JP3875213B2 - 貯湯式給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯用の高温の湯を貯湯タンク内に貯える貯湯式給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内部に給湯用の高温の湯を貯える貯湯タンクと、この貯湯タンク内の水を加熱して高温の湯とするための加熱手段(ヒートポンプ装置)とを備え、ランニングコストを抑制するために、電力コストに応じて定まる所定時間帯、例えば時間帯別電灯契約において電気料金が安価な深夜時間帯(具体的には当日23時〜翌日7時)にヒートポンプ装置が運転され、貯湯タンク内の高温の湯が当日の給湯に必要な給湯用熱量を有するように加熱されるものが知られている。
【0003】
本出願人においては、先に特願2002−174072において、当日必要とされる給湯用熱量を前日以前の所定期間(例えば7日間)内にさかのぼって、その間の給湯実績の所定値(最大値)として設定するように学習するものを提案しており、これにより、ランニングコストを抑えつつ、ユーザの湯の使用パターンに応じた給湯用熱量の確保を図るようにしている。尚、給湯実績を把握する1日の区切り(日区切り時刻)は、深夜時間帯の開始時刻(23時)としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、日区切り時刻をまたいで、ユーザが湯を使用すると、本来前日分の使用量と思われる一部あるいは大半が当日分に対応することになるので、当日の湯の使用量が見かけ上大きくなり、以降、必要とされる給湯用熱量が大きな値として学習設定される。そして、この給湯用熱量を確保するために深夜時間帯以外の時間帯にまでヒートポンプ装置を作動させる必要が生じる場合があり、ランニングコストの悪化を招いていた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、日区切り時刻をまたいで湯が使用される場合でも、不必要な給湯用熱量を抑えてランニングコストの低減を可能とする貯湯式給湯装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、内部に給湯用の高温の湯を貯える貯湯タンク(110)と、貯湯タンク(110)内の水を加熱して湯とする加熱手段(120)と、電力コストに応じて定まる所定時間帯の開始時刻を1日の日区切り時刻とし、日区切り時刻から翌日の日区切り時刻までの間の給湯実績を1日の給湯実績とし、貯湯タンク(110)の過去の所定期間内の給湯実績のうち、所定値を湯の当日に必要とされる給湯用熱量として、所定時間帯に加熱手段(120)を発熱制御する制御手段(130)とを備える貯湯式給湯装置において、制御手段(130)は、貯湯タンク(110)からの時刻に対する給湯パターンに応じて日区切り時刻を変更することを特徴としている。
【0008】
これにより、日区切り時刻をまたいで湯が使用される場合があっても、その時間帯における使用量を便宜上前日分として当日分の使用量と分けることができるので、日々の湯の使用量を平準化したものとして把握でき、不必要な給湯用熱量を抑えてランニングコストを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、制御手段(130)は、日区切り時刻以前の所定時刻から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が日区切り時刻を越える際に、給湯停止時刻を変更後の日区切り時刻とすることを特徴としており、容易に変更後の日区切り時刻を設定できる。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明では、制御手段(130)は、変更後の日区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、クランプ時刻を変更後の日区切り時刻とすることを特徴としている。
【0011】
これにより、極端に変更後の日区切り時刻がずれることを防止して、本来の前日分および当日分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、制御手段(130)は、過去の所定期間内の以下によって定まる1日毎の学習クランプ時刻のうち最も遅い時刻と、当日の所定時間帯の中で最終となる最終給湯停止時刻とを比較して遅い方の時刻を当日の学習クランプ時刻とし、当日の学習クランプ時刻を翌日のクランプ時刻として用いることを特徴としている。
【0013】
これにより、ユーザの湯の使い勝手に合わせた変更後の日区切り時刻を設定できるので、前日と当日との区切りが一層明確となり、更にランニングコストを低減できる。
【0014】
