以下、実施形態の用紙後処理装置を図面に基づいて説明する。
第1実施形態
図1は画像形成装置に用紙後処理装置(フィニッシャ)を取り付けた状態を示す正面図、図2は図1のフィニッシャの拡大図を示す。
図1において、フィニッシャ1は、複数枚の用紙Pをステイプル針により綴じるステイプル針綴じ部2と、ステイプル針を用いずにのりにより綴じるのり綴じ部3と、画像形成装置100から排紙される用紙Pをのり綴じ部3に搬送する第1搬送部4と、第1搬送部4から分岐し、用紙Pをステイプル綴じ部2に搬送する第2搬送部5と、複数の排紙トレイ6を上下移動可能に配置した排紙トレイ部7とを有する。また、ステイプル針綴じ部2と、のり綴じ部3で綴じ処理された用紙束は、排紙トレイ部7の排紙トレイ6に排紙される。
MFP100は、装置本体101内に、給紙カセット部102、画像形成プロセス部(不図示)、定着部(不図示)、排紙ローラ部103を有する。給紙カセット部102から給紙された用紙P上に画像形成プロセス部で形成した例えばトナー画像を転写する。そして、用紙P上に転写された未定着トナー画像を定着部により定着し、トナー画像が定着された用紙Pを排紙ローラ部103により機外に排紙する。排紙ローラ部103から排紙された用紙Pは、フィニッシャ1に給紙される。
MFP100は、自動原稿給紙装置(ADF)104を有する。原稿給紙台104Aにセットされたシート状の原稿はスキャナ部(不図示)に一枚ずつ給紙され、読み取られた原稿情報がメモリ部105に一旦保存される。メモリ部105には、例えば不図示のパソコン等から送信される原稿情報、ADF104を介してスキャナ部で読み込んだ原稿情報、印刷用紙Pの印刷枚数、印刷用紙Pの厚み等の用紙情報が記憶される。
画像形成装置100の操作部106は、表示部107に表示される表示画面を見ながら各種の操作を行うことができる。制御部108は、MFP全体の制御を行い、メモリ部105に記憶している印刷枚数、印刷の厚み等の用紙情報をフィニッシャ制御部150に送信する。このフィニッシャ制御部150は、本実施形態においては画像形成装置100側に配置しているが、フィニッシャ1側に配置しても良い。
操作部106はフィニッシャ1において、ステイプル針綴じ部2またはのり綴じ部3による用紙Pの綴じ方法を選択する。また、のり綴じを選択した場合には、第1綴じ強度調整モードと、第2綴じ強度調整モードとを選択することができる。第1綴じ強度調整モードと第2綴じ強度調整モードは、標準強度と、標準強度よりも綴じ強度が強い第1綴じ強度と、第1綴じ強度よりも綴じ強度が強い第2綴じ強度が設定され、使用者が選択できるようにしている。これらのモードおよび強度の選択は、図2に示すように、操作部106の例えばタッチパネル式の表示部107に表示され、操作者が該当する表示を押すことで選択される。
図2は表示部107のフィニッシャ選択画面を示している。フィニッシャ選択画面には、ステイプル針綴じ部2のよる綴じ方式を選択するステイプル針表示部131、のり綴じ方式を選択するのり綴じ表示部132、第1綴じ強度調整モード表示部133、第2綴じ強度調整モード表示部134、標準強度表示部135、第1綴じ強度表示部(強1表示)136、第2綴じ強度表示部(強2表示)137が表示される。
ここで、第1綴じ強度調整モードは、のりの貼り付け回数(塗布回数)を変更することにより綴じ強度を調整する。第2綴じ強度調整モードは、のりの貼り付け幅(塗布幅)を変更することにより綴じ強度を調整する。なお、各モードにおける綴じ強度調整については後述する。
フィニッシャ1において、のり綴じ部3は、第1搬送部4の搬送端部に配置された給紙ローラ301の排紙側の近傍に、回転パドル部302と、所定範囲内を往復回動するレバー状のグリップ部305とを有し、排紙された用紙Pの搬送後端部を回転パドル部302の第1パドル302Aとグリップ部305で両面側から把持する。また、排紙された用紙Pは待機トレイ303上に待機する。ここで、用紙Pの搬送方向を縦整合方向、縦整合方向と直交する紙面の方向を横整合方向とする。
待機トレイ303は縦整合方向の前方に向かって上向きに傾斜配置され、用紙Pが一枚給紙されると、横整合方向の外方に向かって左右に開き、載置する用紙Pを下方の処理トレイ304に落下させる。その際、前記グリップ部の把持動作は解除され、略同時に回転パドル部302が回転を開始し、1回転の間に複数の他のパドル302B、302Cで用紙Pの後端部を順次下方に向けて叩き、用紙Pを強制的に処理トレイ304に落下させる。その際、足の長いパドルが用紙Pの表面に接しながら用紙Pを縦整合方向の後方に向けて押し込む。処理トレイ304の縦整合方向の後方には、位置決め部306が配置され、用紙Pの後端は位置決め部305に突き当たって用紙Pの縦整合方向の位置決めが行われ、用紙Pの後端が揃えられる。
のり綴じ部3において、用紙Pの縦整合方向の後端部の表面に、後述のように強粘着性の両面粘着テープを貼り付けるが、その上に次の綴じ用紙が接触しながら移動しても、当該次の用紙が両面粘着テープに直ちに貼り付くことはなく、当該次の用紙はスムーズに位置決め部306に後端が到達する。この両面粘着テープは、用紙に加圧力を付与することで接着する。
なお、ステイプル針綴じ部2ものり綴じ部3の用紙P搬送系と同様の構成を有しているので、その説明を省略する。
のり綴じ部3は、位置決め部306で後端が揃えられた用紙を強粘着性の粘着テープで一枚ずつのり綴じし、複数枚の用紙を一束に綴じるテープスタンプ装置50を配置している。
本実施形態において、テープスタンプ装置50は、図3に示すように、横整合方向に移動することができ、間欠的に横整合方向に移動し、所定幅(幅方向は縦整合方向とする)に両面粘着シートを貼り付ける。この貼り付けた両面粘着シートをカット粘着シート部Gと称す。
図4はテープスタンプ装置50を示す。
テープスタンプ装置50は、用紙Pの縦整合方向の後端が突き当って用紙Pの先端を揃える位置決め部306に近接して取り付けられている。
テープスタンプ装置50は、テープヘッド52と、テープヘッド52を傾動可能に保持するスタンプスタンド53とを有する。テープヘッド52は、図4(a)に示すように、位置決め部306の用紙載置面306Aに対して上方に角度θ(0度<θ<90度)を有する図3に示す待機姿勢と、図4に示す用紙載置面51Aと平行な姿勢のプレス姿勢との間を傾動可能とする。テープヘッド52は待機位置において、用紙載置面306Aに用紙Pを積載可能な最大高さよりも上方に上昇し、傾斜することにより、処理トレイ304へ落下供給される用紙Pが位置決め部306に受け入れ容易としている。勿論、テープヘッド52は待機位置で傾斜していなくても良い。
テープヘッド52を待機位置からプレス姿勢に傾動し、加圧力Fを加えて用紙Pとカット粘着シート部Gとを接着させ、再び待機位置に戻る一連の動作をテープヘッドスタンプ動作と称す。
テープヘッドスタンプ動作を行う機構は、スタンプスタンド53に形成した上下方向に長い第1長孔54と、上端が第1長孔54よりも低い第2長孔55と、第1長孔54に係合する第1係合ピン56、第2長孔55に係合する第2係合ピン57とを有し、テープヘッド52の側面に第1係合ピン56と第2係合ピン57を取り付ける。第1係合ピン56はテープヘッド52の側面に対し、長手方向に長い補助長孔(不図示)に係合している。これは、第2係合ピン57が第2長孔55の上端に達した後に、第1係合ピン56が第1長孔54の上端まで移動できるようするもので、前記第1係合ピン56が補助長孔を移動することで、テープヘッド52は第2係合ピン57を支点として傾動を開始する。
また、テープヘッド52に対し、不図示の加圧力付与部で発生する加圧力Fをばね等の第1弾性体58を介して下方に向けて付与する。テープヘッド52に加圧力Fが付与されると、テープヘッド52は、ばね等の第2弾性体59の弾性力に抗して下方に移動する。第1係合ピン56が第2長孔55の上端位置に達すると、テープヘッド52は図5の水平姿勢になり、この水平姿勢を維持して降下し、用紙Pの表面に、後述するテープの転写当接面が当接する。この状態で第1弾性体58に加圧力Fが加えられても、テープヘッド52はこれ以上降下せず、第1弾性体58を縮め、用紙Pに両面粘着シートが貼り付けられる。
そして、加圧力Fを解除すると、第2弾性体59に蓄勢されていた弾性力が解放され、テープヘッド52を待機位置まで戻す。その際、用紙Pに対して貼り付けられた両面粘着シートの貼り付け部分がカット粘着シート部Gとして残る。
テープヘッド52内には、テープ状の両面粘着シート31を破線で示す帯状の台紙テープ32の片面に剥離可能に貼り付けてロール状に巻回したロールテープ33が配置され、ロールテープ33の始端側が巻取り軸34に巻き取られる。また、ロールテープ33は、2か所の折り返しローラ35と、縦整合方向に沿って離隔対向する転写当接面形成ローラ36,37に、図5に示すように巻回される。また、巻取り軸34はモータM等で構成されるテープ巻取機構により回転駆動され、ロールテープの巻き取りを行う。第1転写当接面形成ローラ36と第2転写当接面形成ローラ37は、テープヘッド52の下面から下方に突出し、縦整合方向におけるローラ間を転写当接面38とする。また、テープヘッド52の下面52Aにおいて、転写当接面38に対応する部分は壁面に形成され、台紙テープ32が接する。
