以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す掘削機1の側面図である。掘削機1は、筒状の胴体2の先端にカッター面板3(カッターヘッド)が設けられている。カッター面板3の先端面3aは全体にわたって球面状に形成されている。この先端面3aには、多数のカッタービット4が先端面3aの中心3bから放射状に設けられている。
図2は、カッタービット4とその周りの部分の断面図である。カッタービット4は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸43とを備えている。
ビット本体41は全体的に略円錐状に形成されている。このビット本体41は、シャンク材411と、シャンク材411の先端に設けられた硬度チップ412とを備えている。
シャンク材411は、周面41aの上部に複数の溝41bが周方向に間隔を置いて設けられている。各溝411bには、補強チップ413が周面41aと面一になるように埋め込まれている。補強チップ413はシャンク材411よりも硬い材質で形成されている。また、硬度チップ412は円錐状に形成されており、礫層のような硬い岩盤でも切削可能な材質で形成されている。
カッター面板3の先端面3aには、各カッタービット4に対応して多数の凹部31が設けられている。凹部31は断面ハット状に形成されており、凹部31内には軸受け5が設けられている。この軸受け5は、回転軸43を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。これにより、回転軸43は、カッター面板3の回転を利用して回転するようになっている。
また、この軸受け5は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング51と、ハウジング51内に設けられたローラーベアリング52および複数の球体53、54とを備えている。
ハウジング51は断面ハット状に形成されており、内部に回転軸43の設置空間51sを有している。この設置空間51sは、カッタービット4の回転軸43を挿入させて鍔部42をハウジング51に係止させるように形成されている。
また、ハウジング51は、底壁511と、側壁512とを備えており、側壁512の上端部の周りには鍔状の取付部513が結合されている。
底壁511の内面の中間部分には突起511aが設けられている。この突起511aの周囲には回転軸43との間に下部空間53s,53sが形成されている。この下部空間53s,53s内には、それぞれ複数の下部球体53(下側支持部材)が並べられて配置されて回転軸43を支持している。
側壁512の内周面51aの中間部分には、環状のベアリング用凹部512aが全周にわたって設けられている。このベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。このローラーベアリング52は、回転軸43を挿通させるように環状に形成されており、内周面には全周にわたって複数のベアリングローラー52aが設けられている。複数のベアリングローラー52aは左右方向に回転し、ローラーベアリング52は、この複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸43を法線A上で回転可能に支持している。
取付部513は、ボルト等の固定部材(図示せず)で凹部31に固定されており、鍔部42を係止させている。これにより、側壁512の上端と鍔部42との間には上部空間54sが形成されている。この上部空間54s内には、複数の上部球体54(上側支持部材)が挟まれるように配置されており、これらの上部球体54はこの状態で鍔部42を支持している。
さらに上部空間54s内には、複数の上部球体54よりも外側にシール材55が全周にわたって設けられている。このシール材55は、鍔部42とハウジング51の内面51aとの間を塞ぐものであり、例えばラビリンスシール等が使用される。このシール材55により、ハウジング51内においてシール材55よりも内側は密閉された空間51saとなっている。この空間51sa内にはグリース(図示せず)が充填されている。
以上のように構成されている掘削機1において、掘削時にはその内部に備える駆動装置(図示せず)によってカッター面板3が掘削機の中心線CL(図1参照)で回転する。カッター面板3が回転することにより、図3に示すように各カッタービット4は岩盤100を切削する。このときに各カッタービット4は回転するので、ビット本体41の周面41a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機1は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット4の偏磨耗を防ぐことができる。
また、本実施の形態の掘削機1では、軸受け5が、カッター面板3の内部に設けられたハウジング51と、ハウジング51内に設けられたローラーベアリング52とを備えている。つまり、軸受け5はカッター面板3の先端面3aから内部に設けられる。これにより、軸受け5は掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなるので、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、ビット本体41の周面41a全体を岩盤100に安定して接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、軸受け5は、ハウジング51内の下部に回転軸43を支持する複数の下部球体53を備えている。これにより、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100に確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
さらに、軸受け5は、ハウジング51内の上部に鍔部42を支持する複数の上部球体54を備えている。これにより、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100により確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
加えて、カッター面板3の回転によりカッタービット4が自転することによって、硬度チップ412が全周に確実に接触しながら切削することによって、カッタービット4の超硬チップは常に研がれ、常に鋭利な状態で掘進出来る機能を持つものである。
また、本実施の形態の掘削機1では、ハウジング51内の上部に、鍔部42とハウジング51の内面51aとの間を塞ぐシール材55を設けたので、ハウジング51内(回転軸43の設置空間51s)に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット4はさらに安定して回転することが可能になるので、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
