まず、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウスについて図面を参照して説明する。以下の比較例および実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。また、以下の比較例および実施形態においては、電気機器として変圧器の組み立てに用いられる現地組立ハウスについて説明するが、電気機器としては変圧器に限られず、分解して搬送されて現地で組立られる電気機器が含まれる。
(比較例1)
図1は、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウスの拡張前の状態の外観を示す斜視図である。図1に示すように、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウス100においては、内部で電気機器が組み立てられる組立室110と、コイル、鉄心およびタンクなどの電気機器の構成部品が内部に保管され、組立室110に隣接する前室120とが設けられている。
組立室110は、前室120との境界を除いて組立室110の周囲を囲む側壁と、側壁の上方に設けられた天井111とを含む。組立室110の側壁は、前室120と隣接して互いに対向している側壁112,113と、側壁112,113同士の間に位置する背面側壁114とから構成されている。
前室120は、組立室110との境界を除いて前室120の周囲を囲む側壁と、側壁の上方に設けられた天井121とを含む。前室120の側壁は、組立室110と隣接して互いに対向している側壁122,123と、側壁122,123同士の間に位置する正面側壁124とから構成されている。正面側壁124には、電気機器の構成部品を搬入するための開閉部140が設けられている。
組立室110と前室120との境界に、互いに隣接する組立室110の側端部と前室120の側端部とから構成された仕切部130が設けられている。仕切部130は、組立室110の側端部と前室120の側端部との間に後述する拡張部材を挿入可能な構造を有している。また、仕切部130は、組立室110と前室120とを仕切る間仕切150を有する。間仕切150は、組立室110の側端部および前室120の側端部のいずれか一方に択一的に取り付け可能である。
図2は、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウスの構成を示す上面図である。なお、図2においては、天井111および天井121の内側から電気機器の現地組立ハウス100の内部を見た図を示している。
図2に示すように、組立室110は、骨格部となる2本の柱115、柱131および柱132と、隣接する柱同士の間を塞ぐ3つのパネルとを含む。具体的には、側壁112となるパネルが、2本の柱115,131に取り付けられている。側壁113となるパネルが、2本の柱115,132に取り付けられている。背面側壁114となるパネルが、2本の柱115に取り付けられている。
組立室110は、内側面に位置して気密性を有する第1シートを含む。具体的には、側
壁112の内側に、第1シートであるシート116が、2本の柱115,131の間に貼り付けられている。側壁113の内側に、第1シートであるシート117が、2本の柱115,132の間に貼り付けられている。背面側壁114の内側に、第1シートであるシート118が、2本の柱115の間に貼り付けられている。
2本の柱131,132の上方で、2本の柱131,132の上端同士を橋渡しするように梁135が位置している。梁135は、後述する間仕切150が着脱自在に取り付けられる着脱部を下面に有している。この2本の柱131,132と梁135とが、組立室110における前室120に隣接する側端部を構成している。
前室120は、骨格部となる2本の柱125、2本の柱126、柱133および柱134を含む。また、前室120は、組立室110との境界に位置する2本の柱133,134と2本の柱125とからなる4本の柱のうちの隣接する柱同士の間を塞ぐ3つのパネルを含む。
具体的には、側壁122となるパネルが、2本の柱125,133に取り付けられている。側壁123となるパネルが、2本の柱125,134に取り付けられている。正面側壁124となる正面パネルが、2本の柱125に取り付けられている。正面パネルは、開閉部140が設けられる位置に開口を有する。
2本の柱126は、正面パネルの開口のいずれか一方の側方の縁に沿うようにそれぞれ位置している。2本の柱126は、それぞれ2本の柱125の一方と連結されている。2本の柱133,134の上方で、2本の柱133,134の上端同士を橋渡しするように梁136が位置している。梁136は、後述する間仕切150が着脱自在に取り付けられる着脱部を下面に有している。この2本の柱133,134と梁136とが、前室120における組立室110に隣接する側端部を構成している。
上記の仕切部130は、組立室110の側端部に含まれる2本の柱131,132および梁135と、前室120の側端部に含まれる2本の柱133,134および梁136と、間仕切150とから構成されている。
