JP5771377B2 - 表示装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は表示装置、特に液晶表示装置の製造方法に係り、信頼性が高く、かつ、生産性の優れた表示装置、液晶表示装置の製造方法に関する。
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
TFT基板には、走査線、映像信号線、TFT等が形成されているので、表面は凹凸になっている。TFT基板の表面が凹凸になっていると、TFT基板と対向基板との間に挟持された液晶層の層厚がばらつくことになり、そうすると、場所によって液晶の光漏れが生ずることになり、画面のコントラストが低下する。
これを防止するために、TFT等の上に、有機パッシベーション膜を2ミクロン程度形成し、液晶との界面を平坦化し、その上に画素電極等を形成している。画素電極とTFTのソース部とを接続するために有機パッシベーション膜にスルーホールを形成する必要がある。有機パッシベーション膜に感光性樹脂を使用すると、レジストを用いずに、樹脂に対して直接露光し、現像することが出来るので、プロセスを簡略化することが出来る。
このような感光性樹脂を使用して有機パッシベーション膜を形成する方法として「特許文献1」が挙げられる。「特許文献1」では、ポジ型感光性組成物を用いて有機膜を形成する方法が記載されている。また、「特許文献2」には、位相シフト効果を有するフォトマスクを使用して、1度のフォトリソグラフィのみで、テーパの異なるスルーホールを形成する方法が記載されている。
特開2010−26460号公報 特開2006−235134号公報
従来の有機絶縁膜レジスト(有機パッシベーション膜材料)としてはアクリル系樹脂に感光性ナフトキノンジアジド(以下NQD)を添加したものが使用されてきたが、この材料は感度が非常に低く、生産性に問題があった。近年、画素高精細化に伴い解像度や合わせ精度に優位なステッパ露光機の使用が増えているが、従来の有機パッシベーション膜材料は通常のフォトレジストの3倍から6倍の露光量が必要なために、元々生産性に難があるステッパ露光機との組み合わせで用いると生産性が大幅に低下する。
従来の有機パッシベーション膜材料の感度が低い原因は、同じフォトシステムであるパターン加工用ポジレジスト(感光剤NQD・ノボラック樹脂系)の塗布膜厚が1.5μm前後であるのに対し、絶縁・平坦化の用途で基板に残す有機パッシベーション膜では、2〜3μmの塗布膜厚が必要なことである。この場合、感光剤NQDが樹脂の20〜30%含有されているが、NQDは短波長に強い吸収をもち、塗布膜の透明性が悪いので、塗布膜厚が厚くなると下地界面まで光が到達しにくくなり、露光量が増える。
NQDに光が当たるとNQDの疎水基の一部が親水性の高い酸基(−COOH)に変わり、現像溶解性が出現するが、NQD型フォトレジストは樹脂自体全く変化せず、NQDの光形態変化だけで露光コントラストを得ているため、NQDを多量に添加することが必要になる。また、通常のポジレジストはパターン加工後にレジストを除去するので、レジスト膜に透明性は要求されないが、有機絶縁膜レジストはTFTに残るため膜の透明性が要求される。そのため、樹脂には、透明性の高いアクリルを用いる。
更に永久膜としての耐久性を上げるため、樹脂に熱硬化システムを導入している。熱硬化温度は通常200〜230℃であるが、有機パッシベーション膜材料の現像完膜をそのまま加熱するとNQDが着色するので、現像後にポスト露光と呼ぶ光照射工程を加えてNQDの着色を防止している。透過率低下を防ぐには400nm以下の光を500mJ/cm以上照射する必要があるが、たとえ光を十分照射しても。アクリル樹脂単体の比べ、膜透過率が2〜10%低いという問題がある。
有機パッシベーション膜にはスルーホールを形成する必要がある。スルーホールのテーパ角が小さすぎると、画素における透過率が低下する。また、スルーホールのテーパ角が大きすぎるとスルーホールにおける画素電極の段切れが問題になる。
本発明の目的は、有機パッシベーション膜形成のための工程時間が短く、有機パッシベーション膜の光透過率の低下が小さく、かつ、有機パッシベーション膜における適当なテーパ角度のスルーホールを形成することが可能な液晶表示装置の製造方法を実現すことである。
(1)分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤(Photo Acid Generator:以下PAG)を1〜4wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量500mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、
