実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの構成について説明する。図1はその構成図であり、1は沸き上げられた湯が貯められる貯湯タンクであり、2は水を加熱して貯湯タンク1に溜められる湯にする加熱手段である。3は水を循環させる循環ポンプであり、301は循環ポンプ3と加熱手段2を介して配設された加熱用配管である。加熱用配管301を通って、貯湯タンク1の下部から温度の低い水が加熱手段2に向かって流出し、加熱手段2で沸き上げられた湯が貯湯タンク1の上部から流入する。尚、加熱手段2は、例えばヒートポンプサイクル、ガス燃焼器を用いて構成される。以下の説明では加熱手段2にヒートポンプサイクルを用いた場合について説明する。
302は市水、上水道と貯湯タンク1を繋ぐ給水用配管であり、給水用配管301は貯湯タンク1の下部に接続されており、下部から水を貯湯タンク1に供給する。303は貯湯タンク1の上部に接続された導出用配管であり、加熱用配管301から供給され貯湯タンク1の上部に溜まっている湯を流出する。給水用配管302は貯湯タンク1の上流で分岐して、導出用配管303と接合している。その接合部には混合手段4が設けられており、湯と水の分量を調節する。305は混合手段4にて混合され温度の下がった湯を負荷側である室内のキッチンや浴室等に供給する給湯用配管である。尚、導出用配管303、混合用配管304、給湯用配管305、及び混合手段4は、本発明における給湯管路に相当する。
また、貯湯タンク1には、高さ方向に間隔をおいて、貯湯温度センサー501a〜501fが設けられている。貯湯温度センサー501a〜501fにより貯湯タンク1に溜まっている湯の水位毎の温度を検出することができ、さらに水位から貯湯タンクに溜まっている湯量を測定することができる。尚、本実施の形態では貯湯温度センサーの個数が6個の場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、貯湯タンク1の内部の温度分布を測るのに充分な数の温度センサーを設けるようにしてもよい。
加熱用配管301には、加熱手段2の下流側にて加熱後の湯温を検出するための沸上温度センサー502が設けられている。また、給水用配管302には給水温度を検出するための給水温度センサー504が設けられている。尚、この給水温度センサー504は、混合用配管304に設けてもよい。また、導出用配管303には、貯湯タンクから導出される湯温を検出するための導出温度センサー503が設けられている。また、給湯用配管305には負荷側で使用される湯温を検出するための給湯温度センサー505が設けられている。また、給湯用配管305には負荷側で使用される湯量を検出する給湯流量センサー601が設けられる。
100は、加熱手段2、循環ポンプ3及び混合手段4の動作を制御する制御手段であり、沸上温度センサー502、給水温度センサー504、導出温度センサー503、給湯温度センサー505、給湯流量センサー601はそれぞれの検出値を制御手段100に出力する。
700は制御手段100と接続され、ユーザーが操作可能であって、ユーザーとの間の情報の授受を可能とする操作部となるリモートコントローラである。701は各温度センサーの検出値、残り湯量、加熱手段2等の動作状況、浴槽に湯張りをする場合の湯量や温度の設定条件などを表示する表示部である。
702は給湯用配管305から負荷側に供給する湯の温度を設定、変更するための給湯温度指定手段である。703はユーザーが表示部701に表示された内容を操作して変更可能とするリモートコントローラ操作手段である。例えば、入浴予定時刻などの入力画面において、入浴予定時刻を入力決定する。704はユーザーが「少なめ」「普通」「多め」といったシステムの運転モードを選択可能とする運転モード切替手段である。705はユーザーが表示部701に表示する内容を切替え可能とする表示切替手段である。例えば入浴予定時刻などの入力画面を表示させるか、過去の使用湯量の記録情報を表示させるか、あるいは現在の制御情報を表示させるか、などを切替える。
尚、電源のON/OFF、運転モードの選択、出湯温度の設定、現在の蓄熱量の表示、といった給湯機に必要なリモートコントロール機能を備えた従来の一般的なリモートコントローラだけでなく、例えば通常のテレビの機能を有するとともに、制御手段とホームネットワークなどで接続されることによって、当該テレビの画面上に記録手段の記録情報を表示させたり、現在の制御情報を表示させたりするようなことが可能となるものについても、広い意味で本発明に係る貯湯式給湯システムのリモートコントローラ700とする。
図2は本発明の実施の形態1に係る信号の流れを表すブロック図である。図2に示すように、制御手段100は、蓄熱量算出手段101、給湯負荷算出手段102、記録手段103、給湯負荷予測手段104、及び加熱制御手段105等を有する。
制御手段100には、時刻検出手段であるタイマー、貯湯温度センサー501a〜501f、沸上温度センサー502、導出温度センサー503、給水温度センサー504、給湯温度センサー505、給湯流量センサー601、及びリモートコントローラ700からの情報が入力される。尚、タイマーは制御手段100に組み込んでも良い。この制御手段100は、入力されたこれらの情報に基づいて、加熱手段2、循環ポンプ3、及び混合手段4を制御する。詳細は後述する。
蓄熱量算出手段101は、貯湯温度センサー501a〜501fの水位と温度情報に基づいて、貯湯タンク内の蓄熱量を算出する。尚、リモートコントローラ700の有する給湯温度指定手段702により指定される給湯温度に基づいて、貯湯タンク1内に含まれる、給湯に利用可能な蓄熱量を算出するようにしてもよい。尚、蓄熱量は湯の温度と湯量から算出することができる。
給湯負荷算出手段102は、タイマーと、給湯温度センサー505若しくは導出温度センサー503と、給湯流量センサー601との出力に基づいて、負荷側への給湯の有無を検知する。また、給湯負荷算出手段102は、単位時間(例えば1秒)当たり、若しくはその積算値であって負荷側に供給された熱量の実績を算出する。
記録手段103は、蓄熱量算出手段101及び給湯負荷算出手段102の算出結果といった貯湯タンク1の蓄熱量に関する情報や負荷側へ貯湯タンク1から供給した湯量やその熱量に関する情報を記録する。
給湯負荷予測手段104は、記録手段103に記録された情報(以下、給湯負荷情報)に基づいて、現時刻以降の給湯負荷を予測する。さらにその予測した情報(以下、予測給湯負荷情報)を記録手段103に記録する。尚、給湯負荷情報、予測給湯負荷情報については以降で詳細に説明する。
加熱制御手段105は、記録手段103に記録されている予測給湯負荷情報に基づいて加熱手段2を制御する情報(以下、制御情報)を算出し、この制御情報に基づいて加熱手段2の起動時刻等を制御する。さらに加熱制御手段105は制御情報を記録手段103に記録する。尚、制御情報については以降で詳細に説明する。
制御手段100は記録手段103に記録している給湯負荷情報をリモートコントローラ700の表示部701に表示可能であり、給湯負荷情報はリモートコントローラ操作手段703を操作して使用者が修正して記録手段103に上書き記録することができる。さらに、表示部701に給湯負荷予測手段104が予測給湯負荷情報を導出するために用いる情報、例えば入浴開始予定時刻や入浴終了時刻、を表示して、使用者はリモートコントローラ操作手段703を操作して直接入力することができる。さらに、表示部701に制御情報を表示して、使用者が制御情報を直接修正することもできる。
記録手段103が上書き記録されると、給湯負荷予測手段104は上書きされた情報に基づいて予測給湯負荷情報を再設定して記録手段103に記録し、さらに加熱制御手段105も再設定された予測給湯負荷情報に基づいて制御情報を再び算出する。