そして、請求項5に記載の発明では、制御手段(130)は、最終給湯停止時刻が予め定めた日区切り判定限界時刻を越えた時には、日区切り判定限界時刻を学習クランプ時刻とすることを特徴としている。
【0015】
これにより、極端に変更後の日区切り時刻がずれることを防止して、本来の前日分および当日分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0016】
更に、請求項6に記載の発明では、制御手段(130)は、過去の所定期間内の給湯量が連続して所定量を下回った実績時間のうち、最も長い時間を当日の所定時間として用いることを特徴としている。
【0017】
これにより、ユーザの使い勝手に合わせた給湯停止時刻を用いることができるので、変更後の日区切り時刻の精度を向上することができる。
【0018】
尚、請求項1に記載の発明において、請求項7に記載の発明では、制御手段(130)は、日区切り時刻以前の所定時刻から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が日区切り時刻を越える際に、給湯停止時刻を仮の変更後日区切り時刻とし、過去の所定期間における最も遅い仮の変更後日区切り時刻を当日以降の所定期間あるいは当日における変更後の日区切り時刻とすることを特徴としている。
【0019】
これにより、ユーザの湯の使用状況に応じた変更後の日区切り時刻の設定が可能となる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明のように、制御手段(130)は、過去の所定期間において、日区切り時刻以前の所定時刻から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が日区切り時刻を越える日があった場合に、日区切り時刻以降の時刻として予め定めた遅れ日区切り時刻を当日以降の所定期間あるいは当日における変更後の日区切り時刻とするようにしても良く、これにより簡易的な制御で請求項7に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、内部に給湯用の高温の湯を貯える貯湯タンク(110)と、貯湯タンク(110)内の水を加熱して湯とする加熱手段(120)と、貯湯タンク(110)内の湯が当日の給湯に必要な給湯用熱量を有するように、電力コストに応じて定まる所定時間帯に加熱手段(120)を発熱制御すると共に、1日の時間帯として所定時間帯の後に続く第1時間帯および第2時間帯を設け、第2時間帯における過去の所定期間内の1日毎の給湯実績のうち、所定値に応じて決定される追加給湯用熱量を得るために第2時間帯に加熱手段(120)を追加発熱制御する制御手段(130)とを備える貯湯式給湯装置において、制御手段(120)は、貯湯タンク(110)からの時刻に対する給湯パターンに応じて第1時間帯と第2時間帯との区切り時刻を変更することを特徴としている。
【0022】
これにより、第1時間帯と第2時間帯との区切り時刻をまたいで湯が使用される場合があっても、その時間帯における使用量を便宜上第1時間帯分として第2時間帯分の使用量と分けることができるので、第2時間帯の湯の使用量を平準化したものとして把握でき、第2時間帯での不必要な給湯用熱量(第2時間帯での沸き増し時間)を抑えてランニングコストを低減することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、制御手段(130)は、区切り時刻以前の所定時刻から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が区切り時刻を越える際に、給湯停止時刻を変更後の区切り時刻とすることを特徴としており、容易に変更後の区切り時刻を設定できる。
【0024】
そして、請求項11に記載の発明では、制御手段(130)は、変更後の区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、クランプ時刻を変更後の区切り時刻とすることを特徴としている。
【0025】
これにより、極端に変更後の区切り時刻がずれることを防止して、本来の第1時間帯分および第2時間帯分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0026】
請求項12に記載の発明では、制御手段(130)は、過去の所定期間内の以下によって定まる1日毎の学習クランプ時刻のうち最も遅い時刻と、当日の第2時間帯の中で最終となる最終給湯停止時刻とを比較して遅い方の時刻を当日の学習クランプ時刻とし、当日の学習クランプ時刻を翌日のクランプ時刻として用いることを特徴としている。
【0027】
