JP5772678B2 - 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材 - Google Patents

保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材 Download PDF

Info

Publication number
JP5772678B2
JP5772678B2 JP2012069680A JP2012069680A JP5772678B2 JP 5772678 B2 JP5772678 B2 JP 5772678B2 JP 2012069680 A JP2012069680 A JP 2012069680A JP 2012069680 A JP2012069680 A JP 2012069680A JP 5772678 B2 JP5772678 B2 JP 5772678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
soluble polymer
cosmetic
inhibitory activity
ppm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012069680A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013199449A (ja
Inventor
喬 山岸
喬 山岸
博文 新井
博文 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kitami Institute of Technology NUC
Original Assignee
Kitami Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kitami Institute of Technology NUC filed Critical Kitami Institute of Technology NUC
Priority to JP2012069680A priority Critical patent/JP5772678B2/ja
Publication of JP2013199449A publication Critical patent/JP2013199449A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5772678B2 publication Critical patent/JP5772678B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Description

本発明は、安全で入手が容易な食品由来の成分を含む機能性食品素材および化粧品素材、およびこれを含有する機能性食品および化粧品に関する。詳しくは、一般的な野菜または海藻から抽出した、保水性および吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する水溶性高分子成分を化粧品素材、機能性食品素材として利用するものである。
人の皮膚は加齢によりヒアルロン酸やコラーゲンが分解・減少することにより、老化することが知られている。ヒアルロン酸は高分子多糖であり、皮膚、関節、眼の硝子体、脳などの細胞外マトリックスに存在し、例えば皮膚においては水分保持などの作用を有する。そこで、化粧品などの保湿剤として配合されたり、健康食品やサプリメントとして経口摂取により利用されてきた。
化粧品や食品に配合するためのヒアルロン酸の製造は、これまで動物の組織からの単離や細菌発酵によっていた。しかし、動物由来の物質には、アレルギーや感染症のリスクが懸念され、また、美容目的のために動物を供することに対する抵抗もあった。特に近年、BSE(ウシ狂牛病)、口蹄疫、鳥インフルエンザなどが発生していることから、動物を原料とするコラーゲンやヒアルロン酸などが化粧品素材として避けられるようになっている。また、細菌発酵による物質には、グラム陽性菌由来タンパク質によるアレルギーの問題があり、物質生産そのものに細菌を用いることへのリスクもあった。
一方、皮膚や関節などのヒアルロン酸の分解を抑え、その量を維持することにより皮膚の老化を防止することを目的として、ヒアルロン酸の分解を抑制しうる物質を配合した製品も美容商品として利用価値が高い。ヒアルロン酸は皮膚などに存在するヒアルロニダーゼにより分解されるので、ヒアルロニダーゼ阻害活性物質を各種材料、例えば植物や海藻類から抽出することを目指す研究が重ねられてきており、いくつかの海藻類や藻類からヒアルロニダーゼに対する阻害活性をもつ物質が抽出されるに至っている。
特許文献1は、特定の緑藻類、褐藻類,紅藻類に属する海藻の抽出物をヒアルロニダーゼ阻害剤として使用することを記載している。また、特許文献2は、特定の微細藻類からの抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を記載している。特許文献3には、オキナワモズク由来のアセチルフコイダンを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤が、特許文献4には、ナガコンブ由来のフコイダンを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤が記載されている。
