JP5771026B2 - パラジウム合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パラジウム合金の製造方法に関する。
例えば、装身具としての指輪やネックレス等においては、明確な区別は無いものの大枠の分類として、高級素材(高品位の白金、白金合金、金、金合金、天然貴石ダイヤモンド等)を用いたジュエリーと呼ばれる商品(宝飾品)と、比較的安価(銀、銀合金、低品位金合金、人工宝石等)な素材を用いた商品がある。
近年、貴金属素材の高騰を受け、白金又は白金合金や、金又は金合金を使用した装身具の価格が高くなり、装飾品の消費市場は縮小する傾向を示してきている。特に、高品位な宝飾品はその影響が大きい。
そこで、このような環境変化に対応するため、高品位な貴金属で素材価値を維持しつつ白金合金や金合金より安価な装飾品としての素材が求められるようになってきている。
また、筆記具においては、付加価値を出すため装飾用の金輪やペン先の部材等に金合金等を用いて機械的性質を確保しながら、高級感を出しているものがあるが、こうした筆記具においても、前記したような理由により、また顧客へのアピールとなるように、白金合金や金合金に代わって新たな貴金属素材により製造することが検討され始めている。
こうした背景を受け、最近では、貴金属でありながら白金の価格の約5割、金の価格の約6割と遥かに安価なパラジウム(Pd)が注目され、新たなパラジウム合金による装身具が開発されて市場に流通し始めている。
かかるパラジウム合金には、一部輸入されたPd990という製品もあるが、国内で製造されているパラジウム合金としてはPd950までの純度が主流である。その理由は、パラジウムは、純度が高すぎると装身具の加工時に必要な機械的性質を確保できないだけでなく、柔らかすぎるが故に変形しやすく傷がつきやすいからである。具体的には、例えば指輪等においては、現実問題として要求されるビッカース硬度は80Hv以上であるが、パラジウムは高純度になればなる程ビッカース硬度が低く、純パラジウムのビッカース硬度は40Hv程度と低い。
そこで、例えば、特許文献1には、パラジウムを硬化する方法として、表面をホウ化させる技術が提案されている。この方法は、宝飾品として使用されるパラジウム又は合金化されたパラジウム合金の表面にホウ素(B)を侵入させ、その表面を硬化させる方法である。
特許第2987314号公報
しかしながら、上記の表面処理法では、パラジウム等の表面に侵入させるホウ素の量をコントロールすることが難しく、パラジウムに所望量のホウ素を含ませるのは困難である。
また、ホウ素が侵入したパラジウム等の表面は硬化してビッカース硬度が高いものの、パラジウム等の内部にはホウ素が存在しないため内部のビッカース硬度は高くなっておらず、例えば板材から指輪等への加工時の耐変形性能は十分とはいえなかった。
また、上記の方法では、パラジウム等の表面を硬化させることはできるものの、表面に肌荒れが起こり易く、例えば指輪等を製造する際には、加工後に表面を磨く後工程が必要となる場合が多く、製造コストのアップに繋がるという問題もある。
これに対して、パラジウムにホウ素が内部まで均一に含まれた均一組成のパラジウム合金であれば、表面のみならず内部におけるビッカース硬度が高く、また、表面をホウ化する必要がないため表面の肌荒れが起こらず、上記した問題を解決できると考えられる。
しかしながら、パラジウムの内部までホウ素が均一に含まれた均一組成のパラジウム合金を得ることは未だ達成されていない。
具体的には、例えば、パラジウムとホウ素とを一緒に溶解したとしても、両者は融点差が大きい上に、ホウ素は高融点(約2092℃)で酸化し易いため、均一組成の合金とはなり難いという問題がある。
また、一般に貴金属を溶解する場合、例えば、ZrO、SiOなどの酸化物を含んだ坩堝(セラミックス坩堝)を使用するが、こうした坩堝の耐熱限界は昇温しても2000℃程度であるのに対し、ホウ素の融点が2092℃であるため、これらの坩堝に所定配合比率でパラジウムとホウ素とを投入して溶解しても、安定した溶融ができず、均質な合金を得るのは難しいという問題がある。
本発明の課題は、表面のみならず内部においても加工に好適な硬度を有する、ホウ素が表面から内部まで均一に含まれた均一組成のパラジウム合金の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
パラジウム合金の製造方法であって、
パラジウム:94.5〜97.6質量%、ホウ素:2.4〜5.5質量%の組成割合のパラジウムとホウ素とを水冷坩堝を用いて溶解し、均一組成の母合金を製造する第1工程と、
前記第1工程により製造した前記母合金と所定量のパラジウムとを水冷坩堝を用いて溶解し、0.03〜1.40質量%の範囲内のホウ素を含み、残部がパラジウムであるパラジウム合金を製造する第2工程と、
を有することを特徴とするパラジウム合金の製造方法。