これにより、ユーザの湯の使い勝手に合わせた変更後の区切り時刻を設定できるので、第1時間帯と第2時間帯との区切りが一層明確となり、更にランニングコストを低減できる。
【0028】
また、請求項13に記載の発明では、制御手段(130)は、過去の所定期間内の給湯量が連続して所定量を下回った実績時間のうち、最も長い時間を当日の所定時間として用いることを特徴としている。
【0029】
これにより、ユーザの使い勝手に合わせた給湯停止時刻を用いることができるので、変更後の区切り時刻の精度を向上することができる。
【0030】
尚、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本実施形態の貯湯式給湯装置100の概略構成を示す模式図である。貯湯式給湯装置100は、主に貯湯タンク110、ヒートポンプ装置120、制御装置130から成る。
【0032】
貯湯タンク110は、耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)より成るタンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、給湯用の高温の湯を長時間に渡って保温することができるようにしている。貯湯タンク110は、設置時のスペース効率を考慮して縦長形状としており、その底面には導入口111が設けられ、この導入口111には貯湯タンク110内に水道水を導入する給水経路である導入管141が接続されている。
【0033】
一方、貯湯タンク110の最上部には導出口112が設けられ、導出口112には貯湯タンク110内の高温の湯を導出するための給湯経路である導出管142が接続されている。導出管142には、サーミスタ143aと流量カウンタ144とが設けられており、サーミスタ143aは導出管142を流れる高温の湯の温度情報を、流量カウンタ144は導出管142を流れる高温の湯の流量情報を後述する制御装置130に出力するようにしている。
【0034】
導出管142には、流量カウンタ144より下流側において水道水の給水配管145が接続されており、この給水配管145との合流点には、混合弁146が配置されている。混合弁146は開口面積比(導出管142に連通する湯側の開度と給水配管145に連通する水側の開度の比率)を調節することにより、下流側にあるカラン、シャワー、風呂等に高温の湯と水とを適宜混合して給湯するようにしている。
【0035】
また、貯湯タンク110の下部には、導入管141から貯湯タンク110内に供給される水を流出するための冷水出口113が設けられ、また貯湯タンク110の上部には、貯湯タンク110内に湯が流入する温水入口114が設けられている。冷水出口113と温水入口114とは循環回路147で接続されており、この循環回路147の冷水出口113側にはポンプ148が設けられている。また、循環回路147の一部は後述するヒートポンプ装置120内の水熱交換器122に接続されている。
【0036】
循環回路147の水熱交換器122の上流側および下流側にはサーミスタ143b、143cが設けられ、サーミスタ143bは貯湯タンク110内から水熱交換器122へ流入する水の温度情報を、サーミスタ143cは水熱交換器122から貯湯タンク110内へ戻る高温の湯の温度情報を後述する制御装置130に出力するようにしている。
【0037】
更に、貯湯タンク110の外壁面には、複数のサーミスタ143dが縦方向に所定の間隔をあけて配置され、貯湯タンク110内の各水位レベルにおける温度情報を後述する制御装置130に出力するようにしている。
【0038】
ヒートポンプ装置120は、本発明における加熱手段を成すもので、電動圧縮機121、水熱交換器122、膨張弁123、送風機125を備える冷媒熱交換器124が冷媒配管126によって順次接続されて閉回路を構成するものである。電動圧縮機121には、インバータ127が設けられており、このインバータ127は、電動圧縮機121に供給する電力を可変する。
【0039】
ヒートポンプ装置120は、例えばCOを冷媒としており、冷媒を電動圧縮機121で高温高圧にして水熱交換器122において貯湯タンク110から供給される冷水(水道水)との間で熱交換を行ない、冷水を所定温度(90℃)の湯にする。そして、高温の湯を貯湯タンク110内に貯湯することができるようにしている。尚、この加熱手段としては、ヒートポンプ装置120に限らず、電気式ヒータ等の電熱装置を用いても良い。
【0040】
制御手段を成す制御装置130は、貯湯ECU131、ヒートポンプECU132、リモコン133から成る。貯湯ECU131にはサーミスタ143a〜143dからの温度情報、流量カウンタ144からの流量情報が入力される。また、ユーザによって設定される湯の使用温度や沸き上げモード等の情報がリモコン133から貯湯ECU131に入力される。そして、これらの入力情報に基づいてヒートポンプECU132は、ヒートポンプ装置120(具体的にはインバータ127、電動圧縮機121、膨張弁123、送風機125)、ポンプ148等の作動を制御するように構成されている。