各種植物や生薬からの抽出物を含むヒアルロニダーゼ阻害剤も知られている。
しかし、その原料や素材のさらなる選択肢拡大が望まれ、また、一般的な野菜や海藻類からの強いヒアルロニダーゼ阻害活性発現物質の開発が期待されていた。
植物や海藻にはヒアルロン酸と似た機能と物理的性質を有する成分が多く含まれている。その成分は細胞の乾燥防止や形態維持に必要な高分子マトリックス成分であり,その一部は水溶性食物繊維と呼ばれる。その含量は食品成分分析表によると生の野菜重量の0.5〜3%である(日本食品標準成分表2010)。
なお、野菜や海藻の抽出物には、脂質、糖質、ポリフェノール、各種ビタミン、アミノ酸、無機物質、香り成分、タンパク質など多種多様の成分が含まれている。これらの中にはアレルギーの原因になる成分、臭い成分、刺激成分なども含まれており、化粧品素材や食品素材からは除去することが望まれるため、ヒアルロニダーゼ阻害活性発現物質の抽出技術の確立も期待されていた。
特開平9−67266号公報 特開平11−228437号公報 特開2008−044913号公報 特開2008−044912号公報
本発明は、安全性が明らかで多量の入手が可能な一般的な野菜や海藻類から、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害作用がある水溶性高分子成分を得て、化粧品素材や機能性食品素材に利用することを目的とする。
本発明者らは、各種の野菜や海藻について、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害作用がある水溶性高分子成分を抽出すべく検討した結果、きわめて一般的な野菜であるニンジン、およびコンブ製品としては利用されてこなかったコンブ仮根から、保水性、吸湿性および強いヒアルロニダーゼ阻害作用を有する特定範囲の平均分子量の水溶性高分子成分を抽出しうることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ニンジンの熱水抽出により得られ、高速液体クロマトグラフィーによる分析で平均分子量3万〜40万の水溶性高分子成分を主として含む、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物を提供する。
上記組成物中の水溶性高分子成分は、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、3.8ppmにメチルエステルのメチル基のシグナルを、5.3〜5.4ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有することを特徴とする。
上記組成物は、化粧品素材または食品素材として利用できる。本発明は、さらに上記組成物を配合した化粧品および食品も提供する。
また本発明は、コンブ仮根の酸による抽出で得られ、高速液体クロマトグラフィーによる分析で平均分子量5万〜15万の水溶性高分子成分を主として含む、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物を提供する。
上記組成物中の水溶性高分子成分は、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、1.2〜1.4ppmにメチル基のシグナルを、4.9〜5.2ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有することを特徴とする。
上記組成物は、化粧品素材または食品素材として利用できる。本発明はさらに、上記組成物を配合した化粧品および食品も提供する。
さらに、本発明は、ニンジンを熱水抽出して得られる抽出液から、透析膜または分子ふるい膜を用いる精製法によって低分子化合物を除去し、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する水溶性高分子成分含有組成物を得ることを特徴とする、上記組成物を製造する方法、にも関する。
また、本発明は、コンブ仮根を酸抽出して得られる抽出液から、透析膜または分子ふるい膜を用いる精製法によって低分子化合物を除去し、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する水溶性高分子成分含有組成物を得ることを特徴とする、上記組成物を製造する方法、にも関する。
本発明の組成物は、ニンジンまたはコンブ仮根からの抽出された水溶性高分子成分が保水性および吸湿性を有すると共に、ヒアルロニダーゼを阻害・抑制するので、皮膚等に潤いを与えるだけでなく、ヒアルロン酸の分解を抑制することにより、皮膚等の保湿性を維持して老化を防止できる。しかも、一般に大量に食材として流通しているニンジンを原料とし、その製造方法も簡便であるので、経済面および安全面で非常に有利である。また、コンブ仮根、特に養殖コンブ仮根を原料とすると、コンブの製品化の際に除去されていた仮根部を有効利用でき、また天然物由来の成分を抽出して用いるので、安全性が高い。
この組成物を含有する化粧品および食品は、動物由来、細菌由来のヒアルロン酸を含まないため、アレルギーや感染症のリスクがなく、また美容を目的として動物を供する必要がないという利点がある。近年,BSE(ウシ狂牛病)、口蹄疫、鳥インフルエンザなどが発生していることからも、動物を原料とする物質を化粧品素材として用いることが避けられるようになっている。また、天然素材には多くの成分が含まれ,一部にはアレルギーなどの副作用が懸念されるが、本発明においては野菜や海藻の水溶性のエキスを用い、さらに膜分離や透析膜により低分子化合物が除去されているので、副作用の危険性は少ない。
