JP5778446B2 - 非水系インク - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録システムの使用に適した非水系インクであって、詳細には裏抜け抑制効果に優れるとともに、貯蔵安定性、吐出安定性にも優れた非水系インクに関するものである。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なヘッドノズルからインク粒子として噴射し、上記ノズルに対向して置かれた印刷用紙に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、非水溶性溶剤に顔料を微分散させたいわゆる非水系インクが種々提案されている。
例えば、出願人は特許文献1において、顔料と、有機溶剤としてエステル溶剤、高級アルコール溶剤、炭化水素溶剤などを含み、さらに溶解型のポリマー分散剤を含む非水系インクを提案している。このインクは機上安定性に優れ、インクジェット適性を有するとともに、PPC複写機やレーザープリンタで印刷された印刷面と重ね合わせた場合でも貼り付かない印字面を得ることができるという利点を有するものであり、トナー適性に優れたものである。また、特許文献2には、顔料と、有機溶剤として脂肪酸エステル溶剤、炭化水素溶剤を含み、さらに分散型の高分子分散剤(NAD)を含む非水系インクが開示されている。
従来、顔料分散型の非水系インクは、特許文献1や2に記載されているように樹脂やポリマー型分散剤(溶解型やNAD)を用いることにより、あるいは顔料表面に直接的にポリマーによる修飾(グラフト化やマイクロカプセル化)を行うことにより、顔料の分散安定性を確保してきた。これらの方法は、いずれの手法においても、ポリマーによる立体障害によって物理的に顔料の凝集を抑制させるものであり、換言すればインク中にポリマー成分を含有させることによってインクの顔料分散安定性を向上させようとするものである。
特開2007−126564号公報 特開2007−197500号公報
しかし、インク中にポリマー成分を含有させると、顔料とポリマー成分の親和性が高いために、あるいは顔料とポリマー成分が結合しているために、インクが印刷用紙に転移した後、顔料がポリマー成分に引きずられて用紙内部へ浸透しやすい。このため、印刷用紙表面の印刷濃度が低下したり裏抜けが生じたりする。すなわち、ポリマーによる顔料分散においては、顔料分散性を向上しようとすれば、印刷濃度の低下や裏抜けの発生を助長することになり、印刷濃度の向上や裏抜けの抑制を図ろうとすれば、顔料分散性が悪くなるという、一方を達成しようとすると、他方をある程度犠牲にしなければならないという関係がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、裏抜け抑制効果に優れ高い印刷濃度を実現することが可能であるとともに、顔料分散安定性に優れ、貯蔵安定性、吐出安定性の良好な非水系インクを提供することを目的とするものである。
本発明の非水系インクは、少なくとも顔料と有機溶剤とを含む非水系インクであって、前記有機溶剤に環状炭酸エステルと下記一般式(式中、R1、R2、R3はそれぞれ炭素数1〜8の飽和アルキル基または芳香族基であって、前記アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよく、R1、R2、R3は同じであっても、異なっていてもよい。以下、この記載は省略する。)で表されるリン酸トリエステルを含み、前記環状炭酸エステルと前記リン酸トリエステルとを合わせた含有量が、インク全量に対して50質量%以上であることを特徴とするものである。
前記環状炭酸エステルは、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
インク中のポリマー成分の含有量は前記顔料の20質量%以下であることが好ましい。ここで、ポリマー成分とは、単量体(モノマー)の繰り返し構造を持つ分子量500以上の重合体を意味する。
前記環状炭酸エステルと前記リン酸トリエステルとを合わせた含有量は、インク全量に対して60〜97質量%であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記非水系インクを用いて印字した後、印字面に電荷を付与することを特徴とするものである。
前記電荷を付与する工程はコロナ処理またはマイクロ波照射によるものであることが好ましい。
本発明の非水系インクは、有機溶剤として環状炭酸エステルと上記一般式で表されるリン酸トリエステルとを含むことにより、顔料分散安定性と裏抜け抑制の両立を図ることが可能であり、裏抜け抑制向上によって印刷濃度の高い非水系インクとすることができる。また、顔料分散安定性によって貯蔵安定性および吐出安定性に優れた非水系インクとすることができるため、インクジェット用インクとして好適に用いることができる。
