JP2007139339A - 貯湯式給湯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貯湯式給湯装置Aは、貯湯量検出手段で検出したデータから算出した貯湯タンク11内の所定の時刻ごとの平均貯湯残熱量を所定期間記憶する貯湯残熱量記憶手段を備えている。制御手段は、貯湯残熱量記憶手段に記憶された平均貯湯残熱量から、所定期間内における深夜時間帯終了時の貯湯残熱量と昼間時間帯終了時の貯湯残熱量との差に、所定期間内の偏差を考慮した所定余裕量を加えた目標貯湯熱量を算出し、深夜時間帯に目標貯湯熱量になるように貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ制御部22jを備えている。
【選択図】図1
Description
その結果、その熱量を算出する場合には、各温度センサの検出温度を基準にすると、貯湯タンクからの放熱によりロス熱量分を見込む必要があり(不安定要因が加算されるため)、精度が悪かった。
このような貯湯式給湯装置では、1日の中での沸き増し判断条件が一定であるので、電気料金の高い昼間時間帯の深夜時間帯に近い時間にも、沸き増し運転を行なうことが多かったため、比較的電気代がかかっていた。
そして、通常の使用予想量よりも多い熱量の放出があった場合には、沸き増し開始量(最低貯湯量)を下回る場合や、風呂湯張り熱量不足や、風呂追い焚き熱量不足等の貯湯量不足が起きることがあり、常に必要量の給湯ができる貯湯式給湯装置が望まれていた。
「熱量」の1calとは、1gの水を1℃高めるためのエネルギーである。
「所定余裕量」とは、任意の熱量であって、沸き増し開始量(最低貯湯量)を下回ることや、風呂湯張り熱量不足や、風呂追い焚き熱量不足等の貯湯量不足が起きないようにするために余分に確保する熱量のことである。
「平均貯湯残熱量」は、使用者が貯湯式給湯装置を使用した1週間以上の所定期間のそれぞれの時刻での貯湯タンクにおける平均の熱量である。
「目標貯湯熱量」とは、貯湯タンク内に蓄えておくことが必要な熱量であって、風呂湯張り熱量不足や、風呂追い焚き熱量不足等の貯湯量不足が発生しなくするために必要な最低の貯湯残熱量である。
「深夜時間帯」とは、電気料金の安い時間帯であって、例えば、午後11時〜午前7時までの時間帯をいい、ちなみに、約70%割安になっている。
また、「昼間時間帯」とは、電気料金が深夜時間帯より高い時間帯であって、例えば、午前7時〜午後11時までの時間帯をいう。
制御手段は、貯湯タンクの平均貯湯残熱量から、所定期間内における深夜時間帯終了時の貯湯残熱量と昼間時間帯終了時の貯湯残熱量との差に、所定期間内の偏差を考慮した所定余裕量を加えた目標貯湯熱量を算出する。
さらに、沸き上げ制御部は、深夜時間帯に目標貯湯熱量になるように貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転を加熱手段に行なわせる。
ここで、「沸き増し」とは、貯湯タンク内のお湯(貯湯残熱量)が少なくなったときに、湯切れを防止するために貯湯温水を沸き上げることである。
また、沸き上げ制御部は、深夜時間帯に目標貯湯熱量になるように沸き上げ運転を行うことにより、使用者が使用する湯水の熱量に所定余裕量を加えた目標貯湯熱量を確保できる。そして、各使用者に最適な貯湯量を電気料金の安い深夜時間帯に確保して、効率よく電気代を削減することができる。
使用者の湯水の使用パターンに応じて、沸き増し開始熱量および沸き増し停止熱量を調整して、貯湯熱量不足や湯切れの発生を防止することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。図2は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置を示すブロック図である。
図1に示すように、貯湯式給湯装置Aは、例えば、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に貯湯タンク11内の貯湯温水をヒートポンプユニット2の加熱部21で加熱して沸き上げて貯湯し、この貯湯した貯湯温水を給湯に用いるいわゆるエコキュート(自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機)である。この貯湯式給湯装置Aは、浴槽Bの浴槽水を風呂循環ポンプ53で風呂循環回路5を循環させて、熱交換器12で浴槽水を貯湯温水と熱交換することによって追い焚き運転をする機能と、貯湯タンク11の貯湯温水を加熱用循環ポンプ23で加熱循環回路7を循環させて、加熱部21で浴槽水を貯湯温水と熱交換することによって沸き上げ運転および沸き増し運転をする機能とを備えている。
