JP5775794B2 - マフラーカッター - Google Patents
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Description
(1)車輌用排気系のテールパイプに装着されるマフラーカッターであって、
排気用配管と、排気用配管の外周に排気用配管と同軸状に設けられた筒状の遮熱板と、前記排気用配管と筒状の遮熱板との間に介装された充填材とを有し、
前記充填材は、配設時に車輌本体側に位置する放熱抑制材と、配設時に車輌本体側とは反対側に位置する放熱促進材とを含み、
前記放熱抑制材の熱伝導率が前記放熱促進材の熱伝導率よりも低い
ことを特徴とするマフラーカッター、および
(2)前記放熱抑制材の400℃の温度条件下における熱伝導率が0.01〜0.1W/(m・K)であり、前記放熱促進材の400℃の温度条件下における熱伝導率が0.1W/(m・K)以上である上記(1)に記載のマフラーカッター
を提供するものである。
図1は、本発明に係るマフラーカッター1の実施態様例を示す断面図であり、図1(a)はマフラーカッター1の長手方向に対して直角方向の垂直断面図であり、図1(b)はマフラーカッター1の長手方向に沿った垂直断面図である。
本出願書類において、排気用配管とは、内部を排気ガス(燃焼ガス)が流通する管状物を意味し、排気用配管としては、内部を流通する排気ガスの温度等に対応した材質からなり、目的とする温度特性や吸音特性を発揮し得るものから適宜選択することが好ましい。
上記排気用配管としては耐熱性を有するものが好適であり、具体的には、金属管や耐熱性樹脂からなる樹脂管を挙げることができ、金属管であることが好ましい。
なお、本出願書類において、排気用配管の平均厚みは、ノギスにより3箇所の厚みを測定したときの算術平均値を意味する。
また、排気用配管の外径は、20〜90mmであることが適当であり、30 〜80mmであることがより適当であり、40〜70mmであることがさらに適当である。
なお、本出願書類において、排気用配管の外径は、ノギスにより測定した値を意味する。
また、排気用配管は、その長手方向の側壁に複数の孔が設けられてなるものであってもよく、例えばパンチングメタルによって形成されてなるものであってもよい。
上記筒状の遮熱板としては耐熱性および美観を有するものが好適であり、具体的には、金属製のものを挙げることができる。
本発明のマフラーカッターにおいて、筒状の遮熱板の放射率が上記範囲内にあることにより、車輌本体側への熱の放出をより効果的に抑制することができる。
放射率(%)=100−反射率−透過率
反射率(%)=(反射光強度/入射光強度)×100
透過率(%)=(透過光強度/入射光強度)×100
ここで、反射率および透過率は、高温反射率・透過率測定装置により測定した値を意味する。
図4に示す高温反射率・透過率測定装置Xにおいて、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製FT−IR6100型)6から照射された波長2〜15μmの入射光71は、反射鏡8により反射されて試料室内に導かれ、回転台9の中心部に取り付けた試料10に照射される。上記試料10は回転台9の中心部に設けたホルダーhに取り付けられた状態で、ハロゲンヒータ(ウシオ電機(株)製UL−SH−V500)11によって加熱される構造になっており、試料10の取り付け部を回転軸とする回転台9の腕部に別途設けられ試料10の周囲を周回する検出器12によって、試料10からの反射光または透過光72の強度が検出される。
図5に示すように、試料10の前面部と背面部には、ハロゲンヒータ11が設置され、試料10からの反射光または透過光を検出器12が捉える際に、ハロゲンヒータ11が光路を遮らないように試料10の上部に角度をつけて設置される。反射光または透過光の測定時においては、ハロゲンヒータ11も試料10と共に回転させることで、常に試料10の表面温度を一定に保つことができる構造となっている。試料10が設置される回転台9の底部及びハロゲンヒータ11には、外部から冷却水13が導入され、循環、冷却される。
なお、本出願書類において、筒状の遮熱板の平均厚みは、ノギスにより3箇所の厚みを測定したときの算術平均値を意味する。
また、筒状の遮熱板の外径は、24〜114mmであることが適当であり、34〜104mmであることがより適当であり、44〜94mmであることがさらに適当である。
なお、本出願書類において、筒状の遮熱板の外径は、ノギスにより測定したときの値を意味する。