従って、近年重要性が増している安心・安全面で高い水準にある健康食品や化粧品などを提供できる。
ニンジンおよびコンブ仮根の水溶性高分子化合物のHPLC分析の結果を示す図。 ニンジン水溶性高分子化合物のNMRスペクトル(重水中,DSSのメチルシグナルを基準)を示す図 (DDS: 3-(Trimethylsilyl)-1-propanesulfonic acid, sodium salt hydrate)。 コンブ仮根水溶性高分子化合物のNMRスペクトル(重水中,DSSのメチルシグナルを基準)を示す図。 各種野菜およびコンブ仮根の水溶性高分子化合物の吸湿性を示す図。 各種野菜およびコンブ仮根の水溶性高分子化合物の保水性を示す図。 各種野菜およびコンブ仮根の水溶性高分子化合物のヒアルノニダーゼ阻害活性を示す図。
本発明の組成物は、ニンジンの熱水抽出物またはコンブ仮根の酸抽出物から得られる水溶性高分子化合物を有効成分として含む。
ニンジンを原料として水溶性高分子成分を得る場合、原料のニンジンとしては、食用とされている種類であればいずれも使用できる。ニンジンの食用部位を用い、抽出前に小さく刻んでおくと目的の成分が抽出されやすい。
ニンジンからの水溶性高分子成分の調製方法としては、熱水による抽出を行った後、抽出液より低分子化合物を除去して水溶性高分子成分を精製する。例えば、生のニンジンを3〜4倍量程度の水に漬けて約2〜30分煮込んでから、冷却する。これを圧搾または遠心分離して得られる抽出液を、減圧濾過または連続遠心分離により透明な液体とした後、分子ふるい膜または透析膜で分子分画する。これにより低分子化合物や塩類を除いて水溶性高分子化合物を含む成分を得ることができる。
水溶性高分子を分画する一般的な方法としては、水溶液にアセトン、アルコールなどを加えて沈殿させる沈殿法、透析膜を使う透析法、分子ふるい膜による分画、ゲル濾過などがあり、それぞれの方法は精製度の違い、操作の煩雑性などに違いがある。
本発明の製造方法においては、透析膜または分子ふるい膜を用いて分画を行う。透析膜としては、再生セルロース(RC)やセルロースアセテート(CA)などの材質のものがあり、好ましくは排出限界分子量が3,500〜16,000、より好ましくは6,000〜8,000の透析膜が使用できる。分子ふるい膜としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルフォン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの材質のものがあり、好ましくは排出限界分子量が3,000〜13,000程度の膜が使用できる。
野菜の水溶性高分子分画には酵素や微生物が含まれ、精製に時間のかかる方法では野菜エキスが変質する可能性が高い。本発明では、熱水抽出を用いるので、加熱により酵素を失活させ、微生物を死滅させることができる。また、精製には分離に時間のかからない分子ふるい膜を用いるのがより好ましい。
前述のように、野菜の熱水抽出物には脂質、糖質、ポリフェノール、各種ビタミン、アミノ酸、無機物質、香り成分、たんぱく質など多種多様の成分が含まれており、これらの中にはアレルギーの原因になる成分、臭い成分、刺激成分なども含まれている。これらの成分は分子ふるい膜または透析膜で除去されるので安全性が高まる。また、この方法により有効成分を濃縮できるので、安全で効果的な化粧品素材や食品素材を得ることができる。
ニンジンより得られる水溶性高分子成分は、後述の実施例1に記載するように、高速液体クロマトグラフィーで測定して3万〜40万の平均分子量を有する。さらに、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、3.8ppmにメチルエステルのメチル基のシグナルを、5.3〜5.4ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有することが判明している。
この水溶性高分子成分は、実施例1の実験結果から明らかなように、他の野菜から熱水抽出した水溶性高分子成分に比べ保水性、吸水性が良好であり、ヒアルロニダーゼ阻害活性が高い。
コンブ仮根から水溶性高分子成分を調製する場合、原料のコンブ仮根としては、褐藻類のコンブ目コンブ科に属するマコンブ、ミツイシコンブ、リシリコンブなどのコンブの仮根が使用でき、特に養殖コンブの仮根が岩石、土砂などの付着がなく、また大量に入手しうるため好ましい。本発明でいう仮根は、葉状体および葉柄の下にある、本来は岩盤等に付着するための部分であり付着根とも言われる部分であり、いわゆる根昆布とは異なる。根昆布と称されて販売されている製品は、通常食用としている葉状体の下端部であり、仮根ではない。
コンブ仮根からの水溶性高分子成分の調製方法としては、酸による抽出を行った後、抽出液より低分子化合物を除去して水溶性高分子成分を精製する。例えば、コンブ仮根を乾燥して刻んだものや粉砕して得られる粉末を、希塩酸等の酸に1〜3日程度、室温〜60℃において浸漬し、濾過する。得られる溶液を、必要により残渣をさらに酸で洗った洗い液と合わせ、これを、分子ふるい膜または透析膜で分子分画して水溶性高分子化合物を含む成分を得る。分画は、上述のニンジンの抽出液の場合と同様に行えばよい。これにより低分子化合物や塩類を除いて、水溶性高分子化合物を含む成分を得ることができる。
