JP5776517B2 - ハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、有機塩基触媒や相関移動触媒として有用な水酸化イミノホスファゼニウムの前駆体として期待されるハロゲン化イミノホスファゼニウムをより簡易に効率よく製造する方法に関するものである。
ハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルグアニジンと五塩化リンから、下記一般式(3)
Figure 0005776517
において、R,Rが共にメチル基で、Xが塩素アニオンであるハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造する方法が報告されている(例えば特許文献1参照。)。その製造法は、具体的には、(1)クロロベンゼンを溶媒とし、窒素雰囲気下、−30℃で懸濁させた五塩化リンに対して、8.5当量の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを0℃以下の温度を保持するように少しずつ添加し、さらに150℃で12時間加熱撹拌することにより、五塩化リンと1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを反応させ、(2)反応後室温まで冷却し、ナトリウムメチラートのメタノール溶液により中和し、メタノール及びクロロベンゼンを減圧条件下で除去した残渣をジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタンを除去することによりハロゲン化イミノホスファゼニウムを得ている。
しかしながらこの方法では、反応後に中和処理が必要であるばかりではなく、ナトリウムメチラートのメタノール溶液等の特殊な中和剤を使用することや、中和後に高沸点溶媒を除去する必要がある等、不経済で煩雑な操作が必要であった。
そこで、最近では窒素雰囲気下、ハロゲン化イミノホスファゼニウムが溶解しないトルエン溶媒中でグアニジンと五塩化リンとを反応し、反応生成物を濾過した後、濾過残渣をアセトンで洗浄し、洗浄液からアセトンを除去することで比較的簡便に収率よくハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造することが報告されている(例えば特許文献2参照。)。また、更に低純度のハロゲン化イミノホスファゼニウムをハロゲン溶媒と水で抽出することにより、高純度のイミノホスファゼニウム塩を得る方法が報告されている(例えば特許文献3参照。)。
ドイツ特許DE102006010034−A1号公報(例えば第5頁第33行目〜第5頁第49行目参照。) 特開2010−292619号公報(例えば明細書[0045]〜[0057]欄参照。) 特開2010−116379号公報(例えば明細書[0031]〜[0036]参照。)
しかしながら、特許文献2に報告されている方法においても得られるハロゲン化イミノホスファゼニウムは、純度が80%程度と低いものであった。また、特許文献3に報告されている方法においては、高純度のハロゲン化イミノホスファゼニウムを得るため、濾過、アセトン洗浄、抽出などの精製操作を行うため、精製工程での損失によりハロゲン化イミノホスファゼニウムの収率が低下するという課題を有しており、より簡便な操作で効率よくハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造する方法が望まれている。
そこで、本発明は、従来の方法に比べてより簡便な操作により、経済的で効率的にハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造することが可能となる方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、反応後の生成物に水を加えて油水分離した後、水相をハロゲン溶媒で抽出し、該ハロゲン溶媒を除去するという簡便な操作により、経済的で効率的にハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、不活性ガス雰囲気下、非水溶性溶媒中で、下記一般式(1)で示される五ハロゲン化リンと下記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体を反応し、下記一般式(3)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造するに際し、反応後の反応液に水性媒体を添加し油水分離を行い、得られた水相にさらにハロゲン化溶媒を添加し油水分離を行い、得られたハロゲン化溶媒相からハロゲン化溶媒を除去することを特徴とするハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法に関するものである。
Figure 0005776517
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。)
Figure 0005776517
(式中、R,Rは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のフェニル基又はアルキルフェニル基を表し、RとR又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。)
Figure 0005776517
