JP5540964B2 - 蛍光標識剤、並びにこれを用いた結合体及びバイオアッセイ法 - Google Patents
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Description
一方、デキストランなど多くの多糖類は、それ自体では水溶性があるものの、多糖類に蛍光色素による修飾を施すと、多くの場合蛍光色素が疎水的な性質を有するため、本来直鎖状の多糖類が蛍光色素を中心として疎水的に変化し水を排除するように構造変化を起こすことがある。このため、デキストランを蛍光標識剤として用いるためにはさらに水和性を向上させることが必要となる。
前記非イオン性の水和性向上基がポリエチレングリコール基であり、
前記多糖類がデキストランであり、且つ、
前記担体部分と前記水和性向上基部分との結合が、カルボキシル基、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を付与した水和性向上基を、直接またはスペーサーを介して前記担体部分を構成する多糖類に結合させることによって形成されたものである。
ここで、本発明に係る蛍光標識剤は、多糖類からなる担体部分を骨格とし、該担体部分に蛍光色素部分、非イオン性の水和性向上基からなる水和性向上基部分、および、標識対象分子への結合部位がそれぞれ結合した構造を有し、
前記非イオン性の水和性向上基がポリエチレングリコール基であり、
前記多糖類がデキストランであり、且つ、
前記水和性向上基部分が、前記担体部分を構成する多糖類にアルカリ条件下でエチレンクロロヒドリンまたはエチレンオキサイドを作用させることにより形成されたものであってもよい。
この蛍光標識剤において、この非イオン性の水和性向上基の重量平均分子量は100以上1000以下であることが好ましい。
検体と蛍光標識剤とを反応させることにより該検体中のアナライトと該蛍光標識剤とを結合させて、標識化アナライトを形成する工程と、
前記標識化アナライトを、蛍光検出により測定する工程と
を含む。 そして、第2のバイオアッセイ法は、
アナライトと特異的に結合可能なリガンドと前記蛍光標識剤とを結合させて、標識化リガンドを形成する工程と、
前記標識化リガンドに検体を接触させることにより該検体中のアナライトと該標識化リガンドとを結合させて、アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を形成する工程と、
前記アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を、蛍光検出により測定する工程と
を含む。この第2のバイオアッセイ法において、検体中のアナライトを、前記標識化リガンドとの接触前に予め基板に固定化する工程をさらに含むことが好ましい。
〔蛍光標識剤〕
本発明の第1の発明として、本発明に係る蛍光標識剤は、
多糖類からなる担体部分、蛍光色素部分および水和性向上基部分を含み、且つ
標識対象分子への結合部位を有する。
本発明において、担体部分は蛍光標識剤の骨格構造をなすものであり、具体的には多糖類からなるものである。ここで、本発明において、多糖類とは、1種または2種以上の単糖からなる繰り返し構造を有する糖の重合体を指す。
本発明において、水和性向上基部分は蛍光標識剤の水和性を向上させる役割を果たす。また、水和性向上基部分は、本発明の蛍光標識剤における非特異吸着を防止するとともに、蛍光色素部分を構成する蛍光色素分子同士によるクエンチング(消光)現象を防止または抑制する役割をも有している。さらに、理由は不明ではあるものの、水和性向上基部分を有する本発明の蛍光標識剤においては、蛍光色素分子の耐光性が、もとの蛍光色素を単体で用いた場合と比べて向上する。そのため、本発明に係る蛍光標識剤は、バイオアッセイに用いられたときに感度の向上を実現することができる。
なお、本明細書では、「水和性向上基」は、「親水性基」と呼ばれる場合もある。
本発明において、蛍光色素部分は、少なくとも1つの蛍光色素分子からなる部分であり、所定の励起光を照射する、または電界効果を利用して励起することによって蛍光を発光する機能をなすものである。ここで、「蛍光」は、燐光など各種の発光も含む。
本発明において、標識対象分子への結合部位(以下、「結合部位」ともいう。)は、本発明に係る蛍光標識剤が標識対象分子との結合に関わる部位である。ここで、標識対象分子とは、後述するように、本発明に係る蛍光標識剤による標識対象となる生体分子またはこれに関連する分子のことである。
本発明において、標識対象分子とは、本発明に係る蛍光標識剤による標識対象となる生体分子またはその分子断片、あるいはこれらに関連する分子のことである。この標識対象分子の典型例としては、アナライト、およびアナライトと特異的に結合可能なリガンドなどが挙げられるが、本発明に係る蛍光標識剤による標識対象となる生体分子またはこれに関連する分子である限りこれらに限定されるものではない。例えば、アナライトとリガンドとの複合体であってもよい。標識対象分子は、一般的な公知のバイオアッセイにおいて蛍光標識の対象とされる生体分子またはこれに関連する分子であれば、特にその種類に限りはなく、例えば、核酸、タンパク質、アミノ酸、糖質、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられる。なお、「アナライト」および「アナライトと特異的に結合可能なリガンド」の意義については、後で説明する。