以上、本発明の実施の形態1における貯湯式給湯システムの構成を説明した。次に、本実施の形態1における貯湯式給湯システムの動作工程について図3のフローチャートを用いて説明する。まず全体の動作工程について説明した後に、各工程について詳細に説明する。
図3に示すように貯湯式給湯システムが設置されシステムの動作がスタートすると、予め出荷時に設定されている初期制御情報、若しくは使用開始時に使用者が設定する初期制御情報によって運転が開始する(S1)。初期制御情報とは、例えば昼間の電気代に比べて夜間の電気代が安い時間帯に沸き上げる湯量またそのときの貯湯タンク1内の温度、沸き上げ運転を開始終了する時刻、及び湯の使用により貯湯タンク1の蓄熱量が所定値以下になった場合に沸き上げて蓄熱量を補充するのに必要な条件などのことである。
運転が開始されると、給湯負荷算出手段102が算出する給湯負荷情報を記録手段103に記録(S2a)し、所定の期間分の給湯負荷情報が蓄積されると、給湯負荷予測手段104が記録手段103に記録されている給湯負荷情報に基づいて、今後の給湯負荷を予測して予測給湯負荷情報を作成する(S2b)。予測給湯負荷情報の算出は、例えば、時刻を所定期間毎に区切ってその期間における記録されている給湯負荷情報、若しくは以下で説明するような給湯負荷情報と加熱手段2の加熱能力から算出される必要蓄熱量の平均値、平均値に所定量加えた値、若しくはその最大値などとする。S2bの後、加熱制御手段105が予測給湯負荷情報に基づいて制御情報を作成する(S2c)。
使用者は給湯負荷情報、予測給湯負荷情報および制御情報をリモートコントローラ700の表示部701で確認することができ、使用者が突発的な湯の使用による給湯負荷情報や、使用者の湯の使用習慣と乖離した予測給湯負荷情報であると判断し、これら情報を修正する場合(S3)はS4に移行し、修正しない場合はS2aに戻る。S4では普段湯を使用しない時間帯に突発的に使用した湯の給湯負荷情報を変更、削除することができる。或いは、突発的な湯の給湯負荷情報に基づいて給湯負荷予測手段104が作成した予測給湯負荷情報を直接修正することができ、今後の湯の使用予定時刻やそのときの湯の使用量、湯張り予定時刻などを予め入力し(S4)、S5に移行する。
S4で少なくとも給湯負荷情報、予測給湯負荷情、制御情報のいずれかが修正されると加熱制御手段105は、その修正された情報に基づいて制御情報を再設定しS2aに戻る(S5)。
以上、貯湯式給湯システムの全体の動作工程について説明したが、次に各工程における動作についてより詳細に説明する。尚、以下の説明において具体的な数値を示して動作を説明するが、本発明はこれに限るものではない。
制御手段100が加熱手段2の動作を制御する方法の一例として、過去の給湯負荷の記録情報に基づいて、S2bで加熱手段2の起動判定の基準値である起動蓄熱量を設定する動作について説明する。起動蓄熱量とは、現時刻での蓄熱量がこの起動蓄熱量以下になった場合(蓄熱量<起動蓄熱量)に制御手段100が加熱手段2を起動するために設定する値である。
<<給湯負荷の記録>>
まずS2aで過去の給湯負荷の実績を取得し、記録する動作について、図4と図5を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1に係る給湯負荷の検出、分析、整理、記録の流れを横軸に時刻をとって表したタイムチャートである。図5は図4の開始終了時刻と一回当たりの給湯負荷データの一覧を示す表である。尚、本実施の形態1における給湯負荷は、実際に負荷側へ給湯された湯量を、例えば給湯温度42℃で負荷側へ供給した場合の湯量に換算した値を用いている。このとき、混合用配管304から混合手段4に導かれる水の温度(給水温度)を例えば9℃として、給湯負荷を求めている。(つまり、給湯量を例えば[L/分]の単位で、給湯負荷を例えば[L]の単位で表す。)また図4は、時間帯の例として、12:00〜24:00を示した。
図4(a)は、給湯負荷算出手段102が算出した給湯量[L/分]の実績を示している。給湯負荷算出手段102は、常時又は定期的に、給湯流量センサー601の出力と、給湯温度センサー505の出力とを監視する。そして、給湯負荷算出手段102は、給湯温度センサー505の出力と、給湯流量センサー601との出力に基づいて、単位時間(例えば1秒)当たりに負荷側に供給される給湯量[L/分]を算出する。尚、図4(a)には、No.1〜No.7までの給湯負荷を示している。
図4(b)は、給湯負荷算出手段102が算出した図3(a)の各No.に対応する一回当たりの給湯負荷[L](以下、一回当たり給湯負荷)を示している。これは給湯負荷算出手段102が図4(a)のように算出した連続給湯中の給湯量を積算した値である。
図4(c)は、給湯負荷算出手段102が算出した単位期間(例えば1日)分の給湯負荷積算値[L](以下、全給湯負荷積算値)の時間変化を示している。これは給湯負荷算出手段102が図4(a)のように算出した給湯量を単位期間(例えば1日)にわたって積算した値である。なお、本実施の形態1では、単位期間を1日とした場合を示している(このうち、図3には、半日分の「全給湯負荷積算値」を示している)。なお、単位期間は1日に限るものではなく、任意の期間とすることができる。例えば、半日や2日や一週間としてもよい。
図5は、記録手段103に記録される情報の一例を示している。記録手段103は、一回あたりの給湯負荷と「全給湯負荷積算値」の情報を記録する。図5の例では、全給湯負荷積算値[L]として、538Lを記録する。
また、記録手段103は、給湯負荷が連続する1回の給湯の開始時刻、終了時刻、及び当該給湯の一回当たり給湯負荷の情報を記録する。尚、ここでは簡単のために比較的大きい連続給湯しかない場合を記載したが、洗面や手洗い等の少量の給湯負荷も記載してもよい。また逆に記録容量を減らすために、所定値以下(例えば42℃30L以下)の連続給湯負荷であれば、影響が少ないとみなして無視してもよい。あるいは、その直前や直後の給湯に対する一回当たり給湯負荷に加算してもよい。
なお記録手段103が記録する情報はこれに限るものではなく、全給湯負荷積算値の時間変化が特定できる情報であればよい。
<<必要蓄熱量の算出>>
次に、過去の給湯負荷の記録情報と加熱手段2の加熱能力に基づいて、各時刻に貯湯タンク1に最低限貯える必要のある熱量(以下、必要蓄熱量Lreq)を算出する動作について図5乃至図7を用いて説明する。
図6は時刻に対する全給湯負荷積算値及び沸上熱量積算値を示したタイムチャートであり、図7は全給湯負荷積算値、沸上熱量積算値及び必要蓄熱量の関係を示した図であり、図8は時刻に対する必要蓄熱量Lreqを示したタイムチャートである。ヒートポンプサイクルを用いた一般的な貯湯式給湯システムでは、冬期(給水9℃)の通常の給湯量(10L/min=23kW)に対し、加熱手段2の加熱能力(4kW〜8kW=1.74L/min〜3.48L/min)が小さいので、負荷の発生以前に沸上げを開始して、使用する湯を事前に貯湯タンク1に貯める必要がある。本実施の形態では、記録された過去の給湯実績、及び、加熱手段2の加熱能力に基づき、給湯負荷を賄うために事前に貯湯タンク1に貯める必要のある熱量を各時刻において演算している。各時刻における必要蓄熱量Lreqは、図7に示すように、当該時刻とその後の任意の時刻との時間間隔における全給湯負荷の積算値から、当該時間間隔において加熱手段2が沸上げ可能な熱量、つまり沸上熱量積算値を減算した値の、最大値である。尚、図7は図6中の点線で囲った部分を拡大表示している。図8には図6で示すように給湯装置を使用した場合において、時刻に対して必要蓄熱量Lreqを示している。
<<給湯負荷の予測>>
