JP5781868B2 - 炭化処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、有機性廃棄物を熱分解して炭化処理する炭化炉と、この炭化炉に有機性廃棄物を投入する投入機とを備える炭化処理システムに関する。
近時、下水汚泥等の有機性廃棄物を有効活用するために、有機性廃棄物を炭化処理することにより汚泥中の可燃分を燃料として利用する方法や、炭化処理した有機性廃棄物をリン酸肥料の原料として利用する方法等が提案されている。
通常、このような有機性廃棄物には臭気を発するタール分が含まれており、このタール分を蒸発させて除去するためには、炭化処理を500℃程度の高温で行う必要がある。
特許文献1には、有機性廃棄物を炭化処理してリン酸肥料として用いるため、炭化処理温度を700℃以下とすることでリン分の減少を防止すると共に、炭化処理した有機性廃棄物をさらに加熱しながらキャリアガスを流通させることでタール分を除去する方法が開示されている。
特開2007−119740号公報
ところで、上記特許文献1の装置構成の場合、炭化炉内へと有機性廃棄物を投入するための投入機とは反対側、つまり炭化炉の出口側に排ガス管を接続しており、この排ガス管により炭化処理時に発生した排ガスを外部の排ガス処理装置へと排出している。この従来技術では、炭化装置の後段に接続された内圧が−0.5kPa〜0.5kPaのスクリュー搬送式の筒状加熱装置の内部にて、炭化品中に含まれるタール分がガス側に移行するため、炭化品にはタール分の臭気が少ない。このため、排ガス管を炭化炉の出口側に接続した構成であっても、排ガスに含まれる臭気が、製品である炭化物に再付着することが問題になることはほとんどない。
一方、炭化処理を炭化装置単体で行い、有機性廃棄物を熱分解させてタール分を蒸発させて除去しようとする場合には、炭化炉内で発生する熱分解ガス中にタール分等の臭気が多量に含まれるため、このような熱分解ガスを外部に排出する排ガス管を、仮に上記特許文献1の装置構成のように炭化炉の出口側に接続した場合には、炭化処理が完了した製品(炭化物)に熱分解ガス中のタール分が再付着する可能性があり、再付着してしまうと製品の臭気が増大し、製品品質が低下することになる。
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、炭化炉内で発生した熱分解ガス中の臭気が炭化物に再付着することを回避でき、得られる製品品質を向上させることができる炭化処理システムを提供することを目的とする。
本発明に係る炭化処理システムは、回転筒の内部で有機性廃棄物を加熱することにより、前記有機性廃棄物を熱分解して炭化処理する炭化炉と、前記回転筒の入口側に連結され、前記回転筒内へと前記有機性廃棄物を投入する投入機とを備える炭化処理システムであって、前記投入機は、一端に前記回転筒の入口側で開口する投入口を有し、前記有機性廃棄物を搬送して前記投入口から前記回転筒内へと投入する投入管と、前記回転筒の入口側で前記投入口と並んで開口する吸引口を一端に有し、前記回転筒内での前記有機性廃棄物の熱分解によって発生する熱分解ガスを前記吸引口から吸い込んで外部へと排出する排ガス管と、内部に前記投入管及び前記排ガス管が挿通されるとともに、前記挿通された投入管及び排ガス管の周囲に断熱材が配設された筒状のケーシングと、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、回転筒の入口側に連結される投入機に、回転筒内の入口側で並んで開口する投入口及び吸引口を設けた投入管及び排ガス管を備えたことにより、回転筒内で発生した熱分解ガスを含む排ガスは、回転筒内での有機性廃棄物の搬送方向とは逆方向に流通して入口側の排ガス管から排出される。このため、回転筒の出口側に搬送された製品(炭化物)に熱分解ガス中のタール分等の臭気が再付着することを回避でき、得られる製品品質を向上させることができる。
前記排ガス管の外面にヒータを設けると、回転筒内で発生した熱分解ガスが排ガス管の内壁面で冷却され、含まれるタール分が液化や固化して付着し、排ガス管が閉塞されることを防止できる。