酸で抽出するため、酵素による目的の成分の分解を抑制することができる。また、膜分離または透析により、原料に含まれる低分子化合物が除去されて、有効成分が濃縮される。従って、アレルギーの原因となる成分、臭い成分や刺激成分を含まず、安全で効果的な化粧品素材や食品素材が提供できる。
得られる水溶性高分子成分には、中性の高分子化合物が含まれ、硫酸多糖体であるフコイダンも含まれている。本発明の水溶性高分子成分の調製方法によれば、イオン交換法を用いるフコイダンの一般的な精製法による場合とは異なる組成のものが得られる。また、フコイダンについては、コンブ仮根由来のものは、コンブ以外の海藻由来のフコイダン、また葉状体由来のフコイダンとは種類が異なる。
フコイダンは、海藻などに含まれる、フコースを主成分とする硫酸化多糖類の総称であり、原料の違いにより成分や構造に違いがある。コンブ仮根から得られるフコイダンは、L−フコイダンとGaフコイダンが1:1〜2:1の割合で含まれる。L−フコイダンは葉状体にも含まれ、フコースおよびガラクトースを構成糖とするのに対し、Ga−フコイダンは仮根部特有のフコイダンであり、ウロン酸含量が高く、糖としてはフコースを主体とし、ガラクトース以外にもマンノース、キシロース、グルコースを含む。Ga−フコイダンは他の海藻や葉状体には存在しない。
コンブ仮根より得られる水溶性高分子化合物は、後述の実施例2に記載するように、高速液体クロマトグラフィーで測定して5万〜15万の平均分子量を有する。さらに、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、1.2〜1.4ppmにメチル基のシグナルを、4.9〜5.2ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有することが判明している。
この水溶性高分子化合物は、実施例3の実験結果から明らかなように、ニンジン以外の野菜から熱水抽出した水溶性高分子化合物に比べ保水性、吸水性が良好であり、ヒアルロニダーゼ阻害活性がきわめて高い。
上記のようにしてニンジンまたはコンブ仮根から得られる高分子分画は、そのまま用いても、また濃縮して用いることもできるが、好ましくは凍結乾燥または減圧乾燥して利用する。化粧品を製造するには、本発明の水溶性高分子成分を、例えば0.01〜1%になるように水などの溶媒に溶解し、グリセリン、1,3−ブチレングリコールなどの保湿剤、キサンタンガムなどの増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、色素などを適宜配合して、化粧水や美容液とする。また、乳液やクリーム、軟膏などの形態としてもよい。
食品として利用する場合は、本発明の水溶性高分子成分を、例えば、1日量1〜0.01gを賦形剤により顆粒化、錠剤化またはカプセル化して、栄養補助食品や健康食品としてそのまま経口摂取するか、通常の飲食品に添加することができる。また、水溶性高分子成分の0.1〜1g/100ml水溶液を作製して、ジュース、ゼリー、ドリンク等に配合してもよい。経口用の製品とする場合、必要により、甘味料、香料、着色剤などの添加剤を配合することができる。
(ニンジンからの水溶性高分子成分の調製)
生のニンジン30kgを30リットルの水に浸けて、沸騰させ30分間加熱後、冷却した。遠心分離により得られた溶液を膜分離装置(microUF, ACP1010D)で分子分画し、高分子化合物を46.7g分取した。この画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、図1に示すように、平均分子量3.4万と40万にピークがあり、低分子量の成分は含んでいないことが分かった。
HPLCの条件は次の通りである。カラム:TSK GEL(PE-type)、カラム温度:40℃、溶離液:リン酸緩衝液(pH6.89)、流量:0.8ml/min、標準品にプルランを使用。分子量は、プルランの保持時間と試料のピークの保持時間の比から算出した。
また、核磁気共鳴スペクトルは試料約10mgを0.4mlの重水に溶かして、微量のDDSを内部標準として入れ、JEOL-α500で測定した。図2に示すように、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、3.8ppmにメチルエステルのメチル基のシグナルを、5.3〜5.4ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有する。
(コンブ仮根からの水溶性高分子成分の調製)
コンブ仮根を乾燥して粉砕して得た粉末3kgを希塩酸12リットル中に室温で5日間漬けた後、濾過した。残渣をさらに希塩酸4リットルで洗い、洗い液と合わせた溶液を膜分離装置(microUF, ACP1010D)で分離して、高分子化合物31.2gを得た。この画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、図1に示すように、平均分子量は5万〜15万であり、低分子量の成分は含んでいない。
HPLCの条件は次の通りである。カラム:TSK GEL(PE-type)、カラム温度:40℃、溶離液:リン酸緩衝液(pH6.89)、流量:0.8ml/min、標準品にプルランを使用。
