JP5766149B2 - トルクコンバータにおけるステータ構造 - Google Patents
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Description
図6に示すように、トルクコンバータ100は、入力要素として動力源側に連結されるポンプインペラ110と、出力要素として変速機構の入力軸に接続されるタービンランナ120と、反力要素としてタービンランナ120からポンプインペラ110へ戻る作動流体の整流を行うステータ130と、を備えて構成される。
ステータ130から径方向外側に向けて流れた作動流体は、インペラコア113とタービンコア123との間を通って、これらの径方向外側に流れるため、トルクの伝達に関与しない作動流体の流れを形成する。
そのため、ステータ130から径方向外側に流れる作動流体が多くなると、その分だけポンプインペラ110側に流入する作動流体の量が少なくなって、トルクコンバータにおけるトルク伝達の効率が低下してしまう。
しかし、ステータ130から径方向外側に向かうすべての作動流体をポンプインペラ110側に誘導することができないため、トルクの伝達に関与しない作動流体が依然として存在していた。
前記ステータに、当該ステータの外周から径方向外側に延びる複数の羽根を設けて、前記複数の羽を、前記ポンプコアと前記タービンコアとの間に位置させたことを特徴とするトルクコンバータにおけるステータ構造とした。
そうすると、カップリング領域におけるタービンランナとステータとの回転速度の差が大きくなって、ステータからポンプインペラに向かう作動流体の流れの向きを、ポンプインペラのトルクを増大させる向きに変えるので、ステータから径方向外側に流れる作動流体を、トルク伝達に関与させることができるようになる。
図1は、実施の形態にかかるトルクコンバータ1の構成を説明する断面図である。図2の(a)は、図1における領域Aの拡大図であり、(b)は、ステータ40の外周に設けた羽根部45を説明する図であって、ステータ40の一部をタービンランナ30側から見た状態を模式的に示した平面図であり、(c)は、ステータ40の一部をタービンランナ30側から見た状態を模式的に示した斜視図である。
円筒部12は、円板部11の外周縁から、エンジンとは反対側に入力軸3(回転中心軸X)に沿って延びており、先端側の嵌合部12aが、ポンプシェル21の先端部21aに全周に亘って外嵌している。
ポンプシェル21においてポンプブレード22は、回転中心軸X周りの周方向で放射状に設けられており、ポンプブレード22のタービンランナ30側には、軸方向から見てリング状のポンプコア23が取り付けられている。
タービンシェル31においてタービンブレード32は、回転中心軸X周りの周方向で放射状に設けられており、タービンブレード32のポンプインペラ20側には、軸方向から見てリング状のタービンコア33が取り付けられている。
具体的には、ポンプコア23とタービンコア33の径方向外側に、ポンプインペラ20側からタービンランナ30側に向かう作動流体の流れが形成されると共に、径方向内側にタービンランナ30側からステータ40を通ってポンプインペラ20側に向かう作動流体の流れが形成されて、トルクコンバータ1の本体ケース2内に作動流体の循環流Rが形成されるようになっている。
回転中心軸Xの軸方向における壁部44の厚みWは、全周に亘って同じ厚みに設定されており、壁部44の径方向の高さhは、ポンプコア23とタービンコア33の間の空間S内に及ぶ高さに設定されている。
実施の形態では、壁部44の外周44bは、ポンプコア23とタービンコア33の間の空間S内の外径側に位置している。
羽根部45の先端部45b側は、基端部45a側の幅W1よりも僅かに細くなっており、先端側に向かうにつれて先細りした形状を有している。
軸方向から見て、羽根部45の先端部45bは、壁部44の外周44bよりも僅かに径方向内側に位置している。羽根部45は、回転中心軸X周りの周方向に等間隔で設けられており、軸方向から見た各羽根部45の先端部45bは、壁部44の外周44bを成す線Im1(即ち、壁部44の外径)よりも径の小さい仮想線Im2上に位置している。
この際、羽根部45には、ステータ40の回転方向Dとは反対方向に向かう力Fが作用するため、ステータ40の回転速度がこの力Fにより低下させられるようになっている。
なお、以下の説明では、実施の形態にかかるステータ40との区別のために、従来のトルクコンバータのステータ(羽根部45を有していないステータ)を、符号40’を用いて標記する。
なお、図3の(a)は、従来のトルクコンバータのコンバータ領域での速度展開図であり、(b)は、従来のトルクコンバータのカップリング領域での速度展開図であり、(c)は、実施の形態にかかるトルクコンバータ1のカップリング領域での速度展開図である。
図5は、実施の形態にかかるトルクコンバータ1の性能曲線であり、図中実線は従来のトルクコンバータの性能曲線を、鎖線は実施の形態にかかるトルクコンバータ1の性能曲線を示している。
例えば図3の(a)の場合には、ポンプインペラ20から吐き出された作動流体は、矢印D1で示す角度でポンプインペラ20から吐き出されたのち、タービンランナ30に流入する。この際、ポンプインペラ20には、マイナス方向(図中右方向)のトルクT1が作用する。
そうすると、タービンランナ30を押し回した作動流体は、タービンランナ30によりその進行方向が大きく曲げられて、例えば矢印D2で示す角度でタービンランナ30から吐き出されたのち、ステータ40’に流入することになる。この際、タービンランナ30には、プラス方向(図中左方向)のトルクT2が作用する。