実施例と比較例のインクの粘度とシェアとの関係を示すグラフである。 図1に示すグラフの縦軸のスケールを拡大したグラフである。
本発明の非水系インク(以下、単にインクともいう)は、少なくとも顔料と有機溶剤とを含むインクであって、有機溶剤に環状炭酸エステルと下記一般式で表されるリン酸トリエステルを含み、環状炭酸エステルとリン酸トリエステルとを合わせた含有量が、インク全量に対して50質量%以上であることを特徴とするものである。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの誘導体を好ましく挙げることができる。誘導体としては、水素原子がフッ素原子または炭素数が1〜4のアルキル基で置換された化合物を例示することができる。
上記下記一般式で表されるリン酸トリエステルは、式中、R1、R2、R3はそれぞれ炭素数1〜8の飽和アルキル基または芳香族基であって、アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよく、R1、R2、R3は同じであっても、異なっていてもよい。具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニルを好ましく挙げることができる。
環状炭酸エステルとリン酸トリエステルとを合わせた含有量は、インク全量に対して50質量%以上であり、より好ましくはインク全量に対して60〜97質量%であることが好ましい。環状炭酸エステルは印刷濃度を向上させることが可能である一方で、低いシェアのときの粘度が高くなる傾向にある。リン酸トリエステルは低いシェアのときの粘度を低くすることが可能である一方で、印刷濃度への貢献はほとんど見込めない。従って、併用する環状炭酸エステルとリン酸トリエステルの割合は、用いる環状炭酸エステルとリン酸トリエステルの種類にもよるが、概ね50:50〜95:5の範囲、好ましくは75:25〜95:5の範囲であることが好ましい。
通常のインクは顔料の分散性を図るために、分散剤や樹脂等のポリマー成分をインク全量に対して、0.5〜30質量%程度(顔料に対しては30〜200質量%程度)含有させる必要がある。しかし、本発明のインクは環状炭酸エステルとリン酸トリエステルを溶剤に併用することによって顔料分散性を図ることができるため、ポリマー成分の含有量が顔料の20質量%以下であっても十分に顔料分散安定性を確保することが可能である。一方で、環状炭酸エステルとリン酸トリエステルはポリマーよりも顔料に対する親和性は弱いため、ポリマーのようにインクが印刷用紙に転移した後、顔料を引きずって用紙内部へ浸透するということがないため裏抜けが殆ど生じず、結果として高濃度の印刷を行うことができる。
本発明のインクはポリマー成分が少ないため、インク粘度の温度依存性が低く、低温環境でも粘度上昇しにくい。従って、インクジェットインクとして好適である。とりわけ、本発明のインクは高濃度の印刷が可能であるため、1パスで画像形成をしなければならないライン方式インクジェット記録装置に適している。また、本発明のインクは低温環境のインク粘度を少ない消費電力で適性範囲に調整可能であるとともに、実施例に示すように、低シェアでのインク粘度を低くすることが可能である。従って、多量のインクの温度調整が必要になる循環式インクジェットシステムにおいても短時間で温度調整することができるため、循環式インクジェットシステムにも好適に用いることができる。
インク中のポリマー成分の含有量は顔料の20質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは実質的に含まないことが望ましい。ここで、実質的に含まないとはポリマー成分を全く含まない場合の他、例えばポリマー成分を不可避的不純物として含有する場合を意味する。
上記ポリマー成分は、高分子分散剤や樹脂などのように意図的に含有させる場合の他、顔料にもともと含まれているポリマー成分も含まれる。ポリマー成分として高分子分散剤を含む場合には、例えば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、BASFジャパン社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
