JP5774870B2 - 硝酸廃液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機還元剤によって硝酸を還元分解する処理方法において、触媒を用いることなく、廃液中の硝酸性窒素を分解すると共にアンモニア性窒素も分解して廃液中の窒素濃度を排水可能な程度にまで低減することができる処理方法に関する。
本発明の処理方法は、特に触媒を用いることなく、穏和な反応条件下で窒素濃度を大幅に低減することが可能であり、硝酸性窒素やアンモニウムイオンを多く含む廃液を排出処理する必要のある分野、例えば貴金属を硝酸等で溶解処理して精製回収する工場、金属表面を酸洗処理する金属加工工場、あるいは核燃料を溶解処理してウラン等を回収する再処理工場、ウランの再転換工場などの各産業分野において広く適用することができる。
近年の排水中の窒素分濃度の規制強化に伴い、排水中の硝酸性窒素、アンモニア性窒素を除去する技術に対する関心が高まっている。硝酸性窒素濃度が数千mg/L以下の中和された希薄な廃液の場合は、生物処理が可能である。しかし、生物処理の特性から高塩濃度の硝酸性窒素、アンモニア性窒素を含む廃液を直接処理できないのに加え、処理速度の問題からも設備は大型化せざるを得ないため、生物処理法には設置場所が限られる等の問題がある。生物処理以外の方法として、蒸発法、イオン交換法、電気透析法などの物理化学的な方法が知られている。しかし、これらの方法は硝酸性窒素を単に分離濃縮するのみであり、濃縮残渣の無害化のための処理をさらに行なう必要があるなど、全体として複雑な工程を要する問題がある。
上記処理方法に対して、廃液中の硝酸分を化学反応によって分解し窒素ガスにまで還元して無害化することが試みられてきた。その中で、硝酸性窒素濃度を排出規制濃度レベルまで低減できる方法として、液相で特定の触媒と接触させて硝酸根を分解する湿式酸化法が知られている(特許文献1、2等)。また、硝酸塩廃液と還元剤を超臨界水流体となる条件で窒素ガスに還元する方法が知られている(特許文献3)。しかし、これらの方法は、反応条件として高温高圧を用いるため反応機器には高い耐圧性と耐蝕性とが求められるのに加え、反応熱制御に係る制約のため、処理可能な硝酸根濃度に限界がある。
高濃度硝酸廃液を加熱気化させ触媒でNOXに分解し、さらにアンモニアと反応させて窒素ガスに還元する方法も提案されている(特許文献4)。この方法でも硝酸蒸気の分解には200〜550℃の温度が必要とされ、反応装置には過酷な条件である。
廃液中の硝酸分を窒素ガスにまで還元分解する方法において、特定の触媒を用いて穏和な反応条件を利用する方法も提案されている(特許文献5、6、7、8)。これらの方法は処理可能な廃液の液性が弱酸性からアルカリ性領域に限られるか、実施例に述べられている触媒の使用量が廃液1L当たりで数g〜100g程度と多く、アンモニウムイオンが副生する場合があるなど、特に酸濃度の高い硝酸廃液に対しては実用上困難な問題が付随する。
さらに、水中で水素を発生させる金属と廃液とを接触させ、発生する水素で硝酸分を還元分解し、生じる亜硝酸とアンモニウムイオンとを触媒反応で窒素ガスに転換する方法が知られている(特許文献9)。この方法は、水中で水素を発生させる金属と廃液との接触は温和な条件下で行なわれるが、生じる亜硝酸イオンとアンモニウムイオンとを反応させるに際し、処理液をpH4〜9とし、200℃近くの高温とする必要がある。しかも、その触媒上での反応に好適なpHに調整する際、廃液中で水素を発生させるために添加した金属イオンが水酸化物として析出するので、これをろ別して分離除去する必要が生じる。そのため高酸濃度の硝酸廃液を処理するには限界がある。
最近、処理可能な廃液の液性がpH0.8と比較的酸濃度が高いものにも適用可能な触媒が知られている(特許文献10)。この方法は触媒を廃液に添加し水素ガスを散気して硝酸を還元するものであるが、その実施例によればpH0.8の硝酸を2時間で30%程度還元するに止まる。従って、高酸濃度の硝酸廃液を直接的に排水基準濃度程度にまで分解するのは、実用上困難である。
また、光触媒を用いて水を還元剤として作用させ、硝酸イオン及び亜硝酸イオンを還元する方法が提案されている(特許文献11)。この方法は従来の還元剤を用いずに穏和な条件下で実施可能であるが、触媒の特性上、実施例に見られるように比較的低酸濃度の希薄な硝酸廃液を処理するにとどまる。
これらの方法に対して、より高濃度の硝酸分を直接処理できる方法として、発明者等は廃液中の硝酸分を有機還元剤によって高い分解率で分解除去できる方法を先に提案している(特許文献12)。この処理方法(以下、「先願技術」という)では、硝酸分解処理の終了時の酸濃度が0.3N〜1.0Nの範囲になるよう硝酸以外の無機酸を必要に応じて添加し、常圧下、廃液が沸騰しない程度の加熱温度で、特に触媒を用いることなく有機還元剤による反応で硝酸を分解する。このような酸濃度の調整によって数時間の反応で廃液中の硝酸分をほぼ99%分解除去することができる。
