JP6040747B2 - イミノホスファゼニウム炭酸水素塩及びその製造方法 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳細に説明する。
そして、上記一般式(2)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムにおけるR3,R4は、上記R1,R2と同様のものを挙げることができ、X−は、塩素アニオン又は臭素アニオンである。より具体的には、例えばテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスファゼニウムブロミド、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスファゼニウムクロリド、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスファゼニウムブロミド等を例示できる。
上記一般式(3)で示される五ハロゲン化リンとしては、Xは塩素原子又は臭素原子であり、具体的には五塩化リン、五臭化リンを挙げることができ、安価で入手が容易であることから五塩化リンであることが好ましい。
核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子製、(商品名)GSX270WB)を用い、内部標準にテトラメチルシラン(TMS)及び重溶媒に重クロロホルムを用い測定した。
ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(日本電子製、(商品名)JMS−700)を用い、イオン化モードとしてFAB+を用いて測定を行った。
カラム:TSKgel:IC−Anion−PWXL、溶離液:高速イオンクロマトグラフィー用標準溶離液:IC−Anion−A、検出器:比誘電率測定装置MC-8020、温度35℃、流速1ml/lの条件で測定。炭酸水素ナトリウム標準溶液を用いて作成した検量線による、絶対検量線法に基づき炭酸水素イオン濃度を測定した。測定サンプルはイミノホスファゼニウム炭酸水素塩1gにイオン交換水を加え100gとした1wt%溶液を用いた。
下記式より算出した。
(炭酸水素イオン濃度測定値)÷(1wt%中の理論炭酸水素イオン濃度)×100
〜イミノホスファゼニウム塩の残存率(単位:積分%)測定〜
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定装置(日本電子社製、(製品名)GSX270WB)を用い、重溶媒に重水を使用して1H−NMRを測定した。イミノホスファゼニウム塩及び不純物由来のピークの積分値(aとする)中のイミノホスファゼニウム塩由来のピークの積分値(bとする)の割合により、イミノホスファゼニウム塩の残存率を算出した。すなわち、イミノホスファゼニウム塩の残存率は、次式によって算出した。
イミノホスファゼニウム塩の残存率(積分%)=(b/a)×100
合成例1(テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリドの合成)
温度計、滴下ロート、冷却管及び磁気回転子を付した500mlの4つ口フラスコに五塩化リン24.06g(120mmol)を採り、これに200mlの脱水トルエン(和光純薬社製)を加えてスラリー溶液とした。このスラリー溶液をドライアイス−アセトンにて−30℃に冷却したクーリングバスにつけて内温を−30℃とした後、強撹拌下に1,1,3,3−テトラメチルグアニジン133.2g(1.16mol)を滴下ロートから3時間かけて滴下した。そのまま−30℃で1時間撹拌した後、クーリングバスをはずして室温までゆっくり昇温した。更にこのスラリー溶液を100℃で10時間加熱して白色のスラリー溶液を得た。室温まで冷却した後、スラリーを濾別し、濾過残渣をアセトンで洗浄した。アセトン溶液を濃縮後、クロロホルムと水を用いて抽出を行い、クロロホルム相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後クロロホルムを除去してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド:((Me2N)2C=N)4P+ Cl−を白色粉体として47.4g得た。収率は75.6%であった。
温度計、滴下ロート、冷却管及び磁気回転子を付した200mlの4つ口フラスコに五塩化リン4.6g(22mmol)を採り、これに60mlの脱水トルエン(和光純薬社製)を加えてスラリー溶液とした。このスラリー溶液をドライアイス−アセトンにて−30℃に冷却したクーリングバスにつけて内温を−30℃とした後、強撹拌下に1,3−ジメチルイミダゾリジンイミン25g(220mmol)を滴下ロートから1時間かけて滴下した。そのまま−30℃で1時間撹拌した後、クーリングバスをはずして室温までゆっくり昇温した。更にこのスラリー溶液を100℃で10時間加熱して白色のスラリー溶液を得た。室温まで冷却した後、スラリーを濾別し、濾過残渣をアセトンで洗浄した。アセトン溶液を濃縮後、ジクロロメタンと水を用いて抽出を行い、ジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後ジクロロメタンを除去してテトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウムクロリドを白色粉体として9.4g得た。収率は83%であった。
温度計、滴下ロート、冷却管及び磁気回転子を付した200mlの4つ口フラスコに五塩化リン4.6g(22mmol)を採り、これに50mlの脱水トルエン(和光純薬社製)を加えてスラリー溶液とした。このスラリー溶液をドライアイス−アセトンにて−30℃に冷却したクーリングバスにつけて内温を−30℃とした後、強撹拌下に1,3−ジイソプロピルイミダゾリジンイミン37g(220mmol)を滴下ロートから1時間かけて滴下した。そのまま−30℃で1時間撹拌した後、クーリングバスをはずして室温までゆっくり昇温した。更にこのスラリー溶液を100℃で10時間加熱して白色のスラリー溶液を得た。室温まで冷却した後、スラリーを濾別し、濾過残渣をアセトンで洗浄した。アセトン溶液を濃縮後、クロロホルムと水を用いて抽出を行い、クロロホルム相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後クロロホルムを除去してテトラキス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウムクロリドを白色粉体として11.0g得た。収率は68%であった。
イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、(商品名)アンバーライトIRA−400);Cl型)100gをカラムに充填し、1mol/lの炭酸水素ナトリウム水溶液300mlを通液して塩素イオンを炭酸水素イオンに置換した。その後、更にイオン交換水200mlを通液して炭酸水素ナトリウム水溶液をイオン交換水で置換し、炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を調製し、該炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物を得た。
合成例4と同様の操作を行った後、濾過を行い炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂110gを調製した。
磁気回転子を付した300mlのシュレンクフラスコに、合成例1で得られたテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド21g(40mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。そこへ水酸化カリウム2.2g(40mmol)、イソプロパノール80mlを加え、室温中で3時間攪拌した。反応終了後に得られる白色固体を含む懸濁溶液を、濾紙を付した漏斗を用い、減圧下にて濾過を行った。濾液側に目的とするテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシドのイソプロパノール溶液が得られ、濾物側に副生塩である塩化カリウムが得られた。得られた(テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシドのイソプロパノール溶液を減圧下濃縮し、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド(一般式(2)におけるR3がメチル基、R4がメチル基、X−がヒドロキシアニオンに相当するイミノホスファゼニウム塩にあたる。)を得た。このテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシドの純度を