第1転写当接面形成ローラ36と、第2転写当接面形成ローラ37との間に沿った方向(以下、幅方向とする)において、モータMの回転を制御することにより、ロールテープ33の繰出し量を調整し、第1転写当接面形成ローラ36から幅方向に繰出される両面粘着シート31の幅を調整することができる。両面粘着シート31の幅が短いと、用紙P間の接着力が弱い。例えば用紙Pが厚紙である場合、用紙の腰が強いので、用紙束のページ捲りの際に接着を剥がす方向に大きな剥離力が加わりやすい。その際、両面粘着シート31の幅が広いと、それだけ接着力が強くなる。また、用紙Pが薄い場合には、接着部に加わる剥離力は弱い。
したがって、転写当接面38に繰出される両面粘着シート31の幅を調整することで、接着強度を調整することができる。
例えば、第1転写当接面形成ローラ36と、第2転写当接面形成ローラ37との間の長さを三等分し、第1転写当接面形成ローラ36から三分の一の長さだけ両面粘着シート31を繰出した状態を標準綴じ強度、三分の二の長さだけ両面粘着シート31を繰出した状態を第1綴じ強度、第1転写当接面形成ローラ36から第2転写当接面形成ローラ37の長さまで繰出した状態を第2綴じ強度と設定し、この繰出し量を使用者が手動設定し、あるいは用紙の厚さなどの用紙情報に基づいて自動設定することにより、用紙剥がれのない用紙束を得ることができる。
この場合、図2に示す第2綴じ強度調整モードを選択した場合に対応する。そして、標準表示部135の表示選択を行うと、第1転写当接面形成ローラ36から三分の一だけ両面粘着シート31を繰出した状態、強1表示部136の表示選択を行うと、三分の二だけ両面粘着シート31を繰出した状態、強2表示部137の表示選択を行うと、第2転写当接面形成ローラ37まで繰出した状態に両面粘着シート31の繰出しを行う。
両面粘着シート31は、例えば台紙テープ32側を凹部とし、非貼り付け面側を凸部とするドット部をマトリックス状に形成し、貼り付け部分と非貼り付け部分との境界部分で裂けることができるようにしている。したがって、用紙Pの綴じ部分における貼り付け面に両面粘着シート31を押し付けて貼り付け、押し付け方向と反対方向に戻すと、貼り付け領域と非貼り付け領域との境界位置で両面粘着シート31がドット部との間で裂け、貼り付けた長さだけ両面粘着シート31を用紙Pの綴じ領域に貼り付けることができる。
また、カット粘着シート部Gを1層ではなく複数層にすることで、綴じ強度を強くすることができる。これは、図2の第1綴じ強度調整モードに対応する。この場合、カット粘着シート部Gが1層を標準綴じ強度、2層を第1綴じ強度、3層を第2綴じ強度とすることができる。
なお、上記したテープヘッドスタンプ動作を行う機構、およびロールテープの構成は一例であり、これに限定されるものではない。
図5は、例えば第2綴じ強度調整モードを選択し、第2綴じ強度を選択した場合のテープスタンプ動作を説明する図である。
図5において、図5(a)ではテープヘッド52は待機位置まで上昇し、用紙Pが処理トレイ304に供給されるのを待っている。図5(b)では、処理トレイ304に用紙が供給され、用紙後端が位置決め部306に当接した状態で、テープヘッド52のテープスタンプ動作が開始され、カット粘着シート部Gが1層貼り付けられると、図5(c)に示すように、テープヘッド52はもとの待機位置に戻り、一枚の用紙Pに対するテープスタンプ動作が終了する。そして、図5(d)に示すように、ロールテープ33の繰出しが開始され、第2転写当接面形成ローラ37まで両面粘着シート31が繰出されると、ロールテープ33の繰出しが終了する。上記した図5(a)〜(d)はテープスタンプ装置50が水平姿勢の状態で記載しているが、実際には、図5(f)に示すように、傾斜して配置されている。
図6は、図1に示す後処理動作を行うフィニッシャ制御の制御ブロック図である。フィニッシャ制御の制御ブロックは、フィニッシャ制御部150と、MFP100のメモリ部105と、操作部106と、第1搬送部4と、第2搬送部5と、ステイプル針綴じ部2と、のり綴じ部3等で構成され、これら各コンポーネントはバスライン140により接続されている。
フィニッシャ制御部150は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ151、メモリ152を有する。フィニッシャ制御部150は、操作部106の操作情報、メモリ部105からの用紙情報に基づいて、第1搬送部4により用紙をのり綴じ部3に搬送し、のり綴じによる後処理、あるいは第2搬送部5により用紙をステイプル針綴じ部2に搬送し、ステイプル針による後処理を行うべくフィニッシャ1の全体を制御する。
メモリ152は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)153と、プロセッサ151に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)154とを有する。例えば、ROM153は、一束とする用紙束の用紙枚数等を格納する。
操作部106でのり綴じ表示部132を選択すると、第1搬送部4とのり綴じ部3の駆動を行う。通常は、例えば第2綴じ強度調整モードで、標準綴じ強度が設定されるようにしてもよい。そして、メモリ部105から厚紙の情報を取得すると、厚さ情報によって、第1綴じ強度か第2綴じ強度かを設定する。勿論、操作部106で手動操作により、第1綴じ強度調整モード表示部133のON操作、又は第2綴じ強度調整モード134のON操作を行い、必要に応じて標準綴じ強度、第1綴じ強度、第2綴じ強度の選択を行うことができる。
図7に示すフローチャートに基づいて、のり綴じが選択された場合において、1枚の用紙Pに対するカット粘着シートGの貼り付け動作を説明する。なお、図3に示すように、横整合方向において複数個所にカット粘着シート部Gを貼り付ける場合には、テープスタンプ装置50を横整合方向に間欠駆動する。
Act1において、第1綴じ強度調整モードか否かを判定し、第1綴じ強度調整モードであればAct2に進み、第2綴じ強度調整モードであればAct13に進む。
Act2において、標準綴じ強度であるか否かを判定し、標準綴じ強度であるとAct3に進み、そうでなければ(第1綴じ強度又は第2綴じ強度)Act4に進む。
Act3において、テープヘッド52によるテープスタンプ動作を一回だけ行い、終了する。
Act4において、第1綴じ強度か否かを判定し、第1綴じ強度であればAct5に進み、第2綴じ強度であればAct8に進む。
Act5において、テープヘッド52による第1回目のテープスタンプ動作を行い、用紙P上の所定位置にカット粘着シート部Gを貼り付け、Act6に進む。
Act6において、ロールテープ33の両面粘着シート31をカット粘着シート部Gの幅に対応する所定量だけ繰出し、Act7に進む。
Act7において、テープヘッド52による第2回目のテープスタンプ動作を行い、用紙P上に先に貼り付けられたカット粘着シート部G上に2層目のカット粘着シート部Gを貼り付け、終了する。
Act4において第2綴じ強度と判定されると、カット粘着シート部Gを3層重ねるため、Act8からAct10までは、Act5からAct7までと同様の動作を行い、第3層目のカット粘着シート部Gを重ねるべく、Act11でロールテープ33の両面粘着シート31をカット粘着シート部Gの幅に対応する所定量だけ繰出し、Act12に進む。
Act12において、テープヘッド52による第3回目のテープスタンプ動作を行い、用紙P上に先に貼り付けられた2層のカット粘着シート部G上に3層目のカット粘着シート部Gを貼り付け、終了する。
一方、Act1において第2綴じ強度調整モードが選択された判定された場合には、Act13において、Act2と同様に、標準綴じ強度であるか否かを判定し、標準綴じ強度であるとAct14に進み、そうでなければ(第1綴じ強度又は第2綴じ強度)Act16に進む。
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Act14では、ロールテープ33を標準量だけ繰出し、Act15に進む。
Act15では、テープヘッド52によるテープスタンプ動作を行い、用紙P上の所定位置に標準幅のカット粘着シート部Gを貼り付け、終了する。
Act16において、Act4と同様に、第1綴じ強度か否かを判定し、第1綴じ強度であればAct17に進み、第2綴じ強度であればAct18に進む。
Act17において、ロールテープを標準量の2倍だけ繰出し、Act15に進み、テープヘッド52によるテープスタンプ動作を行い、用紙P上の所定位置に標準幅の2倍のカット粘着シート部Gを貼り付け、終了する。
Act18において、ロールテープを標準量の3倍だけ繰出し、Act15に進み、テープヘッド52によるテープスタンプ動作を行い、用紙P上の所定位置に標準幅の3倍のカット粘着シート部Gを貼り付け、終了する。
このように、第1綴じ強度調整モード選択すると、のり代が狭い場合にのり塗布密度を高くすることが可能となり、のり付け強度を強くすることができ有利である。第2綴じ強度調整モードを選択すると、用紙束の綴じ部分の厚さを少なくすることができる。
図4において、ロールテープ33の送り方向は、第1転写当接面形成ローラ36から第2転写当接面形成ローラ37に向かう方向としているが、その逆であっても良い。