請求項1に係る発明の第1工程を用いて合金化した母合金を添加して第2工程で再溶解する場合、例えばSiOを含んだ坩堝を使用した場合には当該坩堝に含まれているケイ素(Si)が、あるいはジルコン坩堝を使用した場合には当該坩堝に含まれているジルコニウム(Zr)が還元溶出してしまい、坩堝を構成する成分が不可避に混入してしまい、その混入量をコントロールすることが難しく、所望する組成割合のパラジウム合金を得ることができず、第2工程において、第1工程により得られた母合金と所定量のパラジウム溶解するのに水冷坩堝を使用することは重要な構成要件である。
本発明によれば、ホウ素が表面から内部まで均一に含まれることとなるので、表面のみならず内部においても加工に好適な硬度を有する、均一組成の高純度なパラジウム合金を製造することができる。
そして、このような高純度なパラジウム合金であるため、例えば、指輪やネックレス等の装身具の材料として、或いは筆記具のペン先や装飾用の金輪等の部材として、広い用途で用いることができる。
また、装身具としての指輪等や、筆記具に装着する金輪等に用いる場合には、加工時に変形したり傷が付き難くなるので、変形や傷による後工程の必要性がなくなり、製造コストを抑えることができる。
また、色的にもプラチナ合金と比較して遜色ない装身具を材料費を安くして提供することができるようになる。
また、高純度を維持しているので、顧客に貴金属としての高級感を印象付けることができるとともにプラチナ合金で製造した装身具より安価に提供することができる。
Pd−B2元系合金の平衡状態図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明におけるパラジウム合金は、例えば、指輪やネックレス等の装身具の材料として、或いは筆記具のペン先や装飾用の金輪等の部材として好適に用いられるものである。
かかるパラジウム合金は、少なくとも0.03〜1.40質量%の範囲内のホウ素を含み、且つパラジウムを95.0質量%以上含んだ構成としてある。
ホウ素の含有量を0.03質量%以上とすることで、パラジウム合金の表面及び内部のビッカース硬度を80Hv以上とすることができる。なお、ビッカース硬度を80Hv以上とすることは、市場で流通している宝飾素材Pt900(10質量%Pd)と同等の硬度であり、例えば指輪等の加工時に要求される機械的性質を確保することである。即ち、かかるビッカース硬度を有することで、パラジウム合金は、加工に好適な硬度を有したものとなっており、パラジウムの純度が高いと変形しやすく傷がつきやすいという欠点が改善されているといえる。
一方、ホウ素の含有量を1.40質量%よりも多くすると、例えば指輪等の製造の際に合金を所望の厚みにするための圧延加工や、所望の形状にするための加工を行った場合に、加工硬化による硬度上昇が大きくなる。このため、製品とするための加工が困難となったり、加工時に割れが生じやすくなったりすることで、生産性が低下するという問題が生じるため好ましくない。
さらに、上記パラジウム合金におけるホウ素の含有量は、0.03〜0.30質量%の範囲内であることがより好ましい。
ホウ素の含有量を0.03質量%以上とする理由としては、上記した通りである。
一方、ホウ素の含有量を0.30質量%以下とする理由としては、本明細書の出願時現在、日本国内で実施されていない、造幣局によるパラジウム検定が実施された場合を想定して、各種純度のパラジウム合金に適用できるようにするためである。
具体的には、日本国内では、現在貴金属の純度保障として、造幣局の検定制度があり、例えば、Pt1000の場合、0.30質量%の公差が認められており、99.70質量%以上の純度であればPt1000の刻印を受けることができる。
また、Pt900の場合、±0.50質量%の公差が認められており、89.50質量%以上でPt900の刻印を受けることができる。
ここで、パラジウムについての検定は、日本国内では現在実施されていないが、上記と同じ基準で実施されると考えると、パラジウムの純度の公差を純白金と同じ0.30質量%以下にしておけば、同じ基準で検定が実施された場合にPd1000(純パラジウム)の刻印を受けることができると思われる。
また、ホウ素の含有量を0.30質量%以下とする他の理由としては、ホウ素の含有量が0.30質量%以下であればパラジウム合金が硬すぎることなく、加工し易い硬度を有することとなるため好ましい。
次に、上記した本発明のパラジウム合金の製造方法について説明する。
本発明のパラジウム合金の製造方法は、均一組成の母合金を製造する第1工程と、前記母合金を用いて高純度パラジウム合金を製造する第2工程と、を有している。
かかる製造方法は、パラジウムにホウ素を表面から内部まで均一に含有させて合金化する方法として、パラジウムとホウ素が共晶点を持つことに注目し、先ず、共晶点近傍で合金(母合金)を作り、次に、融点を下げた均質な合金(母合金)を使用して所定の配合のパラジウムとホウ素の合金(所望の高純度なパラジウム合金)を製造するものである。