さらに、本実施の形態の掘削機1では、ハウジング51内でシール材55により密閉された空間51saにグリースを充填したので、ハウジング51内に土砂が入り込むのを確実に防ぐことができ、且つ、軸受け5の過熱も防ぐことができる。このため、カッタービット4はさらに安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100により確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態の掘削機1では、カッタービット4のシャンク材411の周面41aに補強チップ413を設けた。これにより、岩盤100の切削に伴うシャンク材411の磨耗を防止することができ、カッタービット4の耐久性を高めることができる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す掘削機101のカッタービット104とその周りの部分の断面図である。なお、図4において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
カッタービット104は、ビット本体141と、ビット本体141の基端に鍔部142を介して一端が結合した回転軸143とを備えている。
ビット本体141は全体的に略円錐状に形成されている。回転軸143は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板3の回転を利用して回転する。
カッター面板3の凹部31内には軸受け105が設けられている。この軸受け105は、回転軸143を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け105は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング151と、ハウジング151内に設けられたローラーベアリング152および球体153とを備えている。
ハウジング151は断面ハット状に形成されており、内部に回転軸143の設置空間151sを有している。この設置空間151sは、断面が下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッタービット104の回転軸143を挿入させて鍔部142をハウジング151に係止させている。
また、ハウジング151は、底壁1511と、側壁1512とを備えており、側壁1512の上端部の周りには鍔状の取付部1513が結合されている。
底壁1511には凹部1511aが設けられている。この凹部1511aは断面半円状に形成されている。凹部1511a内には、下部球体153(下側支持部材)が、凹部1511aと回転軸143とに挟まれて配置されて回転軸143を支持している。
側壁1512の内周面151aは下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面151aの中間部分には、環状のベアリング用凹部1512aが全周にわたって設けられている。このベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。
このローラーベアリング152は、回転軸43を挿通させるように環状に形成されており、内周面には全周にわたって複数のベアリングローラー152aが設けられている。複数のベアリングローラー152aは左右方向に回転する。ローラーベアリング152は、この複数のベアリングローラー152aを利用して回転軸143を法線A上で回転可能に支持している。また、複数のベアリングローラー152aは、ビット本体141の周面141aの傾斜角度B1と同じ傾斜角度B2で傾斜して配置されている。
取付部1513は、ボルト等の固定部材(図示せず)で凹部31に固定されている。これにより、側壁1512の上端と鍔部142との間には上部空間154sが形成されている。この上部空間154s内には、シール材155が全周にわたって設けられている。このシール材155は、鍔部142とハウジング151の内面151aとの間を塞ぐものである。このシール材155により、ハウジング151内においてシール材155よりも内側は密閉された空間151saとなっている。この空間151sa内にはグリース(図示せず)が充填されている。
以上のように構成されている掘削機101において、掘削時にカッター面板3が回転すると各カッタービット104は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット104は回転するので、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面141aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機101は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット104の偏磨耗を防ぐことができる。
また、本実施の形態の掘削機101において、軸受け105は、第1の実施の形態の掘削機1と同様に、ハウジング151とローラーベアリング152とを備えている。つまり軸受け105はカッター面板3の内部に設けられるので、軸受け105は掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット104は安定して回転することができ、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に安定して接触させて、カッタービット104の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、軸受け105は、ハウジング151内の下部に回転軸143を支持する下部球体153を備えている。これにより、各カッタービット104は安定して回転することが可能になるので、掘削時にビット本体141の周面141a全体を岩盤100に確実に接触させることができ、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態の掘削機101では、ハウジング151内の上部に、鍔部142とハウジング151の内面151aとの間を塞ぐシール材155を設けたので、ハウジング151内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット104はさらに安定して回転することが可能になるので、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態の掘削機101では、ベアリングローラー152aを、ビット本体141の周面141aの傾斜角度B1と同じ傾斜角度B2で傾斜して配置した。これによりベアリングローラー152aは、切削時にはビット本体141の周面141aにかかる外力Fを全体で受け止めながら回転するため、ベアリングローラー152aの回転に支障が生じるのを防ぐことができる。これにより、各カッタービット104はさらに安定して回転することができ、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態の掘削機201のカッタービット104とその周りの部分の断面図である。なお、図5において第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