その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(2)前記化学増幅型感光性樹脂組成物は、PAGを1〜2wt%含むことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置の製造方法。
(3)分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、PAGを1〜5wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量200mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(4)分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、PAGを1〜6wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量300mJ/cm〜500mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、その後、プリ焼成温度100℃〜180℃でプリ焼成を行い、その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
本発明によれば、有機パッシベーション膜形成のための工程時間を短くすることが出来るので、液晶表示装置の生産性を向上させることが出来る。また、本発明によれば、有機パッシベーション膜の光透過率の減少を抑えることが出来るので、画面の明るさを大きくすることが出来る。さらに、本発明によれば、有機パッシベーション膜のスルーホールのテーパ角を適当な値に形成することが出来るので、信頼性の高い表示装置、液晶表示装置を実現することが出来る。
IPS方式液晶表示装置における画素の平面図である。 図1のA−A断面図である。 有機パッシベーション膜形成プロセスである。 有機パッシベーション膜の透過率とポスト露光量の関係である。 有機パッシベーション膜の透過率と本焼成温度の関係である。 有機パッシベーション膜の透過率とPAG量の関係である。 有機パッシベーション膜の露光量とPAG量の関係である。 化学増幅型材料による膜に形成したスルーホールの現像後の断面図である。 化学増幅型材料による膜に形成したスルーホールの他の現像後の断面図である。 有機パッシベーション膜形成条件とスルーホールのテーパ角θの関係を示す表である。
本発明では、有機パッシベーション膜材料として、化学増幅型システムの材料を用いる。化学増幅型システムは、膜に光が当たるとPAGが分解して酸を発生し、その酸の働きで樹脂の疎水性の高い保護基がはずれ、そこが親水性の高い酸基や水酸基に変わって現像溶解性が出現するというシステムである。
化学増幅型PAGもNQD同様の着色があるが、酸が触媒として働くのでPAG添加量がNQDの10分の1以下で済む。そのため、塗布膜の透明性が高く、露光の光りぬけが良いので高感度が得られる。また、化学増幅型PAGはNQDとは異なり、光照射せずに加熱しても着色がほとんど無いので、ポスト露光の省略が可能であり、かつ、完成膜の透過率も高い。
化学増幅型システムは半導体の高集積化に使用されている技術であるが、液晶表示パネルに用いることは困難であるとされてきた。理由のひとつは、化学増幅型はNQD型レジストと異なり、現像後のパターン端のテーパが急峻になる、あるいは、逆テーパになることである。半導体においては、急峻なテーパは、パターンの細密化に寄与するが、液晶表示装置にけるスルーホールのテーパ角が急峻になると画素電極の段切れが生じ、TFTのソース電極と画素電極の接続不良となる。
本発明は、化学増幅型材料を表示装置、液晶表示装置に適用することを可能にするものである。以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。以下の実施例はいわゆるIPS(In Plane Switching)タイプの液晶表示装置を例にとって説明するが、本発明はこれに限らず、有機パッシベーション膜を用いた他の表示装置、液晶表示装置に対しても適用することが出来る。
図1はIPSタイプの液晶表示装置の画素部の平面図である。図1において、走査線10が横方向に延在し、層間絶縁膜を挟んで映像信号線20が縦方向に延在している。走査線10と映像信号線20で囲まれた領域が画素となっている。画素にはTFT、画素電極111、対向電極109等が形成されている。
図1において、半導体層103はコの字型に屈曲しており、ゲート絶縁膜104を挟んで走査線10が半導体層103を横切っている。走査線10がゲート電極を兼用している。走査線10と半導体層103が交差した部分がTFTのチャンネル部となっている。半導体層103の一端は映像信号線20と接続しており、映像信号線20がドレイン電極を兼用している。半導体層103の他の端はソース電極106と接続している。したがって、ドレイン電極とソース電極106との間には、チャンネルが2個直列に形成されている。
