JP5772465B2 - 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に係り、特にクロメートフリー化成処理電気亜鉛めっき鋼板の導電性向上に関する。
近年、薄型テレビに代表されるデジタル家電の進展に伴い、これらの電気・電子製品からの電磁波漏洩が大きな問題となっている。電気・電子製品から漏洩する電磁波は、他の電気・電子製品に対する妨害波として作用し誤作動等を招来する。そのため、国内外において電気・電子製品の電磁波漏洩に関する規格が設けられており、CISPR(国際無線障害特別委員会)やVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)では、周波数:30〜1000MHzでの漏洩電磁波について、電界強度の上限値を規定している。また、外部からの電気的な妨害による誤作動等の障害を防止する対策も必要となる。
これらの対策として、例えば液晶・PDP(プラズマディスプレイパネル)等の薄型テレビなどでは、内蔵される回路基板を電磁的に遮蔽する目的で、シールドボックス等の素材として電磁波シールド性を有する鋼板が用いられている。ここで、鋼板の電磁波シールド性は該鋼板の導電性に左右され、導電性が高いほど電磁波シールド性は良好となる。そのため、電気・電子製品の構成部材として用いられる鋼板には、優れた導電性を有することが要求される。一方、電気・電子製品は様々な腐食環境下で使用されることから、これらの構成部材は、実使用環境で所望の耐食性を有することも重要となる。また、特に薄型テレビのシールドボックスなどでは、耐指紋性等の意匠性も要求される。
以上のように、薄型テレビをはじめとする電気・電子製品の構成部材は、その素材として高い導電性を有するとともに耐食性や耐指紋性(意匠性)にも優れた素材を適用することが必要とされている。そのため、電気・電子製品を構成する部材の素材としては、電磁波シールド性を有するとともに優れた耐食性を兼ね備えた電気亜鉛めっき鋼板に、更に耐食性や耐指紋性等の特性を向上させるために化成処理が施された電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板が広く用いられている。
従来、上記の化成処理としてクロメート処理が広く用いられてきたが、環境負荷低減の観点から、クロメートフリー化成処理への変更が進められている。しかし、クロメートフリー化成処理で十分な耐食性を発現させるためには、クロメート処理と比較して処理皮膜の膜厚を増加させる必要がある。化成処理皮膜は通常、絶縁性である為、クロメートフリー化成処理皮膜を具えた電気亜鉛めっき鋼板では、クロメート皮膜を具えた電気亜鉛めっき鋼板に比べて導電性が大幅に低下している。
ここで、薄型テレビのシールドボックス等をはじめとする電気・電子製品の構成部材は、多くの場合、素材となる鋼板同士を接合して所望の形状に形成される。そのため、上記のように導電性が大幅に低下した電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板を電気・電子製品の構成部材に適用した場合、電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板同士の接触面、すなわち化成処理皮膜同士が接触する部分で十分な電磁波シールド特性を確保することができず、電磁波が漏洩してしまう。
以上の理由により、電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板においては、導電性の向上を図る技術が強く要望されている。
絶縁性皮膜を具えた鋼板の導電性を高めるうえでは、化成処理皮膜の被覆率を制御することが極めて有効とされており、現在までに様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、表面粗度が中心線平均粗さRa(JIS B 0601)で1.0μm以下である金属板またはクロメート被覆金属板またはクロメート被覆めっき金属板の上層に、シリカを5〜35%含有する付着量0.25〜1g/m2の有機複合皮膜を、被覆面積率が70〜99%となるように形成する技術が提案されている。また、特許文献2には、表面粗度が中心線平均粗さRa(JIS B 0601)で1.0μm以下である金属板またはクロメート被覆金属板またはクロメート被覆めっき金属板の上層に、固形潤滑剤を重量%で1〜30%含有する有機複合皮膜を、被覆面積率が70〜99%となるように形成する技術が提案されている。そして、これらの技術によると、有機複合皮膜を塗装する前の原板(金属板またはクロメート被覆金属板またはクロメート被覆めっき金属板)の表面に凹凸を設け、原板表面凹部に有機複合皮膜が入りこむようにし、原板が有機複合皮膜に覆われていない部分(すなわち、有機複合皮膜から、下層の金属やクロメート皮膜が露出した部分)を設けることで、絶縁性皮膜を具えた鋼板であっても優れた導電性が得られるとされている。
