JP5772612B2 - 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用する蛍光測定装置用センサチップを用いたアッセイ方法、およびアッセイ用キット - Google Patents
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Description
すなわち、例えば、あまりに高濃度でポリエチレングリコールを溶液中に混合させると、当該溶液の粘度が高くなり過ぎてしまい反応性が低下し、S(アッセイ発光シグナル)が低下する。
[3]前記親水性高分子層は、0.2ng/mm2以上6ng/mm2以下の高分子を含有する[1]に記載のアッセイ方法。
[6]前記ポリサッカライドは、カルボキシメチルデキストランである[5]に記載のアッセイ方法。
[10]前記親水性高分子層は、平均膜厚が50nm以上100nm以下である[1]〜[8]の何れかに記載のアッセイ方法。
[12]前記リガンドは前記親水性高分子層に固定化され、前記固定化されたリガンドは、10フェムトmol/cm2以上100ピコmol/cm2以下である[1]〜[11]の何れかに記載のアッセイ方法。
[15]前記保湿剤は、アナライトを含む溶液を前記リガンドと接触させる前に前記蛍光測定装置用センサチップ内を洗浄する洗浄液に予め添加され、前記保湿剤が予め添加された洗浄液を前記親水性高分子層に接触させることにより、前記保湿剤を前記親水性高分子層に接触させる[1]〜[12]の何れかに記載のアッセイ方法。
[17]前記支持体は、透明支持体である[1]〜[16]の何れかに記載のアッセイ方法。
親水性高分子層を形成する親水性高分子に保湿剤を添加すると、これらの相互作用により、親水性高分子近辺に、水和層が形成される。すなわち、SAM上に親水性高分子を抗体固相支持体(親水性高分子層)として用いることによって、保湿剤の添加時に、抗体固相支持体近辺に水和層が形成される。この水和層は、生体物質間の疎水性相互作用を促進すると考えられ、結果的に、抗原抗体反応を利用した免疫反応の反応性を飛躍的に増強させることができる。
〈SPFSを利用する蛍光測定装置用センサチップ〉
本発明に用いられる、SPFSを利用する蛍光測定装置用センサチップ(以下、単に「センサチップ」ともいう)の好ましい一態様を図1に示す。図1に示すように、本発明に用いられるセンサチップは、支持体1上に少なくとも金属部材2(後述の金属膜)、自己組織化単分子膜(SAM)3及びリガンド4を備え、当該SAM3上に親水性高分子層5を有する。
センサチップの支持体としては、透明支持体が好ましく用いられる。センサチップの支持体として透明支持体が好ましく用いられるのは、後述する金属部材への光照射をこの透明支持体を通じて行うからである。
酸による洗浄処理としては、0.001〜1M(モル)/リットルの塩酸中に、1〜3時間浸漬することが好ましい。
(金属部材)
センサチップは、上述した支持体上に金属部材を有する。金属部材は、光源からの照射光により表面プラズモンまたは局在プラズモンを発生させる役割を有する。金属部材としては、例えば金属膜または金属粒子を用いることができ、金属膜として上記支持体の表面に形成することが好ましい。この金属膜は、光源から照射された励起光により表面プラズモンを誘起させ、蛍光色素を効率的に励起させる役割を有する。
一方、金属部材として金属粒子を用いる場合は、局在プラズモンを誘起させることが可能である。金属粒子に用いる金属の種類としては、プラズモンを誘起させる粒子を調製できる限り特に限定されるものではないが、金、銀、銅、アルミニウム、白金及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属またはこれら2種以上の合金が好ましい。また、金属粒子の粒径は、局在プラズモンを生じる範囲であれば特に限定されるものではないが、10〜100nmが好ましく、平均粒径がそのような範囲にある金属粒子の集団を利用することが好適である。
(自己組織化単分子膜(SAM))
SAM〔Self−Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜〕は、後述する親水性高分子層を固相化する足場として、また蛍光測定の際に蛍光分子の金属消光を防止する目的で、上記金属部材の、上記支持体とは接していないもう一方の表面に形成される。
本発明に係る親水性高分子層は、上記SAMの、上記金属部材とは接していないもう一方の表面に形成され、2次元構造または3次元構造を有するものである。
このような親水性高分子は、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一種の高分子であってもよい。ポリサッカライドは、グルコースおよび/またはカルボキシメチル化グルコースに由来する構造単位を含んでなり、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸(これらを合わせて「ポリ(メタ)アクリル酸」ともいう。)は、(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸およびメタクリル酸)に由来する構造単位を含んでなるが、以下の単量体に由来する構造単位を適宜含むことができる。その単量体とは、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類およびビニルケトン類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