図1おいて、無機パッシベーション膜107および第2層間絶縁膜110に形成されたスルーホール120を介して画素電極111とTFTのソース電極106が接続している。画素電極111は両端が閉じた帯状の電極である。有機パッシベーション膜108の上には、平面ベタで対向電極109が形成されている。対向電極109と画素電極111の間には第2層間絶縁膜110が形成されている。画素電極111に映像信号が印加されると、画素電極111と対向電極109との間に発生する電気力線によって液晶分子が回転し、液晶を透過する光を制御する。
図2は図1のA−A断面図であり、スルーホール120部分の断面図である。図2において、ガラスで形成されたTFT基板100には、第1下地膜101と第2下地膜102が形成されている。第1下地膜101と第2下地膜102はガラス基板の中の不純物が析出して半導体層103を汚染することを防止するものである。
第2下地膜102の上に半導体膜が形成されている。半導体膜は、図1に示すTFTと連続して形成されているものであり、TFTのソース部となっている。半導体膜の上にはゲート絶縁膜104が形成されている。図2には示していないTFTにおいて、ゲート絶縁膜104の上にはゲート電極が形成される。図1においては、走査線10がゲート電極を兼ねている。
ゲート絶縁膜104の上には、走査線10と映像信号線20を絶縁する第1層間絶縁膜105が形成されている。ゲート絶縁膜104と第1層間絶縁膜105に形成されたスルーホールを介してソース電極106と半導体で形成されたTFTのソース部が接続している。ソース電極106の上には、無機パッシベーション膜107が形成されている。無機パッシベーション膜107は図示しないTFTを保護するものである。
無機パッシベーション膜107の上には有機パッシベーション膜108が形成されている。有機パッシベーション膜108は無機パッシベーション膜107とともに、TFTを保護する役割を有するが、同時に、平坦化膜としての役割を有する。したがって、有機パッシベーション膜108は2〜3μm程度と厚く形成される。その後、有機パッシベーション膜108にスルーホール120を形成する。このときのスルーホール120のテーパ角θが、ソース電極106と、後で形成される画素電極111との接続に対して重要な影響を与える。また、有機パッシベーション膜108のスルーホール120のテーパ角θが小さすぎると、スルーホール120の上径φhが大きくなり、画素の有効面積が小さくなり、画素の透過率を低下させる。
有機パッシベーション膜108の上には、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)によって、対向電極109が形成されている。対向電極109は、スルーホール120を避けて平面ベタで形成されている。対向電極109の上には第2層間絶縁膜110が形成されている。その後、第2層間絶縁膜110と無機パッシベーション膜107をエッチングしてスルーホール120を形成する。その後、ITOを被着し、パターニングして画素電極111を形成する。
図2において、有機パッシベーション膜108に形成されたスルーホール120のテーパ角θは液晶表示パネルの特性にとって重要である。すなわち、テーパ角θが小さすぎるとスルーホール120の径φhが大きくなる。スルーホール120が形成された部分は表示領域として使えないので、画素の透過率が低下し、画面の明るさを小さくする。一方、スルーホール120の径φhが大きすぎると画素電極111が断切れを起こして、接続不良となる。これらの問題を防止するには、テーパ角θを60±10度に制御する必要がある。このテーパ角θの制御については後述する。
図3は有機パッシベーション膜形成のプロセスフローである。有機パッシベーション膜108は無機パッシベーション膜107の上に形成するが、無機パッシベーション膜107と有機パッシベーション膜108の密着性を向上させるために無機パッシベーション膜107に対してHDMS(ヘキサメチルシラザン)処理を行う。その後、有機パッシベーション膜108材料をスピン塗布、スリット塗布等によって無機パッシベーション膜107上に塗布する。有機パッシベーション膜108材料が塗布された基板を80〜110℃に熱したホットプレートに1〜3分載せてプリベークを行い、溶剤を飛散させ、固化する。
その後、有機パッシベーション膜108にスルーホール120を形成するために、露光を行う。露光光源には、超高圧水銀灯による紫外線を用い、露光波長はghi線である。その後、0.2〜2.5%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)水溶液で現像する。TMAHは残渣が残らないという特徴を有しているが、これに限らず、一般のアルカリ水溶液であれば現像は可能である。