予測給湯負荷情報の算出は、記録手段103に記録されている所定日数分の給湯負荷情報、若しくは給湯負荷情報から算出される必要蓄熱量を用いる。時刻を所定時間毎(例えば10分毎)に区切り、その期間における記録されている所定日数分の給湯負荷情報や必要蓄熱量の平均値、平均値に所定量加えた値、若しくは所定の日数中での所定時間における最大値などである。また、過去の所定日数毎の1日に使用した湯の熱量の総和である全給湯負荷積算値の最大値、最小値、平均値、あるいは平均値+標準偏差といった値を基準に放熱ロスなどを考慮した値なども含んでもよい。
つまり、予測給湯負荷情報とは、任意の時刻での使用する湯量(熱量)、あるいは任意の時刻での必要蓄熱量を過去の湯の使用量、必要蓄熱量の情報から予測した値である。
<<起動蓄熱量の設定>>
次に、加熱手段2の起動判定の基準値である起動蓄熱量Lonを設定する動作について説明する。必要蓄熱量Lreqは、加熱手段の加熱能力を考慮した上での最低限必要な蓄熱量なので、換言すると、その貯湯タンク1内の蓄熱量が各時刻の必要蓄熱量Lreq以下になると同時に加熱手段2を起動すれば湯切れを回避できることを意味する。従って、湯切れの回避を担保するために、各時刻における起動蓄熱量Lreqを算出された各時刻における必要蓄熱量Lon以上(起動蓄熱量Lon>必要蓄熱量Lreq)となるように設定する。また、過剰な湯の沸上げを回避するために、各時刻の起動蓄熱量Lonを算出された必要蓄熱量Lreqにできるだけ近い値に設定する。
図8、図9は必要蓄熱量Lreqから起動蓄熱量Lonを設定する方法の一例を表した概要図である。図8は起動蓄熱量Lonを設定する際に使用する特徴量を必要蓄熱量Lreqから抽出する方法を示しており、図9は過去何日かの給湯負荷の実績から抽出した特徴量を用いて具体的に起動蓄熱量Lonを設定する方法を示している。
図8で示したように、制御手段は、その日の必要蓄熱量Lreqの最大値を最大必要蓄熱量Lreq_maxとして抽出する。またLreqがLreq_maxを示す時刻を最大負荷発生時刻t_Lmaxとして抽出する。
また時刻t_Lmaxの前の最後にLreqがゼロを示す時刻を最大負荷群準備時刻tprep_Lmax、時刻t_Lmaxの後の最初にLreqがゼロを示す時刻を最大負荷群終了時刻te_Lmaxとして抽出する。またその日の必要蓄熱量Lreqの2番目に大きい極大値を第2必要蓄熱量Lreq_2maxとして抽出する。ここで第2必要蓄熱量Lreq_2maxはtprep_Lmaxとte_Lmaxの間にない範囲から選んだが、これはtprep_Lmaxとte_Lmaxの間のLreqは、Lreq_maxの影響を受けて大きい値になり易いので、起動蓄熱量Lonを下げて過剰沸上げを回避する際に基準とするLreq_2maxの抽出には不適切なためである。尚、図8に図示している例ではts_Lmaxは使用者が湯を使い始める最大負荷群使用開始時刻であって、最大負荷群終了時刻te_Lmaxで使用者が湯の使用を止める。
これら、Lreq_max、t_Lmax、tprep_Lmax、te_Lmax、Lreq_2max、ts_Lmaxが起動蓄熱量Lonを設定する際に使用する特徴量となる。
次に図8で抽出した過去何日かの特徴量を使用して当日の起動蓄熱量Lonを設定する方法を図9に例示する。
過去何日かの値から予測される当日の最大負荷群の準備時刻と終了時刻の間は起動蓄熱量Lonを過去何日かの最大必要蓄熱量Lreq_maxを基準に設定する。また、それ以外の時間帯は起動蓄熱量Lonを過去何日かの第2必要蓄熱量Lreq_2maxを基準に設定する。
ここで、湯切れ回避のために、過去何日かの最大必要蓄熱量Lreq_maxと第2必要蓄熱量Lreq_2maxの中から最大値を採用する。しかし、商品や運転モードのコンセプトによっては平均値や最小値を採用しても良い。さらに湯切れ防止のために更にマージンを設けてもよい。
また、湯切れ回避のために、最大負荷群準備時刻tprep_Lmaxは過去何日かの最速値を採用する。しかし、商品や運転モードのコンセプトによっては平均値や最遅値を採用しても良い。さらに湯切れ防止のために時間を前倒すマージンを設けてもよい。
また、湯切れ回避のために、最大負荷群終了時刻te_Lmaxは過去何日かの最遅値を採用する。しかし、商品や運転モードのコンセプトによっては平均値や最速値を採用しても良い。さらに湯切れ防止のために時間を後倒すマージンを設けてもよい。
なお、以上の例に限らず、全ての時刻で起動蓄熱量Lonを必要蓄熱量Lreq以上に設定するために必要な特徴量であれば良い。例えば、予め時間帯を1時間毎に区切り、その時間帯のLreqの最大値を記録しても良い。また、必要蓄熱量Lreqに所定量加えた値を起動蓄熱量Lonとしても良い。
また、以上の例に限らず、当日の給湯負荷の実績に基づいて、当日一日分の熱量を準備し終えたと判定できたら起動蓄熱量Lonを下げてもよい。例えば当日の開始時刻から現時刻までの全給湯負荷積算値LAと現時刻の貯湯タンク内との蓄熱量Ltの和(Lt+LA)は、当日の開始時刻での蓄熱量Ltにその後加熱手段が沸上げた積算熱量を加えて放熱ロスを引いた値となっており、換言すると当日の湯の使用のために準備し終えた積算熱量を意味する。したがって、この値が記録手段103に記録された過去何日かの全給湯負荷積算値LAの最大値より大きければ当日一日分の熱量を準備し終えたと判定し、起動蓄熱量Lonを下げてもよい。尚、過去何日かの全給湯負荷積算値LAの最大値の代わりに、平均値や最小値を採用しても良い。
また、以上の例に限らず、当日の給湯負荷の実績に基づいて、最大負荷群のための熱量を準備し終えたと判定できたら起動蓄熱量Lonを下げてもよい。例えば当日の給湯負荷の実績に基づいて、当日の現時刻までの時々刻々の必要蓄熱量Lreqを算出し、当日の開始から現時刻までの必要蓄熱量Lreqの中に、過去何日かのLreq_2maxの最大値を越える値があれば、そのLreqを示す給湯は当日の最大負荷群の一部であると判定する。最大負荷群に含まれると判定される負荷の開始時点から現時刻までの給湯負荷の積算値と現時刻の貯湯タンク内との蓄熱量Ltの和は、最大負荷群の開始時点での蓄熱量Ltにその後加熱手段が沸上げた積算熱量を加えて放熱ロスを引いた値となっており、換言すると当日の最大負荷群のために準備し終えた積算熱量を意味する。したがって、この値が最大負荷群を賄う熱量を越えていれば起動蓄熱量Lonを下げてもよい。
尚、最大負荷群を賄う熱量は、例えば湯張り(180L)+シャワー(50L)×2回などのように、既定の値としてもよい。あるいは、最大負荷群に含まれる負荷の積算値を、記録手段103の記録情報の一つに追加し、その中の最大値や平均値や最小値などとしてもよい。
ここで、当日の最大負荷群の抽出に用いる閾値は、過去何日かのLreq_2maxの最大値の代わりに、過去何日かのLreq_2maxの平均値や平均値+標準偏差としても良いし、過去何日かのLreq_maxの最小値、平均値、平均値−標準偏差、などとしても良い。あるいは、湯張りを想定して100Lといった既定値を用いてもよい。
また、起動蓄熱量Lonを下げた後の値は、過去何日かのLreq_2maxの最大値、平均値、平均値+標準偏差、などとしてもよい。
以上、湯切れを回避するように制御手段が加熱手段の動作を制御する具体的制御方法の一例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば予め所定の時間区切り(1時間毎、朝・昼・晩、など)を設け、その時間区切りの間における給湯負荷情報を記録し、当該時間区切りの開始に間に合うように当該時間区切りの間における給湯負荷を沸上げる動作でも良い。
また他には、一回一回の給湯負荷の開始時刻、終了時刻、一回当たり給湯負荷、のすべてを給湯負荷情報として所定期間記録し、当該一回一回の給湯の各々に対して湯切れしないように加熱手段を制御する動作でも良い。
<<深夜沸上目標熱量の算出>>
