JP5748704B2 - トルクコンバータにおけるコア構造 - Google Patents
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Description
なお、図6の(b)では、タービンコア123をプレス成形により形成する際に用いられるリング状の板状部材P1の形状を、この板状部材P1が打ち抜かれる金属板Pの形状と共に、仮想線で示している。
ポンプブレード112とタービンブレード122には、軸方向から見てリング状のコア(ポンプコア113、タービンコア123)がそれぞれ取り付けられており、ポンプブレード112とタービンブレード122は、それぞれポンプコア113とタービンコア123により、その先端側が支持されている。
そのため、従来のリング状のコアの作成方法では、歩留まりが悪く、作製コストが高いという問題があった。
円弧状のコア部材の周方向の端部同士を接合して、リング状のコアを形成し、
コア部材の周方向における両端には、周方向の直交方向に延びる延出部が設けられており、
コア部材は、周方向で隣接する他のコア部材と、互いの延出部同士を接合してリング状のコアを形成しており、
延出部は、同軸上で対向配置されたポンプインペラ側のコアとタービンランナ側のコアとの間に突出していることを特徴とするトルクコンバータにおけるコア構造とした。
図1は、実施の形態にかかるトルクコンバータ1を説明する図である。
図2は、トルクコンバータ1のタービンコア33を説明する図であり、(a)は、タービンコア33を軸方向から見た平面図、(b)は、(a)における領域Aの拡大図、(c)は、(b)におけるB−B断面図、(d)は、(b)におけるC−C断面図である。
図3は、図1における領域Aの拡大図であり、トルクコンバータ1の本体ケース2内に形成される作動流体(作動油)の循環流Rと、対向配置されたポンプコア23とタービンコア33との間に形成される循環流R1を説明する図である。
円筒部12は、円板部11の外周縁から、エンジンとは反対側に入力軸3(軸線X)に沿って延びており、先端側の嵌合部12aが、ポンプシェル21の先端部21aに全周に亘って外嵌している。
ポンプブレード22は、ポンプシェル21側に突出する爪部221を凹部210に嵌入させてポンプシェル21に取り付けられており、ポンプシェル21においてポンプブレード22は、軸線X周りの周方向で放射状に設けられている。
タービンブレード32は、タービンシェル31側に突出する爪部321をスリット310挿通させてタービンシェル31に取り付けられており、タービンシェル31においてタービンブレード32は、軸線X周りの周方向で放射状に設けられている。
図2の(a)に示すように、実施の形態にかかるタービンコア33は、3つのコア部材331から構成される。
各コア部材331は、軸方向から見て所定幅W(図2の(b)参照)の円弧形状を有しており、周方向の端部同士を互いに接合して、軸方向から見てリング状のタービンコア33を形成している。
スリット332は、タービンコア33の中心を通る直線M上で、コア部材331の径方向における内径側と外径側に設けられており、内径側と外径側のスリット332は、軸線(回転中心軸)X周りの周方向に複数設けられている。
各コア部材331の接合部333は、その断面形状が略矩形形状を有しており、周方向で隣接するコア部材331は、重ね合わせた接合部333同士をロウ付けにより接合して、互いに連結されている。
この状態で、接合部333の周方向の側面333aと、コア部材331の周方向の側面331aは、直線N上に位置しており、周方向で隣接するコア部材331、331が、略隙間なく接合されるようになっている。
接合部333の先端333bは、コア部材331の外径側の先端331bよりも、タービンシェル31とは反対側に所定長さh突出している。ここで、所定長さhは、タービンコア33に対向配置された後記するポンプコア23の接合部233と接触しない長さに設定される。
コア部材231は、タービンコア33のコア部材331と同一の形状を有しており、軸方向から見て所定幅Wの円弧形状を有している。そして、周方向の両端に設けた接合部233を、隣接する他のコア部材231の接合部233にロウ付けにより接合して、軸方向から見てリング状のポンプコア23を形成するようになっている。
なお、コア部材231もまた、コア部材231を厚み方向に貫通するスリット232が、周方向に複数設けられており、スリット232は、ポンプコア23の中心を通る直線M上で、コア部材231の径方向における内径側と外径側に設けられている。
そのため、エンジンの回転駆動力がトルクコンバータ1に入力されて、ポンプインペラ20とタービンランナ30とが軸線X周りで相対回転すると、ポンプコア23とタービンコア33との間の空間S内の作動流体(オイル)が、接合部333、233により攪拌されて、空間S内に作動流体の循環流R1が形成されるようになっている。
実施の形態では、タービンコア33の接合部333は、外径側の先端331bよりもポンプコア23側に所定長さh、ポンプコア23の接合部233は、外径側の先端231bよりもタービンコア33側に所定長さh、それぞれ突出しており、空間S内に流入した作動流体が接合部333、233と干渉せずに径方向外側に通流することができる空間S内の幅Wが狭められている。
これにより、接合部333、233と干渉せずに、ポンプコア23の接合部233との間を径方向外側に向けて通流する作動流体の量が抑えられるので、ステータ40側から空間S内に流入した作動流体の多くをトルクの伝達に寄与させることができるようになっている。
実施の形態にかかるトルクコンバータ1では、空間S内に形成される作動流体の循環流R1がトルクの伝達に寄与するので、コンバータ領域からカップリング領域までの略全領域に亘って、従来のトルクコンバータよりもトルク容量が向上するようになっている。