親水性高分子層の高分子の密度(SAM上に形成された親水性高分子層の単位面積当たりの質量)は、用いる高分子の種類や、層形成方法に応じて適宜調整することができるが、例えば、その密度として0.001ng/mm2以上30ng/mm2以下を挙げることができる。そして、親水性高分子層の膜厚にもよるが、0.2ng/mm2以上6ng/mm2以下の範囲を満たすことが好ましい。前記密度の調整方法としては、例えば、親水性高分子層を形成するための高分子含有溶液の高分子濃度を調整して密度を調整する方法、親水性高分子に用いる高分子の分子量を調整して密度を調整する方法が挙げられる。
リガンドは、検体中のアナライトを固定(捕捉)させる目的で用いられるものであり、上記親水性高分子層に固定化される。親水性高分子層が2次元構造の場合、リガンドは親水性高分子層の外面に固定化され、親水性高分子層が3次元構造の場合、リガンドは親水性高分子層の層中および/または外面に固定化される。親水性高分子層が3次元構造の場合、一般にはリガンドの多くは親水性高分子層の3次元構造の中に分散して固定化される。
第1のリガンドを親水性高分子層に固定化する方法としては、例えば、カルボキシメチルデキストラン〔CMD〕などの反応性官能基を有する高分子が有するカルボキシル基を、水溶性カルボジイミド〔WSC〕(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩〔EDC〕など)とN−ヒドロキシコハク酸イミド〔NHS〕とにより活性エステル化し、このように活性エステル化したカルボキシル基と、第1のリガンドが有するアミノ基とを水溶性カルボジイミドを用いて脱水反応させ固定化させる方法などが挙げられる。
保湿剤は、非特異的反応(アッセイノイズシグナル)を低減する機能を持つ物質であり、例えば、尿素、エチレングリコール(EG)、グリセリン、アンモニウム乳酸塩、カルボン酸ピロリドン、ジオール、乳酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などであり、好ましくは、Riviere法(参考文献:M.Riviere et al.,Water retention of treated stratum corneum measured by a coupling method:thermal desorption−mass spectrometry、 International Journal of Cosmetic Science 17、165〜172(1995))により、保湿剤の再水和標本水分が40〜200%の範囲にあり、例えば、尿素、エチレングリコール(EG)、グリセリン、Lectilまたはアンモニウム乳酸塩である。保湿剤は一種単独であっても二種以上併用してもよい。
〈アッセイ〉
本発明のアッセイ方法においては、SAM上に親水性高分子層が形成されたセンサチップに、保湿剤を接触させる工程を少なくとも含むことを特徴とする。
工程(a):本発明のセンサチップに、アナライト溶液を接触させる工程
工程(b):該工程(a)を経て得られたセンサチップに、さらに、該センサチップに含まれる第1のリガンドとは同じであっても異なっていてもよい第2のリガンドと蛍光色素とのコンジュゲート物を反応させる工程
工程(c):該工程(b)を経て得られたセンサチップに、上記支持体の、上記金属部材を形成していないもう一方の表面にプリズムを経由してレーザ光を照射し、照射光により励起された蛍光色素から発光された蛍光量を測定する工程
工程(d):該工程(c)で得られた測定結果から、アナライト溶液に含有されるアナライト量を算出する工程
洗浄工程(1):上記工程(a)を経て得られたセンサチップ内を、洗浄液を用いて洗浄する工程
洗浄工程(2):上記工程(b)を経て得られたセンサチップ内を、洗浄液を用いて洗浄する工程
本発明では、少なくとも上記工程(a)のアラナイト溶液または上記洗浄工程(1)の洗浄液の少なくとも一方に、保湿剤を混合させることが好ましい。
工程(a)は、親水性高分子層に固定化された第1のリガンドに、アナライト溶液を接触させる工程である。
本発明において、「アナライト溶液」とは、測定対象となる種々のアナライトを含む溶液をいう。
本発明において「アナライト」は、親水性高分子層に固定化された第1のリガンドに特異的に認識され(または、第1のリガンドを特異的に認識し)結合し得る分子または分子断片を意味する。このような「分子」または「分子断片」として、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチドを含む)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)、癌胎児性抗原等の腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されるものではない。