【0041】
このように構成される貯湯式給湯装置100において、制御装置130は、サーミスタ143aからの温度情報と流量カウンタ144からの流量情報とから、日々使用される給湯量(湯の温度と流量との積によって得られる熱量)を演算記憶する。ここでは、一日の区切り(以下、日区切り時刻と呼ぶ)を、電力供給者との時間帯別電灯契約における電気料金が安価な時間帯(本例では23時〜7時の間のいわゆる深夜時間帯)の開始時刻(23時)としている。尚、本発明の所定時間帯は上記の深夜時間帯に対応する。
【0042】
そして、当日に必要とされる給湯用熱量を演算する。ここでは、過去の所定期間(更に具体的には、前日以前の7日間としている)内における1日毎の給湯実積のうち、最大値(本発明の所定値に対応)を当日の必要給湯用熱量としている。ここで、前日の貯湯タンク110内の残湯熱量をサーミスタ143dからの各水位レベルにおける温度情報より演算し、この残湯熱量を必要給湯用熱量から差し引いた分を沸き上げ熱量とする。そして、深夜時間帯にヒートポンプ装置120を作動させ、貯湯タンク110内に湯を溜める。ヒートポンプ装置120の作動にあたっては、具体的には、深夜時間帯終了30分前の6時30分に貯湯タンク110内の沸き上げが完了するように逆算して、23時以降の算出時刻に運転を開始する。貯湯タンク110内の湯温が沸き上げ温度に達したかは、サーミスタ143b、143cによって監視する。
【0043】
図示しないカラン等が開かれ給湯が行なわれる時には、タンク110の導出口112から高温の湯が導出される。これに伴い、導入口111から貯湯タンク110の下部へ水道水の導入が行なわれる。給湯量に応じて、サーミスタ143dからの各水位レベルにおける温度情報によって貯湯タンク110内の高温の湯が所定熱量未満になったと判断すると、深夜時間帯に係わらず、貯湯タンク110内に予め定めた演算式によって得られる熱量分の沸き増しを行うために、ヒートポンプ装置120を運転する。
【0044】
ところで、上記の課題の項で説明したように、日区切り時刻をまたいで、ユーザが湯を使用すると、本来前日分の使用量と思われる一部あるいは大半が当日分に対応することになるので、当日の湯の使用量が見かけ上大きくなり、以降7日間は、必要とされる給湯用熱量が大きな値として学習設定され、ランニングコストの悪化を招くことがあった。本発明においてはこの不具合を回避すべく、制御装置130は、学習制御によって日区切り時刻を日々変更するようにしており、以下その詳細を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。図2に示すフローチャートは、上記の基本的な制御を行うメインフローに対するサブルーチンフローである。
【0045】
まず、ステップS100で給湯状態を判定する。即ち、予め定めた所定時刻(ここでは前日の22時としている)から予め定めたクランプ時刻(ここでは当日の2時30分としている)までの間で、給湯判定分解能30分ごとに給湯量を演算して、所定時間(ここでは60分としている)連続して給湯量が所定量を下回ったか否かを判定する。
【0046】
給湯量が所定量を下回ってないと判定すると、ユーザは23時を過ぎても連続して湯を使用していると考えられ、ステップS110で日区切り時刻は未決定状態としてメインフローに返す。即ち、制御装置130は、メインフローに基づく本来の制御を継続する。
【0047】
一方、ステップS100で所定時間連続して給湯量が所定値を下回ったと判定すると、23時をまたいで湯が使用されたと考えられ、ステップS120でその時点での時刻(判定時刻)を給湯停止時刻とする。この状況は例えば、ユーザがたまたま深夜の遅い時間帯に風呂に入ったような場合に相当する。
【0048】
そして、ステップS130で上記給湯停止時刻がクランプ時刻を越えているか否かを判定し、超えていなければステップS140で給湯停止時刻を変更後の日区切り時刻として設定する。即ち、本来の日区切り時刻23時が給湯停止時刻までシフトされる。
【0049】
また、ステップS130で給湯停止時刻がクランプ時刻を越えている場合は、ステップS150でこのクランプ時刻を変更後の日区切時刻として設定する。即ち、本来の日区切り時刻23時が2時30分にシフトされる(最大シフトされる)。
【0050】
これにより、図3(ここでは給湯停止時刻がクランプ時刻を越えていない場合を示す)に示すように、日区切り時刻をまたいで湯が使用される場合があっても、その時間帯におる使用量を便宜上前日分として当日分の使用量と分けることができるので、図4に示すように、日々の湯の使用量を平準化したものとして把握でき、深夜時間帯以外での不必要な給湯用熱量(昼あるいは夜の時間帯での沸き増し時間)を抑えてランニングコストを低減することができる。