ポリマー成分として樹脂を含む場合には、荒川化学工業株式会社製のマルキードNO.31、NO.32、NO.33、マルキードNO.32〜30WS等のマレイン酸樹脂、荒川化学工業株式会社製のタマノリ751、タマノルPA等のフェノール樹脂、BASFジャパン社製のジョンクリル682(商品名)等のスチレンアクリル系樹脂、立化成工業株式会社製のハイラック111、110H等のケトン樹脂、新日鐵化学株式会社製のエスクロンG90、V120等のクマロン樹脂、チッソ株式会社製のビニレックEタイプ、Kタイプ等のポリビニルホルマール樹脂、宇部興産株式会社製のナイロン6等のε−カプロラクタム共重合体、積水化学工業株式会社のエスレックBL−1、BL−2等のポリビニルブチラール樹脂、旭化成工業株式会社のスタイラック−AS767等のポリスチレン、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸プロピル等のポリメタクリル酸エステル、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、無水マレイン酸ポリマー等の付加重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン、DFK樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の縮重合樹脂等が挙げられる。
本発明のインクに含まれる有機溶剤はその全部が上記の環状炭酸エステルとリン酸トリエステルの混合溶剤であってもよいが、その他の有機溶剤を含んでいてもよい。環状炭酸エステル、リン酸トリエステル以外の有機溶剤としては、水溶性有機溶剤を挙げることができ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、などのグリコール類、グリセリン、アセチン類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコール誘導体、トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオグリコール、スルホランなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のインクには従来公知の無機顔料および有機顔料を適宜使用してもよい。例えば、無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、コバルトブルー、群青、紺青、カーボンブラック、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、タルク、シリカ等が挙げられる。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、縮合多環顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。顔料の添加量は、インク全量に対して0.5〜20質量%が好ましい。
顔料は表面処理を施工していないものも使用できるが、極性官能基をもつ顔料がより好ましく、特には酸性顔料が好ましい。極性官能基としては、カルボン酸基、スルフォン酸基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アルデヒド基、カルボニル基、ニトロ基などがあげられる。このような顔料はより分散安定性を確保しやすい。例えば、カーボンブラックにおいては酸性カーボンブラックあるいは中性カーボンブラックを酸性処理したものであって、顔料洗浄水のpHが4.0以下であるものが好ましい。顔料洗浄水のpHはJIS規格のK5101−17−1に従って測定されるものである。酸性の顔料として具体的には、カーボンブラックMA100、MA11、MA8、MA7(三菱化学)、ラーベン1040、ラーベン1255(コロンビヤン)、リーガル400(キャボット)、シアニンブルーKRG、シアニンブルー4044(山陽色素)、ブリリアントカーミン6B−321、スーパーレッドBN(DIC)、AP22(大日精化)、ファストイエロー4190(DIC)等を好ましく挙げることができる。
上記各成分に加えて、本発明のインクには慣用の添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン性の界面活性剤、酸化防止剤、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
本発明のインクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
本発明のインクは非水系インクでありながら通電する性質を有するため、電荷を付与すると凝集する性質を有する。従って、本発明のインクを用いて印字した後、印字面に電荷を付与することにより顔料が凝集して、顔料が印刷用紙表面にとどまるので、顔料が用紙内部に浸透することがより抑制されて、裏抜けをさらに低減することが可能である。電荷を付与する工程としては、コロナ処理(コロナ放電処理)またはマイクロ波照射によるものであることが好ましい。