部に断熱材を充填したケーシングによって投入管及び排ガス管を囲繞することにより、回転筒と投入管及び排ガス管との間の空隙を、回転筒の回転を許容するための最小限の隙間のみに低減することができ、回転筒内からの排ガスが前記空隙に進入して装置内部に付着し、回転筒の回転が阻害されることを有効に回避することができ、また付着物が発生し難いため、メンテナンスも容易となる。
この場合、前記ケーシングの内面にヒータを設けると、ケーシングの外面が常に加熱された状態となる。このため、回転筒内で発生した熱分解ガスがケーシングと回転筒との間の隙間内で冷却されてタール分が液化や固化することを防止することができる。
前記ケーシングは、前記回転筒の内面との間に隙間を設けた状態で該回転筒の入口側に挿入配置され、前記隙間は、一端が前記回転筒内に開口すると共に、他端から前記一端に向けて気体が流通されると、回転筒内に投入した有機性廃棄物が該隙間から逆流することを抑制することができる。
また、前記回転筒の入口側において、前記吸引口が前記投入口よりも上方で開口していると、投入口から回転筒内に投入された有機性廃棄物が排ガス管内へと進入することをより効果的に防止することができる。
本発明によれば、炭化炉を構成する回転筒の入口側に連結される投入機に、回転筒内の入口側で並んで開口する投入口及び吸引口を設けた投入管及び排ガス管を備えたことにより、回転筒内で発生した熱分解ガスを含む排ガスは、回転筒内での有機性廃棄物の搬送方向とは逆方向に流通して入口側の排ガス管から排出される。このため、回転筒の出口側に搬送された製品(炭化物)に熱分解ガス中のタール分等の臭気が再付着することを回避でき、得られる製品品質を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る炭化処理システムの全体構成図である。 図2は、図1に示す炭化処理システムの投入機及びその周辺を拡大した側面断面図である。 図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。 図4は、投入ノズルの先端部を拡大した一部切欠断面図である。 図5は、吸引ノズルの先端部を拡大した一部切欠断面図である。 図6は、排ガス通路から出口ポートへの曲管部付近を模式的に示す断面図である。 図7は、図2中の丸印で囲んだVII部分を拡大した断面図である。
以下、本発明に係る炭化処理システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る炭化処理システム10の全体構成図であり、炭化処理システム10の一部断面側面図である。図2は、図1に示す炭化処理システム10の投入機12及びその周辺を拡大した側面断面図である。本実施形態に係る炭化処理システム10は、投入機12から投入される原料である下水汚泥等の有機性廃棄物を炭化炉14で炭化処理し、燃料や肥料等の製品(炭化物)に加工するためのシステムである。
図1及び図2に示すように、炭化処理システム10は、外周に加熱ジャケット16が設けられた回転筒(筒体、レトルト)18を有する炭化炉14と、炭化炉14の入口側に接続され、回転筒18内へと有機性廃棄物(図1及び図2中の矢印R参照)を投入するための投入機12とを備える。炭化炉14で製造された製品である炭化物は、炭化炉14の出口側に接続された搬出機20で取り出され、外部の貯留設備等に搬出される(図1中の矢印C参照)。
先ず、炭化炉14について説明する。
炭化炉14は、軸心を中心として回転し、内部で有機性廃棄物を加熱しながら搬送する円筒形の回転筒18と、回転筒18の外周面の大部分を囲繞するように同軸二重管構造で配置され、回転筒18内を外部から加熱する加熱ジャケット16と、回転筒18を回転駆動する駆動装置22とを備えた外熱式のロータリーキルンである。
回転筒18は、金属製の薄板で形成された筒体であり、その外周面が加熱ジャケット16で加熱されると共に、駆動装置22からの回転駆動力を受けて軸心を中心として回転することで、投入機12によって内部空間に投入された有機性廃棄物を搬出機20側へと送りながら均等に加熱することができる。有機性廃棄物の送り動作をより円滑なものとするために、回転筒18での内周面にスクリュー羽根(図示せず)を設けてもよく、また回転筒18自体に勾配(図示せず)を設けてもよい。