この貯湯式給湯装置Aは、図1に示すように、貯湯タンク11の貯湯温水を加熱するためのヒートポンプユニット2と、貯湯タンク11の貯湯温水と浴槽Bの浴槽水や水道水やヒートポンプユニット2の高温水と熱交換したり、貯湯温水を給湯したりするための貯湯タンクユニット1と、貯湯タンク11内の貯湯温水を水道水と混合して適温となった湯水を供給する給湯栓3と、浴槽水を貯水するための浴槽Bと、浴槽水の温度等を設定したり、貯湯式給湯装置Aを操作したりするためのリモートコントロール(以下、単に「リモコン」という)Rと、から主に構成されている。
図1に示すように、ヒートポンプユニット2は、貯湯タンク11内の下層部の低温水を入水して、加熱部21で沸かして高温水となったお湯を貯湯タンク11内の上層部に送って循環させる装置であり、例えば、自然冷媒ヒートポンプからなる。このヒートポンプユニット2は、加熱部21と、加熱循環回路7と、冷媒循環回路20と、ヒートポンプ制御部22と、から主に構成されている。ヒートポンプユニット2は、冷媒に二酸化炭素を使用し、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能な装置である。
このヒートポンプユニット2は、理想貯湯熱量に標準の余裕量を加算した湯量(目標貯湯熱量)を沸き上げる標準モードと、この標準モードの湯量より多い湯量で、理想貯湯熱量に多めの余裕量を加算した湯量(目標貯湯熱量)を沸き上げる多めモードと、標準モードの湯量より少ない湯量で、理想貯湯熱量に少なめの余裕量を加算した湯量(目標貯湯熱量)を沸き上げる少なめモードとを備えている。
なお、ヒートポンプユニット2は、特許請求の範囲に記載の「加熱手段」に相当する。
多めモードにおいて、例えば、沸き増し開始貯湯量は、理想貯湯量に多めの余裕量(例えば、200リットル)を加算した湯量とし、沸き増し停止貯湯量は、理想貯湯量に前記多めの余裕量より多い湯量(例えば、300リットル)を加算した湯量として、その湯量を沸き増しされる。
少なめモードにおいて、例えば、沸き増し開始貯湯量は、理想貯湯量に少なめの余裕量(例えば、20リットル)を加算した湯量とし、沸き増し停止貯湯量は、理想貯湯量に前記少なめの余裕量より多い湯量(例えば、100リットル)を加算した湯量として、その湯量を沸き増しされる。
前記ヒートポンプユニット2の加熱部21は、貯湯タンク11内の下層部の低温水を加熱し沸き上げて高温水にするためのものであり、例えば、凝縮器としての冷媒−水熱交換器からなる。この加熱部21は、冷媒と被加熱水たる貯湯タンク11内の湯水とが対向して流れる対向流方式の冷媒−水熱交換器が採用されている。
図1に示すように、加熱循環回路7は、貯湯タンク11の下層部の低温水をヒートポンプユニット2の加熱部21に引き込んで加熱して高温水にし、この高温水を貯湯タンク11の上層部に戻して循環させることによって、貯湯温度を上昇させるための回路である。この加熱循環回路7は、貯湯タンク11と、入水管71と、出湯管72と、加熱部21と、加熱用循環ポンプ23と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部22と、から主に構成されている。
出湯管72は、加熱部21で加熱された高温水を貯湯タンク11の上層部に送るための配管であり、一方が加熱部21に接続され、他方が貯湯タンク11の上端に接続されている。
加熱用循環ポンプ23は、加熱循環回路7内の水を流動させるための流動源であり、入水管71上に介在されている。この加熱用循環ポンプ23は、ヒートポンプ制御部22に電気的に接続されている(図2参照)。
冷媒循環回路20は、自然冷媒(例えば、二酸化炭素)を利用して、蒸発器26で大気の熱を吸収し、さらに圧縮器27で冷媒を圧縮して高温にし、その冷媒で加熱部21を通過する加熱循環回路7の水を熱交換して加熱する臨界ヒートポンプサイクルを構成する回路である。この冷媒循環回路20は、冷媒の熱と加熱循環回路7を流れる湯水とを熱交換して高温水(約90℃)にする加熱部21と、電子膨張弁からなる膨張弁25と、空気から熱を吸収して冷媒に移す強制空冷式蒸発器からなる蒸発器26と、冷媒を圧縮して高温(約130℃)にするための圧縮器27と、それらをそれぞれ接続する冷媒循環管24と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部22と、から主に構成されている。