コロナ処理は絶縁された電極と誘電体ロールとの間に印刷用紙を通し、高周波(約40kHz)高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものである。このコロナ処理によって酸素等の気体成分が活発なプラズマ状態となり、コロナ処理の中の加速電子によって電荷が付与される。マイクロ波照射とは、例えば、周波数で300MHz〜30GHz(波長で1cm〜1m)の電磁波である。コロナ処理またはマイクロ波照射は用いる周波数によっても異なるが、数秒〜数十秒で充分な電荷を付与することが可能である。具体的には、例えば特開2008−207528号公報、実用新案登録第3136647号公報に記載されているようなコロナ放電装置を有するインクジェットプリンタ、特開2010−084289号公報、特開2010−069870号公報に記載されているようなマイクロ波照射部を有するインクジェットプリンタや、別体のコロナ放電装置やマイクロ波照射装置を用いて行うことができる。
以下に本発明の非水系インクの実施例を示す。
(カーボンブラック試作品の準備)
カーボンブラック(MA600、粒子径20nm、比表面積140m2/g(JISK6217)、pH=7、三菱化学(株)製)10gと、表面処理剤としてKPS(K228で示される過硫酸カリウム、和光純薬(株)製)1gと、顔料分散剤としてデモールNL(β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、花王(株)製)2gと、溶媒として水100gを、攪拌装置、温度計、窒素ガス導入装置、及び冷却管を取り付けたフラスコ中に入れた。
次いで、上記フラスコにジルコニアビーズ(2.0mmφ、450g/反応混合物100g)を入れた後、攪拌しながら窒素ガスを吹き込み、フラスコ内を置換した。105℃に設定したオイルバスにフラスコをセットし、窒素ガス雰囲気下、100rpmで攪拌しながら6時間反応に付した。得られた反応混合物から、ろ過によりビーズを除去した後、残った反応混合物に等質量のブチセノール(テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、協和発酵ケミカル製)を加えて攪拌した後、フラスコの内容物を遠心分離にかけ、固形物と液状物を分離した。
分離した固形物を水中に分散し、70℃で12時間攪拌して、未反応表面処理剤を水中に溶かし出した後、フィルターを用いてろ過してカーボンブラックを単離した。得られたカーボンブラックを100℃で12時間乾燥した。得られたカーボンブラックを、FT−IRを用いて分析したところ、COOH基とSO3K基の存在が確認された。また、JIS規格のK5101−17−1に従い顔料洗浄水のPHを測定したところ、PHは2.3であった。
(インクの調製)
下記表1に示す配合(表1に示す数値は質量部である)で原材料をプレミックスした後、滞留時間約12分間で分散させて実施例および比較例のインクを調製した。
(インク粘度)
Haake社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)を使用して測定した。23°において0.1Pa/sの速度で剪弾応力を0Paから増加させたときの1Pa、10Pa、30Paにおける粘度を測定した。
(評価)
(貯蔵安定性)
実施例および比較例のインクをそれぞれガラス瓶に入れて密閉し室温で1週間放置したのち、目視で観察して以下の基準で評価した。
○:顔料の凝集・沈降が観察されない
△:顔料の凝集・沈降が僅かに観察される
×:分離、または顔料の凝集・沈降が顕著
(印刷物の裏抜け)
実施例および比較例のインクについて、上記の貯蔵安定性試験を終了したインクを理想用紙薄口にバーコーターで転写し、印刷後24時間後にベタ画像の裏面のOD値を、光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:0.25未満
○:0.25以上0.30未満
△:0.30以上0.40未満
×:0.40以上
(吐出安定性)
各インクをORPHIS−X9050に装填して印刷動作を行った後、30分間印刷機を停止した状態で放置し、その後印刷操作を再開した時の吐出性を以下の基準で評価した。
◎:全く不吐出が発生しない
○:時々不吐出が発生するが、吸引クリーニング動作により回復する
×:不吐出ノズルが頻発する
各インクの処方と評価の結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明のインクは良好な分散ができており、貯蔵安定性に優れていた。また、環状炭酸エステルとリン酸トリエステルとの併用によって、裏抜けが抑制されるとともに吐出安定性にも優れていることがわかる。比較例1、5および7は環状炭酸エステルを含まずリン酸トリエステルのみを溶剤としたインク、比較例2、6および8はリン酸トリエステルを含まず環状炭酸エステルのみを溶剤としたインクであるが、これらのインクでは貯蔵安定性は確保できるものの、裏抜けが生じ、また吐出安定性も得られなかった。