(式中、R,Rは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のフェニル基又はアルキルフェニル基を表し、RとR又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。Xは、塩素アニオン又は臭素アニオンを表す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法は、不活性ガス雰囲気下、非水溶性溶媒中で、上記一般式(1)で示される五ハロゲン化リンと上記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体を反応し、反応後のスラリー溶液に水性媒体を添加することにより生成物を水性媒体に溶解した後に油水分離を行い、得られた水相にさらにハロゲン化溶媒を添加し生成物をハロゲン化溶媒に溶解した後に油水分離を行い、得られたハロゲン化溶媒相からハロゲン化溶媒を除去することにより、上記一般式(3)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムをより簡便な操作により、効率的に製造するものである。
本発明で用いられる上記一般式(1)で表される五ハロゲン化リンは、五塩化リン又は五臭化リンであり、安価で入手の容易であることから五塩化リンが好ましい。
本発明において、上記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体及び上記一般式(3)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムのR、Rは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のフェニル基又はアルキルフェニル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、3−メチル−2−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−2−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ヘプチル基、3−ヘプチル基、1−オクチル基、2−オクチル基、2−エチル−1−ヘキシル基、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、4−トルイル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等の脂肪族又は芳香族の炭化水素基が例示され、その中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル基等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、RとR、又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良く、そのような置換基として、例えばジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等を挙げることができ、合成の容易さや強塩基性のイミノホスファゼニウム塩が得られることからRとRが互いに結合して環構造を形成する場合は、テトラメチレン基が好ましく、R同士が互いに結合して環構造を形成する場合はジメチレン基が好ましい。
そして、上記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラエチルグアニジン、1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジン、1,1,3,3−テトラ(イソプロピル)グアニジン、1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジン、1,1,3,3−テトラ(n−ヘキシル)グアニジン、1,1,3,3−テトラ(1−オクチル)グアニジン、1,1,3,3−テトラ(n−デシル)グアニジン、1,1,3,3−テトラフェニルグアニジン、1,1,3,3−テトラベンジルグアニジン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミン、1,3−ジエチルイミダゾリジン−2−イミン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イミン、1,3−ジ(n−プロピル)イミダゾリジン−2−イミンなどを挙げられ、入手が容易で、強塩基性を示す塩基性イミノホスファゼニウム塩が得られることから1,1,3,3−テトラメチルグアニジンが好ましい。
また、本発明の上記一般式(3)で表されるハロゲン化イミノホスファゼニウムにおけるXは、塩素アニオン、臭素アニオンであり、一般式(3)に示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムとしては、例えばテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムブロミド等を例示でき、その中でも温和な条件で合成可能であり、イオン交換して得られる塩基性イミノホスファゼニウム塩が強塩基性を有することから、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムブロミドが好ましい。
本発明における不活性ガス雰囲気下とは、不活性ガス雰囲気下と称される範疇に属すものであれば如何なるものでもよく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下を挙げることができる。
また、本発明で用いられる非水溶性溶媒とは、非水溶性溶媒の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることができ、例えばヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられ、その中でも、トルエン、クロロベンゼンが好ましい。また、これらの溶媒は、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。さらに、使用される溶媒は、脱水処理を行った後に使用することが好ましい。