次に、S2bで制御手段100が記録手段103の記録する給湯負荷情報に基づいて、昼間に比べて夜間の電気料金の低い時間帯に一括で沸上げる熱量(以下、深夜沸上目標熱量)を設定する動作を説明する。
貯湯式給湯システムは、電気料金の低い時間帯の間に、当日予測される湯の使用量に相当する熱量の一部または全部を沸上げることによって、ランニングコストを抑える。
この熱量は過去何日かの全給湯負荷積算値LAの最大値、平均値、最小値、あるいは平均値+標準偏差、といった値を基準に放熱ロスなどを考慮して設定される。なお、現行の電気料金制度の下では、一日の電力消費量における昼間運転による電力消費量が所定範囲になることを狙って深夜沸上目標熱量を設定することが一般的である。例えば昼間の電力消費量をゼロにすることを狙うのであれば、全給湯負荷積算値LAの最大値に放熱ロスを加味したマージンを加え、更に起動蓄熱量Lonを加えた値を、深夜沸上目標熱量にすればよい。また昼間の電力消費量が全体の20%付近になることを狙うのであれば、全給湯負荷積算値LAの平均値の80%に放熱ロスを加味したマージンを加え、更に起動蓄熱量Lonを加えた値を、深夜沸上目標熱量にすればよい。
ここで、起動蓄熱量Lonは前述した通り一日の中で変化する値なので、目的に応じてその値を設定する必要がある。例えば、昼間の電力消費量を高確率でゼロにすることを狙うのであれば、起動蓄熱量Lonとして最大値(例えばLreq_max)を採用すればよい。また昼間の電力消費量を全体の20%付近にするといったことを狙うのであれば、起動蓄熱量Lonとして平均値(例えば時間の長さで重み付けした平均値)などを採用すればよい。
ここで、起動蓄熱量Lonの平均値は、一日中の平均値を算出してもよいし、昼間の沸上げが行われそうな時間帯(例えば、最大負荷群準備時刻から23時までの間)だけで平均値を算出しても良い。
また前述した、最大負荷群のための熱量を準備し終えたと判定できたら起動蓄熱量Lonを下げる(例えば最大必要蓄熱量Lreq_maxから第2必要蓄熱量Lreq_2maxへ下げる)ような制御を採用する場合、この平均値を更に下げても良い。これは、最大負荷群のための熱量の日々の変動が小さければこの制御が効果的に機能して最大負荷群が終了した後すぐに起動蓄熱量が下がるので、仮にユーザーの日々の入浴時間の変動が大きくても、過剰沸上げを回避できるためである。具体的には例えば、最大負荷群のための熱量の日々の変動の指標として標準偏差を採用し、標準偏差が小さければこの制御が効果的に機能するとして深夜沸上目標熱量を算出するための起動蓄熱量LonをLreq_2maxに近い値とし、標準偏差が大きければこの制御が効果的に機能しないとしてLreq_maxに近い値とすればよい。
<<沸上温度の算出>>
次に、図2のS2bで制御手段100が記録手段103の記録する給湯負荷情報に基づいて、加熱手段2の沸上温度を設定する動作を説明する。
貯湯式給湯システムにおける加熱手段2の沸上温度は、貯湯タンク1の容量の中に、想定する最大の蓄熱量Qmaxが収容できるだけの温度である必要があり、沸上温度Tpは、例えば、貯湯タンク1の容量Vと、沸上げる対象である市水の温度Tw、密度及び比熱から、以下の「数1」のように求めることが出来る。
一般的に、想定する最大の蓄熱量Qmaxは、の電気料金の低い時間帯の間に貯める熱量と、の起動蓄熱量Lonの最大値のどちらかを基準に更にマージンを加えるなどして定まる。これは昼間の沸上げを前提とする小型タンク機種であるか、深夜の沸上げをメインとする中〜大型タンク機種であるかに依存することが多い。
また、沸上温度は、時間帯によって変更しても良く、想定する蓄熱量の多い深夜時間帯はの深夜沸上目標熱量を基準に沸上温度を高く、想定する蓄熱量の低い日中は沸上温度を低く、想定する蓄熱量が中程度である夕方から深夜に掛けては沸上温度を若干高めに設定しても良い。また、制御の安定性や湯切れの安全性を高めるために、演算に用いる貯湯タンク1の容量Vを実物の容量より小さい値を採用してもよい。
以上、本発明による貯湯式給湯システムの動作において、図3のS2a乃至S2cの動作について詳細に説明した。次に、図3のS4とS5について詳細に説明する。
S4の給湯負荷情報の修正について図11、図12を用いて詳細に説明する。図11は、リモートコントローラが表示する給湯負荷情報の例を示し、図12は、当該給湯負荷情報の修正方法の例を示している。なお、図中に波線で囲われた記載は、本実施例での説明の都合上記した記載で、リモートコントローラの表示部に表示される情報ではない。
図11において、リモートコントローラは、過去何日かの給湯負荷パターン(発生時刻または終了時刻と、その一回当たりの給湯負荷の組合せ)と、全給湯負荷積算値とを、表示している。
図11の例において、1日前と2日前は湯を大量に使う時間帯も、一日の湯の使用量もあまり変化しないが、3日前は湯を大量に使う時間帯が特に早くなっている。また、7日前は突然の朝湯張りや突然の来客などによって、湯を大量に使う時間帯も、一日の湯の使用量もそれ以外の日の記録情報と大きく離れた値になっている。
図12は、図11の例に対する修正例である。図12の例において、3日前の記録情報に対して、自分の通常のライフパターンと離れていると考えて、最も頻繁に入浴する21時頃に湯張り時刻を移動した。また7日前の記録情報は、全体的に通常と異なるので、一日全部の情報を消去した。
本例において、3日前の記録情報を修正する前であれば、最大負荷群準備時刻が3日前の情報の影響で16時前後まで大きく前倒され、昼間の早い時間から大きな蓄熱量を維持する動作となり、ほぼ毎日1日前や2日前のような生活をするユーザーに対して昼間沸上げが多発する可能性があるが、上記のような修正をすることにより、最大負荷群準備時刻が21時前後を基準に定められるので、昼間の沸上げを抑制することができる。
また7日前の記録情報を修正する前であれば、第2必要蓄熱量Lreq_2maxが7日前の朝風呂の影響で非常に大きい値となり、例え最大負荷群準備時刻と終了時刻が適切に学習されていたとしても、それ以外の時間帯に維持する湯量のレベルが高くなってしまい、過剰な沸上げが生じる可能性がある。これに対し、上記のような修正をすることにより、7日前以外の日の記録情報に基づいて学習することにより、そのユーザーの通常の使い方に対して適切な学習がなされ、昼間の沸上げを抑制することができる。
なお給湯負荷情報の例示方法は、ここに示した例に限らず、給湯負荷の時間変化が日毎に比較可能な形式であれば良く、例えば給湯負荷とその時刻を表にして表しても良い。
以上のように、例えば突然の来客などのために通常と大きく異なる量や時刻にて湯の使用を行った場合に、通常であればその後何日か経過するまで、当該日の影響を受けて省エネルギー性の低下した動作を行うのに対し、当該日の使用実績に関する記録情報を消去または修正することにより、次の日から省エネルギー性の優れた制御を行うことが可能となり、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
以上、図3のS4での給湯負荷情報の修正について詳細に説明した。次にS4での予測給湯負荷情報、制御情報の修正、S5の制御情報の再設定に関して詳細に説明する。
図13は、リモートコントローラ700が表示するユーザー自らの湯の使用に関してユーザーがイメージし易い情報を、ユーザーによる入力が可能な項目(以下、ユーザー入力項目)を示しており、その項目を表示すると同時にその項目に対して制御手段100が算出した値を表示しておく。このユーザー入力項目を使用者が入力することによって、予測給湯負荷情報、制御情報を修正することができる。以下で制御手段100がシステムの動作を決定する際に基準とする制御情報とユーザー入力項目との関係について説明する。
