JP5783421B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関と車輪に駆動連結された出力部材とを結ぶ動力伝達経路に回転電機が設けられていると共に、前記回転電機と前記出力部材との間に係合装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
上記のような制御装置に関して、例えば下記の特許文献1に記載された技術が既に知られている。特許文献1に記載されている技術は、内燃機関と回転電機との間に設けられた第二の係合装置を滑り係合状態に制御すると共に、回転電機の回転速度制御を実行することにより、内燃機関の始動を行うと共に、内燃機関の始動中に、回転電機と出力部材との間に設けられた係合装置を滑り係合状態に制御している。そして、特許文献1の技術は、内燃機関の始動後に、係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させている。
特許文献1の技術では、係合装置の係合部材間の回転速度の差がゼロ近傍である状態が所定時間継続したときに、係合装置の伝達トルク容量を増加させ、係合装置を直結係合状態に移行させるように構成されている。また、特許文献1の技術では、係合装置の回転速度の差がゼロ近傍である状態が所定時間継続したときに、回転電機へのトルク指令値を保持するように構成されており、回転速度制御を終了してトルク制御を開始するように構成されている。
一方、発明者は、回転電機と出力部材との間に設けられた係合装置の回転速度の差を算出する際に、フィルタ処理後の出力部材の回転速度を用いる場合は、フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差を考慮する必要がある点に気付いた。
しかしながら、特許文献1には、第二の係合装置の回転速度の差を算出する際に、出力部材の回転速度に対してフィルタ処理を行うように構成することについて全く記載されていない。
特開2007−99141号公報
そこで、回転電機と出力部材との間に設けられた係合装置の回転速度の差を算出する際に、フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差を考慮して適切に制御を行うことができる制御装置が求められる。
本発明に係る、内燃機関と車輪に駆動連結された出力部材とを結ぶ動力伝達経路に回転電機が設けられていると共に、前記回転電機と前記出力部材との間に係合装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置の特徴構成は、
前記回転電機の動作制御を行う回転電機制御ユニットと、
前記係合装置の係合状態を制御する動力伝達制御ユニットと、
前記回転電機制御ユニット及び前記動力伝達制御ユニットを含む制御ユニットにより行われる制御を車両全体として統合する制御を行う車両制御ユニットと、を備え、
前記車両制御ユニットは、
前記出力部材の回転速度にフィルタ処理を行ってフィルタ後回転速度を算出するフィルタ処理部と、
前記フィルタ後回転速度及び前記回転電機の回転速度に基づいて、前記係合装置の係合部材間の回転速度の差に応じた回転速度差を算出する速度差算出部と、
前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行する移行制御部と、を備え、
前記移行制御部は、前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が判定しきい値より大きいと判定している場合は、前記回転電機の回転速度が目標回転速度に近づくように前記回転電機を制御する回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記回転電機の出力トルクが目標トルクとなるように前記回転電機を制御するトルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる目標移行制御を実施するものであり
前記移行制御部は、前記出力部材の回転速度の変化速度、又は前記フィルタ後回転速度の変化速度である回転変化速度が大きくなることに応じて前記判定しきい値が大きくなるように、前記回転変化速度に応じて前記判定しきい値を設定する点にある。
なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
フィルタ処理による入出力信号間の遅れにより、出力部材の回転速度とフィルタ処理後の回転速度との間には回転速度差が生じる。そして、フィルタ後回転速度に基づいて算出した係合装置の回転速度差には、実際の係合装置の回転速度差に対して、フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差に応じた誤差が生じる。例えば、実際の係合装置の回転速度差がゼロになったときの、フィルタ後回転速度に基づいて算出される係合装置の回転速度差は、フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差に応じた回転速度差になる。
また、フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差は、出力部材の回転速度の変化速度が大きくなることに応じて大きくなる。よって、上記の特徴構成のように、係合装置の回転速度差と比較される判定しきい値が、出力部材の回転速度又はフィルタ後回転速度の変化速度が大きくなることに応じて大きくなるように、変化速度に応じて判定しきい値を設定することにより、変化速度が大きくなることに応じて大きくなる、係合装置の回転速度差に適応して判定しきい値を設定することができる。これにより、係合装置の回転速度差が判定しきい値以下になったと判定する時点の精度を向上させることができ、回転電機制御ユニットに回転速度制御を終了させてトルク制御を開始させる時点の精度を向上させることができる。
よって、出力部材の回転速度の変化速度の変化によりフィルタ処理前後の出力部材の回転速度差が変化しても、回転速度制御を終了してトルク制御を開始する時点が、係合装置が滑り係合状態から直結係合状態に移行する時点に対して変化することを抑制でき、トルクショックが生じることを抑制できる。
ここで、前記移行制御部は、前記フィルタ処理による信号の遅れ時間と前記回転変化速度とを乗算した値に応じて、前記判定しきい値を設定すると好適である。
フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差は、フィルタ処理による信号の遅れ時間と出力部材の回転速度の回転変化速度との乗算値により求めることができる。上記の構成によれば、フィルタ処理による信号の遅れ時間と回転変化速度とを乗算した値に応じて、判定しきい値が設定されるので、判定しきい値の設定精度を向上させることができる。
ここで、前記移行制御部は、前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態に制御して、前記係合装置の係合部材間を伝達するトルクにより前記出力部材の回転速度を増加させて、前記回転速度差を減少させ、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行し、
前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が、前記判定しきい値より大きい値に設定した目標速度差より大きいと判定している場合は、前記目標回転速度を予め設定された値に設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記目標速度差まで減少したと判定した後、前記回転速度差が前記目標速度差に一致するように前記目標回転速度を設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、その後、前記回転速度差が前記判定しきい値未満まで次第に減少するように前記目標速度差を次第に減少させて前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記トルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる前記目標移行制御を実施すると好適である。
上記のように状態移行制御及び目標移行制御が実行される場合において、出力部材の回転速度の変化速度が変化しても、回転速度制御を終了させてトルク制御を開始させる時点が、係合装置が滑り係合状態から直結係合状態に移行する時点に対して変化することを抑制でき、トルクショックが生じることを抑制できる。また、回転速度差が目標速度差まで減少したと判定した後、回転速度差を目標速度差に一致させるように回転速度制御を実行してから目標速度差を次第に減少させるので、係合装置が滑り係合状態から直結係合状態に移行する際の係合部材の回転速度の変化を小さく抑えることができ、この点によってもトルクショックが生じることを抑制できる。
ここで、前記移行制御部は、前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態に制御して、前記係合装置の係合部材間を伝達するトルクにより前記出力部材の回転速度を増加させて、前記回転速度差を減少させ、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行し、
前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が、前記判定しきい値より大きい値に設定した目標速度差より大きいと判定している場合は、前記目標回転速度を予め設定された値に設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記目標速度差まで減少したと判定した後、前記回転速度差が前記判定しきい値未満まで次第に減少するように前記目標速度差を次第に減少させて前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記トルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる前記目標移行制御を実施すると好適である。
上記のように状態移行制御及び目標移行制御が実行される場合において、出力部材の回転速度の変化速度が変化しても、回転速度制御を終了してトルク制御を開始する時点が、係合装置が滑り係合状態から直結係合状態に移行する時点に対して変化することを抑制でき、トルクショックが生じることを抑制できる。
ここで、前記移行制御部は、前記回転変化速度が大きくなることに応じて前記目標速度差が大きくなるように、前記回転変化速度に応じて前記目標速度差を設定すると好適である。
この構成によれば、出力部材の回転速度の回転変化速度の変化によりフィルタ処理前後の出力部材の回転速度差が変化した場合にも、フィルタ後回転速度に基づいて算出した係合装置の回転速度差が、目標速度差まで減少したと判定した時点の、実際の係合部材の回転速度差が変化することを抑制できる。よって、目標移行制御の挙動を安定化させることができ、トルクショックが生じることを抑制できる。
ここで、前記移行制御部は、前記フィルタ処理の遅れ時間と前記回転変化速度とを乗算した値に予め設定された余裕値を加算した値に応じて、前記目標速度差を設定すると好適である。
フィルタ処理前後の出力部材の回転速度差は、フィルタ処理による信号の遅れ時間と出力部材の回転速度の回転変化速度との乗算値により求めることができる。上記の構成によれば、フィルタ処理による信号の遅れ時間と回転変化速度とを乗算した値に余裕値を加算した値に応じて目標速度差が設定されるので、目標速度差まで減少したと判定した時点の実際の係合部材の回転速度差が、余裕値に応じた値から変化することを抑制できる。