なお、パラジウムとホウ素の共晶点は、3.1質量%近傍、5.3質量%近傍の2カ所に存在するが、以下、3.1質量%近傍の共晶点を例にとって説明する。
先ず、第1工程において、パラジウムとホウ素とを、これらの2元系合金の平衡状態図(図1、出典:「BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS [SECOND EDITION] Voluume 1 、発行:ASM INTERNATINAL The Materials Infomation Society の第518頁に掲載)における共晶点の近傍の組成であるパラジウム96.90質量%−ホウ素3.10質量%の比率で配合し、水冷坩堝を用いて溶解することで、パラジウムにホウ素が内部まで均一に含有された母合金を得る。
ここで、水冷坩堝とは、熱伝導性の良い金属で形成された坩堝であって、一般的には銅で形成されている。水冷坩堝を用いて内容物(各種金属)を溶解する際には、例えば水等の冷媒により冷却しながら行われる。水冷坩堝の熱源としては、例えば、アーク、プラズマ、電子ビーム、高周波等などが用いられる。
この水冷坩堝であれば3000℃以上の高温まで昇温できるため、パラジウムと、高融点(2092℃)のホウ素とを、均一に溶解することができる。
また、パラジウム−ホウ素系合金は、例えばセラミックス坩堝を使用して溶解すると坩堝成分が還元されて溶解中の合金の中に混入し3元系の合金になってしまうが、水冷坩堝であれば坩堝成分の合金への混入が起こらず、均質な2元系のパラジウム合金を製造することができる。
こうした水冷坩堝により、パラジウムとホウ素の両者が溶解過程でともに溶解し合金化が進むと固相線と液相線が同じとなる共晶点1065℃が融点となる。共晶点付近では凝固温度範囲が狭く、所謂「てこの原理」が働きにくいので偏析が起きにくく、繰り返し溶解することで共晶点では均一な合金が得られることとなる。
このとき、母合金におけるパラジウムとホウ素の割合が共晶点ピッタリとなる割合で合金化することは事実上困難で、共晶点からの若干のずれは仕方がない。鋭意実験の結果、凝固温度範囲として115℃程度は問題がないことが分かった。
実際に、共晶点に対して約115℃の凝固温度範囲を持つ、最大のホウ素量である5.50質量%で母合金50gを作成後、破砕して4ブロックに分け、各ブロックからサンプリングしてICP分析を実施した結果、ホウ素の分析値が5.25質量%〜5.42質量%で最大誤差率4.5質量%だった。同様に、最小のホウ素量である2.40質量%で母合金50gを作成後、破砕して5ブロックに分け、各ブロックからサンプリングしてICP分析を実施した結果、ホウ素の分析値が2.29〜2.37質量%で最大誤差率4.6質量%だった。
また、ホウ素が5.5質量%配合の母合金を使用してパラジウム−1質量%ホウ素の合金となるように溶解を行ったが、実際の母合金のホウ素の分析値が5.25質量%だった場合、パラジウム−0.96質量%ホウ素の合金となる。ホウ素が2.4質量%配合の母合金を使用してパラジウム−1質量%ホウ素の合金となるように溶解を行ったが、実際の母合金のホウ素の分析値が2.29質量%だった場合、パラジウム−0.95質量%ホウ素の合金となり、ホウ素量の0.05質量%レベルのずれは機械的性質にほとんど影響を与えないレベルであると言える。
また、ホウ素が5.5質量%配合の母合金を使用してパラジウム−0.03質量%ホウ素の合金となるように溶解を行ったが、実際の母合金のホウ素の分析値が5.25質量%だった場合、パラジウム−0.029質量%ホウ素の合金となる。ホウ素が2.4質量%配合の母合金を使用してパラジウム−0.03質量%ホウ素の合金となるように溶解を行ったが、実際の母合金のホウ素の分析値が2.29質量%だった場合、パラジウム−0.029質量%ホウ素の合金となり、ホウ素量の0.001質量%レベルのずれは機械的性質にほとんど影響を与えないレベルであると言える。
従って、115℃程度の凝固温度範囲であれば、実生産上問題のない母合金を作製することができ、ホウ素量2.4質量%〜5.5質量%の範囲であれば、安定した母合金を作製することができ、パラジウムが94.5〜97.6質量%であって、ホウ素が2.4〜5.5質量%の範囲で配合することができる。
さらに好ましくは、凝固温度範囲50℃以下が好ましい。
実際に、共晶点に対して約50℃の凝固温度範囲を持つ、最大のホウ素量である5.40質量%で母合金50gを作成後、破砕して4ブロックに分け、各ブロックからサンプリングしてICP分析を実施した結果、ホウ素の分析値が5.29質量%〜5.35質量%で最大誤差率2.0質量%だった。同様に、最小のホウ素量が2.80質量%で母合金を作製後、破砕して5ブロックに分け、各ブロックからサンプリングしてICP分析を実施した結果、ホウ素の分析値が2.74質量%〜2.77質量%で最大誤差率2.1質量%だった。従って、50℃程度の凝固温度範囲であれば、安定した母合金を作製することができ、ホウ素量2.8質量%〜3.9質量%、5.0質量%〜5.4質量%の範囲であれば、安定した母合金を作製することができる。