図1,2に示すように、拡張前の状態における電気機器の現地組立ハウス100では、前室120の側端部に含まれる梁136の下面の着脱部に間仕切150が取り付けられている。間仕切150は、梁136の延在方向に沿って開閉する複数のカーテン状部材を含む。
組立室110内で変圧器10が組み立て可能である場合には、仕切部130に拡張部材が挿入されない状態、すなわち、組立室110が拡張されない状態で電気機器の現地組立ハウス100が建設される。
変圧器10の長さより長い変圧器10aを組み立てる際に、拡張前の組立室110内では変圧器10aを組み立てられない場合は、仕切部130に拡張部材が挿入された状態で電気機器の現地組立ハウス100aが建設される。
図3は、比較例1に係る拡張部材の構成を示す斜視図である。図3に示すように、比較例1に係る拡張部材160は、4本の柱163〜166、2つの側部パネル161,162および上部パネル169を含む。
具体的には、互いに対向する2本の柱163,164の間に側部パネル161が挟まれて着脱可能に固定されている。たとえば、柱163と柱164とが、互いの間に側部パネ
ル161を挟んだ状態で、締結部材により連結されている。
互いに対向する2本の柱165,166の間に側部パネル162が挟まれて着脱可能に固定されている。たとえば、柱165と柱166とが、互いの間に側部パネル162を挟んだ状態で、締結部材により連結されている。
互いに対向する2つの側部パネル161,162の上部同士を繋ぐように上部パネル169が着脱可能に固定されている。たとえば、側部パネル161と側部パネル162とが、互いの間に上部パネル169を挟んだ状態で、締結部材により連結されている。
拡張部材160は、内側面に位置して気密性を有する第2シートを含む。具体的には、側部パネル161の内側に、第2シートであるシート167が貼り付けられている。側部パネル162の内側に、第2シートであるシート168が貼り付けられている。
2つの側部パネル161,162の間の間隔は、組立室110の2本の柱131,132の間の間隔、および、前室120の2本の柱133,134の間の間隔と略同一である。上部パネル169が位置する高さは、組立室110の梁135および前室120の梁136が位置する高さと略同一である。2つの側部パネル161,162および上部パネル169の幅は、組み立てられる変圧器10aの長さに対応して決められる。
図4は、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウスの拡張後の状態の外観を示す斜視図である。図5は、拡張後の電気機器の現地組立ハウスにおいて間仕切を前室の側端部に取り付けた状態を示す上面図である。なお、図5においては、天井111および天井121の内側から電気機器の現地組立ハウス100aの内部を見た図を示している。
図4,5に示すように、仕切部130に拡張部材160が挿入されることにより、電気機器の現地組立ハウス100aが拡張される。具体的には、組立室110の側端部に含まれる2本の柱131,132および梁135と、前室120の側端部に含まれる2本の柱133,134および梁136との間に、拡張部材160が挿入されて締結部材により固定されることにより、電気機器の現地組立ハウス100aが長くなる。
間仕切150を梁136の下面の着脱部に取り付けているため、拡張部材160の挿入により拡張された部分は組立室110に含まれる。すなわち、拡張部材160の側部パネル161,162および上部パネル169は、組立室110の外壁となる。組立室110が拡張されることにより、長い変圧器10aを組立室110内で組み立てることが可能となる。
比較例1においては、組立室110の第1シートの端部と拡張部材160の第2シートの端部とが繋がれている。図6は、第1シートの端部と第2シートの端部との繋ぎ目を示す一部側面図である。
図6に示すように、拡張部材160のシート168の端部168aは、組立室110のシート117の端部と、たとえば、面ファスナーなどで繋ぎあわされている。すなわち、シート168は、側部パネル162、柱166および柱132の幅より大きな幅で形成されており、端部168aに面ファスナーなどの連結部が設けられている。
図示しないが、拡張部材160のシート167の端部と、組立室110のシート116の端部とが同様に繋ぎあわされている。このようにすることにより、拡張された組立室110内を一体にして組立室110内を気密に保つことができる。そのため、変圧器10aを清浄な雰囲気に保たれた組立室110内で組み立てることができ、変圧器10aの品質
を維持することができる。
変圧器10aの長さに対応して、幅の異なる側部パネル161,162および上部パネル169を含む拡張部材160を仕切部130に挿入することにより、組立室110内で変圧器10aを組み立てることが可能となる。