制御手段100は、制御情報をユーザー入力項目にユーザーが入力する情報に基づいて再設定する。ユーザーが入力可能な予測給湯負荷情報は、入浴開始予定時刻、入浴終了予定時刻などであり、制御情報は、前述した、最大必要蓄熱量、第2必要蓄熱量、最大負荷群準備時刻、最大負荷群終了時刻、深夜沸上目標熱量、沸上温度などである。
図13において、リモートコントローラ700は、入浴開始予定時刻をユーザー入力項目としている。ユーザーがここで予測給湯負荷情報である入浴開始予定時刻を入力した場合、制御手段100は、多量の湯を使用する時刻はこの時刻以降であると判定して、貯湯タンク1に貯める湯量を沸き上げる時刻、つまり最大負荷群準備時刻を定めることができる。
またリモートコントローラ700は、入浴終了予定時刻をユーザー入力項目としている。ユーザーがここで予測給湯負荷情報である入浴終了予定時刻を入力した場合、制御手段100は、この時刻以降は多量の湯を使用しないと判定して、貯湯タンク1に貯める湯量レベルを下げる時刻、つまり最大負荷群終了時刻を定めることができる。
またリモートコントローラ700は、最低残湯量をユーザー入力項目としている。ユーザーがここで最低残湯量を入力した場合、制御手段100は、多量の湯の使用が予測されない状況であっても貯湯タンク1に最低限保持しておく蓄熱量、つまり最大負荷群準備時刻から終了時刻以外での起動蓄熱量をこの値を基準に定めることができる。
またリモートコントローラ700は、時間の余裕をユーザー入力項目としている。ユーザーがここで時間の余裕を入力した場合、制御手段100は、時間に係る制御情報を定めるに際し、安全サイドに設ける余裕の度合いや余裕の幅、つまり、この値を基準にして最大負荷群準備時刻を早める若しくは最大負荷群終了時刻を遅らせることによって使用者が入浴中に湯切れを起こすことを防止することができる。
またリモートコントローラ700は、湯量の余裕をユーザー入力項目としている。ユーザーがここで湯量の余裕を入力した場合、制御手段100は、湯量あるいは熱量に係る制御情報を定めるに際し、安全サイドに設ける余裕の度合いや余裕の幅、つまり、この値を基準にして上記で説明した起動蓄熱量に所定量加えた値を定め、使用者が入浴中に湯切れを起こすことを防止することができる。
以上示したユーザー入力項目に基づいて、制御手段100が制御情報を再設定する具体的な例を以下に説明する。
制御手段100は入浴開始予定時刻に基づいて最大負荷群準備時刻を定めることができる。そのままの値を採用しても良いし、湯切れを確実に防止すために所定時間早い時刻としても良い。あるいは最大負荷群準備時刻の以前と以降での起動蓄熱量の差を沸上げるのに必要な時間だけ早い時刻としても良い。
また制御手段100は入浴終了予定時刻に基づいて最大負荷群終了時刻を定めることができる。そのままの値を採用しても良いし、湯切れを確実に防止するために所定時間遅い時刻としても良い。
また制御手段100は最低残湯量に基づいて、最大負荷群準備時刻と終了時刻の間以外の時刻における起動蓄熱量を定めることができる。そのままの値を採用しても良いし、湯切れを確実に防止するために所定量多くしてもよい。
また制御手段100は時間の余裕に基づいて、最大負荷群準備時刻を求める際に、予測給湯負荷情報から求まる値に対してどれだけ前倒すかを定めることができる。
また制御手段100は時間の余裕に基づいて、最大負荷群終了時刻を求める際に、予測給湯負荷情報から求まる値に対してどれだけ後倒すかを定めることができる。
また制御手段100は湯量の余裕に基づいて、最大負荷群準備時刻と終了時刻の間の時刻における起動蓄熱量を求める際に、予測給湯負荷情報から求まる値に対してどれだけ多くするかを定めることができる。
なお図13では、表示部701に全ての項目を表示する場合を示したが、何れか一つ以上を選択して表示しても良い。
また、図13に表示された項目に対して、制御手段100が算出した値を予め表示しておき、ユーザーが修正できるようにしておく。例えば、予測給湯負荷情報に基づいて算出された最大負荷群準備時刻と終了時刻に基づいて算出される入浴開始予定時刻と入浴終了予定時刻を予め表示しておく。
ここで入浴開始予定時刻には最大負荷群準備時刻をそのまま与えてもよいし、最大負荷群準備時刻の前後での起動蓄熱量Lonの変化分を加熱手段が沸上げるのに要する時間を加算した値としてもよい。また入浴終了予定時刻は最大負荷群終了時刻をそのまま与えてもよい。
これにより、ユーザーは自らの湯の使用パターンからシステムがどのような動作を目指しているかを把握することができ、修正しやすくなる。例えば、普段の入浴時刻が20:00〜22:00であるのに対し、想定外の早風呂や遅風呂をしたことにより、制御手段100が算出した結果入浴開始予定時刻〜終了予定時刻が17:00〜23:00と表示されていたら、自らの実感と異なると感じ、修正するインセンティブとなり得る。
また、給湯負荷情報に基づいて算出された第2必要蓄熱量に基づいて、最低残湯量の表示を変更させてもよい。これにより、ユーザーは湯をあまり使わない状況でも、システムが維持しようとする湯量を把握することができ、その値が不要なほど大きければ修正するインセンティブとなり得る。
以上のように本実施の形態1においては、ユーザーからの入力により省エネルギー性が改善する情報の内、入浴の時間帯や、湯をあまり使わない時間帯に希望する残湯量、といったユーザーのイメージし易い形での入力項目を可能な限り抽出し、リモートコントローラ700を介したユーザーによる入力を可能とし、当該入力情報に基づいてシステムの制御を行う。このため、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、図3のS4において、制御情報をリモートコントローラを介してユーザーによって修正可能とする動作について図14、図15を用いて詳細に説明する。図14は本実施の形態に係るリモートコントローラに表示される制御情報の一例であり、図15はリモートコントローラに表示される制御情報の別の一例である。尚、本実施の形態2における貯湯式給湯システムの構成は、実施の形態1と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
本実施の形態2において、リモートコントローラ700は、制御手段がシステムの動作を決定する際に基準とする制御情報のユーザーによる直接入力を可能としている。本実施の形態でのユーザー入力項目は、例えば深夜沸上目標熱量、沸上温度、全給湯負荷予測積算値、最大負荷群準備時刻、最大負荷群終了時刻、最大負荷群対応蓄熱量、最低残湯量、時間の余裕、湯量の余裕などである。
ここで、制御情報の入力は、図14のように直接数値を入力する方法でも良いし、熱量に係る量に関しては図15のように湯張りやシャワーのアイコンを用いてイメージし易い形式にしても良い。
また、湯張りのアイコンの1個に相当する蓄熱量に関して、一般的な値として180Lや200Lとしても良いし、浴槽容積がリモートコントローラに入力される場合も多いのでその値を基準にしても良い。また記録手段103の記録している情報から、連続出湯で過去最大の値を採用するなどしても良い。また、シャワーのアイコンの1個に相当する蓄熱量に関して、一般的な値として50Lや80Lとしても良いし、第2必要蓄熱量を基準に定めるなどしても良い。
また、湯量に関しては、放熱の影響を考慮してマージンを設けた値を用いても良いし、直接その値を用いても良い。
以上のように本実施の形態2においては、制御手段がシステムの動作を決定する際に基準とする情報を、リモートコントローラを介してユーザーが直接入力可能なようにする。このため、ユーザーが自らの湯の使用方法に対して、システムが最適に動作するように、制御情報を設定でき、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
実施の形態3.