ここで、前記移行制御部は、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記係合装置の係合圧を、前記回転電機側に伝達されるトルクを前記出力部材側に伝達可能な最小の係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御を前記動力伝達制御ユニットに開始させると好適である。
この構成によれば、出力部材の回転速度の回転変化速度の変化によりフィルタ処理前後の出力部材の回転速度差が変化した場合にも、係合装置の係合圧を増加させて係合装置を直結係合状態に完全に移行させる時点が、係合装置が滑り係合状態から直結係合状態に移行する時点に対して変化することを抑制でき、トルクショックが生じることを抑制できる。


本発明の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るフィルタ処理部、速度差算出部、及び移行制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るフィルタ処理前後の回転速度差を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る判定しきい値及び目標速度差の設定を説明するための図である。 本発明の比較例に係る第一の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の比較例に係る第一の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施形態に係る第一の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の比較例に係る第二の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の比較例に係る第二の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施形態に係る第二の目標移行制御の処理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明のその他の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明のその他の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。
本発明に係る制御装置30の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30の概略構成を示す模式図である。この図において、実線は駆動力の伝達経路を示し、破線は作動油の供給経路を示し、一点鎖線は信号の伝達経路を示している。この図に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、概略的には、エンジンE及び回転電機MGを駆動力源として備え、これらの駆動力源の駆動力を、動力伝達機構を介して車輪Wへ伝達する構成となっている。車両用駆動装置1には、エンジンEと車輪Wに駆動連結された出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路2に、回転電機MGが設けられていると共に、回転電機MGと出力軸Oとの間に第二係合装置CL2が設けられ、エンジンEと回転電機MGとの間に第一係合装置CL1が設けられている。ここで、第一係合装置CL1は、その係合状態に応じて、エンジンEと回転電機MGとの間を選択的に連結した状態又は分離した状態とする。第二係合装置CL2は、その係合状態に応じて、回転電機MGと出力軸Oとの間を選択的に連結した状態又は分離した状態とする。本実施形態に係る車両用駆動装置1には、回転電機MGと車輪Wとの間の動力伝達経路2に変速機構TMが備えられている。そして、第二係合装置CL2は、変速機構TMに備えられた複数の係合装置の中の1つとされている。
なお、出力軸Oが、本発明における「出力部材」であり、第二係合装置CL2が、本発明における「係合装置」である。
ハイブリッド車両には、車両用駆動装置1を制御対象とする制御装置30が備えられている。本実施形態に係わる制御装置30は、回転電機MGの制御を行う回転電機制御ユニット32と、変速機構TM、第一係合装置CL1、及び第二係合装置CL2の制御を行う動力伝達制御ユニット33と、これらの制御装置を統合して車両用駆動装置1の制御を行う車両制御ユニット34と、を有している。また、ハイブリッド車両には、エンジンEの制御を行うエンジン制御装置31も備えられている。
制御装置30は、図2及び図3に示すように、出力軸Oの回転速度ωoにフィルタ処理を行ってフィルタ後回転速度ωofを算出するフィルタ処理部46と、フィルタ後回転速度ωof及び回転電機MGの回転速度ωmに基づいて、第二係合装置CL2の係合部材間の回転速度の差に応じた回転速度差ωdiffを算出する速度差算出部47と、を備えている。
また、制御装置30は、移行制御部48を備えている。移行制御部48は、第二係合装置CL2を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行し、状態移行制御の実行中に、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xenより大きいと判定している場合は、回転電機MGの回転速度ωmが目標回転速度ωmoに近づくように回転電機MGを制御する回転速度制御を実行し、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、回転速度制御を終了して回転電機MGの出力トルクが目標トルクTmrとなるように回転電機MGを制御するトルク制御を開始する目標移行制御を実施する。
そして、移行制御部48は、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの変化速度αo(以下、回転変化速度αoとも称す)が大きくなることに応じて判定しきい値Xenが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xenを設定する点に特徴を有している。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30について、詳細に説明する。
1.車両用駆動装置1の構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド車両の車両用駆動装置1の構成について説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源としてエンジンE及び回転電機MGを備え、これらのエンジンEと回転電機MGとが直列に駆動連結されるパラレル方式のハイブリッド車両となっている。ハイブリッド車両は、変速機構TMを備えており、当該変速機構TMにより、中間軸Mに伝達されたエンジンE及び回転電機MGの回転速度ωmを変速すると共にトルクを変換して出力軸Oに伝達する。
エンジンEは、燃料の燃焼により駆動される内燃機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種エンジンを用いることができる。本例では、エンジンEのクランクシャフト等のエンジン出力軸Eoが、第一係合装置CL1を介して、回転電機MGに駆動連結された入力軸Iと選択的に駆動連結される。すなわち、エンジンEは、摩擦係合要素である第一係合装置CL1を介して回転電機MGに選択的に駆動連結される。また、エンジン出力軸Eoには、ダンパが備えられており、エンジンEの間欠的な燃焼による出力トルク及び回転速度の変動を減衰して、車輪W側に伝達可能に構成されている。
回転電機MGは、非回転部材に固定されたステータと、このステータと対応する位置で径方向内側に回転自在に支持されたロータと、を有している。この回転電機MGのロータは、入力軸I及び中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。すなわち、本実施形態においては、入力軸I及び中間軸MにエンジンE及び回転電機MGの双方が駆動連結される構成となっている。回転電機MGは、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。すなわち、回転電機MGは、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いはエンジンEや車輪Wから伝達される回転駆動力により発電し、発電された電力は、インバータを介してバッテリに蓄電される。
駆動力源が駆動連結される中間軸Mには、変速機構TMが駆動連結されている。本実施形態では、変速機構TMは、変速比の異なる複数の変速段を有する有段の自動変速装置である。変速機構TMは、これら複数の変速段を形成するため、遊星歯車機構等の歯車機構と複数の係合装置とを備えている。本実施形態では、変速機構TMに備えられた複数の係合装置の中の1つが、第二係合装置CL2とされる。この変速機構TMは、各変速段の変速比で、中間軸Mの回転速度を変速するとともにトルクを変換して、出力軸Oへ伝達する。変速機構TMから出力軸Oへ伝達されたトルクは、出力用差動歯車装置DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。ここで、変速比は、変速機構TMにおいて各変速段が形成された場合の、出力軸Oの回転速度に対する中間軸Mの回転速度の比であり、本願では中間軸Mの回転速度を出力軸Oの回転速度で除算した値である。すなわち、中間軸Mの回転速度を変速比で除算した回転速度が、出力軸Oの回転速度になる。また、中間軸Mから変速機構TMに伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、変速機構TMから出力軸Oに伝達されるトルクになる。
本例では、変速機構TMの複数の係合装置(第二係合装置CL2を含む)、及び第一係合装置CL1は、それぞれ摩擦材を有して構成されるクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素である。これらの摩擦係合要素は、供給される油圧を制御することによりその係合圧を制御して伝達トルク容量の増減を連続的に制御することが可能とされている。このような摩擦係合要素としては、例えば湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキ等が好適に用いられる。
摩擦係合要素は、その係合部材間の摩擦により、係合部材間でトルクを伝達する。摩擦係合要素の係合部材間に回転速度差(滑り)がある場合は、動摩擦により回転速度の大きい方の部材から小さい方の部材に伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が伝達される。摩擦係合要素の係合部材間に回転速度差(滑り)がない場合は、摩擦係合要素は、伝達トルク容量の大きさを上限として、静摩擦により摩擦係合要素の係合部材間に作用するトルクを伝達する。ここで、伝達トルク容量とは、摩擦係合要素が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合要素の係合圧に比例して変化する。係合圧とは、入力側係合部材(摩擦板)と出力側係合部材(摩擦板)とを相互に押し付け合う圧力である。本実施形態では、係合圧は、供給されている油圧の大きさに比例して変化する。すなわち、本実施形態では、伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合要素に供給されている油圧の大きさに比例して変化する。