一方、上記先願技術では、廃液に含まれる溶存物によっては、有機還元剤の添加から反応開始までの誘導時間が極端に長くなるか、あるいは反応を開始しない場合があるという問題があった。特に、金属を硝酸や王水で溶解精製した後に溶解した金属イオンを還元析出させて金属分を回収する処理を行なうような工場では、その金属を回収した後の硝酸廃液には金属イオンの還元剤あるいは回収し切れない還元性の同伴金属イオン等の溶存物が残存している。
例えば、金属イオンの還元剤として汎用される代表的なものにヒドラジンがある。金属イオンの還元剤としてヒドラジンを用いた場合、金属を回収した後の硝酸廃液には、ヒドラジンによる金属の還元反応で生じたアンモニウムイオンや残余のヒドラジンが含まれる。また、金属イオン回収時の酸度調整等のためにアンモニアを添加する場合もあり、そのアンモニアがアンモニウムイオンとして残存している場合がある。ヒドラジンやアンモニウムイオンなどの還元性物質が硝酸廃液中に溶存すると、その濃度によっては有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間が長期化する影響が生じる。
有機還元剤による硝酸の分解反応には、亜硝酸の存在が係ることが知られている。とりわけ、亜硝酸を還元消去する反応性の高いヒドラジンは、これが数百mg/L程度の低い濃度で存在しても、硝酸イオンの分解反応が開始するまでの誘導時間が数時間以上になり、先願技術による廃液処理が実用上困難になる場合がある。
また、先願技術による処理では、処理後の廃液中の硝酸性窒素の濃度は排出基準濃度値の100mg/Lを完全には下回らず、処理後の廃液中の硝酸性窒素の濃度は概ね数百mg/Lに止まる傾向があった。硝酸の分解反応に有利なよう有機還元剤をさらに過剰に添加しても、処理後の廃液中の硝酸性窒素の濃度が常に低い濃度で安定するとは限らず、むしろ処理後の廃液に残留するCOD成分の増加につながるという問題が生じた。そこで、先願技術においては、硝酸の分解処理後、中和以外にもさらに数倍に希釈するなど、廃液中の硝酸性窒素濃度をさらに数分の1に低減させる処理を加える必要があった。
さらに、先願技術による処理では、有機還元剤を数回に分けて徐々に添加するに際し、サイトグラスを透した目視観察手段等によって分解ガスの発生状況を確認しながら有機還元剤の添加時機を決めているが、この方法では全体的な処理時間が必要以上に長くなり、それに応じて結局は単位時間当たりの処理能力が低下し、反応器の温度維持のための加熱エネルギーも必要以上に消費するという問題があった。
特開平07−185569号公報 特開2000−167570号公報 特開2005−241531号公報 特開平08−309335号公報 特開2001−000866号公報 特許3496669号公報 特表2002−521197号公報 特開2008−23522号公報 特許3358905号公報 特許4502877号公報 特開2009−214033号公報 特許4239006号公報
本発明の処理方法は、従来技術の上記問題を解決したものであり、特に触媒を用いることなく、廃液中の硝酸性窒素を有機還元剤によって高い分解率で分解除去しながら、その際の反応開始までの誘導時間が短く安定し、硝酸性窒素と共にアンモニア性窒素も分解することができ、有機還元剤を必要以上に過剰に用いずに、しかも処理後の廃液中の窒素濃度が常に低い濃度で安定し、安全性を保ちつつ処理に要する時間を短縮できる処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、硝酸性窒素を含む廃液に有機還元剤を添加して硝酸分を分解除去する処理方法において、廃液中にヒドラジンのような亜硝酸に対して反応性の高い還元性化合物が溶存していると、これが亜硝酸を還元消去して硝酸分解反応を阻害することに注目し、これを予め除去することによって、有機還元剤の添加から反応開始までの誘導時間を短く安定させ得ることを見い出した。
本発明の処理方法は上記知見に基づくものであり、有機還元剤の添加に先立って、硝酸イオンの分解反応を阻害する要因となる亜硝酸の還元消去を生じる溶存物を予め除去することによって、硝酸イオンの分解反応が迅速に開始し、かつ安定に進行する硝酸廃液の処理方法、およびその除去手段を具体的にした処理方法を提供する。
さらに、本発明者は、アンモニウムイオンが共存しても、廃液全体の酸濃度を高めて亜硝酸の生成を促すことによって、有機還元剤の添加から反応開始までの誘導時間を短くすることができ、硝酸性窒素とアンモニア性窒素とを一括して安定に分解除去できることを見い出した。本発明は上記知見に基づき、硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度、および廃液全体の酸濃度および硝酸以外の無機酸の酸濃度を調整することによって処理効果を高めた硝酸廃液の処理方法を提供する。