本材料のようなポジ型材料では、パドル現像と呼ぶ、現像液を基板上に盛って一定時間静置するという現像方式を用いている。なお、現像液の使用量は増えるが、シャワー現像を用いることも出来る。この後、純水リンスで現像液を洗い流してから基板をエアーナイフやスピンで乾燥させる。
その後、ポスト露光を行う。従来のNQD型材料では、絶縁膜の透明性を上げるためにポスト露光工程が必須である。しかし、本発明の化学増幅型材料では、ポスト露光は必須ではない。その後、プリ焼成を行い、スルーホール120のテーパ角θを調整する。プリ焼成の内容は後述する。最後に220〜250℃のオーブンで30分から1時間加熱硬化させる本焼成を行って絶縁膜を完成させる。
以下に本発明における化学増幅型材料と従来のNQD型材料を使用した場合のプロセス条件と有機パッシベーション膜108の透過率、材料の感度、テーパ角θとの関係を説明する。本実施例で用いた化学増幅型有機パッシベーション膜108材料の基材は、アセタール系保護基含有メタクリル酸エステルおよびエポキシ基含有メタクリル酸エステルを分子中に含むアクリル樹脂であり、これに感光材としてスルホン酸系の化学増幅型PAGを含有するものである。比較用に用いたNQD型有機パッシベーション膜108材料は、基材はメタクリル酸およびエポキシ基含有メタクリル酸エステルを分子中に含むアクリル樹脂であり、これに、感光材としてNQDを含有するものである。
図4はPAGを2wt%含む化学増幅型材料と従来例であるNQDを25wt%含むNQD型材料のポスト露光量と透過率の関係を示す図である。図4における横軸はポスト露光量であり、縦軸は、膜厚が2μmの場合の透過率である。縦軸は波長400nmの紫外線による透過率で評価しているが、この透過率での評価が黄色着色を最も発見しやすいからである。塗布膜に露光量を変化させてポスト露光を行い、温度を230℃、30分で焼成した後の膜の透過率を分光光度計で測定した。
従来材料であるNQD材料では、透過率の低下を防ぐために、従来型では500mJ/cm以上のポスト露光が必要であったのに対し、化学増幅型ではポスト露光無しが最も透過率が高く、ポスト露光量500mJ/cm以上では従来型よりも透過率が低くなった。すなわち、化学増幅型材料では、ポスト露光を実施しないか、ポスト露光を実施する場合でも、露光量を小さくできるので、生産性を向上させることが出来る。
図5はPAGを2wt%含む化学増幅型材料と従来例であるNQDを25wt%含むNQD型材料のポスト露光量と透過率の関係を示す図である。図5における横軸は焼成温度であり、縦軸は、膜厚が2μmの場合の波長400nmの紫外線の透過率である。従来型のNQD材料はポスト露光500mJ/cmを行い、化学増幅型材料はポスト露光200mJ/cmを行い、それぞれ、オーブンによって30分焼成して有機パッシベーション膜108を作成し、透過率を分光光度計で測定した。
従来型の焼成温度が230℃を超えると透過率が大きく低下したのに対し、化学増幅型では、250℃でも目標とする透過率90%以上を維持している。焼成は後工程のエージングを兼ねているので、有機パッシベーション膜108の焼成温度を上げることが出来ると、有機パッシベーション膜108形成後に行う、ITO被着、CVDによる層間絶縁膜の形成、配向膜の焼成等のプロセス温度も上げることが出来るので、製品の品質向上を図ることが出来る。
図6はポスト露光量をパラメータとし、PAG量を変化させた場合の透過率の変化を示すグラフである。図6における横軸は化学増幅型材料中のPAGの含有量(wt%)であり、縦軸は、膜厚が2μmの場合の波長400nmの紫外線の透過率である。図6おいて、PAGを増やすと、後で説明する図7に示すように感度は上がるが、膜の透過率が低下する。一方、また、化学増幅型では、ポスト露光量を上げると膜の透過率が低下する。目標とする透過率90%以上が得られたPAG量は、ポスト露光量無しのときは6wt%以下、ポスト露光量200mJ/cmのときは5wt%、ポスト露光量500mJ/cmのときは4wt%以下であった。なお、PAG量は実用的には1wt%以上である。
図6から透過率を重視するとPAG量は少ないほうが良い。図7は、PAG量(wt%)と露光量(mJ/cm)の関係を示す。図7の横軸はPAG量のwt%であり、縦軸は、ghi線を使用した場合の露光量(mJ/cm)である。露光量が小さい程感度がよいということになる。図7より、透過率を重視して、PAG量を1.5wt%に抑えた場合、必要露光量は110mJ/cmである。一方、従来のNQD型材料では、高感度仕様でも150mJ/cmを上回っている。したがって、化学増幅型材料では、透過率を重視してPAGを少なくしても、従来のNQD型材料よりも高感度を維持することが出来る。