しかしながら、JIS B 0601(および同JISで引用されるJIS B 0651)では、中心線平均粗さRaを測定する際のカットオフ値が0.08mm以上に規定されている。このカットオフ値からも明らかであるように、特許文献1および2で提案された技術は、有機複合皮膜を形成する前の金属板表面に比較的長い波長の凹凸を付与し、その凸部を有機複合皮膜から露出させようとするもの、或いは、図2に示すように、上記金属板10表面の凹凸の輪郭に沿うようにめっき層21やクロメート皮膜22を形成し、クロメート皮膜の凸部を有機複合皮膜30から露出させようとするものある。そのため、金属やクロメート皮膜の露出部の面積率自体は1〜30%と低いが、露出部一箇所あたりの面積が大きくなってしまい、十分な耐食性が得られないという問題があった。
また、特許文献3には、金属材の表面形態を制御して表面処理皮膜の被覆率を70%以上100%未満とする技術、具体的には、凹部を有するロールで金属板を圧延してその表面に高さ0.5〜30μmの凸部を設けたのち、表面処理皮膜を形成することで、表面処理皮膜の被覆率を70%以上100%未満とする技術が提案されている。そして、この技術によると、金属板表面の凸部を表面処理皮膜から露出させることにより、絶縁性皮膜を具えた鋼板であっても優れた導電性が得られるとされている。
しかしながら、上記の如く凹部を有するロールで金属板を圧延することにより、金属板表面にミクロンオーダー以下の短い波長の凹凸を形成することは不可能である。そのため、特許文献3で提案された技術でも、表面処理皮膜を形成する前の原板(金属板)に付与される凹凸は比較的長い波長の凹凸なとり、特許文献1および2で提案された技術と同様、十分な耐食性が得られないという問題があった。なお、特許文献3には、析出条件を調整して金属板に電気めっきを粒状に析出させることで、金属板表面に所望の凸部を設けることができるとされているが、特許文献3には、その具体的な電気めっき条件等については何ら記載されていない。
以上のように、絶縁性皮膜を具えた鋼板である電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板に導電性を発現させるためには、電気亜鉛めっきが絶縁性皮膜から露出した部分を形成する必要がある。しかしながら、上記の従来技術は何れも、めっき前の下地鋼板の表面凹凸を意図的に制御することで、めっき(下地鋼板の凹凸に追随し、ほぼ膜厚一定で形成される)後に、下地鋼板の凸部に化成処理皮膜の薄い部分あるいは露出部分を形成するものであった。ここで、下地鋼板の凹凸の波長は、スキンパスロールの形状などにもよるが通常は10μm以上のオーダーである。そのため、従来技術では、下地鋼板の表面凹凸が比較的長い波長の凹凸となることから、露出部一箇所あたりの面積が大きくなってしまい、導電性は向上するものの本来の重要特性である耐食性が低下してしまうという問題があった。
このような問題に対し、特許文献4には、化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板に関し、鋼板表面に最大高さ粗さ(Rz)が0.6〜1.1μm(但し、カットオフ値:0.01mm)の電気亜鉛めっき層を形成し、該電気亜鉛めっき層の上層に平均皮膜厚さが0.05〜1.0μmの化成処理皮膜を形成することで、化成処理皮膜に対する露出部の面積率を電気亜鉛めっき被覆面積の0.3〜1.0%とする技術が提案されている。また、鋼板表面に最大高さ粗さ(Rz)が0.6〜1.1μm(但し、カットオフ値:0.01mm)の電気亜鉛めっき層を形成するための具体的手段として、電解浴を硫酸水溶液とし、電解電流密度を100〜200A/dm2の範囲とする手段が提案されている。なお、上記の最大高さ粗さRzは、JIS B 0601(2001)に規定される「最大高さ粗さ」である。また、上記においてカットオフ値λcを0.01mm(10μm)とするのは、下地鋼板に起因する表面方向の波長10μm以上の凹凸から、電気亜鉛めっき結晶の微小凹凸を抽出して評価するためである。
特開平10−330955号公報 特開平10−330956号公報 特開2005−139551号公報 特開2011−32528号公報
特許文献4で提案された技術は、亜鉛結晶に起因した微小な凹凸(波長:ミクロン〜サブミクロンオーダー程度の短い波長の凹凸)を電気亜鉛めっき層の表面に付与する技術であり、図1に示すように、鋼板1に形成された電気亜鉛めっき層2表面の微細な凹凸のうちの凸部を化成処理皮膜3から露出させようとするものである。スキンパスにより形成された下地鋼板の凹凸に対応するような比較的大きな亜鉛露出部(図2)がなくても、亜鉛結晶に起因した微小な凹凸によって形成されるミクロン以下レベルの亜鉛露出部(図1)でも高い導電性を確保することが可能である。また、図1に示すように亜鉛露出部が極微細であれば、耐食性への影響も非常に小さく抑えることができる。そのため、特許文献4で提案された技術によると、化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板の導電性と耐食性を高度に両立することができる。