本発明に係る蛍光標識剤は、多糖類からなる担体部分に、蛍光色素部分、水和性向上基部分、および標識対象分子への結合部位をそれぞれ結合させることによって得られる。これらの蛍光色素部分、水和性向上基部分、および標識対象分子への結合部位は、いずれも、上記担体部分に対して直接または適度の長さのスペーサーを介して、結合させてもよい。また、これらの蛍光色素部分、水和性向上基部分、および標識対象分子への結合部位が適切に上記担体部分に導入され、且つ蛍光標識としての機能を損なわない限り、これらの蛍光色素部分、水和性向上基部分、および標識対象分子への結合部位を公知の反応により任意の順番で上記担体部分に導入してもよい。
上記担体部分を構成する多糖類の構成単糖に含まれる1,2-ジオール部分の一部をメタ過ヨウ素酸またはその塩などを用いて酸化的に開裂させてアルデヒド基を形成し、
次いで、アミノ基を有する蛍光色素およびビオチンのヒドラジド誘導体と反応させ、
その後水素ホウ素ナトリウム等により未反応のアルデヒド基を還元する
ことにより得られる高分子化合物に対して、
カルボキシル基、イソシアネート基またはイソチオシアネート基などと反応性を示す適当な官能基を予め付与した一定の分子量を有する水和性向上基を、常法を用いて導入する方法が挙げられる。
その後、カルボキシル基、イソシアネート基またはイソチオシアネート基などと反応性を示す適当な官能基を予め付与した水和性向上基を、常法を用いて導入する
方法も挙げられる。
まず、担体部分を構成する多糖類に塩基性条件下で、例えばエチレンクロロヒドリンまたはエチレンオキサイドを作用させることにより、ポリエチレングリコール基を導入し、
次いで、カルボキシル基、イソシアネート基またはイソチオシアネート基などと反応性を示す適当な官能基を予め付与した蛍光色素部分とビオチン誘導体を、それぞれ常法を用いて上記担体部分に導入する 方法も挙げられる。この3つめの方法の場合には、蛍光色素部分を構成する蛍光色素分子のうちの少なくとも一部はポリエチレングリコール基を介して担体部分と結合する。
本発明の第2の発明として、本発明に係る結合体は、
標識対象分子と第1の発明に係る蛍光標識剤とを含み、
この標識対象分子と蛍光標識剤とが前記結合部位を介して結合している。
本発明において「アナライト」は、上記蛍光標識剤を用いた各種バイオアッセイ法における検出の対象となる分子または分子断片を意味し、このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
本発明において、「アナライトと特異的に結合可能なリガンド」(本発明において、「リガンド」ともいう。)は、検体中に含有される上記アナライトを特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子または分子断片をいう。このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般的なバイオアッセイにおいては、抗原がアナライトとされる場合が多いことから、これに対応するリガンドとして、この抗原に対応する抗体が用いられることが多い。このため、本発明に係る結合体に含まれる標識対象分子としてのリガンドの典型例は、抗体である。
本発明に係る結合体は、上記標識対象分子が直接または適当なスペーサーを介して第1の発明に係る蛍光標識剤中の結合部位と結合し、これにより標識対象分子と第1の発明に係る蛍光標識剤とが結合した構造を有している。このときの結合方法は、共有結合であってもよく、水素結合、配位結合、イオン結合などであってもよく、あるいは、ビオチン−ストレプトアビジン結合等の親和性を利用した結合であってもよい。
本発明の第3の発明として、本発明に係る第1のバイオアッセイ法は、
検体と第1の発明に係る蛍光標識剤とを反応させることにより該検体中のアナライトと該蛍光標識剤とを結合させて、標識化アナライトを形成する工程と、
前記標識化アナライトを、蛍光検出により測定する工程と
を含む。
アナライトと特異的に結合可能なリガンドと第1の発明に係る蛍光標識剤とを結合させて、標識化リガンドを形成する工程と、
前記標識化リガンドに検体を接触させることにより該検体中のアナライトと該リガンド−蛍光標識結合体とを結合させて、アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を形成する工程と、
前記アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を、蛍光検出により測定する工程と
を含む。
本願発明に係るバイオアッセイ法における工程を大別すると、2つの工程に分けることができる。