具体的には、本発明によれば、以下の構成からなる硝酸廃液の処理方法が提供される。
〔1〕硝酸廃液に有機還元剤を添加して硝酸を亜硝酸に還元分解し、該亜硝酸が硝酸と反応して二酸化窒素に分解される硝酸廃液の処理方法において、該硝酸廃液を予め酸化処理して該硝酸廃液に残留する還元剤を除去することによって該残留還元剤による亜硝酸の還元消去を抑止し、次いで、該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回り、かつ該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように調整して有機還元剤を添加し、亜硝酸の生成が亜硝酸の消失を上回るようにして硝酸の還元分解を進めることを特徴とする硝酸廃液の処理方法。
〔2〕硝酸廃液に酸化剤を添加し、あるいは硝酸廃液に酸化性ガスを散気して該硝酸廃液を酸化処理する上記[1]に記載する硝酸廃液の処理方法。
〔3〕アンモニア性窒素濃度が硝酸性窒素濃度を上回る硝酸廃液に、硝酸を添加して、該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回るようにして硝酸の還元分解を進める上記[1]または上記[2]に記載する硝酸廃液の処理方法。
〔4〕硝酸廃液に硝酸以外の無機酸を添加して該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように処理開始前の硝酸廃液の酸濃度を調整して硝酸の還元分解を進める上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
〔5〕硝酸廃液に、硝酸および硝酸以外の無機酸を添加して該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回り、かつ該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように調整した後に、有機還元剤を添加して硝酸の還元分解を進める上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
本発明の上記硝酸廃液の処理方法は以下の態様を含む。
〔6〕有機還元剤の添加量を分割し、分解ガス発生前の有機還元剤の添加量を硝酸廃液の突沸が生じない量にし、分解ガス発生後はガス量ないしガス成分に応じて有機還元剤の添加量および添加時機を制御する上記[1]〜上記[5]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
〔7〕有機還元剤の最初の添加量を添加総量の5〜10wt%にし、ガス発生後は分解ガス発生による反応器内の圧力変化あるいは分解ガスの成分変化を検知して有機還元剤を少量ずつ連続的に添加する上記[1]〜上記[6]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
〔8〕有機還元剤の添加終了後に、引き続き、処理終了剤としてアンモニウムイオンを添加し、廃液中に残存する亜硝酸イオンを消失させる上記[1]〜上記[7]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
〔9〕有機還元剤の添加終了後に、廃液中のアンモニウムイオン濃度が100〜300mg/Lになるようにアンモニウムイオンを添加する上記[8]に記載する硝酸廃液の処理方法。
〔10〕硝酸廃液の反応開始時の液温を初期酸濃度に応じて設定し、硝酸廃液の初期酸濃度が1.5Nの場合は90℃〜95℃、7N以上の場合は65℃〜70℃、1.5N〜7N未満の間は65℃から95℃の範囲で初期酸濃度に逆比例して液温を低く設定し、反応の進行によって硝酸廃液の酸濃度が低下するのに応じ、沸騰しない温度範囲で、硝酸廃液の液温を反応開始から徐々に上昇させる上記[1]〜上記[9]の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
本発明の処理方法は、硝酸廃液に有機還元剤を添加して硝酸イオンを有機還元剤で還元分解する処理方法において、硝酸イオンの分解反応を阻害する溶存物を予め除去し、および/または該分解反応を阻害する作用を抑止して硝酸イオンの還元分解を進めるので、上記分解反応の開始時間が短く、かつ安定に分解反応が進行する。本発明の処理方法は、触媒を用いることなく進行し、廃液中の硝酸性窒素を分解すると共にアンモニア性窒素も分解することができる。
硝酸の分解は、反応中間物として亜硝酸が生成し、これが硝酸と反応して二酸化窒素を生成することによって分解反応が進む。従って、亜硝酸に対する反応性の高い化合物が廃液中に存在すると、亜硝酸が分解されるため硝酸の分解反応が阻害される。具体的には、ヒドラジンが溶存すると亜硝酸が還元分解され、またアンモニウムイオンが存在すると亜硝酸と反応し、何れの場合にも亜硝酸が消失し、あるいは亜硝酸濃度が大幅に低下するので硝酸の分解反応が阻害される。