回転筒18の入口側の内周面には、逆流防止板23が周方向に複数枚設置されている。逆流防止板23は、回転筒18の内周面から軸心方向に突設されると共に、図2に示す側面視で出口側に向かって下がる傾斜面を有する。このような逆流防止板23は、回転筒18の回転に伴って旋回し、回転筒18内部の底部に堆積しながら加熱されている有機性廃棄物を出口側へと送り出すことができ、投入された有機性廃棄物が投入機12側に逆流することを防止する壁部として機能する。
回転筒18の入口側には、円環状に断熱材(保温材)24を配設した入口側接続部26が設けられており、この入口側接続部26が投入機12のケーシング28に対して回転可能な状態で外嵌されている。一方、回転筒18の出口側には、円環状に断熱材(保温材)30を配設した出口側接続部32が設けられており、この出口側接続部32が搬出機20に回転可能な状態で外嵌されている。断熱材24、30としては、例えばセラミックファイバー(セラミックウール)が用いられ、後述する断熱材36、62、80についても同様でよい。
このような回転筒18は、入口側接続部26及び出口側接続部32をそれぞれ軸支する軸受装置33a、33bによって軸心を中心として回転可能な状態で支持されている。軸受装置33a、33bは、例えばタイヤやローラによって構成するとよい。
加熱ジャケット16は、図示しない基台等によって床面(地面)上に回転不能な状態で固定されて回転筒18を囲繞しており、回転筒18の外周面との間に環状の加熱空間34を形成している。すなわち、加熱ジャケット16は、図示しない熱風炉等からの加熱ガス(熱風)を吹込口35から加熱空間34内に供給し、回転筒18を外部から加熱する加熱装置として機能する。図1では、吹込口35を加熱ジャケット16の両端近傍にそれぞれ設けており、加熱空間34内で回転筒18を加熱した加熱ガスは、図示しない排ガス口から排出される。
本実施形態の場合、加熱ジャケット16は、回転筒18内の有機性廃棄物に熱分解を生じさせ、タール分を蒸発させて除去するために、回転筒18の内部空間を400℃〜800℃、より好ましくは500℃程度に加熱するものとする。加熱ジャケット16の外面側には、所定の厚みを持った断熱材(保温材)36が配設されており、外部への熱漏れを抑制している。加熱ジャケット16の周囲は、通常、図示しない外装カバーによって覆われている。
このような加熱ジャケット16を用いた炭化炉14での有機性廃棄物の炭化処理時、回転筒18内には、図1に示すように搬出機20側から窒素ガスが導入されることで、回転筒18内が低酸素状態とされる。この窒素ガスは、有機性廃棄物から発生する熱分解ガスと混ざった排ガスとして、後述する排ガス管54から外部へと排出される(図1及び図2中の矢印E参照)。
図1及び図2に示すように、回転筒18の入口側接続部26と加熱ジャケット16との間に形成される隙間の外側開口部には、回転筒18の回転を許容し且つ該隙間から加熱ガスが漏れることを防止するシール部材37が周回配置されている。シール部材37は、加熱ジャケット16の外側面に取り付けられ、先端が回転筒18の周面に押し当てられて屈曲した状態で摺接する弾性片(不燃材)である。図示はしないが、出口側接続部32と加熱ジャケット16との隙間にも、シール部材37と同様なシール部材が配設される。
図1に示すように、搬出機20は、回転筒18内で炭化処理された炭化物を搬送スクリュー20aによって外部へと搬出するためのものである。
駆動装置22は、回転筒18の入口側接続部26の外周面に周回固定されたリング歯車38に噛み合う駆動歯車40と、駆動軸42によって駆動歯車40を回転駆動するモータ44とを備える。なお、図1及び図2中の参照符号46a、46bは、駆動軸42を軸支するための軸受である。駆動装置22は、回転筒18を回転駆動可能なものであればよく、その構成は適宜変更可能である。
次に、投入機12について説明する。