そして、本発明のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法においては、不活性ガス雰囲気下、非水溶性溶媒中で、上記一般式(1)で示される五ハロゲン化リンと上記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体を反応し、ハロゲン化イミノホスファゼニウムの粗生成物を製造するものである。
その際の該五ハロゲン化リンと該グアニジン誘導体の割合は、量論的には該五ハロゲン化リン1モルに対し、該グアニジン誘導体4モルであり、その中でもより反応を効率的に行うことが可能であることから4モル以上とすることが好ましく、特に6〜20モルとすることが好ましく、さらに8〜12モルの範囲とすることが好ましい。
また、非水溶性溶媒量としては、反応系に応じて適宜選択することが可能であり、その中でもより効率的な反応が可能となることから該五ハロゲン化リン1molに対して、0.1〜80リットルであることが好ましく、特に0.5〜40リットル、さらに1〜20リットルの範囲であることが好ましい。
該五ハロゲン化リンと該グアニジン誘導体とを反応する際の反応温度としては、反応が進行すればいずれでもよく、例えば−50℃〜180℃で実施することが可能であり、より効率的な反応が可能であることから−30℃〜150℃の範囲であることが好ましい。そして、反応初期の発熱を制御し、反応後期の反応性低下を補填することが可能となることら、反応初期は20℃以下の温度で実施し、反応後期では反応温度を80℃以上にする多段の温度制御を行うことが好ましい。さらに、反応圧力は、減圧、常圧及び加圧の何れでも実施することが可能であり、好ましくは0.01〜1MPaであり、より好ましくは0.05〜0.3MPaの範囲である。反応時間は、反応温度や反応系の状態等により適宜選択可能であり、通常1分〜48時間の範囲であり、好ましくは1〜24時間、より好ましくは5〜15時間の範囲である。
本発明のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法においては、該五ハロゲン化リンと該グアニジン誘導体との反応により得られるハロゲン化イミノホスファゼニウムの粗生成物を含む反応液に水性媒体を添加し、油水分離を行うものである。ここで、ハロゲン化イミノホスファゼニウムは水性媒体に溶解し、水相に移行するものである。その際の水性媒体としては、水性媒体と称させるものであれば如何なるものでもよく、例えばイオン交換水、蒸留水、工業用水、飲料水等を挙げることができる。そして、用いられる水性媒体の量としては、生成物を溶解することが可能であればよく、例えば非水溶性溶媒1リットルに対して0.1〜3リットル、好ましくは0.2〜1リットルの範囲である。
さらに、本発明のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法においては、得られた水相にハロゲン化溶媒を添加し、ハロゲン化イミノホスファゼニウムのみをハロゲン化溶媒に溶解した後に、油水分離を行い、得られたハロゲン化溶媒相よりハロゲン化溶媒を除去することにより、純度の高いハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造するものである。この際のハロゲン化溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどを例示することができ、溶媒の除去が容易であることから、好ましくはジクロロメタンまたはクロロホルムである。ここで、ハロゲン化溶媒以外の溶媒である場合、ハロゲン化イミノホスファゼニウムのみならず、副生成物、未反応原料等を溶解することから純度の高いハロゲン化イミノホスファゼニウムを効率よく製造することが困難となる。
また、ハロゲン化溶媒の使用量としては、水性媒体100重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、特に10〜200重量部であることが好ましい。
さらに、油水分離により得られたハロゲン化溶媒相は、より純度の高いハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造するために、必要に応じて水性媒体で水洗を行ってもよい。
得られたハロゲン化溶媒相からハロゲン化溶媒を除去することによりハロゲン化イミノホスファゼニウムを固体として製造することができ、その際の溶媒の除去は、蒸留によることが好ましく、蒸留は常圧、減圧の何れでも実施することができ、中でも低温かつ短時間で溶媒の除去が可能であることから通常は減圧下で実施することが好ましい。その際の温度や圧力は、用いる溶媒の沸点により適宜選択すればよく、例えばジクロロメタンを除去する場合は、30〜80℃の温度範囲で30〜0.5kPaの減圧度の範囲で除去することができる。
本発明の方法によれば、反応後に水を加えて得られる水相を特定の溶媒を用いる抽出および該溶媒の除去という簡便な操作により反応後の生成物を容易に回収可能であり、中和処理や高沸点溶媒の除去等の煩雑な操作を必要とすることなく、経済的で効率的にハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造可能であるため、本発明は工業的に極めて有用である。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下に、実施例で用いたNMRスペクトル、GC−MSによる測定を示す。
〜NMRスペクトルの測定〜
核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子製、(商品名)GSX270WB)を用い、内部標準にテトラメチルシラン(TMS)及び重溶媒に重クロロホルムを用い測定した。
〜GC−MSの測定〜
ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(日本電子製、(商品名)JMS−700)を用い、イオン化モードとしてFAB+を用いて測定を行った。
実施例1