有機パッシベーション膜108の他の重要な特性は、スルーホール120の形状である。スルーホール120のテーパ角θは小さすぎると開口率の低下をきたし、大きすぎると、画素電極111の接続不良を生ずる。したがって、スルーホール120のテーパ角θは60±10度程度に制御する必要がある。化学増幅型材料の最大の問題はテーパ角θの制御である。化学増幅型は光の抜けが良いため、現像後のテーパは図8に示すように直角になるか、あるいは、図9に示すように逆テーパになる。逆テーパになる理由は、表面で発生する酸は、雰囲気中の酸素やアルカリの影響で失活しやすく、酸の失活により表面の現像溶解性が低下するためである。
有機パッシベーション膜材料において、PAGを2wt%とし、基材の分子量を、ポスト露光量、焼成条件を変えてスルーホール120のテーパ角θを調べた結果を図10における表1に示す。表1において、判定は、テーパ角θが50度〜70の範囲に入っている条件を○、この範囲に入らない場合を×とした。パラメータとして、樹脂分子量、ポスト露光量、プリ焼成条件をとった。本焼成温度は230℃で一定とした。テーパ角θは現像後のテーパ角θと本焼成後のテーパ角θを評価した。なお、現像後のテーパ角θは全て90度である。
表1において、基材の分子量に着目すると、分子量が4000〜20000の範囲でテーパ角θを50度〜70の範囲とすることが出来る。一般には、分子量が大きいほどテーパ角θは大きくなる。分子量が4000よりも小さいとプロセス制御を加えてもテーパ角θを大きくすることができず、分子量が20000を超えるとプロセス制御を加えてもテーパ角θを小さくすることができなかった。
ポスト露光量は大きいほどテーパ角θは大きくなる。しかし、ポスト露光量が500mJ/cm以下としても、他の条件を満たせば、テーパ角θを目標範囲内に設定することが出来る。また、表1において、ポスト露光量が1000mJ/cmの場合、基材分子量、プリ焼成条件を適正に選択することによって、テーパ角θを50度とすることができるが、この場合は、有機パッシベーション膜108の透過率が低下する。
一般には、本焼成においては膜が流動化することによって、テーパ角θが小さくなる。ポスト露光の後にいきなり本焼成をおこなってもよいが、テーパ角θの制御が難しくなる。本焼成前にプリ焼成を行うと、テーパ角θの制御をより容易にすることが出来る。プリ焼成条件は、焼成時間は一定で30分とし、プリ焼成温度を変化させて評価した。プリ焼成温度が材料のガラス転移以下のときは、現像完のテーパ角θを保つ働きをし、ガラス転移点以上のときは、テーパを寝かせる働きをする。アクリル樹脂のガラス転移点は110〜130℃にある。
表1とは独立して実験した結果では、プリ焼成温度100〜110℃では、プリ焼成工程後のテーパ角θが本焼成後においても維持された。しかし、プリ焼成温度が100℃未満においては、本焼成におけるテーパ角θの低下には影響をおよぼさなかった。つまり、100℃未満では、プリ焼成工程の効果は得られなかった。
プリ焼成温度を130〜150℃とすると、プリ焼成工程において、テーパ角θを小さくすることが出来た。しかし、プリ焼成温度が150℃を超えた範囲では、プリ焼成工程におけるテーパ角θの変化はほぼ一定となった。
表1において、樹脂分子量が3000の場合は、ポスト露光量500mJ/cmとし、プリ焼成を100℃としてもテーパ角θを50度よりも大きく出来なかった。また、樹脂分子量が4000であり、ポスト露光量を300mJ/cmあるいは3000mJ/cmとしても、プリ焼成をおこなわない、あるいは100℃未満である90℃でプリ焼成した場合には、テーパ角θを50度以上にすることはできない。また、樹脂分子量を10000としても、ポスト露光をおこなわない場合ではプリ焼成温度を100℃としてもテーパ角θを50度以上にすることが出来ない。一方、樹脂分子量を10000として、ポスト露光を300mJ/cmとした場合、プリ焼成をおこなわない場合でもテーパ角θを60度とすることができる。また、表1より、プリ焼成を行わない場合であっても、樹脂分子量が6000以上、ポスト露光量が300mJ/cmとすることによってテーパ角θを規定の範囲内に設定することが出来る。
表1における本焼成は230℃であるが、220℃〜250℃であっても同様な結果が得られた。また、表1におけるPAGの量は2wt%であるが、PAGの量が1〜6wt%の場合であっても、スルーホール120のテーパ角θについては同様な結果が得られた。なお、表1は、有機パッシベーション膜108に形成されたテーパ角θを主眼に評価をした結果であるが、この他、有機パッシベーション膜108の透過率、感光特性を評価して、プロセスに最適な条件を得ることが出来る。
10…走査線、 20…映像信号線、 100…TFT基板、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜、 103…半導体層、 104…ゲート絶縁膜、 105…層間絶縁膜、 106…ソース電極、 107…無機パッシベーション膜、 108…有機パッシベーション膜、 109…コモン電極、 110…層間絶縁膜、 111…画素電極、 120…スルーホール。