そのため、作動流体の流れは右方向に回転できないステータ40’により大きく曲げられることになる。図3の(a)の場合には、ポンプインペラ20とタービンランナ30の回転方向(図中左方向)側に曲げられて、矢印D3で示す角度でステータ40’から吐き出されることになる。この際、ステータ40’には、マイナス方向(図中右方向)のトルクT3が作用する。
ここで、これら三つのトルクの関係は、T2=T1+T3・・・(1)であり、T1はエンジンから入力されるトルクで、T2はトルクコンバータの出力トルクである。
ここで、図3の(a)のコンバータ領域の場合には、トルクT3が大きくなるため、トルク増大効果が発揮されることになる。
かかる場合、ステータ翼42に対して図中右側から作動流体が流入することになり、この作動流体の流れは、ステータ40’を図中左側に回転させようとする。
ステータ40’は、ワンウェイクラッチ50により図中左側にのみ回転可能とされているので、ステータ40’は図中左方向に自由に回転する(タービンランナ30につれ回る)ことになる。よって、この場合には、ステータ40’にはトルクが発生しない(T3=0)。
そうすると、ステータ40から吐き出されてポンプインペラ20に流入する作動流体の角度θは、ステータ40’の場合に比べてポンプインペラ20を迎える方向の角度であるので、ステータ40から吐き出された作動流体の流れは、ステータ40’の場合に比べて、ポンプインペラ20のトルクを増大させることになる。よって、ステータ40を備えるトルクコンバータ1のほうが、従来のステータ40’を備える従来のトルクコンバータの場合よりも、ポンプインペラ20のトルク容量が上昇する。
そして、トルク容量が増大すると、同じ入力トルクの場合における速度比が高くなるので、トルクの伝達効率が向上することになる。
ステータ40に、ステータ40のリング状の支持部43から径方向外側に延びる複数の羽根部45を設けて、ステータ40の径方向外側で対向配置されたポンプコア23とタービンコア33の間の空間S内に羽根部45を位置させたことを特徴とするトルクコンバータ1とした。
この際に、ステータ40から径方向外側に向かう作動流体の流れf1が、ステータ40と一体に回転中心軸X周りに回転する羽根部45と干渉して、ステータ40の回転に対する抵抗となるので、カップリング領域におけるステータ40の回転速度を低下させる。
そうすると、カップリング領域におけるタービンランナ30とステータ40との回転速度の差(B2−C2:図3参照)が大きくなって、ステータ40からポンプインペラ20に向かう作動流体の流れの向きが、ポンプインペラ20のトルクを増大させる向きに変わる(図4参照)ので、ステータ40から径方向外側に向かう作動流体を、トルク伝達に関与させることができるようになる。
さらに、トルク容量係数が大きくなると、同じ入力トルクの時の速度比(=タービンランナ回転数/ポンプインペラ回転数)が大きくなって、タービンランナ30の回転数とポンプインペラ20の回転数との差が小さくなる。これにより、ロックアップクラッチをロックアップ状態にするときのショックを抑えることができる。
そうすると、ステータ40から径方向外側に向かう作動流体の流れが、羽根部45に確実に作用するようになるので、ステータ40から径方向外側に向かう作動流体を、より確実にトルク伝達に関与させることができるようになる。
幅W2が広くなると、羽根部45と羽根部45の間に流入した作動流体を受ける面積が広がるので、ステータ40回転速度を低減させる効果をより高めることができる。
2 本体ケース
3 入力軸
10 フロントカバー
20 ポンプインペラ
21 ポンプシェル
22 ポンプブレード
23 ポンプコア
30 タービンランナ
31 タービンシェル
32 タービンブレード
33 タービンコア
40 ステータ
40’ 従来例のステータ
41 支持部
42 ステータ翼
43 支持部
44 壁部
45 羽根部(羽根)
45a 基端部
45b 先端部
50 ワンウェイクラッチ
100 トルクコンバータ
110 ポンプインペラ
113 インペラコア
120 タービンランナ
123 タービンコア
130 ステータ
X 回転中心軸
Claims (3)
- 回転中心軸周りの周方向で一方向にのみ回転可能とされたステータが、前記回転中心軸上で互いに相対回転可能とされたポンプインペラとタービンランナとの間に設けられており、
前記ポンプインペラのブレードを支持するポンプコアと、前記タービンランナのブレードを支持するタービンコアとが、前記ステータの径方向外側で、対向配置されたトルクコンバータにおいて、
前記ステータに、当該ステータの外周から径方向外側に延びる複数の羽根を設けて、前記複数の羽を、前記ポンプコアと前記タービンコアとの間に位置させたことを特徴とするトルクコンバータにおけるステータ構造。 - 前記ステータの外周では、前記回転中心軸の軸方向における前記ポンプインペラ側に、前記径方向外側に延びる壁部が全周に亘って設けられており、
この壁部の前記タービンランナとの対向面に、前記羽根が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータにおけるステータ構造。 - 前記軸方向における前記タービンランナ側から見て前記羽根は、径方向外側が内径側よりも前記ステータの回転方向側に位置するように、湾曲していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトルクコンバータにおけるステータ構造。
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