ヒートポンプ制御部22は、ヒートポンプユニット2による沸き上げ運転、および沸き増し運転を制御するものであり、機能および作動は追って詳述する。このヒートポンプ制御部22は、冷媒循環回路20の加熱部21で熱交換するときに、冷媒が、超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱するように制御している。このようにして、ヒートポンプ制御部22が、被加熱水の加熱部21の入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように膨張弁25または圧縮器27を制御することで、COP(エネルギー消費効率)が良好な状態で被加熱水を加熱できるように制御している。
図2に示すように、ヒートポンプ制御部22は、マイコン22aと、駆動回路22bと、電源回路22cと、ヒートポンプ記憶回路22dと、沸き上げ学習回路22eと、沸き増し学習回路22fと、タイマ22gと、演算回路22hと、切替回路22iと、沸き上げ制御部22jと、沸き増し制御部22kとを備えている。
なお、ヒートポンプ制御部22は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」に相当する。
電源回路22cは、ヒートポンプユニット2の各機器に電力を供給するための電気回路である。
なお、沸き増し学習回路22fは、特許請求の範囲に記載の「沸き増し学習手段」に相当する。
演算回路22hは、目標貯湯熱量と沸き増し開始熱量と沸き増し停止熱量とを、曜日ごとに算出するための電気回路である。この演算回路22hでは、その他に、貯湯温度センサT2で検出した貯湯量から貯湯タンク11内の貯湯残熱量を時刻ごとに算出したり、蓄積データからそれぞれの時刻での平均貯湯残熱量、消費熱量、保持熱量、沸き上げ目標温度等を算出する。
なお、この演算回路22hは、特許請求の範囲に記載の「演算手段」に相当する。
また、この沸き増し制御部22kは、昼間時間帯において、貯湯残熱量記憶回路85に記憶された所定時刻ごとの貯湯残熱量に対する前記所定の割合より高い割合を当該時刻における沸き増し運転の沸き増し停止熱量とし、貯湯タンク11内の貯湯残熱量が沸き増し停止熱量を上回ったときに、沸き増し運転を停止させるための電気回路でもある。
マイコン22aは、それらの機器を制御するための電気回路である。
図1に示すように、貯湯タンクユニット1は、貯湯タンク11の貯湯温水を利用して、浴槽Bの浴槽水を追い焚きしたり、浴槽Bに差し湯をしたり、湯張りをする装置である。この貯湯タンクユニット1は、水道水を取り込むための給水回路4と、温水を一時的に貯湯する貯湯タンク11と、この貯湯タンク11内に配設された熱交換器12と、熱交換器12によって浴槽B内の浴槽水を追い焚きする風呂循環回路5と、貯湯タンク11内の湯水を給湯栓3または浴槽Bに供給するための給湯回路6と、ヒートポンプユニット2で加熱された高温水を貯湯タンク11に送って貯湯温水を沸き上げるための加熱循環回路7と、から主に構成されている。
給水回路4は、水道水を貯湯タンク11と給湯混合弁V3とに引き込んで給水するための回路である。この給水回路4は、給水管41と、給水温度センサT3と、減圧弁V1と、給水バイパス管42と、から構成されている。
給水管41は、給水の圧力を減圧する減圧弁V1を介して貯湯タンク11の下端に接続されている。この給水管41には、当該給水管41で給水した低温水の温度を検出する給水温度センサT3が設けられている。
給水バイパス管42は、一端が給水管41から分岐して接続され、他端が給湯混合弁V3に接続されている。
図1に示すように、貯湯タンク11は、上層部に、ヒートポンプユニット2で沸き上げられて熱交換器12で熱交換する高温水を一時的に貯留し、下層部に、給水管41から給水された低温水を一時的に貯留するためのタンクである。この貯湯タンク11では、下層部の低温水をヒートポンプユニット2によって入水管71から取り出して沸き上げて高温水となった湯水を、出湯管72から貯湯タンク11内の上層部に戻して一時的に貯湯すると共に、給水管41から給水された水道水によって貯湯タンク11内の低温水が貯湯タンク11内の上層部の高温水を押し上げて、その高温水と低温水とが混合して適温なった温水を給湯管61から出湯している。
この貯湯タンク11には、缶体サーミスタT1と貯湯温度センサT2と熱交換器12とが設けられ、下端に給水管41と入水管71とが設けられ、その上方に風呂往路管5aと風呂復路管5bとが接続され、さらに、上端に給湯管61と出湯管72とが接続されている。
