JP5779034B2 - 積分型の電流電圧変換回路を有する電気測定装置 - Google Patents

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本発明は、積分型の電流電圧変換回路を有する電気測定装置に関し、さらに詳しく言えば、帰還回路に接続されている積分用コンデンサの誘電吸収現象による測定誤差を排除する技術に関するものである。
本発明の電気測定装置は、特に自動検査機に搭載され、例えばセラミックコンデンサの漏れ電流等の微小電流や絶縁抵抗を繰り返し測定するのに適している。
積分型の電流電圧変換回路は、例えば特許文献1,2等に記載されているが、図3に積分型の電流電圧変換回路を有する電気測定装置を電流測定装置とした一般的な従来例を示し、まずは、これについて説明する。
図3に示すように、電流測定装置は、被測定抵抗体Rxに所定の直流電圧を印加する直流電圧源10と、被測定抵抗体Rxに流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路20とを備える。
電流電圧変換回路20は積分型であって、演算増幅器(高入力インピーダンス増幅器)21の一方の入力端子21aと出力端子21cとの間の帰還回路に積分用コンデンサ22が接続されている。
この例において、一方の入力端子21aはマイナス側で、この端子21aにスイッチSW1を介して被測定抵抗体Rxが接続され、他方のプラス側の入力端子21bは接地されていることから、演算増幅器21は反転増幅器として動作する。
また、積分用コンデンサ22に対して、抵抗素子31とスイッチSW2とを直列に接続した放電回路30が並列に接続されている。スイッチSW1とスイッチSW2は、一方がオン(オフ)のとき、他方がオフ(オン)となるように動作する。
図4のタイミングチャートを併せて参照して、被測定抵抗体Rxの電流測定前には、スイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンのリセット状態とされ、出力端子21cの出力Voは0Vである。
被測定抵抗体Rxの電流測定時には、スイッチSW1がオンすると同時にスイッチSW2がオフとなり、直流電圧源10から被測定抵抗体Rxを介して流れる電流iにより、積分用コンデンサ22が充電される。
積分用コンデンサ22の容量をC,充電時間(測定時間)をtとすると、出力端子には、Vo=i×t/Cなる電圧が現れる。これにより、被測定抵抗体Rxを流れる電流iがi=C×Vo/tにより求められる。
被測定抵抗体Rxの電流測定後には、スイッチSW1がオフすると同時にスイッチSW2がオンとなり、積分用コンデンサ22に充電された電荷が放電され、初期のリセット状態に戻される。
特開平7−72180号公報 特開2001−174492号公報
ところで、上記した電流測定装置により、被測定抵抗体Rxの電流測定を繰り返し行う場合、積分用コンデンサ22の誘電吸収現象により、その測定回数に応じて出力端子21cに現れる出力電圧Voの値が徐々に変化し、これが誤差要因となる。
特に、上記した電流測定装置を自動検査機等に搭載して使用する場合には、繰り返し時間(測定のインターバル)が短く、しかも長時間にわたって使用されることから、出力端子21cに現れる出力電圧Voの変化が大きくなる。
この点を考慮して、積分用コンデンサ22に誘電吸収現象の小さいコンデンサを使用すれば、誘電吸収現象の大きいコンデンサを用いた場合と比べると、同じ回数測定した場合の出力電圧Voの変化は小さくはなるが、さらに長時間にわたって測定が繰り返し行われ測定回数が増えれば同様な問題が生じるため、根本的な解決にはならない。
また、被測定抵抗体Rxに印加される電圧をV1,被測定抵抗体Rxに流れる電流をiとして、被測定抵抗体Rxの絶縁抵抗値RはV1/iで表され、上記電流測定装置によれば、被測定抵抗体Rxに流れる電流iがi=C×Vo/tにより求められることから、上記電流測定装置と同じ構成で、被測定抵抗体Rxの絶縁抵抗値RをV1×t/(C×Vo)として測定することもできるが、この絶縁抵抗測定においても、上記と同様に、積分用コンデンサ22の誘電吸収現象に起因する問題が生ずる。
