JP5780013B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には、良好な製造性(冷間圧延性)を有すると共に、優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
近年、地球環境を保護する観点から、省資源・省エネルギー化が世界的に求められており、電気機器の分野においても、省エネルギー化を目的として、高効率化や小型化が積極的に進められている。このような背景から、電気機器の鉄心材料として広く用いられている無方向性電磁鋼板にも、磁気特性の向上、即ち、高磁束密度化、低鉄損化が強く望まれるようになってきている。
無方向性電磁鋼板は、従来、添加する合金元素を適正化し、冷間圧延前の結晶粒径をできる限り大きくしたり、冷延圧下率を最適化したりすることで高磁束密度化を、また、固有抵抗を高める合金元素を添加したり、板厚を低減したりすることで低鉄損化を図ってきている。
ここで、低鉄損化についてみると、鉄損は固有抵抗を高める合金元素であるSiやAlを添加することで改善されることが知られている。しかし、SiやAlを増加すると、脆化を起こして冷間圧延することが難しくなるという問題が生じる。特に温度が低下する冬季には、熱延板焼鈍を施した鋼板の曲げ変形部において破断や耳割れが生じることがあり、生産性を阻害する要因の一つとなっている。また、SiやAlを多く添加したハイグレードの無方向性電磁鋼板は、冷間圧延前の結晶粒径を大きくすることで、集合組織を改善し、低鉄損化を図っているが、結晶粒径を大きくすることは、冷間圧延における上記脆性問題をさらに助長することになる。そのため、無方向性電磁鋼板の低鉄損化は思うように進んでいないのが実状である。
上記問題点を改善する技術として、例えば特許文献1には、SiとAlを添加した極低炭素鋼に、さらにCrを添加し、熱延板焼鈍を施すことで、冷間圧延性と高周波帯域での低鉄損特性を両立させた、Fe−Cr−Si系の無方向性電磁鋼板が開示されている。しかし、このCrを添加した無方向性電磁鋼板は、高周波帯域での鉄損特性には優れるものの、商用周波帯域での鉄損特性については十分に明らかにされていない。
特開2001−026823号公報
そこで、本発明の目的は、従来のハイグレードの無方向性電磁鋼板の製造上の問題点であった冷間圧延における脆性問題を懸念する必要がなく、かつ、磁気特性にも優れる無方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、熱延板焼鈍後の結晶粒径を、鋼の固有抵抗から決定される所定の範囲に制御することに加えて、仕上焼鈍時における昇温過程を従来よりも急速に加熱することで、冷間圧延性の改善と磁気特性の向上の両者を共に実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記知見に基づく本発明は、C:0.01mass%以下、Si:7mass%以下、Mn:0.03〜3mass%、S:0.0050mass%以下、Al:3mass%以下、N:0.0050mass%以下およびMo:0.001〜0.1mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上焼鈍する一連の工程からなる無方向性電磁鋼板の製造方法において、上記熱延板焼鈍後の結晶粒径dが下記式;
50≦d≦135−(0.7×ρ)
(ここで、d:平均結晶粒径(μm)、ρ:鋼の固有抵抗ρ(μΩ・cm))
を満たすよう制御し、冷間圧延後の再結晶焼鈍における740℃までの平均昇温速度を100℃/sec以上とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法である。
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記成分組成に加えてさらに、Cr:5mass%以下およびP:0.2mass%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記成分組成に加えてさらに、SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種をそれぞれ0.005〜0.5mass%含有することを特徴とする。
本発明によれば、熱延板焼鈍後の粒径を細粒化することで冷間圧延性を改善し、また、仕上焼鈍における昇温速度を高めることで集合組織を改善し、鉄損特性を向上することができるので、磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を生産性よく提供することができる。
鋼の固有抵抗と熱延板焼鈍後の結晶粒径との関係を示す図である。 熱延板焼鈍後の結晶粒径が磁束密度B50に及ぼす影響を示す図である。 熱延板焼鈍後の結晶粒径が鉄損W15/50に及ぼす影響を示す図である。 仕上焼鈍における昇温速度が磁束密度B50に及ぼす影響を示す図である。 仕上焼鈍における昇温速度が鉄損W15/50に及ぼす影響を示す図である。