本実施の形態では、筒状の胴体202の先端に設けられたカッター面板203に凹部231が設けられており、この凹部231内には軸受け205が設けられている。この軸受け205は、カッタービット104の回転軸143を先端面203aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。
また、この軸受け205は、凹部231内に嵌めこまれたハウジング251と、ハウジング251内に設けられたローラーベアリング152および球体153とを備えている。
ハウジング251は断面ハット状に形成され、内部に回転軸143の設置空間151sを有している。また、ハウジング251は、底壁1511と、側壁1512とを備えており、側壁1512の上端部の周りには鍔状の取付部2513が結合されている。
取付部2513は、ボルト等の固定部材(図示せず)でカッター面板203(カッターヘッド)の内面203bに固定されている。この内面203bには凹部203cが形成されており、この凹部203c内にはシール材255が配置されている。
以上のように構成されている本実施の形態の掘削機201は、掘削時にカッター面板203が回転すると、各カッタービット104は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット104は回転するので、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面141aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機201は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット104の偏磨耗を防ぐことができる。
また、本実施の形態の掘削機201は、ハウジング251をカッター面板203の内側に固定したので、上記の各実施の形態のハウジングに比べて、掘削時の衝撃等に伴うハウジング251の抜けを防ぐことができる。
また、上記の実施の形態では、カッター面板の先端面全体に本発明のカッタービットおよび軸受けを設けた場合の構成を説明したが、カッタービットと軸受けは少なくともカッター面板の先端面において中央部に設ければ良い。図6の(a)と(b)を用いて説明する。掘削機301において、カッター面板303の先端面303aの中央部303bは球面状に形成されている。この中央部303bに上記の実施の形態で説明したカッタービットと軸受けを多数設ける。図6では、第1の実施の形態のカッタービット4と軸受け5(図示せず)を設けた例を示す。なお、中央部303bの周りにはローラービット320、321を設けても良い。
また、図7に示すように、従来のドーム型掘削機(TBM)401のカッター面板403の先端面403aに上記の実施の形態で説明したカッタービットと軸受けを多数設けても良い。ここで、従来の先端面403aでは最外周部が球面状に形成され、それ以外の部分が平面状に形成されており、最外周部に例えば第1の実施の形態のカッタービット4と軸受け5(図示せず)を設ける。また、各軸受け5は、各カッタービット4の回転軸を先端面403aの外周曲線403bを通る法線A上で回転可能に支持するように設定する。なお、図示しないが、最外周部以外の部分に従来のカッタービットを設ける。
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施の形態の掘削機501のカッタービット504とその周りの部分の断面図である。図9は図8の分解図である。図8と図9において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
カッタービット504は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸543とを備えている。この回転軸543はカッター面板3の回転を利用して回転する。この回転軸543の下面にはネジ孔543aが形成されている。
回転軸543の下面には抜け止め部材544(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材544は逆ネジ型に形成され、頭部5441と、頭部5441の基端から上方に突出して設けられたネジ部5442とを備えている。頭部5441は断面略台形状に形成されている。頭部5441の上部側面5441aは上方へ向けてテーパ状に形成されている。ネジ部5442は、回転軸543のネジ孔543aに挿入されて螺合している。
カッター面板3の凹部31内には軸受け505が設けられている。この軸受け505は、回転軸543を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け505は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング551と、ハウジング551内に設けられたローラーベアリング52、複数の下部球体530、540、複数のシール材55を備えている。
ハウジング551は断面ハット状に形成されている。このハウジング551は、図9に示すように上下二つに分割された上側部材552と下側部材553とが結合して形成されている。
上側部材552は下面が開口した断面ハット状に形成されており、側壁5521と、側壁5521の上端部の周りに結合された鍔状の取付部5522とを備えている。
側壁5521の内周面5521aの中間部分にはベアリング用凹部512aが設けられ、このベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング52は、複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸543を法線A上で回転可能に支持している。
内周面5521aの下周縁部5521bは上方に向けてテーパー状に形成されている。この周縁部5521bには、全周にわたって凹部5521cが設けられている。この凹部5521cには複数の下部球体530が保持されている。この複数の下部球体530は、抜け止め部材544の頭部5441の上部側面5441aに当接している。
したがって抜け止め部材544は、複数の下部球体530を介して上側部材552の下周縁部5521bに係止されている。抜け止め部材544が上側部材552に係止されていることにより、回転軸543は軸受け505からの抜けが抑えられている。