Claims (7)

  1. 分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤を1〜4wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、
    前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、
    前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量500mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、
    その後、プリ焼成温度100℃〜180℃でプリ焼成を行い、その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 前記化学増幅型感光性樹脂組成物は、光酸発生剤を1〜2wt%含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置の製造方法。
  3. 分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤を1〜5wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、
    前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、
    前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量200mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、
    その後、プリ焼成温度100℃〜180℃でプリ焼成を行い、その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
  4. 分子量が4000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤を1〜6wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、
    前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、
    前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量300mJ/cm〜500mJ/cm以下でポスト露光を行う工程と、
    その後、プリ焼成温度100℃〜180℃でプリ焼成を行い、
    その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
  5. 分子量が6000から20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤を1〜6wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、
    前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、
    前記現像した化学増幅型感光性樹脂組成物を露光量300mJ/cmでポスト露光を行う工程と、
    その後、プリ焼成温度100℃〜180℃でプリ焼成を行い、その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
  6. 分子量が20000のアクリル系樹脂を基材とし、光酸発生剤を1〜6wt%含む化学増幅型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークして固化する工程と、
    前記固化した化学増幅型感光性樹脂組成物をマスクを用いて露光し、現像する工程と、
    その後、プリ焼成温度100℃でプリ焼成を行い、
    その後220〜250℃に加熱する工程とを含む工程によって有機パッシベーション膜を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
  7. 前記有機パッシベーション膜にはスルーホールが形成され、
    前記有機パッシベーション膜は、前記スルーホールの側壁を有し、
    前記側壁と前記有機パッシベーション膜の下層の膜とがなす角は、50度以上70度以下であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示装置の製造方法。
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