また、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウス100では、間仕切150を組立室110の側端部に取り付けることが可能である。図7は、拡張後の電気機器の現地組立ハウスにおいて間仕切を組立室の側端部に取り付けた状態を示す上面図である。なお、図7においては、天井111および天井121の内側から電気機器の現地組立ハウス100bの内部を見た図を示している。
図7に示すように、拡張後の状態における電気機器の現地組立ハウス100bでは、組立室110の側端部に含まれる梁135の下面の着脱部に間仕切150が取り付けられている。
間仕切150を梁135の下面の着脱部に取り付けているため、拡張部材160の挿入により拡張された部分は前室120に含まれる。すなわち、拡張部材160の側部パネル161,162および上部パネル169は、前室120の外壁となる。前室120が拡張されることにより、組み立て段階の初期において小さな構成部品からなる変圧器10bの組み立てには使用しない門型リフターなどの大型装置を前室120内に収納しておくことができる。
このように、組立室110および前室120のいずれか一方を択一的に拡張することにより、長さの異なる変圧器の組み立てに対応することができるため、組立室110および前室120の構成部品を共通化しつつ長さの異なる電気機器を組み立てることができる。また、組み立て段階によって、組立室110および前室120の大きさを択一的に変更することができる。
比較例1においては、拡張部材160は、側部パネル161,162および上部パネル169を含んでいたが、拡張部材160の構成はこれに限られない。
たとえば、拡張部材160は、組立室110および前室120のいずれか一方の外壁となる伸縮可能な図示しない蛇腹状部材を含むように構成されてもよい。この場合、組立室110および前室120のいずれか一方は、伸びた蛇腹状部材の大きさに従って拡張される。
このようにした場合、拡張部材160により拡張すべき長さに対応する側部パネルおよび上部パネルを都度用意する必要がなく、拡張部材160の汎用性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態1に係る電気機器の現地組立ハウスについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウスは、間仕切の構成のみ、比較例1に係る電気機器の現地組立ハウスと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態1)
図8は、本発明の実施形態1に係る電気機器の現地組立ハウスにおいて拡張後の状態を示す上面図である。なお、図8においては、天井111および天井121の内側から本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウス100cの内部を見た図を示している。
図8に示すように、本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウス100cにおいては、間仕切150は、上端から下端まで一緒に水平方向に開閉される水平開閉式間仕切シート152,153と、下端から上方に向けて開放可能な垂直開閉式間仕切シート151,154とを含む。
具体的には、水平開閉式間仕切シート152,153は、カーテン状のシートから構成されている。垂直開閉式間仕切シート151,154には、巻き上げ用の紐が組みつけられている。その紐が上方に引き上げられることにより、垂直開閉式間仕切シート151,154が下端から上方に向けて巻き上げられて開放するように構成されている。
水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154は、それぞれシート支持部170により支持されている。シート支持部170は、4本のレール状部材を含む。4本のレール状部材は、梁135に沿う方向に延在している。
水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154は、それぞれ別々のレール状部材に取り付けられている。水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154の各々は、取り付けられたレール状部材に対して、レール状部材の延在方向にスライド移動可能に取り付けられている。
シート支持部170は、梁135と梁136との間を繋ぐように梁135および梁136の両端部近傍の下面に設けられたガイドレール180に移動可能に取り付けられている。すなわち、シート支持部170は、組立室110と前室120とが並ぶ方向において移動可能に設けられている。
上記の構成により、シート支持部170をガイドレール180に対して移動させることにより、間仕切150を梁135と梁136との間の任意の位置に配置して、組立室110および前室120の大きさをフレキシブルに変更することができる。