本発明の処理方法は、例えば、廃液中にヒドラジンが溶存する場合には、これを予め酸化して除去し、アンモニウムイオンが存在する場合には、廃液全体の酸濃度を高めて亜硝酸の生成を促し、亜硝酸の生成量がアンモニウムイオンとの反応で消失する量を上回るようにすることによってアンモニウムイオンによる阻害作用を抑止する。このように、硝酸イオンの分解反応を阻害する溶存物を予め除去し、あるいは阻害作用を抑止することによって、硝酸イオンの還元分解が安定に進行し、硝酸廃液の窒素濃度を大幅に低減することができる。具体的には、窒素濃度を排出基準濃度値(100mg/L)を下回るまで低減することができる。また廃液中にアンモニウムイオンが共存する場合でも、硝酸性窒素と共にアンモニア性窒素も分解することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の処理方法は、硝酸廃液に有機還元剤を添加して硝酸を亜硝酸に還元分解し、該亜硝酸が硝酸と反応して二酸化窒素に分解される硝酸廃液の処理方法において、該硝酸廃液を予め酸化処理して該硝酸廃液に残留する還元剤を除去することによって該残留還元剤による亜硝酸の還元消去を抑止し、次いで、該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回り、かつ該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように調整して有機還元剤を添加し、亜硝酸の生成が亜硝酸の消失を上回るようにして硝酸の還元分解を進めることを特徴とする硝酸廃液の処理方法である。

有機還元剤によって硝酸を還元分解する場合、反応の中間物として亜硝酸が生成する。その亜硝酸が硝酸と反応して二酸化窒素を生成し、この二酸化窒素がガスとして液中から揮散する。一部の二酸化窒素は揮散する前に再溶解して亜硝酸等を生じるので、自己触媒的に硝酸の分解反応が進行する。これらの反応の循環が開始されるまでには、亜硝酸の濃度がある一定濃度に上昇するまでの時間を要し、それが硝酸分解反応の誘導時間として発現する。従って、廃液中に亜硝酸を消失させるような還元性の物質が存在すると有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間が長くなるか、存在量によってはその反応が開始しなくなる。
例えば、金属イオンの回収工程から排出される廃液には、金属イオンを還元析出させるための還元剤が残留している場合が多く、代表的な還元剤としてヒドラジンが知られている。ヒドラジンは亜硝酸に対して反応性が高く、亜硝酸を分解するので、低濃度のヒドラジンが溶存しても硝酸イオンの分解反応が阻害される。
そこで、本発明の硝酸廃液の処理方法は、例えば、硝酸廃液にヒドラジンなどが溶存している場合には、硝酸廃液に酸化剤を添加し、あるいは硝酸廃液に酸化性ガスを散気してヒドラジンを予め酸化除去する。この酸化処理はヒドラジンに限らず、硝酸廃液中に溶存する還元性化合物に対しても有効である。
硝酸廃液に添加する酸化剤としては過酸化水素、次亜塩素酸塩などが好ましい。酸化性ガスとしては、空気、酸素、オゾンなどを用いることができる。これらの酸化性ガスは硝酸廃液を入れた容器の底に導入管を差込み、液中に吹き込んでバブリングさせればよい。酸化剤の添加量、酸化性ガスの導入量は硝酸廃液に含まれている還元性化合物(ヒドラジン等)の溶存量に応じて定めればよく、概ね溶存する還元性化合物に対してその当量であれば良い。
また、本発明の処理方法は、硝酸イオンの還元分解を阻害する作用を抑止して硝酸イオンの還元分解を進める。具体的には、例えば、廃液中にアンモニウムイオンが共存すれば、生成した亜硝酸とアンモニウムイオンとが反応して窒素を生じ、亜硝酸イオンの濃度上昇が阻害される。そこで、本発明の処理方法は、アンモニア性窒素濃度が硝酸性窒素濃度を上回る廃液については硝酸を添加し、全体酸濃度が低い廃液の場合はさらに硝酸以外の無機酸を添加して廃液全体の酸濃度を高め、亜硝酸の生成を促すことによって硝酸イオンの還元分解を進める。アンモニア性窒素濃度が硝酸性窒素濃度を下回る廃液でも、全体酸濃度が低い廃液については、硝酸以外の無機酸を添加して廃液全体の酸濃度を高め、亜硝酸の生成を促すことによって硝酸イオンの還元分解を進める。
また、廃液全体の酸濃度を高めて亜硝酸の生成を促すことによって、亜硝酸の生成が亜硝酸の消失を上回るようにして亜硝酸の濃度を高め、硝酸イオンの還元分解とアンモニウムイオンの分解とを一括して進める。