缶体サーミスタT1は、貯湯タンク11内の上層部を流れる湯水の温度を検出するための温度検出器であり、貯湯タンク11内の上層部に設けられた熱交換器12の近傍に設置されている。この缶体サーミスタT1は、給湯制御部8に電気的に接続されている(図2参照)。
なお、この缶体サーミスタT1は、特許請求の範囲に記載の「貯湯温度検出手段」に相当する。この貯湯温度検出手段は、貯湯タンク11内の熱交換器12の近傍、または所定の貯湯量を示す位置に設置された貯湯温度センサT2であってもよい。
貯湯温度センサT2は、貯湯タンク11の各層の湯温を検出するための温度検出器であり、貯湯タンク11内の下層部から上層部に亘って所定の貯湯量ごとに上下方向に複数個設置された貯湯量センサT2a,T2b,T2c,T2d,T2eから構成されている。この貯湯温度センサT2は、給湯制御部8に電気的に接続されている(図2参照)。
なお、給湯制御部8は、各貯湯温度センサT2で検出した湯温情報によって、貯湯タンク11内の上層部の沸き上げられた高温水と貯湯タンク11内の下層部の沸き上げられる前の低温水との温度境界位置より上方にどれだけの貯湯量が残っているかを検知し、そして貯湯タンク11内の上下方向の温度分布を検知するように構成されている。
なお、この貯湯温度センサT2は、特許請求の範囲に記載の「貯湯量検出手段」に相当する。
貯湯量センサT2bは、例えば、貯湯タンク11において100リットルの貯湯量が検出される位置に設置されたサーミスタから構成されている。
貯湯量センサT2cは、例えば、貯湯タンク11において200リットルの貯湯量が検出される位置に設置されたサーミスタから構成されている。
貯湯量センサT2dは、例えば、貯湯タンク11において300リットルの貯湯量が検出される位置に設置されたサーミスタから構成されている。
貯湯量センサT2eは、例えば、貯湯タンク11において400リットルの貯湯量が検出される位置に設置されたサーミスタから構成されている。
熱交換器12は、浴槽B内の浴槽水を、貯湯タンク11内の上層部の高温水と熱交換して加熱するものであり、例えば、ステンレス製の蛇管かからなり、貯湯タンク11内の上層部に設置されている。この熱交換器12は、一方が風呂往路管5aに接続され、他方が風呂復路管5bに接続されて、浴槽Bの浴槽水が風呂循環回路5によって循環し、浴槽B内の浴槽水が貯湯タンク11内の高温水によって加熱されて保温および追い焚きが行われるように構成されている。
図1に示すように、風呂循環回路5は、一端が熱交換器12に接続され、他端が浴槽Bに接続されて熱交換器12で加熱された浴槽水を浴槽Bに送るための風呂往路管5aと、一端が浴槽Bに接続され、他端が熱交換器12に接続されて浴槽Bの浴槽水を熱交換器12に送る風呂復路管5bと、から構成されている。この風呂循環回路5には、追い焚き検出手段50が設置されている。
風呂往路管5aには、熱交換器12から流出して浴槽Bへ流れる風呂往路管5a内の浴槽水の温度を検出する風呂往温度センサ51が設けられている。
風呂復路管5bには、浴槽B内の水位(湯張り量)を検出して空焚きを防止する水位センサGと、浴槽B内の浴槽水を風呂循環回路5に循環させるための風呂循環ポンプ53と、熱交換器12に流入する風呂復路管5b内の浴槽水の温度を検出する風呂戻温度センサ52とが設けられている。
追い焚き検出手段50は、所定期間の間に追い焚き運転をしたことを検出するものであればよく、例えば、風呂循環回路5を流れる浴槽水の温度変化を検出して追い焚き運転の有無を検出する風呂往温度センサ51、風呂戻温度センサ52等からなる。
なお、風呂往温度センサ51と、水位センサGと、風呂循環ポンプ53と、風呂戻温度センサ52とは、それぞれ給湯制御部8に電気的に接続されている(図2参照)。
浴槽Bは、浴槽水を貯湯するものであり、風呂循環回路5の風呂往路管5aと、風呂復路管5bとが接続されて、浴槽水が風呂循環回路5を循環するように構成されている。
図1に示すように、給湯回路6は、貯湯タンク11内の上層部の貯湯温水を給湯混合弁29を介在して給湯栓3に送るための回路である。この給湯回路6は、給湯管61と、過圧逃し弁V2と、混合給湯管62と、給湯混合弁V3と、給湯流量計C1と、給湯温度センサT4と、給湯栓3と、から構成されている。
給湯管61は、一端が貯湯タンク11の上端に接続され、他端が給湯混合弁V3に接続されている。この給湯管61には、当該給湯管61および貯湯タンク11内の圧力が高いときに湯水を外部に放出して内圧を調整し、貯湯タンク11等にダメージを与えないようにするための過圧逃し弁V2が設けられている。