【0051】
また、日区切り時刻の学習にあたっては、日区切り時刻以前の所定時刻(22時)から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間(60分)連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が日区切り時刻を越える際に、この給湯停止時刻を変更後の日区切り時刻として定めるようにしているので、容易に変更後の日区切り時刻を設定できる。
【0052】
更には、変更後の日区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、このクランプ時刻を変更後の日区切り時刻にするようにしているので、極端に変更後の日区切り時刻がずれることを防止して、本来の前日分および当日分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0053】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図5に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、クランプ時刻を学習制御するようにしたものであり、図5は、その制御フローチャートを示している。
【0054】
まず、ステップS200で前日以前の7日間内の1日毎の学習クランプ時刻(これは後述するステップS210、S230、S240で決定される時刻で、日々記憶されているものである)のうち最も遅い時刻と、深夜時間帯の23時から7時の間における最終給湯停止時刻とを比較し、最終給湯停止時刻の方が遅いか否かを判定する。尚、最終給湯時刻とは、それ以降、給湯量が所定量を上回ることが無くなった最終の時刻を意味する。ステップS200で否と判定すると、ステップS210で前日以前の7日間内の最も遅い学習クランプ時刻を当日の学習クランプ時刻と設定する。
【0055】
ステップS200で最終給湯停止時刻の方が遅いと判定すると、ステップS220でこの最終給湯停止時刻は予め定めた日区切り判定限界時刻(ここでは5時としている)よりも遅いか否かを判定する。否と判定すればステップS230でこの最終給湯停止時刻を当日の学習クランプ時刻と設定する。一方、ステップS220で最終給湯停止時刻の方が遅いと判定すると、ステップS240で日区切り判定限界時刻を当日の学習クランプ時刻と設定する。
【0056】
そして、上記ステップS210、S230、S240で設定された各学習クランプ時刻を翌日のクランプ時刻として用いて、上記第1実施形態で説明した図2に示すフローチャートに基づく制御を行う。
【0057】
これにより、ユーザの湯の使い勝手に合わせた変更後の日区切り時刻を設定できるので、前日と当日の区切りが一層明確となり、更にランニングコストを低減できる。また、学習クランプ時刻を日区切り判定限界時刻によって制限するようにしているので、極端に変更後の日区切り時刻がずれることを防止して、本来の前日分および当日分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0058】
尚、上記第1実施形態における給湯停止時刻を判定するための所定時間(第1実施形態中、60分と定めた時間)は、前日以前の7日間内において給湯量が連続して所定量を下回った実績時間のうち、最も長い時間を当日の所定時間として用いる(学習する)ようにしても良い。これにより、ユーザの湯の使い勝手に合わせた給湯停止時刻を用いることができるので、変更後の日区切り時刻の精度を向上することができる。
【0059】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図6に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して周単位で日区切り時刻を変更するようにしたものである。
【0060】
過去の所定期間として前日以前の7日間については、上記第1実施形態の図2で説明した制御フローチャートに基づいて、1日毎の変更後の日区切り時刻を設定する。尚、ここではこの変更後の日区切り時刻は仮の変更後の日区切り時刻として記憶しておく。
【0061】
そして、図6に示すフローチャートに基づき、週毎に日区切り時刻を変更していく。即ち、制御装置130は、ステップS160で上記前日以前の7日間で得られた仮の変更後の日区切り時刻のうち最も遅い時刻を選択し、その時刻から30分を差し引いた時刻を当日以降の7日間(本発明の当日以降の所定期間に対応)における変更後の日区切り時刻として決定する。尚、ここでは給湯判定分解能を30分としていることから、図2に示すフローチャートで得られた最終給湯停止時刻(変更後の日区切り時刻)に対して30分を差し引くことでその精度を向上させるようにしている。