しかしながら、特許文献4で提案された技術では、鋼板表面に最大高さ粗さ(Rz)が0.6〜1.1μm(但し、カットオフ値λc:0.01mm)の電気亜鉛めっき層を形成する際の電流密度は、最大でも200A/dm2である。したがって、より生産性を向上させる為、更に高い電流密度で最大高さ粗さ(Rz)が0.6〜1.1μmの電気亜鉛めっき層を形成する技術が望まれていた。
すなわち、大量生産される薄型テレビ等の電子・電器製品に対しては、その素材となる化成処理電気亜鉛めっき鋼板を高い生産性をもって安定的に生産・供給することが要求されるが、特許文献4で提案された技術では、所望の特性を具えた高品質の電気亜鉛めっきベース化成処理鋼板が得られるものの、生産性に限界があり、更に生産性を向上させる技術が求められていた。
本発明は上述した現状を踏まえて開発されたもので、本発明の目的は、導電性と耐食性が共に優れたクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、生産性を高めることが可能な方法を提供することにある。
特許文献4で提案された技術では、鋼板表面に電気亜鉛めっき層を形成する際の電流密度が200A/dm2を超えると、電気亜鉛めっき層の最大高さ粗さRz(カットオフ値λc:0.01mm)が所望の値未満となり、化成処理後の電気亜鉛めっき鋼板の導電性が十分に得られないとされている。
そこで、更に高い生産性を実現すべく、本発明者らは、鋼板表面に電気亜鉛めっき層を形成するに際し、200A/dm2を超える高電流密度とした場合であっても最大高さ粗さRzが0.6〜1.1μm(カットオフ値λc:0.01mm)の電気亜鉛めっき層を安定して形成し得る手段について鋭意検討した。
その結果、鋼板表面に電気亜鉛めっき層を形成する際、電気亜鉛めっき浴として、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を所定量含有し、所定のpHを持つ硫酸酸性電気亜鉛めっき浴を使用し、更に電流密度を220〜500A/dm2とすることにより、所望の最大高さ粗さRz :0.6〜1.1μm(カットオフ値λc:0.01mm)を有する電気亜鉛めっき層を得ることが可能であることを知見した。
更に、このようにして得られた電気亜鉛めっき鋼板にクロメートフリー化成処理を施すに際し、クロメートフリー処理皮膜の膜厚を適正範囲に制御することで、高度な導電性と耐食性を兼ね備えた電気亜鉛めっきベースクロメートフリー化成処理鋼板を安定して得られることを知見した。
本発明は、これらの知見に基づきなされたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1]鋼板表面に電気亜鉛めっき処理を施し電気亜鉛めっき鋼板とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記電気亜鉛めっき処理が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有しpHが1.2以上2.5以下である硫酸酸性電気亜鉛めっき浴中で、電流密度を220A/dm2以上500A/dm2以下とする処理であることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記[1]に記載の方法により製造された電気亜鉛めっき鋼板に、更に上層として平均厚さ0.05μm以上1.0μm以下のクロメートフリー化成処理皮膜を形成することを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明の方法によれば、家電製品、電子・電気機器等の用途に供して好適な、耐食性と導電性が共に優れた電気亜鉛めっきベースクロメートフリー化成処理鋼板を、工業的レベルで安定して生産することが可能となる。
本発明の方法に従い製造された電気亜鉛めっきベースクロメートフリー化成処理鋼板(断面)の表面部を模式的に示した図である。 従来の方法に従い製造された絶縁性皮膜付き鋼板(断面)の表面部を模式的に示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、電気亜鉛めっき処理時に形成される亜鉛結晶の析出形態を制御することで、鋼板表面に、最大高さ粗さRz(JIS B 0601(2001)に規定される「最大高さ粗さ」)が0.6〜1.1μm(但し、カットオフ値λc:0.01mm)の電気亜鉛めっき層、すなわち図1の如く亜鉛結晶に起因した微細な(波長の短い)凹凸を有する電気亜鉛めっき層を形成しようとするものである。そして、本発明は、鋼板表面に電気亜鉛めっき処理を施し電気亜鉛めっき鋼板とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記電気亜鉛めっき処理が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有しpHが1.2以上2.5以下である硫酸酸性電気亜鉛めっき浴中で、電流密度を220A/dm2以上500A/dm2以下とする処理であることを特徴とする。