本実施の形態3においては、リモートコントローラ700を介して、ユーザーが湯張り予定の有無を入力することが可能な場合の動作について説明する。なお、本実施の形態3における貯湯式給湯システムの構成は、実施の形態1及び実施の形態2と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
本実施の形態3において、リモートコントローラ700は、湯張りの予定の情報のユーザーによる入力を可能としている。湯張りの予定の情報とは、湯張り予定の有無、湯張りを行う場合は、浴槽に張る湯の量、温度、湯張りを行う時刻などである。
以下、ユーザーから湯張りの予定の情報の入力があった場合の動作を説明する。
一般的に湯張りの経路の給湯と、その他の経路の給湯は、混合手段が別々に設けられることも多く、その場合、混合手段からの信号を取得するなどして、湯張り起因の給湯と、その他の給湯とを分離して検出することが容易に可能である。
本実施の形態の最適な適用方法においては、記録手段103は、湯張り起因の給湯とその他の給湯との2系列の給湯負荷情報を記録する。なお、上記2系列の給湯負荷情報を特定できる記録情報であればよく、例えば湯張り起因の給湯とその他の給湯を合算した給湯負荷情報を1系列と、湯張り起因以外のみの給湯負荷情報の1系列の給湯負荷情報を記録してもよい。
制御手段100は、ユーザーにより湯張りの予定の無い旨の入力があった場合、湯張り起因以外のみの給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。また、ユーザーにより湯張りの予定の有る旨の入力があった場合、湯張り起因の給湯とその他の給湯を合算した給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。
なお、ユーザーによる湯張りの予定の有無の入力は、前日までに行うことが効果的である。
ユーザーによる湯張りの予定の無い旨の入力が、前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を下げることができ、当日使用する予定の無い熱量を沸き上げなくて済む。
但し、湯張りの予定の無い旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを下げることができるので、過剰な沸上げを回避する効果は少なからず期待できる。
ユーザーによる湯張りの予定の有る旨の入力が、前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を上げることができ、当日使用する予定の熱量を安価に沸き上げることができる。但し、湯張りの予定の有る旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを上げることができるので、湯切れを回避する効果が少なからず期待できる。
また、湯張り起因の給湯と、その他の給湯を分離して学習しない場合にも本実施の形態は適用可能である。
例えば、ユーザーからの湯張りの予定が無い旨の入力の前後で、単に当日に予測している一日分の給湯負荷積算値や深夜沸上目標熱量から、湯張りに相当する熱量分だけ差し引いても良い。
あるいは、記録した各日の湯張り実績の有無を、必要最大蓄熱量Lreq_maxに基づいて判定し、湯張りが有ったと判定される日の一日分の給湯負荷積算値から湯張りに相当する熱量分だけ差し引いて利用しても良い。
湯張り実績の判定は、例えば必要最大蓄熱量Lreq_maxが所定の閾値(例えば100L)を越えるか越えないかで判定してもよい。
また逆に、ユーザーからの湯張りの予定が有る旨の入力の前後で、単に当日に予測している一日分の給湯負荷積算値や深夜沸上目標熱量に、湯張りに相当する熱量分だけ加算しても良い。
あるいは、記録した各日の湯張り実績の有無を、必要最大蓄熱量Lreq_maxに基づいて判定し、湯張りが無かったと判定される日の一日分の給湯負荷積算値に湯張りに相当する熱量分だけ加算して利用しても良い。
当該「湯張りに相当する熱量」は、一般的な値として180Lや200Lとしても良いし、浴槽容積がリモートコントローラに入力される場合も多いのでその値を基準にしても良い。また記録手段103の記録している情報から、連続出湯で過去最大の値を採用するなどしても良い。
また、起動蓄熱量Lonの設定に関し、最大必要蓄熱量Lreq_maxを示す要因は湯張りにあると仮定して、ユーザーから湯張りの予定の無い旨の入力があった場合は、時刻に拠らず起動蓄熱量Lonを、第2必要蓄熱量Lreq_2maxを基準に定めるなどしてもよい。
あるいは、最大必要蓄熱量Lreq_maxの内で所定の閾値(例えば100L)を越える物は湯張りに起因すると仮定して、制御に利用しないとしてもよい。
またユーザーによる湯張りの予定の有無の入力に関して、図10に示すユーザー入力モードで表示する項目に増やしてもよいし、あるいは運転モードの一つとして「少なめ」「普通」「多め」などの他に「湯張り無し」モードを設け、運転モードの選択により湯張りの予定の有無を入力してもよい。
以上のように本実施の形態3においては、特に家庭における最大の湯の使用用途である湯張りの予定の有無を、リモートコントローラを介してユーザーが事前に入力できるようにし、その情報に基づいてシステムの動作を制御する。
このため、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
以下、ユーザーから湯張りの予定の有無の入力があった場合の制御動作を説明する。
一般的に湯張りの経路の給湯と、その他の経路の給湯は、混合手段が別々に設けられることも多く、その場合、混合手段からの信号を取得するなどして、湯張り起因の給湯と、その他の給湯とを分離して検出することが容易に可能である。
本実施の形態の最適な適用方法においては、給湯負荷記憶手段は、湯張り起因の給湯とその他の給湯との2系列の給湯負荷情報を記憶する。
なお、上記2系列の給湯負荷情報を特定できる記憶情報であればよく、例えば湯張り起因の給湯とその他の給湯を合算した給湯負荷情報を1系列と、湯張り起因以外のみの給湯負荷情報の1系列の給湯負荷情報を記憶してもよい。
制御手段100は、ユーザーにより湯張りの予定の無い旨の入力があった場合、湯張り起因以外のみの給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。
また、ユーザーにより湯張りの予定の有る旨の入力があった場合、湯張り起因の給湯とその他の給湯を合算した給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。
なお、ユーザーによる湯張りの予定の有無の入力は、前日までに行うことが効果的である。
ユーザーによる湯張りの予定の無い旨の入力が、前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を下げることができ、当日使用する予定の無い熱量を沸き上げなくて済む。
但し、湯張りの予定の無い旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを下げることができるので、過剰な沸上げを回避する効果は少なからず期待できる。
ユーザーによる湯張りの予定の有る旨の入力が、前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を上げることができ、当日使用する予定の熱量を安価に沸き上げることができる。
但し、湯張りの予定の有る旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを上げることができるので、湯切れを回避する効果が少なからず期待できる。
また、湯張り起因の給湯と、その他の給湯を分離して学習しない場合にも本実施の形態は適用可能である。
例えば、ユーザーからの湯張りの予定が無い旨の入力の前後で、単に当日に予測している一日分の給湯負荷積算値や深夜沸上目標熱量から、湯張りに相当する熱量分だけ差し引いても良い。
あるいは、記憶した各日の湯張り実績の有無を、必要最大蓄熱量Lreq_maxに基づいて判定し、湯張りが有ったと判定される日の一日分の給湯負荷積算値から湯張りに相当する熱量分だけ差し引いて利用しても良い。
湯張り実績の判定は、例えば必要最大蓄熱量Lreq_maxが所定の閾値(例えば100L)を越えるか越えないかで判定してもよい。
また逆に、ユーザーからの湯張りの予定が有る旨の入力の前後で、単に当日に予測している一日分の給湯負荷積算値や深夜沸上目標熱量に、湯張りに相当する熱量分だけ加算しても良い。
あるいは、記憶した各日の湯張り実績の有無を、必要最大蓄熱量Lreq_maxに基づいて判定し、湯張りが無かったと判定される日の一日分の給湯負荷積算値に湯張りに相当する熱量分だけ加算して利用しても良い。