また、核磁気共鳴スペクトルは試料約10mgを0.4mlの重水に溶かして、微量のDDSを内部標準として入れ、JEOL-α500で測定した。図3に示すように核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、1.2〜1.4ppmにメチル基のシグナルを、4.9〜5.2ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有する。核磁気共鳴の解析から、コンブ仮根の水溶性高分子物質には中性高分子化合物と、硫酸多糖体であるフコイダンが含まれていると考えられる。このフコイダンは、他の海藻およびコンブ葉状体のものと異なり、コンブ仮根に特徴的なフコイダンである。
実施例1および2で調製した高分子成分について吸水性、保水性およびヒアルノニダーゼ阻害活性を評価した。なお、比較のためニンジンの他に、セロリ、キャベツ、タマネギ、ショウガ、ワサビ、ウリおよびレタス(生および煮たもの)についても同様の実験を行った。
吸水性、保水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性の評価方法は以下の通りである。
(吸水性)
各野菜またはコンブ仮根の水溶性高分子成分を凍結乾燥後、50℃で真空下24時間乾燥させる。これを湿度約70%の室内に一昼夜放置して、秤量して増加した重量から、吸着した水分量を求める。
(保水性)
各野菜またはコンブ仮根の水溶性高分子成分を凍結乾燥後、50℃で真空下24時間乾燥させる。この水溶性高分子成分約10mgを13.5mlの試料瓶に入れ、1.0mlの水に溶かし、温風乾燥機で40℃、24時間乾燥させた。24時間後,元の試料に対して増加した重量から保水量を求める。
(ヒアルロニダーゼ阻害活性)
野菜またはコンブ仮根の水溶性高分子分画各20mgを1mlの蒸留水に溶かしたものを試験液とする。
試薬は次のようにして調節する;ヒアルロニダーゼ溶液は、4mgヒアルロニダーゼ(TypeIV-Sbovine testis、Sigma H3884 )+0.1 M 酢酸緩衝液1mlで調製;ヒアルロン酸ナトリウム溶液は、 0.1 M 酢酸緩衝液5ml+4mg ヒアルロン酸ナトリウム(Sigma 53747)で調製;Compound48/80 溶液は、38 mgCaCl2+5 mg Compound48/80(Sigma C2313)+0.1 M 酢酸緩衝液10mlで調製;KOH/ホウ酸溶液は、 224 mg KOH(粒状)+0.8M ホウ酸水溶液10mlで調製;p-DABA(p-ジメチルアミノベンズアルデヒド、Wako049-18041)溶液は酢酸18ml+2ml p-DABA 溶液で調製。
上記の試薬を用いて次のように反応させる。10ml キャップ付ガラス試験管に、0.1M酢酸緩衝液 50μと試料溶液(5mg/ml)100μl を混合し、37℃で20 分間反応させる。さらに、Compound48/80 溶液を100μl 加えて撹拌し、37℃で20分間反応させる。これにヒアルロン酸ナトリウム溶液を250μl 加えて撹拌して、37℃において40分間反応させ、N-アセチルグルコサミンを遊離させる。さらに、0.4 M NaOH を100μl 加えて撹拌し、反応を停止させる。
生成したN-アセチルグルコサミンは次のように定量する。KOH/ホウ酸溶液を100μl 加えて撹拌し、95℃で3分間反応させる。反応液を5分間氷水冷し、p-DABA 溶液(10 倍希釈)を3ml 加えて撹拌し、37℃で20 分間反応させる。反応液を5分間氷水冷し、585 nm で吸光度を測定する。
コントロールブランク(CB)、コントロール(C)、サンプルブランク(SB)およびサンプル(S)での吸光度値を平均化(n=3)後,ヒアルロニダーゼ阻害活性(%)={1-(S-SB)/(C-CB)}×100を求める。
結果は以下の通りである。
吸水性は図4に示すように、各野菜の水溶性高分子成分で10〜20%の吸水性があったが、ニンジンの水溶性高分子成分が約25%と最も高かった。
保水性は図5から明らかなように、コンブ仮根の水溶性高分子成分が最も高く、重量の150%も水分を保持し、保水性に優れている。次にニンジンで十数パーセントの保水性があった。
ヒアルノニダーゼ阻害の強さは、コンブ仮根、ニンジン、タマネギの順であったが、特にコンブ仮根、ニンジンは他の野菜に比べて優れた作用が確認された(図6)。
なお、レタスについて、煮た場合と生のジュースでの高分子分画について比較したが、図4および図5にあるように吸湿性、保水性に大きな影響はなかった。
以下に製剤化例を示す。
(柔軟化粧水)
ニンジンまたはコンブ仮根の水溶性高分子成分を0.1%になるように水に溶解した。この溶液100に対して,1,3-ブチレングリコール1.0、 pH調整剤、グリセリン0.1、香料適量、防腐剤適量を配合して、柔軟化粧水を製造した。
(美容液)
ニンジンまたはコンブ仮根の水溶性高分子成分を0.1%になるように水に溶解した。この溶液100に対して、キサンタンガム0.4、グリセリン3.0、防腐剤適量、pH調整剤適量、香料適量を配合して美容液を製造した。
(カプセル剤)
ニンジンまたはコンブ仮根の水溶性高分子成分80mgを、難消化性ポリデキストロース100mg、ポリフェノール類20mg、ビタミンC100mgと共に食品用ハードカプセルに詰めた。
(錠剤)
ニンジンまたはコンブ仮根の水溶性高分子成分100mgに以下の割合で成分を配合し、賦型剤を加えて打錠機を用いて600kg/cmで直径0.8cmに打錠して錠剤を成形した。
結晶性セルロース 69mg
麦芽糖 60mg
ショ糖脂肪酸エステル 15mg
微粉二酸化ケイ素 6mg
(飲料)
ニンジンまたはコンブ仮根の水溶性高分子化合物の0.1%溶液に、魚コラーゲン100mg、ビタミンC100mg、果糖ブドウ糖液糖、香料、水少量を加えて100mlにして、飲料を製造した。