発明者らは、SiやAlを多量に添加したハイグレードの無方向性電磁鋼板における冷間圧延性の改善と磁気特性の向上を図るべく、各種実験を行い、検討を重ねた。その結果、熱延板焼鈍後の結晶粒径を、その鋼板が有する固有抵抗に応じて所定の範囲に制御し、さらに、仕上焼鈍時の昇温過程を、従来技術よりも急速に加熱することで、冷間圧延性と磁気特性の両立を図ることが可能となることを見出した。以下、上記知見を見出すに至った実験について説明する。
先ず、熱延板焼鈍後の熱延板の結晶粒径と冷間圧延性との関係について調査するため、表1に示した各種成分組成を有する鋼スラブを1100℃×30分加熱後、熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延板とした後、上記熱延板に、800〜1100℃×30秒の熱延板焼鈍を施して結晶粒径d(μm)を種々の大きさに変化させた。ここで、上記結晶粒径とは、圧延方向断面(L断面)を、線分法で測定した平均結晶粒径のことである。
Figure 0005780013
次いで、上記熱延板焼鈍後の鋼板からL:120mm×C:30mmの試験片を採取し、上記試験片を半径10mmの治具で挟み、一方に角度45度まで曲げてから元の位置に戻し(これを曲げ1回とする)、次に同様にして反対方向に45度曲げてから元の位置に戻す(これを曲げ2回とする)繰り返し曲げを付与し、試験片が破断するまでの曲げ回数を測定する繰り返し曲げ試験を、0℃の温度において行った。この繰り返し曲げ試験の曲げ回数は、冷間圧延性と良い相関があり、曲げ回数が5回以上であれば、冷間圧延時に板破断や割れが起こらない、すなわち、冷間圧延性が良好であると評価することができる。
また、上記熱延板焼鈍後の鋼板からL:280mm×C:30mmの試験片を採取し、四端子法で、その鋼板が有する固有抵抗ρ(μΩ・cm)を測定し、その結果を表1中に併記した。
図1に、上記繰り返し曲げ試験の結果を、繰り返し曲げ回数が5回以上であるものを○、5回未満であるものを×として示した。図1から、曲げ回数を5回以上とする、即ち、冷間圧延性を高めるためには、熱延板焼鈍後の結晶粒径は小さい方が好ましいこと、また、鋼板が有する固有抵抗が高いほど、曲げ回数が5回以上から5回未満に変化する結晶粒径は小さくなることがわかる。そして、上記曲げ回数が5回以上から5回未満に変移する結晶粒径dと鋼板の固有抵抗ρとの間には、下記(1)の関係があること、したがって、良好な冷間圧延性を確保するためには、下記(1)から得られる結晶粒径より小さくしてやる必要があることがわかった。
d(μm)=135−(0.7×ρ) ・・・(1)
ここで、固有抵抗ρが冷間圧延性に影響を及ぼす理由は、以下のように考えている。一般に、鋼の固有抵抗を高める元素は、固溶強化により鋼の強度を高め、脆性を低下させる元素でもあるため、鋼の固有抵抗と鋼の脆性との間には負の相関がある。したがって、鋼の固有抵抗を測定することで、冷間圧延性を精度よく評価することが可能となるものと考えられる。
次に、磁気特性に及ぼす熱延板焼鈍後の結晶粒径の影響について調査するため、C:0.0025mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.50mass%、S:0.0017mass%、Al:1.0mass%、N:0.0024mass%の成分組成を有する鋼スラブを1100℃×30分で加熱した後、熱間圧延し、板厚1.8mmの熱延板とし、その後、上記熱延板に800〜1100℃×30秒の種々の条件で熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延で最終板厚0.35mmの冷延板とした。なお、上記熱延焼鈍板の固有抵抗ρは58.5μΩ・cmであった。
次いで、上記冷延板に、直接通電加熱炉を用いて昇温速度:30℃/secおよび200℃/secの2水準で740℃まで加熱し、その後、昇温速度:30℃/secで1000℃まで加熱し、10秒間保持した後、冷却する仕上焼鈍を施した。
斯くして得られた冷延焼鈍板から、L:180mm×C:30mmのL方向サンプルおよびL:30mm×C:180mmのC方向サンプルを切り出し、エプスタイン試験を行い、磁気特性(磁束密度B50、鉄損W15/50)を測定した。
上記磁気特性の測定結果を図2および図3に示した。これらの図から、昇温速度:200℃/secで加熱して仕上焼鈍を行った鋼板は、昇温速度:30℃/secの鋼板と比較して、磁磁束密度B50、鉄損W15/50とも優れていることがわかる。しかし、熱延板焼鈍後の結晶粒径が50μm以下の領域では、昇温速度を200℃/secに速めても、昇温速度が30℃/secで結晶粒径を大きくしたときの磁気特性と同等かそれ以下となってしまい、昇温速度上昇による磁気特性の優位性は認められない。そこで、本発明では、熱延焼鈍板の結晶粒径の下限値を50μmとすることとした。