各摩擦係合要素は、リターンばねを備えており、ばねの反力により解放側に付勢されている。そして、各摩擦係合要素の油圧シリンダに供給される油圧により生じる力がばねの反力を上回ると、各摩擦係合要素に伝達トルク容量が生じ始め、各摩擦係合要素は、解放状態から係合状態に変化する。この伝達トルク容量が生じ始めるときの油圧を、ストロークエンド圧と称す。各摩擦係合要素は、供給される油圧がストロークエンド圧を上回った後、油圧の増加に比例して、その伝達トルク容量が増加するように構成されている。なお、摩擦係合要素は、リターンばねを備えておらず、油圧シリンダのピストンの両側にかかる油圧の差圧によって制御させる構造でもよい。
本実施形態において、係合状態とは、摩擦係合要素に伝達トルク容量が生じている状態であり滑り係合状態と直結係合状態とが含まれる。解放状態とは、摩擦係合要素に伝達トルク容量が生じていない状態である。また、滑り係合状態とは、摩擦係合要素の係合部材間に回転速度差(滑り)がある係合状態であり、直結係合状態とは、摩擦係合要素の係合部材間に回転速度差(滑り)がない係合状態である。また、非直結係合状態とは、直結係合状態以外の係合状態であり、解放状態と滑り係合状態とが含まれる。
なお、摩擦係合要素には、制御装置30により伝達トルク容量を生じさせる指令が出されていない場合でも、係合部材(摩擦部材)同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。例えば、ピストンにより摩擦部材同士が押圧されていない場合でも、摩擦部材同士が接触し、摩擦部材同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。そこで、「解放状態」には、制御装置30が摩擦係合装置に伝達トルク容量を生じさせる指令を出していない場合に、摩擦部材同士の引き摺りにより、伝達トルク容量が生じている状態も含まれるものとする。
2.油圧制御系の構成
車両用駆動装置1の油圧制御系は、車両の駆動力源や専用のモータによって駆動される油圧ポンプから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。ここでは詳しい説明を省略するが、油圧制御装置PCは、油圧調整用のリニアソレノイド弁からの信号圧に基づき一又は二以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、変速機構TM、並びに第一係合装置CL1や第二係合装置CL2の各摩擦係合要素等に供給される。
3.制御装置の構成
次に、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置30及びエンジン制御装置31の構成について、図2を参照して説明する。
制御装置30の制御ユニット32〜34及びエンジン制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている。そして、制御装置のROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部41〜48などが構成されている。また、制御装置30の制御ユニット32〜34及びエンジン制御装置31は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行い、各機能部41〜48の機能が実現される。
また、車両用駆動装置1は、センサSe1〜Se3を備えており、各センサから出力される電気信号は制御装置30及びエンジン制御装置31に入力される。制御装置30及びエンジン制御装置31は、入力された電気信号に基づき各センサの検出情報を算出する。
入力回転速度センサSe1は、入力軸I及び中間軸Mの回転速度を検出するためのセンサである。入力軸I及び中間軸Mには回転電機MGのロータが一体的に駆動連結されているので、回転電機制御ユニット32は、入力回転速度センサSe1の入力信号に基づいて回転電機MGの回転速度ωm(角速度)、並びに入力軸I及び中間軸Mの回転速度を検出する。本実施形態では、入力回転速度センサSe1は、回転電機MGの電流制御及び回転速度制御のために、回転速度の変化に対する検出分解能及び検出精度が高いタイプのセンサ、例えば、レゾルバとされている。ここでは、入力回転速度センサSe1は、出力回転速度センサSe2より検出分解能及び検出精度が高いセンサとされている。
出力回転速度センサSe2は、出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて出力軸Oの回転速度(角速度)を検出する。また、出力軸Oの回転速度は車速に比例するため、動力伝達制御ユニット33は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて車速を算出する。
本実施形態では、出力回転速度センサSe2は、センサが取り付けられた被検出体が所定の角度回転する毎に、パルス信号を出力するタイプのセンサとされており、回転速度に比例して、出力されるパルス信号の時間間隔であるパルス間隔が短くなる。従って、制御装置30は、パルス信号のパルス間隔に基づき、出力軸Oの回転速度ωoを検出する。例えば、出力回転速度センサSe2は、電磁ピップアップの原理を応用したセンサとされ、出力軸Oと一体的に回転するパークギヤやクラッチドラムのような、回転周方向に沿って所定の角度間隔で凹凸が変化するような凹凸面(歯)を持った磁性体に近づけて設置される。そして、出力軸Oの回転により、磁性体とセンサとの距離が変化すると、センサから出力されるハイ/ローの電圧レベルが変化して、パルス信号が出力される。このような、パルス信号を出力するタイプのセンサでは、回転速度が低下するとパルス間隔が長くなり、単位時間当たりのパルス数が減少する。また、凹凸の角度間隔のように被検出体(回転体)の周方向に沿ったパルス信号を出力させる加工角度間隔にバラツキがあると、パルス間隔にバラツキが生じ、出力軸Oの回転速度ωoにノイズ成分が重畳する。このため、回転速度の変化に対する検出分解能及び検出精度が低下し易い。
エンジン回転速度センサSe3は、エンジン出力軸Eo(エンジンE)の回転速度を検出するためのセンサである。エンジン制御装置31は、エンジン回転速度センサSe3の入力信号に基づいてエンジンEの回転速度(角速度)を検出する。
3−1.エンジン制御装置31
エンジン制御装置31は、エンジンEの動作制御を行うエンジン制御部41を備えている。本実施形態では、エンジン制御部41は、車両制御ユニット34からエンジン要求トルクが指令されている場合は、車両制御ユニット34から指令されたエンジン要求トルクを出力トルク指令値に設定し、エンジンEが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御するトルク制御を行う。また、エンジン制御装置31は、エンジンの燃焼開始要求があった場合は、エンジンEの燃焼開始が指令されたと判定して、エンジンEへの燃料供給及び点火を開始するなどして、エンジンEの燃焼を開始する制御を行う。
3−2.動力伝達制御ユニット33
動力伝達制御ユニット33は、変速機構TMの制御を行う変速機構制御部43と、第一係合装置CL1の制御を行う第一係合装置制御部44と、エンジンEの始動制御などにおいて第二係合装置CL2の制御を行う第二係合装置制御部45と、を備えている。
3−2−1.変速機構制御部43
変速機構制御部43は、変速機構TMに変速段を形成する制御を行う。変速機構制御部43は、車速、アクセル開度、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて変速機構TMにおける目標変速段を決定する。そして、変速機構制御部43は、油圧制御装置PCを介して変速機構TMに備えられた複数の係合装置に供給される油圧を制御することにより、各係合装置を係合又は解放して目標とされた変速段を変速機構TMに形成させる。具体的には、変速機構制御部43は、油圧制御装置PCに各係合装置の目標油圧(指令圧)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(指令圧)の油圧を各係合装置に供給する。
3−2−2.第一係合装置制御部44
第一係合装置制御部44は、第一係合装置CL1の係合状態を制御する。本実施形態では、第一係合装置制御部44は、第一係合装置CL1の伝達トルク容量を、車両制御ユニット34から指令された第一目標トルク容量に近づけるように、油圧制御装置PCを介して第一係合装置CL1に供給される油圧を制御する。具体的には、第一係合装置制御部44は、第一目標トルク容量に基づき設定した目標油圧(指令圧)を、油圧制御装置PCに指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(指令圧)の油圧を第一係合装置CL1に供給する。
3−2−3.第二係合装置制御部45
第二係合装置制御部45は、エンジンEの始動制御中に第二係合装置CL2の係合状態を制御する。本実施形態では、第二係合装置制御部45は、第二係合装置CL2の伝達トルク容量を、車両制御ユニット34から指令された第二目標トルク容量に近づけるように、油圧制御装置PCを介して第二係合装置CL2に供給される油圧を制御する。具体的には、第二係合装置制御部45は、第二目標トルク容量に基づき設定した目標油圧(指令圧)を、油圧制御装置PCに指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(指令圧)の油圧を第二係合装置CL2に供給する。
本実施形態では、第二係合装置CL2は、変速機構TMの変速段を形成する複数又は単数の係合装置の一つとされる。第二係合装置CL2として用いる変速機構TMの係合装置は、形成されている変速段によって変更されても良いし、同じ係合装置が使用されても良い。
3−3.回転電機制御ユニット32
回転電機制御ユニット32は、回転電機MGの動作制御を行う回転電機制御部42を備えている。本実施形態では、回転電機制御部42は、車両制御ユニット34から回転電機要求トルクが指令されている場合は、車両制御ユニット34から指令された回転電機要求トルクTmoを出力トルク指令値に設定し、回転電機MGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御部42は、インバータが備える複数のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、回転電機MGの出力トルクTmを制御する。
3−4.車両制御ユニット34
車両制御ユニット34は、エンジンE、回転電機MG、変速機構TM、第一係合装置CL1、及び第二係合装置CL2等に対して行われる各種トルク制御、及び各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う機能部を備えている。
車両制御ユニット34は、アクセル開度、車速、及びバッテリの充電量等に応じて、車輪Wの駆動のために要求されているトルクであって、中間軸M側から出力軸O側に伝達される目標駆動力である車両要求トルクを算出するとともに、エンジンE及び回転電機MGの運転モードを決定する。そして、車両制御ユニット34は、エンジンEに対して要求する出力トルクであるエンジン要求トルク、回転電機MGに対して要求する出力トルクである回転電機要求トルクTmo、第一係合装置CL1に対して要求する伝達トルク容量である第一目標トルク容量、及び第二係合装置CL2に対して要求する伝達トルク容量である第二目標トルク容量を算出し、それらを他の制御ユニット32、33及びエンジン制御装置31に指令して統合制御を行う機能部である。
本実施形態では、車両制御ユニット34は、フィルタ処理部46、速度差算出部47、及び移行制御部48を備えている。
以下、フィルタ処理部46、速度差算出部47、及び移行制御部48について詳細に説明する。
3−4−1.フィルタ処理部46