本発明における原板となる鋼板は、従来公知のめっき用鋼板であって、冷延板、熱延板等がいずれも好適に使用できる。また、板厚は0.2〜4.0mmが望ましい。
なお、本発明においては、原板となる鋼板に所定の電気亜鉛めっき処理を施すが、必要に応じて電気亜鉛めっき処理に先立ち前処理、例えば、鋼板表面を清浄化するための脱脂処理および水洗さらに鋼板表面を活性化するための酸洗処理および水洗する前処理を施すことが好ましい。
続いて、上記の如く必要に応じて前処理が施された鋼板に電気亜鉛めっき処理を施すが、本発明では、電気亜鉛めっきで使用するめっき浴を、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有しpHが1.2以上2.5以下である硫酸酸性電気亜鉛めっき浴とする。これにより、適正電流密度(220A/dm2以上500A/dm2以下)で電解した際、電気亜鉛めっき層表面に、亜鉛結晶に起因したミクロンオーダーあるいはそれ以下の波長を有する凹凸を与えることができ、適正な表面粗さ、すなわちカットオフ値λc:0.01mmで測定した場合の最大高さ粗さRzが0.6〜1.1μmである電気亜鉛めっき層を得ることができる。
特許文献4で提案された技術のように、めっき浴として所定の亜鉛濃度に調整した硫酸浴を用いた場合、電流密度が200A/dm2を超えると、電気亜鉛めっき層表面における亜鉛結晶の凹凸が微細になり過ぎてしまう。そのため、カットオフ値λc:0.01mmで測定される電気亜鉛めっき層の最大高さ粗さRzが所望の値未満(0.6μm未満)となってしまう。なお、電流密度が大きくなるにつれて亜鉛結晶の凹凸が微細になる理由は、電流密度が大きくなるにつれ、亜鉛結晶成長速度に比較して亜鉛結晶の核生成速度が速くなる結果、形成される亜鉛結晶が微細化し過ぎるためと推測される。
そこで、本発明では、亜鉛結晶の析出形態を調整する目的で、所定の亜鉛濃度に調整した硫酸浴に、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を含有させる。このような硫酸酸性電気亜鉛めっき浴を用いることにより、200A/dm2を超える電流密度で電気亜鉛めっき処理を施す際、亜鉛結晶に起因した凹凸が微細化し過ぎることがなく、最大高さ粗さが0.6〜1.1μmである電気亜鉛めっき層が得られる。なお、このような効果が得られる理由は定かではないが、所定の亜鉛濃度に調整した硫酸浴に、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を含有させ、更に220A/dm2以上の高い電流密度でめっきすると、電気亜鉛めっき時の過電圧を大巾に高め、亜鉛めっきのZn六方稠密晶の優先配向面が(0002)面から以下の面に変化するためであると推測される。
Figure 0005772465
上記した硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上の合計含有量が0.75mol/L未満の場合、上記した効果を十分に発現することができず、カットオフ値λc:0.01mmで測定される電気亜鉛めっき層の最大高さ粗さRzが所望の値未満(0.6μm未満)となってしまう。そのため、本発明では、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有するものとする。実操業下での電気亜鉛めっき浴中の成分濃度等のばらつきも考慮すると、上記含有量を1.0mol/L以上とすることが好ましい。
なお、上記した硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上の合計含有量が過剰になると、これらの成分が硫酸酸性電気亜鉛めっき浴中に溶解せず、粉状に残ってしまう。そのため、上記した硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上の合計含有量の上限は、これらの成分の溶解度を超えない程度とすることが好ましく、2.0mol/L以下とすることが好ましい。
硫酸酸性電気亜鉛めっき浴のpHは、1.2以上2.5以下の範囲とすることが必要である。pHが1.2未満では、電気亜鉛めっき層表面に形成される亜鉛結晶に起因した凹凸が小さくなり過ぎ、必要なRzが得られない。また、pHが2.5を超えると、亜鉛電析の電流効率が低下し、所定の亜鉛付着量を得るために必要な電気量が増大するため、製造コスト(電気代)の上昇を招く。なお、実操業下での電気亜鉛めっき浴中の成分濃度等のばらつきを考慮すると、pHを1.6以上2.2以下の範囲とすることがより好ましい。