センサチップには流路が形成されていることが好ましく、流路中の少なくとも一部が支持体上に金属部材、SAM上に親水性高分子層及び第1のリガンドを備えた構成とされ、アナライト溶液を前記流路中に送液して第1のリガンドがアナライト溶液で浸漬されることにより、アナライトを第1のリガンドに接触させる態様であることが好ましい。
また、流路に送液するアナライト溶液の流速は、通常1〜5,0000μL/min、好ましくは5,000〜1,0000μl/minである。
洗浄工程としては、上記工程(a)を経た後にセンサチップ内を洗浄液で洗浄する洗浄工程(1)と、上記工程(b)を経てた後にセンサチップ内を洗浄液で洗浄する洗浄工程(2)がある。
洗浄工程(洗浄液による洗浄時間)は、通常0.5〜180分間、好ましくは5〜60分間である。
工程(b)は、上記工程(a)の後、好ましくは上記洗浄工程(1)を経た後に、さらに、親水性高分子層に固定化されているリガンド(第1のリガンド)とは同じであっても異なっていてもよいリガンド(第2のリガンド)と蛍光色素とのコンジュゲート物を反応させる工程である。
「蛍光色素」は、所定の励起光を照射することによって、または電界効果を利用して励起することによって蛍光を発光する物質の総称であり、該「蛍光」は、燐光など各種の発光も含む。
(第2のリガンドと蛍光色素とのコンジュゲート)
「本発明の親水性高分子層に固定化されているリガンド(第1のリガンド)とは同じであっても異なっていてもよいリガンド(第2のリガンド)と蛍光色素とのコンジュゲート」は、この第2のリガンドとして2次抗体を用いる場合、検体中に含有されるアナライト(標的抗原)を認識し結合し得ることが好ましい。
[工程(c)]
工程(c)は、上記工程(b)を経た後のセンサチップに、上記支持体の、上記金属部材を形成していないもう一方の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された蛍光色素から発光された蛍光量を測定する工程である。
蛍光量を測定する際に照射される光源は、金属部材にプラズモン励起を生じさせることができるものであれば、特に制限がないものの、波長分布の単一性および光エネルギーの強さの点で、レーザ光を光源として用いることが好ましい。レーザ光は、光学フィルタを通して、プリズムに入射する直前のエネルギーおよびフォトン量を調節することが望ましい。
「カットフィルタ」は、外光(装置外の照明光)、励起光(励起光の透過成分)、迷光(各所での励起光の散乱成分)、プラズモンの散乱光(励起光を起源とし、センサチップ表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光)などの光学ノイズ、および蛍光色素の自家蛍光を除去するフィルタであって、例えば、干渉フィルタ、色フィルタなどが挙げられる。
工程(d)は、上記工程(c)で得られた測定結果から、アナライト溶液中に含有されるアナライト量を算出する工程である。
さらに、工程(d)においては、上記工程(b)の前に測定した"ブランク発光シグナル"、上記工程(d)で得られた"アッセイ発光シグナル"、および何も修飾していない金属基板を流路に固定し、超純水を流しながら測定して得られた"初期ノイズシグナル"を用いて、下記式(1a)で表されるS/N比を算出することができる:
S/N=|Ia/Io|/In (1a)
(上記式(1a)において、Iaはアッセイ発光シグナル、Ioはブランク発光シグナル、Inは初期ノイズシグナルである)。
S/N=|Ia|/|Ian| (1b)
(上記式(1b)において、Ianはアッセイノイズシグナル、Iaは上記式(1a)の場合と同様にアッセイ発光シグナルである)。
本発明に係るアッセイ用キットは、本発明のアッセイ方法を実施するにあたり、アナライト溶液を除き必要とされるすべてのものを含むことが好ましく、すなわち、本発明のキットに含まれるものは、少なくともセンサチップ(支持体上に少なくとも金属部材、SAM、親水性高分子層及びリガンドを有する)、及び保湿剤である。より好ましい本発明に係るアッセイ用キットは、本発明のアッセイ方法を実施するにあたり、アナライト溶液およびリガンドを除く必要とされるものすべてを含む。すなわち、より好ましい本発明のキットに含まれるものは、少なくとも、リガンドを固定化していないセンサチップ(支持体上に少なくとも金属部材、SAMおよび親水性高分子層)ならびに保湿剤である。このような本発明のキットを使用する者は、所望のリガンド(例えば、特定の抗体など)を、本明細書の記載に従い当該センサチップが有する親水性高分子層に容易に固定化することができるから、本発明のキットの汎用性がより高くなるため好適である。
(標識2次抗体溶液の準備)
第2のリガンドとして、抗αフェトプロテイン〔AFP〕モノクローナル抗体(1D5;2.5mg/ml、(株)日本医学臨床検査研究所製)を、市販のビオチン化キット((株)同仁化学研究所製)を用いてビオチン化した抗体を用いた。ビオチン化の手順は、該キットに添付のプロトコールに従った。
(センサチップ(A)の製造)