混合給湯管62は、一端が給湯混合弁V3に接続され、他端が給湯栓3に接続されると共に、その中間部に混合給湯管62を流れる湯水の流量を計量する給湯流量計C1が介在されている。また、この混合給湯管62には、当該混合給湯管62内を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサT4が設けられている。
給湯栓3は、後記する給水管41からの低温水と、熱交換器12で加熱され給湯回路6の給湯管61からの高温水と、を給湯混合弁29で混合して設定温度に調整した湯水を湯出する給湯用の水栓であり、例えば、浴室に設置されたカランやシャワー水栓等であり、混合給湯管62に接続されている。なお、給湯栓3は、台所や洗面所等に配置された水栓であってもよい。
湯張り回路9は、給湯混合弁V3で設定温度に調整された湯水を風呂循環回路5の風呂復路管5b内に流し込んで浴槽Bに湯張りをするための回路である。この湯張り回路9は、湯張り管91と、湯張り弁V4と、風呂流量計C2と、逆止弁V5とから構成され、それぞれ、給湯制御部8に電気的に接続されている(図2参照)。
湯張り管91は、一端が給湯流量計C1と給湯栓3との間の混合給湯管62の分岐箇所に接続され、他端が風呂循環ポンプ53と風呂戻温度センサ52との間の風呂復路管5bに接続されて連通している。
湯張り弁V4は、弁体を開閉することによって、浴槽Bへの湯張りの開始/停止を行なう電磁弁である。
風呂流量計C2は、湯張り管91から風呂循環回路5を通って浴槽Bへ流れ込む湯張り量をカウントする流量計である。
逆止弁V5は、断水等によって風呂循環回路5内の浴槽水が混合給湯管62へ逆流するのを防止するための弁である。
図2に示すように、給湯制御部8は、貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御するマイコン81を有する制御部である。この給湯制御部8には、リモコンRが無線または有線により接続され、使用者が任意の給湯設定温度および風呂設定温度を設定できるようにするものである。
給湯制御部8は、風呂循環ポンプ53、給湯混合弁V3および湯張り弁V4等を駆動するための駆動回路82と、貯湯タンクユニット1の各機器に電力を供給するための電源回路83と、缶体サーミスタ(貯湯温度検出手段)T1で所定期間時刻ごとに検出した貯湯タンク11内の貯湯温度や貯湯タンクユニット1の各機器を作動させるための種々のデータを記憶した給湯記憶回路84と、貯湯温度センサ(貯湯量検出手段)T2で検出したデータから算出した貯湯タンク11内の所定の時刻ごとの平均貯湯残熱量を所定期間記憶する貯湯残熱量記憶回路85と、それらの機器を制御するためのマイコン81とを備えている。
なお、貯湯残熱量記憶回路85は、特許請求の範囲に記載の「貯湯残熱量記憶手段」に相当する。
リモコンRは、貯湯式給湯装置Aを遠隔操作する機器であり、給湯温度や、浴槽水の温度や、湯張り量や、沸き増し運転の運転モード等を手動的に設定するための操作器で、浴室内および浴室外にそれぞれ設置されている。このリモコンRには、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチRaと、風呂設定温度を設定する風呂温度設定スイッチRbと、浴槽Bへ風呂設定温度の湯水をリモコンRの湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り量だけ湯張りし所定時間保温させる風呂自動スイッチRcと、浴槽水を追い焚きさせる追い焚きスイッチRdと、沸き増し運転を「多め」、「標準」、または「少なめ」の運転モードに手動的に切替えて選択し運転を行なわせるための沸き増しスイッチReと、表示部Rfと、マイコン制御部Rgとが備えられ、それらはリモコン制御部Rhにそれぞれ電気的に接続されている(図2参照)。
次に、図3を主に参照して本発明に係る貯湯式給湯装置Aにおけるヒートポンプ制御部22の作動を説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置のヒートポンプ制御部の作動を示すフローチャートである。
なお、沸き増し運転の有無を検出する手段としては、例えば、ヒートポンプユニット2の出力の有無や、缶体サーミスタT1や、貯湯温度センサT2の温度のデータから貯湯残熱量の増加を算出して増加したとすれば沸き増し運転をしたとすることができる。
このように、沸き増し運転が行われた場合には、目標貯湯熱量、沸き増し開始熱量、および沸き増し停止熱量を随時に増加させる学習制御を行ない、翌日および次週の同時刻に熱量不足および湯切れが発生しないようにして、湯水の使用パターンの変更に対応させることができる。