1H−NMRにより分析した結果、99%以上であった。
合成例1で得たテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.2mol/l)を調製した。そして、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で30分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を60分(0.2l/h)かけて通液した。通液後に得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として10.44g(回収率:95.2%)得た。
合成例1で得たテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.2mol/l)を調製した。そして、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で3分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を6分(0.2l/h)かけて通液した。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として10.02g(回収率:91.6%)得た。
合成例1で得たテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド52.2g(100mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(1mol/l)を調製し、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で30分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を60分かけて通液した(流速:0.2l/h)。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として53.2g(回収率:97.1%)得た。NMR純度は99%以上であった。
合成例1で得たテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)を50mlのイオン交換水と50mlのメタノールに溶解した溶液(0.2mol/l)を調製し、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で30分かけて通液し、更にイオン交換水/メタノール=1/1の混合溶液200mlを60分かけて通液した(流速:0.2l/h)。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として10.5g(95.8%)得た。NMR純度は99%以上であった。
合成例1で得たテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.2mol/l)を調製し、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に40℃で30分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を60分かけて通液した(流速:0.2l/h)。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として10.45g(回収率:95.3%)得た。NMR純度は99%以上であった。
合成例1で得られたテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)を200mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.1mol/l)を調製し、合成例5で得た炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂110gと混合した後、1時間ゆっくり撹拌してイオン交換を行った。得られた混合物をろ過後、濾液を減圧下で濃縮乾固することにより、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として10.41g(回収率:95%)得た。NMR純度は99%以上であった。
合成例2で得られたテトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウムクロリド5.14g(10mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.1mol/l)を調製した。そして、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で30分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を60分(0.2l/h)かけて通液した。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として5.3g(回収率:98.1%)得た。
合成例3で得られたテトラキス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウムクロリド7.40g(10mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液(0.1mol/l)を調製した。そして、合成例4で調製した炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を充填したカラム充填物に25℃で30分かけて通液し、更に200mlのイオン交換水を60分(0.2l/h)かけて通液した。得られた300mlの水溶液を減圧下で濃縮乾固してテトラキス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジンイミノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩を白色固体として7.3g(回収率:96.5%)得た。
磁気回転子を付した100mlのシュレンクフラスコに、合成例6で得られた(テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド2.0g(4.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。10日間放置した後のテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシドの残存率を1H−NMRにより測定したところ僅か28%であり、安定性に劣るものであった。
炭酸水素ナトリウム1.8g(22mmol)を100mlのイオン交換水に溶解した水溶液を調製し、合成例1で得られたテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムクロリド10.44g(20mmol)と混合した後、1時間ゆっくり撹拌してイオン交換を試みた。得られた混合物を減圧下で濃縮乾固することにより、白色固体12.1gを得たが、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩と余剰の炭酸水素ナトリウム、副生物である塩化ナトリウムとを分離することが出来ず、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウム炭酸水素塩のみを回収することが出来なかった。
Claims (4)
- 炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂を用い、下記一般式(2)で示されるハロゲン化イミノホスファゼニウムのイオン交換を行うことにより下記一般式(1)で示されるイミノホスファゼニウム炭酸水素塩とすることを特徴とするイミノホスファゼニウム炭酸水素塩の製造方法。
- 炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂が、塩素型陰イオン交換樹脂をアルカリ金属炭酸水素塩水溶液またはアルカリ土類金属炭酸水素塩水溶液でイオン交換して調製された炭酸水素イオン置換イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のイミノホスファゼニウム炭酸水素塩の製造方法。
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