したがって、本発明の課題は、積分型の電流電圧変換回路を有し、電流測定や絶縁抵抗測定を行う電気測定装置において、積分用コンデンサ固有の誘電吸収現象による測定誤差を排除することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、演算増幅器の一方の入力端子と出力端子との間の帰還回路に積分用コンデンサを有する積分型の電流電圧変換回路と、直流電圧源とを含み、上記直流電圧源と上記演算増幅器の一方の入力端子との間に被測定抵抗体を接続し、上記積分用コンデンサに充電される電荷に応じて上記演算増幅器の出力端子に現れる出力電圧に基づいて上記被測定抵抗体が備える所定の素子特性を測定する電気測定装置において、上記直流電圧源より上記被測定抵抗体に所定の電圧を印加して上記被測定抵抗体の素子特性を測定した後に、上記積分用コンデンサを上記素子特性の測定時とは逆方向に充電する逆充電用の直流電流源を備えていることを特徴としている。
本発明において、上記逆充電用の直流電流源には、出力電流が可変の可変直流電流源が用いられる。
本発明の好ましい態様によれば、上記演算増幅器の一方の入力端子側に上記被測定抵抗体を選択的に接続する第1スイッチが設けられ、上記積分用コンデンサに対して抵抗素子および第2スイッチを直列に接続してなる放電回路が並列的に接続されているとともに、上記逆充電用の直流電流源は、第3スイッチを介して上記積分用コンデンサの上記演算増幅器の一方の入力端子側の極と接地との間に接続される。
また、本発明は、少なくとも上記第1,第2および第3スイッチを制御する制御部をさらに備え、上記制御部は、上記第1スイッチをオフ,上記第2スイッチをオンとした状態から、第1ステップとして、上記第1スイッチをオン,上記第2スイッチをオフにして、上記直流電圧源より上記被測定抵抗体に所定の電圧を印加して上記被測定体の素子特性を測定し、その後、第2ステップとして、上記第1スイッチをオフ,上記第2スイッチをオンにして、上記積分用コンデンサに充電された電荷を上記放電回路により放電させ、その後、第3ステップとして、上記第2スイッチをオフ,上記第3スイッチをオンにして、上記逆充電用の直流電流源により上記積分用コンデンサを上記素子特性の測定時とは逆方向に充電し、その後、第4ステップとして、上記第2スイッチをオン,上記第3スイッチをオフにして上記第3ステップで上記積分用コンデンサに逆充電された電荷を上記放電回路により放電させることを特徴としている。
上記第3ステップでの逆充電時における上記積分用コンデンサへの充電電荷量は、上記第1ステップでの電流測定時における上記積分用コンデンサへの充電電荷量と同じとするが、上記第3ステップでの逆充電時における電流値および充電時間は、上記第1ステップでの素子特性測定時における電流値および測定時間と同じとすることが好ましい。
当該電気測定装置で測定される上記被測定抵抗体の素子特性は、電流値もしくは絶縁抵抗値である。
本発明によれば、素子特性の測定時(電流測定もしくは絶縁抵抗測定時)に、積分用コンデンサは被測定抵抗体に流れる電流により充電されるが、電流測定後には積分用コンデンサが逆充電されることにより、誘電吸収現象も逆方向に発生して打ち消し合うことになるため、被測定抵抗体の測定を繰り返し行っても、コンデンサ固有の誘電吸収現象による測定誤差を排除することができる。
本発明による電気測定装置により被測定抵抗体の電流測定を行う実施形態を示す模式的な構成図。 上記実施形態における動作説明用のタイミングチャート。 積分型電流電圧変換回路を有する従来の電流測定装置を示す模式的な構成図。 上記従来例における動作説明用のタイミングチャート。
次に、図1および図2により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、この実施形態の説明において、先の図3で説明した従来例と変更を要しない構成要素については、同じ参照符号を用いている。
図1に示すように、本発明による電気測定装置を電流測定装置として、被測定抵抗体の電流測定を行うにあたって、この実施形態に係る電流測定装置においても、先の図3で説明した従来例と同じく、基本的な構成として、被測定抵抗体Rxに所定の直流電圧を印加する直流電圧源10と、被測定抵抗体Rxに流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路20とを備える。
なお、この実施形態において測定する電流は、例えばセラミックコンデンサ等の微小な漏れ電流を想定しているが、被測定抵抗体Rxは、これに限定されるものではない。
電流電圧変換回路20は積分型であって、演算増幅器(高入力インピーダンス増幅器)21の一方の入力端子21aと出力端子21cとの間の帰還回路に積分用コンデンサ22が接続されている。