図4は、本発明の実施例に係る貯湯式給湯装置Aにおける1週間および1日の各時刻での貯湯残熱量を記憶するときの一例を示す表である。
以下、43℃の湯水を給湯するときの例を挙げて説明する。
図6は、貯湯残熱量による消費熱量の学習を示す表であり、(a)は深夜時間帯の沸き上げ運転のみで熱量を供給できた場合を示す、(b)は昼間時間帯に沸き増し運転があった場合を示す。
次に、図5(a)および図6(a)を参照して深夜時間帯のみの沸き上げ運転で1日の使用量を確保できる場合の残貯湯量からの沸き増し判定算出方法等について説明する。
図5(a)に示すように、各時刻の平均残出湯の可能貯湯量が43℃の場合で換算すると、7:00〜17:00および23:00〜7:00の時間帯における沸き増し開始貯湯量は、貯湯量自動変更モードが多めモードの場合に200リットルを固定湯量として理想貯湯量に加算し、貯湯量自動変更モードが標準モードの場合に100リットルを固定湯量として理想貯湯量に加算し、貯湯量自動変更モードが少なめモードの場合に20リットルを固定湯量として理想貯湯量に加算する。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av−(L43℃換算23:00av−200L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−200L−σ)
である。
このように、多めモードの場合では、23:00〜7:00の間に沸き上げ運転して「理想貯湯量+200リットルの固定湯量+α」の貯湯量を確保するようにする。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av−(L43℃換算23:00av−100L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−100L−σ)
である。
このように、標準モードの場合では、23:00〜7:00の間に沸き上げ運転をして「理想貯湯量+100リットルの固定湯量+α」の貯湯量を確保するようにする。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av−(L43℃換算23:00av−100L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−20L−σ)
である。
このように、少なめモードの場合では、23:00〜7:00の間に沸き上げ運転をして「理想貯湯量+20リットルの固定湯量+σ」の貯湯量を確保するようにする。
そして、標準的な沸き増し開始貯湯量は、標準モードでの480リットルに定数の0.4を掛けた数値の192リットルとする。
[L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−200L−σ)]×0.6
とする。
貯湯量自動変更モードが標準モードの場合には、沸き増し貯湯量を
[L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−100L−σ)]×0.4
とする。
貯湯量自動変更モードが少なめモードの場合には、沸き増し貯湯量を
[L43℃換算tav−(L43℃換算23:00av−20L−σ)]×0.2
とする。
そして、標準的な沸き増し開始貯湯量は、標準モードでの425リットルに定数の0.4を掛けた数値の170リットルとなる。
このときの標準的な沸き増し停止貯湯量は、前記標準モードでの425リットルに定数の0.7を掛けた数値の297.5リットルとなる。
次に、図5(b)および図6(b)を参照して昼間時間帯に沸き増し運転があった場合の残貯湯量からの沸き増し判定算出方法等について説明する。
図5(b)に示すように、各時刻の平均残出湯の可能貯湯量を43℃の場合で換算すると、7:00〜17:00および23:00〜7:00の時間帯における沸き増し開始貯湯量は、前記図5(a)のときと同様であり、多めモードの場合に200リットルを固定湯量、標準モードの場合に100リットルを固定湯量、少なめモードの場合に20リットルを固定湯量として理想貯湯量にそれぞれ加算する。
そして、図6(b)に示す23:00時点での理想貯湯量も同様に、0となることが最も理想である。