第2実施形態
図8は第2実施形態のテープスタンプ装置を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA矢視図である。
本実施形態のテープスタンプ装置70は、ロールテープ33の搬送方向を横整合方向とし、横整合方向に移動可能な移動体71にスタンプ支持台72を取り付け、スタンプ支持台に設けたスタンプスタンド53にテープヘッド73を図4と同様に取り付けられている。
テープヘッド73は、ケース74内に、図4に示す第1実施形態と同様のロールテープ33が配置され、ロールテープ33の始端側が巻取り軸34に巻き取られる。また、ロールテープ33は、2か所の折り返しローラ35と、縦整合方向に回転軸を有する転写ローラ75に図8(b)に示すように巻回される。転写ローラ75はケース74の下面より下方に突出し、両面粘着テープ31を用紙Pの綴じ代部分に押し付ける。
また、移動体71には、用紙Pの後端部を支持するベース部材76が横整合方向に沿って転写ローラ75と対向した位置に配置され、スタンプ時に用紙Pを支持する。
移動体71は、不図示の駆動機構により横整合方向に移動する。その際、テープヘッド73は、転写ローラ75により両面粘着テープ31を用紙P上に加圧力を付与して押し付け状態が維持される。
このように、移動体71の移動によりテープヘッド73が移動すると、ロールテープ33は、転写ローラ75の押し付け力により両面粘着テープ31が台紙テープ32から剥がれながら用紙Pに貼り付き、台紙テープ32は両面粘着テープ31が引っ張られることに連れられて移動して繰出され、用紙P上に帯状の粘着シート部Bが貼り付けられる。その際、巻取り軸34をモータ駆動により巻き取っても良いが、テープヘッド73の横整合方向への移動力を利用して、巻取り軸を同期回転させて台紙テープの巻き取りを行うようにしてもよい。
本実施形態では、横整合方向への移動距離を調整することにより、綴じ強度の調整を行うことができる。
上記した各実施形態によれば、両面粘着テープの貼り付け面積を調整すること、あるいは積層することにより、用紙の厚みなどを考慮して、用紙が傷むことなく容易に引き剥がし可能とすることができ、コピー用紙等の再利用を可能とする。
(第3実施形態)
図9は、シート後処理装置100および画像形成装置500のハードウェア構成を示すブロック図である。
シート後処理装置100(いわゆるフィニッシャ)は、MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置500が排出するシート束を感圧接着剤を用いて端綴じするブックバインディング処理や、シートに孔あけ処理する等の後処理を行う。感圧接着剤とは、所定以上の圧力を受けることにより接着力を生じる接着剤である。
シート後処理装置100は、パンチユニット1、シート綴じ部21、制御部31、通信I/F32、操作パネル33を備える。これら各要素はバス34で接続される。
パンチユニット1は、穴開け処理、および感圧接着剤の塗布処理を行う。
シート綴じ部21は、シートの端綴じによるバインディング処理を行う。
制御部31は、シート後処理装置100全体を制御する。制御部31は、各種の演算を行うプロセッサ311、プロセッサ311に読み込まれるプログラム等を格納するメモリ312を備える。通信I/F32は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F32は、無線または有線により、画像形成装置500等とデータを送受信する。操作パネル33は、タッチパネルであり、ユーザの操作入力を受け付ける。操作パネル33は、シート後処理装置100の設定情報や動作ステータス、ログ情報、ユーザへの通知を表示する。
画像形成装置500は、スキャナ部51、プリンタ部52、制御部53、記憶装置54、通信I/F55、操作パネル56を備える。これら各要素はバス57で接続される。スキャナ部51は、原稿台上等に載置されたシート上の画像を読み取る。プリンタ部52は、スキャナ部51が読み取った画像データ等に基づいてシートに画像を形成する。
制御部53は、画像形成装置500全体を制御する。制御部53は、各種の演算を行うプロセッサ531、プロセッサ531に読み込まれるプログラム等を格納するメモリ532を備える。記憶装置54は、各種のプログラムやジョブ等を記憶する。通信I/F55は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F55は、無線または有線により、外部機器やシート後処理装置100等とデータを送受信する。操作パネル56は、タッチパネルであり、ユーザの操作入力を受け付ける。操作パネル56は、画像形成装置500の設定情報や動作ステータス、ログ情報、ユーザへの通知を表示する。
図10は、シート後処理装置100の概略構成図である。
シート後処理装置100は、パンチユニット1とシート綴じ部21とを備える。
パンチユニット1およびシート綴じ部21に亘って、画像形成装置500が排出するシートをパンチユニット1およびシート綴じ部21へ搬送する搬送路4がある。搬送路4の各部には搬送ローラ41がある。
搬送ローラ41は、駆動ローラ411と、シートを挟んで駆動ローラ411と対向する従動ローラ412がある。駆動ローラ411は、高剛性とされ、シートを搬送できる十分な摩擦係数に設定される。従動ローラ412は、樹脂製であったり、外周側にゴム等の弾性層があるものであり、駆動ローラ411に従動する。従動ローラ412は、画像形成装置500が片面印刷する際に画像が形成されるシート裏面側であって、塗布用スタンプ13による感圧接着剤が塗布されるシート面側に設けられる。従動ローラ412は、表層にフッ素樹脂(例えばポリフルオロエチレン樹脂等)が積層され、駆動ローラ411よりも低い摩擦係数に設定される。
パンチユニット1は、画像形成装置500とシート綴じ部21との間にある。
パンチユニット1は、モータ11、駆動機構6、パンチヘッド12、塗布用スタンプ13(塗布部)、ガイドフレーム14、ダストボックス15を備える。図10では、分かりやすくするためにパンチヘッド12と塗布用スタンプ13とをシート搬送方向にずらして描いているが、パンチヘッド12と塗布用スタンプ13は、シート搬送方向において同一位置に設けられる。すなわち、図10の紙面垂直方向に並設される。
パンチヘッド12は、シートに孔をあける。塗布用スタンプ13は、シートに押圧されることにより、シートに所定量の感圧接着剤を塗布する。パンチヘッド12および塗布用スタンプ13がシートに対して、パンチ処理および接着剤塗布処理をする際には、シートは、これらパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の直下にて、搬送ローラ41に狭持される等して搬送が停止された状態となっている。
塗布用スタンプ13は、例えば押圧されることにより所定量巻き取られるシールを備える。シールには、感圧接着剤が積層される。塗布用スタンプ13がシートに押しつけられると、シール上の感圧接着剤がシールから剥離し、シート側に転写される。この場合、例えば、第3、第4実施形態に記載ののり綴じ部3(のり付部)を採用することが可能である。
駆動機構6は、モータ11の回転に基づいて、パンチヘッド12を、シートを穿孔する位置(図10中下方位置)とシートからの退避位置(図10中上方位置)との間で上下に往復動させるとともに、塗布用スタンプ13を、シートに接着剤を塗布する位置(図10中下方位置)とシートからの退避位置(図10中上方位置)との間でパンチヘッド12と異なる位相で往復動させる。パンチヘッド12によるパンチ時には塗布用スタンプ13は上方に退避し、塗布用スタンプ13による接着剤塗布時にはパンチヘッド12は上方に退避するようになっている。
図11は、接着剤の塗布位置と、塗布用スタンプ13より搬送方向下流にある各従動ローラ412との位置関係を示す図である。
塗布用スタンプ13は、シートの搬送方向と直交する方向に沿ったシートの部位において、従動ローラ412が接触する領域を除く領域に接着剤を塗布する。これにより、本実施形態では、従動ローラ412への感圧接着剤の付着を回避できる。
また、塗布用スタンプ13は、本実施形態では、端綴じ用に構成されている。シート後処理装置100に端綴じによるバインディング処理のジョブが入力される場合、塗布用スタンプ13の直下に、シートの搬送方向下流端部が来る位置にシートは位置づけられる。塗布用スタンプ13は、該位置で停止した状態のシートの搬送方向下流端部に押圧され、該位置に感圧接着剤を塗布する。感圧接着剤が塗布されたシートは、シート綴じ部21(図10参照)に搬送される。
シート綴じ部21は、搬送ベルト211と、加圧部212と、排出トレイ213とを備える。搬送ベルト211には、搬送路4から排出されて不図示の待機トレイに積層されたシートが落下する。加圧部212は、搬送ベルト211上に載置され整合されたシート束の搬送方向下流端部を押さえつけて加圧する。これにより、シート端部の感圧接着剤に接着力を生じさせ、シートの下流端部を綴じる。ブックバインディング処理されたシートは、搬送ベルト211により排出トレイ213に排出される。