上記のように、仕上焼鈍における昇温速度を高めることで磁気特性が向上する理由は、昇温速度を高めると、磁気特性に不利な{111}粒の再結晶が抑制され、逆に、磁気特性に有利な{110}粒、{100}粒の再結晶が促進されるため、集合組織が磁気特性に好ましい方向に改善されるためと考えられる。そこで、本発明では、上記の効果を有効に活用し、熱延板焼鈍後の結晶粒径を小さくすることによる磁気特性の劣化を補償してやるあるいはそれ以上に改善してやることとした。
次に、磁気特性に及ぼす仕上焼鈍における昇温速度の影響を調べるため、C:0.0025mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.3mass%、S:0.0013mass%、Al:0.001mass%、N:0.0022mass%の成分組成を有する鋼スラブを1100℃×30分加熱後、熱間圧延して板厚:2.0mmの熱延板とした後、その熱延板に850℃×30秒または950℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延で最終板厚:0.35mの冷延板とした。
次いで、その冷延板に、直接通電加熱炉を用いて昇温速度を30〜300℃/secの範囲で種々に変化させて740℃まで加熱した後、昇温速度:30℃/secで1020℃まで加熱し、10秒間保持した後、冷却し、冷延焼鈍板とした。なお、上記熱延焼鈍板の固有抵抗ρは49μΩ・cm、平均結晶粒径は、850℃焼鈍材が75μm、950℃焼鈍材が90μmであった。
斯くして得られた冷延焼鈍板から、L:180mm×C:30mmのL方向サンプルおよびL:30mm×C:180mmのC方向サンプルを切り出してエプスタイン試験を行い、磁気特性(磁束密度B50、鉄損W15/50)を測定した。
上記磁気特性の測定結果を図4および図5に示す。これらの図から、昇温速度が100℃/sec以上の範囲で磁気特性が大きく向上していることがわかる。そこで、本発明においては、仕上焼鈍における昇温速度は100℃/sec以上とすることとした。
以上の結果を纏めると、従来の無方向性電磁鋼板の製造プロセスでは、熱延板焼鈍温度を高め、結晶粒径を大きくすることで磁気特性の向上を図っていた。しかし、熱延板焼鈍後の結晶粒径を大きくすることは、その後の冷間圧延での破断や割れを助長する。そこで、本発明は、熱延板焼鈍後の結晶粒径を、冷間圧延性を害しない所定の大きさまで細粒化することで冷間圧延性を向上させると共に、その後の仕上焼鈍において急速加熱を採用し、磁気特性を向上させることで、冷間圧延性と磁気特性の両立を達成する。なお、本発明によれば、熱延板焼鈍後の結晶粒径を細粒化することで冷間圧延性を向上できるため、Si,Al,Mn,Crなどの固有抵抗を高める合金元素を従来材よりも多く添加することができるので、従来にも増して低鉄損の無方向性電磁鋼板を提供することが可能となる。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の成分組成について説明する。
C:0.01mass%以下
Cは、磁気時効によって製品板(電磁鋼板)の磁気特性を劣化させるため、極力低減することが好ましく、本発明では、0.01mass%以下に制限する。好ましくは0.005mass%以下、より好ましくは0.003mass%以下である。
Si:7mass%以下
Siは、鋼の固有抵抗を高め、製品板の鉄損を改善するために添加される元素であり、1mass%以上含有させるのが好ましい。しかし、7mass%を超える添加は、冷間圧延性やその他の加工性を大きく低下させる。よって、本発明では、Siは7mass%以下とする。好ましくは2〜6.5mass%の範囲である。
Mn:0.03〜3mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために添加する必要な元素であり、斯かる効果を得るためには0.03mass%以上の添加が必要である。しかし、3mass%を超える添加は、磁束密度の低下やコストの上昇を招く。よって、Mnは0.03〜3mass%の範囲とする。
S:0.0050mass%以下
Sは、鋼中に不可避的に混入してくる不純物元素であり、0.0050mass%以上含有すると、磁気特性に悪影響を及ぼすようになる。よって、Sは0.0050mass%以下とする。
Al:3mass%以下
Alは、Siと同様、鋼の固有抵抗を高めて製品板の鉄損を改善する効果があるので、必要に応じて添加される元素である。しかし、3mass%を超える添加は、冷間圧延性やその他の加工性を大きく低下させる。よって、本発明では、Alは3mass%以下とする。好ましくは2mass%以下である。
N:0.0050mass%以下