また、水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154から間仕切150を構成したことにより、高さの低い構成部品を前室120から組立室110内に搬入する際には、垂直開閉式間仕切シート151または垂直開閉式間仕切シート154を途中まで開いて搬入することができる。
よって、水平開閉式間仕切シート152,153を開くことなく小さな構成部品を搬入することができるため、間仕切150の開放時の開放面積を低減して組立室110内の空気清浄度の低下を抑制できる。
さらに、水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154のそれぞれの位置は、スライド移動させることにより入れ替えることができるため、組み立てられる変圧器10の位置に対応して水平開閉式間仕切シート152,153および垂直開閉式間仕切シート151,154を配置することができる。
以下、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスについて図面を参照して説明する。
(比較例2)
図9は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスの外観を示す斜視図である。図9に示すように、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウス200においては、内部で電気機器が組み立てられる組立室210に隣接して、コイル、鉄心およびタンクなどの電気機器の構成部品が内部に保管される前室220が設けられている。
組立室210は、前室220との境界を除いて組立室210の周囲を囲む側壁と、側壁の上方に設けられた天井211とを含む。組立室210の側壁は、前室220と隣接して互いに対向している対向側壁212,213と、対向側壁212,213同士の間に位置する背面側壁214とから構成されている。比較例2においては、対向側壁212および対向側壁213のいずれか一方が、組み立てられた電気機器の搬出口となる取り外し可能な可動側壁である。まず、対向側壁213が可動側壁である場合について説明する。
前室220は、組立室210との境界を除いて前室220の周囲を囲む側壁と、側壁の上方に設けられた天井221とを含む。前室220の側壁は、組立室210と隣接して互いに対向している側壁222,123と、側壁222,223同士の間に位置する正面側壁224とから構成されている。正面側壁224には、電気機器の構成部品を搬入するための開閉部250が設けられている。
組立室210と前室220との境界に、組立室210と前室220との間を開閉可能に仕切る間仕切230が設けられている。
電気機器の現地組立ハウス200は、開閉部250を通過して前室220および組立室210に電気機器の構成部品を搬入するための直線状の搬送路240を備えている。搬送路240は、前室220の外部から前室220を貫通して組立室210の内部まで連続して設けられている。
図10は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスの構成を示す側面図である。図11は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスの構成を示す上面図である。なお、図10においては、対向側壁212および側壁222の内側から電気機器の現地組立ハウス200の内部を見た図を示している。図11においては、天井211および天井221の内側から電気機器の現地組立ハウス200の内部を見た図を示している。
図10,11に示すように、組立室210は、骨格部となる4本の柱215と、隣接する柱215同士の間を塞ぐ3つのパネルとを含む。具体的には、対向側壁212,213となる2つの対向パネルおよび背面側壁214となるパネルのそれぞれが、2本の柱215に取り付けられている。
対向側壁212,213となる2つの対向パネルは、互いに入れ替えて骨格部に取り付け可能である。可動側壁である対向側壁213となる対向パネルは、2本の柱215に着脱可能に取り付けられた可動パネルである。
搬送路240は、互いに平行な第1線状部241と第2線状部242とから構成されている。搬送路240上を電気機器の構成部品を搬送するリフトなどが移動する。電気機器は、組立室210内の搬送路240上で組み立てられる。
搬送路240は、図11において一点鎖線20で示す組立室210の中央より可動側壁である対向側壁213側に偏って位置している。図11においては、第1線状部241と第2線状部242との中間位置である搬送路240の中央を二点鎖線30で示している。組立室210の中央と搬送路240の中央とは、距離L0だけ離れている。
前室220は、骨格部となる2本の柱225、柱226および柱227を含む。また、前室220は、組立室210との境界に位置する2本の柱215と2本の柱225とからなる4本の柱のうちの隣接する柱同士の間を塞ぐ3つのパネルを含む。