温度計、滴下ロート、冷却管及びテフロン(登録商標)製撹拌翼を付した3リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下で五塩化リン(アルドリッチ製)96g(0.46mol)を入れ、以後の操作はすべて窒素雰囲気下で行った。さらに、800mlの脱水トルエン(和光純薬製)を加え、スラリー溶液とした。該スラリー溶液をドライアイス−アセトンにて−20℃に冷却したクーリングバスにより内温を−20℃とした後、強撹拌下に1,1,3,3−テトラメチルグアニジン345g(2.99mol)を滴下ロートにより3時間かけて滴下した。反応液中には多量の白色スラリーが生成していた。その後、室温に戻した後、更に100℃に昇温し、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン107g(0.92mol)を1時間かけて滴下し、滴下後14時間加熱撹拌して白色のスラリー溶液を得た。
そして、60℃まで冷却した後、蒸留水250gを加え、油水分離を行った。得られた水相にジクロロメタン100mlを添加し油水分離を行う抽出を2回繰り返した。得られたジクロロメタン溶液を100mlの蒸留水で水洗した後、ジクロロメタンを減圧下に除去した。得られる白色固体を80℃、1kPaで減圧乾燥した。
乾燥後の白色固体は225gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は98%であり、収率は92.7%であった。
生成物は、H−NMR、GC−MS、元素分析により同定した。
H−NMR(重溶媒:CDCl,内部標準:テトラメチルシラン):
化学シフト:2.83ppm(ホスファゼニウム塩由来のメチル基)。
GC−MS(FAB+)測定結果:
m/z=487(テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムカチオンの分子量に一致。)。
比較例1
温度計、滴下ロート、冷却管及び磁気回転子を付した300mlの4つ口フラスコに窒素雰囲気下で五塩化リン4.01g(20.0mmol)を入れ、クロロベンゼン(40ml)を加え、クーリングバスにて内温を−30℃に冷却し、−30℃で攪拌されているクロロベンゼン懸濁液に、乾燥窒素雰囲気下に、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン18.8g(163.5mmol)を少量ずつ、0℃未満の反応温度が維持されるように加えた。発熱反応が終了した後に、反応混合物を室温にし、次いで、浴温度150℃で12時間保持した。引き続き、室温に冷却し均一な反応液を得た。
続いて、反応液を氷で冷却した。次いで、20℃未満の温度を保持したまま反応液にナトリウムメタノラート4.15g(77.0mmol)の30%メタノール(13.8g)溶液を滴加した。引き続き、揮発性成分を、メタノール、クロロベンゼン及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの混合物の形態で、真空下に乾燥するまで留去した。
残渣を塩化メチレン60mlに溶かし、塩化ナトリウム存在下で濾過し、引き続き、溶媒を真空下に蒸発させた。淡黄色の固体9.0g(収率:73%)を得た。得られた淡黄色の固体はテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリドであったが、
純度は85%と低いものであった。
比較例2
温度計、滴下ロート、冷却管及びテフロン(登録商標)製撹拌翼を付した300mlの4つ口フラスコに窒素雰囲気下で五塩化リン4.01g(20.0mmol)を入れ、以後の操作はすべて窒素雰囲気下で行った。60mlの脱水トルエン(和光純薬製)を加えてスラリー溶液とした。このスラリー溶液をドライアイス−アセトンにて−20℃に冷却したクーリングバスにより内温を−20℃とした後、強撹拌下に1,1,3,3−テトラメチルグアニジン33.3g(285mmol)を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。反応液中には多量の白色スラリーが生成していた。そして、−30℃で1時間撹拌した後、クーリングバスをはずして室温までゆっくり昇温した。更にこのスラリー溶液を100℃で20時間加熱して白色のスラリー溶液を得た。
白色のスラリー溶液を室温まで冷却した後、白色スラリーを濾過することにより白色粉体19.8gを得た。得られた白色粉体を70mlのクロロホルムに溶解した後、300mlの分液ロートに移し、70mlの蒸留水を加えて抽出操作を行った。クロロホルム相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、クロロホルムを減圧下に除去した、得られる白色固体を80℃、1kPaで減圧乾燥した。
乾燥後の白色固体は7.7gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は96%であったが、収率は73.5%と低いものであった。
比較例3
溶媒として脱水トルエン800mlの代わりに、1,4−ジオキサン800mlを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリドの製造を試みた。
しかし、反応後の1,4−ジオキサン溶液に蒸留水800gを加えた際に、油水分離が生じなかったことから、製造を中断した。
実施例2
実施例1と同様の操作を行い、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリドを含む白色のスラリー溶液を得た。
そして、60℃まで冷却した後、蒸留水800gを加えて油水分離を行った。得られた水相をクロロホルム600mlと200mlで2回抽出(油水分離)を繰り返した。得られたクロロホルム溶液を200mlの蒸留水で水洗した。その後、クロロホルムを減圧下に除去した。得られた白色固体を80℃、1kPaで減圧乾燥した。