図2に示すように、炭化炉14の入口側に接続される投入機12は、回転筒18内へと突出する投入ノズル48を一端側に有する投入管50と、回転筒18内へと突出する吸引ノズル52を一端側に有する排ガス管54と、投入管50及び排ガス管54の一部を収容する筒状のケーシング28とを備える(図3も参照)。投入機12は、原料の有機性廃棄物を投入管50で搬送し、投入ノズル48先端の投入口48aから回転筒18内へと投入する一方(図2中の矢印R参照)、回転筒18内の炭化処理で発生した熱分解ガスを吸引ノズル52先端の吸引口52aから吸引し、排ガス管54で外部に排出する(図2中の矢印E参照)。
投入機12は、図示しない基台等によって回転不能な状態で床面(地面)上に固定されると共に、ケーシング28が回転筒18の入口側接続部26に隙間Gを介して挿通配置される。隙間Gは、回転不能なケーシング28に対して回転筒18の回転を許容しておくためのものである。
投入管50は、ケーシング28内に挿通され固定された金属製の筒体であり、内腔が回転筒18へと原料を搬送するための搬送通路50aを構成している。搬送通路50aの搬送方向前方側(下流側)は、投入ノズル48先端の投入口48aによって回転筒18内で開口し、搬送方向後方側(上流側)は、上方に屈曲して延在する入口ポート58に連通している。搬送通路50a内には、原料を搬送するための搬送用スクリュー60が挿通配置されている。
投入ノズル48は、ケーシング28の先端から回転筒18内へと所定長突出している。図2及び図4に示すように、投入ノズル48の外周面は、断熱材(保温材)62が配置された内側環状空間48bと、内側環状空間48bの外周側に形成された薄い外側環状空間48cとを有する3重構造になっており、外側環状空間48cにヒータ(加熱手段)64が巻回されている。ヒータ64は、回転筒18内で有機性廃棄物が熱分解されることで発生した熱分解ガスが排ガス管54から排出される際に、投入ノズル48の外面で冷却されてタール分が液化や固化することを防止するためのものである。なお、断熱材62を設けているため、投入ノズル48から回転筒18内へと投入される炭化処理前の有機性廃棄物がヒータ64によって加熱され、搬送通路50a内で炭化が進行することを防止している。
入口ポート58は、原料となる有機性廃棄物を投入管50の搬送通路50a内に供給するための投入口であり、図示しない投入用ホッパ等に接続される。入口ポート58から投入管50内に供給された有機性廃棄物は、モータ66で回転駆動される搬送用スクリュー60によって搬送通路50a内を搬送され、投入ノズル48の投入口48aから回転筒18内へと投入される。なお、図1及び図2中の参照符号68a、68bは、搬送スクリュー60の回転軸を軸支するための軸受である。
図2及び図3に示すように、排ガス管54は、投入管50と平行するようにケーシング28内に挿通され固定された金属製の筒体であり、内腔が回転筒18からの熱分解ガスを含む排ガスを外部へと排出するための排ガス通路54aを構成している。排ガス通路54aの排出方向後方側(上流側)は、吸引ノズル52先端の吸引口52aによって回転筒18内で開口し、排出方向前方側(下流側)は、上方に屈曲して延在する出口ポート70に連通している。
吸引ノズル52は、ケーシング28の先端から回転筒18内へと所定長突出し、投入管50の投入ノズル48と並列されている。図2及び図5に示すように、吸引ノズル52の外周面は、薄い環状空間52bを有する2重構造になっており、この環状空間54bにヒータ(加熱手段)72が巻回されている。なお、排ガス管54は、投入管50とは異なり、吸引ノズル52以外の部位、つまり吸引側の吸引ノズル52の基端から排出側の出口ポート70周辺までの略全長に渡ってヒータ(加熱手段)73が設けられている(図2参照)。これらヒータ72、73は、回転筒18内で発生した熱分解ガスが吸引ノズル52の内外面や排ガス通路54aの壁面で冷却されてタール分が液化や固化することを防止するためのものである。
出口ポート70は、吸引ノズル52から吸引された熱分解ガスを含む排ガスを外部の再燃炉等の排ガス処理装置(図示せず)へと排出するための配管であり、曲管部(屈曲管部)70aから斜め上方へと延在している(図2及び図6参照)。
図2に示すように、排ガス管54の奥部には、先端にスクリュー羽根74aを設けた長尺なクリーニング棒74が配設されている。クリーニング棒74は、投入機12のメンテナンス時に、作業者が基端のハンドルを把持して排ガス通路54aの直線部分に対して突き出して往復移動させることにより、先端のスクリュー羽根74aで排ガス通路54aの内壁面に付着した付着物(堆積物)を物理的に掻き出して除去することができる。