遮熱板3が半割状の上部遮熱板3aと半割状の下部遮熱板3bとからなるものであることにより、後述するように、本発明のマフラーカッターを容易に作製することができる。
図1に示すように、本発明のマフラーカッターは、上記充填材4として、配設時に車輌本体側に位置する放熱抑制材4aと、配設時に車輌本体側とは反対側に位置する放熱促進材4bとを含む。
なお、本出願書類において、放熱抑制材の熱伝導率が放熱促進材の熱伝導率よりも低いとは、マフラーカッターが使用される温度領域(通常25〜800℃、好ましくは25〜600℃)全体に亘って、任意の温度下における放熱抑制材の熱伝導率が放熱促進材の熱伝導率よりも低いことを意味する。
本発明のマフラーカッターにおいて、放熱抑制材や放熱促進材の熱伝導率は、放熱抑制材や放熱促進材の形成材料を適宜選択すること等により制御することができる。
本発明のマフラーカッターにおいて、熱伝導率は熱流計法により測定した値を意味する。
本発明のマフラーカッターにおいて、放熱抑制材の厚みが上記範囲内にあることにより、マフラーカッターと車輌本体側の部材とが近接して配置された場合であっても、マフラーカッターから車輌本体側への放熱を抑制して、上記部材の熱劣化を抑制し易くなる。
なお、本出願書類において、放熱抑制材の厚みは、ピーコック社製ダイヤルシックネスゲージにより厚みを5点測定したときの算術平均値を意味する。
具体的には、図1および図2に断面形状で示すように、排気用配管2の全外表面を二つの半筒状部に区分した場合において、放熱抑制材4aが車輌本体5側に位置する半筒状部の略全外表面に形成されていることが好ましい。
遮熱板3とともに放熱抑制材4aを上記のとおり設けることにより、マフラーカッターを車輌用排気系のテールパイプに装着したときに、メインマフラー等で吸音しきれなかった排気音を低減しつつ、車輌本体5側への放熱を効果的に抑制して、車輌本体5側の構成部材等の熱劣化を好適に抑制することができる。
等の充填材を挙げることができる。
また、本マフラーカッターで吸音特性も考慮すると、SUS製メッシュの積層体等の金属メッシュ積層体からなるものが好ましい。放熱促進材がメッシュ状であることにより、マフラーカッターの配設時にメインマフラーやサブマフラーで取り切れなかった排気音を吸音し易くなる。
本発明のマフラーカッターにおいて、放熱促進材の厚みが上記範囲内にあることにより、マフラーカッターと車輌本体側の部材とが近接して配置された場合であっても、マフラーカッターから車輌本体側とは反対側への放熱を促進して、車輌本体側への放熱を抑制し易くなる。
なお、本出願書類において、放熱促進材の厚みは、ピーコック社製ダイヤルシックネスゲージにより厚みを5点測定したときの算術平均値を意味する。
具体的には、図1および図2に断面形状で示すように、排気用配管2の全外表面を二つの半筒状部に区分した場合において、放熱促進材4bが車輌本体5側とは反対側に位置する半筒状部の略全外表面に形成されていることが好ましい。
放熱促進材4bを上記のとおり設けることにより、マフラーカッターを車輌用排気系のテールパイプに装着したときに、メインマフラー等で吸音しきれなかった排気音を低減しつつ、車輌本体5側とは反対側への放熱を促進して、放熱促進材2内の温度を所望範囲内に容易に制御することができる。
上記車輌本体側の部材として、具体的には、バンパー等を挙げることができる。
図3に示すように、排気用配管2として、長手方向の側壁全体に複数の開口部が設けられたパンチングメタル状になっているSUS管(内径52mm、外径54mm、熱伝導率20W/(m・K)(400℃))を用意するとともに、筒上の遮熱板3として、筒状物を半割状にした上部遮熱板3aおよび下部遮熱板3bからなるSUS管(内径66mm、外径68mm、熱伝導率20W/(m・K)(400℃)、2〜15μmの波長における放射率0.3)を用意した。
上記排気用配管2と筒状の遮熱板3とを同軸状に配置したとき、両者間には幅6mmの隙間が形成される。
また、図3に示すように、充填材4として、放熱抑制材4aを構成するガラスマット(厚さ6mm、密度100kg/m3、熱伝導率0.07W/(m・K)(400℃))製環状物の半割状物を用意するとともに、放熱促進材4bを構成するSUSメッシュ成形体1(厚さ6mm、密度2500kg/m3、熱伝導率0.5W/(m・K)(400℃))製の環状物の半割状物を用意した。
上記放熱抑制材4aおよび放熱促進材4bを、上部遮熱板3aおよび下部遮熱板3bの内面にそれぞれ接着剤を用いて接着した後、図3に示すように、排気用配管2を包み込むように配置しつつ、上部遮熱板3aおよび下部遮熱板3bの端部3c、3cを重ね合わせ、相互に突合せ溶接して接合することにより、図1に示すようなマフラーカッター1を作製した。