具体的には、側壁222,123となる2つのパネルおよび正面側壁224となる正面パネルのそれぞれが、2本の柱に取り付けられている。正面パネルは、開閉部250が設けられる位置に開口を有する。正面パネルは、表裏反転させて2本の柱225に取り付け可能である。
柱226は、正面パネルの開口の対向側壁212側の縁に沿うように位置している。柱227は、正面パネルの開口の対向側壁213側の縁に沿うように位置している。柱226および柱227のそれぞれは、2本の柱225の一方と連結されている。柱225と柱226とが連結された第1連結体260と、柱225と柱227とが連結された第2連結体261とは、互いに入れ替えて設置可能である。
比較例2においては、前室220の中央と組立室210の中央とが一点鎖線20上に位置している。すなわち、搬送路240は、前室220の中央に対して距離L0だけ偏って位置している。そのため、開閉部250は、搬送路240が開閉部250を通過するように正面側壁224において偏って位置している。
開閉部250は、正面側壁224に沿う方向に移動する複数の扉部材を含む。具体的には、開閉部250は、柱226側から柱227側に向かって順に並ぶ第1扉部材251、第2扉部材252、第3扉部材253、第4扉部材254とから構成される。
開閉部250が閉まった状態において、第1扉部材251の側壁222側の端面と側壁222の外表面との距離L1は、第4扉部材254の側壁223側の端面と側壁223の外表面との距離L2よりL0だけ長い。すなわち、開閉部250は、搬送路240の前室220に対する位置の偏りに合わせて前室220に対して偏って位置している。
図9,10に示すように、組立室210と前室220との境界に位置する2本の柱215の上端同士を橋渡しするように梁216が配置されている。梁216の下方に間仕切230が設けられている。間仕切230は、梁216の延在方向に沿って開閉する複数のカーテン状部材を含む。言い換えると、間仕切230は、組立室210と前室220との境界に沿う方向に開閉する複数のカーテン状部材を含む。
図11に示すように、複数のカーテン状部材は、搬送路240上に位置する第1カーテン状部材231,232と、搬送路240と可動側壁である対向側壁213との間に位置する第2カーテン状部材233と、搬送路240と可動側壁ではない方の対向側壁212との間に位置する第3カーテン状部材234とから構成される。
比較例2においては、4つのカーテン状部材が配設されているが、カーテン状部材の数は3つ以上であればよい。カーテン状部材の上部には、梁216の下面に設けられた図示しないレール上を転がるローラが所定の間隔を置いて取り付けられている。カーテン状部材は、レールに対して着脱可能に取り付けられている。
以下、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウス200において、変圧器10が組み立てられて組立室210外に搬出されるまでについて説明する。
前室220の開閉部250の前にトラックなどで搬送されてきた変圧器10の構成部品は、開閉部250の前に待機している搬送路240上を移動するリフトに持ち上げられる。その後、開閉部250が開いてリフトが前室220内に移動し、変圧器10の構成部品を前室220内に配置する。このようにして前室220内には、変圧器10の構成部品が搬入されて保管される。
次に、組立室210内で変圧器10を組み立てるために、前室220内に保管されていた変圧器10の構成部品が再びリフトに持ち上げられる。その後、間仕切230の第1カーテン状部材231,232が開いて、リフトが組立室210内に移動し、変圧器10の構成部品を組立室210内に配置する。図11においては、変圧器10の構成部品である鉄心ブロック11を例示的に図示している。
リフトによる変圧器10の構成部品の搬送径路を短くするために、変圧器10は搬送路240上で組み立てられる。たとえば、鉄心ブロック11は、図中の矢印40で示す方向に組み込まれる。順次、前室220から組立室210内に変圧器10の構成部品が搬入されて組み立てられることにより、変圧器10が完成する。
図12は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスにおいて、可動側壁が取り外された状態を示す上面図である。図12においては、天井211および天井221の内側から電気機器の現地組立ハウス200の内部を見た図を示している。
図12に示すように、組立室210内で変圧器10の組み立てが完成した後、可動側壁である対向側壁213が取り外される。具体的には、2本の柱215から可動パネルが脱着される。次に、組立室210内から変圧器10が図中の矢印50で示す方向に搬出される。
搬送路240は可動側壁である対向側壁213側に偏って位置しているため、搬送路240上で組み立てられた変圧器10は対向側壁213に近接している。そのため、変圧器10を組立室210から搬出する際の搬送径路が短くなる。
上記のように、変圧器10の構成部品および組み立てられた変圧器10の搬送径路を短くすることにより、搬送作業の負荷を軽減できる。
