以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、いわゆる胴内排紙型の複写機を例示している。なお、本発明に係る照明装置が適用される装置は複写機に限られるものではなく、例えばスキャナー装置、ファクシミリ装置、或いは複合機であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間(胴内排紙部24)を備えたハウジング2を備える。ハウジング2は、画像形成のための各種機器が収容される下部筐体(装置本体21)と、装置本体21の上方に配設された上部筐体(画像読取装置22)と、装置本体21と画像読取装置22とを連結する連結筐体23とを含む。画像読取装置22は、原稿シートの画像を光学的に読み取り、原稿画像に応じた画像データを生成する。装置本体21は、前記画像データに基づき、シートに対してトナー画像を形成する処理を行う。装置本体21と画像読取装置22との間には、画像形成後のシートが排紙される胴内排紙部24が設けられている。連結筐体23は、ハウジング2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための排出口961が設けられている。
装置本体21の内部には、上方から順に、トナーコンテナ99Y、99M、99C、99K、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び給紙カセット211が収容されている。
画像形成部93は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkを備える。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラー14及びクリーニング装置15とを含む。
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム11の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。
現像装置13は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム11の周面にトナーを供給する。現像装置13は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー16、17、磁気ローラー18、及び現像ローラー19を含む。攪拌ローラー16、17は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラー18の周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラー19の周面には、磁気ローラー18と現像ローラー19との間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー19上のトナーは、感光体ドラム11の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
一次転写ローラー14は、中間転写ユニット92に備えられている中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11とニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
イエロー用トナーコンテナ99Y、マゼンタ用トナーコンテナ99M、シアン用トナーコンテナ99C、及びブラック用トナーコンテナ99Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの現像装置13に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、給紙カセット211又は給紙トレイ30から供給されるシートに、二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラー922及び従動ローラー923は、装置本体21によって回転自在に支持される。
給紙カセット211は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納する。給紙カセット211の右端側の上部には、ピックアップローラ212が配置されている。ピックアップローラ212の駆動により、給紙カセット211内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬入搬送路26へ搬入される。なお、装置本体21の右側面には、手差し給紙用の給紙トレイ30を備えた給紙ユニット40が備えられている。給紙トレイ30に載置されたシートは、給紙ユニット40の給紙ローラー41の駆動によって、搬入搬送路26へ搬入される。
