JP5774201B2 - 新規な化合物半導体及びその活用 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池、熱電材料などの用途として使用できる新規な化合物半導体物質及びその製造方法、ならびにその用途に関する。
本出願は、2011年05月13日出願の韓国特許出願第10−2011−0045348号、2011年05月13日出願の韓国特許出願第10−2011−0045349号、2011年05月25日出願の韓国特許出願第10−2011−0049609号、および2012年05月11日出願の韓国特許出願第10−2012−0050459号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
化合物半導体とは、シリコンやゲルマニウムのような単一元素ではない、2種以上の元素が結合して半導体として動作する化合物である。このような化合物半導体は、現在多様な種類が開発され多様な分野で使われている。代表的に、ペルティエ効果(Peltier Effect)を利用した熱電変換素子、光電変換効果を利用した発光ダイオードやレーザーダイオードなどの発光素子、太陽電池などに化合物半導体が利用できる。
この中で熱電変換素子は、熱電変換発電や熱電変換冷却などに使用でき、このうち熱電変換発電は、熱電変換素子に温度差を与えることで発生する熱起電力を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電形態である。
このような熱電変換素子のエネルギー変換効率は、熱電変換材料の性能指数であるZTに依存する。ここで、ZTは、ゼーベック(Seebeck)係数、電気伝導度、及び熱伝導度などによって決定され、さらに具体的には、ゼーベック係数の二乗及び電気伝導度に比例し、熱伝導度に反比例する。従って、熱電変換素子のエネルギー変換効率を高めるためには、ゼーベック係数または電気伝導度が高いか、熱伝導度の低い熱電変換材料の開発が必要である。
一方、太陽電池は、自然に存在する太陽光以外に別途のエネルギー源を必要としないという点で環境にやさしいことから、未来の代替エネルギー源として盛んに研究されている。太陽電池は、主に、シリコンの単一元素を使用するシリコン太陽電池、化合物半導体を使用する化合物半導体太陽電池、そして、相異なるバンドギャップエネルギー(band gap energy)を持つ太陽電池を2つ以上積層した積層型(tandem)太陽電池などに大別される。
このうち化合物半導体太陽電池は、太陽光を吸収して電子‐正孔対を生成する光吸収層に化合物半導体を使用するが、特にGaAs、InP、GaAlAs、GaInAsなどのIII‐V族化合物半導体、CdS、CdTe、ZnSなどのII‐VI族化合物半導体、CuInSe2に代表されるI‐III‐VI族化合物半導体などが使用できる。
太陽電池の光吸収層は、長期的な電気、光学的安定性に優れており、光電変換効率が高く、組成の変化やドーピングによってバンドギャップエネルギーや導電型が調節しやすいことなどが求められる。また、実用化のためには、製造コストや歩留まりなどの要件も満たすべきである。しかし、従来の多くの化合物半導体はこのような要件をすべて満たしてはいない。
したがって、本発明は、上述のような問題点を解決するために創案されたものであって、熱電変換素子の熱電変換材料、太陽電池などのように多様な用途として活用できる新規な化合物半導体物質及びその製造方法、ならびにこれを利用した熱電変換素子や太陽電池などを提供することを目的とする。
本発明の他の目的及び長所は、後述する説明により理解することができ、本発明の実施例を通じて一層明確に分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は特許請求の範囲に示した手段及びその組合せによって実現することができることは言うまでもない。
上述のような目的を達成するために、本発明者は、化合物半導体に関して研究を重ねた結果、下記化学式1で表される化合物半導体を合成することに成功し、この化合物が熱電変換素子の熱電変換材料や太陽電池の光吸収層などに使用できることを確認して本発明を完成した。
Figure 0005774201
上記化学式1において、Q’は、O、S、及びSeからなる群より選択された少なくとも一つであり、0<x≦0.5、0<n≦2、及び0<z≦2である。
好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.4である。
さらに好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.25である。
また、上述のような目的を達成するための本発明による化合物半導体の製造方法は、In、Co、Sb、及びTeと、O、S、Se及びそれらの酸化物からなる群より選択された少なくとも一つとを混合するステップと、上記混合ステップで形成された混合物を熱処理するステップと、を含む。
好ましくは、上記熱処理ステップは、400℃ないし800℃で行われる。
また好ましくは、上記熱処理ステップは、2つ以上の熱処理段階を含み得る。
また、上述のような目的を達成するための本発明による熱電変換素子は、上述した化合物半導体を含む。
また、上述のような目的を達成するための本発明による太陽電池は、上述した化合物半導体を含む。
本発明によれば、新規な化合物半導体物質が提供される。
本発明の一側面によれば、このような新規な化合物半導体は、従来の化合物半導体を代替するか、従来の化合物半導体に加えて新しい一つの素材として使用できる。