Nは、鋼中に不可避的に混入してくる不純物元素であり、0.0050mass%以上含有すると、磁気特性に悪影響を及ぼすようになる。よって、Nは0.0050mass%以下とする必要がある。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記必須とする成分に加えてさらに、Cr,PおよびMoのうちから選ばれる1種または2種以上を下記の範囲で含有することができる。
Cr:5mass%以下
Crは、鋼の固有抵抗を高め、鉄損を改善する効果があるので添加することができる。しかし、5mass%を超える添加は、磁束密度の低下や原料コストの上昇を招くので、5mass%を上限として添加するのが好ましい。
P:0.2mass%以下
Pは、鋼の固有抵抗を高めたり、製品板の打抜加工性を向上させるために添加することができる。しかし、0.2mass%を超える添加は、鋼板の脆化を助長し、冷間圧延における破断や割れを招くおそれがあるので、0.2mass%を上限として添加するのが好ましい。
Mo:0.1mass%以下
Moは、鋼板表層の酸化を抑制し、それに伴う表層微細粒の生成を抑制することによって、磁気特性の劣化を防止する効果がある元素である。しかし、0.1mass%を超える添加は、上記効果が飽和するだけでなく、原料コストの上昇や磁束密度の低下を招くようになるので、上限は0.1mass%とするのが好ましい。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記成分に加えてさらに、SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種を下記の範囲で含有することができる。
Sn:0.005〜0.5mass%、Sb:0.005〜0.5mass%
SnおよびSbは、製品鋼板の集合組織を改善して磁束密度を向上させる効果がある他、鋼板表層の酸化や窒化、それに伴う表層微細粒の生成を抑制することによって、磁気特性の低下を防止する等の効果を有する元素である。斯かる効果を発現させるには、SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種をそれぞれ0.005mass%以上添加するのが好ましい。一方、含有量が0.5mass%を超えると、結晶粒の成長性が阻害されて、磁気特性の低下を招くおそれがある。よって、SnおよびSbは、それぞれ0.005〜0.5mass%の範囲で添加するのが好ましい。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。ただし、本発明の作用効果を害しない範囲であれば、上記以外の成分を意図的に含有させたり、不可避的に混入したりしていてもよい。例えば、固有抵抗を高めるため、Co,Ni,Cuは、それぞれ4mass%以内で含有させることができる。また、CaやMgも、鋼中のSと結合してサルファイドを形成しSを固定する効果があるので、0.01mass%以下であれば含有させてもよい。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、本発明に適合する上記成分組成を有する鋼を転炉や電気炉、真空脱ガス装置などを用いる通常公知の精錬プロセスで溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼スラブとした後、この鋼スラブを通常公知の方法で熱間圧延し、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上焼鈍(再結晶焼鈍)する一連の工程からなるプロセスで製造することができる。なお、上記製造プロセスにおいて、熱間圧延までは、従来公知の条件で製造することができ、特に制限はない。したがって、熱延板焼鈍以降の条件について以下に説明する。
熱延板焼鈍
熱延板焼鈍は、従来の無方向性電磁鋼板の製造方法では、集合組織を改善するため、高温で施すのが普通である。しかし、本発明においては、冷間圧延時の鋼板の破断や割れを防止するため、鋼板が有する固有抵抗の値に応じで、下記式を満たす結晶粒径の範囲に制御する必要がある。
50≦d≦135−(0.7×ρ)
ここで、d:平均結晶粒径(μm)、ρ:鋼の固有抵抗ρ(μΩ・cm)
ここで、結晶粒径を50μm以上とする理由は、50μm未満では、仕上焼鈍における昇温速度上昇による磁気特性向上効果が認められないからである。一方、結晶粒径を{135−(0.7×ρ)}以下とする理由は、上記値を超えると冷間圧延性が低下し、破断や割れが発生するようになるからである。ここで、上記式中の固有抵抗ρは、前述した実験のように、熱延板を実測してもよいが、予め各成分の含有量と固有抵抗との関係式を求めておき、この式に出鋼成分を代入して求めてもよく、いずれの方法でも構わない。
また、上記範囲に結晶粒径を制御するための熱延板焼鈍温度は、従来よりも低い温度とすることが好ましく、例えば、連続焼鈍法で熱延板焼鈍する場合には、再結晶温度以上1000℃以下、より好ましくは750℃以上980℃以下とするのが好ましい。
冷間圧延