Claims (4)

  1. コンブ仮根の酸による抽出液から、分子ふるい膜または透析膜を用いる精製法により低分子化合物を除去して得られ、高速液体クロマトグラフィーによる分析で平均分子量5万〜15万の水溶性高分子成分を主として含む、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材。
  2. 前記水溶性高分子成分が、核磁気共鳴スペクトルにおいて、3.6〜5.3ppmに多糖体に特徴的なプロトンシグナルを、1.2〜1.4ppmにメチル基のシグナルを、4.9〜5.2ppmにアノメリックプロトンのシグナルを有することを特徴とする、請求項1記載の化粧品素材。
  3. コンブ仮根を酸抽出して得られる抽出液から、分子ふるい膜または透析膜を用いる精製法によって低分子化合物を除去し、保水性、吸水性に優れ、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する水溶性高分子成分含有組成物を得ることを特徴とする、請求項1記載の化粧品素材を製造する方法。
  4. 請求項1または2記載の化粧品素材を配合した化粧品。
JP2012069680A 2012-03-26 2012-03-26 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材 Active JP5772678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012069680A JP5772678B2 (ja) 2012-03-26 2012-03-26 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012069680A JP5772678B2 (ja) 2012-03-26 2012-03-26 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013199449A JP2013199449A (ja) 2013-10-03
JP5772678B2 true JP5772678B2 (ja) 2015-09-02