比較例2の電気機器の現地組立ハウス200は、上述の通り、対向側壁212,213となる2つの対向パネルは、互いに入れ替えて骨格部に取り付け可能である。すなわち、組立室210においては、対向側壁212,213のいずれか一方を選択的に前記可動側壁とすることができる。
また、柱225と柱226とが連結された第1連結体260と、柱225と柱227とが連結された第2連結体261とは、互いに入れ替えて設置可能である。さらに、正面パネルは表裏反転させて2本の柱225に取り付け可能である。すなわち、前室220においては、開閉部250を正面側壁224の可動側壁側に選択的に配設可能である。
電気機器の現地組立ハウス200が配設される周囲の状況により、組立室210から組み立てられた変圧器10を対向側壁212側から搬出しなければならない場合がある。その場合、対向側壁212を可動側壁とする。具体的には、対向パネルを互いに入れ替えて骨格部に取り付ける。また、第1連結体260と第2連結体261とを互いに入れ替えて設置する。さらに、正面パネルを表裏反転させる。
図13は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスにおいて、可動側壁の配置を入れ替えた状態を示す上面図である。図14は、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスにおいて、配置を入れ替えた可動側壁が取り外された状態を示す上面図である。図13,14においては、天井211および天井221の内側から電気機器の現地組立ハウス200の内部を見た図を示している。
図13に示すように、搬送路240は、組立室210の中央に対して距離L0だけ対向側壁212側に偏って位置している。搬送路240は、前室220の中央に対して距離L0だけ側壁222側に偏って位置している。
開閉部250は、搬送路240が開閉部250を通過するように正面側壁224において偏って位置している。具体的には、開閉部250が閉まった状態において、第1扉部材251の側壁222側の端面と側壁222の外表面との距離L1は、第4扉部材254の側壁223側の端面と側壁223の外表面との距離L2よりL0だけ短い。すなわち、開閉部250は、搬送路240の前室220に対する位置の偏りに合わせて前室220に対して偏って位置している。
間仕切230においては、第1カーテン状部材231,232が搬送路240上に位置するように移設され、第2カーテン状部材233と第3カーテン状部材234とが互いに入れ替えられている。
リフトによる変圧器10の構成部品の搬送径路を短くするために、変圧器10は搬送路240上で組み立てられる。たとえば、鉄心ブロック11は、図中の矢印41で示す方向に組み込まれる。順次、前室220から組立室210内に変圧器10の構成部品は搬入されて組み立てられることにより、変圧器10が完成する。
図14に示すように、組立室210内で変圧器10の組み立てが完成した後、可動側壁である対向側壁212が取り外される。具体的には、2本の柱215から可動パネルが脱着される。次に、組立室210内から変圧器10が図中の矢印51で示す方向に搬出される。
搬送路240は可動側壁である対向側壁212側に偏って位置しているため、搬送路240上で組み立てられた変圧器10は対向側壁212に近接している。そのため、変圧器10を組立室210から搬出する際の搬送径路が短くなる。
上記のように可動側壁を入れ替えて変圧器10の搬出方向を逆にした場合にも、変圧器10の構成部品および組み立てられた変圧器10の搬送径路を短くすることにより、搬送作業の負荷を軽減できる。
以下、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウス200の開閉部250について詳細に説明する。
図15は、比較例2に係る開閉部が閉まっている状態を示す正面図である。図16は、比較例2に係る開閉部が閉まっている状態を示す上面図である。図17は、比較例2に係る開閉部が開いている状態を示す正面図である。図18は、比較例2に係る開閉部が開いている状態を示す上面図である。
図15,16に示すように、開閉部250は、第1扉部材251と第4扉部材254とが正面側壁224に沿うように互いに所定の間隔を置いて配置されている。第2扉部材252は、第1扉部材251に沿うように配置されている。第3扉部材253は、第4扉部材254に沿うように配置されている。
第1から第4扉部材251〜254のそれぞれは、正面側壁224に沿う方向に移動可能に設けられている。第2扉部材252と第3扉部材253との対向面同士が接することにより、開閉部250が閉じた状態になる。
上述の通り、開閉部250が閉まった状態において、第1扉部材251の側壁222側の端面と側壁222の外表面との距離L1は、第4扉部材254の側壁223側の端面と側壁223の外表面との距離L2よりL0だけ長い。すなわち、第4扉部材254の側壁223側の端面と側壁223の外表面との間の間隔は、搬送路240が偏って位置している分だけ短くなっている。