搬入搬送路26の下流側には、二次転写部98、後述する定着ユニット97及び排紙ユニット96を経由して排出口961まで延びるシート搬送路28が設けられている。シート搬送路28の上流部分は、装置本体21に形成された内壁と、反転搬送ユニット29の内側面を形成する内壁との間に形成されている。なお、反転搬送ユニット29の外側面は、両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路291の片面を構成している。シート搬送路28の、二次転写部98よりも上流側にはレジストローラ対27が配置されている。シートは、レジストローラ対27にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部98に送り出される。
連結筐体23の内部には、定着ユニット97と排紙ユニット96とが収納されている。定着ユニット97は、定着ローラーと加圧ローラーとを含み、二次転写部98においてトナー像が二次転写されたシートを加熱及び加圧することで、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の下流に配置されている排紙ユニット96により、排出口961から胴内排紙部24に向けて排出される。
画像読取装置22は、前記上部筐体の上面221に嵌め込まれた、第1コンタクトガラス222と第2コンタクトガラス223とを備える。第1コンタクトガラス222は、自動原稿給送装置(ADF;図示せず)が画像読取装置22上に配置される場合に、ADFから自動給送される原稿シートの読取用に設けられている。第2コンタクトガラス223は、手置きされる原稿シートの読取用に設けられている。
画像読取装置22は、前記上部筐体内に収容された、第1移動キャリッジ224、第2移動キャリッジ225、集光レンズユニット228及び撮像素子229(受光装置)を含む。第1移動キャリッジ224には、本発明の実施形態に係る照明装置50と、第1反射ミラー226とが搭載されている。第2移動キャリッジ225には、光路を反転させるために第2反射ミラー227A及び第3反射ミラー227Bが搭載されている。
第1移動キャリッジ224は、第1コンタクトガラス222及び第2コンタクトガラス223の下面に沿って、左右方向に往復移動する。第2移動キャリッジ225は、第1移動キャリッジ224の1/2の移動量で左右方向に往復移動する。第1移動キャリッジ224は、原稿シートが図略の自動原稿給送装置から自動給送される自動給送モードのとき、第1コンタクトガラス222の直下に移動し、静止状態となる。この静止状態において、照明装置50から原稿シートに向けて光が発せられる。一方、原稿シートが第2コンタクトガラス223上に載置される手置きモードのとき、第1移動キャリッジ224は、第2コンタクトガラス223の左端直下から原稿シートのサイズに応じて右方へ移動する。この移動の際に、照明装置50から原稿シートに向けて光が発せられる。第2移動キャリッジ225は、第1移動キャリッジ224の1/2の移動量で、第1移動キャリッジ224に追従して右方に移動する。
照明装置50は、原稿シートに対し、主走査方向に長いライン状の照明光を照射する。具体的には、照明装置50は、第1コンタクトガラス222上を通過する自動給送の原稿シート若しくは第2コンタクトガラス223上に載置される手置きの原稿シートに向けて、原稿シート画像の光学的な読み取りのために照明光を発する。第1反射ミラー226は、照明装置50が原稿シートに向けて発した照明光の反射光を、第2移動キャリッジ225の第2反射ミラー227Aへ向わせるように反射する。
第2反射ミラー227Aは、第1反射ミラー226が反射した前記反射光を、第3反射ミラー227Bに向けて反射する。第3反射ミラー227Bは、前記反射光を集光レンズユニット228に向かうように反射する。集光レンズユニット228は、第3反射ミラー227Bにおいて反射された反射光の光像を、撮像素子229の撮像面に結像させる。撮像素子229は、CCD(charge coupled device)等からなり、反射光をアナログ電気信号に光電変換する。このアナログ電気信号は、A/D変換回路(図略)によってデジタル電気信号に変換された後、上述の露光ユニット94に画像データとして入力される。
なお、第2コンタクトガラス223の左端側には、読取濃度の白基準を決定するための白基準板(図略)が配置されている。画像読取動作の前に前記白基準板に照明光が照射され、その反射光を撮像素子229で受光させ、このときの画像データが主走査方向で均一な出力となるような補正値が予め取得される(シェーディング補正)。
続いて、照明装置50の詳細について説明する。図2は、照明装置50の斜視図、図3は、図2のIII−III線断面図である。照明装置50は、照明光を発する光源51と、光源51から発せられた照明光を伝搬すると共に、ライン状の照明光に変換して出射する導光体52とを含む。