フィルタ処理部46は、図3に示すように、出力軸Oの回転速度ωoにフィルタ処理を行ってフィルタ後回転速度ωofを算出する機能部である。
本実施形態では、フィルタ処理部46のフィルタ処理は、カットオフ周波数以下の周波数を通過するローパスフィルタ処理とされている。カットオフ周波数は、出力軸Oの回転速度ωoに重畳するノイズ成分の周波数より低くなるように設定される。出力回転速度センサSe2が、パルス信号を出力するタイプのセンサである場合は、ノイズ成分はパルス信号間隔のバラツキにより生じるため、ノイズ成分の周波数は、出力軸Oの回転速度ωoに比例する。このため、フィルタ処理部46は、出力軸Oの回転速度ωoが大きくなるに応じて、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を大きく設定するように構成されてもよい。
本実施形態では、フィルタ処理は、式(1)で示す伝達関数Gf(s)の特性を有する、一次遅れのローパスフィルタ処理(一次遅れフィルタ)とされている。
Gf(s)=1/(Tf s+1) ・・・(1)
ここで、Tfは、一次遅れフィルタの時定数であり、時定数Tfの逆数1/Tfが、カットオフ周波数(Hz)となる。
3−4−2.速度差算出部47
速度差算出部47は、出力軸Oのフィルタ後回転速度ωof及び回転電機MGの回転速度ωmに基づいて、第二係合装置CL2の係合部材間の回転速度の差に応じた回転速度差ωdiff(絶対値)を算出する機能部である。
本実施形態では、回転電機MGの回転速度ωmから、フィルタ後回転速度ωofに変速比Krを乗算した値を減算して、回転速度差ωdiff(絶対値)を算出するように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。すなわち、出力軸Oの回転速度ωoのフィルタ値を、回転電機MGにおける回転速度相当に換算して用い、回転電機MGにおける回転速度差相当に換算された、第二係合装置CL2の係合部材間の回転速度差を算出するように構成されている。このように算出された回転速度差ωdiffは、変速機構TMに備えられた第二係合装置CL2としてのクラッチ又はブレーキの係合部材間の回転速度の差に比例する。よって、回転速度差ωdiffに基づいて、第二係合装置CL2の係合部材間の回転速度の差が小さくなり直結係合状態に移行するか、或いは回転速度の差が大きく滑り係合状態であるか判定することができる。
3−4−3.移行制御部48
移行制御部48は、第二係合装置CL2を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行し、状態移行制御の実行中に、図3に示すように、直結判定部53が有する比較器68により回転速度差ωdiffが判定しきい値Xenより大きいと判定している場合は、回転電機MGの回転速度ωmが目標回転速度ωmoに近づくように回転電機MGを制御する回転速度制御を実行し、直結判定部53が有する比較器68により回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行すると判定して、回転速度制御を終了して回転電機MGの出力トルクが目標トルクTmrとなるように回転電機MGを制御するトルク制御を開始する目標移行制御を実施する機能部である。目標トルクTmrは、車両要求トルクに基づいて設定される。
本実施形態では、移行制御部48は、回転電機MGの回転中に、第二係合装置CL2を滑り係合状態に制御して、第二係合装置CL2の係合部材間を伝達するトルクにより出力軸Oの回転速度ωoを増加させて、回転速度差ωdiffを減少させ、第二係合装置CL2を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行するように構成されている。
3−4−3−1.直結係合判定の課題
<フィルタ処理の必要性>
出力回転速度センサSe2は、一般に、回転電機MGの制御用の入力回転速度センサSe1に比べて、回転速度(回転角度)の変化に対する検出分解能及び検出精度が悪い。例えば、上記したように、出力回転速度センサSe2が、パルス信号を出力するタイプのセンサである場合は、出力軸Oの回転速度ωoが低下するに従ってパルス間隔が長くなり、回転速度の変化に対する検出分解能が低下する。また、被検出体(回転体)の周方向に沿ったパルス信号を出力させる加工間隔にバラツキがあると、パルス間隔にバラツキが生じ、出力軸Oの回転速度ωoにノイズ成分が重畳しやすくなる。また、ノイズ成分の周波数は、出力軸Oの回転速度ωoが低下するに従って低下する。
また、変速機構TMが減速機として機能し、変速機構TMの変速比Krが1より大きい場合は、出力軸Oの回転速度ωoが、回転電機MGの回転速度ωmより低くなる。特に、状態移行制御の実行中のように、出力軸Oの回転速度ωoが低い場合は、回転速度に対する検出分解能及び検出精度が低下し、ノイズ成分の周波数が低下する。
よって、出力軸Oの回転速度ωoに対してフィルタ処理を行って、検出分解能及び検出精度の低下の影響を軽減するように構成されている。特に、低速走行中のように、出力軸Oの回転速度ωoが低い場合は、周波数が低下するノイズ成分に合わせて、フィルタ処理のカットオフ周波数を低下させる必要がある。
<フィルタ処理の課題>
しかし、図4に示すように、フィルタ処理後の出力軸Oの回転速度ωofは、フィルタ処理前の出力軸Oの回転速度ωoに対して遅れを有して変化する。状態移行制御の実行中のように、出力軸Oの回転速度ωoが一定の変化速度(傾き)で増加している場合(ランプ入力の場合)は、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyは、変化速度(傾き)が小さい場合の定常状態と大きい場合の定常状態とで同じ値になる。フィルタ処理が式(1)で示した一次遅れフィルタの場合は、遅れ時間Tdlyは、時定数Tfの値と等しくなる。ここで、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyとは、フィルタ処理への入力信号の変化速度が一定である場合の定常状態において、フィルタ処理の出力信号が入力信号と同じ値になるまでにかかる時間である。
出力軸Oの回転速度ωoの変化速度αoが一定である場合において、出力軸Oの回転速度ωoとフィルタ処理後の出力軸Oの回転速度ωofとの回転速度差ΔWoは、回転速度差が一定になっている定常状態の時点(例えば、時刻t03)で、変化速度αoに遅れ時間Tdlyを乗算した値になる(ΔWo=αo×Tdly)。すなわち、フィルタ処理前後の回転速度差は、変化速度αoに比例して変化する。例えば、図4に示すように、変化速度α1が小さい場合は、フィルタ処理前後の回転速度差ΔWo1が小さくなり、変化速度α2が大きい場合は、フィルタ前後の回転速度差ΔWo2が大きくなる。
特に、状態移行制御の実行中のように、出力軸Oの回転速度ωoが低い場合は、ノイズ成分の周波数が低下するため、フィルタ処理のカットオフ周波数が低下する。フィルタ処理のカットオフ周波数が低下すると、遅れ時間Tdlyが増加する。フィルタ処理が一次遅れフィルタである場合は、カットオフ周波数は時定数Tfの逆数であり、遅れ時間Tdlyが時定数Tfとなるため、カットオフ周波数が低下すると、遅れ時間Tdlyが増加する。遅れ時間Tdlyが増加すると、変化速度αoが小さい場合と大きい場合との間の、フィルタ処理前後の回転速度差ΔWoの差異が大きくなる。よって、状態移行制御の実行中は、出力軸Oの回転変化速度αoが小さい場合と大きい場合との間の、フィルタ処理前後の回転速度差ΔWoの差異が無視できないほど大きくなる。
<直結係合判定の課題>
図3に示すように、移行制御部48は、第二係合装置CL2の直結係合判定を行う際に、出力軸Oの回転速度ωoとしてフィルタ処理後の回転速度ωofを用いるように構成されている。このため、第二係合装置CL2が直結係合状態になったときの、フィルタ後回転速度ωofを用いて算出した第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffは、出力軸Oの回転変化速度αoが大きくなることに応じて大きくなる。よって、本発明とは異なり、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffと比較される判定しきい値Xenが、出力軸Oの回転変化速度αoに応じて変化されずに一定値とされると、直結係合判定の判定精度が悪化する。
3−4−3−2.判定しきい値Xenの設定
上記の課題に対して、本発明に係る移行制御部48は、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoが大きくなることに応じて、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffと比較される判定しきい値Xenが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xenを設定するように構成されている。
これにより、出力軸Oの回転変化速度αoが大きくなることに応じて大きくなる、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffに適応して、判定しきい値Xenを設定することができ、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行すると判定する時点の精度を向上させることができる。
フィルタ後回転速度ωofを用いて算出した第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffは、実際の回転速度差がゼロになった場合に、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoに変速比Krなどの所定の係数を乗算した値になる。そして、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、上記のように、出力軸Oの回転変化速度αoと、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyとを乗算した値となる。
よって、本実施形態では、移行制御部48(しきい値設定部51)は、図3に示すように、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyと、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoと、を乗算した値に応じて、判定しきい値Xenを設定するように構成されている。
また、本実施形態では、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffは、回転電機MGの回転速度ωmから、変速比Krが乗算されたフィルタ後回転速度ωofを減算して算出されるように構成されている。そして、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffと比較される判定しきい値Xenは、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyと、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoと、変速比Krと、を乗算した値に設定されるように構成されている。すなわち、判定しきい値Xenは、変速比Krが大きくなることに応じて大きくなるように、変速比Krに応じて設定されるように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。
なお、判定しきい値Xenは、回転変化速度αoが大きくなることに応じて連続的に大きくなるように設定されていなくてもよく、回転変化速度αoが大きくなることに応じて段階的に大きくなるように設定されていてもよい。