従って、パラジウムが94.6〜95.0質量%であって、ホウ素が5.0〜5.4質量%、パラジウムが96.1〜97.2質量%であって、ホウ素が2.8〜3.9質量%の範囲で配合することができる。
また、共晶点は、ホウ素が3.1質量%近傍と5.3質量%近傍に認められるが、好ましくは、3.1質量%近傍の共晶点を使用する方が好ましい。ホウ素が5.3質量%近傍の共晶組成はPdとβBの2相でありβBが存在する。一方、ホウ素が3.1質量%近傍の共晶組成はPd固溶体とPdまたはPdBあるいはPd16等の金属間化合物の相からなる。
ホウ素が5.3質量%近傍の共晶組成はβB相を含むため酸化しやすい面があるが、3.1質量%近傍の共晶組成はパラジウムを主成分とする相のみからなり酸化しにくく、また凝固温度範囲の立ち上がりが緩慢で管理がしやすく好ましい。
次に、第2工程において、上記第1工程により製造した母合金と所定量のパラジウムとを水冷坩堝を用いて溶解し、少なくとも0.03〜1.40質量%の範囲内のホウ素を含み、且つパラジウムを95.0質量%以上含んだパラジウム合金を製造する。
即ち、第1工程により製造した母合金に所定量のパラジウムを加えて水冷坩堝を用いて溶解し、95.0質量%以上のパラジウムに、少なくとも0.03〜1.40質量%の範囲内のホウ素(より好ましくは0.03〜0.30質量%の範囲内のホウ素)を含んだ、均一組成のパラジウム合金を製造する。
なお、請求項1の発明において、均質な母合金を得るためにパラジウムとホウ素の共晶近傍組成の2元合金で溶解することが必要であるが、第2工程においては、第一工程で作製した母合金を含み、Pd990、Pd950等の規格化が想定される純度に合わせて、パラジウムの純度を調整するために例えば、Pt、Au、Ag、Ru、Cu等の他元素を添加して純度調整しても良い。また、請求項2の発明のパラジウム合金においても、前記した量のパラジウムとホウ素以外に前記したような他元素を微量含んでいても良い。
以上のように、本発明によれば、ホウ素が表面から内部まで均一に含まれることとなるので、表面のみならず内部においても加工に好適な硬度を有する、均一組成の高純度なパラジウム合金を製造することができる。
そして、このような高純度パラジウム合金であるため、例えば、指輪やネックレス等の装身具の材料として、或いは筆記具のペン先や装飾用の金輪等の部材として、広い用途で用いることができる。
また、装身具としての指輪等や、筆記具に装着する金輪等に用いる場合には、加工時に変形したり傷が付き難くなるので、変形や傷による後工程の必要性がなくなり、製造コストを抑えることができる。
また、色的にもプラチナ合金と比較して遜色ない装身具を材料費を安くして提供することができるようになる。
また、高純度を維持しているので、顧客に貴金属としての高級感を印象付けることができるとともにプラチナ合金で製造した装身具より安価に提供することができる。
[実施例]
以下、実施例により、本発明のパラジウム合金について具体的に説明する。
(実施例1〜15)
先ず、純度99.95質量%以上のパラジウム48.45gと、純度99.9質量%以上のホウ素1.55gを銅製の水冷ハース上にのせ、真空排気後、アルゴン置換したアーク炉(以下、真空置換型アーク炉という)で溶解して、ホウ素をパラジウムとホウ素の共晶点である3.1質量%含有したパラジウムとホウ素とからなる均一組成の母合金を50g製造した。
次に、製造した母合金0.480g(パラジウム0.465g、ホウ素0.015gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム49.52gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.03質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例1とした。
実施例1と同様にして製造した母合金0.810g(パラジウム0.785g、ホウ素0.025gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム49.19gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.05質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例2とした。