屈折率〔nd〕1.72、厚さ1mmのガラス製の透明支持体((株)オハラ製の「S−LAL 10」)をプラズマ洗浄し、該支持体の片面にクロム薄膜をスパッタリング法により形成した後、その表面にさらに金属部材である金薄膜をスパッタリング法により該透明支持体に金属膜を形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは42〜47nmであった。
非特異的吸着防止処理を行なった第1のリガンドが固定化された支持体上に、流路高さ0.5mmを有し、かつ適当な形状および大きさを有する穴のあいたポリジメチルシロキサン〔PDMS〕製シートを設け、さらに、このPDMS製シートの周囲にシリコーンゴム製スペーサを配置した(このシリコーンゴム製スペーサは流路に送液する溶液に触れない状態にある)。該PDMS製シートおよび該シリコーンゴム製スペーサの上に、送液導入用の穴および送液排出用の穴を予めそれぞれ形成してあるPMMA基板を、PDMS製シートで囲まれた領域の内側にこれらの穴が位置するように配置した(このとき、抗体を固定化した表面が流路の内側となるように、PMMA基板が配置されている)。これらを流路の外側から圧着し、ビスを用いて、PMMA基板と流路シート(すなわち、前記PDMS製シート)、該流路シートと支持体を固定し、センサチップ(A)を製造した。
上述のように製造したセンサチップ(A)を用いて、以下の工程によりアッセイを実施した。
工程(c)として、工程(c)まで経たセンサチップ(A)の、金薄膜を形成していないもう一方の表面から、プリズム(シグマ光機(株)製)を経由してレーザ光(640nm、40μW)を照射し、励起された蛍光色素から発光された蛍光量を光電子増倍管〔PMT〕で検出した光量(シグナル値)を計測し「アッセイ発光シグナル」とした。
実施例1のセンサチップ(A)を用い、実施例1のアッセイの実施において、実施例1の工程(a)のアナライト溶液の代わりに、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml含む0.1mlPBS溶液(アナライト溶液)用い、工程(a)の前に、洗浄液Tween20を0.05質量%含むトリス緩衝生理食塩水〔TBS〕に尿素を2M入れた混合液を送液として10分間循環させることによって洗浄した以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(B)の製造)
屈折率〔nd〕1.72、厚さ1mmのガラス製の透明支持体((株)オハラ製の「S−LAL 10」)をプラズマ洗浄し、該支持体の片面にクロム薄膜をスパッタリング法により形成した後、その表面にさらに金属部材である金薄膜をスパッタリング法により該透明支持体に金属膜を形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは42〜47nmであった。
非特異吸着防止処理を行なった第1のリガンドが固定化された支持体上に、流路高さ0.5mmを有し、かつ適当な形状および大きさを有する穴のあいたポリジメチルシロキサン〔PDMS〕製シートを設け、さらに、このPDMS製シートの周囲にシリコーンゴム製スペーサを配置した(このシリコーンゴム製スペーサは流路に送液する溶液に触れない状態にある)。該PDMS製シートおよび該シリコーンゴム製スペーサの上に、送液導入用の穴および送液排出用の穴を予めそれぞれ形成してあるPMMA基板を、PDMS製シートで囲まれた領域の内側にこれらの穴が位置するように配置した(このとき、抗体を固定した表面が流路の内側となるように、PMMA基板が配置されている)。これらを流路の外側から圧着し、ビスを用いて、PMMA基板と流路シート(すなわち、前記PDMS製シート)、該流路シートと支持体を固定し、センサチップ(B)を製造した。
上述のようにして作成したセンサチップ(B)を用いて、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(C)の製造)
実施例1のセンサチップ(A)の製造において、分子量50万のカルボキシメチルデキストラン〔CMD〕を1mg/mlの代わりに、分子量5000のポリアクリル酸を1mg/mlを用いた以外は、実施例1と同様にしてセンサチップ(C)の製造を行った。ポリアクリル酸層の平均膜厚は30nmであり、密度は2.0ng/mm2であった。
実施例1のアッセイの実施において、上述のようにして製造したセンサチップ(C)を用いて、尿素を2Mの代わりに、アンモニウム乳酸塩を2M用いた以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(D)の製造)
実施例1のセンサチップ(A)の製造において、分子量50万のカルボキシメチルデキストラン〔CMD〕を1mg/mlの代わりに、分子量5000のポリメタクリル酸を1mg/mlを用いた以外は、実施例1と同様にしてセンサチップ(D)の製造を行った。ポリメタクリル酸層の平均膜厚は30nmであり、密度は0.9ng/mm2であった。
実施例1のアッセイの実施において、上述のようにして作成したセンサチップ(D)を用いて、尿素を2Mの代わりに、グリセリンを2M用いた以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(E)の製造)