或いは、移行制御部48は、図5に示すように、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoが大きくなることに応じて、判定しきい値Xenが大きくなるように設定された特性マップを備えており、特性マップを用い、回転変化速度αoに基づいて判定しきい値Xenを設定するように構成されてもよい。特性マップの設定値は、後述するトルクショックが生じないように実験的に設定された値であってもよい。また、判定しきい値Xenが、変速比Krが大きくなることに応じて大きくなるように、特性マップが変速段毎に備えられ、目標変速段に応じて特性マップが切り替えられるように構成されてもよい。
また、図5の例に示すように、移行制御部48は、回転変化速度αoが予め設定された所定の下限速度X1以下の場合は、判定しきい値Xenを、回転変化速度αoに応じて変化しないように、一定値に設定するように構成されてもよい。
以下で、状態移行制御中の目標移行制御として、第一の目標移行制御と、第二の目標移行制御と、2つの異なる構成について説明する。
3−4−3−3.第一の目標移行制御の挙動及び構成
まず、第一の目標移行制御の挙動及び構成について詳細に説明する。
3−4−3−3−1.第一の目標移行制御の基本構成
第一の目標移行制御に係る移行制御部48は、状態移行制御の実行中に、回転速度差ωdiffが、判定しきい値Xenより大きい値に設定した目標速度差ωdiffoより大きいと判定している場合は、目標回転速度ωmoを予め設定された初期目標値に設定して回転速度制御を実行し、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した後、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoに一致するように目標回転速度ωmoを設定して回転速度制御を実行する。その後、移行制御部48は、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen未満まで次第に減少するように、目標速度差ωdiffoを次第に減少させて回転速度制御を実行し、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、回転速度制御を終了してトルク制御を開始する目標移行制御を実施するように構成されている。
本実施形態では、図3に示すように、切替判定部66が、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoより大きいと判定している場合は、目標回転速度ωmoを初期目標値に設定し、切替判定部66が、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffo以下になったと判定した後、変速比Krが乗算されたフィルタ後回転速度ωofに、目標速度差ωdiffoを加算した値を目標回転速度ωmoに設定するように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。
そして、第一の目標移行制御では、移行制御部48(目標速度差設定部52)は、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した時点から所定期間経過した後、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen未満まで次第に減少するように、目標速度差ωdiffoを次第に減少させて回転速度制御を実行するように構成されている。
本実施形態では、図3に示すように、遅れ時間Tdlyと回転変化速度αoと、を乗算した値に応じた値に加算される余裕値が、所定期間経過した後、減少処理63によりゼロ未満まで次第に減少するように構成されている。
また、本実施形態では、移行制御部48(係合圧増加制御部56)は、切替判定部66が回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、回転電機MG側に伝達されるトルクを出力軸O側に伝達可能な最小の係合圧(最小係合圧とも称す)より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御を開始するように構成されている。
3−4−3−3−2.目標速度差ωdiffoの設定
移行制御部48は、判定しきい値Xenの設定と同様に、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoが大きくなることに応じて目標速度差ωdiffoが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて目標速度差ωdiffoを設定するように構成されている。
これにより、判定しきい値Xenの設定と同様に、出力軸Oの回転変化速度αoが大きくなることに応じて大きくなる、第二係合装置CL2の回転速度差ωdiffに適応して、目標速度差ωdiffoを設定することができ、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定する時点の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、移行制御部48(目標速度差設定部52)は、図3に示すように、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyと、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoと、を乗算した値に予め設定された余裕値を加算した値を、目標速度差ωdiffoに設定するように構成されている。或いは、目標速度差ωdiffoは、判定しきい値Xenに余裕値を加算した値に設定されるように構成されてもよい。
また、本実施形態では、判定しきい値Xenの設定と同様に、目標速度差ωdiffoは、変速比Krが大きくなることに応じて大きくなるように、変速比Krに応じて設定されるように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。
なお、目標速度差ωdiffoは、回転変化速度αo又は変速比Krが大きくなることに応じて連続的に大きくなるように設定されていなくてもよく、回転変化速度αo又は変速比Krが大きくなることに応じて段階的に大きくなるように設定されていてもよい。
或いは、移行制御部48は、図5に示すように、判定しきい値Xenの設定と同様に、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoが大きくなることに応じて、目標速度差ωdiffoが大きくなるように設定された特性マップを備えており、特性マップを用い、回転変化速度αoに基づいて目標速度差ωdiffoを設定するように構成されてもよい。
3−4−3−3−3.第一の目標移行制御の課題
第一の目標移行制御の課題について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7に示す比較例では、判定しきい値及び目標速度差は、本実施形態とは異なり、一定値に設定されており、回転変化速度αoが変化しても変化しない。図6に示す比較例は、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさ(頻度が高い大きさ)の場合であって、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合であり、図7に示す比較例は、図6の場合より出力軸Oの回転変化速度αoが大きくなり、判定しきい値及び目標速度差が不適切になった場合である。
なお、図6〜図8に示す出力軸Oの回転速度ωo及びフィルタ後回転速度ωofは、理解を容易化するため、変速比Krが乗算されて、回転電機MGにおける回転速度相当に換算されたものが表示されている。
<回転変化速度αoが典型的な大きさの場合>
まず、図6に示す、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさの場合であって、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合の比較例について説明する。時刻t11までの所期状態は、車両(出力軸Oの回転)が停止し、回転電機MGが回転し、第二係合装置CL2が解放されている状態である。図6に示す例では、時刻t11で、走行レンジでブレーキペダルがオフにされて、出力軸Oに伝達させる目標駆動力である車両要求トルクが、ゼロからクリープトルクまで増加されている。そして、第二係合装置CL2を係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を開始すると判定されている。ここで、クリープトルクとは、車両が微速走行する(クリープする)ように設定されたトルクである。
状態移行制御を開始すると判定した後、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)をゼロから、車両要求トルクに応じて設定した係合圧(指令圧)まで増加させる。これにより、第二係合装置CL2を伝達するスリップトルクによって、第二係合装置CL2を介して回転電機MG側から出力軸Oに伝達されるトルクが、車両要求トルクになるように制御される。
図6に示す例では、時刻t12で、アクセル開度が最小開度から増加されて、車両要求トルクがクリープトルクから増加され、第二係合装置CL2の係合圧が増加されている。そして、出力軸Oの回転速度ωo(車速)がゼロ付近から増加を開始している(時刻t12以降)。
図6に示す比較例は、典型的な(頻度の高い)加速の場合であり、本実施形態とは異なり一定値に設定される判定しきい値が適切となっている。言い換えると、典型的な(頻度の高い)加速の場合に適合するように、判定しきい値の値が設定されている。
出力軸Oの回転速度ωoの増加の開始後(時刻t12以降)、出力軸Oの回転速度ωoの変化に対して、定常状態で遅れ時間Tdlyを有して、フィルタ後回転速度ωofが変化している。このため、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、定常状態で出力軸Oの回転変化速度αoに遅れ時間Tdlyを乗算した値になっている(ΔWo=αo×Tdly)。
出力軸Oの回転速度ωo及びフィルタ後回転速度ωofが増加し始めた後(時刻t12以降)、時刻t13で、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定されている。そして、判定した時点から所定期間経過するまで、フィルタ後回転速度ωofに目標速度差を加算した値が目標回転速度ωmoに設定されている(時刻t13〜時刻t14)。なお、図6に示す比較例では、目標速度差は、本実施形態とは異なり、一定値に設定されており、回転変化速度αoが変化しても変化しない。
そして、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定した時点から所定期間経過した後(時刻t14以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差を次第に減少させている。なお、図6に示す比較例では、判定しきい値は、本実施形態とは異なり、一定値に設定されており、回転変化速度αoが変化しても変化しない。