Family

ID=49519972

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012069680A Active JP5772678B2 (ja) 2012-03-26 2012-03-26 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5772678B2 (ja)

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6431707A (en) * 1987-07-28 1989-02-02 Nikko Chemicals Dermal agent for external use
US6989166B2 (en) * 2001-12-20 2006-01-24 N.V. Nutricia Soft drink replacer
JP2004141140A (ja) * 2001-12-27 2004-05-20 Jigyo Sozo Kenkyusho:Kk 海藻類の防腐処理方法、防腐処理した海藻類の加工食品、梅塩の製造方法、並びに海藻類及び梅を利用した飲み物
JP4390175B2 (ja) * 2002-04-23 2009-12-24 タカラバイオ株式会社 医薬または化粧料
JP4034677B2 (ja) * 2003-03-24 2008-01-16 株式会社コーセー 水中油型乳化化粧料
JP4021364B2 (ja) * 2003-04-28 2007-12-12 株式会社ノエビア 皮膚外用剤
KR100826723B1 (ko) * 2004-03-24 2008-04-30 홋카이도 미쓰이가가쿠 가부시키가이샤 식물세포 유래 펙틴
AU2005272578A1 (en) * 2004-08-13 2006-02-23 Angiotech International Ag Compositions and methods using hyaluronic acid and hyluronidase inhibitors
WO2006093175A1 (ja) * 2005-03-01 2006-09-08 Ube Industries, Ltd. フコイダンの製造方法並びにフコイダン及びフコイダン含有組成物
JP4769104B2 (ja) * 2006-03-23 2011-09-07 株式会社ナリス化粧品 人参抽出物を含有する化粧料
WO2008111271A1 (ja) * 2007-03-15 2008-09-18 Kaigen Co., Ltd. 育毛・発毛用経口組成物
JP2009207477A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Sato Shokuhin Kogyo Kk 粉末物品の物性改善方法
JP2010148437A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Kushiro Konbu Kenkyusho:Kk 天然コンブ仮根を原料とした食用粉末の製造方法
JP2011184305A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Kyosei Seiyaku Kk アディポネクチン産生促進剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013199449A (ja) 2013-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10449249B2 (en) Polysaccharide suitable to modulate immune response
Bouaziz et al. Recent advances in Rosaceae gum exudates: From synthesis to food and non-food applications
KR102032033B1 (ko) 감귤류 열매를 이용한 유산균 발효 방법 및 이의 용도
DK2701714T3 (en) PROCEDURE FOR ISOLATING POLYSACCHARIDES
US9284359B2 (en) Method for mass preparation of proteoglycan
Alamgir et al. Phytoconstituents—active and inert constituents, metabolic pathways, chemistry and application of phytoconstituents, primary metabolic products, and bioactive compounds of primary metabolic origin
KR101856602B1 (ko) 왕귀뚜라미 추출물을 유효성분으로 함유하는 항산화 조성물
KR102288538B1 (ko) 미네랄 성분과 바이오틱스 물질을 포함하는 탈모증상 완화를 위한 헤어 또는 두피 건강 개선용 화장료 조성물
US20080280994A1 (en) Ascophyllum Compositions and Methods
JP4397142B2 (ja) 活性酸素消去能低減抑制剤
CA2907918A1 (en) Compositions comprising complexes of proanthocyanidins with vegetable proteins
Yang et al. Recent developments in Moringa oleifera Lam. polysaccharides: A review of the relationship between extraction methods, structural characteristics and functional activities
WO2005112665A1 (ja) 甘藷茎葉加工物含有組成物
JP2006061091A (ja) シソの葉から得られる発酵物
JP5772678B2 (ja) 保水性、吸水性およびヒアルロニダーゼ阻害活性を有する化粧品素材および機能性食品素材
KR101546436B1 (ko) 쑥 추출물 및 그 제조방법
KR101956382B1 (ko) 관능성 및 기능성이 강화된 귀뚜라미차 및 이의 제조 방법
KR101396059B1 (ko) 소귀나무잎으로부터 분리된 신규 황산염 페놀성 화합물 및 이의 항산화 및 항염 용도
Pereira et al. Extraction, characterization, and use of carrageenans
CN104983650B (zh) 一种功能性马齿苋组合物及其在日用化学品中的应用
Guan et al. The recent progress in the research of extraction and functional applications of basil seed gum
KR102128625B1 (ko) 표고버섯 수확 후의 배지 추출물을 유효성분으로 함유하는 혈전증의 예방 또는 치료용 약학적 조성물 및 건강 기능 식품
CN102100324B (zh) 一种强抗氧化活性的组合物及其应用
JP2011236184A (ja) 脳機能改善剤
KR102128622B1 (ko) 깻잎 추출물을 유효성분으로 함유하는 혈전증의 예방 또는 치료용 약학적 조성물 및 건강 기능 식품

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130816

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140624

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5772678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350