(1)本発明に係る第1のバイオアッセイ法では、蛍光測定に用いる測定用複合体は標識化アナライトである。したがって、第1のバイオアッセイ法における第1の工程は、具体的には、検体と第1の発明に係る蛍光標識剤とを反応させることにより該検体中のアナライトと該蛍光標識剤とを結合させて、標識化アナライトを形成する工程である。
(2)本発明に係る第2のバイオアッセイ法では、蛍光測定に用いる測定用複合体はアナライト−リガンド−蛍光標識複合体である。この方法では、一旦標識化リガンドを形成させてから前記複合体を形成することから、第2のバイオアッセイ法における第1の工程は、さらに2つの小工程からなる。
本願発明に係るバイオアッセイ法における
この工程で用いられる測定方法は、バイオアッセイの分野において一般に用いられている公知の蛍光測定の方法であれば特に限定されない。また、測定用複合体が液相に存在するか、基板等に固定されているかの別をも問わない。
本発明において、「検体」とは、本発明のバイオアッセイ法による測定対象となる種々の試料をいう。
[合成例1]
カルボキシメチルデキストラン(名糖産業製CMD、分子量1万、置換度1.04)100mgをTEMED buffer(テトラメチルエチレンジアミン、10mM、pH4.7)500μlに溶解し、40mgのWSC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)を添加して、室温で2時間反応させた。その後、1,4-ジアミノブタン30mgを添加して、室温で4時間反応させた。更に、蛍光色素の活性エステル体(Alexa 647)を20mg加えて6時間反応後、ポリエチレングリコールの活性エステル(Metyl-PEO4-NHS、Pierce社製(MW333.33))を40mg加えて1昼夜反応させた。反応生成物をディスポーザブルPD10(GEヘルスケア社製)で精製して目的物の蛍光デキストラン(以下、「蛍光デキストラン1」)87mgを得た。
蛍光色素として、Alexa647に代えてHiLyte Fluor 647を用いたことを除き、合成例1と同じ手法により蛍光デキストラン(以下、「蛍光デキストラン2」)を調製した。
水溶性基を導入するために用いられるポリエチレングリコールの活性エステルとして、Metyl-PEO4-NHSに代えてMetyl-PEO12-NHS(Pierce社製:MW685.75)を用いたことを除き、合成例1と同じ手法により蛍光デキストラン(以下、「蛍光デキストラン3」)を調製した。
カルボキシメチルデキストラン(名糖産業製CMD、分子量1万、置換度1.04)100mgをTEMED buffer(テトラメチルエチレンジアミン、10mM、pH4.7)500μlに溶解し、40mgのWSC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)を添加して、室温で2時間反応させた。その後、蛍光色素アミノ体(同仁化学製品 HiLyte Fluor 647 Labeling Kit - NH2)を20mg加えて1昼夜反応させた。反応生成物をディスポーザブルPD10(GEヘルスケア社製)で精製して目的物の蛍光デキストラン(以下、「比較蛍光デキストラン1」)87mgを得た。
Alexa Fluor 647による修飾が施されている市販の蛍光デキストランD22914(分子量10000、モレキュラープローブ社製)を比較蛍光標識剤として用いた(以下、「比較蛍光デキストラン2」)。
[蛍光デキストランを用いた標識抗AFPモノクローナル抗体の調製方法]
〔標識抗体:蛍光デキストラン標識抗AFPモノクローナル抗体の調製〕
蛍光デキストラン1を20mg秤量し、25mM MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)バッファー (pH 6.0) 1 mLに溶解後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC:(株)同人化学研究所製)50 mM、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS:Thermo Scientific社製)50 mMによりカルボキシル基を活性化させた。 活性化させた蛍光デキストラン4 μLを、1.4 mg/mL 抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体(6D2、ミクリ免疫研究所(株)製)、100 μLに添加し(10当量)、室温で1時間反応させて蛍光デキストランを抗体に反応させた。 反応後、遠心式限外ろ過(Millipore社製)により精製することで、蛍光デキストラン標識抗AFPモノクローナル抗体溶液を得た(標識抗体1)。
標識抗体2および3についても、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体と結合させる蛍光デキストランとして、蛍光デキストラン1に代えて蛍光デキストラン2および蛍光デキストラン3をそれぞれ用いたことを除き、同様の方法により調製した。
〔標識二次抗体1:「Alexa Fluor 647」標識抗AFPモノクローナル抗体の調製〕
抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体(6D2、2.5mg/mL、ミクリ免疫研究所(株)製)を、市販のAlexa Fluor 647ラベリングキット(Molecular Probes社製)により調製し、Alexa Fluor 647標識抗AFPモノクローナル抗体溶液(比較標識抗体3)を得た。
得られた抗体溶液はタンパク質、蛍光色素濃度を吸光度測定器により定量後、4℃で保存した。
比較標識抗体1および比較標識抗体2については、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体と結合させる蛍光デキストランとして、蛍光デキストラン1に代えて比較蛍光デキストラン1および比較蛍光デキストラン2をそれぞれ用いたことを除き、標識抗体1と同様の手法により調製した。
1.4 mg/mL 抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体(1D5、ミクリ免疫研究所(株)製)、25mM MESバッファー (pH 6.0) 1 mLに、EDC 50 mM、NHS 50 mMを加えてカルボキシル基を活性化させた。 4−アミノサリチル酸を顕色剤として用い、抗体溶液100 μLに対して、5 mM の顕色剤を4 μL添加し(10当量)、室温で1時間反応させて顕色剤を抗体に結合させた。 反応後、遠心式限外ろ過により精製することで、顕色剤標識抗AFPモノクローナル抗体溶液を得た。得られた抗体溶液はタンパク質濃度を吸光度測定器により定量後、4℃で保存した。
上述のように得られた各標識抗体および各比較標識抗体について、標識体としての性能評価を行った。
・測定装置:NanoDrop 2000(サーモサイエンティフック社製)
(b) 標識抗体当たりの蛍光強度は、一定量の標識抗体を秤量後、蛍光体の蛍光ピークを測定し、消光しない標識前の蛍光体標準品を元にして、蛍光強度の相対値を測定し抗体単位あたりの蛍光強度に換算したものである。
・測定装置:蛍光光度計ND-3300(サーモサイエンティフック社製)
SPFSを用いたサンドイッチイムノアッセイ評価
(工程1:金属薄膜の形成)
厚さ1mmのガラス製の透明平面基板「S-LAL 10」((株)オハラ製。屈折率〔nd〕=1.72)を、プラズマドライクリーナーでプラズマ洗浄した。プラズマ洗浄された基板表面に金薄膜をスパッタリング法により形成した。金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
前記工程1により得られた基板を、10−アミノ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に12時間以上浸漬し、金薄膜の片面にSAM(Self Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜)を形成した。この基板を、前記エタノール溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールでそれぞれ洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。得られたSAMがパターニングされた金属基板をカルボキシメチルデキストラン(名糖産業(株)製、分子量500万、置換度1.08)1mg/mL水溶液に浸漬した。更に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC:(株)同人化学研究所製)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS:Thermo Scientific社製)をそれぞれ0.5mMになるように加え1.5時間室温で反応させ、アミノ基末端のSAMとデキストランのカルボキシル基とのアミドカップリングを行うことによりデキストランが固定化されたプラズモン励起センサ前駆基板を得た。 反応終了後、1 Nの水酸化ナトリウムを基板表面に滴下し、室温で30分反応させることにより、活性化したカルボキシル基をカルボン酸に変換した。
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC:(株)同人化学研究所製)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS:Thermo Scientific社製)それぞれ100mMを含む25mM MES(2−モルホリノエタンスルホン酸) バッファー、 10mM NaCl(pH6.0)混合液を、デキストランを固定した基板に滴下し、20分室温で反応させ、センサチップに組み込まれた前駆基板の表面に固定されたカルボキシメチルデキストランを活性エステル化した。