乾燥後の白色固体は220gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は99%であり、収率は91.6%であった。
実施例3
実施例1と同様の操作を行い、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリドを含む白色のスラリー溶液を得た。
そして、80℃まで冷却した後、蒸留水200gを加えて油水分離を行った。得られた水相をジクロロメタン100mlで2回抽出(油水分離)を繰り返した。得られたジクロロメタン溶液を100mlの蒸留水で水洗した後、ジクロロメタンを減圧下に除去し、白色固体を得た。
得られた白色固体は220gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は98.6%であり、収率は90.3%であった。
実施例4
温度計、滴下ロート、冷却管及びテフロン(登録商標)製撹拌翼を付した3リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下で五塩化リン(アルドリッチ製)94g(0.45mol)を入れ、以後の操作はすべて窒素雰囲気下で行った。800mlの脱水トルエン(和光純薬製)を加えてスラリー溶液とした。このスラリー溶液を15℃に冷却した水浴により内温を20℃とした後、強撹拌下に1,1,3,3−テトラメチルグアニジン452g(3.91mol)を滴下ロートから4時間かけて滴下した。反応液中には多量の白色スラリーが生成した。その後、水浴をはずして室温に戻した後、更に100℃に昇温し、15時間加熱撹拌して白色のスラリー溶液を得た。
そして、80℃まで冷却した後、イオン交換水200gを加えて油水分離した。得られた水相をクロロホルム100mlで2回抽出(油水分離)を繰り返した。得られたクロロホルム溶液を100mlのイオン交換水で水洗した後、クロロホルムを減圧下に除去し、白色固体を得た。
得られた白色固体は225gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は98.8%であり、収率は94.3%であった。
実施例5
溶媒を脱水トルエン800mlの代わりに、クロロベンゼン800mlとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリドを含む白色のスラリー溶液を得た。
そして、80℃まで冷却した後、蒸留水200gを加えて油水分離を行った。得られた水相をジクロロメタン100mlで2回抽出(油水分離)を繰り返した。得られたジクロロメタン溶液を100mlの蒸留水で水洗した後、ジクロロメタンを減圧下に除去し、白色固体を得た。
得られた白色固体は225gであり、該白色個体は、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムクロリド((MeN)C=N] Cl)であることを確認した。また、H−NMRより求めた純度は98.9%であり、収率は92.7%であった。
本発明により、イオン交換することにより、有機塩基触媒や相関移動触媒として有用な水酸化イミノホスファゼニウムを容易に得ることが可能となるハロゲン化イミノホスファゼニウムを従来よりも経済的で効率的に製造することが可能となる。

Claims (4)

  1. 不活性ガス雰囲気下、非水溶性溶媒中で、下記一般式(1)で示される五ハロゲン化リンと下記一般式(2)で示されるグアニジン誘導体を反応し、下記一般式(3)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムを製造するに際し、反応後の反応液に水性媒体を添加し油水分離を行い、得られた水相にさらにハロゲン化溶媒を添加し油水分離を行い、得られたハロゲン化溶媒相からハロゲン化溶媒を除去することを特徴とするハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法。
    Figure 0005776517
    (式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。)
    Figure 0005776517
    (式中、R,Rは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のフェニル基又はアルキルフェニル基を表し、RとR又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。)
    Figure 0005776517
    (式中、R,Rは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のフェニル基又はアルキルフェニル基を表し、RとR又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。Xは、塩素アニオン又は臭素アニオンを表す。)
  2. 非水溶性溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の非水溶性溶媒であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法。
  3. ハロゲン化溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のハロゲン化溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法。
  4. 上記一般式(2)及び上記一般式(3)におけるR、Rが共にメチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化イミノホスファゼニウムの製造方法。
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