図6に示すように、排ガス管54の出口ポート70付近にもクリーニング棒76が配設されている。クリーニング棒76は、熱分解ガスを含む排ガスの流通によって生じる付着物(堆積物)が最も溜まり易い曲管部70a内の排ガス通路54aをクリーニングするためのものである。曲管部70aでは、吸引ノズル52から直線で延びた排ガス通路54aが斜め上方へと屈曲して出口ポート70に連通している。そこで、これら出口ポート70及び排ガス通路54aの直線部分に略直交する方向にクリーニング通路78を形成し、クリーニング棒76を配設している。クリーニング棒76は、クリーニング通路78内に突き出し可能且つ往復移動可能に設置されており、クリーニング棒74と同様に、先端のスクリュー羽根76aで曲管部70aを含む位置の排ガス通路54a内の付着物を物理的に掻き出して除去し、クリーニング通路78の下端側に設けた排出口78aから外部に排出することができる。
図2に示すように、本実施形態の場合、排ガス管54は、投入管50よりも短尺に構成されており、排ガス管54の出口ポート70は、投入管50の入口ポート58よりも炭化炉14側に配置されている。排ガス管54は、排ガス通路5a内を流通する排ガス中のタール分等が付着し堆積する可能性があるため、通路長を可及的に短くすることが理想的である。そこで、投入機12では、排ガス管54の出口ポート70を投入管50の入口ポート58よりも手前に配置し、排ガス管54の長さを可及的に短く構成している。
さらに、投入機12では、回転筒18の入口側において、吸引ノズル52の吸引口52aが投入ノズル48の投入口48aよりも上方で開口するように、排ガス管54を投入管50の上方に配置し(図2及び図3参照)、投入口48aから回転筒18内に投入された有機性廃棄物が排ガス管54内へと進入することを防止している。また、出口ポート70と投入管50の入口ポート58とを共に上方へと延出させるため、当該投入機12では、図3に示すように、排ガス管54と投入管50をケーシング28の軸心から左右逆方向にオフセットして配置している。
図2及び図3に示すように、ケーシング28は、内部に投入管50及び排ガス管54を挿通させた金属製の筒体であり、これら投入管50及び排ガス管54よりも短尺である。ケーシング28は、駆動装置22によって回転する回転筒18の入口側接続部26に対して隙間Gを介して同軸上に挿入配置され、回転筒18と共に回転しない。換言すれば、回転筒18は、ケーシング28の外周側に隙間Gを介して同軸上に配置されることにより、ケーシング28の外周側で回転可能である。
ケーシング28の内部空間には、投入管50及び排ガス管54が配置されているが、この内部空間のうち、投入管50及び排ガス管54の周囲にある隙間部分には断熱材(保温材)80が充填されている。ケーシング28の内面には、断熱材80に埋め込むようにしてヒータ(加熱手段)82が設けられている。断熱材80及びヒータ82は、ケーシング28の略全長に渡って配設されている(図2参照)。ヒータ82は、回転筒18内で発生し、ケーシング28と回転筒18の入口側接続部26との間の隙間Gに進入した熱分解ガスが、該隙間Gを画成する壁面で冷却されてタール分が液化や固化し、回転筒18の円滑な回転が阻害されることを防止するためのものである。
投入管50及び排ガス管54を除くケーシング28の内部空間に断熱材80を設けているため、ケーシング28の内部空間が隙間なく埋められており、回転筒18からの排ガスがケーシング28内へと流入し、ここに付着して堆積することを防止することができる。換言すれば、ケーシング28内を断熱材80で埋めたことにより、回転する回転筒18と回転しない投入機12(ケーシング28)との間には、隙間G以外の空隙がなく、回転筒18からの排ガスが各所の空隙に流入してタールや粉等の付着物を生じ、回転筒18の円滑な回転が阻害されることを有効に回避することができる。また、断熱材80により、ケーシング28内面に配置したヒータ82の熱が、投入管50に伝達されることを防止できるため、搬送通路50a内を搬送される炭化処理前の有機性廃棄物がヒータ82によって加熱されることを防止できる。