実施例1と同様にして製造した母合金1.120g(パラジウム1.085g、ホウ素0.035gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム48.88gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.07質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例3とした。
実施例1と同様にして製造した母合金1.440g(パラジウム1.395g、ホウ素0.045gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム48.56gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.09質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例4とした。
実施例1と同様にして製造した母合金1.61g(パラジウム1.56g、ホウ素0.05gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム48.39gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.10質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例5とした。
実施例1と同様にして製造した母合金3.23g(パラジウム3.13g、ホウ素0.10gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム46.77gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.20質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例6とした。
実施例1と同様にして製造した母合金4.84g(パラジウム4.69g、ホウ素0.15gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム45.16gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.30質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例7とした。
実施例1と同様にして製造した母合金6.45g(パラジウム6.25g、ホウ素0.20gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム43.55gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.40質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例8とした。
実施例1と同様にして製造した母合金9.68g(パラジウム9.38g、ホウ素0.30gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム40.32gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.60質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例9とした。
実施例1と同様にして製造した母合金12.90g(パラジウム12.50g、ホウ素0.40gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム37.10gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.80質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例10とした。
実施例1と同様にして製造した母合金16.13g(パラジウム15.63g、ホウ素0.50gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム33.87gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.00質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例11とした。
実施例1と同様にして製造した母合金19.35g(パラジウム18.75g、ホウ素0.60gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム30.65gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.20質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例12とした。