上記熱延板焼鈍を施した熱延板は、その後、酸洗し、冷間圧延をして最終板厚とする。この冷間圧延は、1回でもよく、あるいは、中間焼鈍を挟む2回以上としてもよい。また、冷延圧下率についても、通常の無方向性電磁鋼板と同様の範囲であればよく、特に制限はない。
仕上焼鈍(再結晶焼鈍)
冷間圧延後の仕上焼鈍は、通常の無方向性電磁鋼板と同じ800〜1100℃の温度で行うのが好ましく、900〜1050℃の温度で行うのがより好ましい。ただし、本発明においては、再結晶後の鋼板組織を改善し、磁気特性を向上するため、図4および図5に示したように、室温〜740℃までを100℃/sec以上の平均昇温速度で加熱することが必要である。なお、急速加熱は、740℃を超える温度まで行ってもよいが、急速加熱する終点温度が高温になればなるほど設備コストやランニングコストが増加するため好ましくない。よって、本発明では急速加熱する終点温度を740℃とする。
なお、平均昇温速度:100℃/sec以上となるよう急速加熱する方法については、特に制限はなく、例えば、直接通電加熱あるいは誘導加熱などを好適に用いることができる。
上記仕上焼鈍を施した鋼板は、その後、必要に応じて各種の絶縁被膜を被成して製品板とするのが好ましい。
表2−1および表2−2に示した成分組成の鋼を通常公知の精錬プロセスで溶製し、連続鋳造して鋼スラブとした後、その鋼スラブを1080℃×30分加熱し、熱間圧延して板厚:1.8mmの熱延板とした後、表3−1および表3−2に示した温度で30秒間保持する熱延板焼鈍を施した。なお、表2−1、表2−2において、P:0.010mass%、Cr:0.010mass%、Mo:0.001mass%、Sn:0.0010mass%、Sb:0.0010mass%は不可避的不純物のレベルである。
次いで、上記熱延焼鈍板からL:280mm×C:30mmの試験片を採取し、四端子法で、その鋼板が有する固有抵抗ρ(μΩ・cm)を測定すると同時に、L断面における平均結晶粒径を線分法で測定した。また、上記熱延焼鈍板からL:120mm×C:30mmの試験片を採取し、前述した実験に用いた方法で繰り返し曲げ試験を行い、破断までの曲げ回数を測定した。
次いで、上記熱延焼鈍板を酸洗した後、1回の冷間圧延で、表3−1および表3−2に示した最終板厚の冷延板とした後、直接通電加熱炉を用いて、同じく表3−1および表3−2に示した昇温速度で終点温度まで加熱した後、その終点温度から均熱温度までを30℃/secで加熱し、10秒間保持後、冷却する仕上焼鈍を施した。その際の室温〜740℃までの平均昇温速度を表3−1および表3−2に示す。なお、上記冷間圧延においては、鋼板の破断や耳割れの発生有無を確認し、圧延性を評価した。
斯くして得られた仕上焼鈍後の鋼板から、L:180mm×C:30mmのL方向サンプルおよび、C:180mm×L:30mmのC方向サンプルを切り出してエプスタイン試験を行い、(磁束密度B50、鉄損W15/50)を測定した。
Figure 0005780013
Figure 0005780013
Figure 0005780013
Figure 0005780013
上記繰り返し曲げ試験の結果、冷間圧延の結果、および、磁気特性の測定結果を表3−1および表3−2に併記した。これらの結果から、本発明の条件を満たす無方向性電磁鋼板は、いずれも破断までの繰り返し曲げ回数が5回以上で、冷間圧延性に優れ、しかも、高磁束密度、低鉄損であり、冷間圧延性と磁気特性が両立できていることがわかる。

Claims (3)

  1. C:0.01mass%以下、Si:7mass%以下、Mn:0.03〜3mass%、S:0.0050mass%以下、Al:3mass%以下、N:0.0050mass%以下およびMo:0.001〜0.1mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上焼鈍する一連の工程からなる無方向性電磁鋼板の製造方法において、上記熱延板焼鈍後の結晶粒径dが下記式を満たすよう制御し、冷間圧延後の再結晶焼鈍における740℃までの平均昇温速度を100℃/sec以上とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    50≦d≦135−(0.7×ρ)
    ここで、d:平均結晶粒径(μm)、ρ:鋼の固有抵抗ρ(μΩ・cm)
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Cr:5mass%以下およびP:0.2mass%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 上記成分組成に加えてさらに、SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種をそれぞれ0.005〜0.5mass%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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