電気亜鉛めっき処理における電解電流密度は、220 A/dm2以上500A/dm2以下とする必要がある。上記のように、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有した硫酸酸性電気亜鉛めっき浴を用いる場合、220A/dm2未満では、電気亜鉛めっき層表面における亜鉛結晶の凹凸が小さくなり過ぎ、所望のRzが得られない。一方、電解電流密度が500A/dm2を超えると、亜鉛電析の電流効率が急激に低下してしまう。したがって、本発明では、電気亜鉛めっき処理における電解電流密度は、220 A/dm2以上500A/dm2以下とする。好ましくは、250A/dm2以上400A/dm2以下である。
なお、硫酸酸性電気亜鉛めっき浴中の亜鉛濃度は、1mol/L以上とすることが望ましい。1mol/L未満では、220 A/dm2以上の高電流密度でめっき焼けを生じ、めっき外観が不均一となり易い。また、上記亜鉛濃度の上限は、温度低下時に溶解度が低下して硫酸亜鉛が析出するのを防ぐため、2.5mol/L程度が現実的である。
本発明では、その他のめっき浴条件について特に規定されないが、めっき浴温度を30〜70℃、相対流速を0〜4m/sとすることが好ましい。また、電気亜鉛めっきは、電解を複数回に分割することも可能である。電気亜鉛めっきの片面当たりの亜鉛付着量としては、5〜30g/m2が望ましい。
以上のように、本発明の方法に従うことにより、鋼板表面に、最大高さ粗さRzが0.6〜1.1μm(但し、カットオフ値λc:0.01mm)の電気亜鉛めっき層を具えた電気亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
また、本発明のクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板の製造方法は、本発明の方法に従い製造された電気亜鉛めっき鋼板に、更に上層として平均厚さ0.05μm以上1.0μm以下のクロメートフリー化成処理皮膜を形成することを特徴とする。これにより、図1に示すようなクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板、すなわち電気亜鉛めっき層表面に形成された亜鉛結晶の凹凸の凸部がクロメートフリー化成処理皮膜から露出したクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板とすることができる。
本発明におけるクロメートフリー化成処理皮膜の平均皮膜厚さは、0.05μm以上1μm以下である必要がある。0.05μm未満では、亜鉛の露出部が増加し、十分な耐食性が得られなくなる。一方、1μmを超えると、亜鉛露出部が少なくなり、十分な導電性が得られなくなる。
上記のクロメートフリー化成処理皮膜の平均皮膜厚さは、任意に少なくとも5点で皮膜厚さを測定し、その算術平均を取ることとする。
なお、本発明においては、クロメートフリー化成皮膜の平均皮膜厚さが0.05μm以上1μm以下である限り、クロメートフリー化成処理皮膜の構成およびクロメートフリー化成処理条件について特に制限はなく、通常公知の皮膜およびその製造方法が適用可能である。つまり、無機化合物や有機樹脂のマトリクスに、用途に応じて有機顔料ないしは無機顔料を含有させたものであてもよいし、その皮膜は単層でも、複数の層を順次積層したものであってもよい。
電気亜鉛めっき用原板(厚さ0.7mmの冷延鋼板)に、前処理としてアルカリ電解脱脂を行い、水洗後、硫酸50g/Lを添加した25〜30℃の酸洗液中に5秒間浸漬して酸洗処理し、その後に水洗し、電気亜鉛めっきを施して電気亜鉛めっき鋼板とした。電気亜鉛めっき浴は、硫酸亜鉛水溶液をベースとし、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムおよび硫酸アンモニウムから選ばれる一種または二種を添加し、更に硫酸を添加してpHを調節して硫酸酸性電気亜鉛めっき浴とした。各めっき浴の亜鉛濃度(mol/L)、添加剤(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム)の種類およびその濃度(mol/L)、pH、めっき浴温度、電気亜鉛めっき処理の電流密度(A/dm2)および電気亜鉛めっき層の片面当たりの付着量(g/m2)は、表1のとおりである。また、電気亜鉛めっきは、めっき浴を流動させた状態で行い、電気亜鉛めっき用原板と電気亜鉛めっき浴の相対流速は1.5m/secとした。