【0062】
これにより、ユーザの湯の使用状況に応じた変更後の日区切り時刻の設定が可能となり、上記第1実施形態と同様に日々の湯の使用量を平準化したものとして把握でき、深夜時間帯以外での不必要な給湯用熱量(昼あるいは夜の時間帯での沸き増し時間)を抑えてランニングコストを低減することができる。
【0063】
尚、上記第3実施形態の変形例1として、図6に示すフローチャートのステップS160で得られた変更後の日区切り時刻を当日の変更後の日区切り時刻として用いるようにしても良い。
【0064】
また、上記第3実施形態の変形例2として、前日以前の7日間において給湯停止時刻が日区切り時刻(23時)を越える日があった場合に、日区切り時刻(23時)以降の時刻として予め定めた遅れ日区切り時刻(例えば当日の2時)を当日以降の7日間あるいは当日における変更後の日区切り時刻とし、逆に、前日以前の7日間において給湯停止時刻が日区切り時刻(23時)を越える日が無かった場合には、本来の日区切り時刻(23時)を当日以降の7日間あるいは当日における日区切り時刻としてそのまま使用するようにしても良い。これにより簡易的な制御としつつ、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図7、図8に示す。第4実施形態は、上記第1〜第3実施形態に対して、1日の中で深夜時間帯以外の昼時間帯および夜時間帯の両者間の区切り時刻(以下、昼夜区切り時刻)をユーザの給湯パターンに応じて変更するようにしたものである。
【0066】
一日の時間帯として、深夜時間帯の後に続く昼時間帯(本発明の第1時間帯に対応)と夜時間帯(本発明の第2時間帯に対応)とを設けている。ここでは昼時間帯を深夜時間帯が終了する7時から17時としている。また夜時間帯を17時から23時までとしている。よって、昼夜区切り時刻は17時となる。
【0067】
昼時間帯および夜時間帯において、制御装置130は、ヒートポンプ装置120を以下のように作動制御する。
【0068】
昼時間帯においては、7時の時点で7時以降に必要とされる熱量を演算する。ここでは、7時以降の必要熱量を前日以前の7日間内の1日毎の給湯用熱量の最大値に予め定めた定数熱量と最低必要熱量とを足し合わせたものから、7時時点での残湯熱量を差し引いたものとして求める。
【0069】
そして、上記7時以降の必要熱量を得るために必要な沸き増し時間(t1)を算出し、サーミスタ143dから得られる各水位における温度情報から貯湯タンク110内の熱量が予め定めた所定熱量を下回ったと判定した時に、沸き増し時間(t1)分だけヒートポンプ装置120を作動させる。
【0070】
一方、夜時間帯においては、17時の時点で17時以降に必要とされる熱量を前日以前の7日間内の1日毎の給湯実績のうち最大値に応じて決定されるものとして演算する。即ち、17時以降の必要沸き増し熱量(追加給湯用熱量)を23時から17時までに既に使用した熱量と前日以前の7日間内の1日毎の17時から23時における使用熱量実績のうち最大値(本発明の所定値に対応)とを足し合わせたものから、前日以前の7日間内の1日毎の給湯用熱量の最大値と最低必要熱量とを差し引いたものとして求める。
【0071】
そして、上記17時以降の必要沸き増し熱量を得るために必要な沸き増し時間(t2)を算出し、サーミスタ143dから得られる各水位における温度情報から貯湯タンク110内の熱量が予め定めた所定熱量を下回ったと判定した時に、沸き増し時間(t2)分だけヒートポンプ装置120を作動させる。
【0072】
このように昼時間帯および夜時間帯を設けて沸き増し制御するものにおいて、昼夜区切り時刻の17時をまたいで、ユーザが湯を使用すると、夜時間帯における湯の使用量が見かけ上大きくなり、以降7日間は、17時以降の必要沸き増し熱量が大きな値として学習設定され、ランニングコストの悪化を招くおそれがある。そこで本第4実施形態においてはこの不具合を回避すべく、制御装置130は、学習制御によって昼夜区切り時刻を日々変更するようにしており、以下その詳細を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。図7に示すフローチャートは、上記の基本的な制御を行うメインフローに対するサブルーチンフローである。
【0073】
まず、ステップS300で給湯状態を判定する。即ち、予め定めた所定時刻(ここでは16時としている)から予め定めたクランプ時刻(ここでは当日の20時30分としている)までの間で、給湯判定分解能30分ごとに給湯量を演算して、所定時間(ここでは60分としている)連続して給湯量が所定量を下回ったか否かを判定する。