図12は、パンチユニット1を示す斜視図である。なお、図12の右側のパンチヘッド12の右側にも塗布用スタンプ13が設けられているが、ここでは図示を省略している。
パンチユニット1は、前述したように、モータ11、駆動機構6、パンチヘッド12、塗布用スタンプ13、ガイドフレーム14、ダストボックス15を備える。シートは、ダストボックス15と、ガイドフレーム14の間の搬送路4を通過し、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13によりパンチング処理や接着剤塗布処理をされる。モータ11は、正転、逆転のいずれの方向にも回転制御可能である。
ガイドフレーム14は、断面視逆U字状に形成された長手状であり、内部に後述の駆動フレーム64(図5)を収容する。ガイドフレーム14の天面141には、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13が挿通するガイド穴142,143がある。ガイドフレーム14は、ガイド穴142,143によりパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の移動を上下方向に規制する。
以下、駆動機構6の構成および作用を説明する。
図13は、駆動機構6の駆動構成を示す斜視図である。図13では、第2、第3カム62,63の側面においてパンチヘッド12および塗布用スタンプ13と係合しない側の面(駆動フレーム64内の第2、第3カム62,63の図13中奥側の面)を見せるために、該面が図13中手前側に来る姿勢で第2、第3カム62,63を駆動フレーム64の外側にも描いてある。
駆動機構6は、第1〜第3駆動カム61〜63、不図示の角度センサ、および駆動フレーム64を備え、モータ11の回転を駆動フレーム64の水平方向のスライド運動に変えるとともに、駆動フレーム64の該スライド運動を第2、第3カム62,63によってパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の上下運動に変える。
第1カム61には、モータ11の回転が伝達される。第1カム61上には作用軸611(図14)が立設される。該作用軸611は、駆動フレーム64の端部にある収容部641内に収納される。駆動フレーム64は、移動方向が規制されており、シートの搬送方向と直交する幅方向(図13の左右方向)にのみスライド移動可能になっている。第1カム61が回転すると、作用軸611が収容部641に作用し、駆動フレーム64をシートの幅方向に沿って往復動させる。第1カム61は、モータ11の正逆の回転に応じて正逆回転する。すなわち、モータ11の回転方向が異なると、第1カム61の回転方向が異なり、ひいては駆動フレーム64の往復動の位相、およびパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の上下方向への移動の位相が異なることとなる。
第1カム61の外周部には、所定間隔で切り欠き部が形成されている。不図示の角度センサは、第1カム61の切り欠き部の通過を検知する。不図示の角度センサの出力信号により、制御部31は、第1カム61の回転状態を検知でき、ひいては、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13の状態(シート側への突出状態、退避状態)を検知できる。
駆動フレーム64は、長手枠状に形成され、内側に第2、第3カム62,63が配される。駆動フレーム64の先端には前記収容部641が形成される。
第2、第3カム62,63は、水平方向に延びる回転軸621,631を備える。回転軸621,631は、ガイドフレーム14の両側面146に形成された穴144,145に挿入されて支持される(図5では、片方の穴144,145のみ図示)。第2、第3カム62,63は、駆動フレーム64のスライド方向へ回動するように構成されている。例えば、第2、第3カム62,63の一方の側面(駆動フレーム64内の第2、第3カム62,63の図5中奥側の面)にある溝部623、633に、駆動フレーム64の内面から突出する不図示の突起部が配されることで、駆動フレーム64のスライド方向に対応して第2、第3カム62,63が回動するように構成されている。第2、第3カム62,63側に突起部があり、駆動フレーム64側に溝部があってもよい。
図14は、第1カム61の回転角度とパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の状態の関係を説明するための図である。
第2、第3カム62,63の一方の側面(駆動フレーム64内の第2、第3カム62,63の図13中奥側の面)は駆動フレーム64と係合するが、第2カム62の他方の側面(駆動フレーム64内の第2、第3カム62,63の図13中手前側の面)はパンチヘッド12と係合し、第3カム63の他方の側面は塗布用スタンプ13と係合する。具体的に、第2、第3カム62,63の他方の側面にはそれぞれ外周側に湾曲した溝部622,632(図14参照)が形成されており、該溝部622,632にパンチヘッド12および塗布用スタンプ13の突起部121、131が配される。
これにより、駆動フレーム64が水平方向に往復動すると、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13は、上下方向のみにガイドフレーム14によって移動が規制されていることから、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13の位置における溝部622,632の回動軸631,632からの距離に応じて、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13が上下動する。溝部622,632の形状は、パンチヘッド12と塗布用スタンプ13の上下動の位相が180度ずれるように構成されている。
以下、第1カム61の作用軸611の位置と、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13の位置との関係を図14および図15を参照して説明する。
第1カム61の作用軸611が図14(a)の位置にある場合、パンチユニット1は、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13が共にシートから離れたニュートラル状態となる。
第1カム61の作用軸611がニュートラル状態から図14中反時計方向に90°回転する場合(時計方向に270°回転する場合)、図14(b)に示すように、パンチヘッド12は、穿孔位置に位置づけられ、塗布用スタンプ13は、退避位置に位置づけられる。
従って、シート後処理装置100は、パンチジョブを受け付ける場合、第1カム61の作用軸611がニュートラル状態から反時計方向に90°回転するようにモータ11を制御する。
第1カム61の作用軸611が、ニュートラル状態から反時計方向に180°回転する場合(時計方向に180°回転する場合)、図14(c)に示すように、パンチヘッド12は穿孔位置から退避位置側に上昇し、パンチユニット1は再びニュートラル状態となる。
第1カム61の作用軸611がニュートラル状態から時計方向に90°回転する場合(反時計方向に270°回転する場合)、図14(d)に示すように、パンチヘッド12は退避位置に位置づけられるとともに、塗布用スタンプ13は、シート側に突出し、接着剤の塗布位置に位置づけられる。
従って、シート後処理装置100は、接着剤塗布ジョブを受け付ける場合、第1カム61の作用軸611がニュートラル状態から時計方向に90°回転するようにモータ11を制御する、すなわち、パンチジョブを受け付ける場合と逆方向にモータ11を駆動させる。
シート後処理装置100は、1枚のシートに対してパンチ処理および接着剤塗布処理の両方を行うジョブを受け付ける場合、第1カム61の作用軸611がニュートラル状態から時計方向または反時計方向に360°回転するようにモータ11を制御する。これにより、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13がそれぞれ1回ずつシート側に突出し、穿孔位置および塗布位置に位置づけられるので、パンチ処理および接着剤塗布処理を共に行うことができる。
以下、シート後処理装置100によるジョブ処理を図16のフローチャートを参照して説明する。
シート後処理装置100は、画像形成装置500からジョブを受け付ける(Act1)。
シート後処理装置100は、パンチ処理や接着剤塗布処理が不要な場合(Act2:NO)、シートをそのまま排出トレイ213に排紙する(Act3)。
シート後処理装置100は、パンチ処理や接着剤塗布処理が必要な場合(Act2:YES)、画像形成装置500から送られるシートをパンチヘッド12および塗布用スタンプ13が配置されている位置まで搬送し、該位置で停止させる(Act4)。
シート後処理装置100は、入力されたジョブがパンチ処理の場合(Act5:パンチ)、塗布用スタンプ13が接着剤塗布位置を経ない方向である穿孔方向にモータ11を駆動し、パンチヘッド12を穿孔位置まで下降させることによりシートをパンチする(Act6)。穿孔方向とは、図14の例においては、パンチユニット1が図14(a)のニュートラル状態である場合に、第1カム61の作用軸611を反時計方向に90°回転させる方向である。
