの流量を確保することができる。そのため、生成したイオンを上記エアにのせて効率的に放射することができる。
第3の発明では、ケーシング内に高圧制御回路を収容しているので、ケーシング外には高電圧用ケーブルが不要になる。ケーシングから外部電源までを高電圧用ケーブルで接続する場合には、高電圧用ケーブルの長さが長くなり、その間、高電圧が引き回されることになって危険であるし、上記高電圧用ケーブルから漏れる電流が他の電子機器に電気的ノイズとして影響を与えることもある。しかし、第3の発明によれば、ケーシング外には通常の低電圧ケーブル、例えば直流10V以下のものを用いることができるので、上記のような問題を起こすことがない。
上記ケーシング本体1は、アルミニウムなどの導電性材料で構成した両端を開放した円筒部材であり、その先端には、この発明の壁面を構成する金属製の前面円板3及び押さえ板4を設け、後端をカバー部材5で覆っている。
また、上記ケーシング本体1の先端側内周には、上記前面円板3及び押さえ板4などを取り付けるための取り付けブロック6を圧入するとともに、後端側内周には密閉ブロック7を圧入している。
そして、上記ケーシング本体1であって、上記密閉ブロック7と上記全面円板3との間が、この発明の密閉されたケーシングの内部である。
なお、図4は、図2のIV-IV線断面図であり、図5は図3のV-V線断面図である。
そして、この取り付けブロック6には、軸方向に貫通するエア導入路6aを複数形成するとともに、前面には上記前面円板3を嵌める円形凹部6bを備えている。
さらに、この前面円板3及び取り付けブロック6の表面を、リング状の金属製の押さえ板4で覆うとともに、この押さえ板4を、複数のボルト25によって取り付けブロック6に固定している。
また、上記エア放射用小孔3aは、その開口径を異物の進入を防止できる大きさにしたものであり、この実施形態では全てのエア放射用小孔3aの開口径を1〔mm〕未満の同一寸法にしている。そして、6個のエア放射用小孔3aを前面円板3の中心を円の中心とする円周上に等間隔に配置している(図2参照)。
また、上記電極針2の外周には雄ねじからなるねじ部2aを形成し、このねじ部2aを上記ねじ孔9bにねじ込んで、電極針2を保持部材9に止める。
さらに、電極針2のねじ部2aには止めナット10をねじ込んで、その位置を固定している。
従って、この実施形態においては、電極針2の外周に形成したねじ部2aと電極保持部材9のねじ孔9bとによって、この発明の電極位置調整手段を構成することになる。
そして、電極針2の位置を変えると、電極針2の先端からエア放射用小孔3aまでの距離が変わるので、イオンの放射量を変えることができる。
但し、イオン放射量は、上記電極針2の位置だけでなく、電極針2の本数、電極針2に印加する電圧、及びエア流量などの影響を受けるので、これらの要素を、目的にあわせて調整する必要がある。
なお、上記支持部材11の先端外周にはねじ部11aを設け、取り付けブロック6の中央には上記ねじ部11aとねじ結合するねじ孔6cを形成し、これらねじ部11aとねじ孔6cとによって支持部材11を取り付けブロック6に固定している。
また、上記電極針2と上記前面円板3とは、上記樹脂製の支持部材11及び取り付けブロック6を介在させることによって電気的に絶縁されている。
上記電源制御回路12は、図4に示すように、支持部材13を介して上記取り付けブロック6に取り付けられている。そして、この電源制御回路12は、図示しない昇圧トランスなどを実装したプリント基板からなり、外部電源から供給される電圧を高電圧に変換して電極針2に対して出力する回路である。
上記のように、この実施形態では、高電圧を出力する上記電源制御回路12をケーシング本体1内に設けたので、ケーシング本体1の外部に、高電圧用ケーブルを設ける必要がない。そのため、高電圧ケーブルが引き回されることによる漏電や放電による危険や、他の電子機器へノイズの悪影響を排除することができる。
また、図3は、ケーシング本体1の後端側のカバー5をはずした状態の底面図で、上記密封ブロック7の外側の面を示している。
上記取り付け孔17は、図示しない外部のコントローラなどに接続する低電圧用ケーブル15とケーシング内の上記電源制御回路12とを接続するためのコネクタ16(図1参照)を取り付けるための孔で、上記エア供給孔19は、図示しないエア供給源に接続するエアチューブ18(図1参照)を取り付けるための孔である。
なお、カバー部材5には、上記コネクタ16やエアチューブ18を引き出す孔が形成されている。
そして、この圧力センサ21の信号線を、上記コネクタ16を介して図示しない表示部に接続し、その検出値を表示するようにしている。
なお、上記のように、ケーシング本体1に一対の圧力センサ21を設けたのは、一方の圧力センサ21が故障した場合に他方の圧力センサ21の検出信号を確認できるようにするためである。
また、図4中、符号24は、Oリングである。