さらに、本発明の一側面によれば、化合物半導体の熱電変換性能が良好であることから熱電変換素子に有効に利用できる。特に、本発明による化合物半導体は、熱伝導度特性が改善して、熱電性能指数であるZT値が向上できる。従って、本発明による化合物半導体の場合、熱電変換素子の熱電変換材料として好適に利用できる。
また、本発明の他の側面によれば、化合物半導体は、太陽電池に利用できる。特に、本発明による化合物半導体は、太陽電池の光吸収層として利用できる。
それだけでなく、本発明のまた他の側面によれば、化合物半導体は、赤外線を選択的に通過させる赤外線窓(IR window)や赤外線センサー、マグネチック素子、メモリーなどにも利用できる。
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。
本発明に従って製造した実施例及び比較例の化合物半導体の温度変化による熱伝導度値を示すグラフである。
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
本発明は、次のような化学式1で表される新規な化合物半導体を提供する。
Figure 0005774201
上記化学式1において、Q’は、O、S、及びSeからなる群より選択された少なくとも一つである。
また、上記化学式1において、0<x≦0.5、0<n≦2、及び0<z≦2の範囲を満たす。
好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.4である。
さらに好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.25である。
また好ましくは、上記化学式1において、n及びzは、0<n+z≦3である。
一方、上記化学式1で表される化合物半導体には、二次相が一部含まれ得、その量は熱処理条件によって変わり得る。
上述した化合物半導体は、In、Co、Sb、及びTeと、O、S、Se及びそれらの酸化物からなる群より選択された少なくとも一つとを含む混合物を形成するステップと、上記混合物を熱処理するステップとを含んで製造し得る。
一方、上記混合物の形成ステップで混合される各原料は、粉末形態であり得るが、本発明が必ずこのような混合原料の特定の形態によって制限されるのではない。
好ましくは、上記熱処理ステップは、真空中、または水素を一部含んでいるか、水素を含んでいないAr、He、N2などの気体を流しながら行われ得る。
このとき、熱処理温度は、400℃ないし800℃であり得る。好ましくは、上記熱処理温度は、450℃ないし700℃であり得る。さらに好ましくは、上記熱処理温度は、500℃ないし650℃であり得る。
一方、上記熱処理ステップは、2つ以上の熱処理段階を含み得る。例えば、上記混合物を形成するステップ、すなわち、原料を混合するステップで形成された混合物に対して、第1温度で1次熱処理を行った後、第2温度で2次熱処理を行うこともできる。
この場合、上記複数の熱処理段階のうち一部の熱処理段階は、原料を混合する上記混合物の形成ステップで行われ得る。
例えば、上記熱処理ステップは、1次熱処理段階、2次熱処理段階、及び3次熱処理(焼結)段階の3つの熱処理段階を含み得る。そして、1次熱処理段階は、400℃ないし600℃の温度範囲で行われ得、2次熱処理段階及び3次熱処理段階は、600℃ないし800℃の温度範囲で行われ得る。このとき、1次熱処理段階は、原料が混合される混合物の形成ステップ中に行われ、2次熱処理段階及び3次熱処理段階は、その後に順次行われ得る。
本発明による熱電変換素子は、上述した化合物半導体を含む。すなわち、本発明による化合物半導体は、熱電変換素子の熱電変換材料として利用され得る。特に、本発明による化合物半導体は、熱電変換材料の性能指数であるZTが大きい。また、ゼーベック係数及び電気伝導度が大きく、熱伝導度が低いことから、熱電変換性能に優れている。したがって、本発明による化合物半導体は、従来の熱電変換材料を代替するか、従来の化合物半導体に加えて熱電変換素子に有効に使用され得る。
また、本発明による太陽電池は、上述した化合物半導体を含む。すなわち、本発明による化合物半導体は、太陽電池、特に太陽電池の光吸収層として使用され得る。
太陽電池は、太陽光が入射される方から順次、前面透明電極、バッファー層、光吸収層、背面電極、及び基板などが積層された構造で製造し得る。最も下に位置する基板は、ガラスで形成され得、その上に全面的に形成される背面電極は、Moなどの金属を蒸着することで形成できる。
次いで、背面電極の上部に本発明による化合物半導体を、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル(sol‐gel)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)などの方法で積層することで、上記光吸収層を形成することができる。このような光吸収層の上部には、前面透明電極として使われるZnO層と光吸収層との間の格子定数の差異及びバンドギャップの差異を緩衝するバッファー層が存在し得、このようなバッファー層は、CdSなどの材料をCBD(Chemical Bath Deposition)などの方法で蒸着することで形成できる。次いで、バッファー層の上にZnOや、ZnO及びITOの積層膜として前面透明電極がスパッタリングなどの方法で形成できる。
本発明による太陽電池は、多様な変形が可能である。例えば、本発明による化合物半導体を光吸収層として使った太陽電池を積層した積層型太陽電池を製造し得る。そして、このように積層された他の太陽電池は、シリコンや他の知られた化合物半導体を利用した太陽電池を使用し得る。