取付部5522は、第1の実施の形態の取付部513と同じものである。側壁5521と鍔部42との間に形成されている上部空間54s内には、複数のシール材55が全周にわたって設けられている。このシール材55により、ハウジング551内においてシール材55よりも内側は密閉された空間551saとなっている。この空間551sa内には回転軸543が挿入されて鍔部42が上側部材552の上面に係止され、さらにグリース(図示せず)が充填されている。
下側部材553はハウジング551の底壁を構成している。この下側部材553は凹型状に形成され、内部には抜け止め部材544の頭部5441が収容されている。下側部材553の内上面553aには複数の凹部553bが設けられている。各凹部553aには下部球体540が保持されている。これらの下部球体540は抜け止め部材544の頭部5441の先端に当接している。これにより回転軸543は、抜け止め部材544を介して複数の下部球体530、540に支持されている。
以上のように構成されている掘削機501において、掘削時にカッター面板3が回転すると、各カッタービット504は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット504は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット504の偏磨耗を防ぐことができる。
また、軸受け505はカッター面板3の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット504は安定して回転でき、カッタービット504の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、軸受け505は、ハウジング551内の下部に回転軸543を支持する下部球体530、540を備えている。これにより、各カッタービット504はさらに安定して回転することができ、カッタービット504の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、ハウジング551内の上部にシール材55を設けたので、ハウジング551内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット504はさらに安定して回転でき、カッタービット504の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、シール材55は、掘削機501が地山を切削しているときに切羽から受ける土圧によりカッタービット504の基端(底面)に押さえつけられ、そのときの反発力を利用して鍔部42とハウジング551の内面5521aとの間を塞いでいる。
しかしながら、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合には、カッタービット504が切羽の方に移動してカッタービット504がシール材55を押さえつける力(押圧力)が低下するため、シール材55は十分な反発力を得ることができない。
そこで、本実施の形態では、抜け止め部材544を利用して回転軸543の抜けを抑えることにより、カッタービット504の押圧力を維持してシール材55に十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材55のシール機能の低下を防ぐことができる。また、その他には掘削機501の組立時等におけるカッタービット504の抜けを防ぐこともできる。
さらに抜け止め部材544は、下部球体530、540により反力(抜け方向への移動力)が分散されるので、抜けをさらに抑えることができ、シール材55により十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材55のシール機能を高めることができる。
(第5の実施の形態)
図10は、本発明の第5の実施の形態の掘削機601のカッタービット604とその周りの部分の断面図である。図11は図10の分解図である。図10と図11において第1の実施の形態や第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
カッタービット604は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸643とを備えている。この回転軸643は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板603の回転を利用して回転する。この回転軸643の下面にはネジ孔643aが形成されている。
回転軸643の下面には抜け止め部材644(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材644は逆ネジ型に形成され、頭部6441と、頭部6441の基端から上方に出して設けられたネジ部6442とを備えている。頭部6441は断面略三角形状に形成されている。頭部6441の上部側面6441aは上方へ向けてテーパー状に形成されている。ネジ部6442は、回転軸643のネジ孔643aに挿入されて螺合している。
カッター面板603の先端面603aには凹部631が設けられており、凹部631内には軸受け605が設けられている。この軸受け605は、回転軸643を先端面603aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け605は、凹部631内に嵌めこまれたハウジング651と、ハウジング651内に設けられたローラーベアリング152、複数の下部球体630、640、シール材155を備えている。
ハウジング651は断面ハット状に形成されている。このハウジング651は、図11に示すように上下二つに分割された上側部材652と下側部材653とが結合して形成されている。
上側部材652は下面が開口した断面ハット状に形成されており、側壁6521と、側壁6521の上端部の周りに結合された鍔状の取付部6522とを備えている。
側壁6521の内周面6521aは第2の実施の形態の側壁1512の内周面151a(図4参照)と同様に下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面6521aの中間部分にはベアリング用凹部1512aが設けられ、このベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。このローラーベアリング152は、複数のベアリングローラー152aにより回転軸643を法線A上で回転可能に支持している。
内周面6521aの下周縁部6521bは上方へ向けてテーパー状に形成されている。この周縁部6521bには、全周にわたって凹部6521cが設けられている。この凹部6521cには複数の下部球体630が保持されている。この複数の下部球体630は、抜け止め部材644の頭部6441の上部側面6441aに当接している。
したがって抜け止め部材644は、複数の下部球体630を介して上側部材652の下周縁部6521bに係止されている。このように抜け止め部材644が上側部材652に係止されていることにより、回転軸643は軸受け605からの抜けが抑えられている。