この実施形態においても、一方のマイナス側の入力端子21aに、スイッチSW1(請求項3における第1スイッチ)を介して被測定抵抗体Rxが接続され、他方のプラス側の入力端子21bは接地に接続されていることから、演算増幅器21は反転増幅器として動作する。なお、これとは反対に、プラス側の入力端子21bを電流入力端子とし、マイナス側の入力端子21aを接地に接続して、非反転の増幅器としてもよい。
また、積分用コンデンサ22に対して、抵抗素子31とスイッチSW2(請求項3における第2スイッチ)とを直列に接続した放電回路30が並列に接続されている。スイッチSW1とスイッチSW2は、一方がオン(オフ)のとき、他方がオフ(オン)となるように動作する。
上記した構成に加えて、本発明では、積分用コンデンサ22を電流測定時とは逆方向に充電する逆充電用の直流電流源40を備える。この直流電流源40には、出力電流が可変の可変直流電流源が用いられる。
この逆充電用の直流電流源40は、積分用コンデンサ22における演算増幅器21の一方の入力端子21a側の極と接地との間に、スイッチSW3(請求項3における第3スイッチ)を介して接続され、その電流の流れ方向は接地側である。
また、この実施形態に係る電流測定装置は、上記各スイッチSW1,SW2,SW3をオンオフ制御する制御部50を備える。制御部50には、好ましくはCPU(中央演算処理ユニット)やマイクロコンピュータが用いられる。
なお、制御部50に、スイッチSW1〜SW3のオンオフ制御機能のほか、演算増幅器21の出力端子21cに現れる出力電圧Vo(=i×t/C)から、被測定抵抗体Rxに流れる電流値i(=C×Vo/t)を求める演算機能を持たせてもよい。
次に、図2のタイミングチャートを併せて参照して、この電流測定装置の動作について説明する。
被測定抵抗体Rxの電流測定前には、スイッチSW1,SW3がオフ、スイッチSW2がオンのリセット状態とされ、出力端子21cの出力Voは0Vである。
まず、t1時〜t2時にかけての第1ステップで、被測定抵抗体Rxの電流測定が行われる。このときスイッチSW1がオンすると同時にスイッチSW2がオフとなり(スイッチSW3はオフを維持)、直流電圧源10から被測定抵抗体Rxを介して流れる電流iにより、積分用コンデンサ22が充電される。
積分用コンデンサ22の容量をC,充電時間(測定時間)をtとすると、出力端子には、Vo=i×t/Cなる電圧が現れる。これにより、被測定抵抗体Rxを流れる電流iがi=C×Vo/tにより求められる。
次に、第2ステップとして、被測定抵抗体Rxの電流測定後のt2時〜t3時にかけて、スイッチSW1がオフすると同時にスイッチSW2がオンとなり(スイッチSW3はオフを維持)、積分用コンデンサ22に充電された電荷が放電され、初期のリセット状態に戻される。
その後の第3ステップとして、t3時〜t4時にかけて、積分用コンデンサ22に対して逆充電が行われる。このとき、スイッチSW3がオンになると同時にスイッチSW2がオフとなり(スイッチSW1はオフを維持)、逆充電用の直流電流源40により、積分用コンデンサ22に対して電流測定時とは逆方向の電流irが流される。
そして、第4ステップとして、この逆充電が終了した時点のt4時に、スイッチSW3がオフになると同時にスイッチSW2がオンとなり(スイッチSW1はオフを維持)、初期のリセット状態に戻される。
上記第3ステップにおいて、積分用コンデンサ22に流される逆方向電流irの電流値は、上記第1ステップの電流測定時に積分用コンデンサ22に流される電流iの電流値と同じとし、また、逆方向充電時間(t3〜t4)も、電流測定時の充電時間t(t1〜t2)と同じとすることが好ましい。
別の実施形態として、図1の電流測定装置と同じ回路構成にて、被測定抵抗体Rxの絶縁抵抗をも測定することができる。
すなわち、被測定抵抗体Rxに印加される電圧をV1,被測定抵抗体Rxに流れる電流をiとして、被測定抵抗体Rxの絶縁抵抗値RはV1/iで表される。上記の実施形態に係る電流測定装置によれば、被測定抵抗体Rxに流れる電流iがi=C×Vo/tにより求められることから、上記電流測定装置と同じ回路構成で、被測定抵抗体Rxの絶縁抵抗値RをV1×t/(C×Vo)として測定することができる。
なお、被測定抵抗体Rxに印加される電圧V1は、直流電圧源10の発生電圧であってもよいし、図示しない電圧測定部により測定される被測定抵抗体Rxの端子間電圧を用いてもよい。
この絶縁抵抗測定においても、制御部50により、図2のタイミングチャートにしたがって、スイッチSW1〜SW3を所定の順序でオンオフ制御することにより、電流測定時と同様に、積分用コンデンサ22を逆充電することができる。