工程3で得られたプラズモン励起センサ前駆基板のうちの抗体が結合された側の面に、測定領域を形成するための、流路長7mm、幅2mmの厚さ2mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)製流路を載せた。このPMMA製流路には、送液導入用の穴(送液導入口)および送液排出用の穴(送液排出口)が形成されている。これらセンサ基板、およびPMMA製流路の積層物を外周部で圧着してビスで固定し、センサチップとした。
前記工程1〜4により作製された表面プラズモン励起センサに、まず、AFP(2.0mg/mL溶液、Acris Antibodies GmbH社)が0.1ng/mLとなるようPBSバッファー(pH7.4)で希釈した溶液を、5000μL/minにて25分間フローさせた。洗浄工程として、0.05%Tween20を含んだTBS溶液(pH7.4)を5000μL/minにて2分間フローさせた。
更に比較標識抗体2、1および本発明の標識抗体1、2、3を用いたアッセイを行った。
ルから下記式によりS/N比を算出した。
S/N比=|(アッセイシグナル)|/|(ブランクシグナル)|
測定結果を、下記表3に示す。
表3の結果から明らかなように、本発明の親水性基を導入した蛍光デキストランを用いたSPFS測定では、従来の蛍光デキストラン標識抗体を用いたものよりも測定シグナルが大きく、ブランクが小さいので、圧倒的に非特異吸着が少ないことが分かる(標識抗体1〜3)。また、通常の低分子標識剤で標識された抗体(比較標識抗体3)に比べても蛍光シグナルの向上が大きく、測定困難な微量測定でも有益な標識体であることが分かる。一方、親水性基を有さない従来の蛍光デキストランを用いたもの(比較標識抗体1および2)では、ブランクが大きく非特異吸着が大きいことが示唆されており、標識剤としての使用に適さないことが分かる。
Claims (11)
- 多糖類からなる担体部分を骨格とし、該担体部分に蛍光色素部分、非イオン性の水和性向上基からなる水和性向上基部分、および、標識対象分子への結合部位がそれぞれ結合した構造を有し、
前記非イオン性の水和性向上基がポリエチレングリコール基であり、
前記多糖類がデキストランであり、且つ、
前記担体部分と前記水和性向上基部分との結合が、カルボキシル基、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を付与した水和性向上基を、直接またはスペーサーを介して前記担体部分を構成する多糖類に結合させることによって形成されたものである
蛍光標識剤。 - 多糖類からなる担体部分を骨格とし、該担体部分に蛍光色素部分、非イオン性の水和性向上基からなる水和性向上基部分、および、標識対象分子への結合部位がそれぞれ結合した構造を有し、
前記非イオン性の水和性向上基がポリエチレングリコール基であり、
前記多糖類がデキストランであり、且つ、
前記水和性向上基部分が、前記担体部分を構成する多糖類にアルカリ条件下でエチレンクロロヒドリンまたはエチレンオキサイドを作用させることにより形成されたものである
蛍光標識剤。 - 前記非イオン性の水和性向上基の重量平均分子量が100以上1000以下である請求項1または2に記載の蛍光標識剤。
- 前記蛍光色素部分が、前記担体部分の分子量10000あたり3〜10分子の蛍光色素分子からなる請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光標識剤。
- 上記担体部分の分子量が10万以下である請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光標識剤。
- 標識対象分子と請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光標識剤とを含み、該標識対象分子と該蛍光標識剤とが前記結合部位を介して結合している結合体。
- 前記標識対象分子が、アナライトと特異的に結合可能なリガンドである請求項6に記載の結合体。
- 前記リガンドが抗体である請求項7に記載の結合体。
- 検体と請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光標識剤とを反応させることにより該検体中のアナライトと該蛍光標識剤とを結合させて、標識化アナライトを形成する工程と、
前記標識化アナライトを、蛍光検出により測定する工程と
を含むバイオアッセイ法。 - アナライトと特異的に結合可能なリガンドと請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光標識剤とを結合させて、標識化リガンドを形成する工程と、
前記標識化リガンドに検体を接触させることにより該検体中のアナライトと該標識化リガンドとを結合させて、アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を形成する工程と、
前記アナライト−リガンド−蛍光標識複合体を、蛍光検出により測定する工程と
を含むバイオアッセイ法。 - 前記検体中のアナライトを、前記標識化リガンドとの接触前に予め基板に固定化する工程をさらに含む請求項10に記載のバイオアッセイ法。
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