取付部6522は、第3の実施の形態の取付部2513と同じものであり、ボルト等の固定部材(図示せず)でカッター面板603(カッターヘッド)の内面603bに固定されている。これにより、側壁6521と鍔部42との間にはシール材155が全周にわたって設けられている。このシール材155により、ハウジング651内においてシール材155よりも内側は密閉された空間651saとなっている。この空間651saは下方へ向けてテーパー状に形成されている。空間651sa内には回転軸643が挿入されて鍔部42が上側部材652の上面に係止されており、さらにグリース(図示せず)が充填されている。
下側部材653はハウジング651の底壁を構成している。この下側部材653は凹型状に形成され、内部には抜け止め部材644の頭部6441が収容されている。下側部材653の内上面653aには複数の凹部653bが設けられている。各凹部653aには複数の球体640が保持されている。この複数の球体640は、抜け止め部材644の頭部6441の先端に当接している。これにより回転軸643は、抜け止め部材644を介して複数の下部球体630、640に支持されている。
以上のように構成されている掘削機601において、掘削時にカッター面板603が回転すると各カッタービット604は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット604は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット604の偏磨耗を防ぐことができる。
また、軸受け605はカッター面板603の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット604は安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、ハウジング651内の上部にシール材155を設けたので、ハウジング651内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット604はさらに安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、軸受け605は、ハウジング651内の下部に回転軸643を支持する下部球体630、640を備えている。これにより、各カッタービット604はさらに安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態では、第4の実施の形態と同様、抜け止め部材644を利用して回転軸643の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合でも、シール材155に対するカッタービット604の押圧力を維持してシール材155に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機601の組立時等におけるカッタービット604の抜けを防ぐこともできる。
さらに抜け止め部材644は、下部球体630、640により反力(抜け方向への移動力)が分散されるので抜けをさらに抑えることができ、シール材155により十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材155のシール機能を高めることができる。
(第6の実施の形態)
図12は、本発明の第6の実施の形態の掘削機701のカッタービット704とその周りの部分の断面図である。図12において第1の実施の形態や第4の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
カッタービット704は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸543とを備えている。
カッター面板3の凹部31内には軸受け705が設けられている。この軸受け705は、回転軸543を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。回転軸543はカッター面板3の回転を利用して回転するようになっている。また、この軸受け705は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング751と、ハウジング751内に設けられたローラーベアリング52、複数の下部球体730、740、複数のシール材55を備えている。
ハウジング751は断面ハット状に形成されている。内部の設置空間51sには、カッタービット704の回転軸543が挿入されて鍔部42がハウジング751に係止されている。また、このハウジング751は、底壁7511と、側壁512とを備えている。側壁512の上端部の周りには鍔状の取付部513が結合されている。
側壁512の内周面51aの中間部分にはベアリング用凹部512aが設けられており、ベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング52は、複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸543を法線A上で回転可能に支持している。
底壁7511の内面には、回転軸543のネジ孔543aと対応して貫通孔7511aが設けられている。貫通孔7511aの周囲には複数の下部球体730が配置されている。この複数の下部球体730は回転軸543を支持している。底壁7511の底面には貫通孔7511aの周囲に凹部7511bが設けられている。各凹部7511bには下部球体740が保持されている。
回転軸543の下面にはハウジング751を介して抜け止め部材744(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材744は逆ネジ型に形成され、頭部7441と、頭部7441の基端から上方に突出して設けられたネジ部7442とを備えている。このネジ部7442は、ハウジング751の貫通孔7511aを挿通して回転軸543のネジ孔543aに螺合されている。これにより回転軸543が軸受け705(ハウジング751)から抜けようとしても、抜け止め部材744はハウジング751の底面に係止されて抜けが抑えられている。
以上のように構成されている掘削機701において、掘削時にカッター面板3が回転すると各カッタービット704は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット704は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット704の偏磨耗を防ぐことができる。