光源51は、薄い円板状の形状を有し、白色光を発する白色LED(Light Emitting Diode)51Lを備えている。白色LED51Lとしては、例えば、青色光又は紫外光を発するGaN系またはInGaN系半導体発光素子を、蛍光体入り透明樹脂で封入してなるLEDパッケージを用いることができる。なお、図2では1個の白色LED51Lを図示しているが、実際には、光源51はモジュール化された複数個の白色LED51Lを備える。
導光体52は、透光性の樹脂材料によって成形され、主走査方向(第1方向)に長い棒状の形状を有し、光源51から発せられた照明光を導光する本体部53と、該本体部53の一方の端面であって前記照明光が入射される入射面54と、入射面54とは反対側の端面である遠端面55とを含む。入射面54には、上記の光源51の発光面が当接されている。遠端面55には、照明光が当該遠端面55から漏洩することを防止する反射コーティング層が設けられている。
導光体52は、さらに、本体部53の上面側(第1、第2コンタクトガラス222、223と対向する側)に配置された出射面56と、この出射面56に対向して本体部53の下面側に配置された反射面57とを備える。出射面56は、本体部53の上面において、主走査方向(第1方向)に沿って延び、主走査方向と直交する副走査方向(第2方向)に所定の幅を持って、前記照明光を第1、第2コンタクトガラス222、223(原稿シート)に向けて出射する面である。反射面57は、同様に主走査方向に延びる帯状の面であって、本体部53内を伝搬する前記照明光を出射面56に向けて反射する。出射面56は、副走査方向において比較的緩い凸の曲面を有している。一方、反射面57は平坦な面である。反射面57には微小なプリズム58(図8、9)が多数設けられている。
図4は、導光体52内における照明光の伝搬状態を模式的に示す図である。光源51から入射面54を通して本体部53内に照明光が入射される。光源51は点光源であるため、前記照明光は拡散光の性質を有する。基本的に、導光体52の構成材料と空気との屈折率差に基づき、本体部53の周面において全反射を繰り返しながら遠端面55の方向に進行する。しかし、プリズム58を備えた反射面57が出射面56に対向して設けられていることで、出射面56から照明光が出射する。出射面56から出射された光は、本体部53は、主走査方向に長い棒形状を有するため、導光体52から出射される照明光は主走査方向に長いライン状の照明光となる。出射された照明光は、第1、第2コンタクトガラス222、223上の読取面Xに照射される。
既述の通り、導光体52から出射される照明光には、直接光DLと間接光ILとが含まれる。直接光DLは、光源51から反射面57へ直接的に向かう照明光L1であって、該照明光L1が反射面57(プリズム58)で反射されることによって出射面56から出射する光である。一方、間接光ILは、本体部53の周面で1回以上全反射された後に反射面57へ向かう照明光L2であって、該照明光L2が反射面57で反射されることによって出射面56から出射する光である。直接光DLは、出射面56における、入射面54に近い部分から専ら出射される。
反射面57に形成されるプリズム58として用いられているのは、副走査方向に延びるV字型の凹溝であって、反射パターン面としての機能を果たす微小な凹溝である。このようなV字溝のプリズム58が、多数個、主走査方向に配列されている。
直接光DLは、副走査方向で見たときに、光源51から反射面57へ所定の限られた入射角度で直接的に向かう照明光L1が、プリズム58によってそのままの角度で反射されるので、さほど拡散しない。このため、直接光DLの強度分布は、副走査方向において、幅狭(鋭利)な分布となる。一方、間接光ILは、本体部53の周面で全反射されることによってあらゆる入射角度を持つ照明光L2が、プリズム58に反射されることによって作られる光である。従って、間接光ILの強度分布は、副走査方向において、直接光DLよりもブロードなものとなる。
図5は、1個の白色LED51Lを拡大した図である。白色LED51Lは、略中央部に配置された青色LEDチップ51Bと、該青色LEDチップ51Bと導光体52の入射面54との間に配置された、黄色蛍光体(図6参照)が分散された透明封入層51Yと、から構成される。透明封入層51Yには、黄色蛍光体を含む透明樹脂が配置される。青色LEDチップ51Bが発光し、該光が、黄色蛍光体入りの透明封入層51Yを透過することによって、青色と黄色の光が重ね合わされて、擬似的に白色が発光される。
図6は、白色LED51Lにおいて、青色の発光分布と、黄色の発光分布とを模式的に示した図である。同図は、導光体52の入射面54と交差する断面によって、白色LED51Lが切断された断面図である。白色LED51Lの外枠を構成するフレーム51Fに青色LEDチップ51Bが支持される。そして、フレーム51Fから、突設された箱型のパッケージ51Pの内部に、黄色蛍光体入りの透明封入層51Yで封止される。図5に示すように、白色LED51Lの中央部に複数の青色LEDチップ51Bが配置され、該青色LEDチップ51Bの前方を覆うように、黄色蛍光体が配置される。このため、図6に示すように、青色に発光している面積が、白色LED51Lの全発光面(黄色蛍光体が分散される面積)に対して、小さくなる。すなわち、青色の発光分布が、黄色の発光分布に比べて、狭い。