図2に示すように、得られたマフラーカッター1を、放熱抑制材4aを設けた側が車輌本体5側に設けた樹脂製バンパー(2〜15μmの波長における放射率0.9)と対向するように配置するとともに、放熱促進材4bを設けた側が車輌本体5側とは反対側に位置するように配設した。このとき、マフラーカッター1と樹脂製バンパーとの隙間(筒状の遮熱板3と樹脂製バンパーとの距離)は25mmであった。
気温25℃の条件下、排気用配管内に熱量5.1kW/m2の出力となるロッドヒーターを設置し、定常状態になったときのマフラーカッター外表部(車輌本体側および車輌本体とは反対側)の温度および樹脂製バンパー表面の最高温度を測定した。結果を表1に示す。
排気用配管内に、周波数100〜10000Hzの音を発生させたときの、マフラーカッター外表面における音圧レベルを測定した。結果を図6に示す。
放熱促進材4bとして、SUSメッシュ成形体2(厚さ6mm、密度3000kg/m3、熱伝導率1.0W/(m・K)(400℃))製環状物の半割状物を用いた以外は、実施例1と同様にしてマフラーカッターを作製した。
得られたマフラーカッターの排気模擬評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
放熱促進材4bとして、銅メッシュ成形体3(厚さ6mm、密度2500kg/m3、熱伝導率3.0W/(m・K)(400℃))製環状物の半割状物を用いた以外は、実施例1と同様にしてマフラーカッターを作製した。
得られたマフラーカッターの排気模擬評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
放熱促進材4bとして、銅メッシュ成形体4(厚さ6mm、密度3000kg/m3、熱伝導率5.0W/(m・K)(400℃))製環状物の半割状物を用いた以外は、実施例1と同様にしてマフラーカッターを作製した。
得られたマフラーカッターの排気模擬評価を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
放熱促進材4bとして、ガラスマット(厚さ6mm、密度100kg/m3、熱伝導率0.07W/(m・K)(400℃))製環状物の半割状物を用いた以外は、実施例1と同様にしてマフラーカッターを作製した。
得られたマフラーカッターの排気模擬評価および吸音性評価を実施例1と同様に行った。結果を表1および図6に示す。
単管状のSUS管(内径52mm、外径54mm、熱伝導率20W/(m・K)(400℃))をそのままテールパイプとして用いた。
テールパイプと樹脂製バンパーとの隙間を35mmとした以外は、実施例1と同様に排気模擬評価および吸音性評価を行った。結果を表1および図6に示す。
また、図6より、実施例1で得られたマフラーカッターは、内管(排気用配管)と外管(筒状の遮熱板)との間に充填材を有するものであることから、特に周波数1000Hz以上の高周波に対して音圧レベルが抑制され、高い吸音性を示すことが分かる。
また、図6より、比較例2で得られたテールパイプは、特に周波数1000Hz以上の周波数に対して、吸音性が低いものであることが分かる。
2 排気用配管
3 筒状の遮熱板
3a 上部遮熱板
3b 下部遮熱板
3c 端部
4 充填材
4a 放熱抑制材
4b 放熱促進材
5 車輌本体
6 フーリエ変換赤外分光光度計
71 入射光
72 反射光または透過光
8 反射鏡
9 回転台
10 試料
11 ハロゲンヒータ
12 検出器
13 冷却水
a 放熱部
b 放熱抑制部
X 高温反射率・透過率測定装置
h ホルダー
Claims (2)
- 車輌用排気系のテールパイプに装着されるマフラーカッターであって、
排気用配管と、排気用配管の外周に排気用配管と同軸状に設けられた筒状の遮熱板と、前記排気用配管と筒状の遮熱板との間に介装された充填材とを有し、
前記充填材は、配設時に車輌本体側に位置する放熱抑制材と、配設時に車輌本体側とは反対側に位置する放熱促進材とを含み、
前記放熱抑制材の熱伝導率が前記放熱促進材の熱伝導率よりも低い
ことを特徴とするマフラーカッター。 - 前記放熱抑制材の400℃の温度条件下における熱伝導率が0.01〜0.1W/(m・K)であり、前記放熱促進材の400℃の温度条件下における熱伝導率が0.1W/(m・K)以上である請求項1に記載のマフラーカッター。
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