シート後処理装置100は、パンチしたシートを排出トレイ213に排紙する(Act3)。
シート後処理装置100は、入力されたジョブが接着剤塗布処理の場合(Act5:塗布)、パンチヘッド12が穿孔位置を経ない方向である接着剤塗布方向にモータ11を駆動し、塗布用スタンプ13を接着剤塗布位置まで下降させることによりシートに感圧接着剤を塗布する(Act7)。接着剤塗布方向とは、パンチユニット1が図14(a)のニュートラル状態である場合に、第1カム61の作用軸611を時計方向に90°回転させる方向である。この際、シート後処理装置100は、感圧接着剤をシートの搬送方向下流側端部において、シート搬送方向と直交する方向に沿って塗布する。
シート後処理装置100は、感圧接着剤を塗布したシートを搬送ベルト211上に排紙する(Act8)。
シート後処理装置100は、ジョブで指定された枚数に達すると(Act9:YES)、搬送ベルト211上のシート束の搬送方向下流側端部を加圧部212により加圧することにより、シートを端綴じする(Act10)。その後、シート後処理装置100は、端綴じしたシート束を排出トレイ213に排紙する(Act3)。Act9にて、ジョブで指定された設定枚数に達していないと判定されると(Act9:NO)、Act5の処理に戻り、再度Act5以降の処理を実行する。
シート後処理装置100は、入力されたジョブがパンチ処理と接着剤塗布処理を共に行うものである場合(Act5:両方)、パンチヘッド12および塗布用スタンプ13が1周期上下動するようにモータ11を駆動する。この場合、パンチユニット1が図14(a)のニュートラル状態である場合に、第1カム61の作用軸611は時計方向または反時計方向に360°回転することとなる。これにより、シートにパンチ処理を行うとともに接着剤塗布処理を行う(Act11)。
シート後処理装置100は、ジョブで指定された枚数分シートに該処理を行うと(Act9:YES)、シート束を端綴じした後(Act10)、排紙する(Act3)。
(第4実施形態)
図17は、シート後処理装置100Aの概略構成図である。図18は、感圧接着剤の塗布位置と従動ローラ412の位置関係を示す図である。
本実施形態では、パンチユニット1において、シートに感圧接着剤を塗布する塗布部13Aがパンチヘッド12と別体に設けられている。また、塗布部13Aは、図18に示すように、シートの搬送方向と直交する方向に沿ったシートの部位において、従動ローラ412が接触する領域内に感圧接着剤を塗布する。
これにより、本実施形態では、加圧部212の上流で予め感圧接着剤に加圧でき、加圧部212でシート同士の接着をより強固にできる。なお、塗布部13Aは、感圧接着剤が積層される巻き取り式のシールを備え、該シールをシートに接触した状態で塗布部13Aを移動させることで、シール上の感圧接着剤がシールから剥離しシート側に転写されるとともに、感圧接着剤が剥離したシート部分が塗布部13Aの移動に伴ってリールに巻き取られるように構成されていてもよい。すなわち、塗布部13Aは、いわゆる修正テープと類似の構成を備えていてもよい。具体的な後述する第6、第7実施形態に記載ののり綴じ部(糊付け部)の構成を本実施形態の塗布部13Aとして採用できる。
(第5実施形態)
図19は、シート後処理装置100Bの概略構成図である。図20は、感圧接着剤の塗布位置を示す図である。
本実施形態では、シートに感圧接着剤を塗布する塗布部13Bがパンチヘッド12と別体に設けられている。また、シート綴じ部21に加え、中綴じ部22が設けられている。搬送路4は、フラッパ42を起点に2つの搬送路に分岐する。搬送路4から分岐した一方の搬送路48にはシート綴じ部21が配置され、他方の搬送路49には中綴じ部22が配置される。
本実施形態では、シート後処理装置100Bは、シートを中綴じ製本するために、図20に示すように、シートの搬送方向における中央部分において、前記搬送方向と直交する方向に感圧接着剤を塗布する。塗布部13Bは、前述と同様、いわゆる修正テープと類似の構成を備え、感圧接着剤が積層されたシールをシートに接触した状態で塗布部13Bを移動させることで、感圧接着剤をシートに塗布できるように構成されているものを使用できる。塗布部13Bは、また、第3、第4実施形態と同様、シートの搬送方向下流端部、かつ搬送方向と直交する方向に沿って感圧接着剤をシートに塗布できるように構成および駆動制御されているものとする。塗布部13Bは、例えば第6、第7実施形態に記載ののり綴じ部3(糊付け部)を採用することが可能である。
塗布部13Bにて、感圧接着剤を中綴じ用に塗布されたシートは、中綴じ部22に搬送される。
中綴じ部22は、スタッカ221、シート折りローラ対223、折りブレード224、折り増しローラ対227、搬送ローラ225、および排出トレイ226を備える。
スタッカ221には、シートが積載される。この際、シートは、折りブレード224側に感圧接着剤の塗布領域が来る向きで重ねられる。
図21は、シート折りローラ対223を示す図、図22は、折り増しローラ対227を示す図である。
シート折りローラ対223は、折りブレード224とスタッカ221を挟んで対向する位置にある(図19参照)。シート折りローラ対223間にはニップN1が形成される。
折り増しローラ対227は、シート折りローラ対223のシート搬送方向下流にある。折り増しローラ対227間のニップN2は、シート折りローラ対223間のニップN1より小さい。折り増しローラ対227は、実際は図14の左側の状態で配置され、不図示の移動機構により、図11の紙面垂直方向に移動可能に設けられる。
折りブレード224は、シートの感圧接着剤が塗布された折半部位に当接し、スタッカ221上のシート束をシート折りローラ対223のニップN1に押し込み、シート束を2つ折りする。この際、シート折りローラ対223の押し圧は、感圧接着剤に接着力を十分に生じさせるには不十分である。
シート折りローラ対223を通過して2つ折りされたシート束は、折半部位を折り増しローラ対227によってシート幅に亘って狭圧され、折半部位を十分に加圧される。これにより、感圧接着剤に十分な接着力が生じ、シートは折半部位で互いに強固に接着して中綴じ製本される。
このようにして2つ折りされて中綴じ製本されたシート束は、搬送ローラ225により排出トレイ226に排出される。
このような構成を取ることにより、本実施形態では、感圧接着剤の塗布領域が不正確であっても、折り目部のみを強固に接着できる。
(変形例)
上記の実施形態では、感圧式の接着剤にて説明を行ったがこれに限定されりものではない。例えば本実施形態に適用する接着剤は、高熱あるいは低熱を受けることにより粘着力が低減あるいはほぼ消滅するリユースに適したものであってもよい。また、接着部が用いる接着剤は、光を受けることにより粘着力が低減あるいはほぼ消滅するものであってもよい。
前記第3〜第5実施形態では、修正テープと類似の構成を備える塗布用スタンプ13および塗布部13A,13Bにより感圧接着剤を塗布したが、圧電素子やサーマル素子の駆動により感圧接着剤を吐出するインクジェット方式のプリンタヘッドを塗布部として用いてもよい。この場合の具体的な構成としては、後述する実施形態に記載の糊付け部101(糊付け構造)を採用することができる。
前記第3〜5実施形態における各処理の順序は、これら実施形態で例示した順序と異なっていてもよい。
(第6実施形態)
まず、第6実施形態によるシート綴じ装置およびこれを備える後処理装置(いわゆるフィニッシャ)について説明する。
<装置全体説明>
図45は、実施形態による後処理装置1の概略縦断面図である。
本実施形態による後処理装置1は、例えば、後処理装置1と通信可能に接続される画像形成装置7から出力されるシートを受け取り、当該シートに対して綴じ処理、折り処理、孔あけ処理などの各種処理を施す。
後処理装置1は、大まかに、処理機能として例えば綴じ処理部T、折り処理部B、ステイプラW,孔あけ部109などを備えている。
画像形成装置7にて画像を形成されたシートは、まず孔あけ部109を通過する。シートに対する孔あけを行なう場合には、この時点で孔あけ部109によるシートへの孔あけを行なう。
孔あけ部109を通過したシートは、フラッパ117により、その搬送先を搬送路110および搬送路108のいずれかに切り替えられる。
シートに対して孔あけ処理のみを行ないたい場合や、孔あけ部109を通過したシートをそのまま装置外に排出したい場合には、シートはフラッパ117によって搬送路108へと導かれ、さらにフラッパ107によって搬送路119へと導かれて第1排出トレイ106上に排出される。
一方、シートに対して綴じ処理部Tによる綴じ処理を施したい場合、搬送路108まで導いたシートをさらにフラッパ107によって搬送路120へと導き、バッファトレイ104上へと排出する。図46は、綴じ処理部T周辺の概略構成を示す縦断面図である。
バッファトレイ104上に排出されたシートはその後、図45の紙面上で反時計回りに回転するパドル103によって叩かれながら処理トレイ102上に積載される。