なお、この放電装置を使用する際には、上記ケーシング本体1にアース線を接続する。
まず、エア供給源からエアチューブ18を介してケーシング本体1内にエアを供給し、上記表示部によって、上記圧力センサ21の検出値が所定の圧力になるのを確認してから、電源をオンにする。
上記所定の圧力とは、ケーシング内に供給されたエアが上記前面円板3のエア放射用小孔3aから確実に放出される圧力である。つまり、外部の圧力より高い圧力である。
このエアパージによって、電極針2に高電圧を印加する前に、ケーシング本体1内の異物を放出することができるとともに、高電圧印加時に、エア放射用小孔3aからケーシング本体1内に上記エア放射用小孔3aよりも小さい異物が混入しないようにできる。
従って、高電圧を印加した状態の上記電極針2に、金属粉などの異物が接近して、放電による火花が発生することを防止できる。
このような軸方向のエア流が形成された状態で、上記電極針2に高電圧を印加すると電極針2の先端側に生成されたイオンが上記エア流に乗ってイオン風として、電極針2に対向するエア放射用小孔3aから放射される。
この実施形態では、電極針2と対向する位置にエア放射小孔3aを設けているので、生成されたイオンは直ちにエア流に乗って放射され、イオン風が外部に放射されるまでに、ケーシング本体1の側面などに衝突するなどして中和されにくくしている。つまり、生成されたイオンを効率的に放射できる。
この防爆用放電装置は、ケーシング本体1内に異物が混入し難いように、エア放射用小孔3aの直径を1〔mm〕未満にしているが、このようにエア放射用小孔3aの直径を小さくすれば、エアがスムーズに流れないことがある。エアがスムーズに流れなければ、生成されたイオンは、ケーシング本体1内で中和してしまい、イオン風が外部に放射されなくなる。そこで、この実施形態では、エアの供給流量を確保してスムーズな流れを作るために、上記エア放射用小孔3aの直径を小さくした分、エア放射用小孔3aの個数を多くしているのである。
従って、この実施形態の防爆用放電装置は、個々のエア放射用小孔3aの開口径が小さくても、効率的にイオン風を放射でき、これによって十分な帯電ができる。
また、エア放射用小孔3aの数を、電極針2の本数よりも多くしたのは、電極針2の本数に応じてエア放射用小孔3aの総数を設定するためである。なぜなら、電極針2の本数が多くなればそれだけ多くのイオンが生成されるので、そのイオンを外部に放射するためには、より多くのエア流量が必要になるからである。
なお、上記防爆用放電装置は、エアを供給してケーシング内の圧力が処置の圧力以上になったことを確認してから、電極針2に高電圧を印加するようにしているが、上記圧力の確認や電源の制御は、作業員が手動で行なうようにしてもよいし、コントローラによって自動的に制御するようにしてもよい。
コントローラを用いる場合には、上記コントローラに上記圧力センサ21の信号線を接続し、その検出信号に応じて上記電源制御回路12の出力のオン・オフを制御するようにする。
さらに、上記実施形態の防爆用放電装置は、上記電源制御回路12を、その出力電圧の極性をプラス・マイナスに交互に変更可能なものとすることで、帯電装置としてだけでなく、プラス・マイナスのイオンを交互に放射する防爆用の除電装置としても利用できる。
2 電極針
3 前面円板
3a エア放射用小孔
6a エア導入路
7 密閉ブロック
12 電源制御回路
18 エアチューブ
21 圧力センサ
Claims (5)
- エア供給源に接続する密閉されたケーシングと、上記ケーシング内においてイオン放射側に設けられた複数の放電電極と、上記イオン放射側に設けた壁面に形成され、上記放電電極の数よりも多いエア放射用小孔とを備え、
上記複数のエア放射用小孔を上記壁面の中心を円の中心とする円周上に等間隔に配置するとともに、上記放電電極の各先端に上記エア放射用小孔を対向させた放電装置。 - 上記放電電極の先端から上記壁面までの距離を変更可能にする電極位置調整手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 上記放電電極に印加する高電圧を制御する電源制御回路を、上記ケーシング内に収容したことを特徴とする請求項1または2に記載の放電装置。
- 上記ケーシング内の圧力を検出する圧力センサを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の放電装置。
- 上記ケーシング内のイオン放射側に、上記エア放射用小孔に連続し、このエア放射用小孔の開口より大きな流路断面を有する絶縁材料からなるエア導入路を複数形成し、上記エア導入路のうち上記放電電極に対向したエア放射用小孔に連続したエア導入路内に1つの上記放電電極の先端を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の放電装置。
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