酸濃度を高める上記処理方法において、廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって、硝酸以外の無機酸の濃度分が1.0N以上になるように、硝酸および/または硝酸以外の無機酸を添加して上記酸濃度に調整するとよい。このような酸濃度の調整によって、亜硝酸の生成速度を上げ、誘導時間を短く安定させることができる。また、アンモニウムイオンが存在する場合でも、処理開始前の廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって、硝酸以外の無機酸の濃度分が1.0N以上であれば、短時間で多量に生成する亜硝酸量がアンモニウムイオンとの反応で消失する亜硝酸量を上回るので、アンモニア性窒素を窒素ガスに無害化し短時間で廃液から揮散させると同時に、残る亜硝酸によって硝酸の分解反応を開始させることができる。このように、酸濃度の調整によって、アンモニウムイオンによる阻害作用を抑止して硝酸の還元分解を安定に進めることができる。
上記酸濃度は硝酸の分解反応を確実に開始させる上で重要であり、酸濃度を調整する場合には、処理開始前に行うのが好ましい。また、アンモニア性窒素も確実に除去するには、処理液中の硝酸性窒素濃度が必ずアンモニア性窒素濃度を上回るよう調整する。
酸濃度と窒素成分濃度を調整した処理液(硝酸廃液)を撹拌しながら加熱し、所定の温度となったら有機還元剤の添加を開始する。処理温度は処理液の初期酸濃度に応じて設定すれば、反応活性が必要以上に高まることを抑制して反応状況を安全に保ち、加熱に要するエネルギーの消費を抑制することができる。
具体的には、硝酸廃液の初期酸濃度が1.5Nの場合は90℃〜95℃、7N以上の場合は65℃〜70℃、1.5N〜7N未満の間は65℃から95℃の範囲で初期酸濃度に逆比例して液温を低く設定し、反応の進行によって硝酸廃液の酸濃度が低下するのに応じ、沸騰しない温度範囲で、硝酸廃液の液温を反応開始から徐々に上昇させるとよい。
本発明の処理法は、特に触媒を用いることなく反応活性が保たれるので、処理開始時から高い温度に保つ必要はない。以上のように初期酸濃度に応じて反応温度を調整することによって、廃液の初期酸濃度が高い場合には必要以上に反応が活発になるのを抑制し、かつ処理液の酸濃度の変化に応じて反応性を維持することができる。従って、処理開始時から高い温度に保つ場合に比べて、全体として要する加熱エネルギーを抑制できる。
硝酸廃液に添加する有機還元剤は、上記処理条件下で硝酸を還元分解する活性を有し、自らは二酸化炭素と水とに分解して無害化して消失するものが好ましい。具体的にはホルムアルデヒドやギ酸、アルコール類、グリコール類、蔗糖など、公知のものを用いることができる。
有機還元剤を添加すると硝酸イオンとの反応によってCO2ガスとNOXガスを生じる。有機還元剤の添加量が多過ぎると大量のガスが発生して突沸を生じるので、有機還元剤の添加は分解反応が過度に激しくならず、かつ分解反応が一定の活性を維持しながら持続するよう、少量ずつ連続的に進めるのが好ましい。このような添加によって反応状況を安全に保ち、処理時間も短縮できる。
具体的には、分解ガス発生前の有機還元剤の添加量を硝酸廃液の突沸が生じない量にし、例えば、有機還元剤の最初の添加量を添加総量の5〜10wt%にし、分解ガス発生後はガス量ないしガス成分に応じて有機還元剤の添加量および添加時機を制御すると良い。
有機還元剤の添加量や添加時機を制御する例として、例えば、分解反応によって生じるガスの生成量が反応器の排気系統の排気能力と釣り合うようにし、一度に添加する有機還元剤の量を制限し、少量に分割して添加する。この場合、有機還元剤の分割添加の間隔が長過ぎると、全体の処理時間が必要以上に長くなるので、反応開始時のガス発生量を制限しながら、次には、先に添加した有機還元剤による分解反応のガス発生が収束し始めた後であって分解反応のガス発生が止まる前に、次の分割分の有機還元剤を添加する。このように処理を進めることで、反応が急激に進んで反応器内の圧力が過度に上昇するのを防止しながら、処理時間が必要以上に長くなることも抑制することができる。
また、反応器内のガスの発生状況と反応器内の圧力とは密接に関連しているので、分解反応によるガスの発生が活発になれば、反応器の排気量が一定であるとき、反応器内の圧力は僅かに上昇する。反応が収束し始めるとガスの発生量も低下し始めるので、反応器内の圧力も低下し始める。このような分解ガス発生状況に応じた反応器内圧力の増減は、分解反応によって生じるCO2ガスやNOXガス成分の濃度増減とも連動する。従って、反応器内外の差圧の変化あるいは分解ガス排気組成の変化を検知することによって、次の分割分の有機還元剤の添加時機を決定することができる。これを反復することによって、少量毎の有機還元剤の添加を連続的に進めることができる。この結果、単位時間当たりの処理量を本来の処理能力よりも低下するのを防止することができる。
また、ガスの発生量やガス成分の検知結果に応じて有機還元剤の添加量や添加時機を自動的に決定して実行する制御手段を形成することができる。
硝酸分解に要する有機還元剤を添加し終えた直後は、硝酸性窒素の濃度は処理前よりも概ね1%以下に低下しているが、平衡上存在する亜硝酸イオンや揮散していないNO2等の再溶解によって亜硝酸イオンが少なからず生成し、それらの亜硝酸の再酸化によって硝酸性窒素濃度が上昇することがある。