綴じ処理部Tは、処理トレイ102上に積載されるシートの上面に糊付けを行なう糊付け部101を備えている。綴じ処理部Tは、処理トレイ102上にシートが積載されるたびに、当該シートの上面に糊付け部101による糊付けを行なう。ただし、例えば10枚のシート束を綴じたい場合には、10枚目のシートの上面には糊付けは行なわない。図47は、糊付けされたシート束が処理トレイ102上に積載されている状態を示す図である。
綴じ処理の対象となる複数枚のシートすべてに対して処理トレイ102上での糊付けが完了したら、それぞれが上面に糊付けされた複数枚のシートが重なった状態で押圧機構Dによって処理トレイ102に向けて押圧する。ここでの糊付け部101は、シート上に液状の糊を噴射するものであり、押圧機構Dによる押し付けによってこれら複数枚のシートは糊で強固に接着され、シート綴じ処理が完了する(図26を参照)。
一方、孔あけ部109を通過したシートに対して折り処理やステイプル処理を行ないたい場合には、フラッパ117によってシートを搬送路110へと導き、スタッカ111上へと排出したシートに対してステイプラWによるステイプル処理や、折り処理部Bによる折り処理を施す。具体的に、折り処理部Bは、例えばステイプラWによるステイプル処理を施されたシート束を折りブレード112と折りローラ113とによって折り曲げ、折り増しローラ114により折り目をさらに挟み込んだ後、排出ローラ115によって第3排出トレイ116上に折り曲げられたシート束を排出する。
図27は、押圧機構Dによる一連の押し付け動作について説明するための遷移図である。同図に示すように、押圧機構Dは、例えば、押さえ部材101r、ガイド部材101g、モータ101z、カム101x、ラックギア101y、モータ101m、ピニオンギア101f、被ガイド部材101n、ピン101q等を備えることができる。
以下、押圧機構Dの動作について説明する。
モータ101zの出力軸にはカム101xが取り付けられており、モータ101zを回転駆動することによりカム101xは回転する。カム101xにはピン101qが設けられており、このピン101qは押さえ部材101rに形成されたガイド溝101t内でスライドする。
また、押さえ部材101rには、さらに被ガイド部材101nが設けられており、この被ガイド部材101nはガイド部材101gのガイド溝により往復動可能にガイドされている。
したがって、モータ101zを回転駆動すると、カム101xのピン101qも回転し、移動するピン101qによってガイド溝101tを介して押さえ部材101rに駆動力が伝わり、押さえ部材101rはガイド部材101gのガイド溝に沿って往復動する。
また、押さえ部材101rの端部には、ガイド部材101gのガイド溝の延びる方向と直交する方向(押さえ方向)に延びるラックギア101yが形成されている。このラックギア101yには、モータ101mの出力軸に取り付けられたピニオンギア101fが噛み合っており、モータ101mを回転駆動することにより、ガイド部材101gとともに押さえ部材101rをラックギア101yの延びる方向で往復動させることができる。
綴じ処理によって綴じられた複数枚のシートからなるシート束は、その後、例えば処理トレイ102に設けられている不図示の排出部材によって第2排出トレイ105上に排出される。図28は、処理トレイ102側から綴じ処理部T周辺を見た場合の概略構成を示す分解斜視図である。
図29は、綴じ処理部Tにおける糊付け部101の構成について説明するための部分分解斜視図である。同図に示すように、糊付け部101は、糊付けヘッド101a(糊付けユニット)と、供給管101dと、シャフト101cと、モータ101bなどを備えている。糊付けヘッド101は、外周面にウォームギアが形成されているシャフト101cによって、図29に示す矢印方向に往復動可能に支持されている。シャフト101cは、モータ101cの出力軸に連結されており、モータ101cの回転駆動によって回転する。これにより、モータ101が正転するとシャフト101cのウォームギアの作用によって糊付けヘッド101aは一方に向けて移動し、モータ101が逆転するとシャフト101cのウォームギアの作用によって糊付けヘッド101aは他方に向けて移動する。
このようにして往復動可能に支持されている糊付けヘッド101aには、不図示のポンプにより、供給管101dを経由して液状の糊が供給される。糊付けヘッド101aに供給される液状の糊は、糊付けヘッド101aに設けられているノズル101anから、処理トレイ102上に積載されたシートの上面の所望の領域へと噴射される。ここで、例えば、モータ101b、シャフト101c等が「移動機構」に相当する。
このように、綴じ処理部T(糊付け部)では、糊付け対象となるシート上の互いに異なる複数の「所定の糊付け対象領域」の少なくともいずれかに選択的に糊付け可能となっている。この複数の「所定の糊付け対象領域」は、シートに対する位置を予め設定されており、例えば後述の図32に示すG11〜G15のような領域となっている。
なお、ここでは、一例として綴じ処理部Tが、後処理装置1内の図45に示す位置に配置されている構成を例示したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば孔あけ部109や折り処理部B等の装置内の他の箇所に設けることもできる。
図30は、実施形態によるシート綴じ装置を備える後処理装置1の制御ブロックの一例を示す図である。
図30に示すように、後処理装置1は、一部を説明すると、例えば、CPU801、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)802、MEMORY803、HDD(Hard Disk Drive)804、糊付けヘッド101a、モータ101m、モータ101z、モータ101b、通信インターフェース805などを備えている。
ASIC802、MEMORY803、HDD804、モータ101m、モータ101bおよび通信インターフェース805等の後処理装置1に備わる各種アクチュエータやセンサ類等は、パラレスバスやシリアルバス等の通信線を介してCPU801と通信可能に接続されている。
CPU801は、例えばHDD804や装置外からダウンロードされるプログラムをMEMORY803にロードさせて実行することにより、例えば糊付けヘッド101a、モータ101m、モータ101z、モータ101b、通信インターフェース805などを制御する。
本実施の形態によるシート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1において、CPU801は、シート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1における各種処理を行う役割を有しており、またMEMORY803、HDD804等に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。なお、CPU801は、同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)により代替することも可能であることは言うまでもない。また、HDD804についても同様に、例えばフラッシュメモリ等の記憶装置により代替可能である。
MEMORY803は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができ、シート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
<シート綴じ装置の詳細説明>
続いて、実施形態によるシート綴じ装置の詳細について説明する。
図31は、実施形態によるシート綴じ装置における処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
CPU801(枚数情報取得部)は、これから綴じ処理の対象となるシートが、一枚目のシートであるか否かを示す情報(各シートを識別するための情報)を画像形成装置7等から取得し、当該シートがシート束における一枚目のシートである場合(Act101,Yes)、糊付けヘッド101aが左端(装置背面側、図45における紙面奥側)に位置しているか否かを判定する(Act102)。ここでの糊付けヘッド101aの位置の判定は、過去の制御履歴に基づいてCPU801にて判断してもよいし、HDD804等に現在位置を随時記録しておき、それを読み出すことで実現してもよい。また、センサ等により、糊付けヘッド101aの位置を検知することもできる。
糊付けヘッド101aが左端側(装置背面側)に位置していない場合(Act102,No )、糊付けヘッド101aを左端(装置背面側)にシフトさせ、シートの角部に近い初期位置へと戻す(Act103)。CPU801は、その後、HDD804に格納される糊付けヘッド101a移動方向フラグを「左端側から右端側へ向かう」に設定し(Act104)、糊付けヘッド101aによるシート上面への糊付け処理を行なわせる(Act105)。
一方、CPU801(枚数情報取得部)は、これから綴じ処理の対象となるシートが、一枚目のシートではない場合(Act101,No)、糊付けヘッド101aが左端(装置背面側)に位置しているか否かを判定する(Act106)。