実施例1と同様にして製造した母合金22.58g(パラジウム21.88g、ホウ素0.70gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム27.42gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.40質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、実施例13とした。
実施例1と同様にして製造した母合金8.06g(パラジウム7.81g、ホウ素0.25gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム39.69gと、銀2.25gと、を銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.50質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、参考例1とした。
実施例1と同様にして製造した母合金16.63g(パラジウム16.13g、ホウ素0.50gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム31.37gと、銀2.00gと、を銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.00質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、参考例2とした。
(比較例1〜4)
純度99.95質量%以上のパラジウム50gの板材を、比較例1とした。
実施例1と同様にして製造した母合金0.160g(パラジウム0.155g、ホウ素0.005gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム49.84gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を0.01質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、比較例2とした。
実施例1と同様にして製造した母合金25.81g(パラジウム25.01g、ホウ素0.80gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム24.19gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.60質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、比較例3とした。
実施例1と同様にして製造した母合金29.03g(パラジウム28.13g、ホウ素0.90gを含有)と、純度99.95質量%以上のパラジウム20.97gを銅製の水冷ハース上にのせ真空置換型アーク炉で溶解し、ホウ素を1.80質量%含有した均一組成のパラジウム合金50gの板材を製造して、比較例4とした。
<評価方法>
(1.硬度)
実施例1〜13、参考例1、2及び比較例1〜4の板材について、表面の3箇所にてビッカース硬度(Hv)を測定し、その平均値を求めた。
また、各板材を切断して内部の3箇所にてビッカース硬度(Hv)を測定し、その平均値を求めた。その結果は表1に示した通りである。
(2.加工性)
実施例1〜13、参考例1、2及び比較例1〜4の板材について、圧延加工して割れが生じたか否かを目視検査し、下記のように評価した。その結果は表1に示した通りである。
割れが生じない・・・○
割れが生じた・・・×
(3.表面状態)
実施例1〜13、参考例1、2及び比較例1〜4の板材について、表面の肌荒れ状態を目視観察したが、各板材の表面状態はどれも良好で、実施例と比較例においての差はみられなかった。
Figure 0005771026
比較例1及び比較例2は、パラジウム合金の板材における表面と内部のビッカース硬度が80Hv未満であり、例えば装飾品としての指輪の材料として用いる場合には、指輪を鋳造により製造した際に製品として傷が付き易いという問題があり、好ましくない。
比較例3及び比較例4は、硬度が硬すぎ、指輪等の製造において圧延加工した際に割れてしまうという問題があり、好ましくない。

Claims (1)

  1. パラジウム合金の製造方法であって、
    パラジウム:94.5〜97.6質量%、ホウ素:2.4〜5.5質量%の組成割合のパラジウムとホウ素とを水冷坩堝を用いて溶解し、均一組成の母合金を製造する第1工程と、
    前記第1工程により製造した前記母合金と所定量のパラジウムとを水冷坩堝を用いて溶解し、0.03〜1.40質量%の範囲内のホウ素を含み、残部がパラジウムであるパラジウム合金を製造する第2工程と、
    を有することを特徴とするパラジウム合金の製造方法。
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