このような残留する亜硝酸イオンや揮散していないNO2等の再溶解で生じる亜硝酸を消失させることによって、処理後の廃液中の全窒素濃度を低く保つことができる。この場合、有機還元剤を添加し終えた後、残留している亜硝酸イオンの再溶解が進む前に、亜硝酸をアンモニウムイオンで分解消失させると良い。本発明の処理方法は、有機還元剤の添加終了後に、引き続き、処理終了剤としてアンモニウムイオンを添加し、廃液中に残留する亜硝酸イオンを消失させる処理方法を含む。
アンモニウムイオンの添加量は、廃液中のアンモニウムイオン濃度が100〜300mg/Lになる量が好ましい。なお、アンモニウムイオンの添加量がこれより少ないと効果が不十分であり、これより多いと処理後の廃液中のアンモニア性窒素濃度の上昇を招くので好ましくない。
アンモニウムイオンの添加によって、その時点で処理液中に存在する亜硝酸イオンや揮散前のNO2等の再溶解で生じる亜硝酸イオンを消失させて処理を終了させる。この操作によって、処理後の廃液中の全窒素濃度は常に低い濃度で安定する。
分解反応で発生したNOXガスは、例えば、特許2513111号の技術のようにNOXガスと吸収液との接触効率を高めてNOXの除去効率を向上させた排気処理装置を用いて水に吸収し、硝酸として再生回収することができる。あるいは硝酸を再生回収する必要がない場合は、有機還元剤による硝酸の還元分解反応を阻害しない適切な量のアンモニウムイオンを処理中に添加し、分解ガスを窒素ガスにまで無害化して排気することもできる。
処理後の廃液中に有害な有機物が残留する場合は、残る無機酸を中和後に次亜塩素酸など公知の処理剤で分解無害化し、さらに必要に応じて窒素成分以外の規制成分に対する処理を加えると良い。
本発明の処理方法は、硝酸性窒素とアンモニア性窒素の分解反応に好適な条件下で行なうので、有機還元剤の添加から処理を終えるまでの一連の操作を数時間で終えることができる。従って、一連の処理は、処理槽への廃液の張り込みから処理を終えて廃液を排出するまでを一つの処理槽で行なう回分式としても良いし、酸濃度調整、加熱温度調整、有機還元剤の添加と反応物の分解反応、反応の停止措置等の機能を分けて別々の処理槽で実施し各々を配管で連結する回分連続式としても良い。
本発明の処理方法は塩酸やホルマリン、アンモニア水などの一般的かつ廉価な薬品のみを用い、高酸濃度、高塩濃度で硝酸性窒素やアンモニア性窒素を含みかつ有機還元剤による硝酸の分解反応を阻害する溶存物を含む廃液に対し、特に触媒を用いることなく、高温高圧などの厳しい処理条件を必要とせずに、比較的穏和な条件下、数時間の反応によって高い分解率で硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を分解除去することができる。
有機還元剤による硝酸の分解反応を阻害する溶存物として亜硝酸を還元消去する反応性が高い溶存物に対しては、過酸化水素や次亜塩素酸塩などの一般的かつ廉価な薬品の添加、あるいは空気、酸素、オゾンのいずれかを硝酸廃液に散気する前処理を施すことによって確実に処理を進めることができる。
しかも、アンモニア性窒素を含めた処理後の液中の全窒素濃度は、排出基準を下回る低い濃度に保つことができる。従って、処理後の廃液は簡単に中和処理して放流することができる。発生する分解ガスは適切な吸収装置を用いて硝酸として再生回収することができ、あるいは、処理条件を調整することで窒素ガスにまで無害化することができる。
本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。各例において、有機還元剤の最初の添加量は添加総量の5〜10wt%とし、その後は、突沸を生じないように少量ずつ連続的に添加した。また、処理温度は開始温度から沸騰しない範囲で段階的に数℃ずつ上昇させた。
〔実施例1〕
表1に示す濃度に調整した硝酸、塩酸とヒドラジン、アンモニウムイオンとを含む試験液250mLをフラスコに張り込み、予め酸化剤を常温で添加して1時間撹拌保持した後に95℃に加熱し、その後ホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。酸化剤としては、過酸化水素あるいは次亜塩素酸ソーダを用いた。各々の試験条件と反応開始までの誘導時間、反応終了時の全窒素分濃度を表1に示す。いずれの試験も反応開始から約1時間で反応が終了した。
Figure 0005774870
〔比較例1〕
実施例1と同じ液性の試験液について、酸化剤を添加せずに、試験液を90℃に加熱し、その後ホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。各々の試験条件と反応開始までの誘導時間、反応終了時の全窒素分濃度を表2に示す。比較例1−1では有機還元剤添加後約5時間保持しても反応を開始しなかった。比較例1−2では反応開始までに約5時間を要し、その後約1時間で処理を終えた。