実施例1のセンサチップ(A)の製造において、CMD層の平均膜厚を70nmから100nmとし、密度を5.0ng/mm2から6.0ng/mm2に変更した以外は、実施例1と同様にしてセンサチップ(E)の製造を行った。
実施例1のアッセイの実施において、上述のようにして作成したセンサチップ(E)を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(F)の製造)
実施例1のセンサチップ(A)の製造において、CMD層の平均膜厚を70nmから10nmとし、密度を5.0ng/mm2から0.4ng/mm2に変更した以外は、実施例1と同様にしてセンサチップ(F)の製造を行った。
実施例1のアッセイの実施において、上述のようにして作成したセンサチップ(F)を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
(センサチップ(G)の製造)
屈折率〔nd〕1.72、厚さ1mmのガラス製の透明支持体((株)オハラ製の「S−LAL 10」)をプラズマ洗浄し、該支持体の片面にクロム薄膜をスパッタリング法により形成した後、その表面にさらに金属部材である金薄膜をスパッタリング法により該透明支持体に金属膜を形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは42〜47nmであった。
非特異吸着防止処理を行なった第1のリガンドが固相化された支持体上に、流路高さ0.5mmを有し、かつ適当な形状および大きさを有する穴のあいたポリジメチルシロキサン〔PDMS〕製シートを設け、さらに、このPDMS製シートの周囲にシリコーンゴム製スペーサを配置した(このシリコーンゴム製スペーサは流路に送液する溶液に触れない状態にある)。該PDMS製シートおよび該シリコーンゴム製スペーサの上に、送液導入用の穴および送液排出用の穴を予めそれぞれ形成してあるPMMA基板を、PDMS製シートで囲まれた領域の内側にこれらの穴が位置するように配置した(このとき、抗体を固相化した表面が流路の内側となるように、PMMA基板が配置されている)。これらを流路の外側から圧着し、ビスを用いて、PMMA基板と流路シート(すなわち、前記PDMS製シート)、該流路シートと支持体を固定し、センサチップ(G)を製造した。
上述のように製造したセンサチップ(G)を用いて、工程(a)において、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml含む0.1mlPBS溶液(アナライト溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイを実施した。
実施例1のアッセイ法において、実施例1で製造したセンサチップ(A)を用いて、上記実施例1の工程(a)において、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml含む0.1mlPBS溶液(アナライト溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイ法を実施した。
実施例1のアッセイ法において、比較例1で製造したセンサチップ(G)を用いて、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml、分子量5000のポリエチレングリコ−ル〔PEG〕4%及び尿素を2M含む0.1mlPBS溶液を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイ法を実施した。
実施例1のアッセイ法において、比較例1で製造したセンサチップ(G)を用いて、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml及び尿素を2M含む0.1mlPBS溶液に分子量50万のカルボキシメチルデキストラン〔CMD〕を実施例6のセンサチップ(E)で使用したCMDの量と同じようになるよう(膜厚100nm、密度2ng/mm2に含まれるCMD量に相当するように)に調整して(約8%)入れ、当該溶液を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイ法を実施した。
実施例1のアッセイ法において、比較例1で製造したセンサチップ(G)を用いて、標的抗原としてAFPを0.1ng/ml及び尿素を2M含む0.1mlPBS溶液に分子量50万のカルボキシメチルデキストラン〔CMD〕を実施例7のセンサチップ(F)で使用したCMDの量と同じようになるよう(膜厚10nm、密度0.4ng/mm2に含まれるCMD量に相当するように)に調整して(約0.1%)入れ、当該溶液を用いた以外は、実施例1と同様にアッセイ法を実施した。
実施例1〜7及び比較例1〜5で実施したそれぞれのアッセイについて、アッセイ蛍光シグナルおよびアッセイノイズシグナルから下記式によりS/Nを算出し、比較例1のS/N比を基準として、以下の通り評価した。結果を表2に示した。
S/N=|(アッセイ発光シグナル)|/|(アッセイノイズシグナル)|
5:比較例1のS/Nに比較し10倍を超える値である場合