図17,18に示すように、開閉部250は、開閉部250が開いた状態において正面側壁224の側壁223側の端部から第3扉部材253および第4扉部材254の一部が突き出さないように、4つの扉部材が組み合わされて構成されている。
具体的には、開閉部250が開いた状態において、第1扉部材251の第4扉部材254と対向する対向面が正面側壁224の開口の縁に沿うようになるまで、第1扉部材251が移動する。第2扉部材252の第3扉部材253と対向する対向面が正面側壁224の開口の縁に沿うようになるまで、第2扉部材252が移動する。
第3扉部材253の第2扉部材252と対向する対向面が正面側壁224の開口の縁に沿うようになるまで、第3扉部材253が移動する。第4扉部材254の第1扉部材251と対向する対向面が正面側壁224の開口の縁に沿うようになるまで、第4扉部材254が移動する。
このように開閉部250が開いた状態において、第4扉部材254の側壁223側の端面が側壁223の外表面から突き出さないように、第1から第4扉部材251〜254の幅が設定されている。
開閉部250を第1から第4扉部材251〜254で構成することにより、側壁223の外側に空きスペースがない場合においても、開閉部250の開閉が可能となり、変圧器10の構成部品を搬入できる。
以下、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウス200の間仕切230について詳細に説明する。
図19は、対向側壁213が可動側壁である際の間仕切230の構成を示す正面図である。図20は、対向側壁212が可動側壁である際の間仕切230の構成を示す正面図である。
図19に示すように、対向側壁213が可動側壁である際には、搬送路240は対向側壁213側に偏って位置している。そのため、第2カーテン状部材233は幅が狭く形成され、第3カーテン状部材234は幅が広く形成されている。
組立室210内に変圧器10の構成部品が搬入される際には、第1カーテン状部材231が図中の矢印235で示す方向に開き、第1カーテン状部材232が図中の矢印236で示す方向に開く。
対向側壁213側の近傍で組立室210に出入する際には、第2カーテン状部材233は図中の矢印237で示す方向に開く。対向側壁212側の近傍で組立室210に出入する際には、第3カーテン状部材234は図中の矢印238で示す方向に開く。
上記のように間仕切230を複数のカーテン状部材で構成することにより、組立室210に出入する際に間仕切230が開放される面積を低減して、空気清浄度の低い前室220内の空気が空気清浄度の高い組立室210内に浸入する量を低減することができる。
図20に示すように、対向側壁212が可動側壁である際には、搬送路240は対向側壁212側に偏って位置している。そのため、幅の狭い第2カーテン状部材233が対向側壁212側に配設され、幅の広い第3カーテン状部材234が対向側壁213側に配設される。すなわち、図19に示した状態から、第2カーテン状部材233と第3カーテン状部材234とが互いに入れ替えて配設されている。
第1カーテン状部材231,232は、第2カーテン状部材233と第3カーテン状部材234との間に配設される。具体的には、第1カーテン状部材231,232は、距離2L0だけ対向側壁212側に移設されている。
組立室210内に変圧器10の構成部品が搬入される際には、第1カーテン状部材231が図中の矢印235で示す方向に開き、第1カーテン状部材232が図中の矢印236で示す方向に開く。
対向側壁213側の近傍で組立室210に出入する際には、第3カーテン状部材234は図中の矢印237で示す方向に開く。対向側壁212側の近傍で組立室210に出入する際には、第2カーテン状部材233は図中の矢印238で示す方向に開く。
このように、複数のカーテン状部材が組立室210と前室220との境界内において移設可能に取り付けられることにより、搬送路240の位置変更に対応して複数のカーテン状部材の配置構成を変更することができる。その結果、搬送路240の位置を変更した場合にも、組立室210に出入する際に間仕切230が開放される面積を低減して、空気清浄度の低い前室220内の空気が空気清浄度の高い組立室210内に浸入する量を低減することができる。
以下、本発明の実施形態2に係る電気機器の現地組立ハウスについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウスは、間仕切の構成のみ、比較例2に係る電気機器の現地組立ハウスと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態2)
図21は、本発明の実施形態2に係る電気機器の現地組立ハウスにおける間仕切の構成を示す正面図である。図21に示すように、本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウスにおいては、間仕切330は、上端から下端まで一緒に水平方向に開閉される水平開閉式間仕切シート331,332と、下端から上方に向けて開放可能な垂直開閉式間仕切シート333,334とを含む。