グラフを用いて説明する。図1は実施例と比較例のインクの粘度とシェアとの関係を示すグラフ、図2は図1に示すグラフの縦軸のスケールを拡大したグラフである。グラフから明らかなように本発明のインクである実施例1,5,6および7のインクの粘度カーブは低いシェア領域で粘度が急激に下がっており、高いシェア領域では粘度が殆ど変化していないことがわかる。実施例5のインクは環状炭酸エステルとリン酸トリエステルをインク全量に対して50質量%含み、その他の溶剤を40質量%含有するものであるが、このインクにおいてもインクの粘度カーブの傾向は保持されていることがわかる。
一方、比較例2、6および8は溶剤が炭酸プロピレンのみのインクであるが、これらのインクは比較的高いシェア領域でも粘度が高く、シェアをかけても粘度が下がりにくいことがわかる。比較例4は環状炭酸エステルもリン酸トリエステルも含まないインクであるが、この場合には本発明のインクの粘度カーブに近似するものの、表1に示すように裏抜けが顕著である。
上記のことから、序々にシェアをかけていくときに本発明のインクのように急カーブを描くものは、吐出開始時のインク粘度が低いことが推測できるから吐出性がよいと考えられる。これを、23℃でインクのシェア1Paにおける動粘度と10Paにおける動粘度の比、シェア10Paにおける動粘度と30Paにおける動粘度の比の2つの指標で評価すると、表1のようになる。この結果から、本発明のインクの動粘度は、23℃でインクのシェア1Paにおける動粘度と10Paにおける動粘度の比が1.5以下であり、かつシェア10Paにおける動粘度と30Paにおける動粘度の比が1.3以下である。このように本発明のインクは低シェアでのインク粘度を低くすることが可能である。
(マイクロ波照射またはコロナ処理)
実施例1および2のインクについて、理想用紙薄口(A4サイズ)にバーコーターで転写した後、マイクロ波照射は電子レンジ(ROL-3C、三菱電機社製、600W)で2.45GHzのマイクロ波を10秒間照射、コロナ処理は卓上型コロナ表面処理装置(AGF-B10、春日電機社製)で30KHz、0.25KW/mの出力で約7秒間(5m/分の送り速度で2パス)コロナ処理を行った。裏抜けについて、上記と同様に評価した結果を表2に示す。表2に示すように、マイクロ波照射あるいはコロナ処理によって、裏抜けは未処理のものに比べてさらに抑制されていることがわかる。
以上のように、本発明のインクは溶剤に環状炭酸エステルとリン酸トリエステルを併用することによって、顔料分散安定性と裏抜け抑制の両立を図ることが可能であり、裏抜け抑制向上によって印刷濃度の高い非水系インクとすることができる。また、非水系インクでありながら通電する性質を有するため、マイクロ波照射またはコロナ処理を行うことによって、印字後の印字面の顔料を凝集させて印刷用紙表面にとどまらせることができるので、裏抜けをさらに低減することが可能である。

Claims (6)

  1. 少なくとも顔料と有機溶剤とを含む非水系インクであって、前記顔料は表面に極性官能基を有するものであり、前記有機溶剤に環状炭酸エステルと下記一般式(式中、R1、R2、R3はそれぞれ炭素数1〜8の飽和アルキル基または芳香族基であって、前記アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよく、R1、R2、R3は同じであっても、異なっていてもよい)で表されるリン酸トリエステルを含み、前記環状炭酸エステルと前記リン酸トリエステルとを合わせた含有量が、インク全量に対して50質量%以上であることを特徴とする非水系インク。
  2. 前記環状炭酸エステルが、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の非水系インク。
  3. インク中のポリマー成分の含有量が前記顔料の20質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の非水系インク。
  4. 前記環状炭酸エステルと前記リン酸トリエステルとを合わせた含有量が、インク全量に対して60〜97質量%であることを特徴とする請求項1、2または3記載の非水系インク。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の非水系インクを用いて印字した後、印字面に電荷を付与することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 前記電荷を付与する工程がコロナ処理またはマイクロ波照射によるものであることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録方法。
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