図7は、白色LED51Lの黄色と青色の発光分布を実際に比較した図である。図7(A)は、黄色の発光分布を示し、図7(B)は、青色の発光分布を示している。それぞれの分布は、白色LEDの発光面直上0.1mmの位置において測定された光量に基づき、最大光量に対する割合として、示されている。図7(A)および(B)に示されるように、黄色の発光分布に比べて、青色の発光分布は、発光する領域(楕円形、円形の外枠の面積)が狭い。また、黄色の発光分布では、中央部の広い領域において、最大光量に近い光量(0.9−1)が分布している。一方、青色の発光分布では、中央部から外側に広がるにつれて、発光量が低下していることがわかる。このように、白色LED51Lの青色の発光分布は、黄色の発光分布に比べて、狭い。この結果、導光体52の入射面54に入射した後の青色の発光分布も黄色の発光分布と比べて狭くなる。
図8は、導光体52の入射面54近傍を示す斜視図であり、黄色の光が読取面Xを照射する際の断面配光HYを示す図である。同様に、図9は、導光体52の入射面54近傍を示す斜視図であり、青色の光が読取面Xを照射する際の断面配光HBを示す図である。前述のとおり、導光体52から出射される照明光には、直接光DLと間接光ILとが含まれる。そして、直接光DLは、出射面56における、入射面54に近い部分から専ら出射される。このため、入射面54に入射した際の白色LED51Lの発光分布は、入射面54近傍において、読取面Xを照射する直接光DLに大きく影響する。入射面54に入射した際、相対的に広い発光分布を有する黄色の光は、出射面56から照射されたのち、図8に示すような、断面配光HYをもって、読取面Xに照射される。一方、黄色の光に比べて、狭い発光分布を有する青色の光は、図9に示すように、黄色の光の断面配光HYよりも狭い断面配光HBをもって、読取面Xに照射される。このように、入射面54の近傍における読取面Xにおいて、照射される黄色の光と青色の光の断面配光が異なると、原稿シートの画像が読み取られる読取面において、原稿が浮いたり、読取光軸が変動した場合に、スキャン画像の色味やベタの粒状感が変化するという不具合がもたらされてしまう。
このような不具合を解消するためには、入射面54に入射する段階で、青色の発光分布を広げることが好ましい。すなわち、青色の発光分布と黄色の発光分布との差が低減されることで、両者の断面配光の差が低減される。図10は、青色の発光分布を広げることが可能な導光体52Zの斜視図(A)および断面図(B)である。図10(B)の断面図は、導光体52Zを、断面中心線Lを含む断面視で切断した図である。導光体52Zは、入射面54Zの中央部に、V字溝70Zを備える。V字溝70Zは、入射面54Zの中央部において、導光体52Zの断面中心線Lから、同心円状に配置されたV字状の溝である。
白色LED51Lから入射面54Zに入射した青色の光は、入射面54Zに配置されたV字溝70Zによって屈折され、導光体52Zの径方向に広がるように、導光体52Z内を進行される。しかしながら、前述のとおり、直接光DLは、主に、入射面54Zに近い領域において、反射面57Zによって反射されることで、出射面56Zから出射される光である。すなわち、入射面54Zのうち、上方の領域から導光体52Z内に進入する光は、直接光DLとなる可能性は低い。したがって、導光体52Zの入射面54Zでは、直接光DLとなりにくい光において、発光分布が広げられることとなる。この結果、白色LED51Lの全体の発光分布が広がるともに、一部の光が導光体52Zから漏れ出し、読取面Xに到達する光(読取面照度)が低下するという不具合がもたらされる。このように、青色の発光分布を広げるにあたり、読取面照度の低下を抑止するために、本実施形態では、入射面54に形成される溝に特徴を有する。
図11は、本実施形態に係る導光体52の斜視図(A)および断面図(B)である。本実施形態では、入射面54の入射面下部54V(第1領域)に、凹形状に形成されたV字溝70が配置される。すなわち、V字溝70は、入射面54のうち、出射面56よりも反射面57に近い側の半分の領域に、配置される。一方、入射面54の入射面上部54H(第2領域)は、平坦面からなる。V字溝70は、入射面下部54Vと入射面上部54Hとの境界に配置される中心(断面中心線L)から、同心円状に隣接して形成される複数の溝である。V字溝70は、該溝が延伸される方向と直交する断面視において、V字形状からなる(図11(B))。