7:00〜17:00での沸き増し開始貯湯量は、使用湯量に応じて貯湯量自動変更モードが多めモードのときに「理想貯湯量+200リットル+α」の多めモード、「理想貯湯量+100リットル+α」の標準モード、「理想貯湯量+20リットル+α」の少なめモードのうちのどれかに設定する(図6(b)参照)。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−200L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav+(L43℃換算HPav−L43℃換算23:00av−200L−σ)
である。
このように、多めモードの場合では、23:00〜7:00の間に沸き上げ運転して「理想貯湯量+200リットルの固定湯量+σ」の湯量を確保する。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−100L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−100L−σ)
である。
この場合、7:00時点での目標貯湯量は、
目標貯湯量(43℃換算)L40℃換算0=L43℃換算7:00av+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−20L−σ)
である。
そして、各時刻tでの残予想貯湯量は、
残予想貯湯量=L43℃換算tav+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−20L−σ)
である。
そして、標準的な沸き増し開始貯湯量は、標準モードでの750リットルに定数の0.4を掛けた数値の300リットルとなる。
標準モードの沸き増し停止貯湯量は、750リットルに定数の0.7を掛けた数値の525リットルとなる。
[L43℃換算tav+(L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−200L−σ)]×0.5
とする。
貯湯量自動変更モードが標準モードのときには、
[L43℃換算tav+(L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−100L−σ)]×0.3
とする。
貯湯量自動変更モードが少なめモードのときには、
[L43℃換算tav+L43℃換算HPav−(L43℃換算23:00av−20L−σ)]×0.2
とする。
そして、標準的な沸き増し開始貯湯量は、標準モードでの600リットルに定数の0.4を掛けた数値の240リットルとなる。
このときの標準的な沸き増し停止貯湯量は、前記標準モードでの600リットルに定数の0.7を掛けた数値の420リットルとなる。
図5(b)に示す各時刻での残湯量(平均残出湯可能貯湯量)の7:00、12:00〜23:00、2:00までの1日10回分と、その1週間分(まはは数週間分)のデータをヒートポンプ記憶回路22dに記憶する。
その際、昼間時間帯に沸き増し運転の実績があった場合には、平均沸き増し量を7:00まで遡ってそれまでの各時刻の残湯量に加算し学習値とする。
各時刻での平均残湯量を演算回路22hで計算し、23:00での残湯量を200L+αを多めモード、100+αを標準モード、20L+αを少なめモードとなるように7:00の時点での目標貯湯量とする。
標準モードでは、各時刻の「平均残湯量×0.4」を沸き増し開始貯湯量(最低貯湯量)とし、「平均残湯量×0.7」を沸き増し停止貯湯量として沸き増し判定条件とする。
図7に示すように、43℃換算の理想貯湯量Lは、23:00の時点を0となるように湯水を使用し、23:00〜7:00の間の電気料金の安い時間帯に沸き増し運転して翌日の380Lの理想貯湯量を備えることである。
標準モードの理想貯湯量は、「理想貯湯量+100L+α」であり、前記43℃換算の理想貯湯量より約100リットル多い推移となっている。
沸き増し開始貯湯量は、前記標準モードのデータに「0.4」を掛けた数値であり、標準モードの推移に対して略半減した状態で推移している。
また、沸き増し開始貯湯量は、前記標準モードのデータに「0.7」を掛けた数値であり、沸き増し開始貯湯量の推移に対して略沿って推移している。
そして、ヒートポンプ制御部22は、昼間時間帯に貯湯タンク11内の貯湯量が目標貯湯量を下回ったことにより、それを解消するために23:00〜7:00の電気料金が安い時間帯に沸き増し運転して、翌日からの理想貯湯量+所定余裕量の湯水を確保して、低コストで湯切れしない湯量を無駄なく確保できるようにコントロールしている。
この場合、ヒートポンプ制御部22は、沸き上げ学習回路22eによって、23:00時点での残熱量を1週間分学習して、演算回路22hで43℃における残熱量に換算し、この残熱量に基づいて切替回路22iで貯湯量自動変更モードを「200リットル+α」の多めモード、「100リットル+α」の標準モード、「20リットル+α」の少なめモードのうちのどれかの適切な自動設定するようにする。