図5は、タービンコア33とポンプコア23の作製過程を説明する図であり、(a)は、コア部材331、231をプレス成形により形成する際に用いられる円弧状の板状部材Pbの形状を、この板状部材Pbが打ち抜かれる金属板Paの形状と共に示した図であり、(b)は、(a)の円弧状の板状部材Pbのプレス成形により得られるコア部材331を示した図であり、(c)は、(a)の円弧状の板状部材Pbのプレス成形により得られるコア部材231を示した図である。
ここで、板状部材Pbは、最終的に作製されるコア部材331、231の径方向の幅Wよりも大きい幅W1を有すると共に、周方向の両端に接合部333、233となる延出片Pb3を備える形状に打ち抜かれる。
また、矩形形状の金属板Paから複数の板状部材Pbを打ち抜く場合には、図5の(a)に示すように、打ち抜き位置を調整して板状部材Pbを密に配置することで、打ち抜き後に捨てられる部分の面積を、より小さくできる。
そのため、複数のコア部材331、231を接合してリング状のコア(タービンコア33、ポンプコア23)を作製する場合には、歩留まりの向上と作製コストの低減が可能となる。
本願の場合、空間S内に突出した接合部233、333により、空間S内の作動流体が攪拌されて負圧状態になることが防止されるので、トルクの伝達に関与できない作動流体の発生を好適に抑えることができる。
かかる場合、ポンプコア23で支持されたポンプブレード22や、タービンコア33で支持されたタービンブレード32が、ポンプコア23とタービンコア33の変形に追従して変形して、トルクコンバータ内の循環流Rに乱れが生じることがあるので、トルク容量係数に悪影響を及ぼす虞があった。
そのため、仮に空間S内に負圧状態が生じても、従来のトルクコンバータのように、ポンプコア23とタービンコア33の内径側と外径側とが、空間S内に引き込まれて変形することが好適に防止されるようになっている。よって、従来の場合のように、トルクコンバータ内の循環流Rに乱れが生じて、トルク容量係数に悪影響を及ぼすことが好適に防止されている。
本願の場合、ポンプコア23とタービンコア33との間に新たに形成される循環流R1によりトルク容量係数を上昇させているので、トルクコンバータを大型化させることなくトルク容量係数を大きくするという要求に応えることができる。
また、車両に搭載された自動変速機の場合、高速度比側の方が低速度比側よりも使用頻度が高くなる。本願の場合、低速度比から高速度比までの略全域に亘ってトルク容量係数を大きくすることができるので、使用頻度の高い高速度比側での燃費向上も可能となる。
さらに、ステータ40から径方向外側に向けて流れる作動流体のうち、接合部333、233と干渉せずに、空間Sから径方向外側に排出される作動流体の量を抑えることができるので、ステータ40側から空間S内に流入した作動流体の多くをトルクの伝達に寄与させることができる。
しかし、コア部材の数は3つに限定されるものではなく、例えば、2つのコア部材からリング状のコアを形成するようにしても、4つ以上のコア部材からリング状のコアを形成するようにしても良い。かかる場合、リング状のコア(ポンプコア23とタービンコア33)の周方向における接合部233、333の数が増えるので、ポンプコア23とタービンコア33の間の空間S内の作動流体の攪拌効率が向上する。そうすると、ポンプコア23とタービンコア33との間の循環流R1のトルク伝達への寄与が向上するので、トルク伝達効率がいっそう向上することになる。
しかし、接合部233、333は、直線Nに対して所定角度傾けて設けられるようにしても良い。かかる場合、接合部233、333の外径側が、ステータ40の回転方向における上流側に位置するように所定角度を設定することで、ポンプコア23とタービンコア33の間の空間S内の作動流体の攪拌効率を向上させることが可能となる。
2 本体ケース
3 入力軸
10 フロントカバー
11 円板部
12 円筒部
20 ポンプインペラ
21 ポンプシェル
22 ポンプブレード
23 ポンプコア
24 インペラスリーブ
30 タービンランナ
31 タービンシェル
32 タービンブレード
33 タービンコア
34 タービンハブ
40 ステータ
210 凹部
221 爪部
222 爪部
231 コア部材
232 スリット
233 接合部
310 スリット
321 爪部
322 爪部
331 コア部材
332 スリット
333 接合部
R 循環流
R1 循環流
S 空間
X 軸線
Claims (2)
- ポンプインペラとタービンランナとが同軸上で相対回転可能に設けられており、前記ポンプインペラの前記タービンランナとの対向面に設けられたブレードと、前記タービンランナの前記ポンプインペラとの対向面に設けられたブレードとが、それぞれリング状のコアで支持されたトルクコンバータにおいて、
円弧状のコア部材の周方向の端部同士を接合して、前記リング状のコアを形成し、
前記コア部材の周方向における両端には、前記周方向の直交方向に延びる延出部が設けられており、
前記コア部材は、前記周方向で隣接する他のコア部材と、互いの延出部同士を接合して前記リング状のコアを形成しており、
前記延出部は、同軸上で対向配置された前記ポンプインペラ側のコアとタービンランナ側のコアとの間に突出していることを特徴とするトルクコンバータにおけるコア構造。 - 断面視においてコア部材は、その内径側と外径側とが同方向に位置するように湾曲した形状を有しており、
前記延出部は、前記コア部材の前記周方向における両端から、前記コア部材の内径側および外径側と同方向に延びており、
前記延出部の先端は、前記コア部材の内径側と外径側の先端よりも突出していることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータにおけるコア構造。
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