CPU801は、糊付けヘッド101aが左端側(装置背面側)に位置している場合(Act106,Yes)、HDD804に格納される糊付けヘッド101a移動方向フラグを「左端側から右端側へ向かう」に設定し(Act107)、糊付けヘッド101aを右端側(装置正面側)へと1段階シフトさせ(ACT108)、糊付けヘッド101aによるシート上面への糊付け処理を行なわせる(Act105)。
CPU801は、糊付けヘッド101aが「最大シフト位置」(装置正面側の限界シフト位置) ま で到達しているか否かを判定する(Act109)。
CPU801は、糊付けヘッド101aが上記「最大シフト位置」まで到達している場合(Act109,Yes)、HDD804に格納される糊付けヘッド101a移動方向フラグを「右端側から左端側へ向かう」に設定し(Act110)、糊付けヘッド101aを左端側(装置背面側)へと1段階シフトさせ(ACT111)、糊付けヘッド101aによるシート上面への糊付け処理を行なわせる(Act105)。
CPU801は、糊付けヘッド101aの移動方向フラグが「左から右へ向かう」となっている場合(Act112,Yes)、糊付けヘッド101aを右端側(装置正面側)へと1段階シフトさせ(ACT113)、糊付けヘッド101aによるシート上面への糊付け処理を行なわせる(Act105)。
一方、CPU801は、糊付けヘッド101aの移動方向フラグが「左から右へ向かう」とはなっていない場合(Act112,No)、糊付けヘッド101aを左端側(装置背面側)へと1段階シフトさせ(ACT114)、糊付けヘッド101aによるシート上面への糊付け処理を行なわせる(Act105)。
このようにして、本実施の形態のシート綴じ装置におけるCPU801(制御部)は、糊付けヘッド101aを移動させることで、綴じ処理の対象である複数枚のシート束の内の「第1のシート(例えば、1ページ目のシート)」と第1のシートとは異なる「第2のシート(例えば、2ページ目や、1ページ目以外の他のページのシート)」との間で、糊付けする領域を異ならせる(シフトさせる)ように糊付けヘッド101aによる糊付けを行わせる。
また、ここではCPU801は、隣接するシート間(第1のシートと第2のシート)で糊付け位置を異ならせるように糊付けヘッド101aを駆動制御している。このように、隣接するシート間で糊付け箇所をずらすことにより、隣接して重なるシート間で連続してシート上の同じ位置に糊付けの厚みが蓄積せず、糊付けにより厚みが増加する箇所を分散することができる。
図32は、綴じ処理部Tにおける糊付け処理を行なう際の、シートに対して定義されている複数の所定の糊付け対象領域の一例を示す図である。
図32に示すように、ここでの複数の所定の糊付け対象領域は、3つのグループG1〜G3に分かれている。グループG1は、複数の糊付け対象領域G11〜G15を有しており、グループG2は、複数の糊付け対象領域G21〜G25を有しており、グループG3は、複数の糊付け対象領域G31〜G35を有している。
図33に示すように、CPU801は、モータ101bを駆動制御しながら、例えば、計6枚のシートを綴じる場合、1枚目のシートに対しては、グループG1〜グループG3において領域G11、G21およびG31に糊付けさせ、2枚目のシートに対しては、グループG1〜グループG3において領域G12、G22およびG32に糊付けさせ、3枚目のシートに対しては、グループG1〜グループG3において領域G13、G23およびG33に糊付けさせ、4枚目のシートに対しては、グループG1〜グループG3において領域G14、G24およびG34に糊付けさせ、5枚目のシートに対しては、グループG1〜グループG3において領域G15、G25およびG35に糊付けさせる。CPU801は、最後の6枚目のシートに対しては糊付けは行なわず、糊付けされた5枚目のシート上に6枚目のシートを排出した上で、これら6枚のシートを押圧機構Dによって糊付け部分を押圧する。
図34は、上述のような手順で6枚のシートに糊付け処理を行なった場合の綴じられたシート束の断面の様子を示す図である。同図から分かるように、シートの面方向において、任意のシートの両面に位置する糊付け領域は異なる位置にあり、重なっていない。
なお、ここでは、CPU801は、糊付け処理の対象となるページが変わる毎に、複数の所定の糊付け対象領域の内のいずれかの領域を所定の順序で選択している。これにより、綴じ位置における糊付け箇所に周期性(規則性)をもたせることができ、綴じ位置の美観の向上および綴じ強度の安定化に寄与することができる。
このように、綴じ処理の対象となるシート束の内でシート上への糊付け位置を他のシートとは異ならせることにより、シート束を構成する全てのシート上の同一箇所に糊付けする場合に比べて、糊付け位置が重なることによる、糊自身の厚みによる糊付け位置付近の厚みの増加を抑えることができる。
なお、ここでの「糊付けする領域を異ならせる」とは、第1のシート上への糊付け位置と、第2のシート上への糊付け位置とが「完全同一」ではないという意味であり、例えば図35に示すような、第1のシート上の糊付けされる領域の一部が、第2のシート上の糊付けされる領域と部分的に重なるような場合も「糊付けする領域を異ならせる」に含まれるものとする。すなわち、糊付け位置がある程度は重なっていても、綴じられるシート束全体として、同じ位置に糊付け部分を重ねる方式に比べて厚みを低減できていればよい。
図36は、第6実施形態における他の糊付け方法を示す図である。
図36に示す例では、CPU801は、綴じ処理の対象となる複数シートの内の「最初の第1の表紙ページである第1の所定シート(図36に示すPage1)」と「最後の第2の表紙ページの直前のページである第2の所定シート(図36に示すPage5)」は、常に複数の所定の糊付け対象領域の内のシートの角部に最も近い糊付け対象領域(ここでは破線の円Uで囲んでいる糊付け対象領域G35)に糊付けさせている。
一般に、表および裏の表紙となるシートは、ストレスのかかりやすい角の部分から剥がれ易い。そこで、表紙と裏表紙については、常にシートの角部で糊付けされるようにすることにより、表表紙および裏表紙の角部からの剥がれを防止している。
図37は、綴じ処理の対象となるシート束のシート枚数に基づいて糊付け位置を変更する制御について説明するためのフローチャートである。
図37に示すように、CPU801(枚数情報取得部)は、糊付けにより綴じるシート束を構成するシート枚数を示す情報を、画像形成装置7等から取得する(ACT201)。
CPU801は、取得される枚数情報が示すシート枚数が所定枚数(ここでは4枚)以下である場合(ACT202,No)、第1のシート(例えば、1ページ目のシート)上の糊付けする糊付け対象領域と、第2のシート(例えば2ページ目もしくは他の1ページ目以外のページのシート)上の糊付けする糊付け対象領域とをシート上の同じ位置にする(ACT203)。
このように、糊付けによる厚みの増加の影響を無視できる程度の少ない枚数の文書を綴じる場合には、安定した綴じ処理および美観の向上のために、シートの同一箇所に糊付けを行なうようにしてもよい。
また、CPU801は、取得される枚数情報が示すシート枚数が多ければ多いほど、複数の所定の糊付け対象領域の領域数を増やす。具体的には、例えば、綴じ処理の対象となるシート束を構成するシート枚数が4枚もしくは5枚であるとき(ACT204,No)、図38に示すように、それぞれのグループG1’〜G5’における3種類の糊付け対象領域を所定の順序で周回するように糊付けしてゆく(ACT205)。
また、CPU801は、例えば、綴じ処理の対象となるシート束を構成するシート枚数が6枚以上であるとき(ACT204,Yes)、図33に示したように、それぞれのグループG1〜G3における5種類の糊付け対象領域を所定の順序で周回するように糊付けしてゆく(ACT206)。
綴じる枚数が多い文書ほど、同じ箇所に糊付けすることの厚みへの影響度は高くなる。
そこで、綴じる枚数が多い場合にはできるだけ糊付け位置が重ならないように糊付け対象箇所を増やし、綴じる枚数が少ない場合には糊付け対象箇所の数を少なくすることを許容する構成としている。
図39は、シート束への綴じ処理を施す位置に基づいて糊付け位置を変更する制御について説明するためのフローチャートである。
図39に示すように、CPU801(綴じ位置情報取得部)は、画像形成装置7から取得される「シート上のいずれの位置を綴じ位置とするかを示す綴じ位置情報」を取得する(ACT301)。この情報は、例えば、画像形成装置7のコントロールパネルや、画像形成装置7に印刷指示を送信するPC等の外部機器上でのプリンタドライバ上等でユーザにより設定される。
ここでの綴じ位置の種類としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(1)長辺もしくは短辺に沿って複数箇所で綴じる
(2)シートの角部を綴じる
(3)シートの中央を通るいずれかの辺と平行な線に沿って綴じる
CPU801は、取得される綴じ位置情報に基づいて、シートのいずれかの辺(例えば長辺)に沿って複数箇所で綴じる場合(ACT302,Yes)、第1のシート(例えば、1ページ目のシート)上の糊付け対象領域を第2のシート(例えば2ページ目もしくは他の1ページ目以外のページのシート)上の糊付け対象領域に対して当該辺(例えば長辺)の方向において異なるように糊付けさせる(ACT303)。