当該「湯張りに相当する熱量」は、一般的な値として180Lや200Lとしても良いし、浴槽容積がリモートコントローラに入力される場合も多いのでその値を基準にしても良い。また給湯負荷記憶手段の記憶している情報から、連続出湯で過去最大の値を採用するなどしても良い。
また、起動蓄熱量Lonの設定に関し、最大必要蓄熱量Lreq_maxを示す要因は湯張りにあると仮定して、ユーザーから湯張りの予定の無い旨の入力があった場合は、時刻に拠らず起動蓄熱量Lonを、第2必要蓄熱量Lreq_2maxを基準に定めるなどしてもよい。
あるいは、最大必要蓄熱量Lreq_maxの内で所定の閾値(例えば100L)を越える物は湯張りに起因すると仮定して、制御に利用しないとしてもよい。
またユーザーによる湯張りの予定の有無の入力に関して、図10に示すユーザー入力モードで表示する項目に増やしてもよいし、あるいは運転モードの一つとして「少なめ」「普通」「多め」などの他に「湯張り無し」モードを設け、運転モードの選択により湯張りの予定の有無を入力してもよい。
以上のように本実施の形態4においては、特に家庭における最大の湯の使用用途である湯張りの予定の有無を、リモートコントローラを介してユーザーが事前に入力できるようにし、その情報に基づいてシステムの動作を制御する。このため、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、追い焚き機能を有する貯湯式給湯システムについて図16を用いて説明する。図16は本実施の形態の貯湯式給湯システムのブロック図である。貯湯タンク1内の湯の有する熱量を湯の放出によって負荷側の浴槽803やシャワー804等へ供給する湯栓801と、貯湯タンク1内の湯の有する熱量を湯と対象物との熱交換によって負荷側へ供給する熱交換器803を有する貯湯式給湯システムにおいて、ユーザーが熱交換器803を使用する予定の有無を、リモートコントローラ700を介して入力することが可能な場合の動作について説明する。なお、本実施の形態4における貯湯式給湯システムの構成は、実施の形態1から実施の形態3と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
本実施の形態4は主に浴槽803の湯の追い焚きを行う機能に用いられる。追い焚きの指示、つまりリモートコントローラ700に熱交換器803を使用する指示がなされると、浴槽803の湯が循環ポンプ32によって熱交換器802と浴槽803を循環するようになり、貯湯タンク1の上部に貯まっている加熱手段2に沸き上げられた高温の湯が循環ポンプ31によって熱交換器803と貯湯タンク1を循環するようになり、熱交換器802で熱交換を行い浴槽803の湯の温度を上げる。尚、熱交換器803内では浴槽803の湯と貯湯タンク1の湯が混合しないように配管されている。
本実施の形態4においては、給湯負荷算出手段102は、単位時間当たりに湯栓801から負荷側の浴槽803やシャワー等へ供給された熱量である湯栓負荷の実績を給湯温度センサー505と給湯流量センサー601から求める湯栓負荷算出手段と、貯湯タンク1から熱交換器802を湯が循環する熱交換用配管306に設けられた熱交換器流量センサー602と熱交換器802の前後に設けられ熱交換用配管306を流れる湯の温度を検出する熱交換器入口温度センサー506と熱交換器出口温度センサー507の検出値から熱交換器から負荷側へ熱量を供給するために貯湯タンクから単位時間当たりに喪失する熱量である熱交換負荷の実績を求める熱交換負荷算出手段と、を有し、給湯負荷算出手段102は、湯栓負荷と熱交換負荷を加算することによって給湯負荷を算出する。
なお、ここで熱交換負荷算出手段は、単位時間当たりの貯湯タンク内の蓄熱量の減少量から湯栓負荷を減算した値に、単位時間当たりに加熱手段が沸上げた熱量を加算することによって、熱交換負荷を算出してもよいし、湯と熱交換する対象物の温度変化とその対象物の熱容量の積である対象物供給熱量を基準に算出しても良い。
リモートコントローラ700において、ユーザーが熱交換器を使用する予定の有無を入力することが可能となっている。
以下、ユーザーから熱交換器を使用する予定の有無の入力があった場合の制御動作を説明する。
本実施の形態の最適な適用方法においては、記録手段103は、熱交換負荷と湯栓負荷の2系列の給湯負荷情報を記憶する。なお、上記2系列の給湯負荷情報を特定できる記憶情報であればよく、例えば熱交換負荷と湯栓負荷を合算した給湯負荷情報を1系列と、湯栓負荷のみの給湯負荷情報の1系列の給湯負荷情報を記憶してもよい。
制御手段100は、ユーザーにより熱交換器803の使用予定の無い旨の入力があった場合、湯栓負荷のみの給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。また、ユーザーにより熱交換器の使用予定の有る旨の入力があった場合、熱交換負荷と湯栓負荷を合算した給湯負荷情報を用いて、前述した実施の形態1と同じ動作を行う。なお、ユーザーによる熱交換器の使用予定の有無の入力は、前日までに行うことが効果的である。
ユーザーによる熱交換器803の使用予定の無い旨の入力が、前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を下げることができる。また熱交換器が使用された場合、無効温度の湯が生成されやすく湯切れが起こりやすいことから、熱交換器の使用が想定される状況では沸上温度を高くすることが多い。例えば、実施の形態1の方法で沸上温度を算出した結果が65℃程度だったとしても、熱交換器803の使用が想定される状況では、沸上温度の下限値を80℃程度まで上げる場合もある。これは、熱交換器803から貯湯タンク1に戻る湯の温度が有効温度(例えば42℃)を下回らないように設計する場合などである。
これに対し、熱交換器803の使用予定の無い旨の入力が前日までに行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる時の沸上温度を低くすることができ、加熱手段2のエネルギー効率を高めることができる。
但し、熱交換器803の使用予定の無い旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを下げたり、沸上温度を下げたりすることができるので、過剰な沸上げを回避したり加熱手段のエネルギー効率を高めたりする効果は少なからず期待できる。
ユーザーによる熱交換器803の使用予定の有る旨の入力が、前日に行われれば、電気料金の低い深夜時間帯に一括で沸上げる熱量を上げることができ、当日使用する予定の熱量を安価に沸き上げることができる。また沸上温度を上げることにより、湯切れ耐力を適切に上げることができる。
但し、熱交換器の使用予定の有る旨の入力が当日に行われても、その時点で当日の起動蓄熱量Lonを上げたり、沸上温度を上げたりすることができるので、湯切れを回避する効果が少なからず期待できる。
また、熱交換負荷と湯栓負荷を分離して学習しない場合にも本実施の形態は適用可能である。
例えば、前述したように熱交換器の使用が想定される状況で沸上温度の下限値を上げる制御を採用している場合は、ユーザーから熱交換器803の使用予定の無い旨の入力があった時に、再度、実施の形態1に記載の方法で沸上温度を算出し直すことにより、沸上温度を下げられる場合がある。
また逆に、ユーザーから熱交換器803の使用予定の有る旨の入力があった時に、その時点の沸上温度が、熱交換器803の使用が想定される状況での沸上温度の下限値以下であるならば、下限値まで温度を上げてもよい。
なお、熱交換器803が風呂の追焚機能を賄うものである場合は、「熱交換器の使用予定の有無」の代わりに「追焚ではなく高温さし湯を使用するか否か」をユーザー入力項目にしてもよい。この場合、貯湯タンクの高温の湯を直接浴槽803に流し込むが、貯湯タンク1に無効温度の湯が生成される効果が無いので沸上温度の下限値を上げる必要が無く、加熱手段2のエネルギー効率を高くすることができる。
以上のように本実施の形態4においては、特に加熱手段2の沸上温度を上げる影響のある熱交換器803の使用予定の有無を、リモートコントローラ700を介してユーザーが事前に入力できるようにし、その情報に基づいてシステムの動作を制御する。このため、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5においては、給湯負荷情報や制御情報の内で、所定の関係を満たして省エネルギー性を低下させていると判定されるものを、リモートコントローラ700を介してユーザーに認知させることが可能な場合の動作について説明する。なお、本実施の形態5における貯湯式給湯システムの構成は、実施の形態1から実施の形態5と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