以上のようにして得られた電気亜鉛めっき鋼板について、電気亜鉛めっき層の最大高さ粗さRz(カットオフ値λc:0.01mm)を、電子線三次元粗さ解析装置(3D-SEM)の二次電子像により求めた。なお、ここでいう最大高さ粗さRzとは、JIS B 0601(2001)に規定される「最大高さ粗さ」であり、具体的な測定方法は次のとおりである。
<最大高さ粗さRz>
3D-SEM(エリオニクス社製ERA=8800FE)を用い、加速電圧:5kV、測定領域:120×90μm、測定間隔:0.2μmで測定を行い、カットオフ波長λc:0.01mmのハイパスフィルタ処理した高さ分布データを求め、最大高さ粗さRzを算出した。
各種電気亜鉛めっき鋼板の最大高さ粗さRzを表1に示す。
また、以上のようにして得られた各種電気亜鉛めっき鋼板に、クロメートフリー化成処理を施し電気亜鉛めっきベースクロメートフリー化成処理鋼板とした。P2O5換算で0.32mol/Lの第一リン酸、SiO2換算で0.50mol/Lのコロイダルシリカおよび0.16mol/LのMnを含有するクロメートフリー化成処理液を、バーコーターで塗布した後、140℃で乾燥させ、クロメートフリー処理皮膜(第一層)を形成した。なお、Mnは第一リン酸塩で供給した。次いで、第一層の上に、エポキシ系樹脂を含有する有機樹脂溶液を塗布し、140℃で焼付け、シリカ含有有機樹脂皮膜(第二層)を形成した。
得られた各種クロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板について、前記した方法(任意に5点で測定)により第一層、第二層の合計平均膜厚を測定した。測定結果を表1に示す。
以上のようにして得られたクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板について、耐食性評価および導電性評価を行った。評価方法は以下のとおりである。
<耐食性>
JIS Z 2371(2000)に準拠した塩水噴霧試験を行い、48時間後の白錆発生面積を目視評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生なし
○:白錆発生面積率が0%超5%以下
△:白錆発生面積率が5%超20%以下
×:白錆発生面積率が20%超
<導電性>
JIS K 7194 に準拠し、低抵抗測定装置(三菱化学(株)製「ロレスタGP」)に接続した同社製四探針プローブESPプローブをクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板に押し当てて、表面抵抗値を測定した。測定では、プローブの押し付け荷重を20g/sずつ上昇させながら表面抵抗を測定し、表面抵抗値が10-4Ω以下になった時の押し付け荷重を通電時荷重とした。この操作を各鋼板について10回繰り返して平均通電時荷重を算出し、以下の基準で評価した。
◎:平均通電時荷重が200g以下
○:平均通電時荷重が200g超300g以下
×:平均通電時荷重が300g超
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0005772465
表1から明らかであるように、本発明によると、カットオフ値λc:0.01mmで測定された最大高さ粗さRzが0.6〜1.1μmである電気亜鉛めっき層を具えた電気亜鉛めっき鋼板を、電気亜鉛めっき処理時の電流密度220A/dm2以上という高電流密度で製造することができる。また、このようにして得られた電気亜鉛めっき鋼板に所定の平均厚さを有するクロメートフリー化成処理皮膜を形成することにより、耐食性および導電性がともに良好なクロメートフリー化成処理皮膜付き電気亜鉛めっき鋼板が得られる。
1 … 鋼板
2 … 電気亜鉛めっき層
3 … 化成処理皮膜
10 … 金属板
21 … めっき層
22 … クロメート皮膜
30 … 有機複合皮膜

Claims (2)

  1. 鋼板表面に電気亜鉛めっき処理を施し電気亜鉛めっき鋼板とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記電気亜鉛めっき処理が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる一種または二種以上を合計で0.75mol/L以上含有しpHが1.2以上2.5以下である硫酸酸性電気亜鉛めっき浴中で、電流密度を220A/dm2以上500A/dm2以下とする処理であることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法により製造された電気亜鉛めっき鋼板に、更に上層として平均厚さ0.05μm以上1.0μm以下のクロメートフリー化成処理皮膜を形成することを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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