図7に示すように、ケーシング28と入口側接続部26との間の隙間Gの回転筒18内での開口部には、弾性片(不燃材)等からなるシール部材84が周回配置されている。シール部材84は、例えば2枚積層した弾性片が入口側接続部26の凹部26a内にねじ86によって固定されることで、フリー状態にある先端片部が回転筒18の炉内側に湾曲した姿勢でケーシング28の外周面に摺接可能に当接している。これにより、シール部材84は、回転筒18の回転を許容しつつ、隙間Gに原料(有機性廃棄物)が入り込んで逆流することを防止している。この際、投入管50から投入される原料を造粒品とすることにより、粉状発生を抑制でき、隙間Gへの原料の進入を一層確実に抑制することができる。
一方、シール部材84は、図7から明らかなように、隙間Gを回転筒18内へと向かう方向のガス流通は許容しているため、隙間Gの出口側(回転筒18側とは逆側)に配設されたガス供給源88からのパージガスPを回転筒18内に向かう方向(図2及び図7で左側から右側に向かう方向)に流通させることができる。パージガスPは、例えば不活性ガス(例えば窒素)とするとよいが、空気を用いて隙間Gに付着しているタール分を燃焼除去するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る炭化処理システム10では、回転筒18を回転させながら該回転筒18内で有機性廃棄物を加熱することで熱分解して炭化処理する炭化炉14と、回転筒18の入口側に連結され、該回転筒18内へと有機性廃棄物を投入する投入機12とを備え、投入機12には、一端に回転筒18の入口側で開口する投入口48aを有し、有機性廃棄物を搬送して回転筒18内へと投入する投入管50と、回転筒18の入口側で投入口48aと並んで開口する吸引口52aを一端に有し、回転筒18内での有機性廃棄物の熱分解によって発生する熱分解ガスを含む排ガスを吸引口52aから吸い込んで外部へと排出する排ガス管54とが備えられる。
このように、有機性廃棄物を加熱して熱分解させて炭化処理を行う場合には、有機性廃棄物を、例えば500℃程度の高温で炭化処理することになり、タール分を含んだ熱分解ガスが回転筒18内で発生するため、この蒸発したタール分の製品(炭化物)への再付着による製品品質の低下が問題となる。ところが、当該炭化処理システム10では、回転筒18の入口側に連結される投入機12に、回転筒18内の入口側で並んで開口する投入口48a及び吸引口52aを設けた投入管50及び排ガス管54を備えたことにより、回転筒18内で発生した熱分解ガスを含む排ガスは、回転筒18内での有機性廃棄物の搬送方向とは逆方向に流通して排ガス管54から排出されることになる。このため、回転筒18の出口側に搬送された製品(炭化物)に熱分解ガス中のタール分等の臭気が再付着することを回避でき、得られる製品品質を向上させることができる。しかも、投入機12を、投入管50だけでなく、排ガス管54も設けた一体的な構造としたため、投入機12を炭化炉14(回転筒18)の入口側に連結するだけで、投入管50と排ガス管54の設置が完了するため、当該炭化処理システム10の生産効率も向上するという利点がある。
また、排ガス管54の外面にヒータ73を設けたことにより、回転筒18内で発生した熱分解ガスが排ガス通路54aの壁面で冷却されてタール分が液化や固化して付着し、排ガスの円滑な排出が阻害されることを防止することができる。しかも、排ガス通路54aには、クリーニング棒74を設置しているため、仮に付着物が溜まったとしても、該クリーニング棒74で容易に掻き出すことができ、メンテナンスも容易である。なお、排ガス管54では、直線部分よりも曲管部70aに付着物が生じ易いが、この曲管部70aにもクリーニング棒76を設けているため(図6参照)、一層容易にメンテナンスを行うことができる。