【0074】
給湯量が所定量を下回ってないと判定すると、ユーザは17時を過ぎても連続して湯を使用していると考えられ、ステップS310で昼夜区切り時刻は未決定状態としてメインフローに返す。即ち、制御装置130は、メインフローに基づく本来の制御を継続する。
【0075】
一方、ステップS300で所定時間連続して給湯量が所定値を下回ったと判定すると、17時をまたいで湯が使用されたと考えられ、ステップS320でその時点での時刻(判定時刻)を給湯停止時刻とする。
【0076】
そして、ステップS330で上記給湯停止時刻がクランプ時刻を越えているか否かを判定し、超えていなければステップS340で給湯停止時刻を変更後の昼夜区切り時刻として設定する。即ち、本来の昼夜区切り時刻17時が給湯停止時刻までシフトされる。
【0077】
また、ステップS330で給湯停止時刻がクランプ時刻を越えている場合は、ステップS350でこのクランプ時刻を変更後の昼夜区切時刻として設定する。即ち、本来の昼夜区切り時刻17時が20時30分にシフトされる(最大シフトされる)。
【0078】
これにより、図8(ここでは給湯停止時刻がクランプ時刻を越えていない場合を示す)に示すように、昼夜区切り時刻をまたいで湯が使用される場合があっても、その時間帯におる使用量を便宜上昼時間帯分として夜時間帯分の使用量と分けることができるので、夜時間帯の湯の使用量を平準化したものとして把握でき、夜時間帯での不必要な給湯用熱量(夜時間帯での沸き増し時間)を抑えてランニングコストを低減することができる。
【0079】
また、昼夜区切り時刻の学習にあたっては、昼夜区切り時刻以前の所定時刻(16時)から、給湯パターンに基づく給湯量が所定時間(60分)連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が昼夜区切り時刻を越える際に、この給湯停止時刻を変更後の昼夜区切り時刻として定めるようにしているので、容易に変更後の昼夜区切り時刻を設定できる。
【0080】
更には、変更後の昼夜区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、このクランプ時刻を変更後の昼夜区切り時刻にするようにしているので、極端に変更後の昼夜区切り時刻がずれることを防止して、本来の昼時間帯分および夜時間帯分の湯の使用量を正しく把握することができる。
【0081】
尚、クランプ時刻および所定時間については、上記第2実施形態と同様に学習して日々変更するようにすると良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における貯湯式給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】日区切り時刻の変更制御を示すフローチャートである。
【図3】給湯状況に応じて日区切り時刻が変更される様子を示すグラフである。
【図4】1日の総給湯量および沸き増し時間の低減状態を示すグラフである。
【図5】クランプ時刻の学習制御を示すフローチャートである。
【図6】週毎の日区切り時刻の変更制御を示すフローチャートである。
【図7】昼夜区切り時刻の変更制御を示すフローチャートである。
【図8】給湯状況に応じて昼夜区切り時刻が変更される様子を示すグラフである。
【符号の説明】
100 貯湯式給湯装置
110 貯湯タンク
120 ヒートポンプ装置(加熱手段)
130 制御装置(制御手段)

Claims (13)

  1. 内部に給湯用の高温の湯を貯える貯湯タンク(110)と、
    前記貯湯タンク(110)内の水を加熱して前記湯とする加熱手段(120)と、
    電力コストに応じて定まる所定時間帯の開始時刻を1日の日区切り時刻とし、前記日区切り時刻から翌日の日区切り時刻までの間の給湯実績を1日の給湯実績とし、前記貯湯タンク(110)の過去の所定期間内の前記給湯実績のうち、所定値を前記湯の当日に必要とされる給湯用熱量として、前記所定時間帯に前記加熱手段(120)を発熱制御する制御手段(130)とを備える貯湯式給湯装置において、
    前記制御手段(130)は、前記貯湯タンク(110)からの時刻に対する給湯パターンに応じて前記日区切り時刻を変更することを特徴とする貯湯式給湯装置。
  2. 前記制御手段(130)は、前記日区切り時刻以前の所定時刻から、前記給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が前記日区切り時刻を越える際に、前記給湯停止時刻を変更後の日区切り時刻とすることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