具体的には、水平開閉式間仕切シート331,332は、矢印335,336で示す方向に開閉されるカーテン状のシートから構成されている。垂直開閉式間仕切シート333,334には、巻き上げ用の紐が組みつけられている。その紐が上方に引き上げられることにより、垂直開閉式間仕切シート333,334が矢印337,338で示す方向に、下端から上方に向けて巻き上げられて開放するように構成されている。
水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334は、それぞれ図示しないシート支持部により支持されている。シート支持部は、図示しない4本のレール状部材を含む。4本のレール状部材は、梁216に沿う方向に延在している。
水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334は、それぞれ別々のレール状部材に取り付けられている。水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334の各々は、取り付けられたレール状部材に対して、レール状部材の延在方向にスライド移動可能に取り付けられている。
水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334から間仕切330を構成したことにより、高さの低い構成部品を前室220から組立室210内に搬入する際には、垂直開閉式間仕切シート333または垂直開閉式間仕切シート334を途中まで開いて搬入することができる。
よって、水平開閉式間仕切シート331,332を開くことなく電気機器の構成部品を搬入することができるため、間仕切330の開放時の開放面積を低減して組立室210内の空気清浄度の低下を抑制できる。
さらに、水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334のそれぞれの位置は、スライド移動させることにより入れ替えることができるため、組み立てられる変圧器10の位置に対応して水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334を配置することができる。
また、本実施形態に係る電気機器の現地組立ハウスは、組立室210内を気密に維持するために、水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334の周側部の少なくとも一部に位置する目張りシート340をさらに備える。
具体的には、垂直開閉式間仕切シート333と柱215との間、および、垂直開閉式間仕切シート334と柱215との間を目張りするように、目張りシート340が貼り付けられている。
図22は、水平開閉式間仕切シートの下部を拡大して示す図である。図22に示すように、間仕切330において、水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334のうち互いに隣接して位置するシート同士は重複部333を有する。重複部333には、面ファスナー350が形成されている。
水平開閉式間仕切シート331,332および垂直開閉式間仕切シート333,334が閉じた状態において、互いに隣接して位置するシート同士の重複部333は面ファスナー350により互いに固定されている。
上記の構成により、間仕切330が閉じた際の組立室210内の気密性を向上することができる。また、組立室210内を正圧に維持することにより、外部から組立室210内に塵および埃などが浸入することを抑制して、組立室210内の空気清浄度を維持するようにしてもよい。
図23は、本実施形態の変形例に係る間仕切の構成を示す正面図である。図23に示すように、本実施形態の変形例に係る間仕切は、垂直開閉式間仕切シート431,432,433,434からなる第1間仕切430と、水平開閉式間仕切シート531,532,533,534からなる第2間仕切530とが、重ねられて2重構造に設けられている。
具体的には、前室220側に第1間仕切430が配置され、組立室210側に第2間仕切530が配置されている。
垂直開閉式間仕切シート431,432,433,434は、矢印435,436,437,438に示す方向に、下端から上方に向けて巻き上げられて開放するように構成されている。
水平開閉式間仕切シート531,532,533,534は、矢印535,536,537,538で示す方向に開閉されるカーテン状のシートから構成されている。
このように間仕切を2重構造で構成して、第1間仕切430および第2間仕切530の開放状態を種々組み合わせることにより、必要最小限の開放面積で間仕切を開放することができる。そのため、間仕切の開放時の開放面積をさらに低減して組立室210内の空気清浄度の低下を抑制できる。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。