また、軸受け705はカッター面板3の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット704は安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、軸受け705は、ハウジング751内の下部に回転軸543を支持する下部球体730を備えているので、各カッタービット704はさらに安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、ハウジング751内の上部にシール材55を設けたので、ハウジング751内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット704はさらに安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態では、第4の実施の形態や第5の実施の形態と同様、抜け止め部材744を利用して回転軸743の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合にも、シール材55に対するカッタービット704の押圧力を維持してシール材55に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機701の組立時等におけるカッタービット704の抜けを防ぐこともできる。
また、抜け止め部材744は、下部球体740を介してハウジング751に当接しているので、反力(抜け方向への移動力)が分散され、抜けをさらに抑えることができる。したがって、シール材55により十分な反発力を持たせることができ、シール材55のシール機能を高めることができる。
(第7の実施の形態)
図13は、本発明の第7の実施の形態の掘削機801のカッタービット804とその周りの部分の断面図である。図13において第1の実施の形態、第2の実施の形態、第5の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
カッタービット804は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸843とを備えている。この回転軸843は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板603の回転を利用して回転する。この回転軸843の下面にはネジ孔843aが形成されている。
カッター面板603の凹部631内には軸受け805が設けられている。この軸受け805は、回転軸843を先端面603aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。回転軸843はカッター面板603の回転を利用して回転するようになっている。また、この軸受け705は、凹部631内に嵌めこまれたハウジング851と、ハウジング851内に設けられたローラーベアリング152、複数の下部球体830、840、シール材155を備えている。
ハウジング851は断面ハット状に形成されており、底壁8511と、側壁8512と、側壁8512の上端部の周りに結合された鍔状の取付部8513とを備えている。取付部8513は、第5の実施の形態の取付部6522(図10参照)と同じものである。
側壁8512の内周面8512aは、第2の実施の形態の側壁1521の内周面1521a(図4参照)と同様に下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面8512aの中間部分にはベアリング用凹部1512aが設けられており、ベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング152は、複数のベアリングローラー152aにより回転軸843を法線A上で回転可能に支持している。
底壁8511には、回転軸843のネジ孔843aと対応して貫通孔8511aが形成されている。貫通孔8511aの周囲には複数の下部球体830が配置されている。この複数の下部球体830は回転軸843を支持している。底壁8511の底面には貫通孔8511aの周囲に凹部8511bが設けられている。各凹部8511bには複数の下部球体840が保持されている。
回転軸843の下面にはハウジング851を介して抜け止め部材844(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材844は逆ネジ型に形成され、頭部8441と、頭部8441の基端から上方に突出して設けられたネジ部8442とを備えている。このネジ部8442は、ハウジング851の貫通孔8511aを挿通して回転軸843のネジ孔843aに螺合されている。これにより回転軸843が軸受け805(ハウジング851)から抜けようとしても、抜け止め部材844はハウジング851の底面に係止されて抜けが抑えられている。
以上のように構成されている掘削機801において、掘削時にカッター面板603が回転すると各カッタービット804は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット804は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット804の偏磨耗を防ぐことができる。
また、軸受け805はカッター面板603の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット804は安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
また、軸受け805は、ハウジング851内の下部に回転軸843を支持する下部球体830を備えているので、各カッタービット804はさらに安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、ハウジング851内の上部にシール材155を設けたので、ハウジング851内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット804はさらに安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施の形態では、第4の実施の形態〜第6の実施の形態と同様、抜け止め部材844を利用して回転軸843の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合にも、シール材155に対するカッタービット804の押圧力を維持してシール材155に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機801の組立時等におけるカッタービット804の抜けを防ぐこともできる。
また、抜け止め部材844は、下部球体840を介してハウジング851に当接しているので、反力(抜け方向への移動力)が分散され、抜けをさらに抑えることができる。したがって、シール材155により十分な反発力を持たせることができ、シール材155のシール機能を高めることができる。
以上、本発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
例えば、実施の形態では、軸受けとしてローラーベアリングを適用したが、ボールベアリングを適用しても良い。