図6に示す比較例は、上記のように、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合である。よって、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定された時点から所定期間経過するまで(時刻t13〜時刻t14)の、回転電機MGの回転速度ωmと、変速比Krが乗算された出力軸Oの回転速度ωoと、の回転速度差が、適切な余裕を有している。また、回転速度差ωdiffが判定しきい値以下になったと判定した時点(時刻t15)と、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t15)と、が一致している。よって、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t15)で、回転電機MGの制御が、適切に回転速度制御からトルク制御に切り替えられており、後述するトルクショックが車輪Wに伝達されることを防止できている。また、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t15)で、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、最小係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御が開始されている。
<回転変化速度αoが大きい場合>
次に、図7に示す、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさより大きい場合であって、判定しきい値及び目標速度差が不適切になった場合の比較例について説明する。時刻t22までの状態は、図6に示す時刻t12までの状態と同じである。
図7に示す例では、時刻t22で、アクセル開度が、図6に示す例より、大きい開度まで増加されており、車両要求トルクが、図6に示す例より、大きいトルクまで増加されている。これにより、車輪W側に伝達されるトルクが増加し、出力軸Oの回転変化速度αoは、図6に示す典型的な大きさより増加している(時刻t22以降)。
よって、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、典型的な場合からの出力軸Oの回転変化速度αoの増加分に、遅れ時間Tdlyを乗算した値分だけ増加している。
しかし、図7に示す比較例では、判定しきい値及び目標速度差は、典型的な場合に合わせて設定された値のままで、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoが増加しても増加されていない。よって、判定しきい値及び目標速度差は、適切な値より小さくなっている。
目標速度差が適切な値より小さいため、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定された時点から所定期間経過するまで(時刻t23〜時刻t24)の、回転電機MGの回転速度ωmと、変速比Krが乗算された出力軸Oの回転速度ωoと、の回転速度差が、適切値よりも小さくなっている。回転速度差が小さくなりすぎると、回転電機MGの回転速度ωmが何らかの外乱要因により変動した場合に、第二係合装置CL2の回転速度差がなくなって、第二係合装置CL2が意図せず直結係合状態になり、トルクショックが生じる恐れがある。
そして、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定した時点から所定期間経過した後(時刻t24以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差が次第に減少されている(時刻t24〜時刻26)。
しかし、判定しきい値が適切な値より小さいため、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t25)では、回転速度差ωdiffが判定しきい値より大きい。
このため、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行した後(時刻t25以降)も、回転速度制御は終了されず、継続して実行されている。そして、回転電機MGの回転速度ωmが、目標速度差が次第に減少するように設定されている目標回転速度ωmoに近づくように制御されている(時刻t25から時刻t26)。この間の目標回転速度ωmoの変化速度は、これより前の変速比Krが乗算された出力軸Oの回転速度ωoの変化速度に比べて小さくなるため、回転速度制御により、出力軸Oの回転速度ωo(車速)の変化速度が減少される。すなわち、第二係合装置CL2が直結係合状態となり、出力軸Oが回転電機MGと一体的に回転するようになった後も、回転速度制御が継続して実施されており、出力軸Oの回転速度の変化速度が減少するように、回転電機MGの出力トルクが減少する。この際、車両の慣性モーメント(イナーシャ)は大きいため、回転電機MGの出力トルクの減少量は大きくなる。減少した回転電機MGの出力トルクは、直結係合状態となった第二係合装置CL2を介して出力軸O側に伝達されるため、トルクショックが車輪Wに伝達される。
目標速度差が次第に減少されていき、回転速度差ωdiffが判定しきい値まで減少した場合(時刻t26)に、回転速度制御が終了されてトルク制御が開始されている。よって、目標速度差が判定しきい値まで減少されるまでの期間、回転速度制御によりトルクショックが車輪Wに伝達される。
3−4−3−3−4.第一の目標移行制御の挙動
次に、本実施形態に係る第一の目標移行制御の挙動について、図8を参照して説明する。図8に示す例は、図7の比較例と同じく、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさより大きい場合であるが、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが設定されている場合である。
時刻t32までの状態は、図6の時刻t12まで、及び図7の時刻t22までの状態と同じである。
図8に示す例では、図7に示す比較例と同様に、出力軸Oの回転変化速度αoは、図6に示す典型的な大きさより増加している(時刻t32以降)。よって、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、典型的な場合からの出力軸Oの回転変化速度αoの増加分に、遅れ時間Tdlyを乗算した値分だけ増加している。
しかし、図8に示す本実施形態に係る例では、移行制御部48は、回転変化速度αoが大きくなることに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoを設定するように構成されている。
回転変化速度αoが増加し始めた後(時刻t32以降)、回転変化速度αoが大きくなることに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが大きくなっている。よって、回転変化速度αoが典型的な場合よりも大きくなり、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoが増加した場合でも、回転速度差ΔWoの増加量に応じて、判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが増加されており、適切な値になっている。
目標速度差ωdiffoが回転速度差ΔWoの増加量に応じて増加されているため、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定された時点から所定期間経過するまで(時刻t33〜時刻t34)の、回転電機MGの回転速度ωmと、変速比Krが乗算された出力軸Oの回転速度ωoと、の回転速度差が、図7に示す比較例より増加され、適切な余裕を有している。よって、回転変化速度αoが典型的な場合よりも大きくなった場合でも、図7に示す比較例とは異なり、第二係合装置CL2が意図せず直結係合状態になり、トルクショックが生じることを抑制できる。
そして、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した時点から所定期間経過した後(時刻t34以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差ωdiffoが次第に減少されている(時刻t34〜時刻35)。
判定しきい値Xenが回転速度差ΔWoの増加量に応じて増加されているため、回転速度差ωdiffが判定しきい値以下になったと判定した時点(時刻t35)と、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t35)と、を一致させることができている。よって、回転変化速度αoが典型的な場合よりも大きくなった場合でも、図7に示す比較例とは異なり、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t35)で、回転電機MGの制御が、適切に回転速度制御からトルク制御に切り替えられており、トルクショックが車輪Wに伝達されることを防止できている。また、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t35)で、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、最小係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御が開始されている。
3−4−3−4.第二の目標移行制御の挙動及び構成
次に、第二の目標移行制御の挙動及び構成について詳細に説明する。
3−4−3−4−1.第二の目標移行制御の基本構成
第二の目標移行制御に係る移行制御部48は、状態移行制御の実行中に、回転速度差ωdiffが、判定しきい値Xenより大きい値に設定した目標速度差ωdiffoより大きいと判定している場合は、目標回転速度ωmoを予め設定された初期目標値に設定して回転速度制御を実行する。そして、移行制御部48は、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した後、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen未満まで次第に減少するように目標速度差ωdiffoを次第に減少させて回転速度制御を実行し、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、回転速度制御を終了してトルク制御を開始する目標移行制御を実施するように構成されている。
第二の目標移行制御でも、図3に示すように、切替判定部66が、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoより大きいと判定している場合は、目標回転速度ωmoを初期目標値に設定し、切替判定部66が、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffo以下になったと判定した後、変速比Krが乗算されたフィルタ後回転速度ωofに、目標速度差ωdiffoを加算した値を目標回転速度ωmoに設定するように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。
そして、第二の目標移行制御では、移行制御部48(目標速度差設定部52)は、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した後、回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen未満まで次第に減少するように、目標速度差ωdiffoを次第に減少させて回転速度制御を実行するように構成されている。
本実施形態では、図3に示すように、遅れ時間Tdlyと回転変化速度αoと、を乗算した値に応じた値に加算される余裕値が、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した後、減少処理63によりゼロ未満まで次第に減少するように構成されている。