Figure 0005774870
実施例1に示すとおり、処理液にヒドラジンやアンモニウムイオンが含まれる場合、予め酸化剤による処理でこれらを分解することによって、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間は、全体酸濃度が1.8N、塩酸濃度1.6Nの場合で8分であった。かつ、反応開始後1時間の処理で、処理後全窒素濃度は100mg/Lを下回った。また、実施例1−2に示すように、過酸化水素による処理はアンモニウムイオンに対して効果はないが、ヒドラジンは効果的に消去されている。ヒドラジンが除去されていれば、反応開始の誘導時間に影響を生じないことが分かる。一方、比較例1に示すように、ヒドラジンが存在したままであると、全体酸濃度が1.8N、塩酸濃度1.6Nの場合では300分経過しても反応が開始せず、塩酸濃度を上げて全体酸濃度を2.8N、塩酸濃度2.6Nとした場合に、誘導時間300分後に反応が開始し、有機還元剤による硝酸の分解反応の処理終了までにさらに1時間を要した。
〔実施例2〕
表3に示す濃度に調整した硝酸、塩酸とヒドラジン、アンモニウムイオンとを含む試験液の100mLをフラスコに張り込み、この試験液を撹拌しながら90℃に加熱して空気散気した。空気散気は5時間継続した(実施例2)。その後ホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。試験条件と反応開始までの誘導時間、反応終了時の全窒素分濃度を表3に示す。反応開始後の処理時間は約1時間であった。
Figure 0005774870
〔比較例2〕
空気散気の継続時間以外の試験条件を実施例2と同じ条件とし、空気散気の継続時間のみを0.5〜3時間として硝酸の還元分解試験を行なった。この場合は、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間が1時間以上であり、反応開始後の処理時間も2時間以上を要し、処理後の全窒素濃度は100mg/Lを上回る場合があった。
実施例2と比較例2に示されるように、温度90℃、5時間の空気散気によってヒドラジン濃度が低減し、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間は3分と短くなった。処理後の全窒素濃度も低くなった。一方、空気散気の継続時間が0.5〜3時間と短い場合には空気散気の効果は不十分であった。
〔実施例3〕
表4に示す濃度に調整した硝酸、塩酸、アンモニウムイオンを含む試験液250mLをフラスコに張り込み、この試験液を撹拌しながら所定温度加熱した後、ホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。各々の試験条件と反応開始までの誘導時間、反応終了時の全窒素分濃度を表4に示す。
Figure 0005774870
実施例3−1に示すとおり、処理開始時の全体酸濃度が3.1Nと高く、塩酸濃度が1.0Nである場合は、アンモニウムイオンが表4に示すとおり共存しても、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間は5分であり、かつ反応開始後1時間の処理で処理後全窒素濃度は100mg/Lを下回った。また、実施例3−2に示すように、処理開始時の全体酸濃度が1.7Nであり、塩酸濃度が1.5Nであれば、アンモニウムイオンが表4に示すとおり共存しても、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間は短く、かつ反応開始後1時間の処理で処理後全窒素濃度を100mg/L以下に低減することができる。
〔実施例4〕
表5に示す濃度に調整した硝酸、塩酸、アンモニウムイオンを含む試験液100mLをフラスコに張り込み、この試験液を撹拌しながら90℃に加熱した後にホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。ホルマリンの添加を終えた後、引き続き、処理終了剤としてアンモニウムイオンを300mg/Lの濃度となるよう添加した。反応開始からホルマリンの全量を添加し終えるまで約1時間で処理を終えた。この試験の試験結果を表5に示す。
Figure 0005774870
〔比較例3〕
実施例4と同じ組成の試験液を用い、ホルマリンの添加を終えた後に処理終了剤を添加せずに15分間保持し、硝酸性窒素の濃度変化を調べた。反応開始から全てのホルマリンを添加し終えるまで約1時間で処理を終えた。この試験の試験結果を表6に示す。
Figure 0005774870
実施例4、比較例3に示すとおり、処理開始時の全体酸濃度が高い場合は、初期にアンモニウムイオンが存在しても、有機還元剤による硝酸の分解反応の誘導時間は1分以内である。また、実施例4のとおり、全てのホルマリンを添加し終えた後に、引き続き、処理終了剤を添加すれば、その後は硝酸性窒素濃度、アンモニア性窒素濃度のいずれも100mg/Lを上回ることはなかった。