投入機12では、投入管50及び排ガス管54が内部に挿通されると共に、該内部に挿通された投入管50及び排ガス管54の周囲に断熱材80を配設した筒状のケーシング28を設けており、このケーシング28を回転筒18の入口側接続部26に隙間Gを介して内挿させている。内部に断熱材80を充填したケーシング28によって投入管50及び排ガス管54を囲繞することにより、回転筒18と投入管50及び排ガス管54との間の空隙を、最小限の隙間Gのみに低減することができ、回転筒18内からの排ガスが前記空隙に進入して装置内部に付着し、回転筒18の回転が阻害されることを有効に回避することができると共に、付着物が発生し難いため、メンテナンスも容易となる。
しかも、ケーシング28の内面にはヒータ82を設けているため、ケーシング28の外面及びその周辺の隙間G内が常に加熱された状態となる。このため、回転筒18内で発生した熱分解ガスが隙間G内で冷却されてタール分が液化や固化することを防止することができる。この際、ケーシング28内には断熱材80を充填しているため、ヒータ82の熱が投入管50内の有機性廃棄物に伝達されることを防止できる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
例えば、炭化炉14の構成は、図1に示す構成以外であっても勿論よく、要は、投入機12から投入された原料である有機性廃棄物を所望の状態まで炭化処理できるものであればよい。
図2に示すように、上記実施形態では、投入管50の投入ノズル48と排ガス管54の吸引ノズル52とを、ケーシング28の端面から突出させ、回転筒18内へと突出させた構成を例示したが、これら投入ノズル48及び吸引ノズル52は回転筒18内へと突出した構成以外であってもよく、例えばケーシング28の端面に面一に設定してもよい。なお、投入ノズル48及び吸引ノズル52をケーシング28の端面から回転筒18内へと突出させた構成は、回転筒18内へと投入した有機性廃棄物が投入管50や排ガス管54内へと逆流し難くなるため好ましい。
10 炭化処理システム
12 投入機
14 炭化炉
16 加熱ジャケット
18 回転筒
24、30、36、62、80 断熱材
28 ケーシング
48 投入ノズル
48a 投入口
50 投入管
50a 搬送通路
52 吸引ノズル
52a 吸引口
54 排ガス管
54a 排ガス通路
64、72、73、82 ヒータ

Claims (5)

  1. 回転筒の内部で有機性廃棄物を加熱することにより、前記有機性廃棄物を熱分解して炭化処理する炭化炉と、前記回転筒の入口側に連結され、前記回転筒内へと前記有機性廃棄物を投入する投入機とを備える炭化処理システムであって、
    前記投入機は、
    一端に前記回転筒の入口側で開口する投入口を有し、前記有機性廃棄物を搬送して前記投入口から前記回転筒内へと投入する投入管と、
    前記回転筒の入口側で前記投入口と並んで開口する吸引口を一端に有し、前記回転筒内での前記有機性廃棄物の熱分解によって発生する熱分解ガスを前記吸引口から吸い込んで外部へと排出する排ガス管と、
    内部に前記投入管及び前記排ガス管が挿通されるとともに、前記挿通された投入管及び排ガス管の周囲に断熱材が配設された筒状のケーシングと、
    を備えることを特徴とする炭化処理システム。
  2. 請求項1記載の炭化処理システムにおいて、
    前記排ガス管の外面にヒータを設けたことを特徴とする炭化処理システム。
  3. 請求項1または2記載の炭化処理システムにおいて、
    前記ケーシングの内面にヒータを設けたことを特徴とする炭化処理システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化処理システムにおいて、
    前記ケーシングは、前記回転筒の内面との間に隙間を設けた状態で該回転筒の入口側に挿入配置され、
    前記隙間は、一端が前記回転筒内に開口すると共に、他端から前記一端に向けて気体が流通されることを特徴とする炭化処理システム。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の炭化処理システムにおいて、
    前記回転筒の入口側において、前記吸引口が前記投入口よりも上方で開口していることを特徴とする炭化処理システム。
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