  3. 前記制御手段(130)は、前記変更後の日区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、前記クランプ時刻を前記変更後の日区切り時刻とすることを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
  4. 前記制御手段(130)は、前記過去の所定期間内の以下によって定まる1日毎の学習クランプ時刻のうち最も遅い時刻と、当日の前記所定時間帯の中で最終となる最終給湯停止時刻とを比較して遅い方の時刻を当日の前記学習クランプ時刻とし、前記当日の学習クランプ時刻を翌日の前記クランプ時刻として用いることを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
  5. 前記制御手段(130)は、前記最終給湯停止時刻が予め定めた日区切り判定限界時刻を越えた時には、前記日区切り判定限界時刻を前記学習クランプ時刻とすることを特徴とする請求項4に記載の貯湯式給湯装置。
  6. 前記制御手段(130)は、前記過去の所定期間内の前記給湯量が連続して前記所定量を下回った実績時間のうち、最も長い時間を当日の前記所定時間として用いることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
  7. 前記制御手段(130)は、前記日区切り時刻以前の所定時刻から、前記給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が前記日区切り時刻を越える際に、前記給湯停止時刻を仮の変更後日区切り時刻とし、
    前記過去の所定期間における最も遅い前記仮の変更後日区切り時刻を当日以降の所定期間あるいは当日における変更後の日区切り時刻とすることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
  8. 前記制御手段(130)は、前記過去の所定期間において、前記日区切り時刻以前の所定時刻から、前記給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が前記日区切り時刻を越える日があった場合に、前記日区切り時刻以降の時刻として予め定めた遅れ日区切り時刻を当日以降の所定期間あるいは当日における変更後の日区切り時刻とすることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
  9. 内部に給湯用の高温の湯を貯える貯湯タンク(110)と、
    前記貯湯タンク(110)内の水を加熱して前記湯とする加熱手段(120)と、
    前記貯湯タンク(110)内の前記湯が当日の給湯に必要な給湯用熱量を有するように、電力コストに応じて定まる所定時間帯に前記加熱手段(120)を発熱制御すると共に、1日の時間帯として前記所定時間帯の後に続く第1時間帯および第2時間帯を設け、前記第2時間帯における過去の所定期間内の1日毎の給湯実績のうち、所定値に応じて決定される追加給湯用熱量を得るために前記第2時間帯に前記加熱手段(120)を追加発熱制御する制御手段(130)とを備える貯湯式給湯装置において、
    前記制御手段(120)は、前記貯湯タンク(110)からの時刻に対する給湯パターンに応じて前記第1時間帯と前記第2時間帯との区切り時刻を変更することを特徴とする貯湯式給湯装置。
  10. 前記制御手段(130)は、前記区切り時刻以前の所定時刻から、前記給湯パターンに基づく給湯量が所定時間連続して所定量を下回った時点の給湯停止時刻が前記区切り時刻を越える際に、前記給湯停止時刻を変更後の区切り時刻とすることを特徴とする請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
  11. 前記制御手段(130)は、前記変更後の区切り時刻が予め定めたクランプ時刻を越えた時には、前記クランプ時刻を前記変更後の区切り時刻とすることを特徴とする請求項10に記載の貯湯式給湯装置。
  12. 前記制御手段(130)は、前記過去の所定期間内の以下によって定まる1日毎の学習クランプ時刻のうち最も遅い時刻と、当日の前記第2時間帯の中で最終となる最終給湯停止時刻とを比較して遅い方の時刻を当日の前記学習クランプ時刻とし、前記当日の学習クランプ時刻を翌日の前記クランプ時刻として用いることを特徴とする請求項11に記載の貯湯式給湯装置。
  13. 前記制御手段(130)は、前記過去の所定期間内の前記給湯量が連続して前記所定量を下回った実績時間のうち、最も長い時間を当日の前記所定時間として用いることを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
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