一方、比較例3に示すように、全てのホルマリンを添加し終えた後の硝酸性窒素濃度は120mg/Lに低下していたが、そのまま保持して15分経過後には360mg/Lに上昇した。これは未揮発のNO2ガスの再溶解などによって、亜硝酸を経て硝酸の濃度が上昇するものと考えられる。
〔実施例5〕
硝酸性窒素濃度46000mg/L、塩酸8.7N、全酸濃度12N、アンモニウムイオン1000mg/Lの試験液50mlをフラスコに張り込み、この試験液を撹拌しながら70℃に加熱し、その後ホルマリンを添加して硝酸の還元分解試験を行なった。反応は、90℃の場合と同様に1分以内に開始した。ホルマリンを硝酸に対するモル比で1まで添加し終えるまで約1時間で反応が終了した。ホルマリン添加後の硝酸性窒素濃度は250mg/Lに低下した。

Claims (10)

  1. 硝酸廃液に有機還元剤を添加して硝酸を亜硝酸に還元分解し、該亜硝酸が硝酸と反応して二酸化窒素に分解される硝酸廃液の処理方法において、該硝酸廃液を予め酸化処理して該硝酸廃液に残留する還元剤を除去することによって該残留還元剤による亜硝酸の還元消去を抑止し、次いで、該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回り、かつ該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように調整して有機還元剤を添加し、亜硝酸の生成が亜硝酸の消失を上回るようにして硝酸の還元分解を進めることを特徴とする硝酸廃液の処理方法。
  2. 硝酸廃液に酸化剤を添加し、あるいは硝酸廃液に酸化性ガスを散気して該硝酸廃液を酸化処理する請求項1に記載する硝酸廃液の処理方法。
  3. アンモニア性窒素濃度が硝酸性窒素濃度を上回る硝酸廃液に、硝酸を添加して、該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回るようにして硝酸の還元分解を進める請求項1または請求項2に記載する硝酸廃液の処理方法。
  4. 硝酸廃液に硝酸以外の無機酸を添加して該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように処理開始前の硝酸廃液の酸濃度を調整して硝酸の還元分解を進める請求項1〜請求項3の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
  5. 硝酸廃液に、硝酸および硝酸以外の無機酸を添加して該硝酸廃液中の硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度を上回り、かつ該硝酸廃液全体の酸濃度が1.5N以上であって硝酸以外の無機酸の濃度が1.0N以上であるように調整した後に、有機還元剤を添加して硝酸の還元分解を進める請求項1〜請求項4の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
  6. 有機還元剤の添加量を分割し、分解ガス発生前の有機還元剤の添加量を硝酸廃液の突沸が生じない量にし、分解ガス発生後はガス量ないしガス成分に応じて有機還元剤の添加量および添加時機を制御する請求項1〜請求項5の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
  7. 有機還元剤の最初の添加量を添加総量の5〜10wt%にし、ガス発生後は分解ガスの圧力変化あるいは分解ガスの成分変化を検知して有機還元剤を少量ずつ連続的に添加する請求項1〜請求項6の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
  8. 有機還元剤の添加終了後に、引き続き、処理終了剤としてアンモニウムイオンを添加し、廃液中に残存する亜硝酸イオンを消失させる請求項1〜請求項7の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法。
  9. 有機還元剤の添加終了後に、廃液中のアンモニウムイオン濃度が100〜300mg/Lになるようにアンモニウムイオンを添加する請求項8に記載する硝酸廃液の処理方法。
  10. 硝酸廃液の反応開始時の液温を初期酸濃度に応じて設定し、硝酸廃液の初期酸濃度が1.5Nの場合は90℃〜95℃、7N以上の場合は65℃〜70℃、1.5N〜7N未満の間は65℃から95℃の範囲で初期酸濃度に逆比例して液温を低く設定し、反応の進行によって硝酸廃液の酸濃度が低下するのに応じ、沸騰しない温度範囲で、硝酸廃液の液温を反応開始から徐々に上昇させる請求項1〜請求項9の何れかに記載する硝酸廃液の処理方法
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