図12は、入射面54に入射した青色の光が、V字溝70によって屈折され、発光分布が拡大される様子を示した断面図である。図12(A)は、入射面54に形成されるV字溝70の溝の角度を大きく設定した場合の図であり、図12(B)は、同溝の角度を小さく設定した場合の図である。いずれも、断面中心線Lを含む断面において、導光体52を切断した図である。図12のように、白色LED51Lから入射面54に入射される青色の光のうち、入射面下部54V(反射面57に近い側の領域)に入射する光が、V字溝70によって、屈折される。この結果、入射面54から、反射面57に向かって進行する青色の光の発光分布が拡大される。換言すれば、V字溝70は、入射面54に入射した照明光を、入射角よりも大きな屈折角をもって屈折させる。したがって、入射面54の近傍において、直接光DLとして、出射面56から出射される青色の光の断面配光が広がることとなる。このため、白色LED51Lの青色と黄色の光の断面配光の差が低減され、読取面Xにおけるスキャン画像の色味やベタの粒状感が変化するという不具合が効果的に抑止される。
一方、白色LED51Lから入射面54に入射される光のうち、入射面上部54H(反射面57から遠い側の領域)に入射する光は、V字溝70の影響を受けることがない。このため、これらの光は、発光分布が広がることなく、導光体52の内部に進入する。したがって、青色および黄色の光のうち、直接光DLとなりにくい光の発光分布が広がることが抑止される。このため、入射面上部54Hから進入した光が、導光体52から漏れ出すことが抑止される。この結果、読取面Xに到達する光が減少することで、読取面照度が低下することが抑制される。したがって、白色LED51Lの青色と黄色の光の断面配光の差を低減しつつ、読取面Xに載置された原稿に照射される光の光量が安定して維持される。
図13は、本実施形態に係るV字溝70を備えた導光体52を用いた場合の読取面Xにおける断面配光を測定したグラフである。横軸は、読取面Xにおける副走査方向の位置を示し、縦軸は、各条件における最大光量に対する割合を示している。条件Aは、入射面54にV字溝70を備えず、入射面54全体が平面である場合の断面配光であり、条件Bは、入射面54Zに同心円状のV字溝70Zを備えた場合の断面配光であり、条件Cは、本実施形態に係る、入射面54にV字溝70を備えた場合の断面配光である。また、条件では、黄色の断面配光である。図13に示されるように、入射面54にV字溝70を備えず、入射面54全体が平面である場合の断面配光(条件A)は、黄色の断面配光(条件D)と比較して、大きくずれた分布となっている。また、入射面54Zに同心円状のV字溝70Zを備えた場合の断面配光(条件B)も、黄色の断面配光(条件D)と比較して、副走査方向の両端部において、異なる分布を示している。これに対し、入射面54にV字溝70を備えた場合の断面配光(条件C)は、副走査方向の中央部および両端部において、黄色の断面配光(条件D)に近い分布を示している。
また、表1は、本実施形態に係るV字溝70を備えた導光体52を用いた場合の読取面Xにおける読取面照度を示した表である。
表1において、LED近傍とは、導光体52の長手方向(主走査方向)において、入射面54の近傍における読取面の照度を意味し、終端とは、入射面54とは反対側の遠端面55の近傍における読取面の照度を意味し、中央部とは、主走査方向の中央部における読取面の照度を意味する。また、入射面の形状における条件A、B、Cは、図13の条件A、B、Cにそれぞれ対応する。表1に示されるように、入射面54にV字溝70を備えず、入射面54が平面である場合の読取面照度(条件A)は、LED近傍と中央との間で、最大9000Lxの差を生じている。また、入射面54Zに同心円状のV字溝70Zを備えた場合の読取面照度(条件B)は、条件Aと比較して、全体的に読取面照度が低下している。これは、V字溝70Zによって、白色LED51Lの全体の発光分布が広がり、読取面Xに到達する光が低下したためである。これに対し、入射面54に、本実施形態に係るV字溝70を備えた場合の読取面照度(条件C)は、条件Bよりも高い読取面照度を維持しつつ、導光体52の長手方向において、条件Aよりもバラつきの少ない分布を示している。
なお、導光体52の形状や仕様、並びに、導光体52が搭載される照明装置50の仕様などに応じて、白色LED51Lに装着される青色LEDチップ51Bの形状、数、配置が調整される場合がある。この場合、白色LED51Lから入射面54に入射される光の発光分布が変化する。このような場合であっても、図12(A)および(B)に示されるように、V字溝70の溝角度、溝の深さ、溝の間隔などを調整することによって、青色の光の屈折状態を変化させることが可能となる。したがって、入射面54に入射される青色の発光分布に応じて、V字溝70の形状などを調整することによって、入射面54の近傍の読取面Xにおける青色と黄色の断面配光を近づけることが可能となる。