上記各実施形態によれば、電流測定後もしくは絶縁抵抗測定後で、積分用コンデンサ22に蓄積された充電電荷を放電した後に、積分用コンデンサ22に対して、電流測定時もしくは絶縁抵抗測定時と同じ電流値で、かつ、同じ時間だけ逆方向に充電を行うようにしたことにより、積分用コンデンサ22における誘電吸収現象も逆方向に発生して打ち消し合うことになる。
したがって、自動検査機等に搭載され、電流測定や絶縁抵抗測定を繰り返し行っても、積分用コンデンサ固有の誘電吸収現象による測定誤差を排除することができる。また、積分用コンデンサを選択するにあたって、その誘電吸収の大小に余り気を使う必要がなく、積分用コンデンサの選択の自由度が高められる。
なお、上記各実施形態では、積分用コンデンサに対して電流測定時もしくは絶縁抵抗測定時と同じ電流値で、かつ、同じ時間だけ逆方向に充電するようにしているが、積分用コンデンサに対する逆充電は、電流測定時もしくは絶縁抵抗測定時に充電された電荷と同じ電荷量を充電すればよいことから、一例として、逆充電電流irを測定時の電流iの2倍とし、逆充電時間を測定時の1/2にしてもよい。
10 直流電圧源
20 積分型電流電圧変換回路
21 演算増幅器
21a,21b 入力端子
21c 出力端子
22 積分用コンデンサ
30 放電回路
31 抵抗素子
40 逆充電用の直流電流源
50 制御部
Rx 被測定抵抗体
SW1〜SW3 スイッチ

Claims (5)

  1. 演算増幅器の一方の入力端子と出力端子との間の帰還回路に積分用コンデンサを有する積分型の電流電圧変換回路と、直流電圧源とを含み、上記直流電圧源と上記演算増幅器の一方の入力端子との間に被測定抵抗体を接続し、上記積分用コンデンサに充電される電荷に応じて上記演算増幅器の出力端子に現れる出力電圧に基づいて上記被測定抵抗体が備える所定の素子特性を測定する電気測定装置において、
    上記直流電圧源より上記被測定抵抗体に所定の電圧を印加して上記被測定抵抗体の素子特性を測定した後に、上記積分用コンデンサを上記素子特性の測定時とは逆方向に充電する逆充電用の直流電流源を備えており、
    上記演算増幅器の一方の入力端子側に上記被測定抵抗体を選択的に接続する第1スイッチが設けられ、上記積分用コンデンサに対して抵抗素子および第2スイッチを直列に接続してなる放電回路が並列的に接続されているとともに、上記逆充電用の直流電流源は、第3スイッチを介して上記積分用コンデンサの上記演算増幅器の一方の入力端子側の極と接地との間に接続されており、
    少なくとも上記第1,第2および第3スイッチを制御する制御部をさらに備え、上記制御部は、上記第1スイッチをオフ,上記第2スイッチをオンとした状態から、
    第1ステップとして、上記第1スイッチをオン,上記第2スイッチをオフにして、上記直流電圧源より上記被測定抵抗体に所定の電圧を印加して上記被測定抵抗体の素子特性を測定し、
    その後、第2ステップとして、上記第1スイッチをオフ,上記第2スイッチをオンにして、上記積分用コンデンサに充電された電荷を上記放電回路により放電させ、
    その後、第3ステップとして、上記第2スイッチをオフ,上記第3スイッチをオンにして、上記逆充電用の直流電流源により上記積分用コンデンサを上記素子特性の測定時とは逆方向に充電し、
    その後、第4ステップとして、上記第2スイッチをオン,上記第3スイッチをオフにして上記第3ステップで上記積分用コンデンサに逆充電された電荷を上記放電回路により放電させることを特徴とする電気測定装置。
  2. 上記第3ステップでの逆充電時における上記積分用コンデンサへの充電電荷量は、上記第1ステップでの素子特性の測定時における上記積分用コンデンサへの充電電荷量と同じとすることを特徴とする請求項に記載の電気測定装置。
  3. 上記第3ステップでの逆充電時における電流値および充電時間は、上記第1ステップでの素子特性の測定時における電流値および測定時間と同じとすることを特徴とする請求項またはに記載の電流測定装置。
  4. 当該電気測定装置で測定される上記被測定抵抗体の素子特性が電流値であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の電気測定装置。
  5. 当該電気測定装置で測定される上記被測定抵抗体の素子特性が絶縁抵抗値であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の電気測定装置。
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