本実施の形態5において、制御手段100にはエネルギー効率判定手段106を設けており、エネルギー効率判定手段106は給湯負荷情報や制御情報の内で、所定の関係を満たすものを、省エネルギー性、運転効率を低下させている省エネルギー低下要因を判定し、リモートコントローラ700からの音声による報知や、リモートコントローラ700における色の反転や表示の点滅などにより、ユーザーに認知させる。以下に省エネルギー性を低下させていると判定する項目の、具体的な抽出方法について説明する。
制御上の理由による省エネルギー性の低下は、主にユーザーの湯の使用実績である給湯負荷情報に起因する。
具体的に省エネルギー性を低下させる湯の使用方法の一例は、貯湯タンク1のサイズに対して過大な全給湯負荷積算値である。過大な全給湯負荷積算値が給湯負荷の記憶情報の中に存在すると、沸上温度が上がることにより、加熱手段2の効率が低くなるまた一日の終盤になっても、まだ多量の給湯負荷が残されていると判定してしまい、起動蓄熱量Lonがいつまでも下がらなくなり、過剰な沸上げにつながる。
このような過大な全給湯負荷積算値の抽出方法は、例えば、実施の形態1に示した方法で、想定する最大の蓄熱量Qmaxを全給湯負荷積算値として沸上温度を算出した結果、所定の閾値(例えば80℃)を越える場合、過大であると判定してもよい。
但し、沸上温度が所定の閾値を越えるような湯の使用を平均的に行うユーザーに対して、敢えてその旨を報知することは適切ではない場合もある。従って、沸上温度が所定の閾値を越えるような全給湯負荷積算値であっても、他に記憶している全給湯負荷積算値の平均値+標準偏差を越えていないような場合は、敢えて報知しなくてもよい。
過大な全給湯負荷積算値が記憶情報に存在する場合に、リモートコントローラ上で表示の点滅などをさせる項目は、図11のように給湯負荷情報を表示させている場合は右端の全給湯負荷積算値であり、図13のように制御情報を表示させている場合は深夜沸上目標熱量、沸上温度、全給湯負荷予測積算値、である。
具体的に省エネルギー性を低下させる湯の使用方法の他の一例は、貯湯タンクのサイズに対して過大な一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxである。
過大な一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxが給湯負荷の記憶情報の中に存在すると、多量の湯の使用が予測される時間帯に維持する蓄熱量レベルが過大となり、放熱ロスの増大や、発停ロスの増加、更には沸上温度が上がる場合もある。
また加熱手段2への入水温度の増加を生じさせる場合もあるが、これは加熱手段2がヒートポンプの場合に加熱手段2の効率を低下させることにつながる。
このような過大な一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxの抽出方法は、例えば、実施の形態1に示した方法で、想定する最大の蓄熱量Qmaxを一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxとして沸上温度を算出した結果、所定の閾値(例えば65℃)を越える場合、過大であると判定してもよい。
あるいは加熱手段2がヒートポンプの場合は、沸上温度が所定の値(例えば65℃)であって加熱手段2の入水温度が上昇する程度の蓄熱量を予め調べて制御手段2に記憶させておき、一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxがその値越えた場合に過大であると判定してもよい。
但し、上述の判定基準で過大と判定されるような湯の使用を平均的に行うユーザーに対して、敢えてその旨を報知することは適切ではない場合もある。従って、過大と判定される一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxであっても、他に記憶している値から求める平均値+標準偏差を越えていないような場合は、敢えて報知しなくてもよい。
過大な一回当たり給湯負荷や最大必要蓄熱量Lreq_maxが記憶情報に存在する場合に、リモートコントローラ上で表示の点滅などをさせる項目は、図11のように給湯負荷情報を表示させている場合は当日最大の給湯負荷を示す棒グラフであり、図13のように制御情報を表示させている場合は、最大負荷群対応蓄熱量である。
具体的に省エネルギー性を低下させる湯の使用方法の他の一例は、多量の湯の使用に準備する時間帯の長さである。ここで、多量の湯の使用に準備する時間帯とは、最大負荷群準備時刻の最速値や平均値から、最大負荷群終了時刻の最遅値や平均値までの時間帯である。多量の湯の使用に準備する時間帯が長すぎると、維持する蓄熱量レベルの高い時間帯が長くなり、放熱ロスの増大や、発停ロスの増加につながる。
このように多量の湯の使用に準備する時間帯が過長であることの抽出方法は、例えば、予め定めた所定の時間間隔(例えば3時間)を越える場合は過長であると判定してもよい。
但し、上述の判定基準で過大と判定されるような湯の使用を平均的に行うユーザーに対して、敢えてその旨を報知することは適切ではない場合もある。従って、過長と判定される場合であっても、各々の最大負荷群準備時刻がその他の値の平均値±標準偏差の中に収まっていて、かつ、各々の最大負荷群終了時刻がその他の値の平均値±標準偏差の中に収まっていれば、敢えて報知しなくてもよい。尚、標準偏差に代えて所定の値としてもよい。また、同じ省エネルギー性の低下要因が所定回数以上または所定頻度以上発生する場合はその旨を表示及び報知しない。換言すると低下要因が所定回数以下または所定頻度以下で発生する場合はその旨を表示及び報知するようにしてもよく、上述の標準偏差から所定頻度を算出してもよい。なお、記録手段103に給湯負荷情報を記録している期間において低下要因の発生回数、発生頻度を算出しても良い。
多量の湯の使用に準備する時間帯が過長である場合に、リモートコントローラ700上で表示の点滅などをさせる項目は、図11のように給湯負荷情報を表示させている場合は当日最大の給湯負荷を示す棒グラフであり、図13のように制御情報を表示させている場合は、最大負荷群準備時刻と最大負荷群終了時刻である。
以上のように本実施の形態5においては、省エネルギー性の低下要因となっている給湯負荷情報や制御情報を、リモートコントローラからの音声による報知や、リモートコントローラにおける色の反転や表示の点滅などにより、ユーザーに認知させる。このため、ユーザーがシステムの技術的な特性を熟知していなくとも、どの入力項目が省エネルギー性を効果的に向上させるかを認知することができるので、ユーザーによる入力を容易にし、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
また本実施の形態5においては、省エネルギー性の低下要因となっている給湯負荷情報や制御情報の内、ユーザーの平均的な使用実態に起因するものを除いてからユーザーに認知させる。このため、ユーザー自身にとって基本的な生活パターンに影響を与えることなく、突発的な事由による給湯負荷の変動を抽出して認知させるので、ユーザーにとって抵抗の少ない形で、記憶情報の修正へ誘導でき、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。
実施の形態6.
本実施の形態6においては、ユーザー入力項目をユーザーが変更する前後にて消費電力が減少する効果の推定値を表示部に表示する場合の動作について説明する。なお、本実施の形態6における貯湯式給湯システムの構成は、実施の形態1から実施の形態6と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
本実施の形態6において、リモートコントローラ700はユーザー入力項目をユーザーが変更する前後にて消費電力が減少する効果の推定値を表示部に表示する。
制御上の理由による省エネルギー性の低下は、最終的には主に加熱手段2の沸上温度の上昇によって加熱手段2の機器効率が低下することによって生じる。また、実施の形態1に示したとおり、ユーザー入力項目は全て加熱手段の沸上温度に影響を与える関係にある。従って、事前に加熱手段2の沸上温度と加熱手段2の機器効率の相関性(例えば沸上温度1℃の減少が機器効率1%の上昇に相当する、など。)を把握しておけば、ユーザー入力項目の変化に応じて沸上温度の変化を実施の形態1の手順で算出し、次いで加熱手段2の機器効率の変化を算出することができる。
算出された機器効率の変化は、消費電力の変化率と近い値を示すので、これにより消費電力の変化率を推定することができ、リモートコントローラの表示部に「消費電力○○%削減」や、「消費電力○○kWh削減」などと表示することができる。
以上のように本実施の形態6においては、ユーザー入力項目をユーザーが変更する前後にて、消費電力が減少する効果の推定値を、表示部に表示する。このため、ユーザーが入力項目を修正することに対するインセンティブを高めることができるので、ユーザーの使用方法に対して最大の省エネルギー性を示す動作に可能な限り近づけることができる。