シート束をいずれかの辺に沿った複数箇所で綴じる場合、綴じ処理の対象となる文書の種類によっては、綴じ処理の対象となる辺近傍に設けられている余白が少ない場合がある。このような場合に、第1のシート上での糊付け位置と第2のシートでの糊付け位置とを、当該辺と直交する方向でずらすと、糊が余白を越えて文書の内容部分に付着してしまうおそれがある。
そこで、いずれかの辺に沿った複数箇所でシート束を綴じる場合には、糊付け対象領域を当該辺の方向でずらすことにより、文書の余白を越えて糊付けしてしまうような事態を回避することができる。
また、CPU801は、取得される綴じ位置情報に基づいて、シート上のいずれの位置を綴じ位置とするかに応じて、第1のシート(例えば、1ページ目のシート)上の糊付け対象領域を第2のシート(例えば2ページ目もしくは他の1ページ目以外のページのシート)上の糊付け対象領域に対してずらす方向を変更する。
具体的には、CPU801は、取得される綴じ位置情報から、シートの角部分を綴じることが判別された場合(ACT304,Yes)、糊付け対象位置を、直交する二つの辺(短辺と長辺)それぞれの方向においてずらす(ACT305)。具体的には、CPU801は、図40に示すように、直交する2つの軸方向に位置がずれている糊付け対象領域Gs1〜Gs4を順番に周回するようにページごとに糊付け位置をずらしてゆく。図41は、図40に示すような規則で糊付け位置をずらしながら6枚のシートの綴じ処理を行なった場合の糊付け例を示す図である。
このように、シートの辺に沿って配列される複数の糊付け対象領域を糊付けする場合と、シートの角部付近を糊付けする場合とで、第1のシート上での糊付け対象領域の第2のシート上での糊付け対象領域に対するずらし方を変えることにより、その綴じ方に応じて適切な糊付けを実現することができる。
すなわち、例えばシートの角部付近で綴じることをユーザが指定している場合、当該ユーザはそのようにして綴じられたシートを閲覧する際には、通常、ページを斜めにめくりながら読むと考えられる。このような場合に、第1のシート上の糊付け対象領域を第2のシート上の糊付け対象領域に対して辺方向にずらすと、辺方向に長い領域で糊付けされた部分がシートを斜めにめくることを阻害する恐れがある。したがって、例えばシートの角部付近で綴じる場合には、糊付け対象領域をずらす方向が特定の辺方向に偏らないようにし、特定の辺方向に配列される複数の綴じ位置で綴じる場合には、糊付け対象領域を当該特定の辺方向にずらすようにすることで、ユーザが綴じ処理済みのシート束を閲覧する際に不具合を生じることがない。
なお、CPU801は、取得される綴じ位置情報から、シートの辺方向に沿って複数箇所で綴じる綴じ方でも角部分で綴じる綴じ方でもない場合(ACT304,No)、例えば、上記(3)の綴じ方であると判断し、シートの中央を通り且ついずれかの辺と平行な方向に糊付け位置をずらすように糊付けさせる。
なお、図40および図41で示したようなパターンでの糊付けを行なう場合の機構は、例えば、図42に示すように糊付けヘッド101aと一体的に移動する糊付けヘッド101a’を追加したもの等が考えられる。これにより、必要に応じて、シャフト101cの延びるスライド方向だけでなく、当該シャフト101cと直交する方向(図42におけるy方向)においても、糊付け位置をシート毎にずらすことができる。
もちろん、これに限られるものではなく、例えば、後述の図47で示すような、ラック&ピニオン機構により、糊付け部101そのものをy軸方向に移動可能な構成とすることにより、糊付け位置のy軸方向でのシフトを実現することもできる。
また、上述の例では、任意のページの両面に接する糊付け位置は、シートの面方向において位置が異なるように設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図43に示すように、複数ページごとに糊付け位置を変更してゆく構成とすることで、糊付け位置のある程度の重なりは許容しつつ全体として糊付け位置の分散を行なうこともできる。このような規則で糊付け位置を変更する場合でも、シート束全体としては、糊付け位置が分散されるため、糊付け部分の厚みの悪影響の軽減を図ることができる。図44は、図43に示す規則で糊付け位置をずらしながら綴じ処理を行なった場合のシート束の断面である。
上述のシート綴じ装置での処理における各動作は、メモリ802に格納されているシート綴じプログラムをCPU801に実行させることにより実現されるものである。
(第7実施形態)
続いて、第7実施形態について説明する。
第7実施形態は、上述した第6実施形態の変形例であり、第7実施形態では、糊付けヘッドが複数設けられている点が第6実施形態の構成とは異なる。以下、本実施の形態において、第6実施形態と同様な機能を有する部分には同一符号を付し、説明は省略する。
図45は、綴じ処理部における糊付け部の他の構成について説明するための部分分解斜視図である。
本実施の形態によるシート綴じ装置では、糊付けユニット601そのものを、複数の所定の糊付け対象領域それぞれに対応して複数配置している。このように、糊付けユニットを初めから複数搭載する構成とすることにより、シート上の複数箇所に糊付けする際の作業効率の向上を図ることができる。
また、図46に示すように、本実施の形態による糊付けユニット601は、係合部601xが設けられた台座に着脱可能に構成されており、メンテナンス時の交換作業等が容易になっている。
さらに、係合部601xが設けられた台座は、ケーシング606に固定されたシャフト602によって複数の所定の糊付け対象領域の配列方向にスライド可能となっている。このようにスライド可能に支持された糊付けユニット601は、モータ605の駆動軸に取り付けられたプーリ603に架け渡されたベルト604により、シャフト602の延びる方向で往復動可能となっている。
もちろん、本実施の形態に示す構成のシート綴じ装置によっても、上述した第6実施形態におけるCPU801による綴じ位置の制御を行うことが可能であることは言うまでもない。
なお、図40および図41で示したようなパターンでの糊付けを行なう場合の機構としては、例えば、図47に示すような例が挙げられる。図47では、一例として、ケーシング606の側面(y軸と平行な側面)上にラックギアを形成し、モータ607の出力軸に取り付けたピニオンギア607Pによってケーシング606そのものをy軸方向にシフトさせる構成としている。モータ607は、例えばCPU801により駆動制御されることができる。
これにより、必要に応じて、シャフト602の延びるスライド方向だけでなく、当該シャフト602と直交する方向(図47におけるy方向)においても、糊付け位置をシート毎にずらすことができる。
なお、上述の各実施の形態において、シートへの糊付けを行なう糊付けユニットは、必ずしも液状の糊を噴射するものに限られるものではなく、例えば以下のようないくつかの他の態様が挙げられる。
(1)両面に糊が付された両面テープの貼り付け
(2)ペースト状の糊の塗布
(3)液状の糊の塗布
(4)スティック状の糊の塗布
また、上述の各実施の形態では、綴じ処理の対象となるシート束のシート枚数や、綴じ処理を行なう際のシート上の綴じ位置などに基づいて、糊付けする箇所を変更する構成を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、画像形成装置7にてシート上に形成されている画像の内容(余白の設定情報など)に基づいて、糊付けする対象領域のずらし方を変更することもできることは言うまでもない。
なお、個別に説明した上述の各実施の形態は、それぞれの実施形態で示す構成単体でだけでなく、技術的矛盾が生じない範囲において、これら各実施形態の内の任意の実施形態同士を組み合わせて実施できることは言うまでもない。
また、上述の各実施の形態では、シートの上面に対して糊付けを行なう場合を例に挙げたが、結果として綴じ処理の対象であるシート束の各シート間に上記各実施の形態で示したような規則での糊付けが行なわれればよく、シートの上面に糊付けする構成に限らず、シート下面に糊付けする構成を採用することもできる。
更に、シート綴じ装置およびこれを備える後処理装置を構成するコンピュータにおいて上述した各動作を実行させるプログラムを、シート綴じプログラムとして提供することができる。本実施の形態では、発明を実施する機能を実現するための当該プログラムが、装置内部に設けられた記憶領域に予め記録されている場合を例示したが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様のプログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、回線上の伝送媒体などが挙げられる。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
なお、プログラムは、その一部または全部が、動的に生成される実行モジュールであってもよい。
また、上述の各実施の形態にてプログラムをCPUやMPUに実行させることにより実現される各種処理は、その少なくとも一部を、ASIC802にて回路的に実行させることも可能であることは言うまでもない。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。