また、本発明の化合物半導体のバンドギャップを変化させることで、相異なるバンドギャップを持つ化合物半導体を光吸収層として使用する複数の太陽電池を積層し得る。本発明による化合物半導体のバンドギャップは、この化合物をなす構成元素、特にTeの組成比を変化させることで調節し得る。
また、本発明による化合物半導体は、赤外線を選択的に通過させる赤外線窓や赤外線センサーなどにも使用し得る。
以下、本発明をさらに具体的に説明するために実施例及び比較例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多様な形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されると解釈されてはいけない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるのである。
[実施例]
試薬として、In 0.0510g、Co 0.3873g、Sb 2.2923g、Co34 0.0428g、Te 127.6gを用意し、これらを乳鉢(mortar)を利用してよく混合した。このように混合された材料は、石英管(silica tube)の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In0.25Co4Sb10.60.4Te粉末を得た。
このように合成された材料の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaの圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。焼結した円板に対して、LFA457(Netzsch,Inc)を使って熱伝導度を所定の温度間隔で測定し、その結果を実施例として図1に示した。
[比較例]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn0.25Co4Sb12組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H2(1.94%)及びN2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In0.25Co4Sb12粉末を得た。
このように合成された材料の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaの圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。焼結した円板に対して、LFA457を使って熱伝導度を所定の温度間隔で測定し、その結果を比較例として図1に示した。
図1の結果から、In0.25Co4Sb10.60.4Teで表される本発明による実施例の化合物半導体は、In0.25Co4Sb12で表される比較例の化合物半導体に比べて、温度測定区間の全体にわたって熱伝導度(κ)が著しく低いことが分かる。特に、高温区間において、実施例と比較例とのこのような熱伝導度の格差がさらに大きいことが確認できる。
そして、熱電性能指数であるZT値は、次のように表示できる。
ZT=σS2T/κ
ここで、σは電気伝導度、Sはゼーベック係数、Tは温度、κは熱伝導度を示す。
本発明による化合物半導体は、熱伝導度が低いことからZT値が向上できる。したがって、本発明による化合物半導体は、熱電性能に優れていると言うことができ、熱電変換材料として非常に有効に利用できる。
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。

Claims (9)

  1. 下記化学式1で表される化合物半導体。
    Figure 0005774201
    前記化学式1において、0<x≦0.4、0<n≦2、及び0<z≦2である。
  2. 前記化学式1のは、0<≦0.4であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体。
  3. 前記化学式1のxは、0<x≦0.25であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体。
  4. 前記化学式1のn及びzは、0<n+z≦3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物半導体。
  5. In、Co、Sb、Te及びCo 3 4 を含む原料を粉末形態で混合して、請求項1に記載の化学式1に対応する組成を有する混合物を形成するステップと、
    真空中、または水素、Ar、He及びN 2 のうち少なくとも一つの気体を流しながら前記混合物を400℃ないし800℃の温度で加熱して熱処理するステップと、
    を含む請求項1に記載の化合物半導体の製造方法。
  6. 前記熱処理ステップは、450℃ないし700℃で行われることを特徴とする請求項5に記載の化合物半導体の製造方法。
  7. 前記熱処理ステップは、2つ以上の熱処理段階を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の化合物半導体の製造方法。
  8. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の化合物半導体を含む熱電変換素子。
  9. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の化合物半導体を含む太陽電池。
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