第二の目標移行制御でも、図3に示すように、移行制御部48(係合圧増加制御部56)は、切替判定部66が回転速度差ωdiffが判定しきい値Xen以下になったと判定した場合に、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、回転電機MG側に伝達されるトルクを出力軸O側に伝達可能な最小の係合圧(最小係合圧とも称す)より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御を開始するように構成されている。
3−4−3−4−2.目標速度差ωdiffoの設定
移行制御部48は、第一の目標移行制御と同様に、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoが大きくなることに応じて目標速度差ωdiffoが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて目標速度差ωdiffoを設定するように構成されている。
また、移行制御部48(目標速度差設定部52)は、第一の目標移行制御と同様に、図3に示すように、フィルタ処理による信号の遅れ時間Tdlyと、出力軸Oの回転速度ωo又はフィルタ後回転速度ωofの回転変化速度αoと、を乗算した値に予め設定された余裕値を加算した値を、目標速度差ωdiffoに設定するように構成されている。或いは、目標速度差ωdiffoは、判定しきい値Xenに余裕値を加算した値に設定されるように構成されてもよい。
また、第一の目標移行制御と同様に、目標速度差ωdiffoは、変速比Krが大きくなることに応じて大きくなるように、変速比Krに応じて設定されるように構成されている。ここで、変速比Krには、目標変速段の変速比である目標変速比が設定される。
3−4−3−4−3.第二の目標移行制御の課題
第二の目標移行制御の課題について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10に示す比較例では、判定しきい値及び目標速度差は、本実施形態とは異なり、一定値に設定されており、回転変化速度αoが変化しても変化しない。図9に示す比較例は、図6の場合と同様に、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさ(頻度が高い大きさ)の場合であって、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合であり、図10に示す比較例は、図7の場合と同様に、図9の場合より出力軸Oの回転変化速度αoが大きくなり、判定しきい値及び目標速度差が不適切になった場合である。
なお、図9〜図11に示す出力軸Oの回転速度ωo及びフィルタ後回転速度ωofも、理解を容易化するため、変速比Krが乗算されて、回転電機MGにおける回転速度相当に換算されたものが表示されている。
<回転変化速度αoが典型的な大きさの場合>
まず、図9に示す、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさの場合であって、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合の比較例について説明する。時刻t42までの状態は、図6に示す時刻t12までの状態と同じである。
図9に示す比較例も、図6と同様に、典型的な(頻度の高い)加速の場合であり、本実施形態とは異なり一定値に設定される判定しきい値が適切となっている。言い換えると、典型的な(頻度の高い)加速の場合に適合するように、判定しきい値の値が設定されている。
出力軸Oの回転速度ωo及びフィルタ後回転速度ωofが増加し始めた後(時刻t42以降)、時刻t43で、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定されている。そして、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定した後(時刻t43以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差を次第に減少させている。なお、図9に示す比較例では、判定しきい値は、本実施形態とは異なり、一定値に設定されており、回転変化速度αoが変化しても変化しない。
図9に示す比較例は、上記のように、判定しきい値及び目標速度差が適切である場合である。よって、回転速度差ωdiffが判定しきい値以下になったと判定した時点(時刻t44)と、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t44)と、が一致している。よって、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻44)で、回転電機MGの制御が、適切に回転速度制御からトルク制御に切り替えられており、トルクショックが車輪Wに伝達されることを防止できている。また、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t44)で、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、最小係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御が開始されている。
<回転変化速度αoが大きい場合>
次に、図10に示す、図7と同様に、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさより大きい場合であって、判定しきい値及び目標速度差が不適切になった場合の比較例について説明する。時刻t52までの状態は、図9に示す時刻t42までの状態と同じである。
図10に示す例では、図7と同様に、時刻t52で、アクセル開度が、図9に示す例より、大きい開度まで増加されており、車両要求トルクが、図9に示す例より、大きいトルクまで増加されている。これにより、車輪Wに伝達されるトルクが増加し、出力軸Oの回転変化速度αoは、図9に示す典型的な大きさより増加している(時刻t52以降)。
よって、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、典型的な場合からの出力軸Oの回転変化速度αoの増加分に、遅れ時間Tdlyを乗算した値分だけ増加している。
しかし、図10に示す比較例では、判定しきい値及び目標速度差は、典型的な場合に合わせて設定された値のままで、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoが増加しても増加されていない。よって、判定しきい値及び目標速度差は、適切な値より小さくなっている。
目標速度差が適切な値より小さいため、回転速度差ωdiffが目標速度差まで減少したと判定された後(時刻t53以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差が次第に減少されている(時刻t53〜時刻55)。
しかし、判定しきい値が適切な値より小さいため、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t54)では、回転速度差ωdiffが判定しきい値より大きい。
このため、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行した後(時刻t54以降)も、回転速度制御は終了されず、継続して実行されている。そして、回転電機MGの回転速度ωmが、目標速度差が次第に減少するように設定されている目標回転速度ωmoに近づくように制御されている(時刻t54から時刻t55)。図7と同様に、この間の目標回転速度ωmoの変化速度は、これより前の変速比Krが乗算された出力軸Oの回転速度ωoの変化速度に比べて小さくなるため、回転速度制御により、出力軸Oの回転速度ωo(車速)の変化速度が減少される。すなわち、第二係合装置CL2が直結係合状態となり、出力軸Oが回転電機MGと一体的に回転するようになった後も、回転速度制御が継続して実施されており、出力軸Oの回転速度の変化速度が減少するように、回転電機MGの出力トルクが減少する。この際、車両の慣性モーメント(イナーシャ)は大きいため、回転電機MGの出力トルクの減少量は大きくなる。減少した回転電機MGの出力トルクは、直結係合状態となった第二係合装置CL2を介して出力軸O側に伝達されるため、トルクショックが車輪Wに伝達される。
目標速度差が次第に減少されていき、回転速度差ωdiffが判定しきい値まで減少した場合(時刻t55)に、回転速度制御が終了されてトルク制御が開始されている。よって、目標速度差が判定しきい値まで減少されるまでの期間、回転速度制御によりトルクショックが車輪Wに伝達される。
3−4−3−4−4.第二の目標移行制御の挙動
次に、本実施形態に係る第二の目標移行制御の挙動について、図11を参照して説明する。図11に示す例は、図10の比較例と同じく、出力軸Oの回転変化速度αoが典型的な大きさより大きい場合であるが、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが設定されている場合である。
時刻t62までの状態は、図9の時刻t42まで、及び図10の時刻t52までの状態と同じである。
図11に示す例では、図10に示す比較例と同様に、出力軸Oの回転変化速度αoは、図9に示す典型的な大きさより増加している(時刻t62以降)。よって、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoは、典型的な場合からの出力軸Oの回転変化速度αoの増加分に、遅れ時間Tdlyを乗算した値分だけ増加している。
しかし、図11に示す本実施形態に係る例では、移行制御部48は、回転変化速度αoが大きくなることに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが大きくなるように、回転変化速度αoに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoを設定するように構成されている。
回転変化速度αoが増加し始めた後(時刻t62以降)、回転変化速度αoが大きくなることに応じて判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが大きくなっている。よって、回転変化速度αoが典型的な場合よりも大きくなり、フィルタ処理前後の出力軸Oの回転速度差ΔWoが増加した場合でも、回転速度差ΔWoの増加量に応じて、判定しきい値Xen及び目標速度差ωdiffoが増加されており、適切な値になっている。
目標速度差ωdiffoが回転速度差ΔWoの増加量に応じて増加されているため、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定された時点が、図10の比較例の場合の時刻t53より早まっている。
そして、回転速度差ωdiffが目標速度差ωdiffoまで減少したと判定した後(時刻t63以降)、回転速度差ωdiffが判定しきい値未満まで次第に減少するように、目標速度差ωdiffoが次第に減少されている(時刻t63〜時刻64)。