2 ヒートポンプユニット(加熱手段)
11 貯湯タンク
12 熱交換器
21 加熱部
22 ヒートポンプ制御部(制御手段)
22e 沸き上げ学習回路(沸き上げ学習手段)
22f 沸き増し学習回路(沸き増し学習手段)
22h 演算回路(演算手段)
22i 切替回路(切替手段)
22j 沸き上げ制御部
22k 沸き増し制御部
85 貯湯残熱量記憶回路(貯湯残熱量記憶手段)
A 貯湯式給湯装置
T1 缶体サーミスタ(貯湯温度検出手段)
T2 貯湯温度センサ(貯湯量検出手段)
Claims (8)
- 湯水を貯湯するための貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の上層部の貯湯温度を検出する貯湯温度検出手段と、
前記貯湯タンク内の貯湯温水の貯湯量を検出する貯湯量検出手段と、
前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる加熱手段と、
この加熱手段を制御する制御手段と、を有する貯湯式給湯装置において、
前記貯湯量検出手段で検出したデータから算出した前記貯湯タンク内の所定の時刻ごとの平均貯湯残熱量を所定期間記憶する貯湯残熱量記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記貯湯残熱量記憶手段に記憶された平均貯湯残熱量から、前記所定期間内における深夜時間帯終了時の貯湯残熱量と昼間時間帯終了時の貯湯残熱量との差に、前記所定期間内の偏差を考慮した所定余裕量を加えた目標貯湯熱量を算出し、深夜時間帯に前記目標貯湯熱量になるように前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ制御部を備えたことを特徴とする貯湯式給湯装置。 - 前記制御手段は、昼間時間帯に沸き増し運転を行ったときには、この沸き増し運転で増加した増加熱量分を、前記目標貯湯熱量に加える沸き上げ学習手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御手段は、昼間時間帯に沸き増し運転を行ったときには、この沸き増し運転で増加した増加熱量に応じて、沸き増し運転を開始するときの沸き増し開始熱量を上げる沸き増し学習手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記沸き増し学習手段は、昼間時間帯に沸き増し運転を行ったときには、この沸き増し運転で増加した増加熱量に応じて、沸き増し運転を停止するときの沸き増し停止熱量を上げることを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御手段は、昼間時間帯において、前記貯湯残熱量記憶手段に記憶された所定時刻ごとの貯湯残熱量に対する所定の割合を当該時刻における沸き増し運転の沸き増し開始熱量とし、前記貯湯タンク内の貯湯残熱量が前記沸き増し開始熱量を下回ったときに、沸き増し運転を開始させる沸き増し制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記沸き増し制御部は、昼間時間帯において、前記貯湯残熱量記憶手段に記憶された所定時刻ごとの貯湯残熱量に対する前記所定の割合より高い割合を、当該時刻における沸き増し運転の沸き増し停止熱量とし、前記貯湯タンク内の貯湯残熱量が前記沸き増し停止熱量を上回ったときに、沸き増し運転を停止させることを特徴とする請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記加熱手段は、前記目標貯湯熱量の湯量を沸き上げる標準モードと、前記目標貯湯熱量より多い湯量を沸き上げる多めモードと、前記目標貯湯熱量より少ない湯量を沸き上げる少なめモードと、を備え、
前記制御手段は、前記標準モードと前記多めモードと前記少なめモードとを切替える切替手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。 - 前記制御手段は、前記目標貯湯熱量と前記沸き増し開始熱量と前記沸き増し停止熱量とを、曜日ごとに算出する演算手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の貯湯式給湯装置。
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