4:比較例1のS/Nに比較し7倍以上〜10倍未満である値である場合
3:比較例1のS/Nに比較し4倍以上〜7倍未満である値である場合
2:比較例1のS/Nに比較し2倍以上〜4倍未満である値である場合
1:比較例1のS/Nに比較し1倍以上〜2倍未満である値である場合
2 金属部材
3 自己組織化単分子膜
4 リガンド
5 親水性高分子膜
10 センサチップ
Claims (19)
- 支持体上に少なくとも金属部材、自己組織化単分子膜(SAM)及びリガンドを備え、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用する蛍光測定装置用センサチップを用いたアッセイ方法において、
前記自己組織化単分子膜上に親水性高分子層を形成し、前記親水性高分子層の層中および/または外面に前記リガンドが固定化された蛍光測定装置用センサチップを用い、前記親水性高分子層に保湿剤を接触させることを特徴とするアッセイ方法。 - 前記親水性高分子層は、0.001ng/mm2以上30ng/mm2以下の高分子を含有する請求項1に記載のアッセイ方法。
- 前記親水性高分子層は、0.2ng/mm2以上6ng/mm2以下の高分子を含有する請求項1に記載のアッセイ方法。
- 前記親水性高分子層は、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一種類の高分子を含む請求項1〜3の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記ポリサッカライドは、デキストランまたはデキストラン誘導体である請求項4に記載のアッセイ方法。
- 前記ポリサッカライドは、カルボキシメチルデキストランである請求項5に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤は、尿素、エチレングリコール、グリセリン、アンモニウム乳酸塩、カルボン酸ピロリドン、ジオール、乳酸、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸からなる群から選択される少なくとも一種類の物質である請求項1〜6の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤は、尿素、エチレングリコール、グリセリンおよびアンモニウム乳酸塩からなる群から選択される少なくとも一種類の物質である請求項1〜6の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記親水性高分子層は、平均膜厚が3nm以上130nm以下である請求項1〜8の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記親水性高分子層は、平均膜厚が50nm以上100nm以下である請求項1〜8の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤は、Riviere法による再水和標本水分が40〜200%である請求項1〜10の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記リガンドは前記親水性高分子層に固定化され、前記固定化されたリガンドは、10フェムトmol/cm2以上100ピコmol/cm2以下である請求項1〜11の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤は、アナライトを含む溶液に予め添加され、前記保湿剤が予め添加された前記アナライトを含む溶液を前記親水性高分子層に接触させることにより、前記保湿剤を前記親水性高分子層に接触させる請求項1〜12の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤が予め添加されたアナライト溶液中の前記保湿剤の濃度が5〜30%である請求項13に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤は、アナライトを含む溶液を前記リガンドと接触させる前に前記蛍光測定装置用センサチップ内を洗浄する洗浄液に予め添加され、前記保湿剤が予め添加された洗浄液を前記親水性高分子層に接触させることにより、前記保湿剤を前記親水性高分子層に接触させる請求項1〜12の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 前記保湿剤が予め添加された洗浄液中の前記保湿剤の濃度が5〜30%である請求項15に記載のアッセイ方法。
- 前記支持体は、透明支持体である請求項1〜16の何れか一項に記載のアッセイ方法。
- 請求項1〜17の何れか一項に記載のアッセイ方法に用いられ、支持体上に少なくとも金属部材、自己組織化単分子膜(SAM)及び親水性高分子層を備えた蛍光測定装置用センサチップと、保湿剤とを含むことを特徴とするアッセイ用キット。
- 前記親水性高分子層の乾燥膜厚は、1nm以上50nm以下である請求項18に記載のアッセイ用キット。
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