以上のような本実施形態の照明装置50によれば、入射面下部54Vに配置されたV字溝70によって、入射面54の近傍において、直接光DLとして、出射面56から出射される青色の光の断面配光を広げることが可能となる。このため、白色LED51Lの青色と黄色の光の断面配光の差が低減され、読取面Xにおけるスキャン画像の色味やベタの粒状感が変化するという不具合が効果的に抑止される。また、入射面上部54Hには、V字溝70が配置されていないことによって、青色および黄色の光のうち、直接光DLとなりにくい光の発光分布が広がることが抑止される。したがって、読取面Xに載置された原稿に照射される光の光量が安定して維持される。この結果、読取面Xに載置された原稿画像が、画像読取装置22によって、安定した品質をもって、読み取られることが可能となる。更に、画像読取装置22によって読み取られた原稿画像に基づいて、画像形成部93において、シートに良好な画像形成が実現される。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
(1)上記の実施形態では、屈折部として、入射面54に形成される溝が、V字状の溝からなる態様にて、説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、屈折部として、入射面54に入射した光を、入射角よりも大きな屈折角をもって屈折させる屈折面を、入射面下部54Vに備える構成であればよい。屈折部を構成する溝の断面は、V字状の溝の下端(底部)に平坦面を備える態様であってもよい。
(2)上記実施形態では、導光体52の入射面54にV字溝70が形成される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。入射面54に入射される光のうち、入射面下部54Vに入射される光を屈折させる溝として、他の態様が用いられるものであっても良い。
図14は、変形実施形態に係る導光体52Rを示す(A)斜視図および(B)断面図である。図14(B)の断面図は、導光体52Rを、断面中心線Lを含む断面視で切断した図である。本変形実施形態では、入射面54Rの入射面下部54Vに相当する領域に、V字溝70Rが配置される。V字溝70Rは、入射面54Rの入射面下部54Vにおいて、出射面56Rから反射面57Rに向かう方向に延設され、かつ、副走査方向に隣接して形成されるV字状の溝である。
本変形実施形態においても、入射面54Rから、反射面57Rに向かって進行する青色の光の発光分布が効果的に拡大される。特に、本構成の場合、V字溝70Rは、もっぱら主走査方向および副走査方向を含む面内において、光を屈折させる。したがって、入射面54Rの近傍において、直接光DLとして、出射面56Rから出射される青色の光の断面配光が効果的に広がることとなる。このため、白色LED51Lの青色と黄色の光の断面配光の差が低減され、読取面Xにおけるスキャン画像の色味やベタの粒状感が変化するという不具合が効果的に抑止される。
また、本変形実施形態においても、白色LED51Lから入射面54Rに入射される光のうち、入射面上部54Hに入射する光は、V字溝70Rの影響を受けることがない。このため、これらの光は、発光分布が広がることなく、導光体52Rの内部に進入する。したがって、青色および黄色の光のうち、直接光DLとなりにくい光の発光分布が広がることが抑止される。この結果、読取面Xに到達する光が減少することで、読取面照度が低下することが抑制される。したがって、白色LED51Lの青色と黄色の光の断面配光の差を低減しつつ、読取面に載置された原稿に照射される光の光量が安定して維持される。
図15は、図13と同様に、本変形実施形態に係るV字溝70Rを備えた導光体52Rを用いた場合の読取面Xにおける断面配光を測定したグラフである。入射面の形状における条件A、B、Dは、図13の条件A、B、Dにそれぞれ対応する。条件Eは、入射面54RにV字溝70Rを備えた場合の断面配光である。図15においても、図13と同様に、入射面54RにV字溝70Rを備えた場合の断面配光(条件E)は、副走査方向の中央部および両端部において、黄色の断面配光(条件D)に近い分布を示している。
また、表2は、本変形実施形態に係るV字溝70Rを備えた導光体52Rを用いた場合の読取面Xにおける読取面照度を示した表である。
表2に示されるように、入射面54Rに、本変形実施形態に係るV字溝70Rを備えた場合の読取面照度(条件E)は、先の実施形態に係るV字溝70の場合と同様に、条件Bよりも高い読取面照度を維持しつつ、導光体52Rの長手方向において、条件Aよりもバラつきの少ない分布を示している。
(3)更に、上記の実施形態において、図7の発光分布に基づき、入射面下部54V(第1領域)の外側に配置される溝よりも、入射面下部54Vの中央部に配置される溝の方が、V字溝の溝角度が小さく設定されてもよい。この場合、入射面下部54Vの中央部に入射された光を、入射面下部54Vの外側に向かって、積極的に、屈折させることができる。この結果、青色の光の発光分布を、黄色の光の発光分布に、より近づけることができる。