判定しきい値Xenが回転速度差ΔWoの増加量に応じて増加されているため、回転速度差ωdiffが判定しきい値以下になったと判定した時点(時刻t64)と、第二係合装置CL2の実際の回転速度差がゼロになった時点(時刻t64)と、を一致させることができている。よって、回転変化速度αoが典型的な場合よりも大きくなった場合でも、図10に示す比較例とは異なり、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t64)で、回転電機MGの制御が、適切に回転速度制御からトルク制御に切り替えられており、トルクショックが車輪Wに伝達されることを防止できている。また、第二係合装置CL2が直結係合状態に移行する時点(時刻t64)で、第二係合装置CL2の係合圧(指令圧)を、最小係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御が開始されている。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態においては、第二係合装置CL2が、変速機構TMに備えられた複数の係合装置の中の1つとされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両用駆動装置1は、図12に示すように、回転電機MGと変速機構TMと間の動力伝達経路2に更に係合装置を備え、当該係合装置が、第二係合装置CL2に設定されるように構成されてもよい。或いは、図12に示す車両用駆動装置1において、変速機構TMが係合装置を備えない構成とされ、又は変速機構TM自体が備えられないように構成されてもよい。
或いは、車両用駆動装置1は、図13に示すように、回転電機MGと変速機構TMと間の動力伝達経路に更にトルクコンバータTCを備え、トルクコンバータTCの入出力部材間を直結係合状態にするロックアップクラッチが、第二係合装置CL2に設定されるように構成されてもよい。
(2)上記の実施形態においては、第二係合装置CL2が油圧により制御される係合装置である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第二係合装置CL2は、油圧以外の駆動力、例えば、電磁石の駆動力、サーボモータの駆動力など、により制御される係合装置であってもよい。
(3)上記の実施形態においては、変速機構TMが有段の自動変速装置である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速機構TMが、連続的に変速比を変更可能な無段の自動変速装置など、有段の自動変速装置以外の変速装置にされるように構成されてもよい。この場合も、変速機構TMに備えられた係合装置が、第二係合装置CL2に設定される、或いは変速機構TMとは別に設けられた係合装置が第二係合装置CL2に設定されてもよい。
(4)上記の実施形態において、制御装置30は、複数の制御ユニット32〜34を備え、これら複数の制御ユニット32〜34が分担して複数の機能部41〜48を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、制御装置30は、上述した複数の制御ユニット32〜34を任意の組み合わせで統合又は分離した制御装置として備えるようにしてもよく、複数の機能部41〜48の分担も任意に設定することができる。
(5)上記の実施形態において、移行制御部48は、第二係合装置CL2を滑り係合状態に制御して、第二係合装置CL2の係合部材間を伝達するトルクにより出力軸Oの回転速度ωoを増加させて、第二係合装置CL2の回転速度の差を減少させ、第二係合装置CL2を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行し、当該状態移行制御の実行中に目標移行制御を実施する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、移行制御部48は、第二係合装置CL2を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御であれば、他にどのような制御が含まれてもよく、例えば、エンジンEを始動させるエンジン始動制御が含まれてもよく、或いは、エンジンEのトルク振動を回転電機MGの出力トルクにより打ち消す制御が含まれてもよく、このような状態移行制御の実行中に目標移行制御が実施されればよい。
本発明は、回転電機と車輪に駆動連結された出力部材とを結ぶ動力伝達経路に係合装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に好適に利用することができる。
ΔWo :フィルタ処理前後の出力軸の回転速度差
αo :出力軸の回転速度の変化速度(回転変化速度)
ωdiff:第二係合装置の回転速度差
ωdiffo:目標速度差
ωm :回転電機の回転速度
ωmo :回転電機の目標回転速度
ωo :出力軸の回転速度
ωof :フィルタ処理後の出力軸の回転速度(フィルタ後回転速度)
1 :車両用駆動装置
2 :動力伝達経路
30 :制御装置
31 :エンジン制御装置
32 :回転電機制御ユニット
33 :動力伝達制御ユニット
34 :車両制御ユニット
41 :エンジン制御部
42 :回転電機制御部
43 :変速機構制御部
44 :第一係合装置制御部
45 :第二係合装置制御部
46 :フィルタ処理部
47 :速度差算出部
48 :移行制御部
51 :しきい値設定部
52 :目標速度差設定部
53 :直結判定部
56 :係合圧増加制御部
63 :減少処理
66 :切替判定部
68 :比較器
AX :車軸
CL1 :第一係合装置
CL2 :第二係合装置(係合装置)
E :エンジン(内燃機関)
I :入力軸
Kr :変速比
M :中間軸
MG :回転電機
O :出力軸(出力部材)
PC :油圧制御装置
Se1 :入力回転速度センサ
Se2 :出力回転速度センサ
Se3 :エンジン回転速度センサ
TM :変速機構
Tf :時定数
Tm :回転電機の出力トルク
Tmo :回転電機要求トルク
Tmr :目標トルク
W :車輪

Claims (7)

  1. 内燃機関と車輪に駆動連結された出力部材とを結ぶ動力伝達経路に回転電機が設けられていると共に、前記回転電機と前記出力部材との間に係合装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
    前記回転電機の動作制御を行う回転電機制御ユニットと、
    前記係合装置の係合状態を制御する動力伝達制御ユニットと、
    前記回転電機制御ユニット及び前記動力伝達制御ユニットを含む制御ユニットにより行われる制御を車両全体として統合する制御を行う車両制御ユニットと、を備え、
    前記車両制御ユニットは、
    前記出力部材の回転速度にフィルタ処理を行ってフィルタ後回転速度を算出するフィルタ処理部と、
    前記フィルタ後回転速度及び前記回転電機の回転速度に基づいて、前記係合装置の係合部材間の回転速度の差に応じた回転速度差を算出する速度差算出部と、
    前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる状態移行制御を実行する移行制御部と、を備え、
    前記移行制御部は、前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が判定しきい値より大きいと判定している場合は、前記回転電機の回転速度が目標回転速度に近づくように前記回転電機を制御する回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記回転電機の出力トルクが目標トルクとなるように前記回転電機を制御するトルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる目標移行制御を実施するものであり
    前記移行制御部は、前記出力部材の回転速度の変化速度、又は前記フィルタ後回転速度の変化速度である回転変化速度が大きくなることに応じて前記判定しきい値が大きくなるように、前記回転変化速度に応じて前記判定しきい値を設定する制御装置。
  2. 前記移行制御部は、前記フィルタ処理による信号の遅れ時間と前記回転変化速度とを乗算した値に応じて、前記判定しきい値を設定する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記移行制御部は、前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態に制御して、前記係合装置の係合部材間を伝達するトルクにより前記出力部材の回転速度を増加させて、前記回転速度差を減少させ、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる前記状態移行制御を実行し、
    前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が、前記判定しきい値より大きい値に設定した目標速度差より大きいと判定している場合は、前記目標回転速度を予め設定された値に設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記目標速度差まで減少したと判定した後、前記回転速度差が前記目標速度差に一致するように前記目標回転速度を設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、その後、前記回転速度差が前記判定しきい値未満まで次第に減少するように前記目標速度差を次第に減少させて前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記トルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる前記目標移行制御を実施する請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記移行制御部は、前記動力伝達制御ユニットを介して、前記係合装置を滑り係合状態に制御して、前記係合装置の係合部材間を伝達するトルクにより前記出力部材の回転速度を増加させて、前記回転速度差を減少させ、前記係合装置を滑り係合状態から直結係合状態に移行させる前記状態移行制御を実行し、
    前記状態移行制御の実行中に、前記回転速度差が、前記判定しきい値より大きい値に設定した目標速度差より大きいと判定している場合は、前記目標回転速度を予め設定された値に設定して前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記目標速度差まで減少したと判定した後、前記回転速度差が前記判定しきい値未満まで次第に減少するように前記目標速度差を次第に減少させて前記回転速度制御を前記回転電機制御ユニットに実行させ、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記回転速度制御を終了して前記トルク制御を前記回転電機制御ユニットに開始させる前記目標移行制御を実施する請求項1又は2に記載の制御装置。
  5. 前記移行制御部は、前記回転変化速度が大きくなることに応じて前記目標速度差が大きくなるように、前記回転変化速度に応じて前記目標速度差を設定する請求項3又は4に記載の制御装置。
  6. 前記移行制御部は、前記フィルタ処理の遅れ時間と前記回転変化速度とを乗算した値に予め設定された余裕値を加算した値に応じて、前記目標速度差を設定する請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記移行制御部は、前記回転速度差が前記判定しきい値以下になったと判定した場合に、前記係合装置の係合圧を、前記回転電機側に伝達されるトルクを前記出力部材側に伝達可能な最小の係合圧より大きく設定された係合圧まで増加させる係合圧増加制御を前記動力伝達制御ユニットに開始させる請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
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